毛細血管スコープ(血流スコープ)についての概要、用途、原理などをご説明します。また、毛細血管スコープ(血流スコープ)のメーカー4社一覧や企業ランキングも掲載しておりますので是非ご覧ください。毛細血管スコープ(血流スコープ)関連企業の2023年11月注目ランキングは1位:GOKO映像機器株式会社、2位:スリーアールソリューション株式会社、3位:株式会社徳となっています。
監修: あっと株式会社
毛細血管スコープとは、採血をすることなく、指先にオイルを塗り、高輝度な光源を照射し、皮下を拡大する事で、簡単に指先、肌などの毛細血管の状態と毛細血管の中を流れる赤血球・白血球・血小板などを観察することができるマイクロスコープのことを指します。
皮膚毛細血管研究は、20世紀初頭Mullerらの先駆的研究にはじまり、日本国内でも戦前から小川三郎などの研究が残されています。1979年発行の生涯教育シリーズ6『微小循環』では武見太郎・沖中重雄・山村雄一が総監修の下、浅野牧茂が皮膚の微小循環観察に生体の窓として爪床および唇紅部皮膚の毛細血管係蹄の観察を一つのモニターとして重視していることが記されています。ただ、当時は顕微鏡を覗き込んで観察し、模写や写真で記録するという形をとっていました。これらの研究は科学技術の進歩にともない、21世紀に入りモニターで確認し、動画として記録できるところに新たなる可能性が開け、毛細血管血流観察装置と呼ばれていました。
2010年少し前くらいから毛細血管観察装置は小型化が進み、大阪大学医学系研究科はあっと社との共同研究成果により、反応拡散方程式を用いて毛細血管像を抽出する事に成功し、定量化できる様になった事で、NHKガッテンなどテレビ番組の露出が増えた事で認知が高まり毛細血管スコープと呼ばれる様になりました。
使用される幅は、医療業界の研究にとどまらず、健康業界や美容業界などでも、毛細血管を観察して、施術の効果を測る目的で幅広く利用されています。
ここで、毛細血管スコープの使用用途について説明します。
毛細血管スコープは、手指の先端や、肌など様々な体表の毛細血管の形状や血流を確認することができるため、大学や研究機関などにおける臨床試験や実証機器として用いられたり、病院で抹消や皮下の毛細血管形状や血流を観察する治療の効果検証を行う機器として使用されるなど、医療に関わる業界で幅広く使用されています。以前は観察や毛細血管画像を保存し、目視や簡易的な描画システムを用いて数値化が行われておりましたが、前述の大阪大学の非属人的な定量化手法により大量解析が可能となり、2020年10月に日本緑内障学会にて前川ら(東北大学医学部眼科学教室)により緑内障診断における爪床毛細血管測定の有用性の発表があり、測定機器として医学界での認知が高まってきている事から大阪大学微生物病研究所情報伝達分野 高倉教授を委員長としてNPO近畿バイオインダストリー振興会議により毛細血管ラボ社会実装コンソーシアムが設立されました。
また、漢方やマッサージなどの血行促進の変化を観察したり、薬局などで生活習慣改善のための行動変容の為のカウンセリングにも使用されています。
医療業界の他にも、美容業界や健康業界でも使用されることもあり、施術後の毛細血管や血流改善などを観察するために用いられています。
続いて、毛細血管スコープの原理について説明します。
毛細血管スコープは、表皮や真皮部分などに高輝度な光源を照射し、体表面にある毛細血管を拡大しカメラで映すことで、採血などをしなくても毛細血管に流れる赤血球・白血球・血小板などのようすを投影し観察することができます。
毛細血管スコープは、高倍率なレンズとカメラで構成されている場合が多く、用途に合ったモニターに接続して投影したり、解析ソフトと組み合わせて定量化したりすることによって、活用の幅を広げることが出来ます。
毛細血管スコープは、被検者の血液を採取することなく、リアルタイムで毛細血管・血流を観察できることが最大のメリットです。毛細血管形状や血流からその変化が確認でき、非常に便利な検査機器といえます。
簡単に毛細血管の状態がわかる理由として、観察するポイントが「指先爪床部(爪の甘皮の下あたり)」の毛細血管を観察することに特化しているのは、皮膚と爪の間の毛細血管はヘアピン状に走行していることにあります。操作が非常に簡単で、専門的な知識や難しい操作技術が必要ありません。さらに、シンプルなUIであるため、誰にでも操作ができ、簡単に観察することができます。
毛細血管形状や血流から簡単に自身の微細な変化がわかることは、被検者にもメリットがあります。被検者がすることといえば、痛みに耐えることでも、長い待ち時間でもなく、ただ指先にオイルを塗るだけです。たったそれだけで、その場で簡単に自身の状態がわかります。被検者の負担がほとんど無いことも、人気の理由です。さらに、リアルタイムに毛細血管形状や血流の状態を確認できるため、将来的には生活習慣病などの病気の改善対策に強い納得をもたせることができる可能性があります。
以上のように、毛細血管スコープは導入することで、ユーザーと被検者のどちらにもメリットのある検査機器です。現在でもなお、その人気は増加しています。今後、さらに幅広い分野で扱われるようになり、多くの場面で測定される様になることが期待されております。
毛細血管スコープの価格は20万円から50万円ほどです。レンズやセンサー性能の違いにより高いものになればなるほど高機能ですが、最近では毛細血管専用ではないものの印刷物・電子部品・皮膚を観察するものの転用で安価なレンズとセンサーを使用し機能性をシンプルにすることで薄っすらと毛細血管を観察することができる低価格なものも出てきております。
レンズ・センサー性能の高いものを使用した毛細血管スコープは具体的には、卓上とハンディ兼用タイプで、ピント調節が手動で調整できる毛細血管スコープがあります。自由度が高く、手動で調整できる機能性の高さから40万円ほどかかります。
安いものでは、ハンディタイプで、印刷物や電子部品の品質をみるために作られたものの転用でピント調整が確率的には半分程度オートフォーカスできる機能のスコープがあります。こちらでは、手動で調整がほとんどできないものの、液晶モニタがスマートフォンやパソコンで映し出せるので、18万円ほどで購入できます。
毛細血管スコープは低価格から高価格までさまざまです。しかし、高機能のまま低価格を実現したものもあり、必要な機能に合わせて購入できます。また、レンタルといった方法でも毛細血管スコープを導入できます。
本記事は毛細血管スコープを製造・販売するあっと株式会社様に監修を頂きました。
参考文献
https://3r-beauty.com/comparison/blood
Metoreeに登録されている毛細血管スコープ(血流スコープ)が含まれるカタログ一覧です。無料で各社カタログを一括でダウンロードできるので、製品比較時に各社サイトで毎回情報を登録する手間を短縮することができます。