分銅校正

監修:関東メジャー株式会社

分銅校正とは

分銅校正とは、分銅の正確な質量を測定する作業です。

分銅の質量は用することによって変化します。取り扱いや保管環境によって、経年的な変化量が異なるため定期的な分銅校正が欠かせません。
校正の結果、決められた分銅質量 (1 g, 2 g等) からの質量差が明確になります。

一般的に1年に1回再校正を行うことが多いです。分銅校正を行うことで、使用する分銅が正確な重さを示すようになり、校正された分銅を使用したはかり校正により、信頼性の高い製品・サービス提供が可能となります。

校正作業には認定事業者が行うJCSS校正と非認定事業者の行う一般校正があります。認定事業者とは国際的な規格ISOに従った校正を実施できることを経済産業省の機関である製品技術基盤機構によって審査・認定された事業者です。

認定事業者の発行するJCSS校正証明書は協定質量と不確かさが示されます。

協定質量とは提供者と受給者で簡易的な質量結果の取り交わしを目的に、温度20℃、大気密度1.2 kg/m3の環境においてつり合う、密度8,000kg/m3を条件とした標準分銅の質量です。これにより空気密度による浮力条件や対象の分銅の密度を合わせより正確な質量結果を表すことができます。

不確かさは± (プラスマイナス) といった形式で示され、例えば±1.0gであった場合、-1.0gから+1.0gまでの間の真の質量があることを約95%の確度で示します。また、認定事業者の発行したJCSS校正証明書は国の管理する質量標準からの計量計測トレーサビリティが確保されていることを保証しており、トレーサビリティが確保されていることを示す体系図などの追加資料は不要です。

分銅校正の使用用途

分銅校正の結果は様々な分野で活用されています。以下はその一例です。

1. 製造業

製造業界では、分銅は必須の道具です。製品の質量を正確に測定するために、分銅を使ってはかりが正確に測定できることを確実にする必要があります。精密な質量測定が製品品質や安全性に直結するため、分銅を利用してはかりの検証作業 (日常点検や性能確認) を事前に実施しています。

2. 化学・製薬業

製造業の中でも化学工業や製薬業では、原料や化学製品の重さを正確に測ることが必要です。特に薬品の製造においては、成分の比率や原料の分量を厳密に調整する必要があり、そのために分銅によって校正されたはかりを使用します。製造機器の校正や研究所での実験の精度を保つためにも分銅は重要な役割を果たします。

3. 医療

医療分野では、薬剤の調合や体重計及び医療器具の重さの確認において分銅が使用されることがあります。分銅を使ってはかりを校正し、正確な値を指すことを確認することが多いです。はかりの値がずれてしまうと、医療の質が低下してしまう恐れがあるため注意が必要です。

4. 物流業・商業

物流や貿易業界では、貨物の重さを正確に測定する必要があります。分銅によって校正したはかり使用することで、正確な貨物の重量に基づいて運賃を計算します。また、規制に従って適正な重量となっているか確認することも重要です。

輸出入時は貨物の正確な重量を記録することも重要となるため、分銅を使用したはかり校正が必要となります。商業分野では市場や小売店での正確な計量は消費者と販売者の間で行われる商取引に重要や役割を果たしており、法律ではかりの定期的な検査が必要となるものがあります。

5. 研究・開発

科学研究では、実験の結果に影響を与える可能性があるため、精密な計測が不可欠です。分銅校正を行うことで質量の測定が正確になり、実験データの信頼性を担保します。物理学、化学、生物学の実験で使用する器具が適切に校正されていることが、実験の成功とデータの整合性を保証します。

分銅校正の等級の選び方

分銅は国際規格OIMLにより1mgから5000kgまでの精度等級ごとに材質や構造、最大許容誤差などが規定されています。精度等級が高い分銅ほど、より小さな最大許容誤差が規定されています。分銅は使用開始以後の経年変化によって購入当時の精度等級を維持しているか (適合性評価) 、定期的な校正によって確認する必要があります。なお校正の結果、購入当時の精度等級を逸脱している場合、調整孔をもつ分銅については質量調整が可能です。以下に主な校正区分を示します。

1. E1級

E1級は分銅の中で最も高い精度の等級で、非常に厳密な質量管理が求められる場合に使用されます。非常に高価で、所有機関のE2級分銅を校正するために使用し、普段は質量変化を起こさぬよう厳重に保管します。

2. E2級

E2級はE1級に次ぐ高い精度の等級で、E1級ほどの精度は要求されないものの、依然として非常に高い精度を有します。
研究所などで使用されるような、精度の高いはかりの校正に用いることが多い等級です。

3. F1級

F1級はE2級に次ぐ高い精度の等級で、E2級ほどの精度は要求されないものの、依然として高い精度を有します。
工場などで使用されるような、はかりの日常点検で用いることが多い等級です。

4. F2級

F2級はF1級に次ぐ高い精度の等級です。精密な計測が必要な場面で使用されますが、F1級よりはやや広い許容誤差範囲を有する等級です。

5. M1級

M1級は商業的な取引や一般的な計測で使用される標準的な精度を持つ分銅です。F1級やF2級ほどの精度は求められないものの、通常の商業取引や工業上の計測において充分な精度を有する等級です。
日常的な使用に対して充分な許容誤差を持ち、長期間安定して用いることができる等級です。

6. M2級

精度がそこまで重要でない場合や、予算が限られている場合に使用されます。商業的な取引や一般的な計測で用いられ、誤差がある程度許容される状況で使用します。高精度を求められる場面では使用しません。

本記事は分銅校正を行う関東メジャー株式会社様に監修を頂きました。

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分銅

監修:関東メジャー株式会社

分銅とは

分銅とは、はかりで物の重さを測定する際に基準となる質量の標準器です。はかりの製造においては目盛り付け、品質の管理に使用されます。

分銅をはかりに載せることで精度を確認できます。これを「はかりの校正」と言います。校正を行い、校正結果を確認することによって、実際にはかりを使用される際の測定結果の信頼性を担保します。
世界中の異なる場所・環境で行われた測定でも、国際的な規格OIMLに基づいて製造・校正されている分銅を用いることで測定結果の同等性を示すことができます。

かつて、各国ごと、業界ごとに、作りやすい材質または形状で製造された分銅は質量安定性に関して特性が異なっていました。1つの分銅がこの特性の違い、温度・湿度・大気圧による空気浮力の違い、高地では重力加速度の違い等、様々な場所・環境要因により測定結果に予期せぬ偏りが生じることになります。そこで国際的に製造・校正方法を統一 (標準化) し、世界中の場所・環境にとらわれず測定結果の同等性が確保できることになりました。

分銅の使用用途

分銅は以下の用途で使用されます。

1. 製造業

製造業界では、製品の質量を正確に測定するために、分銅を使ってはかりが正確に測定できることを確認する必要があります。精密な質量測定が製品品質や安全性の確保に直結するため、分銅を利用してはかりの検証作業を必ず実施しています。

2. 化学・製薬業

製造業の中でも化学工業や製薬業では、原料や化学製品の重さを正確に測ることが必要です。特に薬品の製造においては、成分の比率や原料の分量を厳密に調整するため、分銅によって校正されたはかりを使用し品質の担保に繋げています。製造機器の校正や研究所での実験の精度を確保するためにも分銅は重要な役割を果たします。

3. 医療

医療分野では、薬剤の調合や体重計及び医療器具の確認において分銅が使用されることがあります。分銅を使ってはかりを校正し、正確な値を指すことを確認後にはかりを使用する手順となっている現場が多くあります。はかりの値がずれてしまうと、医療の質が低下してしまうリスクがあるため細心の注意が必要となります。

4. 物流業・商業

物流や貿易業界では、貨物の重さを正確に把握する必要があります。分銅によって校正したはかりを使用することで、正確な貨物の重量に基づいて運賃を計算します。また、法規制に従って適正な重量となっているか確認し、輸出入時は貨物の正確な重量を記録することも重要となるため、分銅を使用したはかり校正が必要となります。商業分野では市場や小売店での正確な計量は消費者と販売者の間で行われる商取引に重要や役割を果たしており、法律ではかりの定期的な検査が義務付けられるものがあります。

5. 研究・開発

科学研究では、実験の結果に影響を与える可能性があるため、精密な計測が不可欠です。分銅校正を行うことで質量の測定が正確になり、実験データの信頼性を担保します。物理学、化学、生物学の実験で使用する器具が適切に校正されていることが、実験の成功とデータの整合性を保証します。

分銅の原理

OIMLは分銅の製造・校正方法の国際規格です。近年販売されている分銅の多くはこのOIMLに準拠した分銅です。分銅の質量が正確であることを担保する仕組みに計量計測トレーサビリティがあります。分銅が国家の管理する質量標準 (国家標準) に対して比較校正の連鎖でつながっていることを示します。

比較校正は国際的な技術基準に従って実施されていることを示すため、経済産業省の機関である製品技術基盤機構によって審査・認定する仕組み (計量法トレーサビリティ制度:JCSS) によって確認・維持されています。JCSSは分銅をはじめとする計量器の校正を行う事業者が持つべきマネジメントシステムです。認定を受けた事業者による比較校正結果はJCSS校正証明書として発行され、国家標準からのトレーサビリティが確保されていることを保証します。なお、JCSS認定を受けていない事業者の校正結果は国家標準からのトレーサビリティが確保されているか信頼できる第三者機関によって確認されていないためトレーサブルな校正結果を必要とする場合はJCSS校正をおすすめします。

分銅のトレーサビリティの大元となる国家標準に基づいており、各国の国家標準は国際的に認められた測定機関によって管理され、国家標準間の同等性が確認・維持されているため分銅のJCSS校正証明書は国内のみならず国際的に有効です。

分銅の選び方

分銅は国際規格OIMLにより材質や構造、最大許容誤差などを規定した精度等級により、1mgから5000kgまで分かれています。精度等級が高い分銅ほど、より小さな最大許容誤差が規定されています。分銅の精度等級は一般的に、使用しているはかりの目量 (はかりの計量できる最小単位) の±1/3以下の最大許容誤差を有するもの、または測定に期待する許容範囲 (%) を自身で規定している場合は、許容誤差の±1/3以下の最大許容誤差を有するものを選びます。以下は主な分銅等級と特徴を示します。

1. E1級

E1級は分銅の中で最も高い精度の等級で、非常に厳密な質量管理が求められる場合に使用されます。非常に高価で、所有機関の下位等級分銅を校正するために使用し、普段は質量変化を起こさぬよう厳重に保管します。

2. E2級

E2級はE1級に次ぐ高い精度の等級で、実用性が上がります。E1級ほどの精度は要求されないものの、依然として非常に高い精度を有します。
研究所などで使用されるような、精度の高いはかりの校正に用いることが多い等級です。 (ウルトラミクロ天秤やミクロ天秤) 

3. F1級

F1級はE2級に次ぐ高い精度の等級で、E2級ほどの精度は要求されないものの、依然として高い精度を有します。
製造工場で高精度なはかりを校正される場合に用いることが多い等級です。 (ミクロ天秤やセミミクロ天秤) 

4. F2級

F2級はF1級に次ぐ高い精度の等級です。主に精密なはかりの日常点検で使用されます。F1級よりはやや広い許容誤差範囲を有する等級です。 (セミミクロ天秤や最小表示0.1mgの天秤) 

5. M1級

M1級は商業的な取引や一般的な計測で使用される分銅です。F1級やF2級ほどの精度は求められないものの、通常の商業取引や工業上の計測において充分な精度を有する等級です。
日常的な使用に対して充分な許容誤差を持ち、長期間安定して用いることができる等級です。大きい質量を計測するはかりの日常点検に用いられます。

6. M2級

精度がそこまで重要でない場合や、予算が限られている場合に使用されます。商業的な取引や一般的な計測で用いられ、誤差がある程度許容される状況で使用します。高精度を求められる場面では使用しません。

本記事は分銅を製造・販売する関東メジャー株式会社様に監修を頂きました。

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文字起こしアプリ

監修:ダイトロン株式会社

文字起こしアプリとは

文字起こしアプリとは、自動で音声データをテキストへ変換することができるアプリケーション (ソフトウェア) です。

ビジネスにおける会議・打ち合わせのシーンでは、口頭でのやり取りを文書に残すことがしばしば必要となります。録音を聞き返して手動で行う文字起こしは、元の音声データの数倍の時間がかかり、非常に手間のかかる作業です。

文字起こしアプリは、このような作業を自動化でき、会議の効率化 (作業効率化) に役立つため、様々な企業を始め、金融機関、自治体などでも活用されています。

また昨今、文字起こしアプリは、AI技術の進歩により、かつてないほどの高精度と多機能化が進み、テキスト化のみならず、編集や要約をするものもあり、議事録作成を行えるものもあります。

文字起こしアプリの使用用途

文字起こしアプリは、会議やインタビュー、セミナーなど様々なシーンにおいて会話をテキスト文書に記録する必要がある場合に活用されています。主な使用シーンと利用目的は下記の通りです。

1. Web会議

即時字幕、会議・打ち合わせ内容のまとめ、議事録作成、講演会、翻訳機能を使ったリアルタイム翻訳。

2. 対面での会議や商談・打ち合わせ

商談・会議・打ち合わせ内容のまとめ、議事録作成、不在者への情報共有。商談などの教育研修資料作成。

3. 経営会議

内容のまとめ、議事録作成、不在者への情報共有。不在者への情報共有。

4. セミナー・講演会

講義・授業、セミナー・ウェビナーの記録。難聴者や高齢者などに向けた即時字幕。

5. インタビューなどの取材

取材時の記録・メモ (記者会見・インタビューなど) 。

6. その他

研修、面談の記録作成や、各種音声メモの文書化が可能です。

文字起こしアプリを使用することで、入力作業の手間を省き、また、会議中のメモが不要となることで会議にも集中しやすくなり作業効率化に役立ちます。

文字起こしアプリの原理

1. 文字起こしの概要

そもそも文字起こしとは、録音された音声をテキストに変換する作業を指します。同義の言葉に「書き起こし」や「テープ起こし」があります。

文字起こしの主要要素である「素起こし」「ケバ取り」「整文」の意味合いは下記の通りです。

  • 素起こし: 会話を聞き取って忠実に文章にする
  • ケバ取り: 意味を持たない「あのー」「えっと」などの言葉 (ケバ) を除外する
  • 整文: 文章全体を整えて読みやすくする

2. 文字起こしアプリの機能

文字起こしアプリは、基本的に前述の素起こし・ケバ取り・整文が可能です。音声はリアルタイム認識とファイル認識のどちらかで認識され、取り込まれます。

また、AIを活用したアプリでは高性能な文字起こしが可能です。AIを用いた音声認識を行っている製品や、ChatGPTなどのAI連携による要約や議事録作成が可能な製品などがあります。

複数人が同時に話している場合でも、それぞれの発言者を区別して文字起こしできる機能が搭載していたり、地域ごとの方言や業界特有の専門用語も、高い精度で文字起こしできるようになってきました。

またWeb会議アプリとの連携ができ、即時字幕をつけられるなど、利便性もかなり向上してきています。

その他の付帯機能では、議事録編集・共有機能、単語登録、特定のキーワードのハイライト、話者識別機能などがあります。

文字起こしアプリの選び方

文字起こしアプリは、様々な事業者からサービス提供されており、自分のデバイス、音源データ形式、希望の出力ファイル形式に対応しているサービスを選択することが必要です。

ブラウザで完結するサービスは手軽に使用することができますが、マシンのローカルで動作する製品はオフライン環境での操作が可能であり、セキュリティリスクも抑えることができます。Web会議を利用する場合は、Web会議ツールとの連携についても確認することが必要です。

料金については、利用時間に応じた定額月額料金体系や、読み込む音声の長さによって料金が変わる従量課金制などがあり、無料で使用することができる製品もあります。

その他には、録音システムと一体化しているアプリケーションや、クラウドへの自動アップロードに対応しているアプリケーションなどもあります。国際会議などのシーンでは、多言語対応、同時翻訳対応機能を備えた製品が便利です。用途・ニーズに合わせたものを選択することが重要と言えます。

本記事は文字起こしアプリを製造・販売するダイトロン株式会社様に監修を頂きました。

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ルネサス RZ/V2H  

〜次世代ロボティクス向けに,80TOPSビジョンAIとリアルタイム制御を1チップで実現する〜

 

ルネサスエレクトロニクス(以下ルネサス)が今年2月に発売したRZ/V2Hは,組込みAI用として最高クラスの性能と冷却ファン不要の低消費電力を両立した次世代ロボティクス向けハイエンドMPUです。ルネサスの独自技術であるDRP(Dynamically Reconfigurable Processor)を基に,AI演算向けに最適化した最新のDRP-AI3をAIアクセラレータとして搭載し,80TOPSのAI性能と10TOPS/Wの電力効率を実現しています。

 

ルネサスのビジョンAIへの取組み

ルネサスでは永年培ってきた産業用の組込みプロセッサに高度なAI演算機能を融合し,1チップでAI推論と機器制御を実現するビジョンAIプロセッサRZ/Vファミリをシリーズ化しています。そのハイエンド製品として,最新のAIアクセラレータであるDRP-AI3とアプリケーション処理向けのArm Cortex-A55×4コア,リアルタイム処理向けのCortex-R8×2コア,低消費電力向けのサブプロセッサとしてCortex-M33×1コアを組み合わせたヘテロジニアスマルチコアMPUのRZ/V2Hを発売しています。Cortex-A55はLinux,Cortex-R8とCortex-M33はRTOSに対応しており,アプリケーションや機器制御のソフトウェア処理も容易です。

組込みAI,エッジAIとして最高クラスの80TOPSのAI性能と,10TOPS/Wの電力効率を実現しており,高度なマシンビジョンやロボット,ドローンなどの次世代ロボティクスで必要となるビジョンAIとリアルタイム制御を1チップで実現できます(図1)。

さらに,カメラ入力用のハードウェアISP(オプション),OpenCVなどの画像処理を実行するアクセラレータDRPも搭載, CPUに負荷をかけず高速に処理できるのも特徴です。

高性能,電力効率,小型1チップという特長を兼ね備えており,ハイエンドの画像検査装置や産業用ロボット,サービスロボット,自律移動ロボットなどをファンレスでコンパクトに作ることができます(図2)。

図1 小型,高性能のRZ/V2H

 

図2 ルネサスRZ/V2Hのターゲットアプリケーション

 

量子化と枝刈りによる超軽量化

DRPは,1クロックごとに演算器の回路構成を変更できるルネサス独自の動的再構成プロセッサです.処理内容に合わせて演算器を最適化できるので,小型で高性能を実現できます。このDRPと推論演算に必要な積和演算アレイを組み合わせたDRP-AIは,さまざまな推論モデルを高速,低消費電力で実行できる優れモノのAIアクセラレータです。

さらに,RZ/V2Hに搭載されたDRP-AI3は,INT8による量子化と,推論精度に影響ない演算ノードを推論モデルから除外する枝刈り(プルーニング)に対応した最新バージョンとなっています.AI演算の電力効率は量子化によって2倍,さらに枝刈りによって5倍向上し,従来製品の10倍の電力効率を実現しています。

チップ全体でも消費電力を従来製品の1/3に削減し,冷却ファンなしで80TOPSのAI性能を達成しています。

 

評価キットと統合開発環境で開発を加速

RZ/V2Hをすぐに使用できる評価キットとして,ルネサスではRZ/V2H-EVKを提供しています(図3)。CPUボードとEXPボードの2枚構成で,RZ/V2Hと16GバイトDRAM(LPDDR4X),64MバイトNORフラッシュ,電源IC,クロックジェネレータなどをCPUボードに,オーディオコーデックと各種I/OをEXPボードに搭載しています。RZ/V2HにはオプションのISP,3Dグラフィックスエンジン,セキュアIPも含まれています。

開発ツールとしてルネサスでは,AIアプリケーション開発環境のRZ/V2H AI Software Development Kitと,ルネサスのMPU/MCU製品共通の統合開発環境e2 studioを用意しています。また,AIに関してはGitHubのRZ/V series AI Apps & AI SDKでさまざまなサンプルアプリケーションを提供しています.さらに,パートナによるエコシステムソリューションが充実しており,ビジョンAIの開発を迅速に行えるのも,RZ/V2Hの大きな特長です。

図3 RZ/V2H評価ボード

なお,電子部品のECサイト・MouserではRZ/V2Hのチップや評価ボードを販売しています。

 

RZ/V2Hチップ

メーカ品番R9A09G057H48GBG#AC0

詳しくはこちら

RZ/V2Hチップ

メーカ品番R9A09G057H48GBG#BC0

詳しくはこちら

 

RZ/V2H評価ボード

メーカ品番RTK0EF0168C04000BJ

詳しくはこちら

 

詳しくは,ルネサスのRZ/V2Hの製品ページをご参照ください。

RZ/V2H

詳しくはこちら

 

RZ/V2H-EVK

詳しくはこちら

 

RZ ファミリのパートナエコシステムソリューション

詳しくはこちら

 

マウザー・エレクトロニクス

品揃え世界最大級!マウザー・エレクトロニクスは,最先端テクノロジーを搭載する最新設計を強力に支援する半導体・電子部品のオンライン正規代理店です。

1200以上の製品ブランドを在庫,品揃えの多さと新製品のいち早い取り扱いに注力し,まさに旬のテクノロジーについて解説する記事やインフォグラフィック,製品検索や購入に便利なツールを提供しています。さらにスマホで見やすい!いつでもどこでも在庫情報やご注文情報にアクセスできるマウザーアプリもご用意しています.マウザーサイトをご体験ください。

https://www.mouser.jp/

ポリスライダー

監修:株式会社旭ポリスライダー

ポリスライダーとは

ポリスライダーとは、摩擦軽減やスムーズな動きを求める機械部品や工業部品に使用されるスペーサーの素材になります。

ポリスライダー (Poly slider) という名称は、高分子材料のポリマー (Polymer) と滑りを意味するスライダー (Slider) を組み合わせたものです。ポリスライダーは、耐久性、耐摩耗性、低摩擦性などの特徴を持ち、各分野において幅広く活躍しています。

具体的には、車載等の小型モーターの軸受けや、複写機・プリンター、ヒンジ、機械設備などの摺動部品として、摩擦や振動音を最小限に抑える役割を果たします。ポリスライダーを使用することで、摺動部品の劣化や故障を防ぎ、寿命を延ばすことが可能です。

ポリスライダーの使用用途

ポリスライダーの用途は非常に幅広く、以下のような分野で使用されています。

1. 駆動製品や回転体の摺動部品

ポリスライダーは、低摩擦性と耐久性に優れているため、駆動する部品や回転体に使用されることが多いです。金属製部品よりも軽量であり、摩擦によるトラブルも軽減できます。OA機器、ヒンジ、歯車、ベルトなどの摺動部にも適した部材です。

2. 電動機の軸受け部品

ポリスライダーは静音性、柔軟性に優れているため、車載用途などの小型モーターにも多く利用されます。摩擦音や振動音を軽減したい場合は、ポリスライダーが特に効果的です。

3. 医療機器や精密機械

ポリスライダーは、静音性や精密な動作が求められる医療機器やロボットにも利用されています。金属製部品よりも軽量で、装置全体の軽量化や効率向上に貢献します。

ポリスライダーの性質

ポリスライダーは、摺動部材として開発された製品です。回転や相対運動をする部品の間で使われることを想定しており、以下のような性質を有しています。

1. 低摩擦性

ポリスライダーは、部品同士が擦れるときに発生する摩擦や発熱を大幅に減少させます。特に潤滑油を使わずともスムーズな動きを実現できるため、環境負荷の低減やコスト削減に寄与する部材です。摩擦係数は無潤滑環境において、0.16~0.25を示します。 (標準テープ0.25tの場合) 

2. 耐摩耗性

機械的な摩擦に対して非常に強い特性を持っています。これにより、長期間の使用でも形状や機能を維持しやすいのが特徴です。

3. 難燃性

ポリスライダーの難燃性は、UL94表示においてHB等級です。 (0.5tにおいて ) UL94に基づく材料の難燃性の等級は難燃性が高い順番に5VA、5VB、V-0、V-1、V-2、HBになっています。 

4. 軽量性

金属製部品に比べて圧倒的に軽量なため、機械の省エネルギー化や操作性の向上に繋がります。

5. 耐薬品性・耐油性

ポリスライダーは耐薬品性・耐油性に優れた特性を持っています。強酸には不向きですが、他の化学薬品の影響を受けないのが特徴です。

ポリスライダーの選び方

ポリスライダーで作成される主な製品は、ポリスライダーテープとポリスライダーワッシャーです。

ポリスライダーテープ

ポリスライダーテープは、製造メーカー独自の圧延製法で製造された樹脂シートで、プレスで打ち抜いて使用する材料として用います。

独自の圧延伸製法で製造されているため、他のシートに見られる表裏がなく、両面とも同等の性能を発揮します。

適度な柔軟性も有することから、製品への組み込みトラブルも軽減できます。

サイズは規格化されており、厚みは0.13mmから1.00mmまで、10種類が設定されています。幅は20~50mmの範囲で、厚みごとに設定されています。巻数は100mまたは200mです。

ポリスライダーワッシャー

ポリスライダーワッシャーは、ポリスライダーテープをプレスで打ち抜いて作られたワッシャーです。摩擦音が抑えられ、摩耗も少ないことから、摺動・回転部分に使われるワッシャーです。

規格サイズとしては、軸径が1,6mmから15.0mmまで、14種類、厚さはそれぞれ0.13、0.25、0.50mmの3種類が設定されています。

また、ポリスライダーテープから打ち抜き加工を行う事より、カスタムサイズについても対応が出来ます。

本記事はポリスライダーを製造・販売する株式会社旭ポリスライダー様に監修を頂きました。

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護岸工事

監修:株式会社イーグル・ヴィジョン

護岸工事とは

護岸工事とは、河川や海岸及び湖沼などの水辺の区域で、土砂の流出や水流による浸食を防ぐために行われる工事です。

河川や海岸に堤防を設置したり、護岸ブロックを並べたりすることが多いです。河川や海岸の水位が上昇した際に水流を制御し、周辺地域への洪水・浸水を防ぐ役割を果たします。これにより、住民や農地を保護しつつ、経済的な損失を防ぐことが可能です。

護岸工事は、想定外の大規模洪水や津波などに対して、工事の規模や強度が足りなくなる可能性もあります。そのため、設計段階で最新の気象データや歴史的な災害記録を基に、極端な状況にも耐えられるように工事の規模や構造を決定することが重要です。

護岸工事の使用用途

護岸工事は下記のような場所において実施されます。

1. 河川

河川沿いでの護岸工事は、主に洪水防止と土地の浸食防止を目的としています。増水時に周囲の土地や集落を守るために堤防や護岸壁を設置します。

護岸工事により、河床を安定させ、土壌が削られたり、川岸が崩れたりするのを防ぎます。河川の水流を調整することで、周辺の農地や住宅地を保護することが可能です。

2. 海岸

海岸地域では、津波や高潮といった自然災害に対する備えが最も重要な目的です。特に津波や高潮が多い地域では、護岸工事を強化して実施する必要があります。

護岸工事により、高潮時や津波発生時に、海水が陸地に浸水するのを防ぎます。結果として漁業活動の安定化に寄与し、地元経済を保護することが可能です。

3. 低地・デルタ地帯

低地やデルタ地帯では、水位の変動が浸水に直結します。降水量や河川の増水が原因でも浸水が頻発するため、堤防や護岸壁が重要な役割を果たします。こうした地域では護岸工事によって洪水のリスクを軽減し、農地や住民の生活を守る必要があります。

護岸工事の原理

護岸工事の基本的な原理は、水流が特定の方向に流れるように調整することです。河川や海岸沿いでは、水流が土砂を削り取ったり、土地を浸食したりします。護岸壁や堤防を設けることで水流が勢いを失い、土地や岸壁への影響を軽減する仕組みです。

特に海岸での護岸工事では、波のエネルギーを吸収し、拡散させることが重要です。波が岸に打ち寄せるとき、そのエネルギーが護岸壁に伝わり、岸を浸食する原因になります。

護岸工事では波のエネルギーを分散させるために、角度をつけた壁や石積み、コンクリートブロックなどを使用することが多いです。これにより、波のエネルギーが地表に及ぼす直接的な影響を抑え、浸食や土砂流を防ぐことができます。

近年では、環境に配慮した護岸工事が求められる場合もあります。従来のコンクリートや石を使った護岸壁に加えて、植物を使った自然素材を用いた護岸なども注目されています。

護岸工事の種類

護岸工事には以下のような種類が存在します。

1. コンクリート護岸工事

コンクリート護岸工事は、コンクリートを使用した護岸工事です。護岸工事の中でも最も一般的な方法であり、強度や耐久性が求められる場合に使用されます。コンクリートを用いて壁を構築し、水流や波の力を抑える仕組みです。

コンクリート護岸工事は河川や海岸、湖沼などの場所で広く使用されており、高い防護効果を発揮します。コンクリートは耐久性が高く、長期間にわたって使用することができますが、自然環境との調和には配慮が必要です。

2. 石積み護岸工事

石積み護岸工事は、天然石や人工のブロックを積み重ねて作る工法です。自然の景観に馴染みやすく、波や水流を受けても効果的にエネルギーを吸収・拡散します。石積みの隙間に植物を生育させることができ、自然環境への配慮も可能です。

3. 木材護岸工事

木材護岸工事は木材を使用して護岸を作る工法です。特に湿地や自然保護区などで利用されることが多く、景観への影響を最小限に抑えることができます。ただし、木材は腐敗しやすいため、耐久性を保つために定期的なメンテナンスが必要です。

4. 防波堤工事

防波堤工事は波を防ぐために設置する護岸工事です。主に港や漁港、海岸で実施されます。コンクリートや鋼材及び石などによる波消しブロックを用いて、波浪のエネルギーを減少させる仕組みです。

護岸工事の分類

現在の護岸工事は、おおよそ以下の3通りに分類されます。
①新設護岸工事は護岸の一部、若しくは全部を新設します。
②既設護岸改良は護岸の高さが足りない等を改良します。
③既設護岸補強は30年~50年前経過した護岸の劣化・欠損修復です。

上記工事②③の方法とし、以下の3点の工事方法が主で活用されます。

1. 断面修復

護岸の欠損・クラック・表層の劣化部の補修・補強を行います。護岸背面の空洞へも材料等充填します。護岸背面に水が浸入すると一気に河川護岸が崩壊するため、その危険性を除去する対応です。護岸の表面には微細な隙間や欠損があり、背面の土砂が流失していた場合、空洞部や欠損部に補修材・砕石を充填します。

2. 護岸下部及び護岸基礎補修・補強

護岸基礎の損傷と護岸下部の欠損などへ対応する工事です。護岸下部や護岸基礎は流域の下に位置するため、排水しなければ工事できません。河川の水位によってドライアップ (乾燥) させるため、部分的な補修・補強であっても大きなコストがかかります。

3. 新設護岸工事・既存護岸の改良

護岸基礎・護岸下部から補修・補強が必要な箇所までコンクリートを施工します。更に大きな手間とコストがかかります。ただし、護岸の劣化や機能不全が進行している場合、周囲の土地や施設を保護するために不可欠な作業です。

本記事は護岸工事を行う株式会社イーグル・ヴィジョン様に監修を頂きました。

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ジャンクションボックス

ジャンクションボックスとは

ジャンクションボックスとは、電線の中継・分岐部分を保護するために用いられる電気工事部材です。

電気工事の際、電線の中継接続部分は雨や外部衝撃などから保護する必要があります。また、分岐を格納することで配線しやすくなり、配線の美観を保つ上でも効果的です。小規模な住宅配線から、大規模な商業用途、工業用途まで、様々なシーンで多様な製品が活用されています。

ジャンクションボックスの使用用途

ジャンクションボックスは、屋内配線において接続部分を保護したり、屋外における様々な気象条件(高温・風雨) などから配線接続箇所を保護したりするために使用されます。また、ジャンクションボックスを用いて配線システムを整理することで、メンテナンス時のアクセスが容易になります。

主な利用シーンには下記のようなものがあります。

  • 一般住宅
  • 商業施設、小売店舗
  • 工場、プラント (一般電気配線やセンサー配線など)
  • 医療機関
  • 屋外電気設備・太陽光発電システムなど
  • 電話配線 (MDF 、IDF、端子函、光クロージャ)

ジャンクションボックスの原理

ジャンクションボックスは、外部要素や物理的衝撃、摩耗など、あらゆる損傷要因から電気接続を保護します。ボックス内で電線やケーブルの中継接続と分岐を行い、作業完了後にふたを閉める仕組みです。点検時に蓋を開けて確認できるよう設計されています。

素材には金属やプラスチックなど堅牢な素材が用いられます。具体的には、ポリカーボネート樹脂、ABS樹脂、アルミニウム、グラスファイバーを配合したポリエステル、ステンレスなどです。

一般的に金属のほうがより頑丈であることから、屋外用のジャンクションボックスにはステンレスや耐水性材料が使用されます。金属製のジャンクションボックスは、強い衝撃や極端な温度にさらされるリスクがある場合や、配線に特別な保護が必要な場合にも使用されます。

また、ジャンクションボックスは電気配線を整理することで、配線の絡まりや電気火災などのトラブルを防ぐことが可能です。

ジャンクションボックスの種類

ジャンクションボックスには下記のような種類があります。

1. アウトレットボックス

アウトレットボックスは、主に天井裏や壁の中に埋め込んで設置され、ボックス内で電線やケーブルを相互に接続します。JIS規格 (JISC8340、JISC8435) で規格が定められている製品です。

16〜28mmの小径の電線管を接続する際に適しており、太径の幹線などは収納できません。照明器具設置、電話配線の取り出し、コンセント・スイッチの設置などに使用されます。

2. コンクリートボックス

コンクリートボックスもアウトレットボックスと同じく、配線の中継・分岐を目的として使用されるジャンクションボックスです。しかし、コンクリートボックスは、ボックスをコンクリートに直接打ち込んで使用されます。

素材は樹脂製や金属製、形状は四角形や八角形などがあり、底板を取り外すことが可能です。自動火災報知設備の感知器や照明器具、放送用スピーカーなどをとりつける際に、電気を安全に使えるように設置されます。

3. プルボックス・ナイスハット

プルボックスは、配線の本数が多い場合や、長い場合、複雑な配線経路などの場合に使用されます。サイズ展開が豊富です。ナイスハットは主に木造建築物に設置されるタイプのジャンクションボックスです。

4. 防水型・防塵型

浴室、厨房、プールサイドなど、水しぶきや高湿度が予想される場所。また工場、倉庫、建設現場など、粉塵が舞う環境では、電気機器の内部に粉塵が侵入し、ショートや故障の原因となるため、防塵対策が必要な場所では防水型・防塵型のジャンクションボックスを使用することがあります。

置き去り防止装置

監修:オクト産業株式会社

置き去り防止装置とは

置き去り防止装置 (置き去り防止を支援する安全装置) とは、自動車の中に子どもや人が取り残されないように、運転手等に車内の見回りを促したり、センサーが車内に置き去りにされた人を検知したりする安全装置です。

スクールバス等の車内に置き去りにされた児童等が、死亡または深刻な健康被害を受ける事故が繰り返されることから、2023年4月1日より、保育所、幼稚園、放課後等デイサービス事業所などの主に送迎用バスにおいて、置き去り防止装置の設置が義務付けられました。

国土交通省が定めた「置き去り防止を支援する安全装置のガイドライン」に準拠した装置には、ガイドライン認定番号が付与され、こども家庭庁の「送迎用バスの置き去り防止を支援する安全装置リスト」に掲載されています。このリストに掲載されてない製品を設置した場合は、置き去り防止装置の設置義務違反となるため注意が必要です。

通所介護事業所 (デイサービス) やスイミングスクールなどの送迎用車両は置き去り防止装置の設置が義務付けられていませんが、自発的に装置を設置する事業者もいます。

置き去り防止装置の種類

大きく分けて2つの方式があり、各々異なるヒューマンエラー及び場面への対策を目的としています。2つの方式を組み合わせた製品もあります。

・ 降車時確認式(押しボタン式)の装置

運転手等に車内の確認を促し降車時の確認忘れを防止することを目的としています。多くの場合、エンジン停止をトリガーとして車内で音や音声を鳴らし、運転手等に車内の安全確認を促します。目視による安全確認後、確認ボタンを押すしくみです。所定の時間内に確認ボタンが押されないと、車外に向けて大音量の警報音が鳴り、車内の安全確認がされていない可能性を周囲の人に知らせるものが一般的です。

・ 自動検知式(センサー式)の装置

乗員を残したまま駐車してしまった場合に、車外に向けてその旨を知らせることを目的としています。エンジン停止後、一定時間経過後に車内に人が残っていると、人感センサーが検知して、車外に向けて大音量の警報音等が鳴ります。検知方法は超音波、音声や画像を解析するなど、様々です。また車外への通知方法も、施設内に設置した受信機やスマホアプリ宛に通知する方法など、複数の方法があります。

・上記の機能を組み合わせた装置(併用式)

置き去り防止装置の選び方

降車時確認式と自動検知式には、それぞれに一長一短があります。また送迎用車両の運用方法やルールは施設ごとに違います。ある施設にとってはメリットになる製品の特長が、別な施設ではデメリットになることもあります。実際に装置を使う場面を具体的に想像して、ご自身の施設に向いている製品を選ぶことが大切です。一度取り付けると、長く使用することになりますので、ささいな点でも気になったら、メーカーや代理店に問い合わせる事が肝心です。

・降車時確認式(押しボタン式)の装置の特徴

良い点:操作方法がシンプルな製品が多く、電子機器が苦手な人でも操作しやすい傾向があります。急に運転手が変更になった場合などでも、操作がシンプルなため問題が生じにくいメリットがあります。構造がシンプルなので、地場や磁気、通信システム障害に影響を受けにくく、安全装置単体で運用できるため、安全装置のシステムとして堅牢な場合が多いです。

難点:送迎の後など、車両を使い終わった後、毎回確認ボタンを押す必要があります。この点が安全を担保するためのコストと感じるか、煩わしいと感じるかは、導入する施設の運用方法やルールなどによって変わってきます。

・ 自動検知式(センサー式)の装置

良い点:基本的に機械任せなので、運転手の手間が少ない事がメリットです。設置したセンサー類と、IT機器やICTシステムを連動させ、車内外の情報をスマートフォンに送るなど、付加サービスを提供できる製品もあります。

難点:センサーが誤認識してしまう場合があります。場合によってはセンサーを定期的に点検する必要があります。付加サービスを提供する場合、タブレットなどのアプリを使う操作が必要となり、電子機器が苦手な人にとっては利用するハードルが高くなる可能性があります。また付加サービスは月々の利用料金が必要なものが多く、導入の際には運用コストも考える必要があります。

本記事は置き去り防止装置を製造・販売するオクト産業株式会社様に監修を頂きました。

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BIM/CIMソフト

BIM/CIMソフトとは

BIM/CIMソフトとは、建設業界で設計・建設・運用の各段階で情報をデジタルで統合的に管理するためのソフトウェアです。

BIMとは「Building Information Modeling」の略であり、主に建築物に関連する設計・建設・運用の全てのプロセスをサポートするソフトウェアです。建物の詳細な3Dモデルを作成し、建築家やエンジニア及び施工業者がリアルタイムで協力しながら作業を進めることが可能です。CADソフトなどと連携されていることが多いです。

CIMは「Civil Information Modeling」の略であり、公共事業やインフラの設計・管理に特化しています。地形データや道路設計、インフラストラクチャの詳細をデジタルで表現し、建設プロジェクトの効率性を高める役割を果たします。

BIM/CIMソフトは設計段階で詳細な3Dモデルを作成するため、物理的な構造やインフラの正確な視覚化が可能です。これにより、設計の誤りや不整合を早期に発見でき、最終的な建物やインフラの品質が向上します。

また、複数のチームメンバーが同じモデルを共有し、リアルタイムで更新を行うことができるため、各ステークホルダー間での連携が強化されます。

BIM/CIMソフトの使用用途

BIM/CIMソフトウェアは、建設業界やインフラ業界で使用されるソフトウェアです。設計段階や施工段階だけでなく、管理・運用段階でも活用される機会があります。

設計段階では、建物や構造物の設計に広く使用されます。ソフトウェアを使用して詳細な3Dモデルを作成し、構造や付帯設備などを視覚的に設計します。構造や設備の配置などをシミュレートし、設計ミスを事前に発見することが可能です。

建設現場での施工管理では、設計図や施工スケジュールと連携し、建設資材や作業進捗の管理が可能です。3Dモデルに基づいて施工手順を確認でき、建設中の変更や問題を迅速に反映できます。また、リソースの最適化やスケジュール管理が可能な製品も販売されています。

建物が完成した後の施設管理でも活用されることが多いです。建物内の設備やシステムに関する詳細な情報をソフトウェア上に格納することで、メンテナンスや修理の際に迅速に必要な情報を得ることができます。配管や電気設備の位置情報、使用されている材料のデータなどが簡単に確認でき、効率的な施設管理に繋がります。

BIM/CIMソフトの原理

BIM/CIMソフトの中心には、統合されたデータベースが存在します。データベースに建物やインフラに関するすべての情報を集約することにより、あらゆる情報が一元管理され、関係者間での情報共有がスムーズに行える仕組みです。

データベースには、クラウド技術やサーバー技術を使用します。クラウド技術を利用することで、複数の関係者がインターネットを介して同時にデータにアクセス・更新することが可能です。機密性の高い情報の場合、専用サーバーを活用することもあります。

BIM/CIMソフトでは、設計の段階で3Dモデルを使用して建物やインフラを視覚化します。これにより、物理的な構造や配置、空間的な関係をリアルタイムで確認できます。設計上の問題を発見するための強力なツールであり、設計ミスや不整合を事前に発見して修正することが可能です。

BIM/CIMソフトの選び方

BIM/CIMソフトを選ぶ際は、以下を考慮することが重要です。

1. プロジェクト規模

ソフトウェアを選ぶ際には、プロジェクトの規模や複雑さを考慮することが重要です。小規模な建設プロジェクトにはシンプルなBIMソフトウェアで十分な場合がありますが、大規模で複雑なインフラプロジェクトには高機能で柔軟性のあるソフトウェアが必要です。

2. インターフェイス

ソフトウェアの操作性は、作業効率に大きく影響します。直感的で使いやすいインターフェースを持つソフトウェアを選ぶことが重要です。

また、トレーニングやサポート体制が整っていることも確認します。業界で広く使用されるソフトウェアは、ユーザーコミュニティやサポートが充実している場合が多いです。

3. コスト・ライセンス

ソフトウェアの価格は、選定時の重要な要素です。BIM/CIMソフトは高価であることが多いため、サブスクリプション型や永続ライセンスなど、支払い方法についても検討が必要です。また、最初の購入費用だけでなく、保守費用やアップグレード費用も考慮します。

吸引ろ過装置

吸引ろ過装置とは

吸引ろ過装置とは、液体や気体を引き寄せつつフィルターを通すことで固体粒子を取り除く装置です。

フィルターを設置した容器と、吸引を行うための真空ポンプなどで構成されます。液体や気体がフィルターを通過する際、固体不純物がフィルターに残り、清浄な液体や気体を吐出する装置です。通常の重力ろ過よりもろ過速度が速い点が特徴です。また、吸引ろ過を実施することで細かい固体粒子を効率的に除去できます。

吸引ろ過装置の使用用途

吸引ろ過装置は以下のような用途で使用されます。

1. 研究・開発

実験室などでは、吸引ろ過装置は化学実験や生物学的研究において重要な役割を果たします。溶液から固体を迅速に分離したり、化学反応後の副産物を除去したりするために使用されます。特に小規模なサンプルで高精度なろ過が求められる場合、吸引ろ過装置が非常に有用です。

2. 製薬

製薬業界では、吸引ろ過装置を使用することで薬品や化学物質の精製、純度を高めることが可能です。結晶化した薬品のろ過や溶媒から不純物を取り除くために使用されることが多いです。

また、製薬工程において細菌や微生物を除去するために、微細なフィルターを用いた吸引ろ過が行われることもあります。衛生面や品質管理が重要なこの業界では、効率的で高精度なろ過が重要な役割を果たします。

3. 食品

食品業界では、吸引ろ過装置は、特に液体製品の清澄化や不純物除去に使用されます。ジュースやワイン、ビールなどの飲料製造過程で、果汁や液体の中に含まれる不純物をろ過することが可能です。

また、油やバターの精製過程で、固形物や異物を取り除くためにも利用されます。これにより、製品の見た目や味、品質を高めることができます。

吸引ろ過装置の原理

吸引ろ過装置では、真空ポンプや吸引装置を使用します。装置内の圧力を大気圧よりも低くすることで、液体や気体がフィルターを通過する際に吸引力が働いて、物質を強制的に引き寄せます。この吸引力によってろ過する流体がフィルターに向かって引き寄せられ、固体粒子を捕える仕組みです。

吸引ろ過装置では、液体や気体をろ過するために特定のフィルターを設置します。フィルターにはろ紙やメンブレンフィルターなどが使用されます。粒子のサイズに応じて多くの種類のフィルターが販売されており、目詰まりを防ぐために適切なものを選定することが必要です。

液体や気体が吸引力によってフィルターを通過する際、固体粒子はフィルター表面に留まり、清浄な流体がフィルターを抜けて吸引されます。この過程により、固体物質を効率よく取り除き、清浄な液体や気体が取り出すことが可能です。

吸引ろ過装置の選び方

吸引ろ過装置を選ぶ際は、以下を考慮することが重要です。

1. フィルター細孔

フィルター細孔のサイズは、ろ過する粒子のサイズに合った製品を選ぶことが重要です。フィルター細孔が小さいほど微細な粒子を取り除くことができますが、ろ過速度は遅くなります。微細な粒子を除去する場合は、フィルター細孔が小さい0.45μmや0.22μmなどを選定します。

2. 容器容量

容器容量は、ろ過する流体の量に応じて選定します。処理するサンプルの量が多い場合には、大容量の容器を選ぶ必要があります。また、容量が大きければ、ろ過作業を一度に長時間行えるため、作業効率が向上します。

3. 材質

吸引ろ過装置の材質は、使用する流体の化学的性質や使用環境に合わせて選ぶことが重要です。化学薬品や溶媒を扱う場合は耐薬品性が重要であり、ステンレス鋼やテフロン及びガラスなどを使用します。特に小規模な製品の場合はガラスを使用することが多いです。

4. 真空度

吸引ろ過装置ではろ過プロセスを効率的に進めるために十分な吸引力が必要です。真空度が高いほど流体がフィルターを通過する速度が上がりますが、過度に高い真空度を使用するとフィルターが破損するリスクが高まります。

適切な真空度のポンプを選定するためには、ろ過する流体の粘度や固体粒子の大きさを考慮する必要があります。