天然香料とは
天然香料とは、植物や動物から抽出された天然の香り成分のことです。
香料には、天然香料、合成香料、天然及び合成香料を組み合わせた調合香料の3種類あります。人工的に作られる合成香料と異なり、天然香料は自然由来の成分であるため、特有の香りや複雑で豊かで自然な香りが評価されています。
天然香料は、食品、アロマテラピー、化粧品、洗剤など様々な用途で使用され、健康志向や自然派製品を求める消費者に人気があります。例えばアロマテラピーでは、リラクゼーション、リフレッシュ効果を始め、呼吸器系のケアなどが期待され、心身のバランスを整えてくれます。また、食品に使用することで特有の風味が加わり、より美味しく食べることができるなど、色々な目的で天然香料が活用されています。
天然香料の使用用途
以下に、天然香料の使用用途の一例を記載します。
1. アロマテラピー
精油 (エッセンシャルオイル) などの天然香料は、アロマテラピーで使用され、リラクゼーションやリフレッシュ、睡眠の質向上、心身に働きかけることで、豊かな生活をサポートします。近年、アロマテラピーに関する研究が進み、様々な可能性が注目されています。
2. 食品・飲料
天然香料は、食品や飲料に風味を付与・矯正したり香りを補ったりし、より美味しく食べることを手助けします。バニラやカカオなどの植物性香料や、ビーフやエビ、イカなどの動物性香料があり、菓子類、ジュース、加工食品、調味料などで使用されています。
3. 香水・化粧品
高級な香水や化粧品などにも、天然香料が使われており、オーガニックコスメを好む消費者に人気があります。但し、合成香料を使った商品の方が、品質が安定し比較的安価なため、割合的には多く販売されています。
4. 洗剤・日用品
石鹸、洗剤、芳香剤、シャンプーなどにも、爽やかでナチュラルな香りを加えるために天然香料が使われた商品があり、自然派の製品を好む消費者に人気です。
5. 医薬品・伝統療法
一部の天然香料は、医薬品や伝統的な治療にも使用されています。例えば、ユーカリオイルは呼吸器系のケアに使用され、ティーツリーオイルは抗菌効果があります。
天然香料の原理
天然香料は、動植物から天然の香り成分を抽出したものですが、割合としては植物性の香料が多いです。以下は、植物性の天然香料を抽出する主な方法です。
1. 水蒸気蒸留法
植物を蒸留釜につめ、水蒸気を吹き込み加熱し蒸留することにより、香り成分を抽出します。ラベンダーやローズの精油など、広く利用されている方法です。
2. 溶剤抽出法
ヘキサンなどの溶剤で植物成分を抽出したのち溶剤を取り除き、ワックスを含んだコンクリートと呼ばれるものを抽出します。エタノールで再度抽出したコンクリートを冷却し、ワックスや溶剤を取り除き天然香料を得ます。ジャスミン、ローズなどの高級な花精油に多く用いられる方法です。
3. 圧搾法
レモンやオレンジ、ベルガモットなどの柑橘類の果皮を、加熱することなく圧力で搾り、精油を取り出す方法です。
4. マセレーション (浸出法)
植物を油やアルコールに浸け、香り成分を抽出します。バニラやシナモンの抽出によく使われています。
天然香料の種類
以下に、天然香料の主な種類を記載します。
フレーバー用途は食品への使用、フレグランス用途はアロマ、化粧品、香水、洗剤、芳香剤などへの使用を意味します。
1. 植物性香料
精油 (エッセンシャルオイル)
植物の花、葉、樹皮、根、果実などから抽出される揮発性オイルです。水蒸気蒸留法や圧搾法で抽出しています。フレグランス及びフレーバー用途で使用され、ラベンダー、ペパーミント、ユーカリ、ティートリーなどがあります。
アブソリュート
溶剤抽出法で花から抽出された天然香料で、精油よりも濃縮された香りを持ちます。特に香水のベースノートとして使用されます。フレグランス用途として、ジャスミン、ローズ、オレンジブロッサムなどがあります。
レジノイド
樹脂やゴム樹液から溶剤抽出法にて得られる天然香料で、粘り気があります。フレグランス用途として、バルサム、ミルラ、フランキンセンス、ベンゾインなどが知られています。
オレオレジン
果実や葉、根、茎などから溶剤抽出法にて得られる天然香料で、フレーバー用途として使用されます。代表的な植物としては、コショウ、ショウガ、セロリなどがあります。
2. 動物性香料
フレグランス用途としては、近年では動物保護の観点から合成香料が代用され、動物から得られる天然香料はほとんどありません。
また、フレーバー用途として香料に使用できる食肉製品は、日本農林規格 (JAS) で制限されています。ビーフやポーク、チキンなどのミート類や、ホタテやエビやカニなどのシーフード類の抽出物があります。
天然香料の選び方
以下に、天然香料の選び方を記載します。
1. 用途に合わせた香りの選択
香りの強さや持続性、及びどの様な効果が見込まれるかなど、用途に合わせて香料を選択します。
2. 品質
天然香料の品質は、原産地や天候、収穫時期、製造工程などによって大きく左右されます。
また、食品や化粧品などに香料を使用する場合、合成香料や天然香料の区別なく一括して香料と表示されます。そのため、商品の詳細説明やオーガニック認証などを確認し、信頼できるメーカーから購入することが望ましいです。
3. 安全性の確認
天然香料は、植物によってはアレルギー成分が含まれている可能性もあるので、肌に直接使用する時などは安全性を確認することが大切です。
4. コスト
天然香料は比較的高価なものが多いため、使用目的や予算に合わせて選びましょう。