ナンバープレート認識カメラ

監修: 株式会社グラスフィアジャパン

ナンバープレート認識カメラとは

ナンバープレート認識カメラ

ナンバープレート認識カメラとは、車両のナンバープレートから車両番号や地名を取得する機能があるカメラです。システムの構成の仕方やアプリケーションの合わせ方によって、取得した車両番号や地名、交通量等をデータ化し、防犯目的の他にもマーケティング等に生かすことが可能です。

ナンバープレート認識カメラの使用用途

1. セキュリティ向上や車両入出庫管

ナンバープレート認識カメラの使用例

図1. ナンバープレート認識カメラの使用用途 (1)

物流倉庫等車両の出入りが多い場所の出入り口に設置し、出入りする車両をナンバープレートのデータで管理することで、コストの削減や事故のリスクマネジメント、セキュリティ向上などに効果があります。

2. マーケティングへの活用

ナンバープレート認識カメラの使用用途

図2. ナンバープレート認識カメラの使用用途 (2)

観光地や商業施設の駐車場に設置し、ナンバープレートから地域に関する情報や、通過した車両台数の情報等を収集しデータ化・グラフ化するなど、リスクマネジメントに加えマーケティングへの活用も期待されます。

ナンバープレート認識カメラの原理

撮影されたナンバープレートの画像を解析することで、車両番号や地名等を読み取ります。ナンバープレート認識カメラシステムには、生体認証にも使用されているAIディープラーニング(人工知能による機械学習)が使われていることが多いです。繰り返し認識させAIに学習させることで、更に精度の高い認識が見込まれます。

ナンバープレート認識カメラを利用する上で気をつけたいこと

〇プライバシーについて
ナンバープレートに記載されている車両番号や地名等は個人情報にはあたりません。しかし、ナンバープレートを認識する際に撮影された画像に、個人を特定する情報が含まれる場合は個人情報にあたります。また顧客情報等の個人情報と紐づけするような運用をしている場合も、これらの情報は個人情報となります。

ナンバープレートの情報を収集し社内でデータ分析を行う場合には、本人の許可を取る必要はありませんが、運用方法によっては個人の許可を取る必要があります。

また昨今のインターネット上では、思わぬところから個人情報が特定されてしまう可能性があります(ナンバープレートの画像が記録された時間や撮影場所等より)。そのため、個人情報にあたらないとしても、漏洩することがないように厳重にデータを管理する必要があると言えます。

参考文献

(個人情報保護委員会)「個人情報の保護に関する法律についてのガイドライン」及び「個人データの漏えい等の事案が発生した場合等の対応について」に関するQ&A(https://www.ppc.go.jp/personalinfo/contact/
(総務省HP)「利用者支店を踏まえたICTサービスに係る諸問題に関する研究会第一次提言(案)」
https://www.soumu.go.jp/main_content/000028227.pdf

本記事はナンバープレート認識カメラを製造・販売する株式会社グラスフィアジャパン様に監修を頂きました。

ソーラーカメラ

監修: 株式会社グラスフィアジャパン

ソーラーカメラとは

ソーラーカメラ

ソーラーパネルにより給電し稼働するカメラ全般です。

給電・通信経路を確保する必要がない製品が多く、電気供給やネットワーク環境に乏しい場面など、配線が必要な従来カメラでは活躍が難しい場面でも使用することができます。

ソーラーカメラの使用用途

    1. 広い田畑、牧場、山中など、電源・通信経路確保がしづらい場所でのご使用 
      広い田畑、牧場、山中など、電源・通信経路確保がしづらい場所でのご使用広い田畑や牧場の鳥獣被害の監視、または山中の不法投棄監視を目的とした設置など、電源やLANケーブルの経路確保がしづらい場所であっても稼働することができます。機器によっては録画だけではなくライブビューが可能のため、人が常駐・訪問することが難しい場所であっても、通常カメラと同じように使用することができます。
    2.  

 

  1. 建設現場等での一時的な映像記録
    建設現場等での一時的な映像記録建設現場において一定工事期間のみ録画をしたいといった場合であっても、電源や通信回線を引く必要がないため、カメラの設置のみで映像記録が可能です。
    例として進捗状況の確認、建設資材の盗難防止等に適しています。

ソーラーカメラの原理

ソーラーパネル一体型のカメラは太陽光発電により給電を行うため、給電経路の確保を行う必要がありません。発電した電力は搭載されているバッテリーに蓄電されている場合が多く、天候不順の際にはバッテリーからの給電によって稼働します。

また完全ワイヤレスを目指すために、LTEルーターを含むLTE通信に必要な機器を一体化し、これによりライブビューを行う機器が多くあります。

※機器によってはLTEルーター通常搭載で、カメラに有線LAN接続ポートがあり、アンテナ経由でネットワーク接続が可能なカメラもあります。

ソーラーカメラを利用する上で気をつけたいこと

  1. LTE通信によるライブビュー閲覧の際の通信費
    完全ワイヤレスのソーラーカメラでライブビューを閲覧する際には、多くの場合LTE通信を利用することになります。常に動画をリアルタイムで閲覧することになると、通常のカメラで閲覧するより多くの通信費がかかるため、運用の際には注意が必要です。
  2. バッテリー稼働の継続時間
    天候不順の際には、晴天時に蓄電されたバッテリーによりカメラが稼働することになります。機器によりバッテリーのみによる稼働時間は変わってきますが、消費電力を抑えるなど稼働時間を延ばす工夫を施している機器もあります。

参考文献

https://www.grasphere.com/1701/

本記事はソーラーカメラを製造・販売する株式会社グラスフィアジャパン様に監修を頂きました。

組み込みソフトウェア

組み込みソフトウェアとは

組み込みソフトウェアとは、我々の身の回りに存在するパソコンや携帯電話、電子レンジ、冷蔵庫、カメラなどの電子機器に組み込まれたソフトウェアのことを指します。

組み込みソフトウェアの定義は諸説ありますが、一般的にはコンピューターに命令を行い、電子機器の制御などを行うためのプログラムのことです。

例えば、冷蔵庫に組み込まれているソフトウェアは、扉の開閉に伴う内部温度の制御や外部温度の変化に伴う温度制御などを行なっています。これらの指示を装置に対して行うことで、必要な動作を実現しているのが組み込みソフトウェアです。

近年はIoT(Internet of Things)の普及により、ますます組み込みソフトウェアの重要性が高まっています。

組み込みソフトウェアの使用用途

組み込みソフトウェアは前述した通り、我々の身の回りに存在する電子機器に組み込まれているソフトウェアです。しかし、組み込みソフトウェアは、ユーザーが使用する機器だけではなく、工業用設備の機器やロボットの一部などにおいても利用されています。

1. 家電製品

電子レンジ、冷蔵庫、洗濯機など、家電製品のほとんどに組み込みソフトウェアが搭載されています。

2. 自動車

エンジン制御、ABS、カーナビなど、自動車の様々な機能を制御しています。

3. スマートフォン

電話機能、カメラ機能、アプリの動作など、スマートフォンの基本的な機能を実現しています。

4. 産業機器

工場などで使われるロボットや生産ラインの制御システムなど。

組み込みソフトウェアの原理

組み込みソフトウェアは、私たちの身の回りのあらゆる電子機器に組み込まれ、その機器の機能を制御する重要な役割を果たしています。その役割は多岐にわたりますが、大きく以下の4つに分類できます。

1. 機器の制御

温度センサー、湿度センサー、加速度センサーなど、様々なセンサーから得られるデータを収集し、そのデータに基づいて機器を制御ししたり、モーター、ディスプレイ、LEDなど、機器の動作に必要な部品を制御します。例えば、エアコンでは温度センサーで室温を検知し、その情報に基づいてエアコンの運転を制御します。また、ボタン、タッチパネル、音声認識など、ユーザーとのインタフェースを構築し、ユーザーの操作に応じて機器を動作させます。

2. データ処理

アナログ信号をデジタル信号に変換したり、ノイズを除去したりするなど、信号処理や、デジタルカメラや監視カメラなどの画像データのほか、音声認識や音声合成など、音声に関するデータの処理を行います。

3. 通信

他の機器やネットワークと通信を行い、データをやり取りします。IoTデバイスでは、インターネットを経由して遠隔地から機器を制御したり、データを収集したりします。また、通信するためのルール (プロトコル) に従って、データの送受信を行います。

4. システム管理

機器のメモリを効率的に利用するための管理を行い、複数のタスクを並行して処理するための管理を行います。同時に異常が発生した場合に、適切な処理を行うための管理を行います。

組み込みソフトウェアの特徴

組み込みソフトウェアは、特定の機器の機能を実現するために、ハードウェアと密接に連携して動作するソフトウェアです。一方、一般的なソフトウェアは、汎用的なコンピュータ上で動作し、多様なタスクをこなすためのソフトウェアです。 それぞれのソフトウェアには、目的、動作環境、求められる性能など、異なる特徴があります。

  • リアルタイム性: 外部の入力に対して、即座に反応し処理を行う必要があります。例えば、自動車のブレーキ制御では、わずかな遅延が事故につながる可能性があります。
  • 信頼性: 長期間安定して動作することが求められます。一度故障すると、機器全体が動かなくなる可能性があります。
  • 省電力性: バッテリーで動作する機器も多いので、消費電力を抑えることが重要です。

コイルドウェーブスプリング

コイルドウェーブスプリングとは

コイルドウェーブスプリング (英: Coiled Wave Spring) とはコイルスプリングの一種で、特殊な波形を持ったコイル状のスプリングです。

一般的なコイルスプリングと同じく、コイルドウェーブスプリングは物体を支えたり、振動を吸収したりする目的で使用されます。

一般的なコイルスプリングとの違いは、よりコンパクトである点、同じ長さのスプリングと比較してより多くの弾性エネルギーを蓄えることができる点の2つです。

コイルドウェーブスプリングはスペースの制約のある環境や、コンパクトな製品に最適です。組み立てや取り外しが比較的簡単であるため柔軟な設計が可能です。軽量な材料で作られることが多くため、製品の重量を軽減する目的で使用されることもあります。

多くの弾性エネルギーを蓄えることができるため、コイルドウェーブスプリングは振動を吸収する能力が高く、物体に伝わる衝撃を軽減でき、製品の耐久性を向上させることができます。

ただし、コイルドウェーブスプリングはその特殊な波形の形により応力が集中してしまう箇所が存在します。応力の集中はスプリングの寿命や強度に影響を与える可能性があるため、適切な材料と設計によって応力が集中することを最小限に抑えることが重要になります。

コイルドウェーブスプリングの使用用途

コイルドウェーブスプリングは一般的なコイルスプリングと比べてコンパクトで振動を吸収する能力が高いためさまざまな分野の製品に使用されています。

 

以下はコイルドウェーブスプリングの使用用途一例です。

1. 自動車

シートやシートベルトのテンション調整に使用されます。シートやシートベルトの張り具合が調整できることは、自動車を利用するときの快適性および安全性の向上につながっています。

また、ドアヒンジにも使用されます。 車のドアを開閉する際の支えにコイルドウェーブスプリングを使うことで、ドアの動きが滑らかでスムーズになります。

2. 家電製品

冷蔵庫、洗濯機、オーブンなどの家電製品の扉や蓋のヒンジにも使用されます。開閉時にコイルドウェーブスプリングが扉や蓋を支えることで動作がスムーズで確実になり、扉や蓋が負荷なくしっかりと閉まり安全に使用できます。

家電製品の場合、使用時にモーターなどが作動して振動や騒音が発生することがあります。コイルドウェーブスプリングを使えば振動や騒音を吸収し、製品の静粛性を向上させることができます。

3. 釣具

 釣り竿のリールにコイルドウェーブスプリングを使うことで、より高い荷重を支えることができるようになるため耐久性が向上します。

 また、特殊な波型がたわみを安定させ、竿や糸の弾性エネルギーを蓄えておくこともできるため、力が無駄なく制御されリールの巻き取りや放出がスムーズかつ効果的になります。

コイルドウェーブスプリングの原理

コイルドウェーブスプリングは、一般的なコイルスプリングにも使用される平線材を波形状に成形して作られます。

波形に成形することでバネが圧縮または伸張するときの変形が波形全体に影響してエネルギーが均等に分散されるようになり、ばねの働きが効率的になります。また波形はエネルギーを蓄えやすく、元の形に戻る力も強いため一般的なコイルスプリングに比べて高性能かつ高寿命になります。

波形に成形すること小型化と軽量化が可能です。波形にすることで同じ大きさのスプリングでもより大きな荷重を支えられるようになるため、同じ荷重を支える場合は必要な材料が少なくなります。

コイルドウェーブスプリングの選び方

コイルドウェーブスプリングを選ぶ際は、以下のような要素を考慮します。

1. 直径

直径は、コイルドウェーブスプリングのワイヤの太さになります。直径が大きいスプリングほど一般的に強度が高くなりますが、ワイヤの太さは動きや重さに影響を与えます。

適切な直径を選ぶためには、スプリングが必要とする最大荷重や応力を確認することが必要です。

2. 自由長

自由長は、コイルドウェーブスプリングに負荷がかかっていない未圧縮時の全長です。スプリングの動作範囲や装置内での適切な配置を確保するためには、適切な自由長を選ぶことが必要です。

3. 材質

コイルドウェーブスプリングの材質は性能や耐久性に直接影響を与える重要な要素です。一般的にステンレス鋼、合金鋼、炭素鋼などが材質として使用されます。

製品の使用環境や要求される耐久性・耐腐食性などを考慮して適切な材質を選ぶことが必要です。

4. 最大荷重

コイルドウェーブスプリングの最大荷重は、スプリングが正常かつ安全に動ける限界の重量です。最大荷重を超える負荷がスプリングにかかると変形したり破損する可能性があります。

適切な最大荷重を選ぶためには、スプリングにかかると予想される負荷を確認する必要があります。

ディスプレイ光学測定器

ディスプレイ光学測定器とは

ディスプレイ光学測定器は、ディスプレイ測定機器に光の強度や分光特性、透過および反射特性といった光学的な要素を測定する仕組みを組み込んだ測定機器です。ディスプレイ測定機器においても光学的な要素を測定しますが、ディスプレイ光学測定器は、その測定により特化しています。

一般的な光学測定法は、さまざまなJIS規格に基づいて評価が行われています。例えば屈折率の測定に関する規格を挙げると、光学ガラスの屈折率測定方法としてJIS B 7071や光学ガラスにおける屈折率の温度係数の測定方法としてJIS B 7072などがあります。

これらの光学測定法をディスプレイ光学測定器に取り込むことにより、ディスプレイ測定機器よりもさらに詳細なディスプレイ特性について把握することが可能になります。

ディスプレイ光学測定器の使用用途

従来のディスプレイは、厚さや重さが大きく、ディスプレイの画質も波打ってしまうなど、さまざまな問題を抱えていました。しかし、近年においては、ディスプレイが小型化されており、厚みも薄く設計されています。また、ディスプレイの映像反映技術も進化しています。

例えば昨今において、よく利用されているディスプレイには、有機ELディスプレイや液晶ディスプレイが挙げられます。

有機ELディスプレイは、発光方法として、ダイオードなどの素子そのものが発光することにより、色合いを表現しています。

一方で、液晶ディスプレイは、液晶の下にバックライトが備え付けられており、液晶の上に配置されたカラーフィルターを通過することにより、色合いを表現しています。

このようにディスプレイの発光方法は、多種多様な組み合わせが開発されており、デジタルカメラのディスプレイや電車の運行画面、航空機および軍艦など、その利用価値には制限がなく、映像反映技術もガラスや液晶などで異なります。

したがって、ディスプレイ光学測定器は、ディスプレイの技術が発達したことも相まって、さまざまな産業で活用されているといえるでしょう。

ディスプレイ光学測定器の原理

通常、カラーディスプレイなどの測光や色合いの測定では、色彩輝度計を利用します。色彩輝度計は、光学部や受光部、演算および制御部の3つから構成されており、光学部では、測定物からの入射光を主光路と接眼レンズ部から副光路へ導き、受光センサーにて検出します。接眼レンズ部では、主に焦点の調節を行い、測定角センサーを用いて視角を選択します。受光部では、光検出器(シリコンフォトダイオード)を用いて、XYZ表色系(CIE1931表色系)を直接測定します。

JIS規格では、ディスプレイの測定方法として「JIS C1006:2019 ディスプレイのぎらつき度合の求め方」が制定されました。しかし、この規格以外でディスプレイ装置に関する標準的な測定条件や方法、使用する機器については規定されていません。

カラーディスプレイの測定においては、機械的な特性や物理的な特性だけではなく、心理物理的な人間工学の観点から評価することも必要になります。つまり、輝度やRGB色度、色度範囲などに注目して定量的な測定を行うことが大切です。

ディスプレイ光学測定器には、前述した色彩輝度計などの機器特性以外にもディスプレイに必要な特性を付与した製品が販売されています。

ディスプレイ測定機器

ディスプレイ測定機器とは

我々の生活には、産業や技術の発展により、多くの電子機器が普及しました。例えば液晶テレビや携帯電話、パソコン、リモコン、冷蔵庫、電子レンジなどがあり、デバイスの形態はさまざまです。そして、これらの家電には、ディスプレイが取り付けられており、文字やグラフィック、アニメーションなどを人間の目を通して鮮やかに感じられるようになりました。

これらのディスプレイは、ヒトが覗き込んだ際に歪みやちらつき、ディスプレイの色合いなどといった不具合を生じると、不快感や作業効率の低下につながります。また、グラフィック関連の業務をおこなっている場合には、こういった問題は、致命的な欠陥となり得ます。

そのため、ディスプレイ測定機器を使用して、画面の歪みやちらつきといった画面上の問題を測定します。

ディスプレイ測定機器の使用用途

グラフィックや色彩を取り扱う分野では、WYSI-WYGといった合成語がしばしば使われており、これは「What you see is what you get.」の略称です。意味合い的には、ディスプレイ上の色が、グラフィックデータあるいは印刷した時点で、最終的に求める色合いと視覚的に一致しているかどうかを判断するといったことに使われます。

つまり、この合成語は、ディスプレイの諸問題により、グラフィックデータ上では、視覚的に求めている色合いであっても印刷を行うと、色合いがズレてしまうといった問題などに対する確認行為を指しています。

この問題は、印刷条件などの設定面でのトラブルであることもあり、一概にディスプレイだけの問題であると断定することはできません。しかし、ディスプレイ測定機器により、画面の精度を測定しなければ、問題が生じるリスクが増加すると考えられます。

このような理由により、ディスプレイ測定機器は、液晶やプラズマ、有機EL、LEDなどのあらゆる産業や業界で使用されています。

ディスプレイ測定機器の原理

これまではディスプレイ装置に関する標準的な測定方法などが、JIS規格において、取り決められていませんでした。しかし、2019年の12月にディスプレイのぎらつきに関する制定と改正が行われ、元来、各種メーカーが開発を進めていた技術について、公平に評価するための指標が取り決められました。

制定と改正が行われたのは、日本産業規格(JIS規格)であり、該当する規格は「JIS C1006:2019 ディスプレイのぎらつき度合の求め方」です。この規格は、ディスプレイのぎらつき度合を表しており、ぎらつきに関する値やコントラストの求め方について規定しています。

また、規格が適用されるディスプレイについては、直視形のフラットパネルディスプレイやテレビジョン、モニタなどの表示デバイス、スマートフォン、タブレットPCの表示デバイスなどがあります。

ディプレイ測定機器においてもディスプレイのぎらつきを測定対象としている製品が販売されており、これは光源から出射された光が偏光フィルタなどを通過することによって、散乱や屈折が生じ、ちらついて見えるといった事象などを測定します。

工具鋼

工具鋼とは

工具鋼

工具鋼とは、高い硬度、耐摩耗性、耐熱性、耐腐食性などの特性を持ち、切削や成形などの工具として使用される鋼材です。

これらの特性により、工具鋼は高い精度と耐久性を求められる加工や製造の分野で広く使用されています。また、工具鋼には炭素工具鋼、合金工具鋼、高速度工具鋼の3種類があり、それぞれの用途や作業条件に応じて選択することが大切です。

工具鋼の使用用途

工具鋼はその高い硬度、耐摩耗性、耐撃性、耐熱性などの優れた特性を活かし、さまざまな用途に広く利用されています。以下が、主な使用用途の例です。

  • 切削工具:盤用の刃物、フライス盤用の刃物、ドリルビットなど
  • 圧延工具:金属板や棒を加工する圧延ロール、金属棒材を形成するためのプレス金型など
  • 金型:プラスチックや金属を成形するための金型など
  • 制御装置部品:自動車や航空機などの機械の部品など
  • 電子部品:高周波加熱器のチューブ、真空管など
  • 刃物:包丁やはさみ、裁断器の刃などの刃物など
  • ベアリング:高負荷の回転部品に使用される高硬度・高耐摩耗性のベアリング部品など

工具鋼の性質

工具鋼には、硬度、耐摩耗性、耐熱性、可鍛性、鋼種の特性があります。以下にそれぞれの特性について解説します。

1. 硬度

高い硬度と耐久性により、切削や加工などの高負荷な作業に耐えられるため、工具や金型など、耐久性が求められる部品に適用します。

2. 耐摩耗性

優れた耐摩耗性で長期間の使用に耐えられるため、切削や加工作業中に発生する摩擦や熱による変形や摩耗が少なく、高速切削工具や金型など幅広く適用します。

3. 耐熱性

高熱状態下でも変形しにくく、熱による軟化を抑制できるため、高温下での切削作業や鋳造工程などの高温環境下での作業に適用します。

4. 可鍛性

鍛造加工でさまざまな形状に加工できるのため、複雑な形状の金型や刃物など、高い精度が求められる部品の製造に適用します。

5. 鋼種

高速度鋼、高炭素鋼、特殊工具鋼など、各鋼種によって異なる特性を持ち、用途に合わせて選択が可能です。

工具鋼の種類

JISでは、工具鋼を炭素工具鋼、合金工具鋼、高速度工具鋼の3種類に分類しています。以下がそれぞれの詳しい特徴です。

1. 炭素工具鋼

主に切削工具や金型などの工具に使用される高炭素鋼で、硬度が高く、耐摩耗性、耐熱性、耐食性に優れています。また、熱処理によって高い硬度と耐久性を持ち、加工性が高い工具鋼です。JIS G 4401では11種類に分類されています。

2. 合金工具鋼

合金工具鋼は一般的に高い硬度、耐摩耗性、耐熱性、耐腐食性などの特性を持ち、工具や金型などの製造に使用されます。合金工具鋼は、JIS G 4404では切削用工具鋼用 (8種類) 、耐衝撃工具鋼用 (4種類) 、冷間金型用 (10種類) 、熱間金型用 (10種類) の4つのグループに大きく分類され、合計は32種類です。

3. 高速度工具鋼

高速度工具鋼は、JIS G 4403ではタングステン系 (4種類) 、粉末冶金で製造したモリブデン系 (1種類) 、モリブデン系 (10種類) の3つのグループに大きく分類され、合計15種類です。

工具鋼のその他情報

工具鋼の機械的性質

工具鋼は構成材料や熱処理によって様々な機械的性質を持ちます。工具鋼の主な機械的性質は、硬度、強度、靭性、疲労強度、耐熱性、耐摩耗性、耐腐食性などです。これらの機械的性質は、合金元素の添加量、冷却方法、熱処理の種類や条件などによって制御されます。

工具鋼の熱処理は、焼き入れ、焼き戻し、焼きなまし、表面硬化が工程です。焼き入れで高温加熱後に急冷させて硬度を高め、焼き戻しで再度加熱して冷却します。その後、焼きなましで低温で長時間加熱して靭性を向上させた後、表面を高周波で加熱して硬度を上げる表面硬化を行います。

合金元素の添加量も、硬度や強度、靭性などの機械的性質を制御するために重要です。クロム、バナジウム、モリブデン、コバルト、タングステン、マンガン、シリコン、ニッケル、銅などの合金元素を加えることで、工具鋼の特性を調整できます。

合金工具鋼

合金工具鋼とは

合金工具鋼

合金工具鋼とは、炭素工具鋼 (鉄に炭素、ケイ素、マンガンを含む材料) にタングステン、クロム、モリブデン、バナジウムなどの元素を加えて特性を向上させた金属です。

合金工具鋼は、広く使われている炭素工具鋼と比べて硬度が高く、耐衝撃性、耐熱性、焼入れ性などが強化されており、精密な加工を求められる工具や金型、自動車部品などの分野で利用されています。熱処理によって材料特性を変えられるため、製品ごとに最適な硬度や強度を持たせることも可能です。

合金工具鋼の使用用途

合金工具鋼は高い硬度と耐久性を持ち、特に高温環境に晒されたり、部品同士が摺動したりする部品に適しています。主に切削工具、金型、工作機械、自動車用部品、航空機部品などに活用されています。

1. 切削工具

ドリル、エンドミル、旋盤バイト、丸ノコなどの切削工具は、主要な用途の1つです。金属や硬質素材を精密に加工するためには、硬くて摩耗に強い素材が必要です。合金工具鋼を採用することで、ツールの寿命を延ばし、安定した加工精度を保てます。

2. 金型

使用用途の1つとして、プラスチック成形や金属鍛造に使う金型も挙げられます。金型は繰り返し使用されるため、耐摩耗性や寸法安定性が重要です。合金工具鋼を採用することで、長期間にわたり安定した製品を生産でき、生産効率の向上にも寄与します。

3. 工作機械

刃物や駆動部品など、摩耗や衝撃が加わる部品も活用先の1つです。強度が高く、外力で壊れにくい合金工具鋼を採用することで、機械の寿命が延び、メンテナンス費用の削減が可能です。

4. 自動車部品

合金工具鋼はエンジン部品やギア、シャシー部品など、高温や摩耗が生じる環境で使われる部品に適用されています。例えば、カムシャフトやターボチャージャーの羽根に使用されることが多く、劣化しやすい環境でも良好なパフォーマンスを発揮できます。

5. 航空機部品

燃料系パイプや操縦系統部品など、高い強度と耐熱性が求められる航空機部品にも欠かせません。航空機は極限環境下で使用されるため、優れた耐久性を持つ合金工具鋼が適しています。

合金工具鋼の性質

合金工具鋼の主な特性は、以下のとおりです。

  • 高硬度:炭素鋼よりも硬く、切削ツールや金型の材料として適している
  • 耐摩耗性:摩擦や摩耗に強く、長期間の使用が可能
  • 耐熱性:高温環境でも変形や軟化が起こりにくい
  • 耐食性:腐食しにくく、過酷な環境でも性能を維持できる
  • 耐疲労性:繰り返しの負荷に強く、長期間使用しても破損しにくい

合金工具鋼の種類

日本産業規格 (JIS G4404) では、用途に応じて以下の4つに分類されています。

1. 切削工具鋼用

切削工具鋼用は、高速切削に適した高硬度の鋼材であり、焼入れ硬度や耐摩耗性が高いことが特長です。代表的な材料にはSKS11、SKS2、SKS21があり、合計で8種類が存在します。

2. 耐衝撃工具鋼用

衝撃や振動が加わる環境に適した耐衝撃工具鋼用は、たがねやポンチなどに使用されます。JIS規格で定められている種類は4つです。

3. 冷間金型用

冷間金型用は、常温環境下で高い寸法精度と耐摩耗性を維持する金型向けの材料です。合計で10種類がJIS規格で定められており、代表例にはSKD1やSKD2が挙げられます。

4. 熱間金型用

熱間金型用は、高温加工に耐え、熱亀裂の発生を抑制する特性を持つ品種です。代表的な材料にはSKD61やSKD62があり、JIS規格には10個書かれています。

合金工具鋼の選び方

合金工具鋼を選ぶ際は、使用目的に応じて様々な項目を考慮することが必要です。想定する使用状況や要求仕様を満たした種類を選択することで、加工精度の向上や部品寿命の延長を実現し、製造プロセスの最適化が可能となります。

1. 切削加工条件

切削速度や対象材料、冷却方法など加工条件は、合金工具鋼の選択に重要な要素です。例えば、高速で材料を切削する場合は、耐熱性の高い合金工具鋼が求められます。加工対象が超硬合金であれば、精密に加工するためには高硬度の合金工具鋼が必要です。想定される切削加工条件を確認し、適切な合金工具鋼を選ぶことが大切です

2. 必要な性能

合金工具鋼は種類によって様々な特長を持つため、目的に応じて必要な性能の合金工具鋼を選ぶ必要があります。硬度、耐食性、耐疲労性、加工性、熱処理性能などの特性から、必要な項目をピックアップし、適切なものを選びます。

3. 材料の形状と大きさ

用途に応じた形状 (丸棒、角材、板材など) と寸法を選択することも、適切な合金工具鋼の選定には欠かせません。

4. コスト

品質の良い合金工具鋼は価格が高くなる場合があるため、コストパフォーマンスを考慮し、最適な材料の選択が求められます。

亜鉛めっき鉄線

亜鉛めっき鉄線とは

亜鉛めっき鉄線とは、伸線加工した軟鋼線材等に亜鉛めっきでコーティングを行った鉄線です。

亜鉛皮膜の防食効果により、フェンスやワイヤーロープ、建築資材などに使用され、高い耐食性があります。JIS G 3547上では、亜鉛めっき鉄線 (S) と亜鉛めっき鉄線 (H) の2種類が規定されており、それぞれSWMGSとSWMGHといわれます。

SWMGSは柔軟性があるためフェンスなどに適し、SWMGHは高強度でワイヤーロープや補強材向けです。 SWMGSは1~7種類、SWMGHは1~4種類の計11種類がJISで規定されています。

亜鉛めっき鉄線の使用用途

亜鉛めっき鉄線は、鉄線の表面に亜鉛めっきを施し、防錆性を上げた材料です。優れた耐食性・強度・加工性を活かし、さまざまな分野で利用されています。

1. フェンス・ネット・防護柵

亜鉛めっき鉄線は、耐久性とコストのバランスが良く、フェンスや金網、防護柵に広く使用されます。道路や工場の囲い、農業用の動物柵、スポーツ施設の防球ネットにも適しています。特にSWMGSは柔軟性があり金網加工が容易なため多用されやすい材料です。また、屋外で使用されることが多く、耐食性を確保するためにめっき厚の選定が重要です。

2. ワイヤーロープ・ケーブル

亜鉛めっき鉄線は、ワイヤーロープの素材として建設・土木・運輸業界でも使用されます。クレーンや橋梁ケーブル、エレベーターの昇降ロープなど、高強度と耐食性が求められる用途に適切な鉄線です。特にSWMGHは強度が高く、強い引張荷重に耐える特性があります。溶融亜鉛めっきを施すことで、屋外や海岸地域などの厳しい環境でも腐食を防ぎ、長期間使用できるのが特徴です。

3. 電線・架空送電線

電力・通信分野での用途例は、送電線や通信ケーブルの補強線です。特に、雷の影響を防ぐ架空送電線の地線 (アースワイヤー) は耐食性が求められるため、亜鉛めっき処理を施した鉄線が選ばれます。また、電線の心線 (ワイヤーストランド) としても使用され、電線の強度を向上している点も特徴の1つです。

4. 建築・土木分野

建築・土木分野では、鉄筋結束線、ワイヤーメッシュ、補強材として亜鉛めっき鉄線が使用されます。特にコンクリートの補強に使われるワイヤーメッシュや鉄筋を固定するための結束線として活躍します。橋梁やトンネル、港湾施設などでは、高い耐食性が求められるため、厚めのめっきを施した鉄線が適切です。また、地震対策として建築物の補強材にも活用されています。

亜鉛めっき鉄線の原理

めっき処理には、鉄の腐食を防ぐための電気化学的な作用や物理的なバリア作用が関係しています。

1. 基本原理

亜鉛めっき鉄線は、鉄の表面に亜鉛をコーティングすることで、耐食性や耐久性を向上させる技術です。鉄は空気中の酸素や水分と反応して錆 (酸化鉄) を形成しやすいため、亜鉛めっきによって外部環境との接触を遮断し、腐食を防ぎます。

めっきは、溶融亜鉛めっきと電気亜鉛めっきの2種類です。亜鉛は鉄よりもイオン化傾向が大きいため、亜鉛が先に腐食することで鉄を保護する犠牲防食作用という働きがあります。

2. 防食メカニズム

亜鉛めっき鉄線の防食メカニズムは、犠牲防食作用、バリア作用、自己修復機能の3つに分けられます。犠牲防食作用とは、鉄よりも先に亜鉛が腐食することで鉄の酸化を防ぐ現象です。特に亜鉛が水分と反応すると亜鉛イオン (Zn2+) が発生し、鉄の表面で電子を供給することで錆の進行を抑制します。

バリア作用は、亜鉛めっきが酸素や水分との接触を遮断し、腐食を物理的に防ぐことです。また、亜鉛が酸化することで酸化亜鉛 (ZnO) や炭酸亜鉛 (ZnCO3) が形成され、鉄を覆う防護膜として機能します。めっき層に傷がついても、自己修復的に新たな保護層が形成されるため、長期間の耐食性を維持できます。

3. 亜鉛めっきの付着メカニズム

密着性は、溶融亜鉛めっきと電気亜鉛めっきで異なります。溶融亜鉛めっきでは、鉄を約450℃の亜鉛浴に浸すことで、鉄表面にFe-Zn合金層が形成されます。合金層は拡散反応によって生じるため、鉄と亜鉛が強固に結合し、剥離しにくい特性です。

一方、電気亜鉛めっきでは、電解槽内で鉄を陰極とし、亜鉛イオン (Zn2+) を電気的に析出させてコーティングします。均一な薄膜を形成できますが、合金層がないため溶融亜鉛めっきほどの密着性は得られません。

亜鉛めっき鉄線の種類

亜鉛めっき鉄線は、鉄線の表面に亜鉛めっきを施すことで以下の性能を向上させます。

  • 耐食性
  • 強度
  • 加工性

使用環境や用途に応じて、さまざまな種類があり、それぞれ特性が異なります。

1. JIS規格に基づく分類 (JIS G 3547)

亜鉛めっき鉄線は、日本工業規格 (JIS G 3547) に準拠し、一般用途向け (SWMGS) と工業用途向け (SWMGH) の2種類に区分されます。

SWMGS (Soft Wire for General use, Standard) は、まず鉄線を冷間加工した後、焼きなまし (熱処理) を施してから亜鉛めっきを行うのが特徴です。さらに、めっきの厚さによって1種から7種まで細分化されており、厚いほど耐食性が向上します。例えば、「SWMGS-7」は線径2.60〜6.00mmで、めっき付着量が400g/m²以上となります。

一方、SWMGH (Hard Wire for Industrial use, Heavy duty) は、冷間加工の後に焼きなましをせず、直接亜鉛めっきを施します。そのため、より高い強度が求められる用途に適しています。SWMGHもめっき厚の違いにより1種から4種に分類されており、例えば「SWMGH-4」は線径4.00〜8.00mmで、めっき付着量が245g/m²以上です。

2. めっき方法による分類

亜鉛めっき鉄線の製造方法は、以下の2種類です。

  • 溶融亜鉛めっき
  • 電気亜鉛めっき

溶融亜鉛めっきは、約450℃の溶融亜鉛浴に鉄線を浸し、鉄と亜鉛が拡散して強固なFe-Zn合金層を形成するため、耐久性と密着性に優れます。一方、電気亜鉛めっきは、電解槽内で鉄線を陰極として電流を流し、亜鉛イオンを鉄表面に析出させめっきを形成するものです。均一で薄いめっきが可能で外観に優れるため、家電製品や精密部品に適していますが、耐食性は溶融亜鉛めっきよりも劣ります。

亜鉛めっき鉄線の選び方

亜鉛めっき鉄線は、用途や使用環境に応じて適切な種類を選定することが重要です。選び方を誤ると、耐久性の低下、コスト増、加工性の問題が発生する可能性があります。

1. 使用環境に応じた選定

亜鉛めっき鉄線を選ぶ際には、使用する環境が最も重要な判断基準です。屋内で使用する場合は、湿気や塩害の影響が少ないため、薄めのめっきや電気亜鉛めっきが適しています。

一方、屋外で使用する場合は、雨風や紫外線の影響を受けるため、溶融亜鉛めっきが必要です。特に海岸地域や工業地域では、塩害や化学物質による腐食が進行しやすいため、重めっきやZn-Al合金めっきなどの高耐食性製品を選ばなければなりません。

また、高温環境ではZn-Ni合金めっきが適しており、化学プラントや排ガス処理施設ではZn-Mg合金めっきが推奨されます。

2. 機械的特性を考慮した選定

亜鉛めっき鉄線は、用途に応じて求められる機械的特性が異なります。たとえば、ワイヤーロープや送電線などの高荷重がかかる用途では、引張強度が高いSWMGHが適切です。このタイプは硬度が高く、長期間の使用に耐える強度を持っています。

一方、フェンスや結束線などの用途では、加工しやすいSWMGSが適切です。また、耐衝撃性が求められる場合は、Zn-Ni合金めっきが効果的で、自動車部品や機械部品の補強材として利用されています。

3. 加工性を考慮した選定

亜鉛めっき鉄線を使用する際には、加工のしやすさも重要なポイントです。曲げ加工を行う場合、柔軟性の高いSWMGSを選ぶことで、加工時の亜鉛めっきの剥がれを防ぐことができます。切断加工する際は、線径と硬度を考慮し、柔軟なSWMGSは通常のワイヤーカッターで切断しやすく、SWMGHは高硬度のため専用のカッターが必要です。

なお、亜鉛めっきへの溶接は、気孔欠陥 (ブローホール・ピット)やスパッタが発生するため、原則推奨されません。

ピアノ線

ピアノ線とは

ピアノ線_図0

ピアノ線 (英: Piano wires) とは、高強度で品質精度の高い硬鋼線です。

主に楽器のピアノ弦に使用されることに由来していると言われています。建築材料、自動車部品など、さまざまな用途で使用されています。

ピアノ線は0.60~0.95%の炭素を含有する炭素鋼の線材で、強度と弾性率が高いという特徴があります。硬鋼線は汎用的な用途で使用される比較的安価な鋼線で、ピアノ線は寸法や化学成分の精度が高く、高強度が必要な機械部品で使用される鋼線です。なお硬鋼線は、JIS G3521 硬鋼線として規定されています。

ピアノ線の使用用途

ピアノ線_図1

図1. 使用例

1. ピアノ

名前の由来通り、楽器のピアノ弦 (ストリング) にピアノ線が使用されています。専門家はミュージックワイヤと呼び、スプリングなどに使用するピアノ線と区別しています。

ミュージックワイヤは、一般のピアノ線と機械的性質はほぼ同じです。しかし、一般の工業用ピアノ線とは異なり、平打ち性とペンチ曲げ性という特別な特性が要求されます。平打ち性は巻線加工を行うとき、巻線のゆるみ防止に両端を叩いて扁平にします。その際に、ハンマーで線径の1/2まで叩いてつぶし、割れの出ないことを検査しています。

2. 建築資材

ピアノ線は、プレストレストコンクリート (PC) の緊張材として使用され、PC鋼線と呼ばれています。PC鋼線は、鉄筋コンクリート (RC) の鉄筋と区別するために使われます。鉄筋などの補強用鋼材と比べて引張強度が高く、コンクリートに圧縮力を与えるために使用されます。

プレストレストコンクリートとは、構造物に事前に張り付けたPC鋼線に張力をかけ、予め圧縮力を与えておくことで、その後の荷重や応力による変形を最小限に抑えられるコンクリートのことです。これにより、コンクリートがより高い強度を発揮し、大きなスパンの橋や高層ビルなどの建造物をより安全に軽量化できます。

PC鋼材は、JIS G 3536 PC鋼線及びPC鋼より線に規定され、「単線」と編み組みされた「より線」があります。

3. ばね (スプリング)

チャッキバルブなどのバルブスプリング、自動車のバルブスプリングやサスペンションやシートのばね、工業用機械のばねなどに使用されています。

ピアノ線の性質

1. 化学成分

ピアノ線は、JIS G3502 ピアノ線材 に規定され、このうち代表的なピアノ線材のSWRS82Aと、比較として代表的な硬鋼線材 SWRH82Aの化学成分を下記に記載しました。

種類

化学成分 (単位%)

C

Si

Mn

P

S

Cu

ピアノ線

SWRS82A

0.80~0.85

0.12~0.32

0.30~0.60

0.025以下

0.025以下

0.20以下

硬鋼線

SWRH82A

0.79~0.86

0.15~0.35

0.30~0.60

0.030以下

0.030以下

SWRS82Aを加工するとピアノ線B種 (SWP-B) になります。SWP-Bはピアノ線の代表的な鋼種で、流通量が最も多く一般的な材料です。なお硬鋼線材は、JIS G3506 鋼線材 として規定されています。

2. 機械的性質、許容差など

ピアノ線は、JIS規格に機械的性質として引張強さが、標準線径 (外径) 毎に規定されています。参考として、硬鋼線に関しても併記しています。

種類

標準線径 (mm)

引張強さ (N/mm2)

ピアノ線

A種

SWP-A

0.08 ~ 10.00

1,420 ~ 2,890

B種

SWP-B

1,620 ~ 3,190

V種

SWP-V

1,520 ~ 2,210

硬鋼線

A種

SW-A

0.08 ~ 13.00

1,320 ~ 2,450

B種

SW-B

1,520 ~ 2,790

C種

SW-C

1,810 ~ 3,140

また、線径の許容差、偏径差、ねじり回数、表面外観の傷、脱炭層深さなど、厳しい品質要求が規定されています。

ピアノ線と硬鋼線の規格比較 (φ2.0mm)

記号

ピアノ線

硬鋼線

SWP-B

SW-C

線経の許容差 (mm)

±0.015

±0.030

線経の偏径差 (mm)

0.004 以下

0.008 以下

ねじり回数

25回以上

20回以上

きずの深さ

0.02mm以下

規定なし

脱炭層深さ

有害な脱炭層を認めてはならない

規定なし

3. その他性質

ピアノ線の素材は高炭素鋼のため、高強度で高耐久性を備えています。製造工程は、素材の金属線をパテンチングと呼ばれる熱処理を行い、その後金型に通して引き延ばし成型する伸線加工 (ドローイング) を行います。素材のパーライト組織が微細化され引き抜き方向に整列された繊維状組織となることで高い引張強度になります。

また、ピアノ線で成形されたスプリングなどは、成形時の残留応力を除去し疲れ特性を維持するために、200~300℃で低温焼きなましを行うことがあります。

ピアノ線_図2

図2. 製造工程

ピアノ線の種類

JIS規格で規定されているピアノ線の種類は下記のとおりです。

種類

記号

適用線径

用途

ピアノ線A種

SWP-A

0.08 ~ 10.00 mm

主として動荷重を受けるばね

ピアノ線B種

SWP-B

0.08 ~ 8.00 mm

ピアノ線V種

SWP-V

1.00 ~ 6.00 mm

弁ばね又はこれに準ずるばね

A種に比べB種の方が引張り強さは高くなりますが、加工性は悪くなります。A種は、許容最大応力も高く、繰り返し荷重に対する疲れなどに適した特性があります。B種は、A種より許容最大応力と疲れにも強くなりますが、靭性が若干劣るため細かく精度の高い成形加工には適していない場合があります。

ピアノ線のその他情報

規格

ピアノ線が規定されている規格は下記があります。

  • JIS G3522 ピアノ線 (Piano wires)
  • JIS G3502 ピアノ線材 (Piano wire rods)
  • ISO 8458-1 Steel wire for mechanical springs − Part 1: General requirements
  • ISO 8458-2 Steel wire for mechanical springs − Part 2: Patented cold-drawn non-alloy steel