分光器のメーカー13社・72製品を一覧でご紹介します。まずは使用用途や原理についてご説明します。
目次
分光器とは、様々な波長の光が混在した合成光の中から、測定対象とする波長の光の強度のみを測定するために、光の成分を分離する素子です。
また、最近では分離した光の検出器を一体化したものも多く、光の分離から検出機構までをまとめて分光器と呼ばれることもあります。
分光器はその原理から、反射光や透過光から放射光に至るまで、様々な光源を分光することができるため、あらゆる産業や研究場面で使用されます。
分析化学分野では、太陽光やプラズマ発光強度を測定するために用いられ、素材の反射率などの光学的性質を評価する場面でも用いられます。
また、レーザーなどの光源を使った製品検査ラインにおいて、反射光など任意の波長の検出をする品質管理ラインに意識せずとも組み込まれていることも多いです。
一般に、光源を分光するには、まず光の整形が必要です。
スリットと呼ばれる隙間に光源を通すことで光の分解能を設定したのち、レンズやミラーで作られたコリメータにより光源を平行光化します。
この平行光を分光素子に入射させることで分光が可能です。分光素子は光の回折現象を利用した回折格子型か、光の屈折現象を利用したプリズム型があります。
回折格子型では、分光素子表面に一定の間隔で刻んだ回折格子による光の反射を利用して、分光するため、回折パターンを変更することで検出できる光の波長と分解能が変化します。
一方、プリズム型はプリズムと外部空間の間での光の屈折を利用するため、プリズム素材の屈折率とプリズム内部の光路差で分解能が変化します。
検出器一体型の分光器を使用する場合には、測定した光源の波長について適切なものを選定する必要があります。
例えば、紫外線から近赤外線までの範囲の光源であれば、CCDでいいですが、それを超える長波長光源を検出するのであれば、InGaAs型の検出器が必要です。
また、測定原理でも述べたように、回折格子型の分光器は回折パターンにより検出できる波長がきまるため、目的の波長に適したものを選ぶ必要があります。
プリズム型はプリズムの性質によって分解能は決まりますが、光の強度ロスがないという特長があるため、用途によって使い分けるとよいでしょう。
分光器を使用した分析機器の使い方は、一般的に以下の流れとなります。
研究室で使用する高価なモノなら、マイケルソン干渉計と呼ばれる分光箇所で特定の光の波長を自動で検出します。持ち運び可能な小型機でも、物質を透過、反射した光を交換可能な分光器を通すことで、目的波長を検出できます。
得られた波長はセンサー(検出器)に入り、各波長ごとに信号として検出されます。この信号はスペクトルと呼ばれる波の波形に変換され、このスペクトルを解析することで、物質の状態を解析します。
分光器を使用した実験はいくつかありますが、測定する波長によって様々な例があります。
このように、分光器の波長域によって得られる情報は異なってきます。
分光器を使用する目的は、未知、もしくは既知の物質から情報を習得して、解析を行い物質の状態を特定することです。その解析に用いるのが、分光器から最終的に得られるスペクトルと呼ばれる波形図です。
分光器から得られるスペクトルには以下のような例があります。知りたい情報を最初に定義することで、適切な分光器を選択してスペクトルを習得することが重要になります。
参考文献
https://www.klv.co.jp/technology/spectrometer.html
https://www.xrite.co.jp/colorknowledge-blog/color-expert-blog/536-blog-20180619.html
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jcrsj1959/29/2/29_2_149/_pdf 井野正三
https://www.mst.or.jp/method/tabid/1222/Default.aspx
https://www.chem-station.com/blog/2020/06/xray1.html
https://www.jstage.jst.go.jp/article/johokanri/10/4/10_172/_pdf 佐伯慎之助
社員数の規模
設立年の新しい会社
歴史のある会社
M10モノクロメータは、分解能、波長性能ともに分光器の中でも最高レベルを有しています。
測定原理は回折格子で分散させた光の中からある特定の波長の光のみをスリットで取り出します。
有効面積の広い回折格子を利用しているため、高い分解能が得られます。回折格子は交換可能で、交換取り付け再現性が高いです。
構造、操作がシンプルで堅牢なつくりをしており、ショック、振動に強く、かつ小型、軽量といった特徴も兼ね備えています。
USB4000小型マルチチャンネル分光器は、オーシャンオプティクス社の分光器の中でも特に小型で設置面積が少ない分光器です。
USB式なので外部電源が不要で、パソコンに接続するだけで電源供給ができる点が特徴です。
分光器を使用するにあたっては専用のソフトウェアが必要になりますが、オーシャンオプティクス社が提供しており、セットアップについては簡単に行うことができます。
性能は高分解能、高感度、さらに低価格を実現しています。
超高分解能分光器HR4000は、オーシャンオプティクス社の中でも最高クラスの分解能を備えた分光器です。
受光部に東芝製の3648素子を搭載しているため、高分解能が必要とされるレーザーの特性評価などへの使用が可能になっています。
短い露光時間を設定することができるので、レーザーの評価のような瞬間的な測定に使用しても飽和してしまう心配がありません。
さらに、超小型、低価格でユーザーメリットが高い製品です。
BLACK-Comet UV- vis Spectrometerは、可視、紫外分光測定を行うために開発された分光器で、UV-vis測定に必要な波長範囲をカバーしています。
市場に出ているUV-vis測定用分光器の中で、最高レベルにコンパクトな構造で、手のひらに収まるサイズ感です。
本体は堅牢なつくりをしており、熱に対する耐性も備わっているので、実験室での測定、屋外調査、プロセス検査等あらゆる測定環境での使用に耐久性があります。
波長範囲やスリット分解能は、測定に合わせて調整が可能です。
Power Sense Optical Power Meter は、発光ダイオードをベースに使用した光学パワーメーターで、コンパクトな構造かつミリ秒レベルの反応時間で高速な測定ができる点が特徴です。
また、1ナノワットから20ワットまでの広範囲のパワーを測定することができます。
USBケーブルが搭載されているので、パソコンと接続してリアルタイムで測定および解析が可能です。
また、本製品はNIST(米国国立標準技術研究所)の標準に準拠した校正がされているので、高品質が保証されています。
Sea Wave NIR Spectrometerは、NIR(近赤外分光)分光器で、高速でコンパクトなモデルです。
浜松ホトニクスのInGaAsセンサを使用しているので、確かな品質が保証されており、信頼性の高い製品です。
データ吸収スピードが速い点、USBケーブル搭載で、パソコンへの接続が可能な点、デモ機の貸し出しが可能な点など、ユーザーに便利な特徴を複数備えています。
主な使用用途は科学技術の研究用ですが、食品、薬品生産ラインでの測定検査にも本製品の導入が可能です。
Headwell社のラマンスペクトル分光器は、高いS/N比と信号信号処理能力を有する点が特徴です。
搭載されてる回折格子は、Headwell社独自で開発、製作されているもので無菌状態にセッティングされたクリーンルームで生産されているので、品質と性能には高い信頼性が保証されています。
この独自に設計された回折格子が、高い回折効率を得ること、回折の不具合が全くない状態を作り出すことに成功しています。
主な使用用途は、薬品検査と、化学物質の同定です。
AR Coptix FT-NIR Rocketは、NIR(近赤外分析)スペクトル測定用に開発された分光器です。
高分解能かつ高感度、広い波長範囲を有し、強度、波長ともに安定しているので、あらゆるシーンにおける高い精度の測定を可能にします。
コンパクトで堅牢なつくりをしているので、持ち運びが容易であり、ラボでの分析、生産プロセスでの分析など、様々な状況および測定場所で使用することが可能です。
多くの利点があるにも関わらず、価格が経済的な点も大きな特徴です。
New Kymera 328 I は、ANDOR Oxford Instruments社が提供する,物理、化学、生命科学研究での測定用に開発された高機能マルチ仕様分光器です。
回折格子やレンズは自動制御が可能で、カメラの位置の設定に煩雑な手間がかかりません。
スペクトル分解能は、従来のものに比べて30%以上改善したため、より詳細な評価が可能となっています。
また、スペクトル分解能は、高レベル、中程度、低レベルの三段階が設定されており、測定する評価の状況に合わせて選択が可能です。
秋月電子通商でチェック