ブリッジブレーカー

ブリッジブレーカーとは

ブリッジブレーカーとはブリッジ(粉詰まり)を解消するための装置です。主に粉状の原材料を使用するホッパーやタンクに取り付けられます。

粉を使う場合、粉自体の重量、圧力によってホッパー内の排出口付近で粉体が固まってしまい、正常に排出されないということが度々起こるため、それを解消するためにブリッジブレーカーがホッパーやタンクに取り付けられます。

ラットホールブレーカーとも呼ばれ、バイブレーター型やノッカー型、エアレーター型、ブローディスク型、ブレイクロッド型などがあります。

ブリッジブレーカーの使用用途

粉を使用するホッパー内ではブリッジと呼ばれる粉詰まりの他、ホッパーの側面や上部に粉が張り付いてしまうラットホールなどの異常も起こり得ます。

ブリッジやラットホールが起きればホッパー下部のロータリーフィーダーは作動しているのに設定重量通りに粉を供給できない、といったトラブルが起きるため、定期的にホッパー内部に振動を与えることで粉をほぐす必要があります。その際に使われるのがバイブレーター型です。

ノッカー型と呼ばれる物はホッパーに強い衝撃を与えることでブリッジを一気に崩す目的で使用されます。

衝撃や振動を与えず、ホッパー内部にエアーを供給することでブリッジ、ラットホールを予防したい場合にはエアレーター型が使用されます。
     
その他、エアーを送りつつホッパー内を振動させる複合タイプのブローディスク型、ホッパー内に軸(ツメ)を挿入し、回転させることでブリッジを解消させたい場合はブレイクロッド型と、目的によって使い分けられます。

ブリッジブレーカーの原理

バイブレーター型にはボールバイブレーターやピストン式バイブレーターなどが使用されます。ボールバイブレーターは内蔵されているスチールボールが高速回転することで振動を産み出します。ピストン式の場合はシリンダ型になっており、内部のシリンダがエアーによってピストン運動を起こすことによって振動を発生させます。いずれもエアー式の物が主です。

ノッカー式の場合はピストン型が主です。圧縮空気が供給された際にバルブ室と呼ばれる部分に供給され、蓄圧室と呼ばれる部分に貯蔵されます。ノッカー式ブリッジブレーカーのエアー供給配管に設置された三方弁から排気が行われた際、蓄圧室に貯められた圧縮空気がノッカーの傘型バルブと呼ばれる部分を上に移動させます。傘型バルブが移動した後は、ピストン部を圧縮空気が通過することで勢いよくピストンが押し上げられます。

ブローディスク型はシリコン製のディスクが付いており、ホッパー内部でそのディスクが振動することによってブリッジを解消します。ディスクの真下からエアーが噴き出すことによって、ディスクが押し上げられ、それによって振動を産み出します。

ブレイクロッド型は手動で粉詰まりを解消することが出来ます。ホッパーの外側にハンドルが付いており、それを回転させることによってホッパー内に挿入された軸が回転し、粉体をかき混ぜることが出来ます。こちらは自動制御されている他の部品と比べると手間が掛かる上に、ホッパーが小型の物でないと取り付けられないというデメリットがあります。

参考文献
https://www.nitto-kinzoku.jp/archives/technic/powder_discharge/
http://www.toyokohan.com/exen/rkv.html
https://www.exen.co.jp/industry/prevention_vibrator/BH/

バフ研磨機

バフ研磨機とは

バフ研磨機

バフ研磨機とは、研磨機の1種で、主にステンレスの表面仕上げなどに使用される機械のことです。

表面を綺麗に仕上げたり、バリや切粉などの不純物を除去したりすることが可能です。バフ研磨機の活用は、製品の品質向上や美観を向上させるために非常に重要な役割を果たします。

バフ研磨にはいくつかの目的がありますが、主な目的は「表面を綺麗にすること」と「バリや切粉などを除去すること」の2つです。目的に応じて、研磨の粗さを選ぶことが重要です。研磨の粗さが適切でない場合、作業効率が低下したり、製品の品質に悪影響を与えたりする可能性があります。

作業の際には、最適な研磨の粗さを選択し、適切な圧力と速度でバフ研磨機を使用することが重要です。また、研磨機のメンテナンスも大切な要素の1つであり、定期的に機械のチェックとメンテナンスを行うことで、長期的な性能を維持できます。

バフ研磨機の使用用途

バフ研磨機の使用用途は多岐にわたり、主にステンレスに対して使われます。ただし、アルミやチタンなどのステンレス以外の金属、アクリルやABS樹脂などにも使用可能です。

金属加工品は、加工時に発生するバリや切粉、油や汚れなどの付着が存在するため、製品として出荷する前にこれらを除去しなければなりません。バフ研磨機を使って表面処理を行うことで、これらの問題を解決し、美しい仕上がりの製品を作ることが可能です。

バフ研磨は、粗削りや中間仕上げなどの前工程で研磨しきれなかった表面の凹凸を滑らかにし、汚れを落とせます。そのため、表面処理の中でも最終工程に適していると言えます。バフ研磨機を使って行われる鏡面仕上げは、製品の美観だけでなく、機能性や耐久性にも寄与するため、多くの業界で重要視されています。

自動車や建築材料、家電製品など幅広い分野で使用されており、その用途は日々広がっています。最適な研磨方法やメンテナンスを実施することで、高品質な仕上がりが得られ、製品の価値を向上させることが可能です。

バフ研磨機の原理

バフ研磨は、綿やフェルト、ウール、スポンジなどで作られた「バフ」を回転させ対象物に当てることで表面を削り、表面処理を行います。研磨時の少しの力加減や研磨位置のブレなどで仕上がりが変わってしまうため、非常に繊細な作業が必要です。

研磨の粗さは番手と呼ばれる数字で区別されていて、一般的にこの数字が大きくなるほど細かい研磨です。通常、研磨は粗い番手から細かい番手という流れで複数回に分けて行われます。

バフ研磨の種類

バフ研磨では目的とする表面の仕上がりに合わせて、バフ研磨の種類、またバフと研磨剤を適切に選択する必要があります。バフ研磨の種類は目標とする表面粗さによって大きく4つに分けられます。

1. 粗研磨

凹凸や傷の多い金属表面に適した方法で、エメリーバフのような細粒度のバフを使用し、目標表面粗さ2μmRzとある程度の綺麗さに仕上げます。比較的きめの粗い麻バフの使用が適しています。

2. 中研磨

粗研磨後の金属表面を、目標表面粗さ0.3~0.6μmRzに仕上げる研磨です。材質によって適切にバフを使い分ける必要があり、ステンレスのような硬質なものであればサイザルバフ、黄銅アルミニウムのような比較的軟質なものには綿バフを使用するのが適しています。

やや光沢のある仕上げ面となるため、ステンレスや後工程でメッキ処理するものはここで最終仕上げとする場合もあります。

3. 仕上げ研磨

目標表面粗さ0.2μmRz以上に仕上げる研磨で、準鏡面仕上げと呼ばれます。番手の高い#600~#800程度のバフを使用し、酸化クロム系やアルミナ系などの研磨剤が適しています。

光沢の質やバフ傷の状態評価が非常にシビアなので、バフ材質や研磨剤の選択には注意が必要です。タオルや不識布などの柔らかい素材で作られた布バフやウールバフの使用が適しています。また自動車のワックス掛けなどであれば、表面が柔らかいスポンジバフの使用が適しています。

4. 鏡面仕上げ

仕上げ研磨後に目標表面粗さ0.1μmRz以上に仕上げるバフ研磨です。#800のバフで金属表面を綺麗な鏡面に仕上げる研磨方法です。

バフ傷もなく景観がしっかり写りこむほど丹念に研磨し、さらに除菌性や洗浄性に優れることも特徴です。柔らかい布バフやウールバフが適しています。 

バフ研磨機のその他情報

1. バフ研磨機のメリット

乱反射が抑えられる
表面を十分に滑らかに仕上げることができない表面処理方法では、乱反射が発生してしまいます。しかし、バフ研磨だと表面が鏡面のように仕上がるため、乱反射を抑えることもできます。

製品精度が向上する
バフ研磨により表面の凹凸を減らせるため、製品精度の向上が期待できます。

2. 自動バフ研磨機

バフ研磨は小さなものや複雑な形状の場合は、研磨対象物もしくはバフ研磨機を操作することで必要な面を作業員が手作業で綺麗に仕上げていきます。この方法では、一品一品丁寧に研磨できるメリットはありますが、大量生産品などの場合は生産性が悪くなるのがデメリットです。

単純形状で比較的平面が多い大量生産品では、研磨対象物もしくはバフ研磨機を自動で操作し仕上げる自動バフ機が広く利用されています。例えば、ステンレスシートなどの平面材やステンレスポールなどの円筒物、またギターなどの平面が多く比較的単純な形状なものにも自動研磨機が使用されています。

参考文献
https://www.chuo-buff.com/qa.html
https://www.nitto-kinzoku.jp/archives/technic/buff/
https://www.polishing-qcd.net/polish_youshiki/buff.html
https://04510.jp/times/articles/-/17843?page=1
https://www.shiken.co.jp/machine/special.html

センサーブラケット

センサーブラケットとは

センサーブラケット_図0

センサーブラケット (英: Sensor Brackets, Sensor mountings) とは、センサーを固定するためのブラケット (固定器具) です。

ブラケット(英: Brackets) は、構造物や部品など容易に固定し調整するための、平板・L字形の器具です。センサー (英: Sensors) は、物理環境から何らかの入力を検出して応答するデバイスを指します。

入力は、光・熱・動き・湿気・圧力やその他の環境現象になります。出力は、センサー近傍で人間が判読できるディスプレイ表示するための数値などに変換されるか、次工程処理のためネットワークを通じて電子的に送信される信号です。

センサーブラケットの使用用途

センサーブラケット_図1

図1. センサーブラケットの使用例

センサーブラケットは、工場のオートメーション生産設備、ロボット、自動車など、センサーを使用しているあらゆる場面で使用されています。センサーを機械・装置や設備のフレーム (鉄骨や金属枠などの構造物) にボルト・ナットなどに固定するために使用されるのが一般的です。

フレームから少し離れた位置にレーザー光を照射する場合や、センサーをぶら下げて取り付ける場合などは、パイプ型スタンドやスライドレールとプレートタイプを組み合わせて使用します。センサーの種類、取り付け方法などに対応して、さまざまな形状・寸法があり、最適なブラケットの選定が必要です。

センサーブラケットの原理

センサーブラケットは、センサーの検出精度や信頼性に大きな影響を及ぼすことがあり、正確な作動に重要な部品で、その固定方法も重要な要素になります。センサーの固定方法は、大きく分けて下記2つに分類されます。

1. ねじ固定

円筒型センサーは、センサーブラケットの貫通穴にセンサーをはめ外面のねじ部にナットを組み込み、ブラケットを挟むようにナットを締め付けて固定します。角型のセンサーは、センサーの取り付け穴に合わせて加工されたセンサーブラケットを使用し、六角穴付きボルトなどで締め付けて固定します。

2. クランプ固定

円筒型センサーで、外径にねじ加工されていない場合は、クランプ固定式のブラケットの取り付け穴にセンサーをはめ込み、ブラケットのねじを締め付けて固定します。

センサーブラケットの種類

センサーブラケットの種類は、下記のように分類されます。

1. ブラケットによる分類

センサーブラケット_図2

図2. センサーブラケットの種類とセンサーとの組み合わせ

シングルプレートタイプ
シングルプレートタイプは、センサーを取り付けたセンサーブラケットを、フレームにそのまま直付けします。

コンビネーションタイプ
コンビネーションタイプは、シングルプレートタイプと組み合わせて使用します。形状は、レール型、ストレート型やL型などがあり、レール上でセンサーブラケットをスライドさせ、またセンサー取り付け用長穴で位置調整をして使用します。

フレキシブルタイプ
フレキシブルタイプは、パイプにジョイントやセンサーアタッチメントを取り付けて使用します。

2. ブラケットの形状による分類

センサーブラケット_図3

図3. センサーブラケットの形状

センサーブラケットの形状は、ストレート型・L型・Z型・フルガード型・スリット型などがあります。

3. センサーによる分類

レーザーセンサー、近接センサー、ファイバセンサーなど、センサーの種類によって取り付け方法や形状が異なり、対応したセンサーブラケットを選定します。

4. センサーブラケットの材質による分類

センサーブラケットに使用される材質は、主に下記3種類です。

オーステナイト系ステンレス鋼板
オーステナイト系ステンレス鋼板は、プレートタイプなど板材で製作されている材質です。一般的に、JIS G4305冷間圧延ステンレス鋼板及び鋼帯 SUS304などになります。

鉄板
鉄板の場合も、プレートタイプなど板材で製作されている材質です。一般的に、JIS G3141冷間圧延鋼板及び鋼帯SPCCなどになります。

アルミニウム合金
アルミニウム合金は、スリット型やレール型などの材質です。一般的に、JIS H4100アルミニウム及びアルミニウム合金の押出形材A6063などになります。

樹脂
樹脂製は、丸シャフト取り付け用ベースなどの材質です。一般的に、ポリアミド (PA) などになります。

参考文
https://www.hagitec.co.jp/saisennsaburaketto.htm
https://www.iwata-fa.jp/html/index-t3.html

ジグソーブレード

ジグソーブレードとは

ジグソーブレード

ジグソーブレードは、ジグソーと呼ばれる電動のこぎりの刃のことをいいます。切断する対象が木なのか、金属なのか、素材に応じて適切なブレードを使用します。取り換えることで加工できる素材や、加工する形状の幅を広げることができます。刃の劣化によってジグソーブレードを付け替える場合もあります。

ジグソーは比較的初心者でも使いやすい電動のこぎりです。ブレードとセットで販売されているものもあるので、いくつか種類を持っておくと効率よく細かな加工ができます。

ジグソーブレードの使用用途

ジグソーブレードはジグソーに取り付けて使用するので、ジグソーの用途とそのまま一緒です。ジグソーは、木材をはじめとして金属やプラスチックなどの切断に利用されています。切断は直線だけでなく曲線も可能なのでプロの木材加工はもちろん、机やいす、小物入れなどの製作やご家庭でもDIY等で活躍しています。

安全面の観点と、ジグソーの寿命を延ばすためにも無理に使用し続けず、適切なタイミングでブレードを替えることが大切です。

ジグソーブレードの原理

ジグソーブレードはジグソーの機種によって、ブレードの形状が異なります。取り付け部分の型が使用するジグソーに適しているか確認する必要があります。

ブレードの取り付け方は、差し込んでねじを押し付けるタイプとねじを貫通させるタイプと、Bタイプと呼ばれる型がよく利用されています。異なるメーカーのブレードでも、型が同じであれば付け替えて使用することができます。また、ジグソーブレードは素材に応じて適切な刃の形状が異なります。

  • 木工用
    木材用は最も種類が多く展開しています。直線用と曲線用があり、ブレードの刃の幅が曲線用はせまくて刃の山が細かいです。また、高速切断用では刃の山が大きく、仕上げ用では刃が両面研磨されています。
  • 金属用
    刃が細かく、うねった配列になっています。
  • その他用
    一般プラスチック、塩ビ、アクリルなどの樹脂の種類によっても種類がさまざまです。また、発泡スチロールなどの柔らかい素材にも専用ブレードがあります。

参考文献

https://diytools1.com/2019/05/14/21170/

https://www3.roymall.jp/shop/e/ejigsaw/

放電加工機

放電加工機とは

放電加工機とは、アーク放電によって発生する熱で加工物を溶かして加工する工作機械のことです。加工物が電気を通す材質であれば、硬さに関係なく加工できる特徴を有し、主に金属加工に使用されます。

放電加工は、液体中の電極と加工物との間で放電させて熱により加工物を溶かし、溶けた部分を液体で冷やして飛散させる方法です。高硬度材の加工で、切削加工では刃が立たない場合でも、精密な形状に加工ができます。

放電加工機の使用用途

従来の加工法では加工が困難なものが、放電加工で可能になります。まず高硬度材料の加工用途があります。六角穴、キー溝及び角出し加工は、刃物にとらわれません。

ねじ加工では、加工を忘れて焼き入れをしてしまった場合などに、放電加工でねじを後加工します。また放電加工は、ドリル加工では不可能な細径深穴加工に使われます。

斜め穴も容易に加工可能です。人工欠陥と言って、微細な欠陥がある試験片を放電加工によって作ります。その他の事例として、精度の高い微細ギアの加工は、放電加工が適しています。細いワイヤーを用いたワイヤー放電加工は、インボリュートラインをきれいに仕上げ、中心部の穴を真円にします。

放電加工の原理

放電加工は、加工物を絶縁性の高い加工液の中に浸し、1秒間に1,000~10万回の放電を繰り返して加工します。電極と加工物を数十ミクロンの距離に保ちながら放電すると、金属は数千℃に達して溶融が始まります。

溶融した金属は加工液によって急激に冷やされ、気化爆発して加工面から吹き飛ばされます。そして加工液中で冷却されながら小さな粒となって飛散することで、加工物の表面が削られるのが放電加工の原理です。

放電加工機の種類

放電加工機は、次の3種類が実用されています。

1. 型彫放電加工機

型彫放電加工機は、放電によって電極の形状を加工物に転写する工作機械です。やグラファイトなどの電極を加工したい形の反転した形状に加工し、加工物に近づけると放電が始まり、電極と逆の形状に加工されます。電極のNC制御により、3次元の複雑な加工ができます。樹脂成形用の型などの加工によく使われます。

2. ワイヤー放電加工機

ワイヤー放電加工機は、直径0.05mmから0.3mm程度の非常に細いワイヤーを電極として用いて放電加工を行う機械です。黄銅のワイヤーがよく使われており、数値制御(NC)によってワイヤーを走行させて被加工物を求める形状に切断していきます。WEDMとも呼ばれます。

ワイヤー放電加工機の特徴は、電極の加工が不要なことと、非常に細いワイヤーを使って切断するため材料のロスが少ないことです。貫通させない底付きの形状の加工は不可能です。プレス加工用の金型などの加工に使用されます。

3. 細穴放電加工機

加工液の中で、棒状やパイプ状の電極を用いて、ワークを溶融・除去しながら非常に細い穴を開ける機械です。直径0.1mm以下の細い穴加工が可能です。電極と加工物とは非接触で加工されます。金型のエア抜き穴や精密ノズルなどの加工に使用されます。

放電加工機の構成

放電加工機の構成は、金属を加工する加工機と、それをコントロールする制御装置、及び加工液を供給する加工液供給装置の3つです。

1. 放電加工機本体

加工機には金属を加工する電極があり、噴射ノズルから加工液を噴射しながら加工物の金属に電極を押し当てるようにして加工していきます。さらに、放電加工が行われる部分に適量の加工液を満たしておく必要があるため、周辺を囲むように加工槽が設けられています。液面調整装置が付属しています。

2. 加工制御装置

加工制御装置はNC工作機械に必須の機能です。加工プログラムにデータを入力することによって、全く同じ加工製品を高い精度で作り続けることが可能になります。

3. 加工液供給装置

放電は絶縁状態の気体や液体に電気が流れる現象であり、加工液は絶縁体として機能します。水や油を主成分としたものが使われます。放電加工を補助する重要なもので、冷却や加工くずを除去する役割もあります。

放電加工機のその他情報

放電加工機の特徴

放電加工機の最大の特徴は、非常に硬い材料でも簡単に加工できることです。それに加えて、数ミクロン単位での精密な加工と複雑な形状の加工が可能です。

放電加工は、電極と加工物とが物理的に接触せずに加工する非接触方式なので、加工物の変形による精度不良が起きにくい特徴があります。薄い板でも容易に加工できます。

切削加工では通常バリが出ますが、放電加工ではバリが発生せず、バリ取り工程が不要です。また、刃物を使用しないので、内側の角が正確に加工できます。さらに、幅が0.1mm以下の深溝や穴の加工もできます。

放電加工にも弱点があります。放電加工は少しずつ溶かしながら加工するので、加工スピードが遅いことです。電極などの消耗品も多く必要で、大量生産には不向きと言えます。

参考文献
https://www.sodick.co.jp/st/tech/principle.html
https://morpha.co.jp/tech/edm/
https://jp.misumi-ec.com/tech-info/categories/machine_design/md11/c1342.html

チップサーミスタ

チップサーミスタとは

サーミスタとは周囲の温度が変化すると急激に抵抗値が変化する半導体素子で複数の金属を混合して作られています。
チップサーミスタはプリント基板上に表面実装が可能なサーミスタです。

温度が上昇するとゆるやかに抵抗値が小さくなるNTC(negative temperature coefficient)サーミスタ、温度が上昇すると急激に抵抗値が小さくなるCTR(critical temperature resistor)サーミスタと呼ばれるタイプのものがあります。

逆に温度が上昇すると急激に抵抗値が大きくなるPTC(positive temperature coefficient)サーミスタと呼ばれるタイプ、以上の3種類に分類されます。

チップサーミスタの使用用途

NTCサーミスタは温度が高くなると抵抗が減少します。この特性を使い温度検出用センサの他、温度調整を行う回路等で使われています。

PTCサーミスタは温度が上昇すると、抵抗値が大きくなる温度が存在します。この特性を利用して温度検出用センサの他、ヒューズの替わりに過電流の保護回路として使われたり、ヒーターや加熱を検出する回路などで使われています。

実際の使用例としてエアコンが挙げられます。室内機および室外機の双方でサーミスタを使って、室内温度の制御を行っています。

車ではサーミスタを使って、エンジンの温度や外気温度を測定しエンジン内の燃焼が最適となるよう制御しています。

更に、宅内の家電機器では、冷蔵庫やコーヒーメーカー等でも使われています。

チップサーミスタの原理

マンガン、鉄、コバルト、ニッケルなどを混合してNTCサーミスタは作られます。PTCサーミスタはチタン酸バリウムとセラミックスを混合したり、ポリマーにカーボンブラック等を混合して作られています。更にバナジウムに添加物を混合して作られているのがCTRサーミスタです。

通常、金属等の導体では温度が上昇すると移動する自由電子と導体の結晶中の陽イオンが激しく衝突するようになります。

これは陽イオンが温度の上昇に伴い振動が起きるからです。この振動による衝突から、自由電子の移動速度が遅くなることにより抵抗値が大きくなります。

このことにより、温度が上がっていくとNTCサーミスタやCTRサーミスタでは、抵抗が大きくなる訳です。

他方、半導体では、温度の上昇に伴い陽イオンが増加しますが、この割合が自由電子の移動速度の減少に勝るため抵抗が減少するためPTCサーミスタでは、温度が上がるにつれて抵抗値が下がります。

このように夫々の素子の特性を生かし、サーミスタは私たちの周りにおいて、様々な場所で効果的に利用されています。

参考文献
https://takuminotie.com/

手動ステージ

手動ステージとは

手動ステージとは、対象物を乗せた状態で手動により位置を調整ができる架台です。

工具やカメラなどを正確に位置決めし、調整するために使用されます。微細な動きや調整が必要な作業に適した製品です。操作者は手動でステージを移動させ、目標位置に物体を移動させることができます。

手動ステージには移動量を正確に測定し、制御するための目盛りや調整機構が組み込まれていることが一般的です。これにより、微細な位置調整が可能となります。また、高品質な材料によって堅牢かつ安定した構造で製作されるため、長時間使用や重要な実験で信頼性が確保されます。

ただし、自動ステージと比較して操作者のスキルと経験が必要です。

手動ステージの使用用途

手動ステージはさまざまな場面で使用されます。以下は一般的な手動ステージの使用用途です。

1. 光学装置

カメラや顕微鏡において、試料やレンズの位置を微調整するために手動ステージが使用されます。これにより、観察対象を正確に焦点に合わせたり、異なる部分を調査することが可能です。カメラを使用する場合は、手動ステージによって手振れを防止することもできます。

2. レーザー加工

レーザー加工機や精密切削機では、レーザービームや切削工具の位置を正確に制御することが必要です。手動ステージによって加工対象の位置を微調整し、精密な切削や彫刻などを行います。カスタム部品の製造や微細な構造の加工に使用されます。

3. 材料開発

材料の物理的な特性や応力応答を測定するために、手動ステージが使用されます。材料の伸びや耐久性を評価する際に、試験機器で試料の位置を正確に制御して応力とひずみを記録します。航空宇宙分野や自動車分野など、応用される産業はさまざまです。

4. 医療研究

医療研究において、細胞や微小な試料を操作する場合があります。手動ステージを使用して微小なピペットやマニピュレータを正確に位置調整し、細胞移植などの操作を行うことが可能です。これにより、微細な対象物を正確に取り扱うことが可能です。

手動ステージの原理

手動ステージは、位置調整を実現するための機械的な仕組みに基づいています。ステージプレートやリニアガイド、スケールなどによって構成される場合が多いです。

1. ステージプレート

ステージプレートは位置調整の対象物を乗せるための架台です。手動ステージの基本部品の一つです。ステージの基礎を提供しつつ、他の部品が取り付けることができます。

2. リニアガイド

手動ステージはリニアガイドと呼ばれる部品を使用して、水平方向または垂直方向に可動します。ガイドによって摩擦を減少させ、高い位置精度と滑らかな動きを実現することが可能です。付属する調整ネジなどによって位置を調整し、微細な動きができます。

3. スケール

手動ステージには位置を測定するためのスケールが備わってることが多いです。これにより、操作者に対して現在の位置を示し、所望の位置にステージを移動する際に役立ちます。一部の高度な手動ステージには、マイクロメーターなどが組み込まれています。

手動ステージの種類

手動ステージは、その動作や用途に応じてさまざまな種類が存在します。代表的な種類は以下の通りです。

1. 直動ステージ

直線的な位置調整に使用されるタイプの手動ステージです。水平方向または垂直方向に物体や試料を移動させるのに適しています。操作者はハンドルやノブを使用し、レールなどを介してステージを移動させます。

2. ゴニオステージ

角度調整に特化した手動ステージです。物体や試料を回転させるように設計となっており、通常は水平面または垂直面での角度調整に使用されます。 X線回折などの分野ではゴニオステージが使用されることが多いです。

3. 回転ステージ

対象物を回転させるための手動ステージです。一般的には水平面での回転が可能であり、ハンドルやノブを使用してステージを回転させます。位置調整が必要なさまざまな用途で使用され、角度の精密な調整が求められる場合に便利です。

レーザーレベル

レーザーレベルとは

レーザーレベル

レーザーレベルとは、水平器にレーザーポイントを内蔵した水平出しをするための機器です。

レベルと言っても、本来のレベルとは異なる点があります。通常、レベルはメモリ付きのスタッフと呼ばれるバーとセットで高低差を測るための機器です。スタッフを持つ役割の人と、レベルを使用する人の2人1組で使用します。

しかし、レーザーレベルはレベルを使用する人の代わりに、レベルから出たレーザーを受光器で受信すれば1人でも計測が可能です。そのため、人員の削減や作業の効率化につながります。

レーザーレベルの使用用途

レーザーレベルは、主に土木や建築の分野で使用されます。特に建築や土木、内装工事で、容易な水平出しが可能なため、現場の効率化が図られます。

また、自動計測で使用されることも多く、使用用途は種類によって異なります。

1. 回転レーザー

回転レーザーは機械の内部にある自動補正機構により、容易に水平出しが可能です。そのため、生コン打ち、床面の仕上げ、コンクリートブロックの積み出しなどに使用されます。

2. ローテーティングレーザー

ローテーティングレーザーは、回転レーザーに勾配設定機能が追加されているレーザーレベルです。水平基準面から1方向と2方向の勾配設定が可能で、レーザーが受信できる距離は広範囲であるため、大規模な工事で用いられています。

レーザーレベルの原理

そもそもレベルというのは、基準点に対して地面が水平になっているか、または基準点に対して高低差を確認する機器です。通常のレベルはレンズを覗いて、基準点を確認後、目標地点の水平や高低差を測ります。

レーザーレベルでは、覗く役割を赤外線レーザーを照射するので、少人数且つ、離れた目標地点でも受光器を使用することにより、スムーズに水平出しが行える仕組みになっています。

前述したローテーティングレーザーなど、勾配の設定が可能なものや建設機械のために作られたものも存在します。しかし、レーザーレベルは、厳密に言うとレベルの範疇には属しません。

公共測量には使えず、その他のレベルより精度がかなり落ちるためです。照射されたレーザーは機械から離れれば離れるほど、レーザーの幅が広くなっていってしまい、正確ではなくなってしまいます。この点がレーザーレベルの欠点です。

レーザーレベルの種類

レーザーレベルは大きく回転レーザーとローテーティングレーザーの2つに分類されます。その他、内装工事向けにレーザー墨出し器などもあります。

1. 回転レーザー

回転レーザーは、レーザーを360°照射するため、すべての方向が計測対象です 。スタッフに受光器をセットし用いることで、レーザーが当たっている場所を音で確認できます。

2. ローテーティングレーザー

ローテーティングレーザーは、回転レーザーの機能と勾配設定機能を持ちあわせているレーザーレベルです。造成や整地の水平・勾配設定から、重機に受光器を取り付けて乗ったまま使用することも可能です。受信距離も1,000mを越えている物もあり、建設現場や農耕地など広大な規模向けと言えます。

3. レーザー墨出し器

レーザー墨出し器は、複数のレーザー光を、壁面、天井、床面に照射して、基準線を照射するレーザーレベルのことです。オートレーザーやラインレーザーと呼ばれることもあり、空間全体をまとめて照射可能なことが特徴です。

光が点滅することもないため、屋内での使用に適しています。360°のレーザー照射はできませんが、リモコンを使用することで自動で照射方向を変えられるので、1人でも作業がスムーズに行えます。

しかし、この製品は屋内で使用する事を前提として作られています。精度を保つためには、40m程の距離までしか使用できません。

レーザーレベルのその他情報

レーザーレベルの校正

レーザーレベルなどの測定機器全般に言えることですが、使用しているうちに部品の劣化や運搬中の振動などにより誤差が生じてきます。そのため、「校正」と呼ばれる作業が必要になります。校正とは、実機と標準機で測定値を比べて、ズレがないかを確認することです。

校正により調整が必要となった場合、修理を行います。定期的に校正と修正を繰り返すと、測定機器の精度が一定に保たれ、高い技術力が確保できます。仕事の発注先やISO9001によっては、測定機器の校正記録を提出しなければなりません。

リース品であればリース会社は作成・保管をしてくれていますが、購入品の場合は、購入した企業で対応する必要があります。

参考文献
https://www.rentalsurvey.jp/topics-menu/topics-top01.html

自動ステージ

自動ステージとは

自動ステージとは、制御された自動送り装置によって任意の位置に位置決めができるステージのことです。

自動ステージは製品により、縦横斜めなどの多方向への調整可動が行えます。使用する際は、可動方向や調整幅 (精度) 、または手動での調整が必要かを考えます。Z軸の追加により三次元的な可動も可能となるため、自動ステージの用途は幅広いです。

自動ステージの使用用途

自動ステージは、調整や位置決めなどを目的として製造装置や電子顕微鏡などの様々な装置で使用され、各種装置の可動調整が必要な部分に取り付けられます。

また、自動ステージには自動送り装置が取り付けてあるので、自動的な調整が可能です。自動ステージの使用例として、以下の用途が挙げられます。

  • 製品検査用装置の調整や位置決め
  • 装置位置 (部組) のストローク調整用
  • カメラや顕微鏡等のストローク調整、位置決め
  • FA装置の搬送や位置決め
  • NC・CNC等のストロークが必要な加工機

自動ステージの原理

自動ステージの基本となる構成の1つとして、ガイド機構が挙げられます。また、自動送り装置も欠かせない要素です。

1. ガイド機構

アリ溝ガイド
台形状のアリ溝とアリ溝の収まるアリほぞを利用したガイド機構です。摩擦係数が高いため、精度の高い位置決めには不向きですが、コストは抑制できます。

V溝ガイド
ローラーが内蔵されるスライダーとV溝が形成されるレールを利用したガイド機構です。スライダーが移動するときに、V溝の側面に接触するローラーが転がります。剛性が高く、低摩擦で微小な送りが可能です。

リニアボールガイド
ボールが内蔵されるスライダーと円弧状のR溝が形成されるレールを利用したガイド機構です。スライダーが移動するときに、R溝に接触するボールが転がります。あらゆる方向の負荷に対して安定した負荷能力があり、正確な位置決めにも適しています。

2. 自動送り装置

自動送り装置は、送り機構とモーターを備えています。送り機構の種類は以下の通りです。

ラック&ピニオン
ラックギアが形成されるレールとピニオンと呼ばれる歯車を利用した送り機構です。素早くステージを送ることはできますが、高精度な位置決めには向いていません。

送りねじ
おねじとめねじを利用したねじ方式の送り機構です。例えば、ボールねじがこの送り機構に該当します。

ねじのピッチの分解能でステージを送れるため、細かな送りは可能です。一方で、送り速度が遅く、長いストロークの位置決めには向いていません。

なお、モーターとしては以下のものが挙げられます。

ステッピングモーター
永久磁石を持つローターとコイルを持つステータによって構成されています。コイルに電気を流してローターを回転させる構造です。

ACサーボモーター
ローターの回転角度を検知するエンコーダーを備えています。エンコーダーの検知結果に基づいてコイルに流れる電流を制御してトルクを制御できます。

自動ステージの種類

自動ステージには、直動ステージと回転ステージとゴニオステージがあります。

1. 直動ステージ

直動ステージは、水平方向や上下方向に直線移動するステージを持つステージです。1軸ステージとして、水平方向の1方向に移動を行うX軸ステージと上下方向に移動を行うZ軸ステージがあります。

また、左右方向の移動と前後方向の移動を行うXY軸ステージ (2軸ステージ) や、左右方向の移動と前後方向の移動に加えて上下方向の移動を行うXYZ軸ステージ (3軸ステージ) もあります。

2. 回転ステージ

回転ステージは、上下方向を回転の軸方向として回転するステージです。代表例として、ゴニオステージがあります。

ステージの垂直線上の一点を回転中心にして、ステージが円弧状に移動します。ステージの傾斜角度の調整が可能です。なお、ゴニオステージには、1軸ステージと2軸ステージがあります。

参考文献
https://jp.misumi-ec.com/tech-info/categories/machine_design/md05/d0039.html
https://jp.misumi-ec.com/maker/misumi/mech/product/xy/faq/faq01.html
https://www.marubun.co.jp/service/mps/a7ijkd000000l156.html
https://www.yaskawa.co.jp/product/mc/about-servo

サージアブソーバ

サージアブソーバとは

サージアブソーバとは、サージ電圧から機器を保護する装置を指します。サージ電圧とは急峻に立ち上がる高電圧で、落雷による雷サージ電圧などが代表例です。雷だけでなく、大電力の導通遮断の切替や、静電気によっても発生します。

サージ電圧が発生した回路に繋がる機器は、絶縁破壊を起こして破損する危険性があります。このサージ電圧(Surge Voltage)を吸収(Absorb)する装置をサージアブソーバと呼んでいます。つまり、瞬間的に発生する異常電圧から機器を保護するための装置です。

サージアブソーバの使用用途

サージアブソーバには、電力回路用と制御回路用の2種類があります。電力回路用のサージアブソーバは、避雷用と開閉サージ電圧吸収用に分類されます。避雷用としては電柱上などで使用され、落雷時に異常電圧を大地へ逃がします。この用途の場合、「サージアレスタ」とも呼ばれます。

開閉サージ電圧吸収用サージアブソーバは高圧盤内などに納められて使用されます。制御回路用のサージアブソーバは、LAN回路や電話線回路などに使用されます。主な目的は、OA機器や精密制御機器を落雷などから保護することです。OA機器の他には、電話機、FAX、モデム、テレビアンテナ、ディスプレイ、カーナビなどの保護に使用します。

サージアブソーバの原理

サージアブソーバは、サージ電圧を主回路から切り離す装置です。主に地絡によってサージ電圧を吸収するものと、抵抗によって吸収するものの2種類に分けられます。

地絡によるものは、半導体や放電管によって異常電圧のみ地絡させます。落雷が想定される装置などに用いられます。抵抗によって吸収するものは、コイルや抵抗を用いて異常電圧を吸収します。主に落雷以外のサージ電圧を吸収する目的で用いられます。

サージアブソーバの種類

サージアブソーバにはいくつか種類があります。種類によって、原理や特徴が異なります。

1. ZnO形サージアブソーバ

ZnO形は雷サージ用として多く使用され、最も一般的なサージアブソーバです。酸化亜鉛(ZnO)は半導体の一種で、高電圧に対しては抵抗が低くなる性質を持っています。

ZnOを介して回路を接地させると、異常時には大地へサージ電圧を逃がすことができます。小容量回路から大容量回路まで幅広く使用されます。

2. CR形サージアブソーバ

保護する回路に並列してコンデンサや抵抗器を取り付けます。コンデンサの作用によって異常高電圧時には抵抗器へ電流を流し、回路を保護します。主に小容量の回路に使用され、サージキラーと呼ばれることもあります。

3. ダイオード形サージアブソーバ

保護する回路に並列にダイオードを取り付け、ダイオードの整流作用でサージ電圧を吸収します。直流回路でのみ使用可能で、比較的小容量の回路に使用されます。

4. 放電管形サージアブソーバ

接地した放電管を回路へ組み込み、高電圧を大地へ逃がします。放電管内部には不活性ガスが封入されており、放電管内のギャップによって動作電圧を調整します。大容量の放電が可能な反面、動作速度が遅いデメリットがあります。

上記以外にも、サイリスタを用いて接地するサージアブソーバも存在します。サージアブソーバはサージが混入してきていない通常時は、回路上には存在しないデバイスとして振る舞います。サージが混入してきた場合には速やかにサージ電流を吸収して、回路を保護します。

ただし、実際にはサージアブソーバにはどうしても反応するまでの遅延が発生してしまいます。遅延時間が長いほど回路にダメージを与えてしまいます。ZnO形などの半導体を用いたサージアブソーバは遅延時間が短いという特徴があります。そのため、現在のサージアブソーバはZnO形が主流です。

現在の精密機器は高機能と小型化に伴いサージに対して弱くなってきています。サイリスタやZnO素子は静電容量も大きく、弱電回路の波形を歪ませる危険があるため、考慮して組み込む必要があります。

参考文献
https://cend.jp/emc_primer/product/absorber.html
https://www.mmc.co.jp/adv/dev/japan/document/surge_absober/surgeabsober04.html
https://www.mmc.co.jp/adv/dev/japan/contents/surge_ab/index.html
https://www.dempa.co.jp/productnews/trend/h030612_1/h0612_1.html
https://jp.rs-online.com/web/generalDisplay.html?id=ideas-and-advice/surge-absorber-guide