監修:オクト産業株式会社
置き去り防止装置とは
置き去り防止装置 (置き去り防止を支援する安全装置) とは、自動車の中に子どもや人が取り残されないように、運転手等に車内の見回りを促したり、センサーが車内に置き去りにされた人を検知したりする安全装置です。
スクールバス等の車内に置き去りにされた児童等が、死亡または深刻な健康被害を受ける事故が繰り返されることから、2023年4月1日より、保育所、幼稚園、放課後等デイサービス事業所などの主に送迎用バスにおいて、置き去り防止装置の設置が義務付けられました。
国土交通省が定めた「置き去り防止を支援する安全装置のガイドライン」に準拠した装置には、ガイドライン認定番号が付与され、こども家庭庁の「送迎用バスの置き去り防止を支援する安全装置リスト」に掲載されています。このリストに掲載されてない製品を設置した場合は、置き去り防止装置の設置義務違反となるため注意が必要です。
通所介護事業所 (デイサービス) やスイミングスクールなどの送迎用車両は置き去り防止装置の設置が義務付けられていませんが、自発的に装置を設置する事業者もいます。
置き去り防止装置の種類
大きく分けて2つの方式があり、各々異なるヒューマンエラー及び場面への対策を目的としています。2つの方式を組み合わせた製品もあります。
・ 降車時確認式(押しボタン式)の装置
運転手等に車内の確認を促し降車時の確認忘れを防止することを目的としています。多くの場合、エンジン停止をトリガーとして車内で音や音声を鳴らし、運転手等に車内の安全確認を促します。目視による安全確認後、確認ボタンを押すしくみです。所定の時間内に確認ボタンが押されないと、車外に向けて大音量の警報音が鳴り、車内の安全確認がされていない可能性を周囲の人に知らせるものが一般的です。
・ 自動検知式(センサー式)の装置
乗員を残したまま駐車してしまった場合に、車外に向けてその旨を知らせることを目的としています。エンジン停止後、一定時間経過後に車内に人が残っていると、人感センサーが検知して、車外に向けて大音量の警報音等が鳴ります。検知方法は超音波、音声や画像を解析するなど、様々です。また車外への通知方法も、施設内に設置した受信機やスマホアプリ宛に通知する方法など、複数の方法があります。
・上記の機能を組み合わせた装置(併用式)
置き去り防止装置の選び方
降車時確認式と自動検知式には、それぞれに一長一短があります。また送迎用車両の運用方法やルールは施設ごとに違います。ある施設にとってはメリットになる製品の特長が、別な施設ではデメリットになることもあります。実際に装置を使う場面を具体的に想像して、ご自身の施設に向いている製品を選ぶことが大切です。一度取り付けると、長く使用することになりますので、ささいな点でも気になったら、メーカーや代理店に問い合わせる事が肝心です。
・降車時確認式(押しボタン式)の装置の特徴
良い点:操作方法がシンプルな製品が多く、電子機器が苦手な人でも操作しやすい傾向があります。急に運転手が変更になった場合などでも、操作がシンプルなため問題が生じにくいメリットがあります。構造がシンプルなので、地場や磁気、通信システム障害に影響を受けにくく、安全装置単体で運用できるため、安全装置のシステムとして堅牢な場合が多いです。
難点:送迎の後など、車両を使い終わった後、毎回確認ボタンを押す必要があります。この点が安全を担保するためのコストと感じるか、煩わしいと感じるかは、導入する施設の運用方法やルールなどによって変わってきます。
・ 自動検知式(センサー式)の装置
良い点:基本的に機械任せなので、運転手の手間が少ない事がメリットです。設置したセンサー類と、IT機器やICTシステムを連動させ、車内外の情報をスマートフォンに送るなど、付加サービスを提供できる製品もあります。
難点:センサーが誤認識してしまう場合があります。場合によってはセンサーを定期的に点検する必要があります。付加サービスを提供する場合、タブレットなどのアプリを使う操作が必要となり、電子機器が苦手な人にとっては利用するハードルが高くなる可能性があります。また付加サービスは月々の利用料金が必要なものが多く、導入の際には運用コストも考える必要があります。
本記事は置き去り防止装置を製造・販売するオクト産業株式会社様に監修を頂きました。
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