プリンター

プリンターとは

プリンター (英: printer) とは印刷機のことで、紙などの被記録媒体に、インクやトナーなどの記録媒体を定着させて文字や画像などの情報を印字する装置の総称です。

プリンターの種類

プリンターは、アナログ式とデジタル式の2種類に大別されます。

アナログ式は、輪転機 (オフセット印刷機) やパッド印刷機のように版にインクをつけて、被記録媒体にインクを刷るタイプのもので、同一内容を大量・高速に印字するのに適しています。一方デジタル式は、版を用いずに印刷する方法で、インクジェットプリンターや電子写真 (レーザープリンター) など様々な方式があり、小ロット・オンデマンド印刷に適しています。

プリンターは、用途によって家庭用、ビジネス用、商業印刷用、産業用に分類されることもあります。

家庭用プリンターはインクジェットプリンターが主流です。ビジネス用プリンターはレーザープリンターとインクジェットプリンターの2種が多くを占めています。商業印刷用は、プロダクションプリンターと呼ばれる比較的大型の印刷機を用い、チラシ・パンフレットなどを印刷するのに使われます。産業用は用途によって様々な種類のプリンターがあります。被記録媒体も紙にとどまらず、金属や布、プラスティックなど、多種多様です。

立体造形技術である3Dプリンターは、被記録媒体を用いずに記録媒体のみを用いて立体を造形します。鋳型に造形材を流し込む射出成型や鋳造と異なり、鋳型を用いずに直接立体を造形することから、プリンターと呼ばれます。

UVプリンターとは、記録媒体にUV (紫外線) 硬化性のインクを用いるプリンターのことで、主にインクジェット方式が使われます。揮発性溶剤を使わずに堅牢性の高い印字が得られることから、近年増加傾向にあります。

プリンターの仕組み

オフセット印刷は、版に塗布されたインクを、ゴムブランケットと呼ばれる円筒状の部品に転写し、次いでゴムブランケットから紙にインクを転写・定着することで印刷します。

インクジェット方式は、ノズルと呼ばれる小孔から記録媒体 (インク) を吐出し、被記録媒体 (紙など) に着弾させます。記録媒体を吐出させる原理は、インクを加熱発泡させ、その圧力でインクを飛ばすバブルジェット方式と、インク室をピエゾ素子によって変形させ、その時に生じる圧力によってインクを飛ばすピエゾ方式の二つが主流です。

電子写真方式は、感光ドラムと呼ばれる部材にトナー (着色した微粒子) を付着させ、これを紙などの被記録媒体に転写・定着させます。液体トナーを用いた湿式電子写真方式と、粉体トナーを用いた乾式電子写真方式があります。

観察機器

観察機器とは

観察機器 (英: Observation device, Monitoring device) とは、対象物の状態や変化を観察するために使用する機器の総称です。

一般には、対象物の表面や内部の微細な形態・構造を観察するために使用する顕微鏡やマイクロスコープなどの機器を指します。対象物の変化を連続的あるいは定期的に観察するための機器を指す場合もあります。

観察機器の種類

代表的な観察機器として挙げられるのが顕微鏡です。

顕微鏡には様々な種類がありますが、単に顕微鏡と言う場合には、対象物に光を照射して拡大像を観察する光学顕微鏡を指します。光学顕微鏡は、試料を透過した照明光で観察する透過型 (生物顕微鏡) と、試料が反射した照明光で観察する反射型 (工業用顕微鏡) に区別され、それぞれ生命科学分野や金属・半導体などの製造で利用されます。

試料が発する蛍光を観察する蛍光顕微鏡、対象物の長さや座標測定に用いる測定顕微鏡、レーザー光を 光源とするレーザー顕微鏡コンフォーカル顕微鏡形状解析レーザー顕微鏡もこの一種です。また、対象物を立体的に観察することができる双眼実体顕微鏡も光学顕微鏡に分類され、医療現場での手術や解剖、製造現場での組み立てや検査に使用されます。

拡大像の形成に光を用いる光学顕微鏡に対し、電子線を用いる電子顕微鏡は、光学顕微鏡より微細な構造を可視化できます。また、X線や超音波、赤外線を用いるX線顕微鏡超音波顕微鏡赤外顕微鏡は、試料表面だけでなく内部構造も非破壊で観察できます。X線顕微鏡で取得した画像を3D構成するのがCTスキャナX線CT装置であり、いずれも医療や製品の内部検査などの現場で活用されています。

針のような細いプローブで試料をなぞって観察する走査型プローブ顕微鏡は、上述の各種顕微鏡とは異なり、試料とプローブの間の力学的・電磁気的相互作用を利用しています。走査型トンネル顕微鏡 (STM) や原子間力顕微鏡 (AFM) などの種類があり、幅広い分野で原子レベルの観察に用いられています。

観察機器の種類

光学顕微鏡にデジタルカメラの機能を搭載したものをマイクロスコープと呼びます。血流スコープハンディスコープファイバースコープなどがあり、用途に応じて使い分けられます。

測定機器

測定機器とは

測定機器とは、測定対象物の物理量を定量的に測定するための機器を指します。

測定器には金属を用いたものがあり、金属は温度によって膨張や収縮をおこします。 膨張や収縮によって計測に支障が出ないように、長さ等を測定するものの中にははJISに定められている温度で保管しなけらならないものがあります。

測定機器の使用用途

測定機器は、大まかに製品や測定対象物の物理量を測定し、得られたデータより対策したり、分析をするために使用されます。

製品では、製造段階に用いることで得られたデータを使って不具合対策することが可能です。例えば、実際に使用された際に製品が受ける力などを測定し、製品が故障するかどうかなどを評価、データによって製品の改善に繋げます。

オシロスコープ等では、電流等の目に見えないものを目に見えるようにするために測定機器が用いられます。

ダイオード

ダイオードとは

ダイオード (英: diode) とは、電流を一方向にだけ流す電子部品です。N型半導体とP型半導体を接合したPN型ダイオードがよく使われます。

N型半導体は、原子核の持つ正の電荷に比べて電子が余分に存在している半導体です。余っている電子は自由電子と呼ばれ、電圧をかけるとマイナス側からプラス側へ移動します。N型半導体は、原子核の持つ正の電荷に比べて電子が余分に存在している半導体です。余っている電子は自由電子と呼ばれ、電圧をかけるとマイナス側からプラス側へ移動します。

P側がプラス、N側がマイナスになるようにPN接合ダイオードに電圧をかけると、マイナス側に移動したホールとプラス側に移動した電子とがPN接合面で出会い、N側の電子とP側のホールが結合してどちらも消滅します。

その分、N側には電源から電子が供給され、P側からは電子が流出してホールが生成され、P側からN側へ電流が流れることになります。逆に、P側にマイナス、N側にプラスの電圧をかけると、ホールはマイナス側、電子はプラス側と、どちらも接合面とは反対側に移動するため、電流は流れません。

このように電流を一方通行にするダイオードの特徴は、スイッチや整流器として利用されます。

ダイオードの種類

ダイオードには様々な種類がありますが、主に下記7種類が存在します。

  • 整流用ダイオード
  • スイッチングダイオード
  • ツェナーダイオード
  • フォトダイオード
  • ショットキーバリアダイオード
  • 発光ダイオード

1. 整流用ダイオード

電圧の方向によって電流の流れる方向と流れない方向があり、交流を直流に変換する働きがあります。

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2. スイッチングダイオード

電流を一方向にのみ流す特徴をスイッチとして機能させるダイオードです。整流用ダイオードに比べて、オン状態からオフ状態になるまでの時間が短いことが特徴です。

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3. ツェナーダイオード

ダイオードに逆電圧をかけても電流は流れませんが、逆電圧がある電圧 (ツェナー電圧) 以上になると、逆方向に電流が流れます。この時、電流の大きさに関係なく一定の電圧を保つことから、ツェナーダイオードを定電圧ダイオードと呼ぶこともあります。

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4. フォトダイオード

フォトダイオードは光を照射すると微小な電流が一定方向に流れるダイオードです。発光ダイオード (LED) とは逆の働きをします。

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5. ショットキーバリアダイオード

PN接合ではなく、N型半導体と金属を接合した構造のダイオードです。オン状態からオフ状態になるまでの時間が非常に短く、高速スイッチング動作に使われます。

6. 発光ダイオード

LEDとしてよく知られるダイオードです。順方向に電圧をかけると、PN 結合面で電子とホールが結合して消滅しますが、その前後のエネルギーの差分が光となって放出されます。半導体を構成する化合物によって、放出される色が異なります。

ダイオードの特性

ダイオードには、印加する電圧と流れる電流との関係を表すV-I特性、ダイオードがオンからオフになるまでの逆回復時間、印加できる順電圧・逆電圧の最大値、順電流・逆電流の許容最大値、電力損失など、多様な電気的特性があります。

用途に応じたダイオードの種類だけでなく、使用する環境や条件などに応じて適切な特性を持つものを選択することが大切です。

ダイオードの利用方法

ダイオードは一方向のみ電流を流す性質を持っているため、交流を直流に変換する回路に使用されます。 また、結合時の熱エネルギーを光として取り出す発光ダイオードにも使われているため、多くの電気製品に使用されています。 発光ダイオードは電流が流れるとPN接合の接合部から光を放出する特性があります。 材料によって様々な波長の光を放射できるので、テレビ画面や赤外線リモコンの投光部分に利用されています。

発光ダイオードの発光は熱が発生するため、エネルギー効率が良くLED照明機器として広く普及が進んでいます。 色々な電気機器で利用されるACアダプターにもダイオードが利用されています。 100Vの交流電源を、変圧器で12Vや6Vの電圧に落としてからダイオードとコンデンサーを使って平滑化された直流にします。

アナライザ

アナライザとは

アナライザとは、入力された信号や試料やデータなどを分析、解析するための装置またはソフトウェアです。

日本語では「分析器」と訳されます。幅広い業種で使われる言葉で医薬品、金融・情報アナリストなど分析を行う人を指すこともありますが、電気工学で使われる場合には分析器のことを指します。 良く間違えられやすいものに測定器がありますが、分析器とは異なります。

アナライザの種類

アナライザには下記のように様々な種類が存在します。

1. スペクトラムアナライザ

高周波信号の周波数成分を分析するアナライザです。

目では見えない電波の状況を分析することができます。周波数ごとの成分の大きさで分析結果が表示されます。携帯の基地局などの電波施設の点検に使われる測定器で、持ち出して現場で使用するケースも多いです。スペアナと略して使用されることが多く、無線業界で働く人にとっては基本となる分析器です。

分析画面の横軸には周波数 (単位はHz) 、縦軸には振幅(単位はdB)が表示され、非常に微弱な信号から、強力な信号まで測定ができます。

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2. ネットワークアナライザ

電子部品の特性を分析します。電子部品を4端子回路網としてモデル化して分析します。

入力と出力でのそれぞれの電流・電圧などを測定して伝達特性 (Sパラメータ) を求めます。周波数ごとのゲイン大きさや周波数ごとの位相などを分析結果として出力します。表示の形式としてはグラフやスミスチャートなどが用いられます。

電子回路の入力信号の減衰やインピーダンスを測定することが可能です。 高周波を扱う回路網において、各デバイスやケーブル間に発生するインピーダンスの不一致は電力ロスや信号歪の原因になるためアナライザで分析します。

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3. 半導体パラメータアナライザ

ソースメジャーと呼ばれることもあります。

トランジスタなどの半導体の入出力特性を分析します。入力する電圧や電流を変化させた際の、出力される電流や電圧、抵抗の変化をグラフに表示します。

このグラフは一般的に曲線になるので、カーブトレーサと呼ばれることもあります。

4. パワーアナライザ

交流電源に含まれる高調波、瞬断、過電圧などの変動を分析します。電力の計測および波形表示機能、高調波解析 (FFT) などの機能があります。

スマートグリッド (再生可能エネルギー) や自動車の電気駆動用インバータなどの測定で使用されます。

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5. FFTアナライザ

FFTアナライザは、低周波信号を分析します。

振動・音響解析はじめとして幅広い用途で使用されているアナライザです。2CHモデルは伝達特性の解析に使用されます。

自動車や航空機の開発において活用されています。分析結果は周波数ごとの成分の大きさや周波数ごとの位相をグラフで表示します。「FFT」とはフーリエ変換をデジタルに行う方法で、特徴は高速で演算処理が可能な点です。

FFT分析器は広い分類分けではスペクトラムアナライザに含まれますが、FFTアナライザは上限周波数が100kHzと低い領域で使われます。 

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6. ロジックアナライザ

CPUなどの論理回路に流れる信号を測定し、測定した信号電圧から論理値 (0と1の二進論理) を分析します。

測定方法はタイミング測定とステート測定の2種類の方法があります。測定チャネルが多く、同時に高速なデジタル信号を測定することが可能です。 最近ではデジタルシステムのICチップ化が進み、デジタル信号の数自体が減少していて、ロジックアナライザが使用される頻度は減少しています。

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7. プロトコルアナライザ

デジタル通信やデジタルインターフェースで扱われる信号を分析します。専用のハードウェア製品に加え、PC上で動作するソフトウェアも含まれます。ソフトウェアツールにはLANアナライザ、パケットアナライザなどがあります。

電気・電子・通信の分野のアナライザを主に紹介しましたが、これらの他にも化学・生物・医療などの分野のアナライザもあります。

検査装置

検査装置とは

検査装置とは、そのものが正しい状態にあるのか、もしくは異常な状態なのかを検査する装置のことです。

検査方法としては、画像検査など、位置や状態を視覚的に検査するものや、流量、圧力など計量値を測定するものなどがあります。状態を数値化できて、正常範囲を設定できるものであれば、ほとんどの検査を行うことができます。

検査装置の種類

1. 外観検査機

製品をカメラで撮影し、加工や組付けた位置にズレはないか、欠品が無いかを検査します。設定しておいた製品の大きさや、角度、部品の位置などに対して、すべてを満足していれば良品、何か一つでも外れていれば不良品となります。また、はんだ付け後のブリッジや飛び散りがないかなど、状態を確認する検査工程もあります。

2. X線検査装置

外観上では発見できない、製品内部の不良を見つけ出す検査装置です。鋳造工程などで多く使用され、内部のヒビや巣、異物を検出します。病院で使われるレントゲンもX線で体内に異常が無いかを調べる検査装置になります。

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3. 印刷検査機

印刷業で、多く使用される検査機で、印刷物をカメラで撮影し、印刷ミスや、インクの飛び散り、異物などの汚れが無いかを検査します。

官能検査装置の普及

製品検査の中には、人が「視覚・聴覚・味覚・嗅覚・触覚」など五感を駆使して異常をとらえる官能検査というものがあります。これは、人間であれば製品の表面を指でなぞれば、わずかな凸凹も瞬時に発見でき、匂いや味などもいつもと違えばすぐに気が付くことを利用しています。

しかし、人が検査を行うことで、体調によっては感度が鈍ったり、人によって判定基準がばらついてしまうなどの問題もあります。また、正確な検査をするには長い時間をかけて訓練する必要があるため、人材育成に時間がかかります。

近年ではこの官能検査も自動化されてきています。画像技術の向上により視覚的な検査は既に大部分が自動化され、匂いや味も数値化できるようになり、聴覚や触覚も振動の違いなどによって異常を検出することができるようになってきました。

リレー

リレーとは

リレーとは、外部から受け取った電気信号によって後段の電気回路のオン/オフの切り替えを行うスイッチの機能を持つ部品です。

日本語では「継電器」と呼びます。照明のように押しボタンで入り切りをするような手動制御とは違って、自動制御の場合には電気的に動作する接点が必要です。これには電磁力の力で接点が動作するリレーが使われます。リレーは電磁力によって、電気回路を開閉する装置で、設定容量によっては大きな負荷も制御することができます。 電磁継電器とも呼ばれています。

リレーの種類

リレーは有接点リレーと無接点リレーの大きく2種類に分けられます。有接点リレーはメカニカルリレーとも呼ばれ、無接点リレーはソリッドステートリレー (SSR) とも呼ばれます。

1. 有接点リレー

有接点リレーは、鉄芯に巻かれたコイルと電流のオン/オフを切り替える電気的な接点によって構成されます。コイルに電気が流れることで磁界が発生し、金属の接点が引き寄せられ、接触することで通電する仕組みです。電磁石と接点の動作は機械的には連動していますが、電気的には別のものです。 例えば、直流24Vの電圧で動作するリレーの接点を使い、交流100Vの電球を点灯させることができます。

2. 無接点リレー

有接点リレーのような機械的な動作をする部品を持たないリレーです。フォトダイオードや発光ダイオード (LED) 、パワー半導体の一種であるトライアックやサイリスタなどの電子部品で構成されています。基本的な原理としては、発光ダイオードに電流が流れることで発生した光をフォトダイオードが受光し電流が流れるという仕組みです。ICによって実装し小型化したMOSFETリレーなどもあります。

リレーの役割

リレーは小さな電流で大きな電流のオン/オフを切り替えることができるので、具体的に以下のような役割を担っています。

  • モーターやヒーターなどの電流を大きく消費する電気機器を作動させる際、そのままでは操作スイッチに大きな突入電流が流れ、発熱や焼損する危険性があります。リレーをスイッチと負荷の間に挿入して扱うことによってそのような危険を防止することができます。また、電子機器を操作する人への感電対策にもなります。
  • 電気機器とバッテリーの間にリレー挿入することで、大電流が流れる配線を短くでき、抵抗が少なくなります。また、リレーと操作スイッチ同士は小さな電流しか流れないので細い配線で接続でき、消費電力を大きく低減することができます。

このようにリレーには様々な効果があるため車載、通信、家電、工場の制御機器など様々な場所で活用されています。

ポンプ

ポンプとは

ポンプとは、圧力の作用を利用して、気体や液体 (以下、流体) を汲み上げたり、送り出す装置のことです。

用途としては、低い位置から高い位置へ汲み上げる、低い圧力を高い圧力にして機械的エネルギーに変換、もしくは放出するために使用されます。

ポンプの仕組み

地球上には大気圧があり、地上 (海抜0m) では常に1,013hPaがかかっています。その状態を1気圧と呼びますが、容器内の圧力が1気圧を下回った状態を負圧と呼びます。

流体は高い圧力から低い圧力へ流れる性質をもつため、ポンプ内に負圧を作ることで、大気圧のかかった流体がポンプ内に引き寄せられます。ポンプ内の流体を吸い込み、押し出して圧力を生み出し、1,013hPaを超えることで地上より高い場所へ汲み上げたり、機械的エネルギーに変換します。

油圧装置に使われるベーンポンプの場合、モーターに直結されたベーン (羽根) が、密閉されたポンプヘッド (吸い上げる部分) で回転すると、ポンプ内の流体は吐出口からポンプ外へと押し出されます。流体が押し出されることでポンプ内部は真空となり、負圧が発生します。

負圧が発生すると、タンク内の流体は給水口からポンプ内部へと吸い込まれ、またポンプ外へと押し出す動きを繰り返すことで圧力を生み出します。

ポンプの種類

ポンプの種類の分け方にはいくつかありますが、大きく分けて構造別、もしくは用途別の種類があります。

1. 構造の種類

ベーンポンプ
ベーンと呼ばれる放射状の羽根車を回転させ、吸い込み、吐出を行います。

渦巻ポンプ
渦巻き状の羽根車を回転させ、吸い込み、吐出を行います。

ギアポンプ
2つのギアを嚙み合わせ、互いに回転させることで、吸い込み、吐出を行います。

ピストンポンプ
ピストンを往復させることで、吸い込み、吐出を行います。

2. 用途の種類

水中ポンプ
防水性に優れ、タンクなどに浸水させて使われます。

高圧ポンプ
非常に高い圧力を生み出し、高い場所への汲み上げや洗浄機などに使われます。

真空ポンプ
真空を作り出すためのポンプで、液体の回収や減圧に使われます。

モーター

モーターとは

モーターとは、電気エネルギーを力学的エネルギーに変換する電気機器です。

日本語では電動機と呼びます。磁界と電流の相互作用 (ローレンツ力) によって生まれる力を利用して回転運動を出力するものが一般的です。直線運動をするリニアモーターなども存在します。

モーターは回転軸を持ち回転する「回転子 (ローター) 」や回転子を回転させる「固定子 (ステーター) 」、回転軸を支える「軸受」、損失により発生した熱を冷却する「冷却装置」などから構成されます。回転子と固定子の磁界を発生させる部分を「界磁」といい、界磁とのと相互作用させトルクを得るための磁界を発生させるものを「電機子」と呼びます。

モーターの仕組み

最も基本的な「ブラシ付きDCモーター」の仕組みを説明します。まず、S極とN極にはさまれた磁界の中にコイルを置きます。コイルに流れる電流によってコイルにも磁界が発生するので、一方の磁極に対する反発が起き、もう一方の磁極に引き寄せられこの作用で回転が起こります。回転の途中でコイルに流す電流を逆にすることで反発・引き寄せの力が入れ替わり回転が持続させます。

モーターの中には「整流子」という素子があり、整流子が「ブラシ」に当たるとブラシから給電が行われます。整流子は軸とともに回転しており、回転によって整流子とブラシの当たる位置が移動します。給電の位置が変わることによって電流の向きが変わります。

構造が簡単な直流モーターの基本構造は磁石の磁界の中に、回転軸に固定されたコイル状の同線及びブラシ、整流子が設けられています。 整流子は電源とコイルの接触・非接触を切り替える部品です。 ブラシは整流子を電源に接触させる役割を持っています。 コイルに直流電流を流すと電流の向きに従ってローレンツ力が働き、コイルが回転を始めます。

しかし、コイルが180度回転して左右が逆になると回転が止まるため、整流子が必要となります。 整流子はコイルが90度回転したところで、コイルと電源の接触を一時停止します。 この状態ではコイルが惰性で回転を続け、次に整流子が電源に接触したときには再びローレンツ力がコイルの回転方向に働きます。

モーターの区分

まず、モーターを駆動電源で分類するとDC (直流) とAC (交流) の2種類があります。それに加えて構造や原理によって以下のように分類されます。

1. DC (直流) モーター

DCモーターは、1分間に3~4万回転という高速回転が可能で、トルクの強いモーターです。

  • ブラシ付きモーター
    一般的に用いられているモーターです。固定子側の電極である「ブラシ」を電機子側の「整流子」に順次接触させることで電流を切り替え、回転動作を行います。
  • ブラシレスモーター
    ブラシと整流子を使用しないモーターです。トランジスタのなどによるスイッチング機能を用いて電気的に電流の切り替えを行います。 (活用例:CDプレーヤー) 
  • ステッピングモーター
    パルス電力を用いて動作するもので、パルスモーターとも呼ばれます。正確な位置決め動作を容易にできるという特徴があります。 (活用例:プリンター) 

DCモーターについて詳しくみる

2. AC (交流) モーター

交流電源で回転するモーターで、誘導モーター、インダクションモーターとも言います。 アルミニウムの円盤の周りに磁界を発生するコイルを用意して、交流電流を使用することでアルミニウム円盤を回転させます。 交流モーターの回転数制御にはインバーターが用いられ、低速からのスムーズな加速や速度制御が自在になります。

  • 誘導モーター
    交流によって固定子に回転磁界を発生させ、回転子に誘導電流が発生します。その作用によって回転が起こります。
  • 同期モーター
    交流が作る回転磁界によって磁極を持つ回転子が吸引・追従し回転が起こります。回転の速度は電源周波数と同期します。

ACモーターについて詳しくみる

試験機器

試験機器とは

試験機器とは、材質の強度や硬度など、物質的特性を調べるものや、開発・設計した製品の性能を確かめるためのものなどがあります。

試験機と試験器の違い

1. 試験機

試験機とは、実験や確認をする機械・設備のことを指し、複雑な機構、装置などが組み込まれ、プログラムや操作が必要です。

2. 試験器

試験器とは実験や確認をするための工具・道具などを指します。それ単体で使用する簡易的な器具といってもいいでしょう。

試験機器の種類

試験機器の種類は大きく分けて、材料の強度や硬度などの物質的特性を調べる「材料試験機」と、製品の出力や燃費などの性能を調べる「性能試験機」の2種類に分類されます。

1. 材料試験機

材料試験機は下記のようなものがあります。

  • 引張試験機
    材料を引っ張り、引張強度や降伏点、破断点などを調べる試験機です。
  • 圧縮試験機
    材料を押しつぶし、破壊することで応力やひずみの状況を調べる試験機です。
  • 曲げ試験機
    材料に力を加えて曲げ、変形するまでの強度や変形の仕方を調べる試験機です。
  • ねじり試験機
    材料の両端をつかんだ状態でねじり、変形の起きるトルクや破断するまでの回転数などを調べる試験機です。

2. 性能試験機

性能試験機は、製品によって調べる項目が多岐にわたるため、ここでは自動車の性能試験機の例をあげます。

  • 出力試験機
    エンジンやモーターの出力を測定する試験機です。車のスピードや積載量という、車の仕事における性能に大きく関わってくる重要な試験です。
  • 排出ガス・燃費試験
    運転時の排出ガスや、燃費を測定する試験機です。燃費試験では最大燃費や、街乗り時での燃費など、状況に応じた燃費を測定します。
  • 騒音測定試験機
    走行時の騒音を測定する試験機です。エンジンの回転音や排気音などの自動車自体が出す騒音を調べる試験と、路面状況やタイヤの種類の違いなどからくる騒音レベルの違いを調べる試験があります。