長浜キヤノン株式会社

長浜キヤノン株式会社の会社概要

長浜キヤノン株式会社は、「共生」をモットーに文化・習慣・言語・民族などの違いに関わらず すべての人類が共に生き・働き・幸せに暮らせる社会を目指すことを理念としています。 

何事にも主体的に、積極的に行い、自分自身を管理して、 自分が置かれている立場や状況を認識する姿勢をもって前向きに業務に携わることを掲げた 「三自の精神(自発・自治・自覚)」を持って仕事に取り組む人材を目指しています。 

主要な製品としては、LBP(レーザービームプリンタ)、トナーカートリッジ、シリコンドラム、 半導体露光装置ユニットを扱っています。 

長浜キヤノン株式会社は、生産過程の中でも組み立てを中心事業とする会社として出発しましたが、 近年では技術力の向上を活かし、付加価値の高い上流・下流のフェーズにも事業を拡大しており、 また組み立てを含めた全フェーズでの付加価値向上を目指している会社です。

グローブボックス

グローブボックスとは

グローブボックスとは、細胞培養作業や人体に有害なガスを取り扱った作業など、外気や人間との接触が好ましくない作業を行う際に主に用いられる、作業空間へ外部から手を入れることができるグローブが一体化した箱型容器のことを言います。

グローブボックスの使用用途

グローブボックスは、その内部の清浄度管理の仕組みの違いから、大きく2種類に分けることができます。1つは内部空間を一度真空引きし、その後窒素やアルゴンなどの不活性ガスを注入する、真空型と呼ばれるものです。もう1つは置換型と呼ばれ、内部を真空引きすることなく、不活性ガスによって置換するだけのものです。一度真空に引く真空型の方が、グローブボックス内の水分や酸素などの不純物質を一掃できるため、清浄度の高い空間を作り出すことができます。また、グローブボックス内に置くサンプルが非常に反応性の高い場合は、容器本体やグローブとも反応を起こすことが考えられます。そのため、反応性が高いサンプルに対応するため、本体やグローブの素材はプラスティックからステンレスまで幅広い素材を適切に選定することが必要です。

グローブボックスの原理

グローブボックスは、その内部の清浄度管理の仕組みの違いから、大きく2種類に分けることができます。1つは内部空間を一度真空引きし、その後窒素やアルゴンなどの不活性ガスを注入する、真空型と呼ばれるものです。もう1つは置換型と呼ばれ、内部を真空引きすることなく、不活性ガスによって置換するだけのものです。一度真空に引く真空型の方が、グローブボックス内の水分や酸素などの不純物質を一掃できるため、清浄度の高い空間を作り出すことができます。また、グローブボックス内に置くサンプルが非常に反応性の高い場合は、容器本体やグローブとも反応を起こすことが考えられます。そのため、反応性が高いサンプルに対応するため、本体やグローブの素材はプラスティックからステンレスまで幅広い素材を適切に選定することが必要です。

グローブボックスの選び方

一般に、真空型のグローブボックスの方が清浄度の高い空間を確保できますが、付帯設備として真空ポンプが必要であり高額になることが多く、環境がシビアでない簡易的な実験を行うには少し大がかりとなります。そのため、比較的周辺環境の依存が少ない実験用に使う場合や、初めての導入などの場合は、置換型のグローブボックスから取り扱ってみるのもいいでしょう。ただし、どちらの場合も本体とグローブの素材には、実験を予定しているサンプルとの反応性がない素材を選ぶことが重要です。

参考文献

https://www.jae.com/about-connectors/2/
https://www.lemo.co.jp/each-uses/hight-voltage.html
http://www.meganics.co.jp/pdf/series/3056.pdf

フローティングコネクタ

フローティングコネクタとは

フローティングコネクタとは、電子基板同士を接続する際に用いるコネクタ部品のうち、基板間にて相対的に生じるわずかな接続誤差を調整する機構を備えたコネクタの総称となります。

フローティングコネクタの使用用途

フローティングコネクタを用いることで、基板同士の取り付け位置誤差を許容できるようになるため、ロボットで基板を接続するような場面ではほぼ必ずといっていいほどフローティングコネクタが使用されます。また、基板接続の自由度が上がるだけなく、接続後の基板間の応力を逃がすこともできるため、デバイス上のストレス低減が必要な場面でも役立ちます。例えば、複数の基板同士を接続する場面や、双方の基板がベースとなる基板にリジッドに設置されていて2次元的な自由度がない場面でも多く活用されます。

フローティングコネクタの原理

コネクタにはベースとなる基板の上に、インシュレータと呼ばれるお互いに接合することで電子情報を伝達することができる部分が存在します。2つの基板をこのインシュレータを介して接合することがコネクタの役割です。さて、このコネクタのサイズは技術の進歩とともに年々小型化しており、現在では隣り合う基板間が0.5mmピッチほどの高密度で複数のインシュレータが並んでいます。これらを接合する際には、それぞれのインシュレータ間での位置ずれを公差以下に設計することが求められますが、それには非常に高い技術が必要となります。そこで、フローティングコネクタではインシュレータの立体的な取り付け公差の自由度を表現するために、バネを利用してインシュレータを宙に浮いたような構造にしています。これにより、基板間の接続時にひずみが存在する場合でも、バネ部が可動することでその位置ずれによる誤差を吸収することができます。また、接合時にずれの無い基板でも、その後のメインボードなどへの取り付け時のネジ止めの際には、ネジ穴公差の分だけ位置ずれが発生します。フローティングコネクタは構造上この間接的な位置ずれによる応力ひずみも吸収することができます。

参考文献

オートコリメーター

オートコリメーターとは

オートコリメータ ー (英: autockllimater) とは、光の直進性を利用し,測定対象物の微小角度変位などを測定する光学機器です。

非接触で角度などを測定可能で、通常は光学系や機械系において部品の位置を調整したり、ゆがみを測定したりするために使用されます。

オートコリメーターの使用用途

オートコリメーターは、精密な角度測定だけでなく、平行度、真直度、光軸、アライメントなどの検査・調整に使用されます。

1. 工作機械のベッドやロボットの加工装置の真直度測定

平面鏡が固定された台を案内面にそって滑らせ、平面鏡による十字線像の移動量から真直度を換算します。

2. 光学窓やウェッジの面など端面の平行度測定

1本のレーザビームを透過させることで、同軸上の2面間の平行度測定が可能です。ガラス板などは、表面と裏面の2面からの反射光の角度差を計測することで、平行度を測定します。

3. 直角度の測定

オプチカルスクエアと呼ばれる五角形のプリズムを使い、光を曲げることで測定が可能です。

4. 回転盤の回転角の測定

多面鏡を利用して回転盤や割り出し盤の分割精度を測定します。

5. 弾性片のたわみ測定

弾性片に反射鏡を固定し、オートコリメーターで観察すると、微小な変化量の測定が可能です。

6. 光軸の調整

天体望遠鏡など光軸が合っていれば、オートコリメーターの視野内で、主鏡のセンターマークが何重にも重なって見えます。

7. 光学製品の検査

ディスクやウエハの反りやうねりの測定、ポリゴンミラーの精度測定を行います。

オートコリメーターの原理

オートコリメーターの測定は、レーザー光の持つ直進性とレンズの集光の原理を利用しています。まず、光源として半導体レーザーが主に用いられ、レーザーを1次レンズで平行光へ変換します。この平行光を2次側のレンズに通し、焦点へ結像させます。

この場合、反射光は光路の途中でハーフミラーにより分光され、CCDなどの受光素子へ到達し、結像する仕組みです。仮に対象物が、照射したレーザー光に対して、傾きなく設置されている場合は、反射光による写像は入射光と完全に一致します。一方、対象物が傾いている場合は、ずれて結像されるため、ずれの度合いから、ずれの角度の決定が可能です。

オートコリメーターのその他情報

1. ミラーの設置

オートコリメーター内部には、測定原理とは直接関係のないミラーが多く組み込まれています。オートコリメーターの光学系をすべて直列で配置すると、光路分の装置サイズが必要です。

多くのオートコリメーターでは、装置サイズを小さくするため、反射ミラーを複数設置することがほとんどです。

2. オートコリメーターで測定できる幾何公差

オートコリメーターを用いることで、直線や平面で定義できる幾何公差を求めることが可能です。オートコリメーターは、光源と離れた位置に設置したミラーの反射光が光軸からずれることを利用して、ミラーの傾きを測定します。

ミラーの角度を変位に置き換えて算出することで、測定点ごとの凹凸が測定可能です。開始位置をゼロとし、測定点ごとの変位をプロットすることで、真直度を求めることができます。

オートコリメーターを使用して、別のラインで真直度を求めることを繰り返すと、プロットされた点は線から面を描けるため、平面度の測定が可能です。オートコリメーターの置き方やミラーの保持方法を工夫することで、測定結果を傾斜度や直角度にも発展させることができます。ただし、真円度や円筒度など、曲線や曲面を用いて定義するものは測定が難しいです。

3. オートコリメーターの短所

オートコリメーターは、光源がレンズの焦点位置にない場合、正しく結像ができず、測定誤差、観察像の焦点ずれが起きる問題があります。この光源位置の誤差は、コリメーターレンズの焦点距離に対して0.1%以下の厳しい精度が必要です。

この位置調整が非常にシビアなため、オートコリメーターには、絞りを用いたスポット径で位置調整が可能なもの、ナイフエッジを用いるものなどがあり、さまざまな方法で位置調整が可能です。

参考文献
https://www.pearl-opt.com/media/2019/07/31/31
http://www.mekatoro.net/digianaecatalog/chuo-sougou/book/chuo-sougou-P1089.pdf
https://www.chuo.co.jp/contents/hp0198/list.php?CNo=198&ProCon=7482
http://www.jissen.or.jp/meeting/2010/entry/yokou/2010-38.pdf

ピエゾ素子

ピエゾ素子とは

ピエゾ素子

ピエゾ素子とは、水晶や石英などの誘電体で起こる圧電効果と逆圧電効果を利用して、微小動作制御や検知などをする受動素子のことです。

動作にギアやモータなどを必要としないシンプルな構造なため、他の微小動作機構素子に比較して小型の素子になります。

ピエゾ素子の使用用途

ピエゾ素子は、主に工業向けの微小動作の検知および制御する装置に使用されています。

例えば、振動計にも使用されており、振動による微小な力変化を圧力としてピエゾ素子にインプットし、圧力を与えられたピエゾ素子に生じる電圧をアウトプットとして電圧値を得ることで振動の大きさとして数値化する仕組みです。

また、精密な動きが要求される顕微鏡や干渉計のような装置のステージ動作に付随する駆動系としても使用されています。

このような駆動系のピエゾ素子の部材は、ピエゾドライバピエゾアクチュエータと呼ばれており、ピエゾ素子を複数積層させた積層アクチュエータなども汎用的な部材です。これらにおいては、ピエゾ素子に微小なパルス電流を加えることで、微小動作を実現しています。このように高応答性と精密な動作制御が必要な場面では、ピエゾ素子が好適です。

1. 電子機器冷却

PCなどの電子機器の冷却と言えば、DCファンを用いた冷却方法が良く用いられていますが、ピエゾ素子を用いた冷却方法も提案されています。

具体的には、ピエゾ素子の逆圧電効果を利用して、ピエゾ素子と風を起こすブレードが一体となった構造物を振動させ、風を発生させています。

このピエゾ素子を用いた冷却方法では、DCファンと比べて騒音が少なく、省エネルギーで駆動することが可能です。

しかしながら、長時間駆動させた場合、ピエゾ素子とブレードが乖離してしまう問題が発生することがあるため、長時間駆動をさせる工夫として、支持板を設置して構造体に加わる応力を分散する方法が取られています。

2. 発電

ピエゾ素子を用いた発電システムの開発も行われています。

例えば、JR東日本研究開発センターのフロンティアサービス研究所では「床発電システム」の研究がおこなわれており、2006年から東京駅で実証実験を行っています。

具体的には、「ピエゾ素子を縦横と敷き詰めて床のようにして、その床の上を歩くと圧電効果で電気が発生し、発電されるという仕組み」の研究です。

JR東日本研究開発センターのフロンティアサービス研究所では、2008年〜2009年の実証実験計画では、発電量を約10W秒と見込んでいます。

このように、発電能力があまり高くなく、コストに見合う発電量が得られないことやピエゾ素子が脆性材料なので耐久性が低いという問題などがあるものの、現在様々な企業や研究機関などで研究開発が行われており、実用的なレベルまで発電することができるかどうかがテーマです。

3.スピーカー

ピエゾ素子を利用したスピーカーも開発されています。

ピエゾ素子の原理

ピエゾ素子で用いられる素材には、主に圧電体セラミックスが使用されており、圧電体は結晶内部に電気的な歪みである極性を持っています。

図1に示すように、ピエゾ素子は、圧電体をプラス側の電極とマイナス側の電極で挟み込んだ構造です。

ピエゾ素子の原理

図1. ピエゾ素子の模式図

電極間に電圧をかけることにより圧電体に圧力がかかり、電圧の大きさに応じて青い矢印のように伸縮して変位し、この変位を駆動力などとして利用しています。なお、その逆でピエゾ素子を変形させるような圧力をかければ電圧を検知することも可能です。

圧電体内の結晶格子は、図2に示すように、平常時は、雰囲気中のイオンを取り込むことで電気的に安定した状態を保っています。ところが、電圧が加わると図2に示すように容易にそのバランスが崩れ結晶内の極性が変化し、結晶格子自体が矢印で示すような方向に伸縮し、これによる変位が圧電体の変位です。

圧電体の図

図2. 圧電体の異常状態 (左) / 圧電体に電圧をかけた状態 (右)

すなわち、圧電体の変位は、結晶格子の電子的な極性を利用した歪み変形のため、高々数ミクロンレベルの変形量であり、一般的には圧電素子自体の駆動量は、数ミクロンと微小です。

このため、さらに大きな駆動量を確保しようとする場合には複数のピエゾ素子を合体積層させた積層アクチュエータなどが使用されます。

ピエゾ素子のその他情報

1. ピエゾ素子を用いたスピーカーの原理

これも、ピエゾ素子の圧電効果を利用したもので、図3に示すように、ピエゾ素子の伸縮方向に振動部材を接するように配置しておきます。
スピーカーの図

図3. ピエゾ素子を使用したスピーカー

そして、再生デバイスからの信号による電圧が加わると、ピエゾ素子が圧電効果で青い矢印方向に伸縮し振動するため、その振動が振動部材に伝達して音を再生する仕組みです。

2. 具体的な商品

このようなピエゾ素子を利用したスピーカーとして、TDK株式会社からPiezoListen™と呼ばれるスピーカーを販売されています。

基本的な構造は、ピエゾ素子を樹脂フィルムでコーティングをし、フレームと配線用の端子を取り付けた構造です。

このスピーカーでは、高変位が可能なピエゾ素子を用いることによって、低音域の出力を高め、広い音域の出力を実現しています。

また、ピエゾ素子にファインセラミックスを使用することで、スピーカーの小型化と薄型化を実現しています。

参考文献
https://www.matsusada.co.jp/column/whats_piezo.html
https://www.pi-japan.jp/ja/technology/piezo-technology/fundamentals/
https://www.fujikura.co.jp/rd/gihou/backnumber/pages/__icsFiles/afieldfile/2009/10/19/116_R05_low.pdf
http://www9.wind.ne.jp/fujin/diy/denki/zatugaku/chouonpa.htm
http://sustainablejapan.net/?p=3265
https://product.tdk.com/info/ja/products/sw_piezo/speaker/piezolisten/index.html
https://eetimes.jp/ee/articles/1308/29/news120.html
https://www.jreast.co.jp/development/theme/pdf/yukahatsuden.pdf

ブラシレスモーター

ブラシレスモーターとは

ブラシレスモータ

ブラシレスモーターは、整流子やブラシなどの機械的な接触部を取り除いたモーターです。整流子の代わりを電子回路が行うことで、整流子とブラシを無くしています。直流モーターは、ステータの巻き線回路の磁力によって、永久磁石のロータを駆動します。電流の切り替えを、センサと半導体スイッチによって行い、回転させます。

電流とトルク、及び電圧と回転速度が比例するという点でDCモーターの性格を持ち、構造はACモーターという双方の優れた点を取り入れています。小型で高出力・高効率・長寿命の特性を持ち、火花やノイズの発生もなく、コンピュータから家電まで幅広い用途で活用されています。

ブラシレスモーターの使用用途

ブラシレスモーターはDCモーターの特性を持ち、高効率で長寿命・低騒音の特徴があります。家電製品・電子機器・自動車等、幅広く使われています。家電製品では、エアコン・食洗器・洗濯機・冷蔵庫・扇風機・掃除機などのファンモーターや駆動モーターに使われます。インバーター制御のエアコンや冷蔵庫のコンプレッサには最適です。

業務用電子機器では、レーザープリンターの紙送り・ドローンのプロペラ駆動やジンバル制御・ハードディスクや光ディスクの、および工具のドリル・ドライバー・のこぎりの駆動など広範囲に使用されます。また、自動販売機・金融端末・券売機、および複写機・給湯器・冷凍冷蔵ショーケースなどにも使われます。

また、自動車分野での採用が急速に増えています。電動パワーステアリング・ドアロック・ヘッドライト光軸調整・ドア開閉などの駆動モーター・電気自動車のエアコンコンプレッサー・電気自動車用トラクションモーターなどへ用途が拡大しています。

ブラシレスモーターの原理

ブラシレスモーターは、ローターとステータ、ローターの回転位置を検出するセンサー、および駆動用ドライバー回路などで構成されます。

1. ローターとステータ

ローターは永久磁石により磁界を作り、ステータには巻線が巻かれ、磁束を発生させます。ローターの回転角に応じて、ステーターコイルに流れる電流の向きを変えて、磁束の方向を変えます。ブラシレスモーターは、磁束の方向を変化させる手段として、整流子とブラシを使用せずにセンサーと半導体スイッチを使います。

2. ローターの回転位置検出

ローターの回転位置を検出するセンサーは、ホールICや光学式のエンコーダが使われます。逆起電力を検出する方法もあります。ローターの位置を検出して、ステータの磁束方向が順次進むように電流を切り替えることで、回転させます。モーターの巻き線が3相の場合、センサーはステーターの内側に3個配置され、ローターの回転に応じてデジタル信号が出力されます。

3. 駆動ドライバー

ブラシレスモーターは、電源としてモーターを制御するインバーター回路のドライバーが必要です。モーター巻線にはスイッチング用のトランジスターが接続され、トランジスタ6個でインバーターを構成します。商用電源はダイオードブリッジで整流して直流電圧に変換し、インバータ回路に供給されます。

ローターの位置検出センサーからのデジタル信号が、インバーター回路のトランジスターに入力され、インバーターの電源がON・OFFされます。この電源がモーターの巻線に供給され、モーターが駆動されます。センサーからの信号の組み合わせからローターの磁極角を検出し、トルクが必要な巻線のトランジスタを制御して、回転磁界ができるようにします。

モーターの回転速度は、センサー信号を制御回路にフィードバックして、所定の速度を維持できるようにします。

ブラシレスモーターのその他情報

ブラシレスモーターの特徴

1. 長寿命
ブラシレスモーターは整流子とブラシが無く、摺動部がないため、寿命が長い特性があります。ブラシモーターに比べ10倍以上の寿命があり、メンテナンスも容易になります。

2. モーター特性
DCモーターの特性を有し、電流とトルク、及び電圧と回転速度が比例し、低速でも高いトルクが得られます。効率が他のモーターに比べ最も優れており、小型で低騒音もあって用途が広くなっています。また、高速回転も容易で、発生ノイズも少ないと言えます。

3. 制御性
小型軽量の特性があり、慣性モーメントが比較的小さいので、変化に対して追随性に優れています。負荷が変化しても、低速から高速まで安定した速度で運転が可能です。

4. 短所
モーターの電源として、モーターの回転を制御するインバータ回路を必要とします。制御装置や回転位置センサーを含め、装置全体のコストが不利になります。

参考文献
https://www.nidec.com/jp/technology/capability/brushless/
https://www.renesas.com/jp/ja/support/technical-resources/engineer-school/brushless-dc-motor-01-overview.html#motors-turn
https://www.mouser.jp/new/toshiba-semiconductors/toshiba-brushless-motor-driver-ics/

DCモーター

DCモーターとは

DCモーター

DCモーターとは、直流電源によって動作するモーターです。一般的にブラシ付モーターを指すことが多いです。

電気には直流電源と交流電源の2種類があります。直流電源は電流の向きが常に一方向の電源で、交流電源は電流の向きが周期的に入れ替わる電源です。英訳すると、直流がDirect Currentで、交流がAlternate Currentです。それぞれ頭文字を取ってDC電源、AC電源と呼びます。

したがって、DCモーターはDC電源を使用するモーターを指します。

DCモーターの使用用途

DCモーターは産業用、一般用問わず広く用いられます。一般用としては、おもちゃのラジコンや自動車模型に使用されます。過去に流行したミニ四駆はDCモーターを使用するおもちゃの代表例です。DCモータは構造が単純かつ安価であり、乾電池を電源とできるため、おもちゃにはDCモーターが使用される場合が多いです。

産業用としては、1800年代から電車の走行モーターに使用されてきました。近年では、電気自動車用走行モーターやHDD回転用モーターなどに使用されています。

DCモーターの原理

DCモーターの内部には、コイルが巻かれた回転子が中央に設置されており、その周りにはN極とS極に分極された固定子がそれぞれ設置されます。

DCモーターへ電流を流すと、フレミングの法則によってコイル内に磁界が発生します。磁化された回転子磁極と固定子磁極が同極の場合は反発力が誘起され、異極の場合は吸引力が誘起されて回転子が回転します。

回転子に流す電流を反転させると引力と斥力が変化するため、これを交互に繰り返して回転子を一定方向へ回転させます。また、磁化に必要な電力は整流子と呼ばれる部分に導電体のブラシが接触して供給されます。

単純な構造から、出力トルクの効率が高いモーターを安価に製造できます。ただし、整流子とブラシが接触して回転するため、ブラシがすり減っていきます。したがって、小型のブラシ付きDCモーターはブラシ寿命がモーター寿命になります。

DCモーターの種類

DCモーターは、永久磁石型DCモーターと電磁石界磁型DCモーターが主流となっていますが、近年ではブラシレスDCモーターも存在します。

1. 永久磁石型DCモーター

永久磁石型DCモーターは、固定子に永久磁石を使います。回転子は鉄心とコイルで構成された電磁石とします。固定子へ通電する必要がないため、構造を単純で制御も簡単です。

2. 電磁石界磁型DCモーター

電磁石界磁型DCモーターでは、固定子と回転子を共に電磁石とします。固定子へ流す電流を大きくすると界磁束も大きくなるため、中大型DCモーターへ使用されてきました。

3. ブラシレスDCモーター

ブラシレスDCモーターは、回転子に永久磁石を用いたモーターです。回転子の変位を磁気センサーで読み取り、固定子の発生磁界を変化させて制御します。ブラシがないため長寿命で保守が容易な反面、ブラシレスDCモーター専用の電源を使用する必要があります。

DCモーターのその他情報

DCモーターとACモーターの違い

DCモーターとACモーターの違いは電源です。DCモーターは直流電源、ACモーターは交流電源で駆動します。以下にお互いの特徴を挙げます。

DCモーターの特徴

  • 電池電源をそのまま使用可能
  • 回転特性が安定している
  • 低価格で製作可能
  • トルク制御性能が高く、応答が安定している
  • 回転にムラがある
  • DC高電圧を発生させづらく、大型化しづらい

ACモーターの特徴

  • 商用電源をそのまま使用可能
  • ブラシがなく、構造が簡単で堅牢
  • 高電圧を作りやすく、大型化可能
  • 電源周波数によって回転速度が一定となる
  • 回転速度制御にはVVVF装置が必要

また、電力会社から提供される電源は交流電源です。交流電源からDCモーターを駆動させる場合は、整流器(コンバータ)を用いて直流電源に変換させて使用します。

参考文献
https://www.nidec.com/jp/technology/motor/basic/00004/
https://www.renesas.com/jp/ja/support/technical-resources/engineer-school/brushless-dc-motor-01-overview.html
https://www.nidec.com/jp/technology/motor/basic/00004/

ステッピングモーター

ステッピングモーターとは

ステッピングモーター

ステッピングモーターは、パルス信号によって回転角度を制御できるモーターを指し、高い位置決め精度を保証できるモータの一種です。

別名でパルスモーターとも呼ばれ、回転角度は制御信号であるパルス信号数とモーターの相数で決まり、回転速度は、パルスの速度に相当するパルス周波数に依存します。比較的安価で簡易なモーター構成ながら、オープンループ制御で高い位置決め精度とトルクが得られるのが特徴です。

ステッピングモーターの使用用途

ステッピングモーターの構造上、緻密で可逆的な角度制御を得意とするため、主に位置決め精度が要求される現場で使用されます。例をあげると、自動搬送機器などのロボット装置の2次元的な動作を表現するための駆動用モーターがあります。

高精度のボールネジとステッピングモーターを組み合わせることで、ステージの送り量を非常に高精度でかつ再現性高く表現できます。また、弁の開き具合によって一定量の塗料を噴出するような塗布機械についても、ステッピングモーターで弁の開き角度を精密に調整することでより精巧な作業ができるようになります。

ステッピングモーターの原理

ステッピングモーター内部は、シャフトとつながったローター部およびその外周に設置された複数のステータから構成されています。ローター部はさらに2つの部分に分かれておりそれぞれがN極S極と逆位相になるように磁化されています。

また、ステータには小さい歯が存在し、その歯の間隔が緻密に制御されているのが特徴です。2相型のステッピングモーターを例に取ると、向かい合うステータ同士は同じ極性に磁化され、隣り合うステータは逆向きに磁化されます。そのため、ローターの凹凸と引き合うステータおよび反発するステータが互い違いに存在することになり、ステータの磁化状態に対してエネルギー的に安定な位置にローターは保持されます。

次に、ステータの極性を反転させるように電流を流すと、ステータ1つ分ローターが回転します。これを繰り返し制御することにより、ステータの小歯の機械精度に従って正確に回転角度が制御できます。5相型のステッピングモーターでは、これを5段階で順次制御するため、より細かな角度制御ができることになります。

ステッピングモーターのその他情報

1. ステッピングモーターのトルク

ステッピングモーターは回転速度によって出力トルクが変わり、一般的に回転速度が遅い時には高トルク、回転速度が速い時は低トルクとなります。ステッピングモーター選定時にはモーターの回転速度-トルク特性表を確認し、使用回転速度時の必要トルクがプルアウトトルク曲線の範囲内に入るように選定します。

特に高速回転時のプルアウトトルクは励磁最大静止トルクの20%程度になるので、高速回転で使用する場合には注意が必要です。

また、同じ外形寸法のモーターでも使用ドライバー、内部構造の違いや、入力電圧によってもトルク特性が変わってくるので、メーカーやドライバーの組み合わせや入力電圧も考慮してモーター選定する必要があります。

2. ステッピングモーターのドライバー

ステッピングモーターを動かすためにはドライバーと呼ばれる制御装置が必要です。ドライバーはステッピングモーターに流す電流電圧を制御して、回転速度、回転量などをコントロールすることができます。

ドライバーには定電流駆動方式と低電圧駆動方式がありますが、高速でのトルク特性が優れている定電流方式が採用される場合が多いです。一般的には、ドライバーに上位制御機器より回転速度、回転量の指示値としてパルス列を入力し、入力されたパルス列に従ってモーターを指示速度で指示量回転させます。

ドライバーにはマイクロステップと呼ばれる機能を搭載しているものがあります。ステッピングモーターは基本ステップ角を最小回転角度として回転しますが、マイクロステップ機能を持つドライバーは、各コイルに流す電流を調整し、基本ステップ角を電気的に細分化し、回転の分解能を上げることができます。

また、振動、騒音を低減させる効果や、ステップ角ごとのオーバーシュートの低減、起動停止時の衝撃緩和の効果もあります。マイクロステップ機能の分解能は、多いものだと1/250程度まであり、使用用途によって、ディップスイッチなどで選択することができます。

3. ACサーボモーターとの使い分け

ステッピングモーターでよく引き合いに出されるモーターに、ACサーボモーターがあります。

ステッピングモーターの向き・不向き
ACサーボモーターはエンコーダを内蔵しており、フィードバック制御を行うため、比較的回転数によらず、回転トルクはほぼ一定です。一方でステッピングモーターの場合は、高速回転時に回転トルクは低下してしまいますので、この用途には不向きです。反対に低速回転が主な使い方であれば、ステッピングモーターが向いているといえるでしょう。

ステッピングモーターはオープンループ制御タイプが主に市場に出回っていますが、エンコーダを取り付けてクローズド制御が可能で効率が改善された商品もあります。ただしその場合は、もう一つの魅力である比較的小型で簡易な構成で安価なモーターというメリットを見直す必要が出てきます。

ACサーボモーターの方が適している用途
ACサーボモーターでなければならない使用用途は、複数のモーターを用いる高度な回転制御が必要な場合です。オープンループ制御ではセンシングによるモーター間動作を補う制御は期待できないため、この場合は高速回転動作時と同様に、ステッピングモーターではなくACサーボモーターの使用の方が適していると言えます。

参考文献
https://www.orientalmotor.co.jp/products/stepping/overview_1/
https://www.orientalmotor.co.jp/tech/reference/stepping_motor01/
https://www.orientalmotor.co.jp/tech/reference/stepping_motor02/
https://www.orientalmotor.co.jp/tech/reference/stepping_motor03/
https://www.orientalmotor.co.jp/tech/reference/stepping_motor05/

サーボモータ

サーボモータとは

サーボモータは回転動作を必要とするロボットなどの動力源として使用され、他のモータと比較して、正確性と高速応答性を両立したい場面で主に用いられるモータです。

サーボモータの使用用途

一般に、サーボモータは正確性と高速回転を必要とする場面で使用されており、その適用場面は多岐にわたります。例をあげると、自動車工場の産業用ロボットでは、数多くの部品を素早く正確にピッキングすることが求められ、他の場面では塗装や溶接作業をまったく同じ動作として再現することが求められます。また、半導体製造装置から医療機器まで、現在の精密産業用の機器には、高い再現性と正確性が求められることが多く、大型から小型まで多くのサーボモータが各種生産設備で使用されています。

サーボモータの原理

現在広く普及しているACサーボモータ内部には、回転軸に固定された永久磁石からなるローターと、その外周に複数個のステータが円環状に配置されています。このステータは電線が鉄心に巻き付けられた構造となっていて、ここへ交流が流れると電磁石の役割を果たし、一時的にN極やS極の性質を持ちます。交流は電流の位相が時々刻々と変化しているため、この電磁石の極性も時間とともに変化します。一方で、ローターの永久磁石の極性は固定されているため、このステータとの間の引力と斥力を交互にコントロールしてローターを回転させることができます。これがサーボモータの回転動作原理です。サーボモータにはエンコーダもついているため、ローターの回転時の位置や回数を検出することができます。この検出情報をPLCやドライバと通信することで、モータの稼働状況をその場でフィードバック制御することができるため、高速回転を高精度でコントロールすることが可能となります。

参考文献

https://www.fujielectric.co.jp/products/column/servo/servo_01.html

サーモスタット

サーモスタットとは

サーモスタット

サーモスタットとは、温度調節の際に用いられる素子のことです。

温度を検出した結果をもとに、冷却や加温装置への動作信号を制御する役目を担います。サーモスタットの一般的な機能は温度検知ですが、製品によっては温度の異常上昇を検知して温度の過上昇を防ぐ機能が搭載されている場合もあります。

サーモスタットの使用用途

使用用途により制御に関する付随機能は異なりますが、サーモスタットは水槽の温度ヒータなどの設定温度の上下限どちらかのみを制御する際に使用されるのが一般的です。

その他にも、精密空調のように上下限どちらも制御し、一定の温度範囲を指定するものや設定温度の上下限だけでなく、異常温度までの上昇阻止・規定温度の検出などにも対応したものも展開されています。

また、上記のような電気回路に組み込まれるもの以外に、エンジンルームの冷却水流量制御などの流体回路に開閉弁として直接組み込むものもあります。いずれにせよ、他の種類の温度検出機に比べて小型化を実現できることが利点です。

サーモスタットの原理

サーモスタットの中でも、バイメタル式のサーモスタットでは、金属が熱により膨張や収縮する現象を利用しています。異種金属を張り合わせたバイメタルでは、各金属間の熱膨張係数が違うため、温度変化による膨張や伸縮の大きさの違いから、バイメタル全体は相対的に熱膨張係数の小さい金属側へ湾曲します。

このバイメタルの湾曲を利用すると、温度に応じて接点が開閉する回路を作ることが可能です。その際、接点の開閉の閾値を任意に設定することで、ある温度を境に熱源や冷却源の電源のオンオフが切り替わるような回路制御が可能となります。

また、この仕組みは実際に温度を計測してから電気制御するのではなく、バイメタル素材の温度感受性を直接利用しているため、素子を小型化できるのが利点です。サーモスタットを回路の接点として用いるのではなく、開閉弁として流体回路へ組み込めば、温度変化に応じて徐々に開く制御弁を表現することもできます。

サーモスタットの種類

サーモスタットは温度制御させるための装置ですが、用途によってさまざまな種類のサーモスタットが使用されています。

1. 電子式のサーモスタット

電子式のサーモスタットは、温度制御を動作信号ではなく、コンピューター制御によって行います。そのため、使用環境での温度制御をより正確に行うことが可能です。

温度管理も自動で行えるので、適切な温度管理や電気代などのコスト削減を実現できます。使用環境は主に工業分野で、エンジンの冷却水温管理や農業用ビニールハウス内の温度管理などに多く用いられています。

2. バイメタル式のサーモスタット

バイメタル式サーモスタットは、熱膨張率が異なる2種類の金属を張り合わせた構造をしています。設定温度まで温度が上昇すると、2種類の金属から構成される接点が離れ、回路を遮断することが可能です。

このような原理を利用しているサーモスタットがバイメタル式サーモスタットと呼ばれています。バイメタル式サーモスタットは、一般家庭で使用されている冷蔵庫やガス給湯器などに使用されています。

構造も単純かつ正確な温度制御が可能であるため、多くの工業製品に用いられています。また、金属を用いた構造をとっており、長期間の使用でも壊れにくいことも特徴の一つです。

3. 液体膨張式のサーモスタット

液体膨張式のサーモスタットは、熱膨張率の高い液体を金属管内に封入された構造をしています。封入した液体が膨張することで、接点が動作し温度制御を行っています。

液体として金属を使用する場合、温度測定の精度がより高くなる特徴があります。そのため、精確な温度測定が必要な調理器具や冷凍機器などに幅広く使用されています。

また、液体膨張式のサーモスタットは、電気容量を大きくできることが特徴です。電気容量を増加させることで、より広範囲での温度検知が可能になります。そのため、広範囲での温度検知を必要とする大規模工場など工業分野で多く用いられています

参考文献
http://www.ngt.co.jp/technical/about_thermostat.html
http://www.billion-inc.co.jp/