電子顕微鏡についての概要、用途、原理などをご説明します。また、電子顕微鏡のメーカー8社一覧や企業ランキングも掲載しておりますので是非ご覧ください。電子顕微鏡関連企業の2023年10月注目ランキングは1位:株式会社ニコンソリューションズ、2位:松定プレシジョン株式会社、3位:日本電子株式会社となっています。
博士研究員として大阪府立大学の装置工学グループで全固体電池のための正極複合粒子の製造に関する研究に従事。
長岡技術科学大学では、資源エネルギー循環研究室に所属し、CO2分離を目的としたDDR型ゼオライト膜の開発とそれを用いた下水処理場から発生する消化ガスからのCO2回収に関する研究を実施。
https://researchmap.jp/eiji-hayakawa
論文
https://doi.org/10.3390/membranes11080623
http://www.ijcea.org/index.php?m=content&c=index&a=show&catid=109&id=1177
https://www.sciencedirect.com/science/article/abs/pii/S1387181119305529?via%3Dihub
https://www.sciencedirect.com/science/article/abs/pii/S138358661833154X?via%3Dihub
早川栄二のプロフィール
電子顕微鏡は、電子線を照射することで試料を観察する顕微鏡です。電子線の波長が非常に短いことから、光学顕微鏡では観察できないような超微細構造を可視化することができます。電子線の透過率を画像として出力するものと、電子線と試料との相互作用によって生じるシグナルを画像化するものと、大きく分けて2種類のものがあります。
製品として販売されている電子顕微鏡の多くは、工業材料に最適化されたものと、生物試料の観察に最適化されたものがそれぞれ販売されています。また、電子顕微鏡はしばしば略して電顕(でんけん)または英語の頭文字を撮ってEMなどと呼ばれています。
工業分野においては、破損した金属部品の破面解析をすることでその原因を調べたり、加工表面を観察することで品質チェックなどを行うために用いられます。また高分子ポリマーのネットワークを観察することで、器械的特性を調べたり、不純物の混入を評価したりします。生命科学分野では、細胞内小器官の微細構造を可視化したり、複雑に絡み合った神経細胞を観察することで、神経細胞同士のつながりをマッピングしたりします。また、試料に簡単な前処理を行うことで、タンパク質の構造解析に応用可能であることが明らかになったため、2017年のノーベル化学賞を受賞しました。
電子顕微鏡を構成する要素は、線源、レンズ、検出器であり、言葉だけで見ると光学顕微鏡とよく似た構成をしています。しかし、その一つ一つは光学顕微鏡のそれとは大きく原理が異なります。
まず、電子線は空気中の分子などと衝突してすぐに減衰・消滅してしまいます。そのため、電子線の発生と照射は真空中で行わなければなりません。
次に一般的な光学系で使用されるようなガラスレンズは透過してしまうため、電子線を屈折させるには磁場を印加して収束させる磁気レンズを用いる必要があります。
このようなレンズの特性として、光学的な収差が大きく、これを改善するために、開口数が小さく設計されています。これによって、電子顕微鏡は焦点深度が深く、奥行きのある立体的な観察をすることができます。
標準的な電子顕微鏡は、次の2つに分類されます。
電子線を試料に透過させ、その減衰をもとにコントラストを得る方法です。電子線を透過させるために、試料の厚みは非常に薄く調整されている必要があります。電子を打ち出す強さを加速電圧と呼びますが、300kVの加速電圧での波長は0.00197nmと極めて短く、分解能も0.1nmとなり原資サイズのオーダーであることがわかります。これを最高倍率に換算すると80万倍となり、光学顕微鏡の800倍になり分解能の高さが分かります。透過電子顕微鏡では試料内部を透過してきた電子を観察するため、極小領域の試料内の結晶構造などの内部の構造を見ることに優れています。
真空中で資料に電子線を照射すると、二次電子、反射電子、特性X線などが放出されます。走査型電子顕微鏡像は空間的に収束させた電子線を走査し、二次電子や反射電子信号から像を形成します。二次電子は試料表面近くから発生する電子であるため、二次電子像は試料の微細な凹凸を見るのに適しています。反射電子は試料を構成する原子に衝突し跳ね返された電子であり、反射電子の数は試料の組成(原子番号、結晶方位等)に依存します。そのため、反射電子像は試料表面の組成分布を評価するのに適しています。
電子線が試料に衝突すると、その表面を構成する原子が励起され、電子を放出します。その他にも反射電子や特性X線などが放出されますが、二次電子とよび、放出される二次電子の強度をポイントスキャンすることで得られます。
電子顕微鏡は一般的な光学顕微鏡と比較して分解能が極めて高いので、例えば細胞などの微細な組織構造や金属の結晶を原子サイズのオーダーで観察することができます。
細胞を例に取ると、光学顕微鏡では核以外の細胞中の微細な構造を詳しく観察することができませんが、電子顕微鏡では観察可能になります。これにより、細胞内での酵素の働きや細胞構造の反応など、様々な機能まで詳細に調査できます。
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電子顕微鏡のカタログ一覧はこちら企業
スリーアールソリューション株式会社 特許機器株式会社*一部商社などの取扱い企業なども含みます。
企業の並び替え
2023年10月の注目ランキングベスト8
注目ランキング導出方法順位 | 会社名 | クリックシェア |
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1 | 株式会社ニコンソリューションズ |
21.7%
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2 | 松定プレシジョン株式会社 |
20.7%
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3 | 日本電子株式会社 |
11.7%
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4 | 株式会社日立ハイテク |
11.3%
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5 | カールツァイス株式会社 |
10.0%
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6 | サーモフィッシャーサイエンティフィック株式会社 |
10.0%
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7 | 株式会社キーエンス |
9.1%
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8 | スリーアールソリューション株式会社 |
5.5%
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注目ランキング導出方法について
注目ランキングは、2023年10月の電子顕微鏡ページ内でのクリックシェアを基に算出しています。クリックシェアは、対象期間内の全企業の総クリック数を各企業のクリック数で割った値を指します。社員数の規模
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2022年2月15日
Precision SEM 3500電子顕微鏡は、低加速電圧においても、高分解能の観察が可能です。
観察モードは、3種類用意されています。汎用SEMと同様の観察モードに加え、ボトムレンズを装備することで、試料とレンズの距離を近づけ、汎用SEMと比べ、高分解能の画像が取得可能です。さらに、ボトムレンズを使用し、低加速電圧で観察することも可能です。
金属材料、昆虫、細胞組織、熱に弱い試料までさまざまな試料の観察に使用可能です。
また、操作画面はシンプルにし、タッチパネル操作により、快適な作業が可能です
超高分解能電界放出型走査電子顕微鏡SU9000は、コールドFE電子源を使用し、他の電子源に比べ、光源径やエネルギー幅が小さいことから、高分解能観察が可能です。
さらに、高精度かつ安定性のコールドFE電子銃を搭載することで、高品質な元素分析も可能です。
SU9000の分解能は、世界最高の0.4nmです。
また、試料室は、従来と比べ、一桁高い真空度合いを維持することで、コンタミネーションの影響を抑えることが可能です。
また、試料ダメージの軽減を目的とした、低加速電圧性能(1kV)も特徴です。
超深度マルチアングル顕微鏡VHX-D500は、マイクロスコープと電子顕微鏡の撮影原理を1台で合わせもつタイプの顕微鏡です。
光学顕微鏡の、手軽にカラーで撮影できる特徴と、電子顕微鏡の、高解像度で観察できる特徴を合わせ持ちます。このことから、高解像度で立体カラー観察を行うことが花王です。
レンズを傾けて観察することにより、見たい角度から観察することが可能です。さらに、観察対象物を360度回転させることも可能なので、見たい角度からの観察も可能です。
JSM-7900Fショットキー電界放出型走査電子顕微鏡は、超高空間分解能や高い安定性を維持したまま、従来の装置より操作性を向上しました。
レンズ制御システムと自動機能技術を統合した次世代電子工学制御システムにより、電子光学条件を変えても、光軸のずれがほぼなく、操作性や精度が向上しました。
新たに開発した、超高感度反射電子検出器を採用したことで、明瞭なコントラストでの観察が可能となり、低加速電圧でも、高いコントラストが得られます。
JEM ACE200Fハイスループット解析電子顕微鏡は、ワークフローを作成することで、操作者が電子顕微鏡操作をおこなわずとも、データを取得できる電子顕微鏡です。
TEMの操作経験が浅くとも使用できるよう、操作盤の使用を最低限とし、画面上のボタンをクリックしていくだけで最終画像が取得可能です。さらに、オートフォーカスやオート試料高さ調整など、さまざまな自動調整機能を備えています。
また、遠隔地からの操作なども可能なことから、複数事業所間でディスカッションをしながら、同時に観察するような使用も可能です。
ZEISS GeminiSEM極低加速フィールドエミッション走査型電子顕微鏡は、低加速電圧下でも、高コントラスト画像の取得を実現できることから、さまざまな試料に対応が可能です。
極低加速電圧における解像度の向上と、コントラストを強調可能なTandemオプションを搭載できます。
また、低加速電圧においても精細な情報と強いシグナルの取得を可能としたGeminiSEM500、より表面を敏感に分析できるGeminiSEM450、高い試料柔軟性を可能としたGeminiSEM300の3シリーズが用意されています。
ZEISS Sigma Familyは高画質イメージングと高度な解析が可能なFE-SEMです。
コストパフォーマンスに優れたsigma300と、簡単・高速で元素分析が可能なsigma500の2シリーズがあります。
ワークフローを自動化することにより、素早いイメージングを可能とし、多人数が使用する環境でも、トレーニング時間を節約可能です。
新たな検出器(C2DおよびVPSE)の利用で、低真空条件でも、コントラストが向上した画像を取得できます。
また、解析データを従来の半分のプローブ電流、時間で取得可能です。
Multi SEM505/506は、世界で最も早いSEMです。
この走査型電子顕微鏡は、24時間動作し続けることを想定して設計されています。データ取得についての手順を設定するのみで、MultiSEMは、自動的に高コントラストの画像を取得できます。
また、試料ごとに調節した、画像の自動取得手順を、容易に構築することが可能です。
大きな試料も適用可能で、10cm×10cmのサンプルホルダーが装備されています。自動化されたプロトコルにより、大面積画像を取得することが可能です。
ZEISS Evo走査型電子顕微鏡は、直感的で使いやすくできており、顕微鏡の専門家のみでなく初心者でも使用可能です。
幅広いオプションにより、生命科学、材料科学、産業分野など幅広い分野での使用が可能です。
“Automated Intelligent Imaging EVO”を使用すると、試料全体の画像を自動的に取得することも可能です。また、日常的な検査に対しては、“ZEISS Automated Intelligent Imaging”を使用することで、必要な視野や倍率で、情報を自動で取得することも可能です。このことから、生産性やパフォーマンスの向上につながります。