インサーキットテスタ

インサーキットテスタとはインサーキットテスタ

インサーキットテスタとは、電子機器の内部の電子回路基板上に実装されている電子部品の個々の電気的な特性を評価するための検査装置のことです。

電子機器が正しく機能するためには、内部の電子回路基板が正常に動作することが必須です。電子回路基板は、電子部品がプリント配線板 (基板) に正しく実装され、電源が供給されることにより動作が可能となりますが、この電子部品が実装された状態の基板を検査するのがインサーキットテスタです。

インサーキットテスタでは、基板に実装された個々の部品の電気的な特性を微小な電力で検査することが可能です。基板を破損せずに不良箇所の位置を特定し、人の肉眼では発見が困難な不良部位を確実に発見することができます。

インサーキットテスタの使用用途

インサーキットテスタは、電子機器や電子部品が搭載された電子回路基板を取り扱う工場の開発や量産ラインの検査工程で、広く用いられています。インサーキットテスタには、プレス型インサーキットテスタとフライングプローブテスタがあります。

プレス型インサーキットテスタは高速検査が可能であり、大量生産基板に適しています。また、検査治具にも使用されます。フライングプローブテスタは検査治具が不要で少量多品種基板に適しており、微細なパターンに対応可能です。

具体的な検査項目には、部品を実装しているハンダのショート・オープン不良、コンデンサ・コイル・抵抗等の定数間違いによる不良、コンデンサ・コイル・抵抗・ダイオード・トランジスタ等の部品欠品不良、IC・コネクタのリード浮き不良、フォトカプラやデジタルトランジスタ、ツェナーダイオードの動作確認などに使用されます。

また特殊な検査では、電気的に検査不可能な部品の画像検査、SOPやQFPなどの接着 (ハンダ) 不良検査、簡易ファンクション検査などにも使用可能です。

インサーキットテスタの原理

インサーキットテスタは、電子基板上で必要な箇所にプローブを当てて、通常動作時のバイアスとは別に非常に微小な電気的な信号を印加させることにより、部品の定数や機能、および内部のビアを含めた信号ラインのオープンやショートなどの不具合を抽出しています。

各種検査をスムーズに実施するために必要な内部構成を有しており、通常は電気検査を行うための計測部と、計測ラインをとらえて認識するためのスキャナ部、および計測ラインを被検査基板上の特定の場所に通電接触させるためのプロービング部、さらにこれらをコントロールするための制御部から構成されています。

プロービング部に測定信号を印加した際の電圧、および電流の値から電子部品の定数を測定します。電気回路は一般的にネットワークを形成しているため、素子個別の定数を測ることが困難です。しかし、インサーキットテスタでは検査精度を向上させるためにさまざまな機能が備わっている機種が多いです。

インサーキットテスタのその他情報

1. インサーキットテスタの機能

ガーディング機能
並列接続による電流が起こす誤差の影響を電気的に切り離す機能です。 

位相分離
抵抗およびコイル、コンデンサによって構成された回路網に交流信号を印加すると、電流と電圧の間に位相差が生じます。この位相差を利用して、各素子の定数を正確に測定することが可能です。

2. フライングチェッカー

フライングチェッカーとは、インサーキットテスタの1種類で、主にプローブを当てて、基板の実装部品のオープンショートを判別する検査装置です。標準的なプレスタイプのインサーキットテスタよりも、検査時間がかかりますが、プログラムやピンボードなどの準備が不要な点を重視したい場合に利用されます。

フライングプローブチェッカーとも呼ばれ、ガーバーデータからネットリストを作成して、そのデータを元に基板の始まりと終わりにプロープを当てて断線を検査します。続いて、そのネットの1点と隣接するネットとの間でプローブを当ててショートを検査します。

フライングチェッカーは、ベアボードチェッカーを改良し、実装後に一般的なインサーキットテストとして使用できるタイプの検査装置も多いです。具体的な検査方法としては、プローブ2本または4本で基板両面から挟み込む形で検査が行われます。この検査装置は、プリント基板のオープン状態と短絡状態を検査するもので、電気的導通を確認するもの、C容量を測定して短絡を見つけるものがあり、一般的には、C容量法の方が、測定時間が短縮可能です。

3.ファンクションテスタ

ファンクションテスタとは、基板の製造工程において、よく比較される同じ様な基板を検査するインサーキットテスタとは、全く別の目的を行う検査装置です。インサーキットテスタは、回路のオープン状態かショート状態かの部品含めた基板の実装状態を検査することが主な目的であったのに対し、ファンクションテスタは回路自体の例えば入出力動作と言った機能が正しく動いているかどうかを確認するための検査装置です。

この機能検査は、通常ファンクションテストと言い、検査する基板のインプット端子に仕様で決まった電気信号を印加して、仕様通り出力されるか否かを検査確認します。また、他にも、スイッチやLEDなどのインサーキットテスタによるオープンショート検査だけでは確認しにくい部品の検査や、MCUや各種ICなどの集積回路動作やソフト書き込み等も実施されています。

一般にインサーキット検査とファンクション検査を比較した場合、製品の動作確認の観点からはファンクション検査の方が重要で、ファンクションを優先に実施する製品の方が大半です。

参考文献
https://www.takaya.co.jp/product/fa/ict/
https://www.jemima.or.jp/tech/3-07-01.html
http://protec5461.co.jp/protec/?p=3143

ピックアンドプレース

ピックアンドプレースとは

ピックアンドプレース

ピックアンドプレースとは、特定の位置にある対象物をつまみ上げ、所定の位置まで移送し、そこに対象物を下ろし、設置するという一連の作業を行う装置およびそのシステムのことです。

工場においては製品の種類を問わず、ラインの主役とも言えます。人間の力では運搬不可能な大きな物体から、マイクロ単位で正確な移動、設置が必要とされる小さな物体にまで対応しており、研究分野においても近年広く使用されています。

ピックアンドプレースの使用用途

ピックアンドプレースは、自動車・機械部品、電子部品、電子機器・家電、食品・医薬品・化粧品、紙・フィルム・線材・建材、検査・試験など多くの製品の製造過程で使用されています。主に工場の製造ラインで使用されることの多いシステムですが、研究分野においてもミクロな対象物の正確な移動・設置・移植を行うために役立っています。

また、従来の問題点であった、部品数の多さから組み立てに時間がかかる、調整の手間がかかる、動作工程が多すぎて煩雑という点を改善可能です。

ピックアンドプレースの原理

実装としては、操作をするロボット部、操作を行うアーム部、対象となる物体を認識するカメラ部分などで構成されています。まず、対象となる物体の位置をカメラによって検出し、検出された画像処理結果をもとに、ロボットが対象となる物体の位置へと移動し、ハンドが対象となる物体をピックします。

次に対象となる物体を置くための位置 (プレース領域) へ移動し、最後にハンドを開いて対象となる物体をプレースします。ピックの仕方には吸着する方法や、吊り下げる方法、アームでつかむ方法など様々です。ピックアンドプレースシステムは、生産性に関わるため、基本的にはスピード、正確さに関してより高精度であることが求められます。

また、作業内容によっては、柔軟性や感度、強度なども必要とされます。機械自体の大きさも、生産ラインで邪魔にならないよう、操作もより簡易に行えるように工夫されているのです。

ピックアンドプレースの種類

ピックアンドプレースの機構には様々なものがありますが、代表例について紹介します。

1. カム方式

カム方式は板カムを使用し、入力軸の回転を前後、上下運動に変換します。アームは前後運動用直線スライドガイドと上下運動用直線スライドガイドに接続されており、入力軸に連結された板カムの回転により、前後・上下方向に移動可能です。

2. ローラギヤカム方式

ローラギヤカム方式は、2組のローラギヤカムで構成されています。1つの回転軸に2つのローラギヤカムが付いており、回転運動を1組が前後運動、もう1組が上下運動に変換します。入力軸を回転させることでアームを上昇、移動、下降と順次動作させることが可能です。

 

これらの機構は入力軸の回転を速くすることで、ピックアンドプレース動作の速度が上がります。また、カムによる位置決めのため、位置繰り返し性は良いですが、ストロークなどの調整はできません。

速度は一般的に、ストローク100 mm以下で1サイクル0.2秒から0.5秒となっており、位置繰り返し性は0.02 mm程度となっています。

ピックアンドプレースのその他情報

1. ピックアンドプレースロボット

ピックアンドプレースを行う設備では、多関節ロボットを使用するものもあります。垂直多関節ロボットは速度は速くありませんが、いろいろな受取、受渡姿勢が可能で、大型タイプを使用することで重量物を広範囲に移動可能です。

自動機などの決まった姿勢で受取、受渡を行い、かつ速度が求められる設備では、スカラロボットが使用されます。スカラロボットは高速水平移動が可能なため、ピックアンドプレース動作を1サイクル0.4秒程度で行うことが可能で、カム式とほぼ同等の速度となります。また、位置繰り返し性も0.01 mm以下となっているものもあり、高速高精度搬送が可能です。

多関節ロボットを使用したピックアンドプレースはカム式とは異なり、受取、受渡位置や移動軌跡を自由に変えることができるので、対象物や移動経路が変わる設備では多関節ロボットが使用されます。

2. 制御方法

多関節ロボットを使用したピックアンドプレースロボットではNC制御でロボットの精密な動作を制御しており、各軸の移動や回転、補助動作をコントロールします。NC制御ではGコードとMコードと呼ばれる2種類のプログラム言語を用いて記述されます。

Gコードでは位置決め等の加工、動作の条件や順番を記述しており、MコードはGコードを補助する役割です。

3. ピックアンドプレースのメリット

ピックアンドプレースは、瞬時の判断力が求められる作業です。コンベアに流れてくる製品の形や色を瞬時に判断する必要があり、従来は人の手で行われた作業でした。

ビジョンセンサ等が発達し、ピックアンドプレースロボットが開発された現在では正確性と衰えることのないスピードが実現可能になりました。人の手では発生していた集中力の低下による判断ミスな作業スピードの低下がピックアンドプレースロボットでは発生しません。

現場によっては中腰の作業で行うことで生じていた身体的、精神的負荷も無くすこともできます。

参考文献
https://www.iai-robot.co.jp/case/industry/inspection/
https://global.canon/ja/product/indtech/fa/pdf/pdf/visionEdition05.pdf
https://www.ckd.co.jp/kiki/jp/product/detail/46/PPLX

照度計

照度計とは

照度計

照度計とは、光源によって照らされる面の明るさを測定する測定器のことです。

光源とは、太陽もしくは蛍光灯や白熱電球、LED照明などを指します。また明るさの定義は単位面積あたりの光束 (lm/m2) であり、単位はルクス (lx) で表されます。スタジオでの写真撮影時に使われる入射光式の露出計も照度計の一種と言えますが、絞りやシャッター速度に換算しやすいように、EV値で表示されることが特徴です。

照度計の使用用途

作業環境の明るさが規定されている場合があります。例えば、学校、工場や事務所など人が作業をする場所の照明設備は、「学校環境衛生基準」、「労働安全衛生規則」および「事務所衛生基準規則」によって照度が定められています。これらの場所において、基準を満たすかどうかを測定するために照度計が使用されます。

科学技術の分野において、明るさが実験結果に影響する場合に照度計が利用されます。前項で挙げた露出計は、写真撮影の際に適切な露出条件を定める為に活用されます。

照度計の原理

照度計は光が照射されている面の明るさを測定し、数値化するものです。従って光の強さを検出するセンサーが必要ですが、その目的に適したものがフォトダイオードです。フォトダイオードは光の強さに比例してフォト電流が流れることと、ダイナミックレンジが広いことから照度計のセンサーとして用いられます。このフォト電流を測定して、明るさに変換することが照度計の基本的な原理です。照度計としては次の2つの要素への対応が必要です。

1. 視感度補正

人間の目は波長555nmをピークとして380nmから700nmの範囲の光 (電磁波) に反応しますが、ピーク波長から離れるにつれて徐々に感度が低下します。この特性は国際的に標準化され標準分光視感効率V (λ) と呼ばれます。一方フォトダイオードの分光感度特性はV (λ) とは全く異なることから、フォトダイオードの表面近くに視感度補正フィルターを設置して、照度計の分光感度特性をV (λ) に近似させています。

2. コサイン補正

平行光束に対して垂直な面の照度をEとすれば、θ傾けた面の照度E’は

                       E’=E cosθ

となります。これをコサイン補正と言いますが、コサイン補正を実現するために照度計の受光部に半球上の透過拡散板を設け、ここを通過した拡散光が視感度補正フィルターを通過してフォトダイオードに入射する構造となっています。

照度計の種類

照度計は、測定範囲や精度、使いやすさなどからいくつかの種類があります。

1. アナログ式

一般的にメーターの針によって表示結果を読み取る簡易点検用のシンプルな照度計です。主に蛍光灯や白熱灯など照明器具の明るさを調べるために使われますが、単機能なので消費電力は比較的少なくなっています。

2. 一体型デジタル式

受光部と本体が一体になっているタイプです。アナログ式に比べ多機能で測定範囲も広いため、主流となっています。一体型で扱いやすいことがメリットです。

3. セパレート型デジタル式

受光部と本体を切り離して測定できるため、測定者からの反射光の影響を減らし、より正確に測定することが可能です。高所や狭い場所においても、受光部だけを光源に対して正しい位置に設置することで測定の自由度に優れます。セパレート型は全般的に高精度で測定範囲もより広い機種が多く、太陽光下から暗中まであらゆるところで使えることも特徴の一つです。測定精度の分類はA級、AA級、精密級の3ランクに分かれており、工業計測ではAA級以上を用います。以前はB級の照度計も存在しましたが、現在は廃止されています。

照度計のその他情報

照度計の使い方

照度計の使い方は簡単で、照度計の測定ボタンを押すだけで測定値が表示されます。比較的小型に作られていますので様々な場面において手軽に使えますが、使い方によっては正しい測定値が得られない場合もあります。使い方の注意事項は以下の通りです。

1. 反射光
照度計には、光源から直接入射光だけでなく、周辺の物体の反射光も取り込むため、測定者の手や顔、衣服からの反射光の影響を受けます。センサーの光検出範囲外に身を置くことや、光の反射率が低い衣類を着用するなどで対応を取ります。

2. 測定する光のスポット径
一般的な照度計に多いレーザーのような細いビーム光の測定では、センサーに到達する経路が入射角度によって変わる為、正確な測定が困難です。照度計の受光エリア (透過拡散板の大きさ) より小さいスポット光を測定する場合は、誤差が大きくなります。

3. 光源と照度計受光部の距離
点光源から発する光の照度測定では、光源と照度計の距離が近いほどセンサーへの入射角が大きくなる為、誤差が発生します。光源から照度計までの距離を1m以上離すことが必要です。学校や職場、工場などにおいて適切な環境かどうかを確認する場合には、指定の基準や測定方法に従う必要があります。

参考文献
https://www.meccs.co.jp/column/92/
https://www.hioki.co.jp/jp/products/listUse/?category=41
https://www.ushio.co.jp/jp/technology/glossary/glossary_ra/Lamberts_cosine_law.html
https://www.ccs-inc.co.jp/guide/column/light_color_part2/vol06.html
https://sakidori.co/article/451267

ノイズカットトランス

ノイズカットトランスとは

ノイズカットトランス (英: noise cut transformer, special isolation transformer) とは、ノイズ障害を未然に防ぐことを目的としたノイズ防止素子です。

1960年電研精機研究所が開発した商標で、一般名称は障害波遮断変圧器やノイズ対策用トランスですが、ノイズカットトランスとも呼ばれています。ノイズカットトランスは、トランス型のノイズ防止素子を実用化したものです。

ノイズの元になっているものと、ノイズによって妨害されている側の電気回路を分離絶縁するので、防止効果が高いのが特徴です。また、分離絶縁形であるため、劣悪な電磁環境下でも機能を発揮できます。

ノイズカットトランスの使用用途

現代の多くの機器は高速化され、多機能であることが私たちの生活を便利にしています。これらの機器は微小電圧によって動作しているため、外部から侵入するノイズにより誤動作を起こす可能性があります。

雷やアマチュア無線、自動車、放電機器、家電製品、医療機器などは、外部からのノイズ侵入が多いです。ノイズカットトランスを使用すれば、これらのノイズを防止し、自らが発しているノイズそのものも外部の回路に漏らさないことができます。

ノイズカットトランスの原理

ノイズカットトランスは、ノイズが2次側に侵入することを抑制します。ノイズには、コモンモードとノーマルモードがあります。

1. コモンモード

コモンモードノイズの場合、低周波 (数10kHz程度) のノイズであれば、絶縁トランスでも多少弱めることができます。しかし、ノイズの周波数が上昇すると、トランスの1次側と2次側との間に存在する静電容量が原因となって、2次側へのノイズの侵入が増加します。

この場合、ノイズカットトランスでは、1次側コイルと2次側コイルの間に静電シールドを加え、それを接地することによって、ノイズの侵入防止が可能です。

2. ノーマルモード

ノーマルモードノイズは、そのまま2次側に出力されるので、本来トランス自体に抑制効果はありません。例えば、雷によるノイズの周波数は、一般機器の電源の周波数 (50/60Hz) と比較して非常に高い周波数です。

これを利用し、電源の低い周波数は通し、高い周波数は弱める特性をフィルタにもたせることで、ノーマルモードにおけるノイズを抑制できます。

ノイズカットトランスの構造

ノイズカットトランスの構造は、従来の絶縁トランスの構造に加えて、コイルトランスの外周に、多重の包覆電磁遮蔽板を設けたものです。さらに、コイル配置や磁心材質と形状を高周波ノイズの磁束が、コイル相互に鎖交しないように作られます。これにより、静電容量結合と電磁誘導によるノイズの伝達を防止できるので、ノイズ遮断に対して非常に優れたトランスです。

ノイズをカットしたい時、概ね行う対策は、ノイズの発生源を絶縁することです。実際の絶縁対策は、回路上でほとんどの場合、フォトカプラを使用します。そして、フォトカプラを使わない場合の対応方法が、絶縁トランスです。

コストやスペースの問題から、基板上のフォトカプラで対応した方が望ましですが、基板が使用できない場合は、絶縁トランスを使用します。しかし、絶縁トランスも万能ではなく、1次側巻線から来たノイズの影響を、2次側巻線も受けます。ノイズカットトランスを使用すれば、この問題の解決が可能です。

ノイズカットトランスのその他情報

ノイズカットトランスのアース

電気回路のグランドとグランドの間で、電位の異なる場所やグランドが接地不可の箇所でも、ノイズを防止する施策はあります。まず、ノイズカットトランスを設置することです。

それでも効果がない時は、ノイズカットトランスを設置している場所をグランドとできる限り広い面積で接触させます。入力ケーブルと出力ケーブルをノイズが遮蔽できるシールド線にして、このシールド線とノイズカットトランスのケースを広い面積で取り付ける方法も効果的です。ノイズ除去効果の向上が期待できます。

参考文献
https://www.denkenseiki.co.jp/noise-blog/2345/
http://www.totora.co.jp/other/noise_cut_kouka.pdf
http://www.totora.co.jp/other/noise_cut_earth.pdf
http://www.sanwa-denki.com/kaisha/denken/shiryou01.pdf

FPGA

FPGAとは

FPGA

FPGAとは「Field Programmable Gate Array」の略で、設計者がフィールドで論理回路の構成をプログラムできる論理回路を集積したデバイスのことです。

専用ロジックICは回路が固定されていて、一部を変更する際もマスクなどの再設計/再製作が必要になりますが、FPGAは設計者が自由に回路を変更できる論理回路であることが特徴として挙げられます。

従来よりその目的に合致したデバイスとしてPLDがありましたが、そのPLDを大規模化しかつ回路構成をSRAMに書き込むことで、何度でも回路変更が可能としたのがFPGAです。FPGAは米国ザイリンク社によって開発されました。

FPGAの使用用途

FPGAは、車載用機器やデータ・センサー、ディープ・ラーニングなどに使用されています。CPUによるプログラム処理では間に合わない高速論理演算を実行する場合、大規模な論理回路が採用されます。その為に専用LSI (ASIC等) を設計/製造することが対応策の一つですが、専用LSIは回路変更が困難です。

一方、FPGAでは回路設計者がアプリケーション回路を自由に設計できるとともに回路変更も容易なので、論理回路の開発コストを大幅に低減できます。この特徴によりFPGAは多様な分野で広く使われるようになりました。

1. 車載用機器

車載用機器に採用される理由として、開発サイクルの短縮、変更に対する柔軟性、要求品質に適合したデバイスの登場などがあります。その具体例として、運転支援システムの映像解析が挙げられます。

運転支援システムでは、車載カメラから得られるリアルタイムの映像信号を瞬時に解析してドライバーの運転操作を支援する必要があり、低遅延かつ高精度なアルゴリズムが必要とされています。これに対応するには高速な演算処理が必要ですが、それを満足しかつデバイス内の電子制御機能を必要に応じて変更できるFPGAが適しています。

2. データ・センター

データ・センターの分野でもFPGAの採用事例が増えています。特にCPUに代わって、AI、セキュリティ、認証、リアルタイム解析、ディープラーニング等の処理を担います。また、大規模データシステムのパフォーマンスを向上させるためにFPGAを採用するケースもあります。ネットワーク/ストレージシステムに対して広帯域幅かつ低遅延の接続性を提供することで、データ処理の高速化を実現します。さらにデータ圧縮、フィル処理などにも対応します。

3. ディープ・ラーニング

ディープ・ラーニングの世界では、日進月歩で最適モデリングが変わっていくために、FPGAの回路変更の柔軟さが極めて有効です。この用途の様にシステムを頻繁に向上させる使い方には最適なデバイスです。

FPGAの原理

FPGAはプログラム可能な比較的小規模の論理ブロックを格子状に配置し、その間に縦方向と横方向に配線路を設けた構造を基本としたLSIです。一つの論理ブロックは小規模ですが、多くのブロックを組み合わせることで大規模な回路を実現しています。

基本的な論理ブロックは、LUT (Look Up Table) とフリップフロップ、更に付加回路を追加して基本論理ブロックが構成されます。また、論理ブロックは、配線路に設けられたスイッチ・マトリックス (トランスファ・ゲート) によって任意に接続できます。

LUTはSRAMを利用します。スイッチ・マトリックスのON/OFFも、SRAMに書き込まれたデータにより制御されます。尚、SRAMは電源が切れるとデータが消えてしまうため、FPGAは電源を投入する際に外部から回路情報 (コンフィグレーション・データ) を読み込みます。

FPGAの内部構成は、基本要素である論理ブロックの他、内部配線路、クロック専用配線、乗算器 (DSP) 、I/O部、PLL、ブロックRAMなどです。これらはどのような回路パターンであっても配線しやすいように、網の目状に並んでいます。

FPGAのその他情報

1. 設計ツール

従来FPGAの設計には、RTL (Register Transfer Level) が設計言語として使用されてきました。設計者のRTLをもとに、FPGAベンダーが用意しているツールからFPGAに書き込むダウンロードファイルが生成されていました。

しかし、最近は高位合成コンパイラといわれるツールがFPGAベンダーからリリースされています。この高位合成コンパイラを利用することで、効率的な設計が可能になると同時に、回路の検証時間も減少するようになりました。其の結果製品開発の期間を短縮することに貢献しています。

現在、FPGAベンダーが提供している高位合成コンパイラは下記の3つです。

  • モデルベース (DSP) コンパイラ
  • HLSコンパイラ
  • OpenCLコンパイラ

FPGAを用いて回路検討する際には、通常評価ボードを使用します。その評価ボードは、半導体ベンダー、評価ボードのメーカー、受託設計業者など、様々な会社から販売されています。そのため、評価ボードの種類も非常に多く、技術レベルや目的に応じたものを選択することが必要です。代表的なメーカーとして下記の6つが挙げられます。

  • HiTech Global
  • BittWare
  • TUL
  • IOxOS
  • ポートウェルジャパン
  • ANVENT

2. 市場

グローバルインフォメーション社の2020年4月のレポートでは、FPGA市場は2020年の59億米ドルに対し、2025年は86億米ドルと予測しました。年平均成長率 (CAGR) は7.6%となる見込みです。詳細な数値は明らかにされていませんが、FPGA市場をテクノロジー・ノードで分類すると、2019年は28nm未満の製品構成比率が最大になったようです。

更に、低消費電力製品の登場などにより、2025年に向けても28nm未満の製品が高い伸びを示すとの予測を示しています尚、2020~2025年のFPGA市場を牽引する用途としては、クラウド・コンピューティングに向けたハイパフォーマンス・コンピュータや5Gネットワーキングなどが挙げられます。

参考文献
https://www.sbbit.jp/article/cont1/37659
https://www.fsi-embedded.jp/kumico/column/45/
https://www.atmarkit.co.jp/ait/articles/1710/11/news002.html
https://jp.mathworks.com/discovery/fpga.html
https://www.intel.co.jp/content/dam/altera-www/global/ja_JP/pdfs/literature/wp/mcu_to_fpga_design_guide.pdf
https://qiita.com/kannkyo/items/0927114c3fa2545e9d76
https://www.gii.co.jp/report/mama930818-fpga-market-by-configuration-low-end-fpga-mid.html

リニアサーボモーター

リニアサーボモーターとはリニアサーボモーター

リニアサーボモーターとは、回転軸を内蔵していない電気モーターのうち、機械制御に活用されるサーボ機構に用いる直線動作が可能なモーターのことです。

一般的なモーターは回転型の運動をするのに対して、リニアモーターは一般的に直線型の運動をします。リニアモーター自体は、リニアモーターカーなどで広く知られている駆動推進のための装置であり、サーボモーターはサーボ機構において位置、速度等を制御する用途に使用するモーターです。

これまで、産業機械や測定器の直動システムにおいて、回転型のサーボモーターが主流でしたが、近年は永久磁石から発生する磁束とコイルに流れる電流との作用 (フレミングの左手の法則) により動くリニアサーボモーターが注目されています。

リニアサーボモーターの使用用途

リニアサーボモーターの使用用途はさまざまです。特にサイズによって、使用用途は異なります。

1. 小径 (Φ4~12mm)

デスクトップタイプの装置に使われます。工業製品や生物バイオ関連などの観察用途が主です。高解像度化が進む画像とその画像処理が求められている分野では、シャフトモーターの高度な分解能が求められています。

2. 中経 (~Φ35mm)

このサイズは最も多く採用され高推力、高精度かつ高速であることが求められている分野、工作機械や半導体装置の各種位置決めや可動部などに広く使用されています。

3. 大径 (~Φ60mm)

その他、大きな加速推力が必要とされる特殊な機械に使用されます。

リニアサーボモーターの原理

リニアサーボモーターの直線的な動作は、磁石を軸としたシャフトとコイルが入った可動子から成り立つリニアモーターが、コイルに流れる電流と永久磁石から発生する磁束との作用、すなわちフレミングの左手の法則により推力が発生する原理を利用しています。

通常シャフトはステンレスでできたパイプの中に磁石を等間隔に詰め、可動子は、シャフトをの周りを覆うように巻かれた3相のコイルで構成されています。可動子はシャフトと接触せず、組み込まれても推力自体には影響はなく、取付けは簡単なことが特徴です。永久磁石から生じる磁気誘導束とコイルに流れる電流との作用によって推力が発生することで作動します。

シャフトを使用したモーターの特徴は、精度の高いリニアスケールを使用すると高精度の位置決めが可能であること、バックラッシュがないこと、コアがない状態であるためコギングがほとんど発生しないことなどです。なお、コギングとは、モーターにおいてシャフトと可動子との磁気的な引力が回転角度に依存して、細かく振動することを指します。

ねじやナットなどの機械構造を内部に持たないので、高速運動が可能です。運動精度が優れている一方で、固定されている側と運動する側が接触していないために剛性は低く、抵抗が大きい重切削には不適です。半導体などの電子部品や医療部品などの加工に使われている機器に使用されています。小型で、構造もシンプルであることが機器に組み込む際の利点です。

リニアサーボモーターのその他情報

1.リニアサーボモーターをアクチュエータに活用する際のメリット

昨今の高性能な工業機械で要求される項目に、高精度な加工と加工の高速化の両立があげられます。リニアサーボモーターが製品化される以前は、リニア動作用のアクチュエーターとして、回転型モーターとベアリングを構成要素とするボールねじの組み合わせで、回転方向の動力を直線方向の動力に変換していました。

従来手法では精度の向上と動作速度の両立が技術的に困難であり、メンテンナンスの頻度も多くなりがちなのです。しかし、リニアサーボモーターは非接触であるが故、高速動作に優れ、その位置決め精度も高精度化しやすく、メンテナンスの手間もいらない多くの利点を有します。

2.リニアサーボモーターをアクチュエータに活用する際の課題

リニアサーボモーターを工作機械に適用する場合の課題はその出力密度と制御性にあります。従来の回転型モーターとボールねじでの駆動と比較して動作の制御性が難しく、高い出力密度を確保するには高い技術力が求められます。

昨今のメーカーの技術革新により、これらの課題は克服され、徐々にリニアサーボモーターが工作機械や産業機器へ広く用いられるようになっています。

参考文献
https://www.pulsemotor.com/feature/shaftmotor2.html
http://www.taiyo-ltd.co.jp/kpl_jp/product/Catalogue/pdf/parker/Linea%20gijutsu.pdf

放射線測定器

放射線測定器とは

放射線測定器

放射線測定器とは、放射線の強さや放射線の量を計測する機器です。

放射線には主に5種類あり、それぞれ異なる原理で計測されます。また、計測する対象も空間などの放射線量を計測するものと、個人が累積して受けた放射線の量を計測するものがあります。

原子爆弾や核兵器、原子力発電所の事故などで怖いイメージがありますが、私たちが日頃暮らしている空間にも存在するものです。放射線測定においては、計測の対象とする放射線の性質によって、使用する計測器が異なります。

さらに、放射線量の高い場合、低い場合、あるいはアルファ線・ガンマ線・ベータ線・エックス線という放射線の種類によっても使用できる測定器が変わります。

放射線測定器の使用用途

1. シンチレーション式放射線測定器

シンチレーション式放射線測定器は、一般環境の空間放射線量率の測定に用いられます。また汚染源からの距離の変化で測定値が変動するため、汚染源がどこにあるのかという特定にも活用できます。

空間放射線量率とは、空間放射線の量を1時間あたりに換算したものです。また、空間放射線とは空間を飛び交っている放射線であり、宇宙から降り注いできるものや、自然界から発せられるものもあります。

空間放射量率の単位は、hGy/h (ナノグレイ毎時) です。Gy (グレイ) は人体を含む物質が吸収した放射線の量であり「吸収線量」とも呼ばれています。

2. GM (ガイガーミュラー) 管式放射線測定器

GM管式放射線測定器は、主にベータ線の測定に使われ、体表面汚染の程度の測定に使う測定器です。ガンマ線やエックス線の測定や、空間放射線量率にも使用可能ですが、精度はシンチレーション式に劣ります。

作業員等の衣服や体表面に放射性物質が付着しているかどうかを測定する際や、研究実験における核種の分析にも使用されます。

3. 電離箱式放射線測定器

電離箱式放射線測定器は、空間放射線量率の測定に用います。ただし、電離箱式は強い放射線しか検知できないため、CT機器やレントゲン機器などエックス線を使った装置を製造する現場やそれらを使用している医療現場、原子力の作業現場など放射線の多い環境で使用する測定器です。

4. 個人線量計

個人線量計は装着した人が一定の期間中、どの程度放射線に被曝しているかを、累積量として計測します。個人線量計が使われるのは、放射性物質を扱う施設です。

原子力発電所など、放射線被曝の可能性が高い区域は管理区域として指定されており、立ち入る際には個人線量計を装着して、立ち入った間の被ばく線量を計測することが、法律によって義務付けられています。

放射線測定器の原理

放射線は物質を通過する際に、物質の相互作用を起こします。放射線測定器の原理は、放射線と物質間における相互作用を利用しています。

GM管式放射線測定器や、電離箱式放射線測定器では、放射線と気体間との電離作用を利用しています。電離作用とは、放射線が物質中の原子核の電子を、外側にはじき出す作用のことです。GM管式放射線測定器や電離箱式測定器では、電離作用によって生じた電流を電気信号へと変換することで、放射線量の値を算出します。

シンチレーション式放射線測定器では、物質間の励起作用を利用します。励起作用とは、放射線が原子核の電子にエネルギーを与えることで外側の軌道にはじき出す作用のことです。励起作用では、活性化状態で高エネルギー状態である励起状態から、安定な基底状態に戻る際に、もっているエネルギーを光として放出しますが、この際にからシンチレータ発せられる微弱な光を、光電子増倍管によって増幅し電気信号に変換することで放射線を計測します。

シンチレータはエックス線とガンマ線に反応して発光する物質で、放射線の測定には一般的にNal ヨウ化ナトリウム や、Csl ヨウ化セシウムが用いられています。個人線量計でも蛍光の原理が用いられており、個光刺激ルミネッセンス線量計や、蛍光ガラス線量計、電子式線量計と呼ばれるものがあります。

放射線測定器のその他情報

放射線の単位

放射線に関するニュースでは、普段聞きなれない単位が用いられることがあります。主な単位は、Bq (ベクレル) とSv (シーベルト) です。

ベクレルは、1秒間に崩壊する原子核の数を示したものであり、放射線物質が放射線を発生する能力を表します。一方でシーベルトは、人体が受けた放射線による影響の度合いを示すものです。2つの単位は放射線を発生する側と、放射線を受ける側で表したものになります。

参考文献
https://www.daitoku-scale.co.jp/magazine/9901281
https://www.keisokuten.jp/static/sp_rm.html
https://www.env.go.jp/chemi/rhm/h28kisoshiryo/h28kiso-02-04-02.html
https://www.jemima.or.jp/tech/6-03-02-06.html

電位計

電位計とは

電位計

電位計とは、回路の2点間の電位差によって、電位や電圧などを正確に計測できる機器です。

帯電した導体間の静電引力や静電反発力を利用することで、回路から電流を流しこまずに計測可能です。電位計の代表的な形式として、象限電位計と振動容量電位計が挙げられます。

象限電位計は金属製の可動片(4つに分割された円板間が針金でつり下げられている) によって測定し、電位のほかに微小電流、低力率 (供給電力中の消費電力の有効利用率が低いことの指標) などの測定にも利用可能です。

振動容量電位計は、入力と並列の電気容量を変化させることで直流の入力を交流に変換した後、更に増幅してその出力を読取るという仕組みです。しかし、取扱いに技能を必要とするため、近年ではデジタルマルチメーターが広く使われています。

電位計の使用用途

電位計は、通常の電圧計で評価が困難な場合によく用いられます。具体的な用途は、以下の通りです。

  • 内部の抵抗が高い電源における起電力を測定する場合
  • 結晶体、摩擦電気など圧電気のように高電圧であるものの電流がとれない場合
  • 電流を流せても陽極と陰極の分極が生じて、起電力の正確な値が測定できない場合

電位計は、一般的な電圧計と比較すると入力抵抗がKΩオーダーと非常に高いです。そのため、放射線や静電気、絶縁材料などの分野で電位、絶縁抵抗、電荷、微小電流の測定に使用されています。

電位計の原理

電位計は、静電気を計測する表面電位測定器の場合、静電誘導現象を用いて帯電した物体からの誘導電荷を電流に変換し、交流電圧値から帯電電位を測定しています。

表面電位測定器の測定部である表面電位のセンサは、静電誘導現象を利用しています。静電誘導現象とは、帯電した物体を導体に対して近づけた際に、帯電した物体に近い側に帯電した物体とは逆の極性の電荷が引き寄せられる現象のことです。

電位計において、静電界強度 (電場の強さを示す値で、帯電物体の帯電電位に比例する) を検出電極が受け取ると、誘導電荷が生じます。この静電界強度を振動電極で周期的に変化させると、誘導電荷も同調して周期的な変化をし、検出電極からアース(接地極)に変位電流が流れます。この際に流れた電流を抵抗により交流電圧信号に変換することで、帯電している物体の帯電電位を測定可能です。

測定される値は、距離、物体の大きさ、環境条件 (温度・湿度など) に影響をうけるため、これらの因子を一定にして比較検討を行う必要があります。

電位計のその他情報

1. 人体電位測定器について

電位計の中でも、特に人体の電位を正確に測定するための機器が、人体電位測定器です。人体電位測定器を用いると、測定した電位の値をもとに、作業者が持っている電子デバイスの帯電や工具類からの放電電流により、電子機器が破壊するかどうかを判定できます。

また、人体電位測定器により、リストバンドや静電マット、静電靴等の静電気対策がどの程度人体の電位を低減可能か評価することも可能です。

2. 酸化還元電位計の注意点

電位計の中でも酸化還元電位計の場合は、電極の中の塩化カリウムが析出し、先端部の穴をふさいでしまうため、電極の先端部を乾燥させないよう注意が必要です。水を平均化させるために、電極で水をかきまぜながら計測します。

仮に酸化還元電位計の数値が異常を示す場合は、水アカや酸化皮膜などの付着などが原因である可能性が高いです。水アカがセンサに付着した時は、先端部を柔らかいブラシのようなもので軽くこすって水道水で洗い流します。

それでも酸化還元電位の数値が異常を示す場合は、中性洗剤を希釈したものを柔らかいブラシなどにつけて洗うと良いです。酸化皮膜がセンサに付着した際は、検知極研磨剤を使う必要があります。

輸送中の揺れで酸素が発生するため、購入したばかりでも酸化皮膜ができることがあります。また、きれいな水を測定する場合は、酸素量が多いため酸化皮膜の形成に注意が必要です。

参考文献
https://kotobank.jp/word/%E9%9B%BB%E4%BD%8D%E8%A8%88-102045
https://faq01.mitsubishielectric.co.jp/faq/show/6107?category_id=406&site_domain=default

https://ureruzo.com/orp-info.htm

高周波リレー

高周波リレーとは

高周波リレーとは、高周波信号を切り替える素子のうちの1つです。

高周波リレーは一般にコネクタをもたないため、はんだ付けを行って使用され、高周波特性は基盤の影響を大きく受けます。また、リレーを高周波回路で使用する場合、アイソレーション (接点が開いている場合の接点間 (回路間) の信号の漏れ) と、インサーション・ロス (接点が閉じている場合の信号の損失) という問題があります。

高周波リレーの使用用途

高周波リレーは、高周波回路と呼ばれる回路を有する機器に使用されています。高周波の信号を制御するためには、普通のリレーではなく、高周波に特化したリレーが必要です。

例えば、携帯電話基地局、放送機器、計測機器、無線機などが挙げられます。また、家庭内にも広く普及している無線LANやBluetoothも用途の1つです。いずれも、各種機器の内部における信号をスムーズに切り替えるという役目を担っています。

高周波リレーの原理

高周波リレーは、一般的なリレーと同様の構造をしています。

1. リレーの原理

リレーでは、鉄芯に巻かれたコイルに微小な電気が流れることで、電磁石の働きで鉄片が引き寄せられ接点同氏が接触し、回路がつながることで電源から直接、電装品へ大きな電気を流すことができます。端子間の電気が遮断されると、コイルに発生していた磁場が消滅し電装品の動作が停止する仕組みです。

高周波回路でリレーを使用する場合は、アイソレーションとインサーション・ロスが問題になります。

2. アイソレーション

アイソレーションは、リレーオフ時の出力端子間の抵抗に相当します。高周波ではリレーがオフ状態であっても、信号の漏れが発生します。アイソレーションは、この信号の漏れの度合いを示すパラメータです。

周波数が高くなると漏れが大きくなり、アイソレーションの値自体は小さくなる傾向があります。回路間での混信の原因になります。

3. インサーション・ロス

インサーション・ロスは挿入損失とも呼ばれ、接点が閉じている時に発生する接点間での信号損失を指します。周波数が高くなると接点間 (回路) での信号の損失が大きくなることで、正確に信号の伝達が不可能になり、発熱の原因につながります。

つまり、信号の周波数が高くなった際にも、接点が開いている際には接点間での信号の漏れが少なく、接点が閉じている時に信号の損失が少ないことが重要です。

4. リターン・ロス

信号経路の途中でインピーダンスが変化する箇所があると、信号の一部が受信側まで到達せずに送信側に戻る反射と呼ばれる現象が発生します。

信号反射の程度をリターン・ロスと呼び、入力電力と反射電力の比を用いて表します。反射の程度を示す他の指標としてVSWR (Voltage Standing Wave Ratio) があります。VSWRの値は、1に近いほど反射が少なく、良い特性であるという意味です。

高周波回路に使用されるリレーには、一般的なリレー特性以外に高周波特性が必要とされるため、上記のようにアイソレーションが大きく、インサーション・ロスが小さいことが必要です。また、信号の反射の程度を示すリターン・ロスは大きく、VSWRは小さく、抵抗の値を示す特性インピーダンスが適切であることが求められます。

高周波リレーのその他情報

高周波回路

高周波回路とは、高周波時の動作が低周波時の動作と異なる電子回路を指します。無線LAN等、周波数が数GHzに及ぶ電子信号を扱う回路は高周波回路です。

電子信号が高周波になると、電子回路の場所ごとに信号の電流や電圧レベルが異なることを考慮する必要があります。この振る舞いを扱う回路は、分布定数回路と呼ばれます。

参考文献
https://toragi.cqpub.co.jp/Portals/0/backnumber/2004/12/p130-131.pdf
https://toragi.cqpub.co.jp/Portals/0/backnumber/2004/08/p114-115.pdf
https://www3.panasonic.biz/ac/j/control/relay/device-hi/index.jsp
https://www.mskw.co.jp/support/car/relay

データロガー (記録計)

データロガー (記録計) とは

データロガー (記録計)  (英: data logger) とは、センサにより計測・収集した各種データを保存する装置です。

最速で10~1,000回/秒 (10~1,000Hz) の速度で記録するため、信号観測を行う装置の中ではやや遅いものを対象としています。コンピューターとは独立して動作し、記録できるというのが利点です。

単一チャネルのロガーから、数百の入力を扱うことができるロガーまで、用途によって様々です。データロガーには、紙に記録するタイプと、デジタルやアナログでメモリーに記憶するタイプがあります。

データロガーの使用用途

データロガーは、温度、湿度をはじめ、振動、音、速度、加速度、電気量など、ほとんどの物理現象のデータ記録が可能です。複数のデータを同時に記録できるため、データ間の相関関係を調査する目的での利用されます。例えば、室内の気温、湿度、風速のデータなどです。

1. 室内の温度分布

データロガーは、数百の多チャンネルデータを記録できるので、エアコンによる室内の温度分布や風速分布、温度・湿度の降下速度などの評価が可能です。

2. クラッチの耐久性

自動車のクラッチにかかる圧力・応力・温度を記録して、耐久性の評価試験を行います。

3. 精密機器の物流試験

精密機器の輸送中の振動による破損や機能不良を評価するため、データロガーを使用して、実輸送試験や振動台上試験を実施します。

データロガーの原理

紙に記録するタイプのデータロガーでは、入力された信号に比例した位置にペンを移動させるペン・サーボと呼ばれる仕組みが備わっています。ペン・サーボは、記録紙の余白にチャネル番号やタグネーム、記録時間などの情報も印字が可能です。

ペーパーレスタイプのデータロガーでは、温度などのデータを内部のメモリに保存します。そして、おもに外部コンピューターにダウンロードして解析を行います。新しいモデルでは、保存したデータを本体でも解析が可能です。

記録の形式はそのモデルに依存しますが、専用のアプリケーションで視覚化、解析がスムーズに行えます。データロガーは、基本的にサンプルレートが低いため、1日単位だけではなく、1週間、1か月など長時間の記録も可能です。

データロガーの特徴

1. 設定・操作が容易

小型・軽量な設計で、設定や操作が容易になり、手軽に計測ができます。バッテリユニットや無線LANを活用して、現場での測定が簡単です。

2. 異種類のデータ同期

電圧、温度、ひずみ、加速度、パルスなど混在する種類のデータを完全に同期して保存・解析ができます。

3. データ解析が簡単

パソコンソフトが用意されており、簡単に解析が可能です。

データロガーのその他情報

1. ペーパー式アナログデータロガー

現在、データロガーの殆どがデジタル化された中で、ペーパー式のアナログデータロガーは稀少な製品となっています。長年愛用された記録幅100mmの機種があります。2~6チャンネル入力の伝統的な打点式機種と1~3入力のペン書式機種です。

入力の種類や目盛は固定仕様ですが、設定項目が少なく誰でも簡単に使えます。熱電対や測温抵抗体などの入力に対し、温度の目盛は直線的で読み取りし易いアナログ方式です。熱電対と測温抵抗体などの異なる種類の入力組合せも可能です。

取付方法はパネルを埋め込むタイプで、総重量は約1.6Kgのため持ち運びも便利です。

2. データロガーのペーパーレス化

最近の記録計は、ペーパーレス化が進み、ほとんどがペーパーレス記録計になっています。本体に操作パネルがないペーパーレスのデーターロガーは、パソコンから設定/操作/記録の検索/加工/表示/記録保存を行うため、操作するPCソフトの重要性が高まっています。

また、測定結果を画面に表示できるデーターロガーは、本体だけで記録されたデータの表示や検索が、容易に操作できる機能があります。現在では、カラー画像ディスプレイの複数チャンネル品や、測定結果表示をパソコンで実施するもの等、多彩な製品が開発されています。

参考文献
https://www.techeyesonline.com/tech-column/detail/Reference-Recorder-01/
https://www.chino.co.jp/products/recorders/el3000/
https://ednjapan.com/edn/articles/1812/04/news003_3.html