ピンセット

ピンセットとは

ピンセット

ピンセットとは、指先でつまむことができる小さなつまみを備えた道具です。

人の指では扱えない小さな部品を取り扱う時などに役立ちます。

ピンセットの使用用途

ピンセットの主な用途は、細かい作業を行うことです。例えば、電子部品の取り付け、糸の通しや縫い合わせ、髪の毛やまつ毛のつかみ取り、そして外科手術などが挙げられます。

ピンセットを使用することで、非常に細かいものや指でつかむことができないものをつまんだり、正確な位置に配置できます。

ピンセットの原理

ピンセットの原理は、力をかけることによって小さなつまみを開閉し対象物を挟むことです。ピンセットは、2つの腕部分で構成されています。

一方の腕は、通常は平らな面で構成され、もう一方の腕は、平らな面に対して傾斜がついた形状になっています。ピンセットを閉じると、この傾斜した腕が平らな腕に当たり、小さなつまみをつまむことが可能です。

ピンセットの構造

ピンセットの構造は、先端部分が細く尖っていることが一般的です。これは、細かいものをつまんだり、狭い場所に入り込むことができるようにするためです。

また、ピンセットの腕部分には、滑り止めのためのリブやグリップのための溝などが付いている場合があります。これらの構造は、正確な操作を可能にし、ピンセットの使用中の滑りを防ぐのに役立ちます。

ピンセットの選び方

ピンセットには多くの種類があり、用途にあったものを選ぶことが重要です。

1. つまみ

平らなつまみを持つピンセットは、平らな面に対して平行につまみを閉じるため、一定の圧力をかけることができます。丸いつまみを持つピンセットは、丸い面に対してつまみを閉じるため、圧力をより均等にかけることができます。角のついたつまみを持つピンセットは、角度を調整できます。

2. 素材

ピンセットは、その素材によっても分類されます。例えば、金属製のピンセットやプラスチック製のピンセットなどです。金属製のピンセットは、耐久性が高く、熱にも強いため、熱いものを扱ったり、強い力をかけたりする作業に適しています。一方、プラスチック製のピンセットは、軽くて扱いやすく、傷つけにくいため、柔らかい素材やデリケートな作業に適しています。

3. 形状

細長い形状のピンセットや湾曲した形状のピンセットがあります。細長いピンセットは、狭いスペースや深い場所に入り込んで作業を行うことができます。湾曲したピンセットは、曲がった場所や、届きにくい場所での作業に適しています。

ピンセットの種類

ピンセットには、用途や形状などによって、さまざまな種類があります。中でも特殊なピンセットは以下の通りです。

1. 精密ピンセット

精密ピンセット

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精密ピンセットは、特に小さい部品や精密作業を行うときに使用します。

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2. 真空ピンセット

真空ピンセット

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真空ピンセットは、真空の力で物体を引きつけるタイプのピンセットです。

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3. ホットピンセット

ホットピンセット

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ホットピンセットとは、工具の先端部分がピンセット状になっているリペア用工具です。

4. バキュームピンセット

バキュームピンセット

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バキュームピンセットとは、真空状態を利用して対象物をピックアップするためのツールです。

5. 吸着ピンセット

吸着ピンセット

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吸着ピンセットはポンプなどを利用した吸引力のあるピンセットで、通常つかみにくい球状や細かい小さな部品等を吸着できます。

工具

レンチ

モンキーレンチ

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レンチはボルトなどを閉める工具です。レンチにも様々な種類があり、トルクレンチ、メガネレンチ、モンキーレンチ、コンビネーションレンチなど様々な種類があります。

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ニッパー

ニッパー

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ニッパーは、主にコード等を切るための工具です。精密ニッパー、電工ニッパー、エンドニッパーなどがあります。

ピンセット

ピンセット

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ピンセットは、細かいものをつかむための道具です。精密ピンセット真空ピンセットなどがあります。

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ドライバー

ドライバー

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ドライバーは、ねじを締め付けたり、固定するための工具です。

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ペンチ

ペンチは線材を掴んで曲げたり、切断したりする工具のことです。

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車両センサー

車両センサーとは

車両センサー

車両センサーは車両検知センサーとも呼ばれており、車両が通行したかどうかを検知して数をカウントしたり、所定の位置に駐車されている車両の数をカウントしたりすることができるセンサーです。

車両センサーを利用することで駐車場等で駐車している車両を把握し、逆走などの異常を検知できるため、管理能力が格段に向上します。また、工場や物流センターでの車両の動きの効率化にも役立っています。

車両センサーには壁掛けや埋め込み、天井取り付けタイプなどがあり、用途に応じて選択することができます。

車両センサーの使用用途

車両センサーは、自動車やトラック等の車両の通行の有無等を検知できるので、大型駐車場やコインパーキング、工場のゲート、物流センター等で利用されています。特に駐車場では、一つ一つの車両駐車位置に車両センサーを取り付けることによって、空き状況を把握することができるため近年普及してきています。

車両センサーには、車両の通行時にブザーが鳴ったり、音声で周りの通行者に知らせることが出来る製品もあり、歩行者の安全を守る役割としても利用されています。

車両センサーの原理

車両センサーは製品により検知する項目に違いがあり、原理にもいくつかの種類があります。なかでも多く利用されているタイプが、マイクロ波や赤外線、超音波等によるセンサーです。マイクロ波、赤外線、超音波等が対象物に当たって反射してきた反射波を測定し、対象となる車両の移動速度や距離、有無等を判定します。このように反射波を利用したタイプの製品では、とくに屋外で使用する際に、天候等によって多少誤作動する可能性があるものが多いです。また、検出する車両の大きさや材質によって検出範囲が変動することもあります。

他には、ループコイルセンサーと呼ばれる原理もあります。ループ状にしたケーブルのコイルの上部を金属物が通過するときに変化するインダクタンスを検知して、車両の有無を判定しています。このタイプは埋め込み式のため工事が必要です。

ループコイルセンサーと似た原理では、磁気センサーがあります。金属製の車両が通過することによる磁気の変化を検出して判定しています。

膜分離

膜分離とは

膜分離

膜分離とは、膜を利用して物質をふるい分けることで、分離・抽出・濃縮する技術です。

膜分離に使用する膜には小さな孔が空いており、物質のサイズや電荷、浸透圧の違いなどによって物質を選択的に透過できます。

膜分離は、積極的に物質を透過させるための推進力として、エネルギー勾配を利用しており、原理的には、化学ポテンシャル・圧力差・電位差の3種類に大別されています。

膜分離の使用用途

膜分離は、主に純化や濃縮、分離といったプロセスにおいて活用されています。そのほかにも蒸留や晶析、抽出などによる方式も存在しています。

1. 純化

純化は、水中の懸濁物や細菌、イオンといった不純物を除去する方法です。海水の淡水化や工業排水の処理および再生、下水の処理などに用いられます。

2. 濃縮

濃縮は、イオン交換膜電気透析法という方式により、海水から食塩を製造する方法です。この方法では、陽イオン交換膜と陰イオン交換膜を交互に並べることで、電気透析そうを構築し、電位差によりイオンの移動と選択的透過を行います。

3. 分離

分離は、低分子と高分子に分ける方法です。主にバイオや医薬品関連で使用されています。この方法では、主に低分子と高分子を分けますが、それらに限らずにウイルスや酵母、コロイド、微粒子などを分離することが可能です。

膜分離の原理

膜分離は、主に膜を用いたろ過方式として、全量ろ過方式とクロスフローろ過方式の2種類で行われています。

全量ろ過方式は、供給される原水の全量をろ過する方式です。この方式では、廃棄水が発生しません。

また、膜に原水を供給することで、膜にろ過残渣(ざんさ)を形成します。一般的な砂ろ過と同じ方式により、ろ過を行い、定期的な洗浄を必要とします。

一方、クロスフローろ過方式は、膜面に対して原水を平行に供給し、不純物を膜面に堆積させながら、ろ過を行う方法です。この方法では、原水が横方向に流れるため、ろ材に目詰まりが生じにくく、全量ろ過方式と比べて、透過流束が高いことが特徴として挙げられます。

膜分離の種類

膜分離は、主に分離する対象物の大きさによって、4つの種類に分けられます。下記の膜分離の種類から対象物が大きく粗い順に記載しています。そのほかにもいくつかの膜分離方式があり、このトピックでは、イオン交換膜とガス分離膜を解説します。

1. 精密ろ過膜 (MF)

精密ろ過膜は、Micro Filtrationと呼ばれ、約0.01umから数umまでの微粒子や微生物を分離する膜方式です。この方式では、主にウイルスやバクテリア、藻類・泥を分離しています。応用例としては、排水の再生や除菌、上水の処理などが挙げられます。

2. 限外ろ過膜 (UF)

限外ろ過膜は、Ultra Filtrationと呼ばれ、約0.1umから2nmまでの溶質や粒子を分離する膜方式です。この方式では、主にタンパク質やウイルス、バクテリアを分離しています。応用例としては、果汁や乳製品の濃縮、電着塗料の分離もしくは回収などが挙げられます。

3.ナノろ過膜 (NF)

ナノろ過膜は、Nano Filtration Membraneと呼ばれ、約数nmから数十nmまで粒子や高分子を分離する膜方式です。この方式では、主にイオンやタンパク質、ウイルスを分離しています。応用例としては、果汁の濃縮や上水の処理などが挙げられます。

4.逆浸透膜 (RO)

逆浸透膜は、Reverse Osmosisと呼ばれ、約0.1nmから数nmまでの溶媒と溶質を分離する膜方式です。この方式では、主にイオンやタンパク質を分離しています。応用例としては、海水の淡水化や果汁および乳製品の濃縮、排水の浄化などが挙げられます。

5.イオン交換膜 (IE)

イオン交換膜は、Ion Exchange Membraneと呼ばれており、約0.01umから1nmまでの陽イオンや陰イオンを選択的に通過させる膜方式です。この方式では、主にタンパク質や多糖類、酵素、抗生物質などを分離しています。応用例としては、食塩の製造やカセイソーダなどが挙げられます。

6.ガス分離膜

ガス分離膜は、約1nmから0.1nmまでのガス成分を分離する膜方式です。この方式では、主にイオンや分子を分離しています。応用例としては、酵素富化やメタン二酸化炭素、水素の分離などが挙げられます。

 

絶対圧力計

絶対圧力計とは

絶対圧力計とは、圧力計の1種でありものにかかる圧力を測定する機器のことです。

圧力計の中には「絶対圧力」を測定するものと「ゲージ圧」を測定するものがあり、絶対圧力計は名前の通り絶対圧力を測定できます。

通常圧力を測定する際は普段の生活で常にかかっている大気圧をゼロの基準として大気圧との差を「ゲージ圧」として測定することが多いですが、絶対圧力計は真空状態をゼロの基準として圧力を測定するのでゲージ圧とは異なる値が得られます。

絶対圧力計の使用用途

絶対圧とゲージ圧の関係は、下記の通りです。

 絶対圧 – 大気圧 = ゲージ圧

大気圧は普段生活している中で常にかかっている圧力であり、空気の重みです。海面上での大気圧が最も高く、標高が高くなるにつれ大気圧は低くなります。

絶対圧力計は場所によって異なる大気圧の数値を加味せず、ものにかかる圧力そのものを測定できるため、真空ポンプ内や密閉された空間の圧力を測定するために使用されます。

絶対圧力計の原理

基本的に圧力を測定する場合には測定したい圧力がかかる側を基盤側とし、背面側の圧力との差を出すことで数値化しています。測定方法としては同じですが、それぞれの圧力を検出するための検出方式に差があります。

ゲージ圧力計は大気圧との差圧を測定するため、背面側の圧力を検出する部分は開放してその場の大気圧を使用するパターン、もしくは大気圧を封入するパターンのいずれかで大気圧を検出し差圧を出しています。一方で絶対圧力計は、背面側の圧を検出する部分を真空室にすることで真空圧を検出し真空圧との差圧を出しています。

これまで圧力計はメモリで表示されることも多かったですが、最近ではより高精度な圧力を測定するためにデジタルで表記されるものも増えてきています。

超音波金属接合機

超音波金属接合機とは超音波金属接合機

超音波金属接合機とは金属素材同士を接合するための装置です。

金属を接合する方法には他にも溶接などがありますが、溶接は高温で金属を融解させる必要があるため、熱の影響が懸念されるような接合には向いていません。一方で、超音波金属接合は金属表面を超音波で処理した後、金属同士を密着させるので熱による影響の少ない接合法の一つです。

溶接は金属の溶解を伴うため溶融接合に分類するのに対し、超音波金属接合のように固相状態でで接合を行うことを固相接合と分類します。

超音波金属接合機の使用用途

超音波金属接合機は熱の発生が少ない固相接合を行えるため、異なる種類の金属を接合させるために使用されます。

異なる種類の金属を溶接で接合させると、溶けて混じり合った合金層が接合界面に発生するため、電気的あるいは機械的な性質が変わってしまいます。超音波接合では不純物となる合金層の発生が殆どないため、電気的接点を構築する場合などに使用されます。特にバッテリーの製造においてアルミニウムを接合させるために使用されています。

超音波金属接合機の原理

超音波金属接合機を用いた金属同士の接合は、金属結合を新たに作らせることで行います。

金属結合とは、金属に見られる化学結合のことで、金属結晶を構成するものです。金属結晶中に規則正しく並んだ原子核の間を自由電子が動き回っていることによって発生するクーロン力が、この金属結合の力の元になります。すなわち、2つの金属を接合させるには、界面で新たに自由電子を介した金属結合を作らせる必要があります。

しかし、一般に金属の表面は酸化皮膜などの不純物でコーティングされているため、2つの金属を単純に密着させただけでは二種の原子核と自由電子は共有されません。

超音波金属接合機は、2つの金属を密着させた後に超音波を印加します。すると、金属表面が擦り合わされ、摩擦や塑性流動によって表面の酸化皮膜や不純物を除去し、金属の本来の界面を露出させます。これによって原子核と自由電子が共有され、新たに金属結合が形成されるので接合を行うことができます。

フロアジャッキ

フロアジャッキとは

フロアジャッキ

フロアジャッキとは、油圧などの力を利用することで、小さな力で重たいものを垂直に持ち上げられる装置のことです。

フロアジャッキは、主に車の整備など車体を持ち上げるために使用されています。車の整備を行う際に使われているジャッキにも複数の種類があり、大きく分けると「パンタグラフジャッキ」と「フロアジャッキ」の2つです。

パンタグラフジャッキはねじ式のため、手動でねじを回すことによって重いものを持ち上げられます。また、折り畳むことが可能で、省スペースにつながります。比較的扱いやすい一方で、ジャッキを上下させるためには少し力が必要です。

フロアジャッキは、油圧を利用して重いものを持ち上げるため、ジャッキでの上げ下げがより簡単で、小さな力で作業を行えるというメリットがあります。

フロアジャッキの使用用途

フロアジャッキは、主に車の整備を行うため、車体の上げ下げに使用されています。車体を持ち上げて行う作業には、タイヤ交換や各種オイル交換などがあります。

車は重量物なため、ジャッキを使用して車体を持ち上げる場合は、十分安全に配慮して行う必要があります。また、車種によってジャッキを使用して良い位置 (ジャッキアップポイント) が異なるため、車に付属している整備マニュアルを十分確認してからジャッキを使用することが重要です。

車には車載工具として、あらかじめ手動式のパンタグラフジャッキが搭載されています。手動式のパンタグラフジャッキは、ねじの回転に合わせてパンタグラフが上下する簡素な構造となっており、サイズが小さくスペースをとらないのがメリットです。

しかし、ジャッキ自体のサイズが小さい分、車体を上げ下げして作業ができるようになるまでには、ねじ回しを多く行う必要があるため相当な時間を有します。タイヤ交換などの作業では、スピーディーに終えられるようフロアジャッキが使用されています。

フロアジャッキの原理

原理として、パンタグラフジャッキはねじ式のジャッキで、フロアジャッキは油圧式が主に用いられています。

1. パンタグラフジャッキ

パンタグラフジャッキは、ねじの回転に合わせてパンタグラフが上下する構造になっています。ねじのかみ合わせによって力を発生するため、信頼性が高く、構造が単純なため値段が安いのが特徴です。

2. フロアジャッキ

フロアジャッキは油圧式が用いられており、内部にオイルが入ったタンクがあります。ジャッキのレバーを上げ下げすることで、タンク内のオイルに圧力をかけてオイルをポンプ側に移動させます。オイルがポンプ側に移動することによって持ち上げたいものの下に置いている「ラム」が上昇し、間接的に重いものを持ち上げることが可能です。

この動作は、「密閉された容器の中に入った流体に圧力を加えると、その圧力は流体すべての部分に等しく伝わる」というパスカルの原理を利用しています。油圧は小さなエネルギーを大きなエネルギーに変換することができるため、ジャッキ以外にも多くの場面で利用されています。

油圧は周辺環境の温度変化にも強く、高い圧力を得やすいですが、油漏れが発生してしまうと圧力が抜けてしまうのが欠点です。そのため、経年劣化等で容器の気密性が失われると急に圧力が抜けてしまい危険なので、油圧の製品を使用する前に油漏れが無いか事前に点検を行う必要があります。

パンタグラフジャッキと比較してオイルが移動する力を使用するため、装置が少し大がかりになります。ジャッキ自体の重量もあるので、持ち運びには不便です。

フロアジャッキの種類

1. 一般的なフロアジャッキ

別名ガレージジャッキとも呼ばれ、主に油圧を用いて上げ下げする一般的なジャッキです。製品にもよりますが、主に1.5トン~2トン程度の重量を持ち上げられる能力を有しています。

油圧以外にエアー式のジャッキも存在し、オイルの代わりに空気の力を使用して重いものを持ち上げます。フロアジャッキよりも安全により重たいものを持ち上げられる一方で、装置が最も大がかりなため、使用する場所は限られます。

2. 低床フロアジャッキ

フロアジャッキをより低い位置から持ち上げられるようにしたものです。車体の形状や車高によってはこちらを使う必要があります。

ジャッキが上下する油圧の方式は変わっていませんが、最大まで持ち上げた際の高さが低めになってしまうため、用途に合わせて使用することが大切です。

フロアジャッキのその他情報

パンタグラフジャッキ

別名シザーズジャッキとも呼ばれ、電車の天井部分についているパンタグラフと同じ形をしたジャッキです。ねじのかみ合わせによって上下する構造になっているため、最大までジャッキを上げきるのには時間がかかります。

パンタグラフジャッキの最大の特徴は、省スペースで安価な点です。ねじの代わりに油圧を用いた製品や容易に上げ下げできるようになっている製品もあります。

連成計

連成計とは

連成計

連成計とは、正圧と負圧の両方を測定できる圧力計のことです。

圧力測定器には、連成計以外にも通常の圧力計、真空計などがあり、それぞれ測定できる圧力が異なります。よく使用される圧力計は正圧のみを測定でき、真空計は負圧のみを測定できます。

連成計は正圧と負圧の両方を測定できるものの測定できる圧力の範囲が-0.1~0.4MPaG程度と限られているので注意が必要です。

連成計の使用用途

連成計は、機械の作動状況によって正圧にも負圧にもなりうる可能性がある場所で使用されます。

例えばポンプで気体や液体を吸引する場所であったり、蒸気を使用して熱交換を行う機器などが挙げられます。ポンプで気体や液体を引き込む場合、ポンプ内の圧力が大気圧よりも低くなることがあるので、連成計を使用した方が良いといえます。

連成計は工業用として使用されることが多いですが、消防ポンプ車の給水側配管に取り付けられているなど身近なところにも使用されています。

連成計の原理

連成計は、圧力がかかると圧力計内の「ブルドン管」と呼ばれる検知装置が変形します。変形度合いからかかっている圧力を検知し、検知された値をそのまま反映することで圧力が測定されます。

連成計で負圧を測定する場合は、ブルドン管の変形度合いが反対方向に変形することを検知し負圧を指示しているため正確に負圧を測定できているとは言えません。負圧の正確な数値を知りたい場合は、わずかな負圧であっても真空計を使用する方が良いです。

また、最近では連成計の中でもデジタル表記される連成計も増えてきています。目盛りを読むよりもデジタルで表記された方が一目見てわかりやすく、公的機関での検査でも使用できるほど精度も高いです。

走査型電子顕微鏡

走査型電子顕微鏡とは

走査型電子顕微鏡

走査型電子顕微鏡 (英: Scanning Electron Microscope (SEM) ) は、電子顕微鏡の一種で、試料に電子線を照射し、試料から放出される二次電子などを検出することで試料の表面状態を観察できる測定装置です。

走査型電子顕微鏡を用いることで、光学顕微鏡では観察が困難である微細な構造であっても観察が可能です。そのため、材料工学や生化学など幅広い分野で利用されています。

走査型電子顕微鏡の使用用途

図1-顕微鏡の種類と分解能

走査型電子顕微鏡の倍率は数十万倍程度まで上げ、分解能を数nm程度にまで高めることができます。また、焦点深度が深く試料の凹凸を観察しやすいといった特徴があります。

光学顕微鏡では倍率の限界が1,000倍程度で、分解能の限界が150nm程度であるため走査型電子顕微鏡を用いることで光学顕微鏡よりもはるかに高倍率かつ高分解能での観察が可能です。

また、光学顕微鏡で得られる画像とは異なり、走査型電子顕微鏡では電子線の入射方向と垂直な面が暗く、平行に近づくほど明るくなるようなコントラストがついた立体的な画像が得られるため直感的に観察することができます。

これらの特徴を活かし、走査型電子顕微鏡は半導体材料やセラミック材料などの各種材料の表面状態の観察、細菌やウイルスといった微生物の観察、細胞といった生体試料の観察に用いられます。一方で、試料の内部構造の観察が目的の場合は一般的に透過型電子顕微鏡が用いられます。

走査型電子顕微鏡の原理

図2-走査型電子顕微鏡の構造と測定イメージ

走査型電子顕微鏡では、加速させた電子線を試料表面に集束させて照射し、その際に発生する二次電子 (SE) や後方散乱電子 (BSE) を検出して解析を行い、観察範囲全体に走査 (スキャン) することで画像データとして試料の状態が観察可能です。

加速電圧を上げて照射する電子のエネルギーを大きくすることで、分解能を数nm程度にまで高くできます。加速電圧を上げると分解能が高くなりますが、上げすぎると試料の深い位置からの反射電子の影響や帯電 (チャージアップ) の問題などが生じてくるため、通常は数kV~数十kVの加速電圧で使用します。

二次電子は、電子線を当てた際に試料の表面付近から飛び出した電子です。

試料の凹凸に応じて電子の状態が異なり、二次電子の測定によって得られる画像データにコントラストが生じ、表面の凹凸や粒子の形状を観察できるようになります。

一方、後方散乱電子は電子線が原子と相互作用して跳ね返った電子のことです。

原子によって放出される電子の反射率が異なります。後方散乱電子の測定によって、原子の種類ごとにコントラストが強調され、試料に含まれる原子の分布を観察することができます。

走査型電子顕微鏡の構造

走査型電子顕微鏡は、主に電子線を放出する電子銃、電子線を試料表面に収束させる電子レンズ、二次電子や後方散乱電子を検出する検出器によって構成されています。

電子銃には、熱電子放出型と電界放出型、ショットキー型の3種類があり、それぞれ特徴が異なります。電子レンズはコイルに電流を流して磁場により電子線を制御する方式が一般的で、アウトレンズ方式やインレンズ方式など様々な種類があります。

測定時の走査型電子顕微鏡内部は10^-4Pa程度の高真空状態で保たれますが、近年低真空状態 (10^2Pa程度) や大気圧下でも測定できるものも開発されており、水分を多く含む試料を用いる生物分野でよく利用されています。

走査型電子顕微鏡のその他情報

1. 走査型電子顕微鏡測定のための試料調製

走査型電子顕微鏡は様々な試料を測定することが可能ですが、試料によっては適切な試料調製や測定条件の設定が必要な場合があります。

絶縁性試料
絶縁性試料を用いる場合、照射される電子線によって試料表面が帯電することがあります。帯電が起こると画像が乱れたり異常コントラストが観測されたりするため、正確な画像データが得られない場合があります。帯電を防ぐには、試料表面に金属を薄くスパッタリングしてコーティングする、低加速電圧で観察する、低真空状態で観察するなどの対策をとる必要があります。

高真空条件で蒸発や昇華する試料
高真空条件で蒸発や昇華が起こると、試料の構造や形状が変化してしまうだけでなく、装置の故障につながる場合があります。これらを防ぐためには、低真空下で測定するなどの対策をとることが効果的です。また、水分を多く含む生物試料などは低真空化での観察においても別途前処理が必要な場合が多いです。

磁性を有する試料
磁性を有する試料を用いる場合、電子レンズと試料との距離が近いと試料が磁化され電子線の調整が困難になり、サイズの大きい試料では試料台から外れてレンズ部に吸い付いてしまう可能性もあります。これらを防ぐには、試料とレンズがアウトレンズ方式などの走査型電子顕微鏡を用いて、試料をねじ止めや接着剤などで固定する必要があります。

試料内部を観察したい場合
後述の透過モードを用いずに試料内部を観察したい場合は集束イオンビーム (FIB) などを用いて試料を加工し、断面を観察するといった方法をとる必要があります。

2. 走査型電子顕微鏡に装着される主な分析装置

図3-電子線の照射によって放出される電磁波の例

加速させた電子線を試料に照射すると、二次電子、後方散乱電子だけでなく、透過電子、X線、カソードルミネッセンス、吸収電子などの信号を得ることができます。これらの信号を検出するための分析装置が装着可能な場合があります。

透過電子
試料の厚さが十分薄い場合や、微粒子などの資料の場合は、照射した電子の一部が透過し透過電子として検出できます。透過型電子顕微鏡や、走査型透過電子顕微鏡 (英: Scanning transmission Electron Microscope (STEM) ) として独立した測定装置で測定することが一般的ですが、走査型電子顕微鏡に透過モードとして搭載されていることされていることがあります。走査型電子顕微鏡の苦手とする内部構造の観察を行うことが可能です。

X線
電子線が原子に照射されると電子線のほかにX線が放出されることがあります。このX線は原子ごとに固有のエネルギーを有するため、放出されたX線を検出することで試料表面に存在する原子の種類を特定することが可能です。

X線検出器を装着し測定すると、試料表面の原子の組成だけでなく、試料のどの部分にどの原子が存在するかを画像データ上に表示する元素マッピングも行うことができます。X線検出器には、エネルギー分散型X線検出器 (EDS) と波長分散型X線検出器 (WDS) の2種類があり、それぞれ特徴が異なるため目的に合わせて選択する必要があります。

カソードルミネッセンス
カソードルミネッセンスとは、電子線が試料に照射された際に放出される光のことで、これを検出することで結晶欠陥や不純物、キャリア濃度といった試料の結晶としての性質を測定することができます。

他にもオプションを追加することで様々な機能を追加することが可能です。独立した測定装置で測定を行った場合と比べて、走査型電子顕微鏡の画像を見ながら測定位置を選択できるというメリットがあるため、より詳細な測定ができるようになります。

偏光顕微鏡

偏光顕微鏡とは

偏光顕微鏡

偏光顕微鏡 (英: Polarized Optical Microscope) とは、光の偏光を選択して観測する光学顕微鏡です。

理科の実験で使用する光学顕微鏡は、物質に当てて反射した全ての光を接眼レンズに通して観察しています。光は進行方向に対して垂直な方向に電場と磁場が振動する波です。電場の振動方向が規則的な光を偏光と呼びます。偏光顕微鏡では物質から反射した特定方向に振動する偏光を観察します。

直線偏光を物質に当て、偏光状態の変化を色や明暗として観察することができます。偏光を選択し、顕微鏡で観測すると、物質の状態や成分を特定することが可能です。

偏光顕微鏡の使用用途

偏光顕微鏡は、もともと鉱物の状態や成分を知るために使用されていましたが、現在では、高分子やバイオテクノロジーなどの開発現場でも使用されています。偏光状態の変化は、分子配向や結晶構造を反映しているため、高分子の内部構造を評価できます。さらに、温度調節機器と組み合わせることで相転移挙動の観察が可能です。

偏光顕微鏡を使用した大きな発見の1つに液晶があります。液体でありながら固体のような分子配列を持つ液晶は、偏光顕微鏡の観察で初めて確認され、今日の液晶テレビなどの開発に繋がりました。

また、生体物質などは液晶と同等の状態や分子構造を持っているものが多く、今後も医療や製薬の分野で偏光顕微鏡が活躍していくと考えられます。

偏光顕微鏡の原理

偏光顕微鏡には、光の偏光を選択するフィルターが用いられており、試料の光学特性を反映した光学顕微鏡像が得られます。

1. 偏光顕微鏡の構成

通常の光学顕微鏡は、光源、試料ステージ、対物レンズなどから構成されています。光源から放たれた光が物質に当たり、その光が対物レンズに入って接眼レンズから観察できます。偏光顕微鏡の原理も基本は光学顕微鏡と同じですが、異なるのは光源と試料の間にポラライザー (偏光子) 、対物レンズと接眼レンズの間にアナライザー (検光子) と呼ばれる2枚の偏光板が設置されている点です。

光源から出る光は、全方位を含む蛍光灯などと同じ自然光です。この光をポラライザーに透過させることで偏光に変え、観察対象となる物質に当てます。物質を透過したときに向きが変化した偏光は、ポラライザーに対して直角にしたクロスニコル配置のアナライザーを通過し観察できるようになります。

2. 偏光顕微鏡の画像

偏光顕微鏡で屈折率に異方性のない試料を観察した場合は、ポラライザーから出た直線偏光の偏光状態は変化せず、アナライザーを透過できないため、接眼レンズから観察した際の視野は暗い状態です。

偏光方向に応じて屈折率が異なる性質 (複屈折性) を有する試料を観察した場合は、入射する直線偏光の振動方向が試料の光軸と一致しているとき、入射光の偏光状態は変化せず、上記と同様に暗視野となります。一方、入射光の振動方向と試料の光軸が異なるとき、入射光は試料の複屈折性により2つの偏光成分に分かれ、その合成成分は、試料透過前の偏光状態と異なる状態です。偏光状態が変化することにより、光がアナライザーを透過して明視野となります。

偏光顕微鏡像が色づいて見えるのは、試料の複屈折性により2つに分かれた光の光路差によるものです。偏光顕微鏡では、試料の光軸に対して偏光を当てる角度を変えるため、物質を置いたステージが360°回転することができます。

偏光顕微鏡のその他情報

偏光顕微鏡の応用

偏光顕微鏡は、結晶ドメインやその向きまで調べることができるため、他の光学測定法と組み合わせて用いることができる手法です。

1. 蛍光測定
偏光顕微鏡は、蛍光測定と組み合わせて使用できます。通常の蛍光測定では、結晶ドメインのさまざまな位置や向きからのアンサンブル情報です。しかし、結晶ドメインの向きによって光学特性が変わるため、結晶方向を特定できる偏光顕微鏡が活躍します。偏光顕微鏡を用いて、入射光に特定方向の偏光を持つレーザーを入射し、特定方向の偏光情報の発光を観測することができます。

2. 時間分解測定
偏光顕微鏡は、時間分解分光法と組み合わせて使用することもできます。通常の時間分解分光法は、結晶ドメインのさまざまな位置や向きからのアンサンブル情報ですが、偏光顕微鏡により結晶ドメインの向きや位置を決めて、吸収や発光の時間分解分光測定が可能になります。