加圧タンクとは
加圧タンクとは、液体を安定して圧送ために内部を適度な圧力で保持する供給容器です。
ディスペンサー装置などを通じて、接着剤や塗料を一定量で吐出部に搬送する容器です。タンク内の液体表面に圧縮空気を供給し、液体を押し出して送る仕組みです。この構造により、液体の粘度に応じて圧力を調整しながら安定に供給できます。一般的には1~20L程度の小型容器が中心です。
似た名称の容器に圧力タンクがありますが、役割が異なります。圧力タンクは圧縮空気などを高い圧力のまま保持・貯蔵する容器です。コンプレッサーのレシーバータンクなどがこれに該当し 、高圧ガス保安法といった法規制の対象となる場合があります。一方、加圧タンクは低い圧力を液体にかけて送り出すことが目的であり、基本的には法的な規制対象外です。
加圧タンクの使用用途
本製品は以下のような用途で使用されます。
1. 電子部品製造
電子基板などに接着剤やシール材といった液体を精密に塗布するために使用されます。加圧タンクで材料を貯蔵し、安定した圧力でノズルまで送り届けます。エポキシ樹脂のような粘度の高い液体でも、脈動なく一定量を供給し続けることが可能です。これにより、精密な塗布作業の品質を保つことができます。
2. 塗装・コーティング
自動車内装部品や医療器具の表面処理では、塗料や防錆剤をスプレーガンで微粒化します。加圧タンク内で一定圧を保つことで、塗料の粘度変化に左右されずにミスト濃度を一定にできるため、塗りムラやブツを抑制できます。ポンプレス構造のため洗浄も簡単で、色替えや液替えなどの段取り替え時間を短縮できます。
3. 食品・化粧品
ジャムやクリームなどの高粘度食品、あるいは乳液状化粧品のボトル充填では、製品の空気混入を防止する必要があります。加圧タンクは低圧で押し出すため、泡立ちを抑えつつ充填することが可能です。また、生産途中で香料や着色液を追加する際も、タンク一つで安定供給できるため、計量工程を簡略化できます。洗浄性が高く衛生管理もしやすい点から、これらの産業でも有利です。