ロボットコントローラ

ロボットコントローラとはロボットコントローラ

ロボットコントローラとは、産業用ロボットや協働ロボットに動きを命令する制御装置です。

ロボットコントローラは、ロボットの動作を制御するための基板が納められたコントローラ部とユーザーインターフェイス (U/I) 部により構成されます。コントローラ部は外部とのやり取りを行い、PLCなどと通信し、ロボットを制御することが主な役割です。

一方で、ユーザーインターフェイス部は人がロボットを操作するためのもので、TP (ティーチングペンダント) と呼ばれています。ロボットをマニュアル操作で動かしたり、プログラムを作成したりしてロボットを動かすことができます。

ロボットコントローラの使用用途

ロボットコントローラは主にロボットアームを制御するために使われます。

ロボットコントローラが制御できるロボットアームは、次のようなものがあります。

これらのロボットは溶接をしたり、荷物を運んだりと人に代わって作業をします。ロボットコントローラはロボットに動作指令を送るのが主な役割です。また、エンドエフェクタ (ロボットハンドとも呼ばれる) など、ロボットに接続されている周辺機器を制御することも可能です。

ロボットに動作指令を送るためには、次のような方法があります。

  • ティーチング
    TPを使ってロボットの動きを教示 (ティーチング) してプログラムを作成します。TPを使ったティーチングは、従来の産業用ロボットに広く普及しています。
  • 外部機器との通信
    司令塔となるPLCとコントローラ部を接続し、PLCからコントローラ部を介してロボットを制御したり、プログラム通り動かすことができます。PLCとロボットコントローラとの接続はI/O (ONかOFFのデジタル信号) やEthernet通信を用います。

ロボットコントローラの原理

ロボットコントローラは、以下のような原理・機能を持っています。

  • ロボットの動作を決定
    PLCなどの上位装置からの指令に応じてロボットの次の動作を決定する。
  • 演算、指令
    ロボットの関節に入っているモーターの動作を演算し、モーターに指令を送る。
  • 異常検知
    ロボットの異常を検知して停止する。

近年の製品ではAIが搭載されているものもあり、ティーチングしなくても次はどのように動けばよいかロボット自身が判断して動作する製品も多いです。産業用ロボットや人協働ロボットのロボットコントローラはロボットメーカーから発売されており、メーカーごとに仕様が異なります。

基本的には、ロボットコントローラは他社への互換性はなく、特定のメーカーのロボットコントローラで他社メーカーのロボットを動かすことはできません。

ロボットコントローラのその他情報

1. TP (ティーチングペンダント) の種類

TPとは、人がロボットを動かすための部分です。TPは有線タイプと無線タイプ (タブレット型など) の2つがあります。

有線タイプのTP
有線タイプは、昔からある産業用ロボットに用いられることが多いです。自動車メーカーなど、既存の産業用ロボットが使われている製造現場では作業者が使い慣れています。

有線タイプのデメリットとして、初心者が使いこなすためにはある程度時間がかかることがあります。このタイプのコントローラを初心者が使うためにはマニュアルを読んだり、ロボット講習会を受けたりしてある程度操作に習熟するか、専用のロボットSIerにシステム構築を依頼する必要があります。

無線タイプのTP
無線タイプは主に人協働ロボットに用いられることが多いです。このタイプのメリットとして、初心者でも比較的使いやすくデザインされていることが挙げられます。

大画面のタッチパネルやダイレクトティーチングと呼ばれる直感的な操作を採用したTPが多く、初心者でもすぐに使えるようになっています。そのため、ロボットSIerに依頼しなくても自分たちでロボットを制御することが可能です。

また、太いケーブルがないため、すっきりとしたロボットシステムを構築することができます。

2. ロボットコントローラの進化

ロボットコントローラはロボットの用途拡大や、自動化需要の高まりに応じて日々進化しています。ここでは、進化の方向性としてロボットコントローラの小型化と、高機能化について述べます。

小型化
近年、電子部品組み立てなどの用途で小さいロボットの需要が増えています。それに伴いロボットコントローラの小型化の要望が多くなっています。

不二越、川崎重工、安川電機などのロボットメーカーが容積12~15Lクラスの小型ロボットコントローラを製品化しています。これらの製品は、従来機種よりも7割以上小型化されています。

高機能化
ロボットコントローラは、ロボットだけでなく周辺の機械を一括で制御するような方向性で進化していると言えます。例えば、ロボットコントローラの中にPLCの機能を内蔵し、サーボモーターやI/Oなどを制御する外部のシステム制御盤が不要になるような製品も出てきました。

参考文献
https://www.denso-wave.com/ja/robot/product/option/tpmp.html

サーボモーター

サーボモーターとは

サーボモーター

サーボモーターは、エンコーダを内蔵しつつ変位を自由に決めることが出来るモーターの総称です。サーボはServant(奴隷)が語源で、指定通り動作することを示しています。ロボットや加工機で多く使用されます。

サーボモーターの使用用途

サーボモーターは家庭用として見ることはほぼありませんが、産業用途としては幅広く使用されています。

一例としては、自動車工場の組立ロボットなどです。サーボモーターを用いることで、数多くの部品を素早く正確に組立可能です。

自動車工場では塗装や溶接作業にもサーボモーターを用いたロボットが使用されます。プログラム次第で、正確に素早く同じ動作を再現します。

また、半導体製造装置や医療機器など、精密産業用機器には高い再現性と正確性が求められます。大小問わず多くのサーボモータが生産設備で使用されています。

サーボモーターの原理

現在広く普及している小型ACサーボモータとしては、永久磁石型同期モーターが使用されます。同期モーターは回転子、固定子、軸受、ケーシングなどで構成されます。

永久磁石型同期モーターの回転子には永久磁石が取り付けられており、固定子巻線が外周を円環状に囲んでいます。固定子巻線には外部から接続された配線が交流電流を流します。

電流を流された固定子巻線は、電磁石となります。交流電流が周波数に応じて位相を変化させるため、電磁石も極性を時間と共に変化させます。

一方で、回転子は永久磁石の極性が固定されているため、固定子の位相変化に応じて回転します。これがサーボモータの回転動作原理です。

サーボモーターには小型小容量のものがほとんどです。ただし、大容量サーボモータには誘導モーターが使用される場合もあります。

サーボモーターの最大の特徴は、エンコーダが付属することです。エンコーダによって、モーター変位を制御機器へフィードバックすることができます。

サーボモーターの電源には専用の制御機器を用います。制御機器によってエンコーダの信号を読み取り、周回数や速度などを制御できる機器です。

サーボモーター専用の制御機器はサーボドライバサーボアンプと呼ばれ、モーターメーカーなどから販売されています。

サーボモーターのその他情報

1. サーボモーターとステッピングモーターの違い

ステッピングモーターは1パルスでどれだけ回転するか決まっているので、パルス信号で回転の角度や速度を簡単かつ正確に制御できます。構造も簡単かつ低コストですが、急激な負荷で同期がずれたり、高回転ではトルクが小さく音が大きくなります。

一方サーボモーターは、回転をセンサーで検出してフィードバック信号をドライバに送ります。制御信号とフィードバック信号を比較して差がなくなるように出力を調整するので、細かい制御が可能になります。

ステッピングモーターよりも滑らかに回転し、高トルクや高回転、急激な負荷でも安定します。反面、モーターやドライバが複雑で高コストであり、フィードバック信号と比較して制御するので、出力の変化に対して遅れが生じます。サーボモーターは、頻繁に始動や停止を繰り返したり、超低速や逆転など細かい制御をしたい場合に使用されます。

2. サーボモーターのトルク

サーボモーターのトルクは、定格トルクと瞬時最大トルクに分けられています。定格トルクは、モーターの定格出力、定格回転速度の状態で出力されるトルクのことです。通常運転時はこのトルク以下で使用します。

瞬時最大トルクは、短時間に出力可能な最大のトルクであり、加速や減速にかかる時間を短縮することが可能です。定格トルクより3~5倍ほどのトルクを発生させられますが、瞬時最大トルクでモーターを使い続けると寿命が短くなってしまいます。

通常運転時は定格トルク以下で使用するとモーターが長持ちします。サーボモーターを選定する際には、機械の負荷トルクや慣性モーメント、機械の制御パターンなどを考えて、必要なモーターの速度やトルクを求める必要があります。

3. サーボモーターの使い方

サーボモーターはプログラマブルコントローラサーボアンプ、サーボドライバを接続して使用します。

ロボットやコントローラなど、電子工作で使用するサーボモーターは、マイコンボードと電池で動作します。サーボモーター用のライブラリが用意されているものもあるので、コードを記述するだけで簡単に動かすことができます。

参考文献
https://www.fujielectric.co.jp/products/column/servo/servo_01.html
https://www.jel-robot.co.jp/term/term003.html

定電流ダイオード

定電流ダイオードとは定電流ダイオード

定電流ダイオードとは、電圧が所定の範囲内のとき、一定の電流を流すことができる電子部品です。英語名である”Current Regulative Diode”の頭文字から”CRD”と呼ばれることもあります。 電子機器の中にはLEDのように駆動中の電流値を一定にしたい機器が多数あります。そのような電子機器にCRDは用いられます。

定電流ダイオードは一般的に1mAから15mAといった比較的小さな電流を流すときに用いられますが、500mAといった大きな電流を流すことができる定電流ダイオードもあります。ただし、駆動中の発熱、それに伴う部品の破損には注意が必要です。

定電流ダイオードの使用用途

ダイオードは様々な電子機器に使われる基本的な電子部品です。電子機器の中には駆動中に一定の電流を流し続けたいものもあります。例えばLEDは流れる電流量によって輝度が変化するため、発光を安定させるには回路を流れる電流量を一定にしなければなりません。このような電流駆動型の電子部品、電子機器で定電流ダイオードは使用されます。その他、バッテリーの充放電回路や漏電遮断機(漏電ブレーカー)などにも定電流ダイオードは使用されます。

定電流ダイオードの原理

定電流ダイオードの原理

図1.定電流ダイオードの原理

定電流ダイオードの電流特性を上記の図に示します。0からある電圧までは定電流ダイオードも電圧の増加とともに電流が増加します。しかし、電圧がある一定の領域に入ると電流の値が一定になります。このときの電流値は「ピンチオフ電流」と呼ばれ、定電流ダイオードの特性を表す値の一つです。

また、ピンチオフ電流の80%の電流値を与えるときの電圧を「肩電圧」と呼び、定電流を保持するには肩電圧よりも大きな電圧を印加する必要があります。なお、上記の図の通り、定電流ダイオードでも大きな電圧を加えると定電流ではなく、再び電圧の増加とともに電流が増加します。

なお、このように定電流の領域を超えるほどの電圧を加えると破損してしまうので、実際に使用するときには電圧の大きさに注意が必要です。

定電流ダイオードの種類

定電流ダイオードは1V以下の低電圧から100Vの高電圧まで動作が可能です。ピンチオフ電流の大きさが異なるもの、ピンチオフ電流値の変動が抑えられたものなど、様々な低電流ダイオードが販売されています。一般的には定電流の値は1mAから15mAのものが多いです。一方で大電流用の定電流ダイオードも販売されており、350mA、500mAの定電流を流すことが出来ます。

なお、定電流ダイオードを使用するときには駆動中の発熱に注意が必要です。電圧と電流の積の大きさに応じて発熱が生じ、場合によっては定電流ダイオードの破損の要因となります。また、ピンチオフ電流値が異なる複数の定電流ダイオードをつないで使用する場合、回路の構成を適切に行わなければ想定している動作をしなかったり、装置が破損する場合があるため使用時には十分な注意が必要です。

定電流ダイオードのその他情報

ダイオードの種類

一口にダイオードといっても多くの種類があります。ここでは定電流ダイオード以外の代表的なダイオードについて、その概略をお話しします。

  • 整流ダイオード
    通常、家庭では各戸にAC電源が来ており、その電力を利用して電気機器、電子機器が作動します。白熱灯、ドライヤーなど、直接交流で作動する機器を除いて、交流を直流に変換する際に使用されるダイオードがこれに当たります。整流ダイオードは比較的高い電圧で使用することが多いため順方向電圧VFが大きく、多くの電流を扱えるものもありますが、大電流用はそれなりに大きくなり、放熱が必要になってきます。整流用のダイオードは全波整流、ブリッジ整流などモジュールで使われることが多く、全波用、ブリッジ用のモジュールとしても用意されています。
  • スイッチングダイオード
    主にスイッチング回路で使用される小型ダイオードで、外観はガラスに封入されており、リードタイプです。スイッチング動作が目的なので逆回復時間trrは整流ダイオードよりも短くなっています。
  • 定電圧ダイオード
    普通、ダイオードは順方向に電圧をかけて使用しますが、定電流ダイオードは逆電圧をかけて使用します。定電圧ダイオードに逆電圧を掛けていくと、ある電圧で電流が急激に流れ出します。この電圧がツェナー電圧(降伏電圧)で安定した電圧となり、基準電圧などに使われます。
  • 発光ダイオード(LED)
    みなさんよくご存じの発光ダイオードです。2014年に日本人が青色発光ダイオードの発明でノーベル物理学賞を受賞したことは記憶に新しいでしょう。これにより、今まであった赤色LED、緑色LEDと併せて、光の3原色が揃い、フルカラーLEDや白色LEDが実現でき、LEDの使用用途が格段に広がりました。これは最近のLEDの動きですが、LED自体は以前から実用化されていて、様々な機器で電源のインジケータ、作動状態の表示などに常用されていました。電源ONを知らせるインジケータや信号のレベルを知らせるバー状のLEDなどは過度に明るい必要はなく目視で認識できれば良いので、10mAも流せば十分に実用になります。このような使い方は小型電球(豆電球 / ムギ球)などにはできませんでした。

その他、レーザーダイオードフォトダイオードなどのダイオードがあります。

参考文献
https://kurashi-no.jp/I0016986
https://detail-infomation.com/diode-type/
https://www.onsemi.jp/products/power-management/led-drivers/linear-led-drivers/nsi50350as

オーディオ用トランス

オーディオ用トランスとは

オーディオ用トランス

オーディオ用トランスとは、オーディオ機器で音を増幅するためのトランスです。

一般的にアンプの出力段に位置し、アンプの出力信号をスピーカーに送る前に必要な変換やフィルタリングを行う役割を果たします。ノイズや他の電磁場の影響を最小に抑えられる製品が多くあります。

そのため、マイク信号のような長距離微小アナログ信号の伝送に使用される場合も多いです。

オーディオ用トランスの使用用途

オーディオ用トランスは、オーディオ機器の向上に使用されます。アンプ機器の入力に使用し、オーディオ信号の増幅に使用されることがあります。特にシングルエンドアンプやプッシュプルアンプにおいては、オーディオ用トランスの選択が音質に大きく影響します。

適切なトランスを選定することで、音のクリアさやバランス感を向上させることが可能です。アンプの出力信号をスピーカーに送る際にも使用されます。

電源や出力段の回路とスピーカーの間に配置され、出力信号の変換やフィルタリングを行います。スピーカーの効率や正確さを向上させ、音の質感をよりリアルにします。

アンプ回路中で、フィルタリングやインピーダンスマッチングに使用されることもあります。特にバッファーアンプやマイクアンプにおいては信号の安定性や音質の向上に寄与します。

オーディオ用トランスの原理

オーディオ用トランスは、音声信号を伝送用のトランスです。トランスは磁気回路を介して電力を伝送するための装置であり、2つのコイルの磁気結合を介して電力を伝送します。

オーディオ用トランスにおいては入力側コイルに音声信号を入力し、出力側コイルから変圧された信号を取り出します。音声信号は、入力側コイルを通るときにコイル内に磁束を発生させます。この磁束が出力側コイルに到達すると再び電気信号に変換される仕組みです。

オーディオ用トランスでは、部品の磁気特性が重要な役割を果たします。特にトランスのコア材料や巻線の品質は音質に影響を与えます。また、トランスの巻線はインダクタンスや容量などを適切に設計することで、より高品質な音声信号の変換を実現します。

オーディオ用トランスの種類

オーディオ用トランスには多様な種類があり、それぞれの特徴によって異なる用途に使用されます。以下は代表的なオーディオ用トランスです。

1. 出力トランス

アンプの出力段に用いられ、高電圧または高電流の信号をスピーカーに送ります。大型かつ高出力のトランスが多いです。

2. 入力トランス

アンプの入力段に用いられ、低レベルの信号を増幅するために使用されます。音声信号をクリアに伝達するために、高品質な材料で作られることが多いです。

3. マッチングトランス

入力トランスと出力トランスの間に接続され、適切なインピーダンスマッチングを行います。信号の伝送品質を向上させ、ノイズや歪みを減らすためのトランスです。

4. 交流電源トランス

交流電源トランスはアンプの電源を供給するために使用されるトランスです。交流電源からのノイズなどを除去することが目的で設置されます。アンプへ供給する電源品質を向上させることが可能です。

5. プラグイントランス

プラグイントランスはオーディオ機器の配線用に使用されるトランスです。小型で安価な製品が多く、幅広い用途に使用されます。

オーディオ用トランスの選び方

オーディオ用トランスを選ぶ際は用途、インピーダンス、品質、サイズなどを考慮します。

まず、用途に応じてオーディオ用トランスの種類を選定します。その後、インピーダンスを設定します。出力トランスや入力トランスを選ぶ際には、アンプの出・入力段のインピーダンスとトランスインピーダンスが一致することが重要です。

また、品質にも十分注意をして選定します。高品質な材料や技術が使用されている製品を選ぶことで、音質の向上が期待できます。

サイズや形状も重要な要素です。小型化が求められる場合や特殊な形状が必要な場合には、適切なトランスを選ぶ必要があります。

参考文献
https://detail-infomation.com/

信号用リレー

信号用リレーとは信号用リレー

信号用リレーとは、電気的な信号を入力し、その信号を基に電気接点をON-OFF制御する電気部品です。

信号用リレーは、有接点リレーと無接点リレーの2種類に分けられます。有接点リレーは、電磁コイルの電磁力によって接点を移動させてON-OFF制御します。

実際に接点が動作するため接点摩耗による経年劣化が発生する反面、サージ電流のある出力でも使用できるという利点があります。無接点リレーは、トランジスタなどの半導体を用いてON-OFF制御するリレーです。

実際に動作する部品がないため動作回数による寿命も存在しませんが、直流電源でしか使用できないリレーも多く販売されています。動作回数に制限がない利点から、コンピュータなどのハイテク製品内部には無接点リレーが多く使用されます。無接点リレーはソリッドステートリレーとも呼ばれます。

信号用リレーの使用用途

信号用リレーは、さまざまな機器に使用される重要部品の一つです。

  • 冷蔵庫や掃除機などの家電(古い扇風機以外)
  • 成型機や包装機、ロボット機器
  • 発変電所制御盤や冷熱サイクル機器などへの信号入出力
  • ビル管理システム制御盤やコピー機、複合機

信号用リレーの原理

信号用リレーは、有接点リレーと無接点リレーで原理が異なります。

1. 有接点リレー

有接点信号用リレーは、コイルによる電磁力で可動接点を物理的に移動させて信号を出力します。ケーシング、ピン、ソケット、接点、コイルなどの部分に分かれます。

ケーシングは、リレー全体を堅牢に保護するためのパーツです。入出力信号やコイル部分が地絡するのを防ぐため、主に樹脂やゴムなどの絶縁材料で製作されます。リレーの簡単な仕様や製造番号も、ケーシングに印字されることが多いです。

ピンは、ケーシングに固定された電気信号伝達部分です。ソケットに差し込むか、直接基板と半田付けして使用します。メーカーによってはソケットは別売となる場合があります。

コイルは、可動接点を電磁力で動作させる部分です。コイル電圧は、一般的な信号用リレーではAC200V程度が上限です。

接点は可動接点と固定接点に分かれます。可動接点がコイルの電磁力によって、固定接点と接触または離脱することでON-OFF信号を出力します。

接点やピンは接触抵抗を低減させる目的で、や銀を材料に製作されます。金メッキが使用される場合もあります。

有接点リレーのメリット

  • 構造部品が少なく、安価に製作可能
  • 許容電流が高い製品も簡単に製作可能
  • 部品数が少ないため、絶縁距離も長く取れる
  • 接点部分は抵抗が少ないため、低損失

以上のメリットから、安全を必要とされる信号用リレーや安価な製品には有接点リレーを用います。

2. 無接点リレー

無接点リレーは、主にトランジスタなどの半導体を使用してON-OFF信号を出力します。信号用リレーにはフォトトランジスタを用いたフォトカプラを用いる場合が一般的です。

半導体とは、電圧や温度などの条件によって導体と絶縁体の性質が切り替わる材料のことです。その中でもフォトトランジスタは光を受光して導体となります。

フォトカプラは、発光ダイオードとフォトトランジスタを組み合わせた部品です。入力電気信号によって発光ダイオードが発光し、受光したフォトトランジスタが導体となることでON-OFF信号を出力します。

無接点リレーのメリット

  • 可動部分が存在しないため、動作回数による寿命がない
  • 可動部分が存在しないため、無音
  • ON-OFFの切替速度が速い

以上の特徴により、無接点リレーは切替頻度が高いハイテク製品などに多用されます。

参考文献
https://jp.misumi-ec.com/vona2/el_control/E1900000000/E1903000000/E1903010000/
https://www.omron.co.jp/ecb/product-info/basic-knowledge-series/basic-knowledge-of-relays/part1/basics

センサー

センサーとは

センサー (英: Sensor) とは様々な物理量あるいは物質の濃度などを検知する機器です。

検知器とも呼ばれ、あらゆる電子機器に組み込まれて目・耳・鼻などの感覚器官に相当する役割を担っています。測定物をただ検知するだけでなく、それによって機器の次の動作を決定させたり、安全のために機器の動作を止めたりする目的で使用されます。

センサーの仕組み

例として温度センサーの仕組みを紹介します。 温度センサーは、温度を感知して接点が作動したり、電気抵抗が変化する装置です。 温度によって接点を作動する装置にはサーモスタットと呼ばれる温度センサーがあります。 熱膨張の異なる2種類の金属板を張り合わせ、温度変化が起きると金属板が外れる仕組みになっています。

サーモスタットはこたつなどで使われていますが、接点で直接ヒーターの入り切りをするので、細かい温度制御はできません。 電気抵抗が変化する装置にはサーミスターと呼ばれる温度センサーがあります。

サーミスターはわずかな温度変化でも電気抵抗が大きく変化する特性があります。 そのため例えば暖房機器に利用すれば、室温が上昇すると、出力を徐々に弱めていくような細かな制御が可能になります。

センサーの種類

センサーが検知するものは、熱や圧力、音や光、距離や流量など様々なものがありますが測定物によって異なるセンサーの種類があり、測定原理も異なります。

身近なもので言うとスマートフォンには様々なセンサーが組み込まれています。タッチパネルは指の接触や動きを検知するセンサーが搭載されており、カメラには光を検知して画像化するセンサーが搭載されています。通話やAIアシスタントへの呼びかけはマイクを通して行われており、これも音を検知するセンサーです。

近年ではIoTの急速な普及によって、スマートホームなどを導入する人も増えてきました。例えば、人の接近を検知してライトを点けるといった場合、赤外線を用いた人感センサーで人の接近を検知しています。

また、帰宅中に家に近づくとエアコンを付けたりする場合は、GPSセンサーを用いて位置を検知しています。快適な居住空間を実現するには温度・湿度などの管理が重要ですが、ここでも温度センサー・湿度センサーが使用されます。

センサーの種類は人間の5感で分類分けすることができます。  

  • 目 (視覚)
    光センサー (フォトダイオード、CCD、CMOSなど)  
  • 耳 (聴覚)
    音センサー (圧電素子、コンデンサマイクロホンなど)  
  • 皮膚 (触覚)
    温度センサー (熱電対、サーミスタなど)、圧力センサー (ダイアフラム、半導体圧力センサーなど)
  • 鼻 (嗅覚)
    においセンサ (半導体ガスセンサー、バイオケミカル素子) 
  • 舌 (味覚)
    味センサ (PHセンサー、粒子センサー) 

センサーの種類は非常に多岐にわたるため、目的に合わせて何を検知すれば良いかをしっかりと検討し、適切なものを選択することが重要です。

コンデンサ

コンデンサとは

コンデンサ (英: Capacitor) とは、電気を蓄えたり放出したりすることができる電子部品です。

絶縁体を向かい合う2枚の金属板で挟み込んだ構造をしており、電圧をかけると電荷の移動が起こりますが、2枚の金属板は絶縁体で隔てられているので行き場を失った電荷は金属板に蓄えられます。これによってコンデンサは充電された電池のように機能することができます。

蓄電・放電という点では電池と混同されがちですが、電池は基本的に化学反応を介して電気エネルギーの変換を行っているのに対し、コンデンサはこのような変換の過程なしに電荷を直接蓄えることができるため、極めて高速な充電・放電を繰り返すことができるのが特徴です。

コンデンサは、電源回路に組み込んで充電放電を繰り返すことで、急激な電圧変化をバッファすることで安定した電圧印加を行うことができます。またコンデンサは高周波の交流電流を通過させやすいという特徴があり、これを利用してノイズを除去したり、直流成分をカットしたりとフィルタとしての役割も担っています。

コンデンサの種類

コンデンサには下記のように様々な種類があり、それぞれ異なる特徴を持っています。

1. セラミックコンデンサ

誘電体にセラミックを使用したコンデンサで熱に強く、周波数特性に優れているのが特徴で、デジタル回路の作製などに適しています。セラミックは主に酸化チタンなどの金属酸化物を使われています。 サイズが小さくて耐熱性に優れていますが、割れやすい欠点もあります。

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2. 電解コンデンサ

アルミニウムを始めとする金属の電解液を使用したコンデンサです。容量が大きいことが特徴で電源回路などに向いています。2枚の金属表面を化学的に反応させて酸化させます。 酸化皮膜は電気を通さないので、これを絶縁体として使用します。 特性として静電容量が大きい特徴がありますが、プラスとマイナスを間違えると発熱するおそれがあります。 

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3. フィルムコンデンサ

誘電体としてプラスチックフィルムを用いたコンデンサです。温度変化による静電容量の変動が少なく、高い精度で制御を行うことがでるため、オーディオ機器等に適しています。直流電源の場合は高い絶縁状態と保つが、交流電源では電流を通しインピーダンスが周波数によって変化します。 ノイズ対策として良く用いられます。

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4. 可変コンデンサ

他のコンデンサは、静電容量が固定されていますが、可変コンデンサは、これ一つで様々な容量を実現できます。ラジオなど受信機の同調回路に適しています。つまみを回すことで連続的に容量を変えられるものや複数の容量固定コンデンサをスイッチで切り替えるタイプのものなど様々なものがあります。

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コンデンサの性質

乾電池をコンデンサーにつなぐと、プラス極側の金属板の電子は乾電池のプラス極へ移動するので、金属板がプラスに帯電します。 そして金属板間の電圧と乾電池の電圧が同一になったときに電子の移動が止まり、金属板に電荷が蓄えられた状態になります。 このように電荷を蓄えるものをコンデンサーといい、電荷が金属板に蓄えられることを充電と呼びます。

電荷が蓄えられて電子の移動が止まるまでは、一瞬電流が流れます。 つまり直流電源をコンデンサーにつなぐと、最初だけ電流が流れますがあとは流れなくなります。 この状態で乾電池を外すと、金属板には電荷が蓄えられた状態になります。

コンデンサーに蓄えられる電荷を静電容量といい、記号はC、単位にF (ファラド) を用います。 静電容量は金属板の面積と、金属間の誘導体の誘導率に比例します。 そして金属板間の距離に反比例します。

コンデンサと交流

コンデンサーに交流を流すと、充電と放電を繰り返し続けます。直流電源では蓄電を完了すると電流が止まりますが、交流では絶えず電流が流れ続けます。

これは金属板間を電流が通過しているわけではありませんが、見かけ上、電流が流れることになります。そして、電流の向きの変わる速度が速くなるほど (周波数が高いほど) 電流が流れやすくなります。

FA機器

FA機器 (ファクトリー・オートメーション機器) とは

FA (英: Factory automation) とは、工場などにおける生産ラインや検査を自動化するシステムで、これを実現する機器をFA機器といいます。

FA機器の導入は、人間の処理速度を大幅に超えて稼働させることができるため、時間あたりの生産性の向上が見込めます。また、省人化によるコスト削減にもつながるため、世界的な需要が高まっています。さらに、製品の検査において、人の目では発見できないような欠陥も効率よく検出できるため、不良品の割合を下げることで製品の歩留まりを向上させる効果もあります。

FA機器の種類

FA機器には様々な種類があり、生産ラインを完全に自動化する大規模なものから、既存の装置につなぐだけでプログラムした動作を行わせるコントローラータイプのものなど多岐にわたります。

現状では生産ラインの完全自動化には多大なコストがかかるためあまり現実的ではありません。実際にはパーツフィーダによる部品供給や品質の自動検査など、工程のポイントポイントで導入されるケースが一般的です。さらに、コストを抑えて機器のFA化を行うには、専用のFA機器を導入するよりも、プログラマブルコントローラ等を導入すると既存の装置をFA化することができます。

FA機器は目的と予算に合わせて適切なものを適切な規模で導入することが大切です。

FA機器の機能

FA機器には次のような機能や役割があり、それらを組み合わせて生産工場の自動化が成り立っています。

1. 操作する

操作は人の判断で機械や設備を動かすことです。車の運転でアクセルと踏んで車を動かすことや、テレビゲームでコントローラーのボタンを押して中のキャラクターを動かすことです。

2. 制御する

制御とは、操作対象を決められたルールによって動きをコントロールすることです。車の運転であれば、事故が起きないように車線の間で車が走るようにハンドルでコントロールします。

3. 駆動する

操作や制御をして、実際に外部に出力することです。車の運転であれば、タイヤが回転するという動作が駆動するということです。

4. 検出する

操作対象の制御には、動作するきっかけが必要です。また動作中であっても、機械が今どのような状態化を検出する必要があります。そのために使われるのがセンサーです。

5. 表示する

機械が正常に動いているか、何らかの異常が起きていないかを表示します。機械が一見すると止まって見えても何らかの条件で突然動き出しては非常に危険です。そのためランプなどで人が見て分かるように表示します。

FA機器のメリット

1. コスト

生産工場が初期の頃は、人の手によって材料加工や運搬、検査などを行いますが、一定の生産量を超えると自動化することで費用の削減ができます。生産工場であれば業種に限らずどこでも実施されていますが、設備の初期投資は従業員の給料より高いので、投資回収を考えて導入する必要があります。

2. 品質

トラブルに対する対応や、日ごろのメンテナンスができていれば、人が作業する以上に高品質な製品が作れるようになります。また単純な作業では人より作業時間が短くなり、大きな受注に対応が可能になります。

3. 安全性

作業環境が悪い場所などでは、人が作業していると事故による怪我や健康被害のリスクが高まります。産業用のロボットを導入した場合には、労働災害、健康被害が起こらなくなるメリットがあります。

FA機器業界の現状

国内のFA機器業界の業績的な動向としては、半導体製造や電子機器の設備投資が減少傾向にあることや、2018年頃からスマートフォン需要が一段落したこと、2019年の米中貿易摩擦の影響などを受けて出荷額は減少傾向にあります。しかし、こうした減少も底打ちとの見通しがあることと、世界的な人件費の高騰によるFA化需要の高まりによって回復の兆しありというのが全体的な概況です。

技術的な面では、FA機器をインターネット接続してIoT化するスマート工場が注目されており、これを円滑に実現するソフトウェアの開発が要求されています。

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絶対に触らないでください(日本会社ニュース)

Metoreeを運営するZAZA株式会社が応用物理学会に加入しました

メトリーを運営するZAZA株式会社が応用物理学会に加入しました。

応用物理学会は半導体,光・量子エレクトロニクス,新素材など,工学と物理学の接点にある最先端課題に取り組む団体です。

メトリーが応用物理学会への加入を通して、科学技術への貢献に携われることを大変うれしく思います。

今後も様々な形で日本・世界の技術革新に貢献して参ります。

応用物理学会会員一覧はこちら

軸受ユニット

軸受ユニットとは

軸受ユニットはあるケーシングユニットに軸受を収めた部品になります。軸受はベアリングとも呼ばれています。回転軸はモーターの動力を伝達するために用いられますが、モーターと軸と回転体のみを用いていては軸を固定(支持)する手段がありません。それを解消するのが軸受です。

軸受は名前の通り軸を受けて支える役割を持っています。また軸受は主に円形をしているため、軸受自体を構造体に支持するために軸受ユニットを使用します。

軸受ユニットの使用用途

軸受ユニットは取付面や周辺構造に合わせて複数の形状をしています。代表的な軸受ユニットとしてはピロー型とフランジ型が存在します。材質はアルミ、鋳鉄、プラスチック、ステンレスなど様々な種類があります。

ピロー型軸受ユニットは軸方向に対して垂直にボルトで支持する軸受ユニットです。構造が頑丈であるため最も用いられています。

フランジ型ユニットは軸方向に対して平行に支持するユニットです。機械の側面に取り付けたり、精度を出した穴に直接入れ込む(印籠構造)ことで精度の高い位置決めを行うことができます。

軸受ユニットの原理

軸受ユニットは軸受を使用することから、穴の精度が重要になってきます。それをはめ合い公差と呼びます。はめ合いの種類によって常に隙間ができるすきまばめ、常に締め代できるしまりばめ、それぞれの許容限界寸法内に仕上げられた穴と軸とはめ合わせた中間ばめなど3種類に分類されます。

軸受にはかかる荷重の向きに対してラジアルベアリングとアキシャルベアリングに分けられます。軸の方向にかかっている荷重をアキシャル荷重とよび、軸の方向と垂直方向にかかっている荷重をラジアル荷重と呼びます。この2種の荷重によってベアリングを使い分ける必要があります。

ラジアル玉型ベアリングは転動体と軌道輪、保持器の3種類で構成されています。軌道輪は外輪と内輪があります。外輪と内輪との間に転動体が間に挟まれている構造です。

アキシャル玉型ベアリングは軸軌道盤とハウジング軌道盤、転動体、保持器で構成されます。軸軌道盤とハウジング軌道盤はそれぞれラジアル玉型ベアリングの内輪、外輪に相当します。ちなみにアキシャル玉型ベアリングは減速装置や旋盤で用いられています。

軸受ユニットにおけるスラスト軸受について

軸受には軸を支える力と軸方向に対する力が発生しています。前者の力がラジアル荷重と呼ばれており、後者の力がアキシアル荷重と呼ばれています。

アキシアル荷重は、別名としてスラスト荷重という名称があります。

深溝玉軸受は、一般的に多く使用されているベアリングです。そして、軸を支える力と軸方向に対する両端の力を支えることができます。だが、軸方向に対する負荷がより増す場合は、アンギュラ玉軸受が選定されます。なぜならば、深溝玉軸受のように軸を支える力と軸方向の力の両方を支えられ、高回転に強く複数のアンギュラ玉軸受を組み合わせることができるからです。

上記のように軸受は、種類によって許容される荷重に違いがあり、スラスト軸受とはアキシアル荷重を支えることに重点を置いた軸受の総称です。

軸受ユニットの使い方

まず、取付面の平坦度や剛性を確認します。軸受箱を取付けた際に取付面が平面でないと軸ズレなどによってベアリングが偏摩耗したり接続機器の故障に繋がる可能性があるためです。

取付箇所に剛性がない場合にはユニットの脱落や稼働機材の故障が生じる可能性があります。さらに、軸受箱を取付けた平面と軸の中心で角度にズレが生じると軸が破損することがあります。

次に、ガタつきを確認しながら取付面にユニットを固定します。取付ける際には、メーカーの取扱説明書を確認して規定の締付けトルク値で固定します。

最後に、軸を挿入すれば軸受けユニットが使用できます。

軸受ユニットの種類によっては軸の周囲に潤滑剤が必要です。

軸受ユニットは、軸の固定方式や付属品が種類によって異なります。例として軸受には止めネジ式やテーパー式、偏心カラー式などの種類があります。よって、使用するユニットごとに取付け手順を確認することが大切になります。

参考文献
https://www.asahiseiko.co.jp/product/bearings/series.html
https://koyo.jtekt.co.jp/products/type/angular-ball-bearing/
https://www.ntn.co.jp/japan/products/rollingbearing/radial_ball.html
https://www.nisshinkoki.jp/1657/
https://www.keyence.co.jp/ss/products/measure-sys/machine-elements/bearing/strength.jsp
https://koyo.jtekt.co.jp/2019/02/column01-04.html
https://koyo.jtekt.co.jp/products/type/angular-ball-bearing/