アナライザとは
アナライザとは、入力された信号や試料やデータなどを分析、解析するための装置またはソフトウェアです。
日本語では「分析器」と訳されます。幅広い業種で使われる言葉で医薬品、金融・情報アナリストなど分析を行う人を指すこともありますが、電気工学で使われる場合には分析器のことを指します。 良く間違えられやすいものに測定器がありますが、分析器とは異なります。
アナライザの種類
アナライザには下記のように様々な種類が存在します。
1. スペクトラムアナライザ
高周波信号の周波数成分を分析するアナライザです。
目では見えない電波の状況を分析することができます。周波数ごとの成分の大きさで分析結果が表示されます。携帯の基地局などの電波施設の点検に使われる測定器で、持ち出して現場で使用するケースも多いです。スペアナと略して使用されることが多く、無線業界で働く人にとっては基本となる分析器です。
分析画面の横軸には周波数 (単位はHz) 、縦軸には振幅(単位はdB)が表示され、非常に微弱な信号から、強力な信号まで測定ができます。
2. ネットワークアナライザ
電子部品の特性を分析します。電子部品を4端子回路網としてモデル化して分析します。
入力と出力でのそれぞれの電流・電圧などを測定して伝達特性 (Sパラメータ) を求めます。周波数ごとのゲイン大きさや周波数ごとの位相などを分析結果として出力します。表示の形式としてはグラフやスミスチャートなどが用いられます。
電子回路の入力信号の減衰やインピーダンスを測定することが可能です。 高周波を扱う回路網において、各デバイスやケーブル間に発生するインピーダンスの不一致は電力ロスや信号歪の原因になるためアナライザで分析します。
3. 半導体パラメータアナライザ
ソースメジャーと呼ばれることもあります。
トランジスタなどの半導体の入出力特性を分析します。入力する電圧や電流を変化させた際の、出力される電流や電圧、抵抗の変化をグラフに表示します。
このグラフは一般的に曲線になるので、カーブトレーサと呼ばれることもあります。
4. パワーアナライザ
交流電源に含まれる高調波、瞬断、過電圧などの変動を分析します。電力の計測および波形表示機能、高調波解析 (FFT) などの機能があります。
スマートグリッド (再生可能エネルギー) や自動車の電気駆動用インバータなどの測定で使用されます。
5. FFTアナライザ
FFTアナライザは、低周波信号を分析します。
振動・音響解析はじめとして幅広い用途で使用されているアナライザです。2CHモデルは伝達特性の解析に使用されます。
自動車や航空機の開発において活用されています。分析結果は周波数ごとの成分の大きさや周波数ごとの位相をグラフで表示します。「FFT」とはフーリエ変換をデジタルに行う方法で、特徴は高速で演算処理が可能な点です。
FFT分析器は広い分類分けではスペクトラムアナライザに含まれますが、FFTアナライザは上限周波数が100kHzと低い領域で使われます。
6. ロジックアナライザ
CPUなどの論理回路に流れる信号を測定し、測定した信号電圧から論理値 (0と1の二進論理) を分析します。
測定方法はタイミング測定とステート測定の2種類の方法があります。測定チャネルが多く、同時に高速なデジタル信号を測定することが可能です。 最近ではデジタルシステムのICチップ化が進み、デジタル信号の数自体が減少していて、ロジックアナライザが使用される頻度は減少しています。
7. プロトコルアナライザ
デジタル通信やデジタルインターフェースで扱われる信号を分析します。専用のハードウェア製品に加え、PC上で動作するソフトウェアも含まれます。ソフトウェアツールにはLANアナライザ、パケットアナライザなどがあります。
電気・電子・通信の分野のアナライザを主に紹介しましたが、これらの他にも化学・生物・医療などの分野のアナライザもあります。