ハンディターミナル

ハンディターミナルとは

ハンディターミナル

ハンディターミナルとは、バーコードや2次元コードで記録されているデータの収集を手軽に行える携帯性に優れた端末です。

大型のものから小型のものまで選択可能で、バーコードや2次元コード以外に文字を読み取る文字認識機能が使える機種もあります。データ収集以外の機能として、データの送受信、データの蓄積、キー入力、画面表示などが提供されています。

また、利用される現場の環境に合わせて薬剤消毒が可能なメディカルタイプや防爆エリアに特化した防爆タイプ、冷凍倉庫向けの冷凍タイプなど、様々な種類があります。

ハンディターミナルの使用用途

ハンディターミナルは、データの収集を手軽に行える携帯端末として、以下の様な多様な業務用途で利用されます。

  • 運送業の集荷や荷物管理
    配達情報の送受信、顧客とのやり取り、ナビ、動態管理などをAndroid搭載したハンディターミナル1台で実行できます。
  • 物流業の入出荷管理
    大画面を利用した商品棚情報の表示や倉庫管理システムとの連携で業務効率化が可能です。
  • 製造業や医薬分野などの原材料や工程管理
    効率的で正確な入力によりリアルタイムの工程管理が実現できます。
  • 小売業や飲食業の注文管理や材料管理
    注文を厨房やバックオフィスとリアルタイムで共有し効率化と時短が可能です。
  • 水道、電気、ガスの検針作業
    作業の効率化と個人情報の管理を確実に行うことができます。

ハンディターミナルの原理

ハンディターミナルは、用途や活用シーンで求められる機能やスペックは大きく異なりますが、主にデータ読み取り、画面表示と操作、通信の機能で構成され、以下の原理が利用されます。

1. データ読み取り機能

データ読み取り機能は、商品に付いているバーコードやQRコードなどの二次元コード、文字などを、レーザーやLEDで照射することでバーコードを読み取り、一定の規則に従って数字や文字、記号に変換します。

2. 画面表示

画面表示には主に液晶ディスプレイが使われており、CPUの制御により文字やグラフ、画像などを表示します。

3. 操作機能

操作機能は、数量などを入力するキーボードやテンキーもしくは画面と一体化したタッチパネルを介して行います。入力された情報はCPUにより解読され文字や数字、記号として認識されます。

4. 通信機能

通信機能は、主に無線LANやBluetoothを介して行われます。インターネットや社内ネットワークを介してホストコンピューターや他の端末と接続され、読み取った日時や商品データなどが端末に保存されたのち、ホストコンピューターなどへリアルタイムに送受信されます。

ハンディターミナルの選び方

ハンディターミナルは様々なモデルがリリースされています。多くのモデルの中から適切な製品を選ぶにためは、業務内容、使用環境、費用の観点で選びます。

1. 業務内容

業務内容により必要なアプリが違ってきます。多くのハンディターミナルにはAndroid OSを搭載していますがOSのバージョンにより使えるアプリが違ってきます。必要とするアプリが提供されているかを確認します。

また、RFIDリーダやインカムに特化したPTTボタンが必要など特殊な要件も検討します。

2. 使用環境

使用する現場の環境によって、メディカルタイプや防爆タイプ、冷凍タイプなど特殊な環境条件を満足させるモデルが必要な場合があります。

3. 費用

予算や費用対効果から算出された費用も大切な検討項目です。ハンディターミナルの購入費用だけではなく、保守費用も考慮に入れて算出する必要があります。

ハンディターミナルのその他情報

ハンディターミナルとハンディスキャナの違い

ハンディターミナルはハンディスキャナに比べて高機能です。ハンディターミナルは汎用性が高く様々な応用範囲があることに対して、ハンディスキャナは単機能ですが価格が安いため、商品POSデータの読み取り、図書館貸し出しデータ読み取りなどで使用されています。

参考文献
https://www.giho.mitsubishielectric.co.jp/giho/pdf/2012/1207109.pdf
https://home.jeita.or.jp/cgi-bin/page/detail.cgi?n=66&ca=1
https://home.jeita.or.jp/upload_file/20130502153219_EqHr3LwJVP.pdf

プログラマブル表示器

プログラマブル表示器とはプログラマブル表示器

プログラマブル表示器 (英: programmable display) とは、コンピュータを内蔵してプログラムを導入できる表示・操作機器です。

その多くはタッチパネル状の製品です。表示や操作のみではなく、通信機能やロギング機能を有する製品も幅広く販売されています。

内部のプログラムは多くの場合、プログラマブル表示器メーカーが販売する専用ソフトを利用して開発します。

プログラマブル表示器の使用用途

プログラマブル表示器は、日常生活から産業分野まで幅広い用途で使用されます。以下はプログラマブル表示器の使用用途一例です。

  • 自動販売機
  • ガソリンスタンドの給油機
  • ATMなどの商用機器
  • 排ガス計測器
  • 工場自動化設備
  • 自動車やバスのカーナビゲーション
  • 船舶のナビゲーション装置

以前から使用される身近な用途として、ATMが挙げられます。タッチパネル上に押ボタンと案内を表示して操作を容易にしています。

産業用途では、プログラマブルコントローラ (PLC) などの制御機器と接続して機械装置の情報を表示して用いられます。必要に応じて操作を行えるのが一般的です。

プログラマブル表示器の原理

プログラマブル表示器は、主に表示機能、操作機能、内部制御機能で構成されます。

1. 表示機能

表示機能はディスプレイ上に画面を表示する機能です。機械装置の状態や操作方法の案内を表示します。機械装置の場合は、簡単な系統図と共にランプやメーターを表示して運転管理を補助します。

2. 操作機能

操作機能はタッチパネル上を指で押すことで操作できる機能です。ディスプレイに操作ボタンを表示するようにプログラムすると、必要に応じてボタン操作が可能となります。ボタンを押すとコンピュータが検知し、制御機器にフィードバックします。

3. 内部制御機能

内部制御機能は状態監視やロギングを実施する機能です。近年では、通信・ネットワーク機能を有する背品も販売されています。

プログラマブル表示器のその他情報

1. プログラマブル表示器の使い方

プログラマブル表示器のプログラミングには、メーカーが販売する表示器用編集ソフトウェアが必要です。編集する際にはソフトウェアの購入を検討します。

また、プログラマブル表示器は演算処理を行うCPUが別途存在する場合も多いです。CPUとプログラマブル表示器を繋ぐ信号ケーブルは国際規格である場合がほとんどです。国際規格のため、CPUとプログラマブル表示器をそれぞれ別メーカーの製品を使用可能な場合があります。

以下は使用される通信方式一例です。

RS232C
RS232C信号が最も古くから使用されるシリアル通信です。伝送可能距離は15m以内であり、比較的短距離の通信であると言えます。接続可能台数もCPUと表示器が1対1でのみ使用可能です。

RS422
RS422信号は最大1200mの伝送距離があり、RS232Cの上位互換となるシリアル通信です。ただし、接続可能台数はCPUや表示器が合計10台までです。

RS485
RS485信号はさらにRS422信号の上位互換となるシリアル通信です。伝送よりがそのままで接続可能台数がより多いというメリットがあります。

Ethernet
近年では、プログラマブル表示器の通信方式としてはEthernet (LAN) 通信が主流です。Ethernet通信はPCなどを有線でインターネットに接続する際にも使用される通信方法で、接続可能台数が実質無制限です。パソコンやインターネットとの直接常時接続も可能という利点があります。

ただし、LANケーブルの最大伝送可能距離が100mです。高層ビルなどでネットワークを構成する際は、HUBなどで中継する方法が用いられます。中継地点が設けにくい広い工場などではメディアコンバータを使用してLAN信号を光信号へと変換して伝送します。

2. プログラマブル表示器の英語表記

プログラマブル表示器を翻訳機に掛けると「Programmable display」ですが、英語の表現ではHMI (human machine interface) という呼び方が一般的です。

HMIの意味としては、「人間と機械の情報交換を行うための装置」であり、パソコンで言うマウスやキーボード、ディスプレイもHMIに含まれます。

参考文献
https://jp.idec.com/idec-jp/ja/JPY/c/Operator_Interfaces
https://www.fujielectric.co.jp/company/jihou_archives/pdf/80-05/FEJ-80-05-373-2007.pdf
https://www.contec.com/jp/support/basic-knowledge/daq-control/serial-communicatin/

アクチュエータ

アクチュエータとは

アクチュエータ

アクチュエータとは、入力される様々なエネルギーを物理的な動きへと変換する駆動装置のことをいいます。

アクチュエータに入力されるエネルギーには、電気のほか、空気圧や油圧、電磁石による磁力、蒸気や熱など、さまざまなものがあり、アクチュエータで変換したエネルギーを使うことで、物の移動に伴う動きを制御可能です。

アクチュエータの使用用途

アクチュエータは、伸縮・屈伸・旋回といった単純な運動の為の装置として、またモーターやエンジンのような動力を持続的に発生させるために、多様な用途で利用されます。

アクチュエータは入力されるエネルギーに応じて、一般に大きくは次の三つに区分されます。

アクチュエータの原理

アクチュエータは、主に以下の原理に大別可能です。

1. 電動アクチュエータ

電動アクチュエータはボールネジリニアガイドサーボモーター等で構成された駆動装置で、生産装置の搬送などを行います。

電動アクチュエータは、電気をエネルギーとして動作するサーボモーター、電磁石による磁力をエネルギーとして動作する電磁アクチュエータ、電圧をかけると変形するピエゾ素子を使ったピエゾアクチュエータなどが用いられます。

2. 油圧アクチュエータ

油圧アクチュエータは、パスカルの原理を利用した流体動力を利用するアクチュエータのため、小型であっても大きな動力を得られ、工場や建設機械など、大きな動力が必要な機器に用いられます。

3. 空気圧アクチュエータ

空気圧アクチュエータは、油圧が高負荷・高圧・重装備であるのに対し、動力源に空圧を利用するため、低負荷で火災の心配が少ない安全な方式として用いられます。

アクチュエータのその他情報

1. 油圧と電動のアクチュクエータの使い分け

アクチュエータの推進エネルギーとしてはパワー密度1k(W/kg)程度を境に、それ以上の高いパワー用途に油圧エネルギー制御を、低いパワー用途に電動エネルギー制御をといった使い分けが主にされてきています。

電動制御アクチュエータも、近年技術革新に伴いパワー向上が積極的に図られてはいますが、実際に大きくパワー向上しているのは小型から中型アクチュエータ用途のブラシレスDCモーターの分野であり、大型用途のACサーボモーターでは2000年代初頭からは、大きくパワー向上はしていません。

よって特に、10k(W/kg)といった大パワー密度の大きな動力を必要とする工場の工作機械や建設機械の分野においては、油圧アクチュエータの独壇場であり、ここの分野に電動制御のアクチュエータは使われていないのが実情です。しかしながら、油圧エネルギー制御は油交換やメンテナンスなどのランニングコストや環境問題配慮などの観点から、この分野においても可能であれば電動制御化が望まれているのも事実と言えます。

2. 油圧と電動制御のハイブリッド型アクチュクエータ

最近の技術動向の一つに、油圧と電動制御のハイブリッド型アクチュエータの開発が取り組まれています。油圧制御はパスカルの原理を利用した機構がこれまでは一般的でしたが、この場合の問題点は、作業油のサーボバルブの流量制御に伴う油の循環に配管設備が必要であり、装置が大掛かりになってしまうことと、機械の排熱温度上昇による作業油の劣化があり、定期的な油交換のためのメンテナンスコストがかかる点でした。

最新の油圧と電動制御のハイブリッド型アクチュエータにおいては、サーボバルブの流量制御ではなく、電動サーボモーターの駆動回転数により最終のアクチュエータ出力制御を可能とするため、大掛かりな配管が不要で、高効率な出力制御により作業油の温度上昇の抑制が可能です。よって油交換のメンテナンスコストも低減でき、環境問題への配慮にも適しているといえます。

 参考文献

https://www.jstage.jst.go.jp/article/jrsj1983/15/3/15_3_355/_pdf
https://www.nachi-fujikoshi.co.jp/tec/pdf/27D1.pdf
http://www.comp.tmu.ac.jp/prost/insider/mechatro/mechatronics7.pdf
https://www.jstage.jst.go.jp/article/kikaic/77/778/77_778_2412/_pdf

リードスイッチ

リードスイッチとは

リードスイッチ

リードスイッチとは、ガラス管内の磁化可能な2本のリードで電気接点を入切するスイッチです。

一般的なリードスイッチは、開路時はリード接点端部の小さな隙間で接点を開放します。2本のリード接点端部に外部磁界 (磁石など) を近づけると、リードの接点端部が互いに引き付け合い閉じることで閉路します。

リードスイッチの使用用途

リードスイッチは下記用途で利用されます。

  • 水道メーター、バイク・自転車のスピードメーターなどの回転検知
  • 白物家電の扉や蓋などの開閉検知
  • タンク液面レベルの液量検知
  • 油圧・空圧シリンダーの開閉検知

リードスイッチは磁石によってON-OFFするため、非接触で信を検知可能です。主に非接触で装置の状態を検知するために使用します。

リードスイッチの原理

リードスイッチの構成部品はガラス管、リード片、磁石、接点などです。

  1. 磁化されやすい2本の磁性体リード片を、一定の重なりと間隔をもたせて、ガラス管の中に封入します。
  2. 磁石などを近づけると、2本のリード片に付随する接点端部が互いに引き付け合って閉路します。
  3. 磁石を遠ざけると、リードのバネ力で接点が開放します。
  4. 接点は窒素とともにガラス管に封止され、外部環境と絶縁します。

接点部に汚れが付かないため、リードスイッチは接触抵抗が非常に小さいです。接点の材料は主に金属で、稼働距離も短いため、最大で数億回の開閉寿命があります。

リードスイッチのその他情報

1. リードスイッチの故障について

リードスイッチは可動箇所がある部品です。このため、故障する可能性はゼロではありません。主な故障としては、接点不良、接点の固着、予期しない誤動作などが考えられます。

接点不良
接点不良の要因は、経年による磁石の劣化や接点表面の化学変化による炭化が考えられます。接点表面の炭化は窒素雰囲気下では発生しにくいため、ガラス管が割れている可能性があります。

接点の固着
接点の固着原因は、ばねの劣化や過電流による接点の溶着が考えられます。ばねの劣化は主に経年によりますが、接点の溶着は電気回路側にも異常が考えられるため注意が必要です。

予期しない誤動作
予期しない誤動作は、上記2件のうち複数原因がランダムに重なり合って発生している事が考えられます。この場合、原因を特定することは非常に困難です。

リードスイッチは故障する可能性が比較的低い部品です。故障に対処するには、回路の冗長設計や誤動作防止の設計が肝要です。また、リードスイッチは安価なため、最初から一定周期で交換する前提で設計される場合もあります。

2. リードスイッチの注意点

リードスイッチは磁石の接近を感知します。ただし、スイッチが動作する動作領域が一様ではないため、チャタリングが発生する危険性があります。装置設計には、チャタリングを考慮した設計が必要です。

一方、リードスイッチの接点間距離は非常に少なく、接触圧も微少です。精密部品のため、定格電流値内での使用を厳守する必要があります。加えて、定格電流値内での使用であっても強い衝撃を加えることが無いように十分注意しましょう。

また、強い磁界下でリードスイッチを使用すると、誤作動が発生する場合があります。この様な環境下では、磁気シールドを施して外部磁力を遮断する必要があります。

参考文献
http://aitendo3.sakura.ne.jp/aitendo_data/product_img/parts/relay/reed_switch/RSW2X14/ORD228VL.pdf
https://ieeexplore.ieee.org/document/142891
http://www.suzushoweb.com/pdf_file/47edee2639842.pdf

マーキングプリンター

マーキングプリンターとは

マーキングプリンター (英: marking printer) とは、主に産業用で利用される印字やマーキング用のプリンターです。

ラベルプリンター、チューブプリンター、チューブマーカーなどとも呼ばれます。マーキングプリンターは、端子台、電線、電子機器などの識別のため、小さな文字を印刷するプリンタです。

電線にはチューブやラベルに、端子台や機器には記名板に、名称、番号、記号などの情報を印刷して識別できるようにします。なお、マーキングプリンターは、接触式や非接触式、インク式やレーザー式の印字方法に大別されます。

マーキングプリンターの使用用途

マーキングプリンターは、産業機器、電子機器などへの印字方法として、多様な用途で利用されます。

  • 配線やチューブのマーキングや印字
  • 賞味期限、ロット番号、製造所記号、バーコードなどの印字
  • 金属、樹脂、ゴム製品などへの印字

マーキングプリンターの原理

マーキングプリンターは、主に以下の原理が利用されます。印字や描画方法には、主に接触式や非接触式、インク式やレーザー式で構成されます。

1. インク式マーキング

インク式は、熱転写インクリボンのインクを用いた接触式の印字方法と、液状インクを用いたコンティニュアス型、オンデマンド型の非接触式印字方法に大別されます。インクジェット方式です。

2. コンティニュアス型マーキング

ノズルから連続的に吐出したインク粒を印字のドット位置情報に対応した電圧に帯電させ、偏向電極で印字物に吹き付ける非接触式の印字方法が用いられます。主に食品パッケージに使用されます。

3. オンデマンド型マーキング

印字に必要な量のインクに圧力を加え、吐出する非接触式の印字方法が用いられます。圧電式や瞬時加熱方式で1滴ずつインクを飛ばして印字します。高速で距離を離して印字できるので、主に製造ラインなどで使われます。

4. レーザー式マーキング

レーザー式は、レーザー光を照射して対象物表面の溶化、剥離、酸化、変色、焦がす、削る方法により、消えない印字方法を選ぶことができます。

マーキングプリンターの種類

1. マーキングによる分類

マーキングの種類は、大きく分けると、接触式と非接触式があります。

接触式
接触式マーキングは、手書き、スタンプ、ラベル、刻印などです。手書きはペンなどで人が直接書きます。安価な方法で、少量生産に向いています。

スタンプはインクの量を最適に保たないと、インクだれや反対に文字のかすれになります。手押しと機械押しがあり、曲面や凹凸面は困難です。

ラベルはきれいな文字の印刷が可能ですが、工数がかかります。製品に貼り付けますが、はがれが問題になります。刻印は製品にくぼみをつけるため、消えないのが特徴です。

非接触式
非接触式マーキングは、インクジェット、レーザーなどの方法があります。インクジェット法は、インクを非接触で飛ばして印字します。曲面、柔らかい面、繊維質の面などにも対応しています。高速で移動する物体に印字できるので、搬送中の製品に印字が可能です。

レーザー法は、レーザーをXY方向のミラーでスキャンすることにより、文字を書きます。インクなどの消耗品が不要なこと、メンテナンスが楽なことなどの大きなメリットがあります。また、文字の変更や日付の変更が容易に可能です。

2. マーキングプリンターによる分類

マーキングプリンターは、多くの種類が使われています。

産業用インクジェットプリンター
非接触式プリンターの代表です。粒状のインクを吹き付けて、賞味期限、ロット番号、製造所の記号などをドット文字で印字します。紙、ガラス、プラスチック、金属、あらゆる物質に印字が可能です。

産業用サーマル式プリンター
熱電式のプリンターです。紙箱や段ボール箱、プラスチック製包装材などに、賞味期限、ロット番号、バーコードなどを印字します。

ピエゾ式プリンター
浸透性がある紙箱や段ボール箱に、品名、日付、ロゴ、バーコードなどを大きな文字で印字します。

レーザープリンター
レーザーを使用して印字するプリンターです。PETへの印字、包装フィルムへの印字、プリント基板への印字、DVDへの印字、金属キャップへの印字などの事例があります。

接触回転式プリンター
ゴム印と段ボールとの摩擦で駆動するプリンターです。安価であり、半永久印字が可能です。

熱転写プリンター
カード形状またはロール形状の製品に対応する熱転写プリンターです。

ケーブルIDプリンター
チューブの表面や記名板にIDを印字する熱転写プリンターです。

参考文献
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jsaem/22/4/22_469/_pdf
https://library.hitachi-ies.co.jp/assets/pdf/AA-505.pdf

電動アクチュエータ

電動アクチュエータとは電動アクチュエータ

電動アクチュエータとは、モータによってシリンダやスライダーを駆動する駆動装置です。

駆動源にモーターが用いるため、空圧式や油圧式に比べて高い応答性や効率性が得られます。

電動アクチュエータの使用用途

電動アクチュエータは主に産業機器に使用されます。用途は動作プラットフォームの精密な位置決めなど多様です。以下に使用用途を列挙します。

  • ワークの移動や搬送など、載せて運ぶ用途。
  • ワークの取り出しや収納など、押して運ぶ用途。
  • テーブルの位置決めやアーム駆動など、載せて回す用途。

生産工場自動化の際などに使用されます。内蔵するサーボモーターで精密動作するため、小型部品の加工に使用される場合が多いです。

近年は電動自動車の拡販に伴い、車載用の電動アクチュエータが拡販しつつあります。

電動アクチュエータの原理

電動アクチュエータを構成する主要部品はモーター、ボールネジ、ガイドです。

モーターとボールネジはギヤやベルトで連結され、モーターの回転運動をボールネジで直線運動に変換します。モーターの回転数を制御して、直線運動の位置制御ができます。

駆動源のモーターにはサーボモーターステッピングモーターが使用される場合が多く、精密な位置決めが可能です。

電動アクチュエータのその他情報

1. 自動車分野での利用

近年、自動車分野において自動運転化や脱炭素・クリーンエネルギー化が求められています。そのため、多くの企業で汎用性の高い電動アクチュエータを開発中です。

電動アクチュエータは、クラッチやシフト、ブレーキ、レバー、電動ポンプ、エンジン用の電動バルブや電動スロットルに使用されます。

モーターの軸配置 (同軸直列タイプや平行軸タイプなど) や大きさを選定できます。これにより、車種ごとのカスタム開発費用を削減することが可能です。

2. 電動アクチュエータのシェア

世界の電動アクチュエータの市場規模は、2020年から2024年の間に8億4,386万$の成長が見込まれます。以下が市場規模拡大の背景です。

  • ロボットの普及における電動アクチュエータの使用の増加
  • スマートアクチュエータの需要拡大
  • 民間用・防衛用航空機の需要拡大
  • 発展途上国での自動化需要拡大
  • ロボットを活用した柔軟な生産システムのニーズの拡大

AIなどの新しい技術が開発されていくことで、市場は拡大していくとみられています。

3. 電動アクチュエータの制御

電動アクチュエータは産業用ロボットなどに組み込まれています。

産業用ロボットに組み込まれる電動アクチュエータは、一般的にロボットに付随したティーチングボックスから簡単に操作が可能です。

ティーチングボックスから任意の指示を送り、ロボットを制御することができます。これによってタクトタイムの短縮が期待できます。

ティーチングボックスでは、ロボット用のプログラミング言語で電動アクチュエータを制御します。
プログラムによってロボット本体と電動アクチュエータを同時に制御できるため、機器間の制御誤差を無くし、制御精度を向上させることが可能です。

 参考文献
https://www.jstage.jst.go.jp/article/kikaic/77/778/77_778_2412/_pdf
http://www.comp.tmu.ac.jp/prost/insider/mechatro/mechatronics7.pdf
https://www.nikkan.co.jp/articles/view/00386754?isReadConfirmed=true
http://dl.mitsubishielectric.co.jp/dl/fa/document/catalog/robot/l-09072/l09072a.pdf
https://engineer.fabcross.jp/archeive/160524_ntn.html

回転計

回転計とは

回転計(英語:revolution indicator,tachometer)とは、回転運動をする物体の回転数や回転速度を測定する計測器です。回転の速さは本来、角速度として表現される量ですが、工業的には一定時間内の回転数、たとえば毎分回転数(rpm)などで表されることが多いため、回転の速さを測定する計器を一般的に回転計と呼んでいます。

回転計には、回転体に接触して測るタイプと非接触で測るタイプがあります。接触式は回転物に接触子を直接押し当てるため、手早く計測できます。非接触式は反射マークを回転物に貼るか、センサー類をを取り付けることで測定します。高速回転体や高温物体でも計測可能です。

回転計は、主に回転機器のメインテナンス、エンジン、電動機、発電機、タービンなどの回転速度の測定に使用されます。

回転計の使用用途

回転計は、回転物の回転数や回転速度を接触式或は非接触式の方法で測定する場合に使われます。具体的には、エンジンなどの内燃機関・モーター・タービン発電機・冷凍機など、広範囲の産業用製品です。身近な例では、自動車の計器盤にエンジン回転数が表示されています。

回転計の原理

回転計は機械式と電子式に大別されます。機械式は古くから使われており、回転の数を数えるための十進歯車機構と、それを一定時間作動させるための計時機構とを組み合わせたもので、ハスラー型回転計が代表的です。一定時間に回転した数を測定します。

接触式の回転計は、主に永久磁石、検出コイル、磁気回路で構成されます。回転による磁束変化に比例した誘起電圧をコイルで検出します。この電圧を変換して、回転の出力信号に用います。回転の速さの瞬時値すなわち角速度を連続的に測定・指示する計器には、角速度をこれに比例した他の扱いやすい物理量、たとえば遠心力、流体の粘性力、電磁誘導による起電力などに変換して測定します。

非接触の回転計は、多くの方式があります。反射マーク方式は回転体の反射テープからの反射光をカウントし、磁力方式は回転体の磁石からの磁界の変化を検出します。そして、センサー方式は、回転体に取り付けたセンサーからの信号をカウントします。センサーには、光学式・磁気式・電磁誘導式などの種類があります。

回転計の種類と測定法

回転計は、接触式・非接触式・両用タイプ・センサー式などに分類されます。

1.  接触式回転計

機械式は、回転軸の中心に押し付けて使用します。歯車を使って、ある特定の時間に回転した数をカウントします。押し釦を押すと通常3秒間で、回転数がrpm表示されます。電子式には、各種のタイプがあります。ハンディタイプの回転計を回転軸の中心に押し付けると、rpmが直読できます。

周速リングを回転計に取り付けて、回転軸の円周方向表面に押し付けると、周速度が測定できます。接触式回転計で高速回転する機器を測定するのは、危険を伴います。低速用として使う方が安心です。

2. 非接触式回転計

非接触式回転計には、反射マーク方式、磁力方式、センサー方式など多種の方式があります。表示方式はアナログ式とデジタル式があります。通常はアナログ出力とデジタル出力が両方装備されます。いずれの方式も、検出した回転信号は、増幅後直流電圧に変換して回転の出力信号に使います。

反射マーク方式は、回転軸の外周面に反射テープを貼り、回転計から赤色可視光やLEDを出して反射マークで反射する光をカウントします。そして回転数に換算・表示します。反射テープの数により、測定レンジが変わります。検出距離は20~300mm程度です。磁力方式は、回転軸を着磁して、磁束変化を検出する回転計です。

3. 接触・非接触両用式回転計

ハンディタイプの非接触回転計の頭部に、接触アダプターと回転接触子を取り付けると、接触式回転計になるタイプです。

4. センサー方式回転計

回転軸にセンサー類を取り付けてカウントする方式です。光学式・磁気式・電磁誘導式などがあります。ほとんどが非接触式です。

光学式
スリット入り円盤を回転体に装備し、光を入射してスリットを通過する数をカウントする方式です。応答が速い特性があります。

磁気式
モーターに磁石を装着し、回転による磁界の変化を検出する方式です。磁気式は水や油など汚れに強い特徴があります。工業用ミシンや工作機械など、汚れやすい環境下でも使用できます。

電磁誘導式
センサーのコイルが、回転体に設けた突起などが通過するときの磁界の変化を検出する方法です。高速回転の測定に適しています。自動車のABSシステムなどに使われます。回転センサーなどを特別に装着しないで、振動や騒音を検知することにより、回転数を推定計測するFFT演算式の回転計が出現しています。

参考文献

https://www.jemima.or.jp/tech/4-01-01.html

https://www.jstage.jst.go.jp/article/jime1966/16/4/16_4_363/_pdf

UV照射器

UV照射器とは

UV照射器

UV照射器とは、光源にUV光源を利用し、紫外線を照射するための機器です。

UVの照射範囲により「スポット型」「ライン型」「エリア型」の3種類があります。また、UV光源の種類によりランプ光源とLED光源に分けられます。UV照射時には、装置の周りの温度が高温となるため、機器の冷却が必要です。そのため、UV照射器は、水冷型や空冷型の冷却装置とセットとなっています。

また、UV照射光を利用しやすくするため、レンズやミラー、フィルターなどの光学機器とセットになっているものもあります。UV照射時には、UVは有機物を分解できるほどエネルギーが高いため、直接目で見てはいけません。また、オゾンが発生するため、換気をするなどの取り扱いに注意が必要です。

UV照射器の使用用途

UV照射器は、紫外線の持つ高いフォトンエネルギーを利用して、さまざまな分野で使用されています。具体的には、レジンなどの硬化・乾燥、微生物の殺菌、有機物の除去、オゾン脱臭などです。

UV照射器にはさまざまなタイプがあり、利用用途により使い分けられます。スポット型のUV照射器は狭い範囲の照射に適し、ライン型・エリア型のUV光源は木版やプラスチック版などの広い面積を持つ物質の照射に適しています。

UV照射器の原理

UV照射器は、UV光源によって発生した紫外線を照射する機器です。UV光源は電極に挟まれたガラス管の中に水銀と希ガスが気体として閉じ込められた構造をしています。放電時に発生する紫外線を利用する仕組みです。

電極に通電することでガラス管内に熱が発生します。エミッタ (電子放射物質) が熱の作用で抱えていた電子を放ち、電子はガラス管に沿って移動します。水銀分子と電子がぶつかることで紫外線を発光させることが可能です。

ガラスと蛍光塗料の作用によりUVが特定の波長を持ちます。石英ガラスと合成石英ガラスがガラスの材料として用いられますが、高圧水銀ランプメタルハライドランプでは前者、低圧水銀ランプでは後者を用います。

UV照射器のその他情報

1. UV照射器の波長について

UV照射器は、紫外線波長を利用した製品であり、紫外線波長とは電波や太陽光線と同様の電磁波の1種であるXの波長 (1pmから10pm) と人間の目で認識できる電磁波の1種である可視光 (380nmから770nm) までの中間にある電磁波の1種のことを表します。

紫外線の波長は、おおよその波長の長さによって大きく3つに分けられています。UV-Aは波長の長さが315nmから400nmの範囲で、UV-Bは波長の長さが280nmから315nm、UV-Cは100nmから280nmの範囲です。UV-Cでの波長をV-UV (200nm以下) と呼ばれている真空紫外線と区別する場合もあります。

UV照射器は、照射をおこなう用途や目的によって照射する波長を選択できるため、波長の長さによって使用する手段を選択することが重要になってきます。

2. UV照射器での殺菌について

UV照射器での殺菌は、紫外線に含まれているUV-Cの波長の範囲を使用します。殺菌照射に使用する照射器にもよりますが、具体的な作用は自然に存在するUV-Cの電磁波にはオゾンを生成したり、殺菌や脱臭、空気を清浄したりすることです。

殺菌で使用される波長を菌やウイルスに対して照射すると細胞のデオキシリボ核酸 (DNA) が光化学反応を起こし、遺伝子情報が分解され死滅すると考えられています。そして、この効果は多くの菌やウイルスに対して有効的です。この紫外線によるDNA分解反応は、人体でも起きていますが、ある程度であればその分解したDNAを修復する機構があるため、問題になりません。

これらのことから、UV照射器による殺菌は、薬液での殺菌ができない箇所や医療現場などに使用可能です。通常は、光殺菌での光源として低圧水銀ランプや高圧水銀ランプが導入されています。近年では、製薬工程や食品分野でも応用されパルスドキセノン殺菌という方法が用いられています。これは殺菌能力の高いキセノンランプをパルス発光させることで、従来の水銀ランプなどの殺菌方法よりも格段に効果を発揮するため、昨今では注目されている技術です。

参考文献
https://www.uv-asumi.com/uv-irradiation/
https://www.klv.co.jp/technology/uv-irradiation-device.html
https://www3.panasonic.biz/ac/j/fasys/uv/index.jsp
https://www.m-n-w.com/uv-hachou.html
http://www.jatec.jp/uvlamp.html

産業用インクジェットプリンター

産業用インクジェットプリンターとは

産業用インクジェットプリンター

産業用インクジェットプリンターとは、基本的には民生用のインクジェットプリンターと同様の原理で動作し、ドット状のインクを滴下することで印刷を行う装置のことです。

産業用インクジェットプリンターと民生品との違いは、使用用途にあります。民生品では文字や写真などを紙に印刷するのに対し、産業用のプリンターではバーコード・期限などの製品情報をパッケージに印刷したり、紙以外の材質にも印刷したりすることが可能です。

その他、産業用インクジェットプリンターにはCDや瓶などの表面にデザインを施すことができる製品もあります。

産業用インクジェットプリンターの使用用途

産業用インクジェットプリンターは、ポスター、看板などを製作する印刷業や、食品、医薬品、産業用製品などを製造する製造業などで使用されています。また、衣服の製造時に印刷を行うアパレル業界などでも有用です。

民生用のインクジェットプリンターでは印刷できない材質の記録媒体に対して、印刷を行えるのが特徴です。例えば、ガラス、樹脂、ゴム、金属、厚紙、木材、布などの記録媒体に印刷を行うことが可能です。

電子部品のような小型の記録媒体から看板のような大型の記録媒体まで、様々な大きさの記録媒体に印刷を行うことができます。曲面を有する立体的な記録媒体や表面に凹凸のある記録媒体などにも使用可能です。

産業用インクジェットプリンターの原理

産業用インクジェットプリンターはドロップオンデマンド   (DOD) メソッドとコンティニュアス (CIJ) メソッドに分けられます。

1. DODメソッド

DODメソッドとは、必要なときに必要な量のインクを吐出させて印刷を行う方式のことです。複数ノズルから不揮発性インクを吐出させます。DODメソッドはピエゾメソッドとサーマルメソッド、加えて電磁バルブメソッドに分けられます。

ピエゾメソッド
ピエゾメソッドでは、ノズルに設置されたピエゾ (圧電) 素子の電歪現象を利用することでインクを滴下させます。ピエゾメソッドのメリットとして、ピエゾ素子の電圧制御によりインクの吐出量を精度良く制御できる点や、熱をかけないためヘッドの耐久性が高い点が挙げられます。

一方、デメリットはノズル毎にピエゾ素子が必要なためヘッドの構造が複雑になりやすい点や、気泡が混入するとノズルが詰りやすい点です。

サーマルメソッド
サーマルメソッドでは、インクを加熱することで気泡を発生させてインクを押し出して滴下させます。サーマルメソッドのメリットとして、構造が簡単で小型化しやすい点や、印刷解像度を上げやすい点が挙げられます。

一方、デメリットはインクの熱劣化が発生しやすい点、熱の影響でヘッド寿命が短い点、インクの乾燥によってノズルが詰りやすい点です。

電磁バルブメソッド
電磁バルブメソッドでは、ポンプなどでインクに圧力を加えた状態で電磁弁を瞬間的に開放し、インクを滴下させます。電磁バルブメソッドのメリットとして、加圧によってインクを遠くまで飛ばせる点が挙げられます。

一方、デメリットはインク粒が大きくなって印刷品質が荒くなりやすい点です。

2. CIJメソッド

CIJメソッドとは、加圧されたインクをプリンター内で循環させながら、適切なタイミングでノズルから吐出させて印刷を行う方式のことです。単一ノズルから揮発性インクを吐出させます。CIJメソッドではインクが常に循環されるため、乾燥性に優れた揮発性インクを使用できます。

産業用インクジェットプリンターの構造

1. DODメソッド

インクを吐出するヘッドとヘッドが搭載されるキャリッジ、キャリッジを主走査方向に移動させる機構、記録媒体を副走査方向に移動させる機構を備えているプリンターが主流となっています。印刷時には、主走査方向へのキャリッジの移動と副走査方向への記録媒体の移動を交互に行います。

2. CIJメソッド

記録媒体の搬送装置に固定されるヘッドを備えています。搬送装置で搬送される記録媒体に印刷を行います。

参考文献
https://www.hitachi-ies.co.jp/products/marking/ijp/zenpan/genri.html
http://www.npt-print.co.jp/product/ijp/ijp.html
https://www.edm-net.co.jp/products/ijp/

電界強度計

電界強度計とは電界強度計

電界強度計 (英:field intensity meter) とは、電界の強さを測定する計器です。

主にラジオやテレビなどが受信する電波強度の測定や、電子機器が発生する電波の測定に使用されます。近年、電波を発する電子機器が多く利用されるようになっています。

電子機器同士の電波干渉や、電波の人体に対する影響のリスクが増加しているため、正確に電界強度を測定可能な電界強度計の必要性も高いです。

電界強度計の使用用途

電界強度計は電波の強度を測定することが可能なため、電波を受信する機器の設置場所の調査や、電波を出力する機器の安全性の検査などの場合に使用されています。

電波を受信する機器の設置場所の調査では、テレビ放送を受信するためのアンテナを設置するための調査、及びテレビ放送の受信障害が発生している場合の調査に有用です。最近は、WiFi電波の強度の測定が増加しています。

電波を出力する機器の安全性の検査では、電波を発生する機器の電波干渉や、電磁界の生体安全性に対する防御指針・電波の人体に対する影響のリスクを軽減するための検査に利用されます。

電界強度計の原理

電波の強さを測定する方法は、利得が分かっているアンテナに誘起された電圧を、電界強度計で測定することが一般的です。測定した値は、アンテナの実効長が1mのアンテナに換算し、単位を[dBμV/m]で表します。

1. 空間の電波強度

電界強度計では用途によって測定方法に差があります。単に空間内の電波強度を測定するには、被測定機器に電界プローブを向け測定します。電界プローブは、EO変調素子 (電気光学変調素子) を使用して電波の強度を検出するのが一般的です。

電界が存在しない状態では、電界プローブに設けられた光源から入力された光は、光ファーバーを通過し、EO結晶で反射されます。そして、他の光ファイバーを通過し出力されます。

電荷が存在する場合、EO結晶は光の屈折率を変化させるので、出力される光は、入力された光とは異なる屈折率です。変調された光を、光検出器により強度情報に変換することで、電界強度計は電界の強さを測定します。

2. 人体の電波吸収

人体の電波吸収効率などを調べるには、被測定機器と電界プローブの間にファントムと呼ばれる装置を挟みこむ必要があります。

ファントムは、人体と等しい電気特性を持ちます。電界強度計の電界プローブは、光ファイバーとEO結晶、それを覆うガラス管から構成されます。EO結晶は、存在する電界により光の屈折率が変化するEO効果を有し、変調信号を検出するのは、光検出器です。

電界強度計のその他情報

1. 電界強度計キット

市販の安価な組み立てキットによる電界強度計と、メーカから販売されているものとの大きな違いは、性能や利便性、汎用性の大きな差です。例えば、廉価なキットの場合、表示はアナログの指針計です。

一方、メーカー品の電界強度計は、表示がカラー液晶であったり、得られたデータをメモリー保存出来たり、他の機器と通信接続が可能だったりします。したがって、どちらかと言えば電界強度計キットは、教育用や一時的に使用するものであると言えます。

2. 電界強度計アプリ

最近ではWiFi信号の強度が、電界強度計アプリによって測定が可能になっています。ただし、その設定には少々注意が必要です。ワイヤレスネットワークを設定すると、殆ど網羅率は変わりません。

しかし、例えば家具や壁などを信号が通過する際に信号は弱められます。そのため、近場の他のワイヤレスネットによって引き起こされる干渉も同様です。WiFiはソースになるルータから遠ざかるにつれて徐々に弱くなります。

ユーザーが強力な信号を得られれば、速いページ読み込みが可能となり、瞬速ダウンロードが出来ます。必要な所でルータが強い信号を発信するには、ルータの適所を選んで、ベストな結果となる設定が大切です。

最近はルーター無線範囲の視覚地図を表示し、他のWiFiネットワークに関する情報やWiFi信号の電界強度を示すアプリがあります。無線ネットワークの信号強度を便利なヒートマップとして視覚化して、ルータ設置場所の決定を支援するものです。

参考文献
https://www.ntt.co.jp/journal/0606/files/jn200606021.pdf
https://www.leader.co.jp/recruit/company/product/
https://www.netspotapp.com/jp/best-apps-to-measure-wifi-signal-strength-windows.html
http://www10.plala.or.jp/suzulan/field_intensity_meter.htm</a