安全装置とは
安全装置とは、故障や過負荷などによる機器の破損や、事故や災害を防ぐために、設備や車両に設置される装置のことです。また使う側、操作する側の人間がミスをしても機器の破損を防いだり、事故や災害に発展しないように緊急停止したりするものもあります。
安全装置の分類
安全装置は、設計思想の違いから大きく分けて2種類に分類されます。
1. フェイルセーフ
フェイルセーフは、設備が故障したり、地震などの天災などが起こった時に、事故や災害に発展されないように設計された安全装置です。
例えば、踏切の遮断機は停電したときに、遮断桿が降りてくるようになっています。遮断桿が降りていれば、いつ電車が来ても、車は踏切を通過できないので電車事故は起こりません。
また、石油ストーブは、地震が起きた時に揺れを検知して、自動で停止するようになっており、地震によってストーブが倒れてしまっても火災が発生しないようになっています。他にも、高圧エアーを使う設備では必要以上に圧力が上がった時に、圧力を大気に逃がすことで設備の破損を防ぐという安全装置もあります。
2. フールプルーフ
フールプルーフは、操作する人がヒューマンエラーが起こってしまっても、事故や災害に発展しないように設計された安全装置のことです。
例えば、洗濯機などは回転している途中の洗濯槽に、手を巻き込まれないように、停止ボタンを押しても、洗濯槽が回っている間はフタが開かないようにロックされる仕組みになっています。
他にも製造業の工場などでは、設備内での挟まれや巻き込み事故が起こらないよう、設備の運転中に体の一部が設備内に入ると、センサーが反応して即座に非常停止がかかるようになっています。
安全装置の使用用途
設置する現場や機械によって様々な使用用途があります。
1. 配電盤のブレーカー
家庭用から事業用まで多岐にわたり、装置内に一定以上の電流が流れてしまった場合に電気回路を遮断することでショートや過熱による火災を防ぐために設置されています。
2. クレーンのモーメントリミッター
定められたクレーンにかかる荷重限界値を越えた過重がかかる場合に不安定な方向への動きを制御することで甚大な事故を未然に防ぐことができます。
3. 安全弁
油圧式のクレーンなど油圧装置で作動する機械に設置し、一定以上の圧力をバイパスを介すことで油圧システムへの過大な圧力を軽減し、システムの破損を防ぐことができます。
4. プレス機の安全装置
金属加工などに使われるプレス機は非常に大きな圧力がかかるので、プレス機内部に人体の一部や入ってしまうの防ぐ、また万が一入ってしまった場合に機械を緊急停止させるための安全装置が不可欠です。
5. エレベーターの検知装置
自動で扉が閉まるエレベーターやリフトの扉に何かものが挟まったり、触れてしまった場合に挟み込みを防ぐために自動的に扉を開き事故を防ぐことができます。
6. インターロック装置
重い荷物などを持ち上げる際に使用するジャッキに搭載されているもので、作業開始時のジャッキセットのし忘れを防止するジャッキインターロック装置、および作業中に誤操作などを防止するブームインターロック装置があります。
安全装置の種類
安全装置の機器の種類の代表例をフェイルセーフとフールプルーフに分けて紹介します。
1. フェイルセーフ
- 安全弁
エアーや油圧の圧力が設定値を超えた時に圧力を逃がし、設備の破損を防ぐ弁です。
- ブレーカ
電気機器に異常が起きた時に電流を遮断する装置です。電気を使いすぎた時に電気を遮断する「アンペアブレーカ」や、電気機器が漏電したときに電気を遮断する「漏電ブレーカ」があります。
- シャーピン
一部分が細く、折れやすくなっている軸のことで、コンベア軸などに使われており、機械に異常な過負荷がかかった時に、シャーピンが折れて動力をとの連結を遮断することで、機械側にダメージが及ばないように設計されたものです。
2. フールプルーフ
- エリアセンサー
一定の範囲を検知する光電センサーで、非常停止回路と連動しており、危険部位に人が体の一部を入れた時に、センサーを遮ると、即座に非常停止がかかるようになっています。
- デッドマンスイッチ
ロボットを操作する時に使う「ペンダント」に搭載されたボタンです。不意に軸移動ボタンを押してしまっても、ロボットが動作しないように、デッドマンスイッチを半押し状態にしたときのみ、軸移動が可能となります。
- ロックアウト
設備内に入る、または体の一部を入れる時に、第三者に設備を起動させないようにする安全装置です。電源や非常停止ボタンを「切」にして錠前をかけることで、「切」状態に固定し、第三者には「入」にできないようにする仕組みです。