赤外顕微鏡についての概要、用途、原理などをご説明します。また、赤外顕微鏡のメーカー12社一覧や企業ランキングも掲載しておりますので是非ご覧ください。赤外顕微鏡関連企業の2023年08月注目ランキングは1位:株式会社島津製作所、2位:日本分光株式会社、3位:株式会社パーキンエルマージャパンとなっています。
赤外顕微鏡とは、赤外線を用いて微少部を分析する顕微赤外分光法を用いた光学顕微鏡の一種です。
光源に波長の長い赤外線を使用するため、回折限界によって空間分解能は制限されますが、分光解析を行うことができます。現在販売されている赤外顕微鏡は、フーリエ変換赤外分光法 (FTIR) や全反射法など一般的な赤外分光器の機能を兼ね備えたものも多いです。
赤外顕微鏡は、顕微的な微少試料を測定できるため、故障解析や材料科学の研究分野で使用されています。また、赤外線の吸収率の違いなどを利用して固体中の異物混入を検査したり、欠陥品の検査でも有効です。
その他、半導体の厚さを測定する方法としても用いられます。半導体は透過域が赤外領域にあることに加え、屈折率が高いのが特徴です。可視光ではなく赤外光を用いた光学測定が必要となり、赤外光は屈折率の高さに影響を受けるため、精度が下がるというデメリットがあります。
しかし、測定物の表面の凹凸の影響を受けにくいというメリットもあります。半導体の厚さを赤外顕微鏡で測定する方法として、被測定物の表裏面で反射した光の光路差から厚みを求める干渉法があります。
赤外顕微鏡の原理は、一般の光学顕微鏡と同じです。赤外顕微鏡は、画像を撮影するための顕微鏡機能とスペクトル解析を行うための分光器としての機能を合わせもっています。
具体的には、可視光で試料を拡大観察して測定部分を決め、次に赤外光に切り替えて測定します。
赤外顕微鏡の種類として、赤外分光器と赤外分光器の機能を兼ね備えたフーリエ変換型が挙げられます。
赤外分光器は、試料に赤外線を照射し、透過 (あるいは反射) 光を分光することでスペクトルを得て、試料の特性を知る赤外顕微鏡です。光学顕微鏡と同様に、光源、ミラー、レンズ、検出器によって構成されています。
赤外顕微鏡では、一般的な屈折を利用したレンズは用いられません。反射望遠鏡などで使用されるカセグレン光学系という光の反射を利用した対物レンズが用いられます。
光学系を用いた場合、空間分解能は光源の波長とほぼ同じで、数マイクロメートルから数十マイクロメートルに制限されます。赤外顕微鏡で用いてFTIRイメージングを行う際の赤外光は、通常2.5~25マイクロメートルです。
この波長帯は、分子の振動や回転によって変調するため、波長をスキャンした際に物質固有のスペクトルを得ることができます。これをFTIRと同様にフーリエ解析することで、顕微鏡で取得した2次元画像に重ね合わせたマッピングが可能です。
フーリエ変換型 (FT-IR) は、赤外線を照射するのではなく、連続光を試料に照射して、試料の特性を知る赤外顕微鏡です。干渉計を用いて全波長を同時に検出後、干渉パターンをフーリエ変換し、分子構造に応じた吸収スペクトルを取得します。
フーリエ変換型のメリットは主に次の4つです。
一般的なフーリエ変換型には、DTGS (重水素化硫酸トリグリシン) とMCT (水銀カドミウム・テルル化合物) の2種があります。
DTGSは、応答速度が遅くシグナルノイズ比が低く、常温で使用できる焦電検出器です。検出器へのIR入射光が少ない場合には、感度の良い半導体型のMCT検出器が適しています。ただし、MCT検出器は液体窒素で冷却する必要があります。
2次元アレイ検出器による測定が可能な高性能な赤外顕微鏡は、発熱量が大きいため注意が必要です。使用する際には液体窒素での冷却が必要になります。
冷却を怠ると、熱により素子がダメージを受け部分的に測定不能にる可能性が高く、液体窒素量を常に管理する必要があります。また、一般的であるMCT検出器でも液体窒素冷却が必要です。
液体窒素を使用せずに測定ができる赤外顕微鏡もあります。測定可能な厚みや精度は、液体窒素使用時と不使用時では異なります。
参考文献
http://astro-dic.jp/cassegrain-focus/
http://www.jsac.or.jp/bunseki/pdf/bunseki2013/201302minifile.pdf
http://www.jsir.org/wp/wp-content/uploads/2014/10/1995.12VOL.5NO.2_7.pdf
https://www.jasco.co.jp/jpn/technique/internet-seminar/ftir/ftir2.html
https://www.an.shimadzu.co.jp/ftir/semicustom/ftir-05.htm
https://assets.thermofisher.com/TFS-Assets/MSD/brochures/BR-nicolet%20in10-in10-mx-jp.pdf
https://web-material3.yokogawa.com/rd-tr-r04402-003.jp.pdf
https://www.hongo-m.co.jp/2014/01/25/
*一部商社などの取扱い企業なども含みます。
企業の並び替え
2023年08月の注目ランキングベスト10
注目ランキング導出方法順位 | 会社名 | クリックシェア |
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1 | 株式会社島津製作所 |
20.7%
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2 | 日本分光株式会社 |
19.0%
|
3 | 株式会社パーキンエルマージャパン |
12.1%
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4 | 株式会社渋谷光学 |
8.6%
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5 | 和研薬株式会社 |
8.6%
|
6 | ヤマト科学株式会社 |
6.9%
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7 | サーモフィッシャーサイエンティフィック株式会社 |
6.9%
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8 | ブルカージャパン株式会社 |
6.9%
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9 | 株式会社池田理化 |
3.4%
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10 | フィルメトリクス株式会社 |
3.4%
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注目ランキング導出方法について
注目ランキングは、2023年8月の赤外顕微鏡ページ内でのクリックシェアを基に算出しています。クリックシェアは、対象期間内の全企業の総クリック数を各企業のクリック数で割った値を指します。社員数の規模
設立年の新しい会社
歴史のある会社
赤外顕微鏡 AIM-9000は試料の観察画像を見ながら、スペクトルの測定が可能の為、可視光と赤外光の切り替えの手間が無いです。
また、ステージ可動範囲全体で、画像観察と赤外測定ができるため、試料を何度もセットする必要も無いです。
異物自動認識機能が搭載されている為、ボタンひとつで、アパチャーサイズと角度を最適値に設定できます。
異物として検出される可能性が高い物質のスペクトルデータベースにより、測定試料を高い精度で同定できます。
IRLC 赤外レーザー走査型共焦点顕微鏡は、スキャニング共焦点顕微鏡と、近赤外レーザーを用いることで、透明な試料表面の下の薄い部分や光学切片を高い分解能で観察することができます。
試料の表面800μm下の深さまで、画像化することができます。
光学オフセットアジャスタとオートフォーカス6センサと、速Z軸アクチュエータ技術を用いている為、測定方法や計測表面が変化したとしても、フォーカスは一定に保たれます。
IRT-5200はスマートマッピング機能の搭載により、ステージを動かすのではなく、赤外光を動かすことにより試料走査ができます。
そのため、その都度試料をプリズムから離す必要がなく、密着させた状態で走査できるため、短時間で混入物もなく測定ができます。
また密着時でも試料を画像観察することができるため、測定位置を容易に決定することができます。
窒素条件下よりも水や二酸化炭素等の影響が少ない真空条件下での測定が可能です。
F40-UVX 紫外・近赤外対応顕微鏡モデルは、顕微領域内において、紫外領域から近赤外領域までの、分光膜厚測定をすることができます。
パソコンモニターに表示される可視画像を確認しながら、目的箇所の膜厚測定を容易にすることが可能です。
膜厚測定用顕微鏡オプションを付け替えることで、紫外光から赤外光領域に対応した幅広い範囲で膜厚測定が可能です。
測定波長領域は400-1700nmとなっています。
波長1~1.7μm帯の近赤外顕微鏡カメラで暗視野赤外照明用のLEDリングを内蔵しており、簡便に高解像度な赤外顕微鏡撮像ができます。用途に応じて照明光の波長を変更できます。
搭載している赤外線カメラは高感度、高解像度画像センサーを搭載しており、ブルーミングが起き難く、局所的に輝度の高いスポットがあっても鮮明な画像が得られます。またダイナミックレンジが広く(他社の約100倍)、リニア感度、対数応答感度など撮影シーンに応じてさまざまな感度プロファイルを選ぶ事ができます(最小感度は他社の約10倍)。
用途は生体組織構造、水分量分布、脂質分布の観察、鉱物結晶のドメイン観察、集積回路の透視等で、画素単位の数値データによる定量的解析も可能です。