超硬加工

超硬加工とは

超硬加工とは、非常に硬い金属などを加工する技術です。

超硬合金やセラミックなどを対象にした加工方法です。これらの材料は標準的な工具や機械では加工困難ですが、超硬加工技術を使用することで高精度な加工が可能です。鉱業や金型製造など、様々な用途で活用されています。

超硬材料は非常に硬く、一般的な材料に比べて摩耗に対する耐性が極めて高いです。これにより、加工品を長期間使用できるため、頻繁な交換やメンテナンスの必要が減ります。結果として、コスト削減や生産効率の向上に寄与します。

超硬加工の使用用途

超硬加工は様々な産業で使用されます。以下はその一例です。

1. 鉱業

鉱業では、超硬加工が採掘ツールや破砕機の部品に活用されることが多いです。ドリルビットやカッターは、非常に硬い鉱石を効率よく破砕するために超硬加工で製作されます。これにより、ツールの寿命が延びるため、採掘作業の効率が向上しつつコスト削減に寄与します。

2. 金属加工業

金属加工業では高硬度の金属・合金を扱う際に重要な技術です。ドリルビットやエンドミルなどは超硬素材で作られることが多く、硬い金属や合金を効率的に切削することができます。耐摩耗性も高く、長期間の使用にも耐えるため、工具の交換頻度が低くなります。

3. 金型製造業

プラスチックや金属の成形に使用される金型は、高精度で長寿命である必要があります。超硬加工により、これらの金型を精密に製造することが可能です。プラスチック成形用金型やダイキャスト金型などを超硬加工によって高精度で製造することで、様々なニーズに対応することが可能です。

4. 航空宇宙産業

航空宇宙産業では部品の性能と信頼性が極めて重要です。非常に過酷な環境条件に耐える必要があるため、超硬加工が重宝されています。

一例としては、航空機エンジンのタービンブレードです。高温・高圧の条件下で動作するため、耐熱性と耐摩耗性が求められます。超硬加工により、これらの部品を高精度で加工することで、長期間の耐久性を実現します。

超硬加工の原理

超硬加工は、超硬材料を用いて硬い素材を高精度で加工するための技術です。まず、超硬材料そのものが非常に高い硬度と耐摩耗性を持ち、加工対象が硬い場合でも効率的に切削が可能です。特にタングステンカーバイドやコバルト合金が多く使用されます。

超硬加工に使用する工具は、粉末冶金というプロセスで製造されます。タングステンカーバイドなどの粉末と、コバルトなどのバインダーを混合し、非常に高温で焼結します。焼結によって粉末が固化しつつ所定の形状に成形され、さらに高精度に研削することで製造される仕組みです。

ただし、超硬材料は非常に硬い性質から脆い面を持つことがあり、過剰な衝撃や荷重によって割れやすくなることがあります。そのため、取り扱いや加工時には十分な注意が必要です。

超硬加工サービスの選び方

超硬加工を代行するサービスを提供する企業も存在します。以下はそれらのサービスを選定する際の要素の一例です。

1. 対象材料

超硬加工業者を選定する際には、どのような素材に対応しているかを確認することが重要です。特定の素材に特化した技術・設備を有する企業が望ましいです。素材の特性に対する理解が深いことも確認します。

2. 加工精度

加工精度は超硬加工の品質に直結する重要な要素です。高精度な加工が必要な場合、使用する機械や設備の精度を確認する必要があります。過去の対応実績やサンプルをチェックし、実際にどれだけの精度を有するかを評価することも有効です。

3. 信頼性

サービス企業の信頼性は、プロジェクトの成功において重要な要素です。業界内での評判や信頼性を調査して評価する必要があります。業界団体への参加や認証、受賞歴なども信頼性の指標となります。

また、顧客サポートやアフターサービスの品質も確認することが重要です。問題発生時の対応やサポート体制が整っている場合、安心して依頼することができます。過去の納期実績や管理能力を調査し、遂行能力を確認することが大切です。

4. 価格

価格とサービスのバランスを考える必要があります。見積もりの詳細を確認し、価格に含まれるサービスや品質保証の内容を把握することが重要です。

チタン3Dプリンター

チタン3Dプリンターとは

チタン3Dプリンターとは、チタンを造形材料として使用する金属3Dプリンターの一種です。

チタンは、チタンは軽量で強度が強く、高耐食性、耐熱性、生体適合性などに優れることから、航空・医療用途を中心に様々な産業分野で3Dプリントに使用されています。チタンの3Dプリントは、チタン対応の一般の金属3Dプリンターが用いられる場合と、チタン専用の3Dプリンターが用いられる場合とがあります。

チタン3Dプリンターの使用用途

チタンは、強度と耐蝕性、耐熱性に優れ、軽量で生体適合性のある金属です。そのため、様々な産業で3Dプリンターに使用されています。主な用途には下記のようなものがあります。

  • 航空宇宙産業: ジェットエンジン部品
  • 自動車製造: サスペンション部品、ブレーキペダル、マニホールドなどの各種部品、レースカーフレーム
  • 自転車製造: クランク、ブレーキハンドル、ステム、ディレイラーハンガー、フレーム
  • 医療: 人工関節・プレート・インプラント (脊椎、股関節、膝、四肢) や外科用具
  • 歯科用インプラント
  • 精密製品、電子部品: 時計ケース、スマートフォン部品
  • 治具・各種カスタム部品
  • ホビー・工芸品

工業製品においては、各種部品をチタン製にすることで製品の軽量化を図ることが可能です。また、医療業界においては、チタンの生体整合性を活かして患者一人ひとりに合ったチタン製インプラント・人工関節をプリントすることが可能です。脊椎、股関節、膝、四肢などの様々な分野で利用されています。3Dプリントによる多孔質構造によって骨との統合を可能とする特徴があります。

チタン3Dプリンターの原理

1. チタンとは

チタンは下記のような特徴のある金属です。

  • 軽量: 比重4.7g/cm3
  • 高強度
  • 高耐食性: 海水や塩水に強く錆びにくい
  • 耐熱性材料: 溶融温度1,660℃
  • 熱伝導率が小さい
  • 非磁性体
  • 生体適合性

このような特徴から、チタンは実用に耐える強度を持った金属部品として、様々な分野で活用されています。

2. チタンの3Dプリントの方法

チタンの3Dプリントは、主にレーザーパウダーベッド (粉末焼結) 、電子ビームパウダーベッドなどの方法で行われます。レーザーパウダーベッド融合 (LPBF) は、高出力レーザーを使用して金属粉末を加工する方法です。10μm〜60μm程度の小さな球状の粉末を敷き詰め、敷き詰めた粉末に電子ビームやレーザーを照射し、必要な部分のみを溶かして固めていき、形を造形します。

電子ビームパウダーベッド融合 (EB PBF) は、電子ビーム溶解 (EBM) とも呼ばれます。レーザーの代わりに、より高出力の電子ビームを使用します。

航空機部品や医療用インプラントの製造おいて、これらのパウダーベッド方式が使用されます。一方でバインダージェット (結合剤噴射) は、より小さな医療器具の製造に使用される方法です。

その他のプリント方法には、直接エネルギー堆積 (DED) 、迅速プラズマ堆積 (RPD) 、などの方法があります。

チタン3Dプリンターの種類

1. 概要

チタン3Dプリンターには複数のプリント種類の製品があります。代表的なものは下記の通りです。

  • 粉末焼結  (パウダーベッド融合)
  • 結合剤噴射 (バインダージェット) 
  • 電子ビームパウダーベッド融合 (EB PBF)
  • コールドフージョン
  • 材料押出方式

また、それ以外にも金属粉末射出成形方式を応用した独自技術の製品などもあります。また、医療用にインプラントを造形するには、規制当局による承認を受けたものを使用することが必要です。

2. チタン合金の種類

チタン合金には様々な種類があるため、用途に合わせて選択し、対応しているプリンターを選択することが必要です。主なチタン合金の種類は下記の通りです。

  • チタン6Al-4V、グレード5: 最も一般的なチタン合金3Dプリント材料です。航空宇宙や自動車分野などでの使用に適しています。
  • チタン6Al-4V、グレード23: 生体整合性があり医療用インプラントや義肢に一般的に使用されます。
  • チタンベータ21S: 強度、酸化抵抗性、クリープ抵抗性に優れています。医療用インプラントや航空機エンジン用途に最適です。
  • Cp-Ti (純チタン)、グレード1、2: 人体との生体適合性が高いため、医療分野での使用が一般的です。
  • TA15: アルミニウムとジルコニウムを添加した近アルファチタン合金です。高い比強度、耐荷重性と耐温性により、航空機やエンジン製造などに用いられます。

遠赤外線ヒーター

監修:ササキテック株式会社

遠赤外線ヒーターとは

遠赤外線ヒーターとは、遠赤外線による放射伝熱を利用して対象物を加熱する装置です。様々な産業・工業分野において、各種加熱・乾燥工程に広く使用されています。暖房器具として家庭用に使用されることもあります。

ヒーターから放出された遠赤外線は、空気中を透過して直接対象物に吸収され、物体中の分子を振動させることにより加熱します。プラスチック、ゴム、塗料、樹脂、食品など、様々な素材の物質・製品を加熱することができます。

遠赤外線ヒーターの使用用途

遠赤外線ヒーターは、様々な産業・工業分野の各種加熱・乾燥工程に広く使用されています。

主要な各産業における主な用途は下記の通りです。

  • 電気・電子工業: 液晶ガラスの印刷後の加熱・乾燥、洗浄後の乾燥、太陽電池の製造工程の加熱・乾燥、抵抗および導電ペースト、蛍光膜、プリント基板の乾燥
  • 情報産業: 半導体製造における加熱・焼成・乾燥、デバイス・磁気テープなどの製品の加熱
  • 機械・金属産業: 鋳型の乾燥、機械工具および部品などの塗装乾燥、カラー鋼鈑の焼付け
  • プラスチック工業: インフレーションフィルムの加熱、フィルムのコーティング乾燥、原料粉末、ペレットの乾燥、成型前予熱、塗装乾燥
  • バイオテクノロジー工業: 医療容器の洗浄乾燥、医療機器の硬化剤加熱
  • 自動車産業: 車体、部品の塗装焼付け、金属部品の接着塗装乾燥
  • 印刷・紙産業: 各種印刷の乾燥、紙の水分乾燥、刷板のバーニング処理
  • 食品産業: 食品の乾燥、焼付

遠赤外線ヒーターの原理

1. 遠赤外線の加熱の仕組み

赤外線は電波や可視光線などと同じ電磁波の一種で、可視光線よりも波長が長い目で見ることのできない電磁波です。赤外線の波長範囲である0.8μm 〜 1,000μm のうち、波長が3μm より長い範囲を遠赤外線と呼びます。

遠赤外線による物体の加熱とは、すなわち遠赤外線の吸収によって物体を構成する分子を振動させることを指します。私たちの身の回りの多くの物体(プラスチック、ゴム、塗料、繊維、食品などの高分子物質)は、2.5μm 〜 30μm の波長領域に吸収帯を持つため遠赤外線はこれらを効率よく加熱することができます。なお、金属の加熱には適していません。

2. 遠赤外線ヒーターの機構

遠赤外線ヒーターは内部に電熱線などの発熱体を封入し、表面にセラミックス物質などの遠赤外線放射素材を用いることが一般的です。電熱線に通電するとセラミックス表面温度が数百度に高まり、遠赤外線を放射します。

遠赤外線ヒーターの種類

業務用遠赤外線ヒーターには様々な形状の製品があります。面状ヒーター(パネルヒーター)のほか、棒状ヒーター (シーズヒーター) 、ランプ状ヒーターなど、用途に合わせて様々なものを選択することが可能です。

また、クリーンルームでの使用を想定した、特殊表面加工セラミックスによって発塵しない高機能製品もあります。

本記事は遠赤外線ヒーターを製造・販売するササキテック株式会社様に監修を頂きました。

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産業用モーター

産業用モーターとは

産業用モーターとは、工場や生産施設などの産業用途で使用される電動機です。

産業用モーターは工場環境で使用されることを想定しているため、過酷な作業環境で長時間の連続運転に耐えるように設計されていることが多いです。強固な構造材や耐腐食性の部品が使用され、機械的な摩耗や振動に対して高い耐性を有します。したがって、故障が少なく、メンテナンスの頻度も低い点が特徴です。

したがって、産業用モーターは信頼性の高い駆動源として、様々な産業分野で不可欠な存在となっています。

産業用モーターの使用用途

産業用モーターはほとんどの産業で利用される重要な機器です。以下はその用途の一例です。

1. 機械加工業

機械加工業において、産業用モーターは中心的な役割を持つ機器です。加工機械では旋盤やフライス盤などの工作機械に搭載され、精密加工の駆動源として活用されます。これらの機械は高精度な動作が必要なため、安定したトルクと回転速度を有する産業用モーターが不可欠です。

2. 化学産業

化学産業では、産業用モーターがポンプや冷却装置に使用されます。ポンプは化学薬品を安全に移動させるために重要な設備であり、腐食性の液体や高圧条件に耐えるために堅牢な産業用モーターが使用されます。冷却装置には冷却ファンやコンプレッサーを内蔵していますが、ほとんどの場合は駆動源が産業用モーターです。

3.物流

物流業では、産業用モーターがコンベアやエレベーターに使用されます。コンベアは倉庫や物流センターで荷物を効率的に運ぶための装置で、モーターがコンベアのベルトやチェーンを駆動します。これにより、荷物を自動化で移動でき、作業効率を向上させることが可能です。

エレベーターやリフトも、物品や荷物の昇降に使用される重要な機械です。産業用モーターを使用することで、荷物を安全かつ効率的に上下移動させることができます。

4. 医療

医療業界では、産業用モーターが診断機器や手術機器に使用されます。MRIやCTスキャンなどの診断機器は精密な動作が必要なため、サーボモーターやステッピングモーターなどの産業用モーターで駆動する場合も多いです。また、手術ロボットの駆動装置にも精密動作が可能な産業用モーターを使用します。

産業用モーターの原理

産業用モーターの基本的な動作原理は、磁場の生成とその相互作用に基づきます。

モーターはステーターと呼ばれる固定された部分と、ローターと呼ばれる回転部分から構成されています。ステーターにはコイルや永久磁石が主要部品で、ローターに対して磁場を生成する役割を担います。ローターにも電流が流れるコイルや永久磁石が設置されており、ステータの磁場とローターの磁場との相互作用が、ローターを回転させる仕組みです。

電源の種別により、ステーターが生成する磁場の種類が異なります。交流電源を使用する場合は、ステータが生成する磁場は電源周波数に基づいた回転磁界です。回転磁界の回転に合わせてローターが回ります。

ブラシ付き直流モーターなどの場合は、ステータに定方向の磁場が生成されます。ローターに流れる電流を整流子などで可変させることにより、ローターが回転します。

産業用モーターの種類

産業用モーターには以下のような種類が存在します。

1. 誘導モーター

誘導モーターは電磁誘導に基づいて動作する産業用モーターです。ステーターに流れる交流電流によって回転磁場が生成され、ローターに誘導電流を生じさせて回転させます。ローターとステータ共にコイルで構成されており、故障部品が少なく堅牢な点が特徴です。産業用モーターの大部分はこの誘導モーターです。

2. 同期モーター

同期モーターは、ステーターの回転磁場とローターの回転が完全に同期するように設計されたモーターです。ローターには永久磁石を埋め込むことが多く、精密動作が可能な点が特徴です。この特徴から、精密加工機用のサーボモーターなどの用途で広く利用されます。

3. 直流モーター

直流モーターは、直流電流を使用して動作するモーターです。ブラシ・整流子によってローターの電流方向をスイッチングして動作し、可変速が容易な点が特徴です。また、バッテリーなどの電源をそのまま活用できるため、可搬式の装置の駆動源に適しています。この特徴から、電動工具や路面電車に活用されることが多いです。

コーススレッド

監修:株式会社大里

コーススレッドとは

コーススレッドとは、主に木工用のねじの一種であり、木材と木材同士を高い締結力で固定したい場合に多く用いられます。

コーススレッドの名称のコースは「粗い」、スレッドは「ねじ山」を意味する用語であり、コーススレッドとは粗目ビスということにまります。コーススレッドは、釘の代替えになる締結用部材です。

コーススレッドは木ねじで必要となる下穴加工が不要であったり、熱処理によって硬く強度もあることから、インパクトドライバーを使用することもできます。ねじが粗いことによって1回転で進む深さも長いため、作業を効率的に進めることができるねじ部品です。

コーススレッドの外観上の一番の特徴は、細長いねじであり、使用する際には適切な長さを選択する必要があります。全ねじタイプと半ねじタイプの使い分けにも、注意が必要です。

コーススレッドの使用用途

コーススレッドは主に、木材を使った建築工事で多く使われます。

木材

特に2×4や2×6といったツーバイ材を用いた建築において、多く用いられる締結部品です。

ツーバイ材以外でもDIYで木材を使用した作業をする場合、例えばウッドデッキを作るような場合にも、コーススレッドは多く用いられる締結部品です。

コーススレッドは強い締結力が得られるのが特徴であり、木材などの固定には使いやすい締結部材です。木ねじに対して3~5倍ほどの締結力が得られるとされています。ねじ山がねじ込まれた部材に引っかかることになるため、釘に対しても大きな引っ張り力に耐えられます。

コンクリートパネル、石膏ボード

木材以外ではコンクリートパネル、石膏ボードの固定にも、コーススレッドは広く使われています。

コーススレッドの原理

コーススレッドの原理として、下穴が不要であることの理由と、締結力が得られる原理に分けて説明します。

1.下 穴が不要

コーススレッドを使う際に下穴が不要なのは、先端とねじ山が鋭く尖った形状になっているからです。締結作業によってねじ込まれる力によって、相手材を切り裂くことで、自らが入り込む空間を確保します。ねじ込まれた後は相手材との摩擦力によって、逆回転して抜けることを防いでいます。

2. 締結力

次に締結力が発生する原理は、コーススレッドがねじ形状によって、先端方向に向かおうとする力が働き、部材と接している部分の摩擦力によって、締結力が保持されることです。金属などに用いられる一般的なねじ締結においては、ねじ本体がバネになって伸ばされ、元に戻ろうとする力が締結力の源になっています。コーススレッドの場合、バネ力も原理上働いているはずですが、バネ力よりもねじが前進しようとする力と、ねじ山が相手部材と深く引っかかっていることによって、大きな締結力を得ているものと考えられます。

コーススレッドの選び方

コーススレッドを選ぶ際には、長さや太さ、材質、全ねじと半ねじから選ぶことになります。

まず長さを決めるポイントは、固定しようとしている部材の厚さです。一般的には固定部材の厚さ+20mm以上の長さが推奨されています。固定部材の厚さが20mm以上の場合には、固定部材の2倍以上の長さが推奨されています。ただし長すぎて貫通し、コーススレッドの先端が飛び出さない範囲であることも大切です。太さは太いほど強度は高くなりますが、一方で部材に割れが生じる可能性が高まります。材質は大きく鉄鋼材製、またはステンレス製に分けられます。ステンレスは錆びにくい分、価格が高くなるため、使用環境によって選ぶことが重要です。

全ねじと半ねじは、長いコーススレッドは半ねじが多く、短いコーススレッドには全ねじの製品が多くなっています。全ねじの場合、固定物に埋め込まれた部分の影響によって、締結力が下がってしまう場合があります。特に高い締結力を望む場合には、固定物の厚さとねじが切ってある長さに気をつけることが大切です。

 

本記事はコーススレッドを製造・販売する株式会社大里様に監修を頂きました。

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防水キーボード

防水キーボードとは

防水キーボードとは、水や液体をこぼしても故障しにくいように設計されたキーボードです。

パソコンのキーボードは、近くに水やコーヒーなどの飲料がある環境で使われることが多く、うっかりこぼす機会が多々あります。こうした場合にも水で洗うことが可能です。

1口に防水と言っても、各種ランクがあります。国際電気標準会議 (IEC) が定めた防水・防塵規格で表示します。防水規格は、9等級の性能が定められ、IPX0からIPX8まであり、IPX4以下は防滴タイプ、IPX5~8は防水タイプです。汚れたとき水で手入れをする場合は、IPX5以上を選びます。

防水キーボードの使用用途

防水キーボードは、パソコンをはじめ、データーサーバ、制御装置、工作機械、産業機械などのデータ入出力装置に使用されます。このほかの用途は、ゲーム機、食品機械、射出成型機、製鉄機械、製紙機械などです。

単なる防水性能だけではなく、食べこぼし、ほこりがたまったときに、掃除がしやすい防塵性能も備えたキーボードが実際には使われます。汚れたとき、水で洗えるのは、IPX5以上です。

防水キーボードの原理

最も一般的な方法は、キーボードの下面に水を受けるアルミ板を設けることです。バスタブ構造と呼ばれます。キーボードの上から水をこぼしても受け皿で水を受け止め、プリント基板などへの水の侵入を止める効果があります。

キーボードの底面に排水口を付け、受け皿にたまった水は外部へ流れ出る構造です。早く排水して乾燥してから使用します。

この他、各メーカーは独自の方法で、防水性能を発揮しています。

防水キーボードの種類

防水キーボードには多くの種類があり、代表例を次に示します。

1. 有線キーボード

タイピングしやすい、JIS規格準拠の標準日本語配列のキーボードです。有線式なので、パソコンに 接続するだけの簡単操作で、すぐに使用することができます。

数字入力に便利なテンキー付きのフルキーボードで、エクセルなどの作業が効率的です。また、キートップをラバードームで支持するメンブレン方式であり、キーストロークは深めで、しっかりとしたタッチ感です。

誤って水などの液体をキーボード上にこぼした場合、本体裏面に水抜き穴があり、すぐに液体を排出できる排水機能があります。

2. 静音型キーボード

本格静音設計でありながら、軽い打ち心地を実現しています。ワイヤレスタイプの静音薄型キーボードです。

各キートップにシリコンラバーを採用して、従来品と比べて打鍵音を大幅に低減しています。。公共施設や会議室、夜中や朝方など騒音が問題となる場所での使用に適しています。

薄型キーはキーストローク1.4mm近辺であり、素早いキー入力が可能です。薄型なので、とてもスタイリッシュです。

3. 薄型キーボード

抗菌仕様のサクサク軽い打ち心地の薄型キーボードです。最薄部は12.7mm程度の薄型で、スタイリッシュなタイプです。

JIS規格準拠の標準日本語配列であり、打ちやすい設計です。

4. トラックボール付きキーボード

高性能光学式センサー採用のトラックボールを使用し、快適な打鍵感を実現しています。手首の負担を軽減するリストレストが付いています。また、キーの軸受けは、摩耗に強いポリアセタール製リングを採用し、がたつきがなく、滑らかに打鍵可能です。

トラックボールの支持に、大型人工ルビーを使っており、格段の操球感が得られます。

防水キーボードの構造

防水仕様のキーボードは、汚れた場合水洗いができます。ただし、IPの各等級は真水に対応しており、塩水・コーヒー・ジュース、汁などの場合は、速やかに水洗いする必要があります。底面に水抜き穴があり、底から排水できるようになっています。

多くの機種は、キーボードの底面に鉄板を内蔵して、キー入力時の不快な沈み込みを防止しています。ラバードームでキーを支持する構造です。

無線キーボードの場合、デスク周りをすっきりできます。

電子機器ケース

電子機器ケースとは

電子機器ケースとは、電圧測定機や照度計などをはじめとする様々な機器・計器を収納するためのケース・鞄類です。

電子機器を持ち運ぶために使用される鞄製品は、保護性や堅牢性など、一般の鞄とは異なる次元の機能性を有している必要があります。そのため、電子機器ケースは、一般のカジュアルバッグなどとは異なり、専門のノウハウを用いて製造することが必要です。合成樹脂や傷や水に強い合成繊維など、丈夫な素材を用いて製造されます。また、広義には、電子機器を格納する、プラスチック製・金属製のケース、基板ケース、アクリルケース、透明ケースなども電子機器ケースと呼ばれる場合があります。

電子機器ケースの使用用途

1. 鞄型

鞄型の電子機器ケースは、主に下記のような電子機器を格納・携帯するために用いられます。

  • 電圧測定器
  • 振動計測装置
  • 照度計・検査機・検針機
  • 免震機材
  • 自動車用故障診断機
  • 発破器
  • 携帯無線機
  • 医療用小型酸素ボンベ
  • ケーブル
  • 各種小型端末・タブレット端末

これらの製品は、電気計測器メーカー、電子機器メーカー、バルブメーカーなどの依頼によりOEM・ODMなどで製造されている場合が多いです。その他、消防局・消防団、設備保全コンサルタント会社、 鉄工会社、倉庫会社などの利用者側の需要により製造される場合があります。また、リモコンカバーや、ウェラブル端末を携帯して使用する、ウェアラブルスキャナグローブなども製造されています。

2. プラスチックケース・メタルケースなど

電子機器ケースとされているもののうち、プラスチックケースやメタルケースには基板ケースとして使用されるものや、据え置き型の機器ケース、携帯用ケースなどがあります。

下記は使用される機器の主な例です。

  • リモコン
  • 計測器
  • 通信機器
  • 情報収集端末
  • 各種実験・医療機器

防塵・防水用途でアルミダイカストボックスが使用される場合もあります。

電子機器ケースの原理

1. 概要

電子機器ケースは、保護性能や堅牢性能の付加、RoHS指令への対応などが必要です。

中の機器を損傷しないよう、外部には硬質で堅牢な素材が用いられ、内部には、機器を保護するためのクッション材などが使用されます。内装は、機器が動かないよう、機器の形状に合わせてクッション材を型抜きしたり、収納物を固定するための中仕切りを取り付けることなどが必要です。機器を固定するためのベルトが取り付けられる場合もあります。小物や説明書などを収納するためのポケットが取り付けられる場合もあります。

多くの品質項目や工場監査などをクリアする必要があり、非常に高い品質基準が必要です。通常の鞄とは全く異なる製造プロセスで製造されます。

2. 素材

電子機器ケースは、様々な素材が使用されます。

鞄タイプの場合、

  • ナイロン
  • ウレタンフォーム
  • 耐衝撃性コーポリマー
  • ナイロンパイル
  • ポリエチレンフォーム

などの合成素材が中心です。

また、鞄ではなく「ケース」という分類になる製品の場合、プラスチックやメタルなどが使用されます。産業用工業用には特にアルミニウム押出形材、鉄板を用いたメタルケースなどが使用されることも多いです。

電子機器ケースの種類

電子機器ケースは、格納するものに合わせた形状で製造される製品です。そのため、基本的には格納する機器ごとに種類が異なります。

また、ケースが機器の持ち運びを目的としているか、そうでないかにもよって、持ち手の有無や素材など、種類が異なっています。

持ち運びを目的としたケースは軽くて丈夫な合成樹脂・合成繊維などが用いられる方が多いです。表面にポリプロピレン生地などの堅牢な合成繊維を使用したセミハードタイプや、合成樹脂製のハードタイプなどの種類があります。また、ハンドル型の持ち手がついた鞄型の他に、ショルダーベルトがついている場合もあります。計測器など、ケースに入れたまま使用されることが想定される製品は、操作用に透明な窓がついています。

また、通常の機器の保護の他に、防水・防塵機能を付加したタイプでは、更に強固・機密性の高い仕様です。産業用・工業用の据え置き型のケースは重量のある金属が使用される場合もあります。

収納するものや利用シーンに合わせて、適切な仕様の製品が使用されます。

バリアブル印刷ソフト

監修:テキスト・アンド・グラフィクス株式会社

バリアブル印刷ソフトとは

バリアブル印刷ソフト (Variable Data Printing Software) とは、DTPソフトの一つです。DTPとは、Desk Top Publishingの略で、雑誌や書籍、パンフレットや広告などの紙媒体の原稿を、パソコンで行うことを言います。

バリアブル印刷ソフトはDTPソフトの中でも、紙媒体の印刷であっても個別に異なる情報やデザインに一部を変更しながら印刷できるソフトのことです。個別に変更するデータには、例えばダイレクトメールの宛先などがあります。

DTPソフトウェアの登場により、印刷物の製作が容易になりましたが、バリアブル印刷ソフトが普及することで、大量印刷物であっても個別の顧客向けの印刷物が手軽に製作でき、より高いメッセージが伝えられるようになりました。有効な拡販ツールの一つとして利用されるソフトウェアです。

バリアブル印刷ソフトの使用用途

バリアブル印刷ソフトは主に、ダイレクトメールなどの広告、案内状などの印刷に用いられています。バリアブル印刷ソフトによって変更されるデータは、住所や宛名などのテキスト、画像、バーコード、二次元コードなどです。バリアブル印刷ソフトは概ね決められたデザインであって、一部を個別に変更したい印刷物に対して利用されるソフトウェアです。年賀状を一般家庭でパソコンで作成することも広く普及していますが、年賀状印刷ソフトもバリアブル印刷ソフトの一つと呼ぶことができます。

バリアブル印刷ソフトの原理

バリアブル印刷ソフトは概ね決められたデザインから一部分を個別の情報や画像に変えて印刷するソフトウェアです。この役割を実現するために、大きく4つの機能があります。

1. 外部データとの連携機能

外部データは大量印刷において、個別に変更したいデータが含まれるもので、例えば住所や宛先、顧客情報などが挙げられます。外部データはCSVファイルなど、一般的な形式のデータが読み込めたり書き出せる機能があります。

2. テンプレートの設計

テンプレートは印刷したいデザインの全体像になります。どの印刷物にも共通するデザインであり、バリアブル印刷によって変更したい部分も指定します。

3. プレビュー機能

バリアブル印刷において、個別に変更したい部分が適切に設定されているのか? 外部データが正しく印刷データに正しく反映されているかなど、プレビュー機能で確認する作業は、バリアブル印刷において重要な作業です。

4. カラーマネージメント

カラーマネージメントはバリアブル印刷ソフトに限りませんが、一般的にパソコンの画面に表示されている色と、実際に印刷される色には差異が生じます。印刷物の色が希望の色にならない場合には、カラーマネージメント機能での調整が必要です。

バリアブル印刷ソフトのその他情報

バリアブル印刷ソフトのメリットとデメリット

1. バリアブル印刷ソフトのメリット

まず効率的に印刷物を作成できることです。外部のデータベースと連携して個別性の高い印刷物を手軽に製作できるため、印刷作業を効率的に行うことができます。二つ目のメリットはコスト削減効果です。バリアブル印刷ソフトの導入によって、印刷会社に外注しなくても、DMなどの印刷物を効率的に製作することができます。テンプレートデータも自社内で管理できるため、テンプレートの一部変更も、効率よく作業することができます。

2. バリアブル印刷ソフトのデメリット

デメリットは、導入コストがかかること、ソフトウェアを使いこなすための学習コストが必要なことなどです。導入コストや学習コストは、中長期的なソフトウェアの活用頻度を加味して判断することが大切になります。

本記事はバリアブル印刷ソフトを製造・販売するテキスト・アンド・グラフィクス株式会社様に監修を頂きました。

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樹脂射出成形

樹脂射出成形とは

樹脂射出成形とは、プラスチック製品を作るための方法の一つです。

プラスチック製品の材料となる樹脂を加熱して溶かし、あらかじめ設計された金型に射出し一定の圧力を加えた後に冷却させて、求める形状のプラスチック製品を作る工法を言います。射出を意味するインジェクション成形やインジェクションモールドなどと呼ばれることもあります。

プラスチック製品を成形する方法には複数の工法がありますが、樹脂射出成形は代表的な工法の一つです。樹脂射出成形は大量生産に向いているため、私たちの日常生活で使う製品にも、樹脂射出成形によって製造されたものが多くあります。日常生活で使う小物製品から、自動車の内装やバンパーなどの大きな部品まで、幅広い大きさの製品の製造に利用されているのも、樹脂射出成形の特徴の一つです。

樹脂射出成形の使用用途

樹脂射出成形は、さまざまなプラスチック製品の製造に利用されています。製造される製品も広範囲にわたります。樹脂射出成形で作られる製品の中でも大きなものは自動車部品です。自動車の外観形状の一部となる前後のバンパーや、エアロパーツと呼ばれるスポイラーなどの部品も、樹脂射出成形で製造されます。自動車室内のインストルメントパネル、運転席と助手席にあるコンソールパネルなども樹脂射出成形で製造された部品です。一方でベンチレーターやアウトレットと呼ばれるエアコンの吹き出し口で風の方向を変えたり開閉する部品も、樹脂射出成形で作られています。

自動車部品以外では、家電製品、日用品、文房具、医療機器なども、樹脂射出成形で作られているものが多くあります。

樹脂射出成形の原理

樹脂射出成形は、プラスチックの材料が加熱されると溶けて流動性が高くなり、冷えると固まるという性質を利用したものです。ペレットと呼ばれるプラスチック製品の原料を射出成形機に投入し、200℃前後の高温になるまで加熱します。材料はスクリューと呼ばれるねじ形状の羽根を持った回転軸によって装置内で移動していき、前方に設置された金型内に射出されます。金型は射出された材料が冷えて固まった時に、求める形状になるようにあらかじめ設計された形状に加工されたものです。金型に射出され一定の圧力によって充満した材料は金型によって熱を奪われ、冷却と共に固まります。金型内で固まったものを取り出すことによって、樹脂射出成形による製品が完成します。

樹脂射出成形のその他情報

樹脂射出成形の特徴

樹脂射出成形の特徴は、まず大量生産に向いていることです。樹脂射出成形機と金型、材料と適した製造条件が見出せれば、比較的短時間で多くの製品を製造することができます。

二つ目の特徴は形状の自由度が高いことです。金型内から取り出すためアンダーカットと呼ばれる取り出し時に引っかかってしまうような形状はできませんが、それでも他の工法に比べて形状の自由度が高い工法です。また一般的に、後加工を必要としません。

三つ目に、材料の選択肢が広いことも、樹脂射出成形の特徴です。プラスチック材料には多くの種類があり、それぞれの特徴を持っています。製品の用途に応じて適切なプラスチック材料を選定することが必要ですが、樹脂射出成形は多くの材料に使うことができる工法です。

樹脂射出成形の注意点

樹脂射出成形での製造で気をつけなければならない点の一つに、伸び尺があります。プラスチック材料は加熱されて金型に射出された時から冷却されるとともに、収縮していきます。

収縮する割合を成形収縮率といい、2/1000~20/1000程度が一般的です。そのため金型の形状は、成形収縮量を見込んだ形状にしなければなりません。成形収縮率は材料によって異なっており、中には射出される方向と、射出される方向と直角方向によって成形収縮率が異なる材料もあります。

縫製加工

縫製加工とは

縫製加工とは、工業用ミシンなどを用いて様々な布製品を製造したり、刺繍などの加工を施したりする加工です。

バッグやポーチ、モバイルケースなどの製作のほか、産業用のビニールレザーやマットなどの資材、保管ケースやカバーなど様々な種類の製品があります。工業用ミシンを用いる他、布地の取り扱いに裁断機をはじめとする様々な設備を必要とします。

縫製加工の使用用途

縫製加工は様々なファブリック製品や、産業用資材などの製造を行います。帆布、ターポリン、ゴム引き布、多孔質PTFE、フィルター、ビニールシート、皮革、キルティングなど、様々な布地の加工を行い、多様な製品製造が行われます。

主な製品例は下記の通りです。

  • バッグ、ポーチ、モバイルケース
  • クッションカバー
  • スポーツウェア、カジュアルウェア、白衣、ユニフォーム
  • テント、オーニング、間仕切り、サインマテリアル
  • 工業用カバー類: 縫製ジャバラ、粉体搬送用シューター用保護カバー、ケミカルタンクの蓋カバー、半導体装置用、ケーブルカバー

特に、工業用のカバー類は、機械や工場のブースに取り付けられて使用されています。耐油性、耐薬品性などの目的で製造・使用される他、無発塵製品はクリーンルームでも使用が可能です。

縫製加工の原理

1. 概要

縫製加工は、工業用ミシンを用い、人の手で行われます。製品サンプルや仕様書に基づき、下記のような流れで製造されます。

  1. 設計・図面確認: 形状や寸法・素材選定を行い、予め図面が用意されている場合は、図面をもとに実際に製造可能か、性能は問題ないかについて確認を行います。
  2. 見積り: 設計図・図面を元に、試作・製造の見積りを出します。
  3. 試作: 外観や性能が問題ないか実際に小ロットにて試作します
    生地や糸などの候補が複数ある場合は、材料違いで製作する場合もあります。
  4. 試作品評価: 顧客評価を元に、変更が必要な点をヒアリングし、設計変更を行います。
  5. 量産品製造: 生地の裁断や縫製を行い、実際の製品を製造します。
  6. 品質検査: 寸法・外観の検査を行います。
  7. 梱包・出荷

2. 工業用ミシン

縫製加工における縫製作業では、工業用ミシンが使用されます。

工業用ミシンとは、縫製工場での生産を目的に高速性・品質性・耐久性・安全性を追求したミシンです。製造する製品や縫製する箇所に応じて、専門性を追求した数多くの種類があります。家庭用ミシンが1台で様々な縫い方を搭載しているのに対し、工業用ミシンは本縫い (直線縫い) 、千鳥縫い (ジグザグ縫い) 、ボタン穴かがりなど、それぞれの縫い方に特化して縫製作業を行います。衣服など、一つの製品を完成させるためには、数機種~30機種程度のミシンが必要です。

力強いモーターを内蔵しており、家庭用ミシンよりも高速で力強く縫い進めることが可能です。また、複数工程を自動で完成させる自動機も数多くあり、熟練の技能を要する縫製工程での品質向上と脱技能化も実現可能です。

3. その他設備

縫製を行う前の布地の取り扱いには、下記のような設備が使用されています。

  • 検反機: 裁断する前の布の検品を行い、不良品を見分ける機械です。
  • 縮絨機: 棒状に巻き付けられた状態の布の、シワ・歪みを整えたり伸ばす機械です。加湿や加熱を用います。
  • 延反機: 力をかけて布を均一の状態にする機械です。
  • 裁断機: 生地を重ねて裁断する機械です。

縫製加工の種類

縫製加工には、生地と生地を縫い合わせる通常の縫製のほか、生地の裁断面の糸のほつれを防止、美しく処理する縫製 (ロック縫製・バインダー二つ巻き・バインダー三つ巻き) や、ステッチ縫製』 などがあります。

その他にも、用途に合わせて、

  • ハトメ加工: ロープ等を通すための穴を金具で開ける加工
  • ウレタン入りマットや枕などのウレタンの組み合わせ加工
  • シルク印刷・インクジェットによるプリント加工
  • 生地の張り合わせ加工

などの追加の加工が施される場合があります。