フィルム加工

フィルム加工とは

フィルム加工

フィルム加工とは、プラスチックなどの樹脂素材をうすく成形し、皮膜などを付加することで、フィルムの強度を向上させる方法を指します。

また、フィルム加工には、さまざまな加工方法がありますが、この記事では基本的な成形加工方法について解説します。

フィルムの成形加工法

フィルムの成形加工方法には、主として、溶融押出成形法や溶液キャスティング成形法、カレンダー成形法などがあります。それぞれについては、下記の通りです。

1. 溶融押出成形法

溶融押出成形法は、皮膜を形成する方法として、Tダイ法やインフレーション法があり、熱可塑性ポリマーを溶かすことにより、ダイスリットから押し出す加工方式です。

2. 溶液キャスティング成形法

溶液キャスティング成形法は、溶媒にポリマーを溶かした後にダイスリットから押し出す加工方式です。

3. カレンダー成形法

カレンダー成形法は、ポリマーなどの樹脂を加熱したローラーのあいだに通過させることで、うすく伸ばし、成形する加工方式です。

フィルムの延伸方式について

フィルムの製造工程では、フィルムを延伸することで、フィルムの特性を変化させるため、とても重要な工程です。フィルムの延伸方式には、主にフラット法延伸とチューブラ法延伸の2種類があり、フラット法延伸については、一軸延伸や二軸延伸に枝分かれしていきます。

フラット法延伸

通常、フラット法延伸によるフィルム加工では、熱可塑性樹脂に熱を加えて溶かすことで延伸し、フィルムの分子を一定方向にそろえます。加工前は、樹脂内の分子が不規則につらなっており、無配向の特性ですが、配向性をもたせることでフィルムの特性が向上します。

一軸延伸

一軸延伸は、樹脂の分子を一定の方向にそろえて配向し、配向させた向きの特性を向上させる加工方式です。一般的には、一軸延伸によるフィルムの延伸方式として、湿式延伸法(水槽延伸法)と乾式延伸法の2種類に分類されます。

湿式延伸法は、水槽内の水を加熱し、投入したフィルムに熱を加えて延伸する方法です。この方法では、フィルム全体に等しく熱が加えられますが、水を加熱しているため、温度制限があり、延伸が難しくなる場合があります。そのため、高温で延伸する際には、添加剤などを投入し、問題の解決を試みます。

二軸延伸

昨今、販売されているフィルムの多くは、この方式によって製造されており、フラット法逐次二軸延伸やチューブラ法延伸によって加工が行われています。一部においては、フラット法同時二軸延伸が活用され、二軸延伸により製造されたフィルムは、一軸延伸フィルムよりも多くの特徴を有しています。

逐次二軸延伸

フラット法逐次延伸は、フィルムを縦方向と横方向に延伸する加工方式です。一般に延伸方式として複数のロールを使用しており、二段のものを縦横延伸型もしくは横縦延伸型と呼び、多段のものを多段型やポスト式と呼びます。

同時二軸延伸

フラット法同時二軸延伸は、逐次二軸延伸と同様に縦と横方向に延伸することで、フィルムを延伸しますが、高速でフィルムを成形するには、逐次二軸延伸が優位です。しかし、同時二軸延伸は、縦と横の延伸を同時に行うため、少ないエネルギーで成形を行うことができます。

そのほかの加工法について

そのほかの加工法には、チューブラ法延伸があり、この方式には、静圧法や流動圧法、オクトパス型、馬蹄型などの延伸法があります。

フィルムコーティング

フィルムコーティングとは

フィルムコーティング

フィルムコーティングは、プラスチックフィルムなどの合成樹脂をうすく成形した後にフィルムの表面に保護被膜を形成する加工方法です。

このようなフィルムは、機能性フィルムと呼ばれており、通常のフィルムよりも耐候性や防汚性などの機能が向上しています。

フィルムコーティングの種類

フィルムコーティングは、目的に応じてコーティングの種類が異なるため、求める性能に合わせて適切なコーティング方式を選択することが大切です。フィルムコーティングの種類には、大別して4つの種類があり、塗工の形式によって分類することができます。

1. 水溶性塗工

水溶性塗工は、水を媒体にした溶液を塗布後、溶液を乾燥させることにより、保護被膜を形成する塗工方法です。溶液に混合される樹脂には、一般的にポリビニルアルコールポリ酢酸ビニルポリ塩化ビニル、塩化ビニリデン共重合体、シリコン樹脂、ゴムラテックスなどがあります。

2. 溶剤系塗工

溶剤系塗工は、有機溶剤に塗工剤を溶かし、塗布する方法です。水溶性塗工と比較して保護被膜が形成されるまでに時間を要しません。ただし、引火性のある溶剤を使用するため、取り扱いには注意が必要です。

3. 熱溶融系塗工

熱溶融系塗工は、ワックスや樹脂などを加熱して溶かし、溶かしたものを塗布後、冷やすことにより、保護皮膜を安定して形成する方法です。塗工剤として使用される材料には、パラフィンワックスやゴムコンパウンド、ポリエチレン、ビニル、エチレンなどがあります。

4. 押出式塗工

押出式塗工は、溶かした樹脂を塗布し、ダイと呼ばれる金型に押し当ててコーティングします。その後、冷却しながら圧着することで保護皮膜を形成する塗工方法です。一般的には、ポリエチレンラミネートによく使用されています。

フィルムコーティング機の原理

フィルムコーティング機は、主にくり出し装置と塗工装置、乾燥装置、巻取装置から構成されています。また、必要な性能や条件に応じて塗工装置を2段式などに変更することで生産量を調節することができます。

くり出し装置

くり出し装置は、装置本体と同じフレーム上に取り付ける場合と本体には取り付けずに独立したフレーム上に取り付ける場合の2種類があります。これは、装置自体の重量に左右され、重量が大きい場合には、独立したフレームに取り付ける必要があります。また、フィルムのくり出し量を調節するブレーキには、手動式や機械式、電気式などの種類があります。

塗工装置

塗工装置は、前述したように条件に応じて切り替えることが可能となっており、塗工剤の塗布量や粘度によって最適な装置を選びます。塗工装置を切り替えずに単一のヘッドとして使用する場合には、長期間での生産で同一の生産工程に限ります。一般的には、さまざまな製品に対応するために多機能ヘッドを使用することが推奨されます。

塗工装置のヘッドとしては、リバースロールやブレードコーター、スプレーコーター、グラビアコーター、エアナイフ、マイヤーバーなどがあります。

乾燥装置

乾燥装置は、コーティング後に水や溶剤を乾燥させて保護皮膜を安定させるための装置です。

巻取装置

巻取装置は、皮膜を形成し、完成した製品を一定の速度と張力で巻き取るための装置です。巻取方式としては、センタードライブ方式やサーフェイスドライブ方式があります。

近年では、サーフェイス方式は、重量変化の影響を受けやすいなどの観点からセンター方式が採用されています。

反射防止フィルム

反射防止フィルムとは

反射防止フィルムは、ディスプレイに外部光などが映り込むのを防ぐための光学フィルムです。

室内では、蛍光灯などの照明がディスプレイに映り込み、室外では、太陽光がディスプレイに映り込むことで表示されている情報が読みづらくなってしまいます。

こういった問題を解消するのが反射防止フィルムで、近年では、スマートフォンなどのデジタル機器が普及したことにより、反射防止フィルムが欠かせないものとなりました。

反射防止フィルムの使用用途

反射防止フィルムは、その多くがパソコンやタブレット端末などに使用されていて、一般消費者にとってもなじみが深い製品だといえます。

昨今では、ゲーム用のポータブルデバイスなども普及しており、外出時においても映り込みを防止できることから反射防止フィルムが使用されています。

また、反射防止フィルムは、産業用途としても活用されています。例えば産業用ディスプレイやカーナビのディスプレイなどが挙げられます。

産業用のディスプレイでは、カメラ機能が付属した測量機などに使用され、太陽光が直接入射する環境でも光の反射を抑えることで正確な測量を可能としています。

一方で、カーナビのディスプレイに反射防止フィルムを使用する場合には注意が必要です。理由としては、反射防止フィルムの機能特性が挙げられます。

アンチリフレクション処理を施した反射防止フィルムには、角度依存性があり、反射光を抑制する特性に優れていますが、反射光の色を変化させてしまいます。

したがって、ディスプレイを見る角度によっては、赤みを強く認識してしまう可能性があるため、対策品の使用を推奨しています。

反射防止フィルムの原理

反射防止フィルムには、画面への映り込みを防止する方法として、一般的に2つの処理方法があります。それは「アンチグレア:Anti Glare (AG) 処理」と「アンチリフレクション:Anti Reflection (AR) 処理」です。

アンチグレア処理について

ベースとなるフィルムに樹脂などをコーティングすることで、表面に凹凸を形成し、入射した光をあらゆる方向に散乱する仕組みの処理方法です。

アンチリフレクション処理について

ベースとなるフィルムに分散液をコーティングすることで、光の位相を調整し、見ている人の目に届く反射光を低減する仕組みの処理方法です。

そのほかの処理方法について

反射防止フィルムの処理方法には、2つの種類がありましたが、なかでもアンチリフレクション処理にはいくつかの処理方法があります。

まず、大区分としてアンチリフレクション処理には、ドライコーティングとウェットコーティングによる処理方法があります。

そして、ドライコーティングには、中区分として真空蒸着法やスパッタリング法、CVD法があり、真空蒸着法には、小区分としてEB法(電子銃)や抵抗加熱法、イオンプレーティング法があります。

また、スパッタリング法には、DC法やRF法、AC法、パルスDC法があり、CVD法には、常圧法や減圧法があります。

次に、ウェットコーティングによる処理方法ですが、この区分のなかには、ゾルゲル法や塗布法があります。

ゾルゲル法には、スプレーやスピンコート、ディッピングなどの処理方法があり、塗布法には、グラビアコートやダイコート、ロールコートなどの処理方法があります。

イオンクロマトグラフ

監修: メトロームジャパン株式会社

イオンクロマトグラフとは

イオンクロマトグラフとは、液体クロマトグラフィーの一種で、主に低分子イオンを分析対象とする分離分析法です。

1975年にAnalytical Chemistry誌に掲載されたH. Small氏の「Novel Ion Exchange Chromatographic Method Using Conductivity Detectionの論文が最初です。H. Small氏らは、イオン交換樹脂でイオンを分離させ電気伝導度検出器で検出しました。

イオンクロマトグラフ イオンクロマトグラフとオートサンプラの一例

イオンクロマトグラフで何が測定できるの?

ICで測定可能なイオンは多数ありますが、他の分析手法の追従を許さない分野は、陰イオンの一斉分析です。

ハロゲン化物イオン(F、Cl、Br ) やNO2、NO3、SO42-、PO43-等をppb (μg/L) で測定することができます。また測定条件を選択することでClO2、ClO3、BrO3等の多原子オキソ酸イオンとの一斉分析も可能です。IC を使用されている方の70%が、これらの陰イオン分析を行っているといわれています。

一方、陽イオン分析では、Li+、Na+、K+ 等のアルカリ金属イオン、Mg2+、Ca2+、Ba2+ 等のアルカリ土類金属イオンの測定が可能です。

有機物イオンも測定可能です。メチルアミンジメチルアミンエチルアミンエタノールアミン等の低分子脂肪族アミンは、アルカリ金属イオンと同様の陽イオン交換分離-電気伝導度検出で測定することが可能です。また、ギ酸酢酸プロピオン酸乳酸酒石酸リンゴ酸クエン酸等の脂肪族有機酸はイオン排除モードで測定できます。

イオンクロマトグラフの原理

イオンクロマトグラフといいます)の基本構成と陰イオン分析の基本原理は以下の図の通りです。

イオンクロマトグラフの基本構成と陰イオン分析の基本原理

オンクロマトグラフの移動相 (溶離液 [Na2CO3]) はポンプによって送液され、試料溶液 (NaCl を含む溶液) は、その一定量がインジェクタ (試料導入装置)から導入されてカラムに送られます。

カラムには陰イオン交換樹脂が充填されていて、イオン交換相互作用によってイオンの相互分離が行われます。次いで、サプレッサで移動相中の対イオン (Na+) が取り除かれ、Na2CO3 がほとんどイオン化しない H2CO3 に変換されるため電気伝導度が低くなります。

同時に、試料である NaCl の対イオンもイオン交換されて、より電気の通りやすい HCl になります。

サプレッサは、①移動相の電気伝導度を低くし、②測定対象イオンの電気伝導度を高くする、という 2 つの機能を持っているのです。

電気伝導度検出器は、溶液中の電気の通りやすさを調べるものです。電気伝導度検出器の信号はデータ処理装置に送られ、イオン濃度に応じた波形 (クロマトグラム) が描かれます。

試料注入からピークが出るまでの経過時間 (保持時間、溶出時間) からそのイオンが何か (定性) を、またピークの高さ (あるいは面積) からその濃度はどのくらいか (定量) を知ることができます。

イオンクロマトグラフが使われる分野

イオンクロマトグラフは水試料中のイオンの測定に威力を発揮しますので、JIS K0101工業用水試験方法、JIS K 0102工場排水試験方法、上水試験方法、下水試験方法、衛生試験法等多くの公定試験方法に採用されています。

そのため、環境や上下水道、排水等に係わる分野での使用が最も多く、多くの公的測定機関や受託分析企業で採用されています。

また、ppt (ng/L) レベルで無機イオンを測定できるという特長から、半導体、超純水、原子力関連での水質分析にも使用されています。

水試料以外にも、抽出液や吸収液等の中のイオン測定にも利用することができますので、固体や気体中のイオンを測定することも可能です。

ICは水質や環境関連に留まらず、食品、化学、医薬品等の分野において、原料管理、工程管理、製品管理、品質検査等で使用されています。

代表的な適用例を表に示します。

分 野 ICが適用される測定対象
環境 大気:粉じん,酸性ガス,酸性雨,SOx,NOx
  水質:河川水,温泉水,湖沼水,排水等
  土壌:土壌抽出液,地下水,侵出水等
上下水道 原水,流入水,処理工程水,配水,放流水等
食品 食品中のイオン・添加物,飲料水用水,発酵液等
農学 肥料・飼料,土壌抽出液,植物抽出液等
医学・薬学 血液・尿等生体試料,医薬品,注射液,輸液
化学 工業薬品,原料・樹脂製品抽出液,排水等
半導体 洗浄用超純水,ウェハー等の洗浄液,クリーンルーム内大気等
金属・鉄鋼 メッキ液,表面処理液,冷却水,洗浄水,排水等
電力・原子力 冷却水,循環水,超純水等
製紙・パルプ パルプ溶液,処理工程水,紙抽出液,排水等

 

本記事はイオンクロマトグラフを製造・販売するメトロームジャパン株式会社様に監修を頂きました。

カーオーディオ

カーオーディオとは

カーオーディオ

カーオーディオとは、自動車内に備え付けられたオーディオ装置のことです。

カーオーディオはオーディオ機能のみ備わった機種と、カーナビ機能も利用できる機種の2種類があります。最近ではSD カードやBluetooth 、Wi-Fi を通て音源を流すことも可能です。カーオーディオは以下の3つと、それぞれをつなぐケーブルから構成されています

  • ヘッドユニット
  • プロセッサー
  • パワーアンプ
  • スピーカー

カーオーディオの使用用途

カーオーディオを使うと、車内でラジオや音楽を楽しむことができます。長時間の運転となると退屈さを感じることもありますが、カーオーディオから音楽が流れるだけでも気分転換になり、居眠り運転の防止に役立ちます。

また、モデルによってはカーナビで目的地まで案内してもらえたり、テレビやYouTubeを楽しむことも可能です。3列シートなど大きな車では、後部座席にカーオーディオが備わっている場合もあります。

カーオーディオの原理

カーオーディオから音が流れるまでの原理は、以下の通りです。

  1. ヘッドユニットでCDやDVD、SDカードなどのデータを読み込んで再生します
  2. ヘッドユニットで再生した音を、パワーアンプで増幅させます
  3. パワーアンプで増幅させた音を、スピーカーで鳴らします

以上の3つはホームオーディオと同じ原理ですが、カーオーディオではプロセッサ―と呼ばれる部品での調整が必要です。自宅と異なり障害物が多く、振動により音がブレやすい環境であるためです。プロセッサーによって障害の多い車内環境でもノイズを抑え、車内のどの場所でも音楽を楽しむことができます。

カーオーディオのその他情報

カーオーディオのその他情報として、音質を上げる方法を3つ紹介します。

1. スピーカーを変える

純正でついているスピーカーの材質は、軽量かつ低コストです。再生音域は狭く、特に高音を苦手とするため、音がこもって聞こえます。最大出力も低く、大音量や重低音では音割れしやすいです。

しかし、スピーカーを変更すると再生できる音域や出力が変わります。スピーカーには以下の2種類があるため、用途に合ったものを選択することが大切です。

  • コアキシャルスピーカー
    低音域から高音域まで1つのスピーカーで対応しています。取り付けしやすく、価格も安いことが特徴です。
  • セパレートスピーカー
    ウーファー (低音域) 、ミッドレンジ、ツイーター (高音域) が別々のスピーカーとなっています。コアキシャルスピーカーより音質は良いですが、取り付けが大変で高価です。

2. デッドニングを行う

デッドニングは車の鉄板部分に制振材や吸音材を貼ることです。ドアの鉄板部分にデッドニングを行うことで、スピーカー周辺の振動などを抑えることができます。他にも、タイヤと路面の摩擦によって発生する「ロードノイズ」を抑えたり、車外からの騒音を遮ったりする効果もあります。

3. ヘッドユニットを変える

ヘッドユニットを変えることも、音質向上に効果があります。純正のヘッドユニットよりアンプの出力が高かったり、音域ごとの出力を変更する「イコライザ―設定」などで細かく変更できるためです。さらに、ヘッドユニットを変えることでハイレゾ音源への対応やカーナビ機能の活用、YouTube動画の再生なども可能です。

ピストン

ピストンとは

ピストン

ピストンとは、エンジンの内部で、燃料の燃焼エネルギーを機械的な動力に変換する重要な部品の1つです。

エンジンには、レシプロエンジンとロータリーエンジンの2種類が存在しますが、ピストンはその中でもレシプロエンジンに搭載されています。ピストンは、シリンダーと呼ばれる筒状の部品の中を上下に動くことで、エンジンの動力を生み出し、自動車を走らせる原動力となります。

また、ピストンは自動車のエンジンだけでなく、オートバイや船舶、航空機などのエンジンでも使用されています。

ピストンの使用用途

ピストンは、主にエンジンや圧縮機、空気圧縮機などの機器に使用されます。それらの機器では、ピストンが上下に動くことで、圧縮や膨張などの熱力学的な変化を利用して動力を得る仕組みが利用されています。

エンジンでは、燃料の燃焼エネルギーがピストンの動きによって機械的な動力に変換され、その動力がクランクシャフトと呼ばれる部品を介して、自動車の駆動輪に伝達されます。また、空気圧縮機や圧縮機は、ピストンが動くことで気体を圧縮し、そのエネルギーを利用して動力を得る仕組みです。

ピストンの数は用途によってさまざまですが、普通乗用車の場合、4つのピストンによって構成されている4気筒エンジンが広く普及しています。また、このピストンは、シリンダと呼ばれる筒の中で1分間に1,000回転以上の回転数で往復しています。車の動力を生むために必要な装置であることから車の心臓部とも呼ばれています。

ピストンの原理

ピストンが動く原理は、エンジンの場合、燃料の燃焼によって発生した高圧により、ピストンがシリンダー内を上下に動くことです。この動きは、一般的に4つの運動 (吸気、圧縮、膨張、排気) を繰り返すことで行われます。

1. 吸気

圧縮のために必要な空気と燃料をシリンダー内に取り込む過程です。ピストンが下降すると、シリンダー内に負圧が生じ、吸気バルブが開くことで空気と燃料が混合された状態で取り込まれます。

2. 圧縮

ピストンが上昇し、混合気を圧縮する過程です。吸気バルブと排気バルブが閉じられている状態で、ピストンが上昇するとシリンダー内の混合気が圧縮され、温度が上昇します。

3. 膨張 (燃焼) 

圧縮された混合気に点火プラグが火花を飛ばし、燃焼させる過程です。燃焼によって発生した高温高圧のガスがピストンに押し下げ力を与え、ピストンが下降します。この動きによって、エンジンに動力が発生します。

4. 排気

燃焼後の排気ガスをシリンダーから排出する過程です。ピストンが再び上昇し、排気バルブが開くことで、燃焼後のガスがシリンダー外へ排出されます。

これらの過程が繰り返されることで、ピストンが上下に動き、エンジンから動力が生み出されます。

ピストンの構造

ピストンは、一般的には円筒形の金属製の部品で、主にアルミニウム合金や鋳鉄などの材料で作られています。ピストンの主要な構成要素は、以下の通りです。

ピストンはエンジンの心臓部とも言える重要な部品であり、その性能や耐久性が自動車の性能や燃費に大きく影響するため、適切なメンテナンスや部品交換が重要です。

1. ピストンヘッド

シリンダー内で燃焼が行われる部分で、圧縮された混合気と燃焼ガスの圧力に耐えるために頑丈な構造になっています。

2. ピストンリング

ピストンとシリンダーの間にある隙間を埋める役割を果たし、ガスの漏れを防ぐとともに、潤滑油を適切に分布させる役割を担っています。通常は、圧縮リングとオイルリングの2種類があります。

3. ピストンスカート

ピストンの下部に位置し、シリンダー内でのピストンの安定した動きをサポートする役割を果たします。

4. ピストンピン

ピストンとコンロッド (クランクシャフトとピストンをつなぐ部品) を結合する部品で、ピストンの動きをクランクシャフトに伝達する役割を果たします。 

エンジン

エンジンとは

エンジン

エンジン (英: Engine) とは、熱や電気など、世の中に存在するあらゆるエネルギーを力学的運動に変換する機械の総称です。

しかし、一般的には自動車や航空機、船舶などのシリンダー内熱エネルギーを生み出し、力学的運動に変換する内燃機関のことを指します。エンジンという名称は、古フランス語で機械などを意味する「engin」と、ラテン語で機械を意味する「ingenium」が由来となっています。

エンジンの原理

エンジンの原理は、熱力や電力、圧力などのエネルギーを変換器によって力学的運動に変換したシンプルなものです。

一般的にエンジンとして認識されている内燃機関であれば、密閉されたシリンダー内でガソリンなどの燃料を爆発させ、生じた空気の膨張によってピストンを動かし、車などを動かしています。

電力や圧力などの内燃機関以外のエンジンも、エネルギーを発生させるまでの過程やエネルギー変換の仕方が違うだけで基本的な原理は同じです。

エンジンの使用用途

エンジンは、物体を継続的に動かす際に使われる機械です。

一般的にエンジンとして認識されている内燃機関は、自動車や自動二輪車 (バイク) などをはじめ、航空機や船舶、建設機械、機関車、自家発電、発電機など、あらゆるものに使用されています。

自動車や自動二輪車以外に使われる内燃機関のことは、汎用エンジンと言われ、産業エンジンとも呼ばれます。

エンジンの種類

一般的にエンジンは自動車に搭載されているような内燃機関のことを指すため、内燃機関がエンジンだと認識されることが多いですが、厳密にはあらゆるエネルギーを力学的運動に変換する機械がエンジンです。

エネルギーの種類によって、次のようなエンジンが存在します。

  • 蒸気機関 (外燃機関)
    水蒸気の膨張・凝縮の力を力学的運動に変換
  • 空気呼吸燃焼機関
    大気中の酸素を燃焼させ生み出した熱エネルギーを力学的運動に変換
  • 電気モーター
    電力を力学的運動に変換
  • 物理動力モーター
    物体の持つ空気圧や液圧などの位置エネルギー (ポテンシャルエネルギー) を力学的運動に変換
  • 分子モーター
    化学エネルギーを力学的な運動に変換

また、使用する燃料の種類や変換の仕方の違いによって次のような種類が存在します。

1. ガソリンエンジン

ガソリンを燃料として用いるエンジンです。

主に気化器で気化させたり、シリンダー内に噴射したりすることでガソリンを供給し、それを電気着火で爆発させて動力を得ます。細かい制御ができることから自動車や小型の航空機などに使用されます。

2. ディーゼルエンジン

圧縮し高温になった空気内に石油を噴射することで爆発を促し、動力を得るエンジンです。商用車 (バスやトラック) 、船舶、自動車などに使用されます。

3. ロータリーエンジン

楕円形のハウジングと、その中にあるおむすび型のローターの隙間で燃料を爆発させ、ローターを回転させることで動力を得るエンジンです。自動車などに使用されます。

4. ジェットエンジン

ガスタービンからタービンを取り除き、そのまま高速でガスを噴射することで動力を得るエンジンです。ロケットエンジンなどもジェットエンジンの一種で、主に航空機やロケットなど、大きな推進力が必要なものに使われます。

5. ガス機関

ガスを燃料として使用するエンジンです。ガスを燃焼させ、動力を得ます。現在は、天然ガス車や、水素ガス車など、自動車などに使用されています。

6. 焼き玉機関

高温に加熱した燃焼室の一部に石油燃料を噴射して爆発させることで動力を得るエンジンです。今現在は小型ディーゼルエンジンが使われているため、あまり使われることはありませんが、以前は小型船舶などに利用されていました。

7. 石油機関

灯油や軽油を気化器で気化させ、電気着火して爆発させることで動力を得るエンジンです。農業機械や工業機械、小型船舶などに使用されます。

8. ガスタービン

高温の燃焼ガスをタービンで力学的運動に変換するエンジンです。主に発電機や船舶などに使われます。

9. 蒸気タービン

高温高圧の蒸気をタービンで力学的運動に変換するエンジンです。高温高圧の蒸気を生み出すボイラーが必要で、主に発電機や大型船舶などに使われます。

自動車マフラー

自動車マフラーとは

自動車マフラー

自動車マフラーとは、自動車の後方に存在しエンジンの排気を大気に放出する際に排気ガスを浄化したりする機能を持った部品です。

主な役割は、自動車からの排出ガスを触媒を通すことで浄化したり、エンジンから排出される排気ガスの排気音を低減させることです。

自動車マフラーは、一般的には自動車の後方下部からマフラーエンドが見える程度なため、自動車を後方から見た際のデザインに少々影響するくらいで自動車マフラーがどのような機能を持っているか見る機会は少ないです。

しかし、エンジンが動力を得るために燃料を燃焼させる際に発生する有害ガスを無害化して大気へ放出するなど、主に環境への側面で重要な作用があるため自動車マフラーは部品点数も多く複雑な構成をしています。

また、ガソリンが燃焼する際の音を低減させる方式の違いによって名前が異なっている特徴もあります。

自動車マフラーの使用用途

自動車マフラーは、エンジンの排気音の低減や燃焼後にエンジンから排出される有害ガスを抑える目的で全ての自動車に搭載されています。

エンジンの排気効率に大きな影響を与える部品のため、マフラーの構造から排気ガスの抜けが悪い場合は低速時のトルクが若干増し、逆にエンジンの高回転時には排気効率が悪いため加速が鈍くなるといった効果を得られます。

自動車マフラーを社外品のものへ交換することによって、排気ガスの抜けやすさや排気音の変化および見た目のドレスアップ効果といった違いを手軽に楽しむことができますが、排気音の部分では車検を行う際に厳しい基準が定められており、「近接排気騒音」の保安基準を満たす製品を使用していない場合は道路運送車両法に違反する可能性があります。

車検時の近接排気騒音測定方法は、自動車マフラーの出口から50cmの位置に測定器を置き、平成11年以降に初年度登録をされた自動車の場合は96db (軽自動車の場合は97db) 以下であることが保安基準となっています。保安基準は車検を受ける自動車の初年度登録日によって条件が変わるため、年式が古い自動車の場合は注意が必要です。

自動車マフラーが純正品以外の状態では車検の際に必ず確認される項目のため、交換当初は大丈夫であっても使用による経年劣化で数年後に保安基準不適合となる可能性もあるため注意が必要です。

自動車マフラーの原理

自動車マフラーは大きく以下の部品に分かれています。ここではターボ非搭載車の場合のみ紹介します。

    1. エキゾーストマニホールド
    2. エキゾーストパイプ
    3. O2センサー/高温センサー
    4. サブマフラー
    5. 触媒 (キャタライザー)
    6. メインマフラー

1. エキゾーストマニホールド

自動車マフラーの中で最もエンジンに近い部分です。エンジンの各気筒から排気ガスを集める役割を担っています。

2. エキゾーストパイプ

エンジンから排出された高温の排気ガスを通すためのパイプです。

3. O2センサー/高温センサー

排気ガス中の酸素濃度や排気温度を測定する各種センサー類です。O2センサーを利用して、ガソリンと空気のバランスを調節することで省燃費に貢献したり、ドライバーへ触媒の異常を警告灯で伝えるといった役割があります。

4. サブマフラー

消音を行うために用意されたサブのマフラーです。消音は主にメインマフラーで行いますが、厳しい保安基準に適合するためにメインマフラーを補う形で用いられています。

5. 触媒 (キャタライザー) 

触媒を通すことで排気ガスを大気に放出しても無害な状態にします。触媒には三元触媒が用いられており、内部にはロジウム・白金・パラジウムが使用されています。触媒の効果は、窒素化合物を窒素へ、炭化水素を水へ、一酸化炭素二酸化炭素へそれぞれ化学変化させ有害物質を無害な物質へと変えています。

6. メインマフラー

メインマフラーは一般的に「タイコ」や「サイレンサー」と呼ばれています。主な機能は消音です。

このように、自動車マフラーだけでも、燃費の向上、有害排気ガスの無害化、消音など多くの役割を担っています。自動車マフラーを変更することで、これらの項目に影響を及ぼす可能性がありますので、必ず車検に適合する商品を選ぶことが大切です。

車載バッテリー

車載バッテリーとは

車載バッテリー

車載バッテリーとは、車のウインカーやヘッドライト、ナビや室内照明などの電装部品に電気を供給するための装置です。

車に搭載されている蓄電池として車へ電気を供給します。車のエンジンを動かすためには燃料の燃焼が必要ですが、最近の車は「セルモーター」と呼ばれるモーターを使ってエンジンが始動するシステムになっています。

エンジン内部に噴射された燃料へ着火するために「スパークプラグ」と呼ばれる火花を飛ばす部品が必要になるため、これらの部品を動かすために電気がないとエンジンを始動することができません。

また、エンジンをかけていないときでも車載コンピュータ (ECU) の情報を保持したり、防犯システムを有効にするために電気を供給し続けているために常に電気を車へ供給し続けています。よく「バッテリーが上がる」という言葉を耳にするように、車で一番負荷のかかる部品で温度変化にも弱い性質があるため、こまめに点検やメンテナンスを行う必要があります。

車載バッテリーの使用用途

車載バッテリーは、車へ電気を供給し車内の電気で動く装置全ての動力源として使用されると同時に蓄電池として何度も充放電を繰り返ために充電も行っています。

車載バッテリーへの充電は、主に車が走行しているときに行われています。エンジンにベルト等を介して繋がっているオルタネーターという発電機で発電された電気を使って走行しており、余った電気を車載バッテリーへ充電しています。

車載バッテリーが電気を使うタイミングは、エンジン回転数が低くオルタネーターの発電量が少ないアイドリング時やエンジンをかけるためセルモーターを回す時です。

また、車を降りてからリモコンキーによるドアの開け締めや防犯システムを有効にする等のエンジンがかかっていない時にも使用されます。車載バッテリーが上がると一切電気を供給できなくなってしまうため、リモコンキーでドアをロック解除できなくなったり、エンジンがかからないなどの現象が起きます。

車載バッテリーの原理

車載バッテリーの原理は、電気を取り出すためにバッテリーのプラス極とマイナス極間における酸化還元反応を利用したものです。車載バッテリーの中には、2つの電極とバッテリー液が入っています。電極は主に二酸化鉛や鉛が使用されており、バッテリー液には希硫酸が使用されています。

車載バッテリーの酸化還元反応では、バッテリー液として使用される希硫酸が水素イオンと硫酸イオンに電離するところから放電が開始します。

マイナス極側に硫酸イオン、プラス極側に水素イオンが集まった状態で車載バッテリーの導線が接続されることにより、マイナス極側に存在していた硫酸イオンが導線を介してプラス極に移動し、水素イオンと化学反応を起こします。その際に電子を放出し電気が発生します。温度が低下するとこの酸化還元反応が起こりにくくなってしまうため、寒い環境では特に注意が必要です。

また、車載バッテリーは二次電池の1種であるため、先述と逆の化学反応が起きることで充電が可能になります。放電と充電を繰り返すことで、長期間に渡って車の様々な電装部品を動かすことができます。

満充電になると、車載バッテリー内部で酸素と水素が発生しバッテリー液が減ってしまう現象が発生します。特に長期間使用され寿命の近い車載バッテリーほど劣化により満充電になりやすくなりバッテリー液が蒸発してしまうことがあるため、定期的に点検とバッテリー補充液を補充する必要があります。

製品によって違いはありますが、一般的に車載バッテリーの寿命は2〜3年と言われているため、事故やトラブルに合わないよう注意が必要です。

車載バッテリーの種類

この車載バッテリーには下記のような種類が存在します。

  1. 開栓型バッテリー
  2. メンテナンスフリーバッテリー
  3. アイドリングストップ車用バッテリー
  4. ドライバッテリー
  5. リチウムイオンバッテリー

1. 開栓型バッテリー

車載バッテリーの中でも最も多くの車に採用されている鉛蓄電池で、仕様に伴い内部のバッテリー液が減ってしまうことがあるため都度バッテリー補充液を充填する必要があるものの安価に手に入るという特徴があります。

2. メンテナンスフリーバッテリー

その名の通り、メンテナンスが不要になったバッテリーです。開栓型バッテリーに比べ気密性を高めてあるため、バッテリー液がほぼ減らなくなっており、バッテリー補充液の補充が不要になっています。輸入車や高性能車等に用いられており、近年の車載バッテリーの主流になっています。

3. アイドリングストップ車用バッテリー

車にアイドリングストップ機能がついたものが多くなり、車の電装品の中で最も電力を消費するセルモーターを使う回数が激的に増えたため、それに対応するためのバッテリーです。特徴は、バッテリー容量が多いことと充電性能が向上しており充電にかかる時間が短くなっていますが、価格が高いのがデメリットです。

4. ドライバッテリー

ドライバッテリーは非常に軽量であることが最大の特徴です。その構造は、通常のバッテリーは電極がバッテリー液に浸されているのに対し、ドライバッテリーは電極にバッテリー液が染み込むように充填されているため容積も少なく液体も無いため非常に軽量になります。主にレーシングカー等に使用されており、非常に高価なのがデメリットです。

5. リチウムイオンバッテリー

スマートフォン等に利用されているリチウムイオン電池とお同じ構造の車載バッテリーです。開栓型バッテリー等の鉛蓄電池と比べて重量も軽く、バッテリー液も入っていないため発火する危険性が無く安全性も高いのがメリットです。その分価格は高いですが費用対効果は高いといえます。

スパークプラグ

スパークプラグとは

スパークプラグ

スパークプラグとは、燃料に電気で火をつけるための点火部品です。

主に電気で点火する部品をスパークプラグと呼び、熱によるものをグロープラグと呼びます。グロープラグはディーゼルエンジンに使用されることが多く、スパークプラグはガソリンエンジンに使用されます。

スパークプラグの使用用途

スパークプラグは、自動車などに使用されます。具体的な使用用途は以下の通りです。

  • ガソリンエンジン自動車のイグニッション用
  • 化石燃料を消費するボイラーのパイロット着火用
  • 熱風乾燥炉のパイロット着火用
  • 発電用ガスタービン始動用
  • 航空機用ジェットエンジン始動用

強力な馬力を持つ内燃機関も、多くの場合は始動に種火が必要です。スパークプラグを種火とする内燃機器は数多くあり、上記はその一例と言えます。

スパークプラグの原理

スパークプラグは点火用部品の一つであり、単体では用を成しません。一般的に電源やイグニッションコイルと共に使用されます。電源は車載の際はバッテリーが使用されます。

バッテリーの場合は直流電源ですが、直流・交流どちらも使用されます。ただし、電源の種類によってイグニッションコイルの構造が異なります。イグニッションコイルは、大気中で自然放電する電圧まで電源を昇圧するコイルです。数万ボルトまで昇圧してスパークプラグへ電圧をかけます。なお、スパークプラグ自体は端子、絶縁碍子、電極などから構成されています。

1. 端子

端子はイグニッションコイルから高電圧を受け取る部分です。導電性の金属が使用されます。また、自動車用のスパークプラグ用端子は一般的にターミナルナットで接続されます。

2. 絶縁碍子

端子で受け取った電気回路が地絡した場合、スパークが発生せずに点火することが不可能です。また、イグニッションコイルで発生させた電圧は高電圧のため、漏電した場合に感電の恐れもあります。イグニッションコイルを正しく放電させるために、絶縁碍子で回路を絶縁させています。

3. 電極

電極は2本の導体で構成された部分です。導体同士は狭いギャップを隔てて固定されており、ギャップへ高電圧がかかることで空気絶縁が破壊されスパークします。電極はスパークによって摩耗していくため、耐久性に優れた金属使用されます。

スパークプラグの種類

スパークプラグは先端の材質によって種類が異なります。レジスタープラグ、白金プラグ、イリジウムプラグなどが代表例です。

1. レジスタープラグ

電極にニッケル合金を使用したスパークプラグです。端子と電極の間に抵抗体を内蔵するため、レジスタープラグと呼ばれます。点火時に発生する電気回路のノイズを低減するプラグです。

2. 白金プラグ

電極に白金合金を使用したスパークプラグです。一般的なニッケル合金のプラグと比べて耐久性が高く、長持ちします。また、電極部分を細くできるため着火性能も高いのが特徴です。ただし、希少金属を使用するため高価です。

3. イリジウムプラグ

電極にイリジウムを使用したプラグです。白金プラグ以上に耐久性と着火性能が優れています。ただし、白金プラグよりもさらに高価です。

スパークプラグのその他情報

1. スパークプラグとガソリン

スパークプラグはガソリンに着火する役割をもっていることから、全てのガソリン自動車に使用される部品です。ガソリンは着火をきっかけに燃焼が始まります。そのため、車載スパークプラグが劣化するとエンジンがかかりにくくなったり、加速が悪くなったり、燃費が悪くなったりする場合があります。

そのため、電極部分はスパークプラグの中でも最重要な部分です。電極部分にオイルなどが付着すると点火の性能が低下するので、定期点検は必要不可欠です。

2. スパークプラグの寿命

スパークプラグには寿命は存在します。種類によって寿命の目安は異なりますが、自動車用の場合は、10万㎞程度と言われています。長距離移動用に自動車を使用する場合は、耐久性の高いイリジウムプラグを採用すると長持ちします。