蛍光顕微鏡についての概要、用途、原理などをご説明します。また、蛍光顕微鏡のメーカー8社一覧や企業ランキングも掲載しておりますので是非ご覧ください。蛍光顕微鏡関連企業の2023年5月注目ランキングは1位:株式会社日本レーザー、2位:シスメックス株式会社、3位:株式会社キーエンスとなっています。
蛍光顕微鏡( 英語:Fluorescence Microscope )は、レーザー光、超高圧水銀灯やキセノンランプを光源として用い、対象物中の蛍光物質の蛍光を観察する装置です。通常の光学顕微鏡では、ハロゲンランプなどの可視光線を光源として対象物に照射し反射光や透過光を観察します。
蛍光顕微鏡は顕微鏡の一種であり、蛍光を発する物質で標識された生体組織・細胞などを主な対象としています。顕微鏡の分解能は用いる光の波長に依存するため、波長の短い光を用いる蛍光顕微鏡では空間分解能や時間分解能が優れていることが特長です。
そのため、高い定量性のある情報が取得できます。蛍光顕微鏡は共焦点レーザー顕微鏡や多光子顕微鏡など高機能化が進んでおり、ますます重要性が高まっています。
蛍光顕微鏡は主にバイオイメージングに用いられます。具体的な対象は細胞や組織であり、生きたまま観察することも可能です。対象を蛍光で標識するためには、以下のような技術が組み合わせて用いられます。
これら技術により、標的タンパク質や発現遺伝子の局在などが観察できます。また、特定の物質に反応して蛍光を発する薬剤やタンパク質が開発されており、神経の活動や細胞内の物質動態の可視化が可能です。
近年、CRISPR技術の登場により遺伝子組み換え生物の創出が格段に容易になり、その応用範囲が急速に広まっています。
蛍光顕微鏡は蛍光を観察する装置です。蛍光は、蛍光物質が特定の光をエネルギーとして吸収し(励起光)、再びエネルギーを放出する際に発せられます。
励起光の照射により速やかな発光が起こります。蛍光の波長は励起光の波長よりも長く、これらの波長は蛍光物質により異なります。蛍光顕微鏡は特異的な蛍光を観察するために、以下から構成されるフィルターユニットを有しています。
フィルターユニットを変えたり組み合わせたりすることにより、様々な蛍光物質を同じ標本から観察することが可能です。
図1.蛍光顕微鏡の分解能
顕微鏡の分解能とは、「二つの近接した点を異なる点と見分けることが可能な最小の距離」を意味しています。顕微鏡ではレンズを用いて対象物を拡大し観察しますが、レンズを組み合わせることで原理的には無限に倍率をあげることが可能です。
しかし、光を使用してサンプルを観察する 光学顕微鏡の場合、光の持つ特性である回折が原因で、光の波長のおよそ半分の大きさが分解能の限界となります。これが顕微鏡の分解能の理論的な限界とされていましたが、この限界を打破した技術が開発され、開発者は2014年にノーベル化学賞を受賞しました。
その技術が「超解像顕微鏡法」と呼ばれる手法です。超解像顕微鏡法が開発されるまでは蛍光顕微鏡の分解能の限界はおよそ250nmでしたが、超解像顕微鏡法を用いると、電子顕微鏡にせまる15~100nmまでの高分解能が得られます。超解像顕微鏡では、様々な技術を用いて分解能を制限する要因を回避し、高い分解能を実現しています。
分解能を飛躍的に向上させ、ノーベル化学賞を受賞した超解像顕微鏡法には、「PALM」や「STED」といった手法があります。 「PALM」や「STED」は、特殊な光学系や特殊な色素を利用することにより、蛍光顕微鏡分解能の限界を突破することを実現しました。その他様々な技術を用いた超解像顕微鏡が生み出されており、各社が製品化を行っています。
図2. 蛍光顕微鏡で観察できる対象
蛍光顕微鏡のメリットは、分子の挙動や細胞の構造などを視覚情報として詳細に観察できる点です。目的に応じて適切な蛍光顕微鏡を用いることで、時間的・空間的に高い解像度で対象を観察することができます。
複数の色素を利用して対象物を観察することも可能です。例えば、2つの異なるタンパク質を赤色と緑色の蛍光物質で標識し観察した際、黄色を示した部分があれば、これら2つのタンパク質が細胞内の同じ場所に存在する可能性を示します。
目的や用途に応じて様々な蛍光物質や蛍光顕微鏡が開発されており、生命科学研究や臨床研究においてますますその重要性が高まっています。
参考文献
https://www.yodosha.co.jp/yodobook/book/9784897069302/
http://www.nict.go.jp/publication/shuppan/kihou-journal/houkoku66-1_HTML/2020B-03-04.pdf
https://www.thermofisher.com/jp/ja/home/life-science/cell-analysis/cell-analysis-learning-center/molecular-probes-school-of-fluorescence/imaging-basics/fundamentals-of-fluorescence-microscopy.html
https://www.keyence.co.jp/ss/products/microscope/beginner/microscope/
https://www.orangescience.co.jp/what-is-fluorescence-microscope
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株式会社東京インスツルメンツ ライカマイクロシステムズ株式会社*一部商社などの取扱い企業なども含みます。
企業の並び替え
2023年5月の注目ランキングベスト8
注目ランキング導出方法順位 | 会社名 | クリックシェア |
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1 | 株式会社日本レーザー |
29.0%
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2 | シスメックス株式会社 |
19.4%
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3 | 株式会社キーエンス |
12.9%
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4 | ブレインビジョン株式会社 |
9.7%
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5 | ファイバーラボ株式会社 |
8.1%
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6 | メイジテクノ株式会社 |
8.1%
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7 | カールツァイス株式会社 |
8.1%
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8 | 株式会社東京インスツルメンツ |
4.8%
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分光計測分野における当社取り扱い製品カタログです。顕微ラマン, ポータブルラマン, 蛍光寿命・蛍光イメージング,時間分解分光 (ポンプ・プローブ、フラッシ...
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2022年4月8日
3D Cell Explorer-fluoは3D屈折率イメージングと2D蛍光イメージングの機能を備えた蛍光顕微鏡です。
本シリーズは標識した蛍光イメージを屈折率イメージと重ねる機能と、さらに特定の屈折率を染色するデジタル染色機能により、蛍光標識した場合と同じ染色イメージを得る構成処理を行うことができます。
校正されたデジタル染色を 3D屈折率イメージに適用し、 無染色で細胞内小器官などの 3次元的な分布状況を可視
化することができます。
MT6300L/PE-300LITEは光源部に英CoolLED社のLED照明を採用した新モデルで、水銀ランプ搭載のモデルと異なり電源を入れてすぐに観察することが可能な蛍光顕微鏡です。
LED照明は長寿命設計なのでランニングコストを抑えられます。また、NDフィルターを使わずに無段階の調光が可能です。独自設計のセミアポクロマート対物レンズを標準で搭載しており、コントラストの良い観察像と紫外域での高い透過率を実現できます。
THTシリーズは微小な蛍光を発する生物サンプルを低倍率で観察するための蛍光顕微鏡です。
レンズの組み合わせによって総合倍率が約0.19倍から6.3倍となります。大口径で高開口数のレンズを採用しているので高感度で信号を検出することができ、より高いS/N比で撮影することが可能です。
本体ポートは通常、励起用光源を接続して同軸落射照明装置として使用しますが、ポートにレンズとカメラを接続し、2カメラを用いた2波長蛍光同時計測することも可能となっています。
XJF100シリーズは均一な照度分布を実現する非球面ケーラー照明を採用しており、高NAプラン・アクロマ-ト蛍光対物レンズとWF10X/25接眼レンズにより鮮明な観察像が得られる蛍光顕微鏡です。
反射光源はB(Blue), G(Green), BV(Blue Violet), Y(Yellow), V(Violet), U(Ultra Violet)の6波長帯を切り替え可能です。透過観察も可能であり。コストパフォーマンスが良いシリーズです。
HM-1000は蛍光色素を用いた分子検出技術と画像解析技術を組み合わせ、従来の蛍光顕微鏡よりも高空間分解能を実現しています。
従来の蛍光顕微鏡は光の回折限界が200nm程度ですが、HM-1000はそれ以上の40nmとなっているので拡大しても鮮明な画像を撮影することができます。
蛍光色素の明滅の性質を利用して撮像することで撮像手順を単純化し超解像画像を得ており、例えばタンパク質や細胞内の構造物を高精細画像で解析することができます。
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