工業用顕微鏡のメーカー5社を一覧でご紹介します。まずは使用用途や原理についてご説明します。
目次
工業用顕微鏡は、金属や半導体など不透明な試料の表面観察によく利用される金属顕微鏡のことを指すことが多いです。金属顕微鏡は、対物レンズ側から光を試料に当て、反射した光を観察します。工業用として効率よく観察するために金属顕微鏡の機能だけでなく通常の光学顕微鏡、偏光顕微鏡、走査型プローブ顕微鏡等の機能を兼ねていて、複数の観察方法を持つ機種もあります。
また、顕微鏡機能だけでなくカメラ、三次元測定などいくつかの機能を複合的に持つ顕微鏡もあります。
工業用顕微鏡としての金属顕微鏡は、セラミックの組織、金属、合金、研磨面や電子部品といった不透明な試料の表面観察に適しています。
そのため半導体、磁気ヘッド、液晶やフィルムなどの製品製造時の開発や分析、検査などに使用されています。他にも鋳造、熱処理、冶金といった加工後の分析にも利用されます。基板はんだの接合面の観察や、溶接部の溶け込みの深さなど、細かな観察も可能です。
工業用以外にも、金属組織学や鉱物学といった研究で必要とされています。
工業用顕微鏡として利用されている金属顕微鏡には試料の上方から観察する正立顕微鏡と下方から観察する倒立顕微鏡があります。正立顕微鏡は、よくある一般的な顕微鏡のタイプで、対物レンズの下に試料があり対物レンズの上から観察します。倒立顕微鏡では対物レンズの先端が上側になっていて、試料を下から観察します。
金属顕微鏡の光源は対物レンズの内側にあります。対物レンズと接眼レンズの間にプリズムやレンズを挟み、対物レンズ側から試料に照射され反射してきた光を拡大して観察します。金属顕微鏡の観察にはカバーガラスを使用しません。倍率は50倍~1000倍程度です。
金属顕微鏡は複合的な機能を持つ機種も多く、反射照明による明視野・暗視野・偏光観察、透過照明による明視野観察が可能な機種も多くあります。反射照明の明視野観察では、クラックや細孔、粒界など平坦でない面が暗く見えます。反対に暗視野では平らな面は暗く見え、明視野とは逆のコントラストになります。
参考文献
https://www.wraymer.com/metallurgical/index.html
http://www.microscope.jp/knowledge/03.html
https://www.olympus-ims.com/ja/microscope/
https://www.keyence.co.jp/ss/products/microscope/beginner/microscope/metal.jsp
社員数の規模
設立年の新しい会社
歴史のある会社
AE2000METは明/暗視野観察が可能な観察倍率が50倍~500倍、オプションにより1000倍まで観察できる倒立三眼金属顕微鏡です。高輝度100Wハロゲンランプを光源としています。
暗視野と明視野の切替がワンタッチで行え、さらに切替時に自動で光量を下げる機能があるので明視野への切替時に光の眩しさから眼を保護することができます。
ステージは15kg耐荷重とが堅牢に設計されています。また人感センサーを搭載しており、15分無使用でスリープモードとなるエコドライブ仕様となっています。
BA310MET-T-1080Mは、観察倍率が50倍~500倍、オプションにより1000倍まで観察できるHDMIデジタル金属顕微鏡です。
落射透過とも光源にLEDを採用していますが、オプションでハロゲンランプに交換したり、偏光観察を可能にしたりすることができます。
ディスプレイ上に保存画像とライブ画像を同時に表示することができ、保存画像と比較しながら観察することが可能です。また、オンスクリーンディスプレイ機能でカメラをマウスで操作することができます。
LV150Nは、反射照明専用の三眼鏡筒工業用顕微鏡です。半導体デバイス、電子部品、素材・材料、精密金型など様々な産業分野での用途に合わせて観察方法や観察目的に応じてオプションが多数ラインナップされています。
従来の照明装置に加えてLED照明装置が採用され、省電力・長寿命を実現しています。 また、光学系にCFI60が採用され、長作動距離/色収差の向上/軽量化は世界トップレベルの性能を誇ります。
対物レンズなどの観察条件など様々な情報が画像ソフトウェア上で検出可能で、デジタルカメラとの連携を意識した設計となっています。
LV150NAは、電動レボルバーが搭載れされた反射照明専用の工業用顕微鏡です。高NAと長作動距離を両立させたCFI60光学系が採用されており、長作動距離、色収差の向上、軽量化が実現されています。
デジタルカメラとの連携が充実しており、画像ソフトウェアサイドから対物レンズ情報の検出、対物レンズの切替が可能です。
対物レンズの選定により明視野/暗視野/微分干渉/蛍光/偏光/二光束干渉観察の多彩な観察方法で観察することができます。
XSM100は、CMOSカメラ/CCDカメラ観察単眼鏡筒顕微鏡で、 PCやモニターなどと接続して対象物を観察することがでます。半導体分野、医療分野、バイオ分野などの製造プロセス検査や解析に幅広く応用可能で、安価でコストパフォーマンスが良い機種です。
対物レンズは1倍のものはが標準で付属していますが、0.25倍~2倍の対物レンズがオプションで揃っているので、モニター倍率を考慮して最適な総合倍率となる対物レンズを選定することができます。
XSK600は明暗視野、無限遠補正光学系、55-75mmの広い眼幅調整範囲などが特徴的な顕微鏡で、半導体分野や電子産業向けの工業用顕微鏡です。また、落射照明、ワーキングディスタンスが長いなどが特長となっており、良好なコントラストで鮮明に対象物を観察することができます。
3眼鏡筒なので、肉眼での観察に加えてデジタルカメラを顕微鏡に接続することが可能で、モニターなどに像を映して観察することができます。