超音波顕微鏡についての概要、用途、原理などをご説明します。また、超音波顕微鏡のメーカー8社一覧や企業ランキングも掲載しておりますので是非ご覧ください。超音波顕微鏡関連企業の2023年1月注目ランキングは1位:本多電子株式会社、2位:日本バーンズ株式会社、3位:株式会社日立ハイテクとなっています。
超音波顕微鏡は、電子顕微鏡と比較すると分解能は低いものの、光学顕微鏡よりも高分解能で微小領域を計測、観察できる装置です。また試料表面だけでなく表面下の内部構造も非破壊で観察することが可能です。
超音波顕微鏡には、レーザー走査型超音波顕微鏡(Scanning Laser Acoustic Microscope. SLAM)と機械走査型超音波顕微鏡(Mechanical Scanning Acoustic Microscope. SAM)があります。SAMは超音波を試料面上に機械走査させて試料からの攪乱反射波を検出します。一方SLAMは超音波の攪乱反射波をレーザービームによって検出します。
超音波顕微鏡は電子部品などの内部検査や一般的な材料の内部検査、粘着剤の密着性の確認などに使用されます。いずれも貼り合わせ面などのクラックやボイド、剥離などの検出に使用されます。
超音波は物質が連続している部分では減衰しながらも波が伝播していきますが、隙間などの連続していない部分では伝播できず境界面で大部分が反射するという性質があります。そのため剥離した部分やボイドなどで反射した反射波を検出することができます。
超音波は異なる物質へ伝播した際に、一部が反射して一部は透過します。反射波を検出して観察する手法を反射型、透過波を検出して観察する手法は透過型と呼びます。透過型は2個の音響レンズを向かい合うように配置させて焦点に測定試料を置いて透過してきた超音波を測定します。一方反射型はその言葉の通り反射超音波の強度や位相を解析します。例えばパルス反射法という測定法では水浸させたサンプルにパルス波形の超音波を照射します。そして内部で反射されたパルスから物体内部の情報を得ることができます。パルス反射強度は境界面を構成する物質の音響インピーダンスの差に依存します。
市販されている超音波顕微鏡は透過型に比べて反射型の製品が多いです。その主な理由は試料の厚さに制限がないこと、音響レンズを共焦点に設置する操作がないため操作がより単純で取り扱いが容易なこと、画像形成と伝播速度の測定が可能であることなどが挙げられます。
100MHz~200MHzなどの高い周波数で用いることで、細胞の中を可視化することができる超音波顕微鏡があります。測定時に高周波数を用いても水中の細胞に悪影響はないので、細胞が生きた状態のまま観察することが可能です。そのため、色素染色せず細胞内の構造たんぱく質の変化を確認できます。現在では、細径ファイバーに高周波超音波を伝搬させる技術が確立されていることに加えて、ファイバー先端を凹面上に加工することにより超音波を収束させることで方位分解能を細胞レベルまで高めることができています。
超音波顕微鏡は細胞内の物質の密度・粘弾性をもとに画像化するため、細胞増殖などをコントロールしている細胞骨格の観察に優れた器具となります。この特質を活かして、がん細胞集団からがん細胞を識別するという技術も開発されています。この技術を用いて、正常な細胞が識別できるように蛍光たんぱく質を発現させ、抗がん剤がん細胞にどのように作用したかを確認することもできます。
物性は温度によって変化をするため、観察資料の温度が変わると超音波顕微鏡で観察される画像は変わります。資料の温度が高くなると、音速は低速になるため観察時には音速の再校正が必要になります。温度による音波減速は、金属よりもプラスチック内で顕著に確認されます。
資料測定時にはカプラーと資料の音響的性質が変わるため超音波の反射率や焦点一を調整することが必要になります。フーリエ光学手法を用いると、この調整を比較的容易にできることが知られています。この手法を用いる際には、平面波を用いて資料の各層の音速減衰の温度依存性を測定する必要があります。
上記の超音波減衰の温度依存性にを活用することで、欠如や物性の評価能力が向上します。そのため、材料の損失や機械の破壊事故を防止することにもつながります。
音響インピーダンスは、材質の密度と音速の積によって定義されている値です。
超音波顕微鏡はプローブから資料内部へ送られた超音波の反射波形を捉えることで、資料内部の状況を把握できます。異なる材質の界面では音響インピーダンスが変化して、反射強度が変わるという性質があります。音響インピーダンスの大きい物質から小さい物質で反射波形の位相が反転します。この特徴から、測定資料の欠陥・空孔などを発見することができます。以上のことから、超音波顕微鏡は音響インピーダンスを活用して資料を破壊することなくで資料内部の剥離などを観察することができます。
参考文献
https://www.honda-el.co.jp/hb/3_12.html
https://www.jstage.jst.go.jp/article/gomu1944/61/4/61_4_260/_pdf
http://optronics-media.com/news/20151120/37380/
https://www.tut.ac.jp/docs/PR151111.pdf#page=2
https://www.jstage.jst.go.jp/article/oubutsu1932/60/3/60_3_266/_pdf
https://www.japanlaser.co.jp/technology/ksi_ultrasonic_principle/
https://www.mst.or.jp/method/tabid/1335/Default.aspx
https://www.olympus-ims.com/ja/applications/high-temperature-ultrasonic-testing/
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超音波顕微鏡のカタログ一覧はこちら企業
株式会社東京インスツルメンツ*一部商社などの取扱い企業なども含みます。
企業の並び替え
2023年1月の注目ランキングベスト8
注目ランキング導出方法順位 | 会社名 | クリックシェア |
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1 | 本多電子株式会社 |
18.6%
|
2 | 日本バーンズ株式会社 |
15.3%
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3 | 株式会社日立ハイテク |
15.3%
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4 | ヤマト科学株式会社 |
10.2%
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5 | 株式会社エイチ・ティー・エル |
10.2%
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6 | 株式会社東京インスツルメンツ |
10.2%
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7 | 株式会社日本レーザー |
10.2%
|
8 | ノードソン・アドバンスト・テクノロジー株式会社 |
10.2%
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注目ランキング導出方法について
注目ランキングは、2023年1月の超音波顕微鏡ページ内でのクリックシェアを基に算出しています。クリックシェアは、対象期間内の全企業の総クリック数を各企業のクリック数で割った値を指します。社員数の規模
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ライフサイエンス分野における当社取り扱い製品カタログです。
2023年1月24日
超音波顕微鏡は、超音波エコーを原理とした非破壊検査ツールで、X線では検出されにくい剥離やクラック等の検査などに威力を発揮します。
ドイツKSI社は超音波顕微鏡の開発において30年以上の経験を持ち、世界初のGHzプローブモデルや産業向けマルチプローブ開発などに取り組んできた技術開発力に長けたメーカーです。
KSI社の産業向けモデル「Vシリーズ」は、GHz帯に及ぶ高周波技術で培った信号処理技術を生かし、卓越した検出感度・イメージング性能を実現しています。
また、高速な検査を実現するマルチプローブ技術、グラナイトベースのロバストなスキャナ、直感的な操作が可能な3D構築ソフトウェアなど、産業用途に最適なEase of use志向の製品です。