X線CT装置についての概要、用途、原理などをご説明します。また、X線CT装置のメーカー9社一覧や企業ランキングも掲載しておりますので是非ご覧ください。X線CT装置関連企業の2023年5月注目ランキングは1位:株式会社精工技研、2位:カールツァイス株式会社、3位:日本装置開発株式会社となっています。
1987年~1991年昭和電線電纜勤務 高分子材料研究室にて電線の被覆材の研究に従事
1991年~1997年小池国際特許事務所にてパテントエンジニアとして勤務
1997年~2005年GE横河メディカルシステムにて知財部員として勤務
現在、ライターとして活動。
Linkedin https://www.linkedin.com/in/%E8%A3%95%E5%AD%90-%E9%88%B4%E6%9C%A8-92b21a234/
リサーチMap https://researchmap.jp/0315rs2017
鈴木裕子のプロフィール
X線CT装置とは、X線を照射して物体内部の材質や構造を調べる装置です。
大きく医療用と産業用に分けられます。医療用のX線CT装置では、頭から足までの骨や筋肉・血管などの組織や内臓を診ることができます。
X線CT装置は、大きく医療用と産業用の2種類です。順番に解説します。
医療用X線CT装置は、人体を透過したX線を検出して人体内部の情報を得ており、病状を判断するために使用されます。なお、医療用X線CT装置には、人体をそのまま観察する単純CTと、血管内に造影剤を投入して観察する造影CTがあり、目的に応じて選択します。
産業用X線CT装置は、物質の非破壊検査で多く利用されており、このような産業用X線CT装置は「観察用CT」と呼ばれています。非破壊検査の具体例としては、半導体パッケージなどの形状評価および欠陥調査、錠剤の内部構造評価、炭素繊維強化プラスチックの形状や繊維配向評価などです。
近年、産業用X線CT装置では「測定用CT」も多く開発されています。「測定用CT」は、「観察用CT」と同様に非破壊検査が行えるとともに、サイズの測定やCADによるデータ解析ができるのが特徴です。
この「測定用CT」を利用すれば、対象物の三次元形状の全取得や高精度な形状測定、高速検査および測定などが可能です。
X線CT装置には、医療用と産業用があります。物体に360度全方向からX線を照射して透過および吸収X線量を調べるという点ではどちらも同じですが、医療用と産業用では撮影方法が異なります。
医療用X線CT装置は、ドーナツ状のガントリと、ガントリの中心穴に入り込み人体が寝た状態で中心穴内をゆっくりと移動するベッドをもつのが特徴です。ガントリの内部には中心穴を挟んで、X線を照射するX線管と、X線管から照射されたX線を検出する検出器が配されています。
ガントリの中心穴内にベッドに乗った人体が入ると、X線管から照射されたX線は一部人体に吸収され、残りは透過して検出器により検出される仕組みです。このとき、ガントリはベッドの周りを回転し、360度方向からX線を照射して透過したX線を検出しています。
そのため、人体を横方向に輪切りにした360度方向のデータが得られ、このデータからコンピューターが人体の断面像を構成しています。この医療用X線CT装置ではヘリカルスキャンが一般的です。
ヘリカルスキャンとは、ベッドがガントリの中心穴内をゆっくりと移動しながら連続してX線照射と検出を行う撮影方法です。これにより、人体の横方向の輪切り画像が身長方向の縦方向に連続して得られます。
産業用X線CT装置では医療用X線CTとは異なり、X線管と検出器を固定する代わりに調査対象である物質が回転するのが特徴です。産業用X線CT装置には横照射型と縦照射型があります。
横照射型はX線管、物質、検出器を横に並べた構成をもち、縦照射型ではこれらを縦に並べています。調査対象物質や調査する場所に応じて、適した方を選択します。
医療用X線CT装置には、検出器がベッドの移動方向に複数列配されたマルチスライス医療用X線CT装置があります。X線CT装置の原理で解説した医療用X線CT装置は、シングルスライスと呼ばれています。
このシングルスライスX線CT装置では、検出器がベッドの移動方向と直交する方向、すなわち人間にとっての横方向に複数個配列されており、ベッドの移動方向には一列分配されている構造です。このため、ガントリが1回転すると、1枚の断面図のみ構成されます。
これに対し、マルチスライス医療用X線CT装置では、検出器がベッドの移動方向に複数列配されておりガントリの1回転により複数枚の断面図の取得が可能です。そのため、短時間で撮影が可能となり、人体への負担を減らせます。また、これとヘリカルスキャンを組み合わせることで3D画像も構成できます。
X線CT装置の技術として注目されている3次元画像処理の方法としては、以下の3種類が用いられています。
多断面再構成法 (MPR)
多断面再構成法 (MPR) は、三次元のデータから人間の横方向の断面以外に、人間の身長方向の断面である冠状断面・矢状断面などの画像を構築できるのが特徴です。この方法は現在のCT三次元処理で最も使用されています。
最大値投影法 (MIP)
最大値投影法 (MIP) では、三次元のデータに対して、任意の視点を設定します。そして、その視点と投影面を結ぶ経路にある最大値を2次元面に投影します。
画像ノイズの影響が小さいことや低コントラストの画像であってもコントラストよく出力ができるのが特徴です。しかしながら、最大値以外は画像に反映されないため、前後の位置を正しく把握したい場合は何種類かの角度が異なる観察が必要です。
ボリュームレンダリング法 (VR)
ボリュームレンダリング法 (VR) では、目的とする領域のCT値の上限/下限を設定します。そして、設定した範囲に不透明に対応するパラメータを追加して陰影処理を行い、画像を構成しています。血管などの3D画像に好適な方法です。
参考文献
https://www.matsusada.co.jp/column/xxct1.html
https://www.nims.go.jp/personal/XrayCT/about/index.html
https://www.mst.or.jp/method/tabid/1341/Default.aspx
https://jp.medical.canon/general/CT_construction
https://www.innervision.co.jp/ressources/pdf/innervision2013/iv201311_028.pdf
https://tokyoh.johas.go.jp/medical/b_chuohousyasen/b_chuohousyasen_01.html
http://www.ysh.pref.yamagata.jp/section/radiation03.html
https://www.an.shimadzu.co.jp/ndi/first_x/first03.htm
https://www.jstage.jst.go.jp/article/mit/27/4/27_258/_pdf
Metoreeでは各社カタログを無料で一括でダウンロードできるので、製品比較時に各社サイトで毎回情報を登録する手間を短縮することができます。
X線CT装置のカタログ一覧はこちら企業
コメットテクノロジーズ・ジャパン株式会社 コメット・エクスロン事業部 テスコ株式会社 カールツァイス株式会社 Baker Hughes Company JAPAN TESTING LABORATORIES株式会社 ヤマト科学株式会社*一部商社などの取扱い企業なども含みます。
企業の並び替え
2023年5月の注目ランキングベスト8
注目ランキング導出方法順位 | 会社名 | クリックシェア |
---|---|---|
1 | 株式会社精工技研 |
26.0%
|
2 | カールツァイス株式会社 |
22.0%
|
3 | 日本装置開発株式会社 |
14.0%
|
4 | コメットテクノロジーズ・ジャパン株式会社 コメット・エクスロン事業部 |
12.0%
|
5 | 株式会社島津製作所 |
8.0%
|
6 | 株式会社菱光社 |
8.0%
|
7 | テスコ株式会社 |
6.0%
|
8 | 株式会社マーストーケンソリューション |
4.0%
|
注目ランキング導出方法について
注目ランキングは、2023年5月のX線CT装置ページ内でのクリックシェアを基に算出しています。クリックシェアは、対象期間内の全企業の総クリック数を各企業のクリック数で割った値を指します。社員数の規模
設立年の新しい会社
歴史のある会社
Metoreeに登録されているX線CT装置が含まれるカタログ一覧です。無料で各社カタログを一括でダウンロードできるので、製品比較時に各社サイトで毎回情報を登録する手間を短縮することができます。
カタログを企業ごとに探す
カタログを種類ごとに探す
•高感度型16ビット(65000階調)フラットパネルディテクタによる抜群の表現力•マイクロフォーカスイメージで電子部品や実装基板などの解析・検査用途で活躍•省...
2023年5月25日
•CFRPなどの微細なワークから小型電子部品まで多種多様なサンプルに対応•高分解能に適した透過型190 kVマイクロフォーカスX線管を搭載•寸法測定精度3.9μm+L/...
2023年5月25日
•CFRPなどの微細なワークから小型電子部品や鋳造品まで多種多様なサンプルに対応•反射型225 kV、透過型190 kV(オプション)の2種類のX線管が搭載可能•寸法...
2023年5月25日
•鋳造品などの高密度なワークや複合モジュールからGFRPなどの微細なワークまで多種多様なサンプルに対応•ミニフォーカスとマイクロフォーカスの2種類のX線管...
2023年5月25日
•大型の鋳造品や溶接品の透視撮影及び小型金属部品のCT撮影(オプション)まで様々な用途に有効•X線管電圧160 kV、225 kVの2種類の線源をラインナップ•簡易プ...
2023年5月25日
コメット・エクスロンのX線検査装置は主にエレクトロニクス業界、オートモーティブ業界、エアロスペース業界のアプリケーションに幅広く採用いただいており、...
2023年5月25日
•高感度型16ビット(65,536階調)フラットパネルディテクタによる抜群の表現力•ナノフォーカスモード・マイクロフォーカスモード ・ ハイパワーモー ドとマル...
2023年5月29日
•鋳造品などの高密度なワークから複合モジュールまで多種多様なサンプルに対応•高出力450kVミニフォーカスX線管•ラインディテクタとフラットパネルディテク...
2023年5月29日
非破壊評価技術サービスを提供し、ものづくりにおける評価業務をサポートします。本サービスでは、X線CTや光学式3Dスキャナ(ATOS)を用いたデータ取得から、...
2022年12月23日
精密寸法測定関連の情報をまとめた冊子です。当社で対応可能な評価、それに纏わる事例などを掲載しています。
2022年12月23日
X線CT装置のカタログ17件分をまとめてダウンロードできます!お迷いの方は便利な無料の一括ダウンロード機能をご利用ください。
企業
コメットテクノロジーズ・ジャパン株式会社 コメット・エクスロン事業部 テスコ株式会社 カールツァイス株式会社 Baker Hughes Company JAPAN TESTING LABORATORIES株式会社 ヤマト科学株式会社ZEISS VoluMax 9 flashは、カールツァイス株式会社が製造するX線CT装置です。
試料のローディングから断面画像の解析までを全自動で行うことが可能であり、検出器の大型化やスキャニングと画像処理の高速化などにより、1回の解析を60秒で完了させることができ、多量の工業用部品の解析に適しています。
ZADDという自動欠陥検出ソフトウェアにより、CADモデルに基づき、スキャンした部品内の欠陥品を自動的で検出し、その位置を特定し、欠陥の分類・評価を行い、他の部品と選別することが可能です。
PiWebデータ管理ソフトウェアにより、統計解析に基づき頻発する欠陥を検出し、部品の製造工程にフィードバックすることなども可能です。
YXLON FF35 CTは、エクスロン・インターナショナル株式会社が製造するX線CT装置であり、小・中型の工業用部品の断層検査に適します。
ナノフォーカストランスミッションX線管と高出力マイクロフォーカスX線管の2個のX線管を搭載し、これらを個別に制御することが可能です。
ヘリカルCTスキャンと画像再構成を行う機能であるHeliExtendにより、縦長の試料についても上から下まで精度の高い断面画像を取得することが可能です。
スキャンの回転中心を選択できるようにする機能である仮想回転軸(FlexCenter)機能により、解析の効率化・高速化が図られています。
inspeXio SMX-225CT FPD HR Plusは、株式会社島津製作所が製造するX線CT装置です。
マイクロフォーカスX線発生装置と大型高解像度フラットパネル検出器が搭載されており、超高速演算処理システムHPCinspeXioが採用され、最大1400万画素相当の入力解像度で、対象物の広範囲にわたり高コントラストの断面画像を取得することが可能です。
撮影対象の材質・断面画像解像度・コントラストを選ぶと最適な撮影条件が設定される「おまかせCT」機能も搭載されています。
傾斜CT専用ナノフォーカスX線検査装置 TUX-3210Nは、株式会社マーストーケンソリューションが製造するX線CT装置であり、傾斜CTにより、プリント基板、ウエハ、システムLSI等の板状のものの断面画像を取得することに適しています。
分解能を0.4μm・0.6μm・1μm・2μm・3μmの5段階に切り替えることができ、最大1000倍の幾何学倍率と最大4700倍のモニター倍率を搭載しています。
ステージサイズは440mm × 440mmであり、傾斜CT撮影の際の検出器の最大傾斜は60°です。
スケール表示機能、オートアライメント、オートフォーカス機能、2点間距離測定機能、ボイド率計算機能などを搭載しています。
工業用高速X線検査装置 CTH200FPDは、日本装置開発株式会社が製造するX線CT装置です。
スキャンと断面画像再構成の高速化が図られており、200kVの高電圧管が採用されています。
起動・スタートアップに係る時間の短縮も図られており、スイッチを入れてから2分以内にスタートアップします。
2方向に開閉する自動扉が備えられており、ボタン一押しで画像を取得することができ、オプションで良否自動判別プログラム、作業自動化ロボット、防塵・高温耐性等を付与することも可能です。