スキャナ

スキャナとは

スキャナ (英: Scanner) とは、光で対象物を走査し、情報を読み取る機器のことです。

スキャナの種類

スキャナには、走査対象が二次元情報のものと、三次元情報のものがあります。

走査対象が二次元情報のものは、一般的に印刷物などを画像データとして読み取るイメージスキャナを指します。文書や写真、グラフィックの保存・管理に広く利用されているフラットヘッドスキャナやシートフィードスキャナ (ADFスキャナ、自動給紙スキャナ) が代表的です。

他には特定の画像情報の読み取りに特化したスキャナも存在します。パスポートスキャナや名刺スキャナ、写真のネガ・ポジフィルムをデジタル化するフィルムスキャナ、本などを裁断せずにスキャン (非破壊自炊) するオーバーヘッドスキャナ (ブックスキャナ、スタンドスキャナ) 、書籍の文字をテキストデータ化するペン型スキャナなどです。また、QRコードなどのバーコード情報を読み取るバーコードスキャナ (バーコードリーダー) もイメージスキャナの一種です。

走査対象が三次元情報のものは、広義に3Dスキャナと呼ばれ、立体物の物理的な形状を読み取るために使用されます。産業分野で幅広く導入されている非接触式の3Dスキャナは、光学式スキャナとCTスキャナに大別されます。

光学式スキャナは、外側からよく見える部分の形状をデータ化するのに適しており、自動車、航空宇宙、防衛、製造などの業界における部品類の設計、寸法取得、検査のほか、土木・建設業界における地形や大型構造物の測量に用いられています。光学式走査時、対象物に照射される光にはレーザー光とパターン光があり、レーザー光を使用したものをレーザースキャナと呼びます。

CTスキャナは、放射線の透過量をもとに対象物の内部形状を非破壊に読み取ることができ、製品内部の不良個所の検査のほか、医療分野でも広く利用されています。

スキャンデータの保存・管理

従来、スキャナで読み込んだスキャンデータの保存や管理は、スキャナに接続したパソコンで行われてきました。しかし、現在では、スキャナ本体をネットワークに直接つなぐことで、パソコン操作をすることなくデータを保存・配信できるネットワークスキャナが広く普及しています。

参考文献
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jjspe/79/10/79_908/_pdf

駆動機構・部品

駆動機構・部品とは

駆動とは、具体的には、モーターを回転させて動力として伝達し、コンベアを回転させるという動きをさせることを指します。

回転させるだけではなく、回転運動を直進運動に変換したり、逆に直進運動を回転運動に変換したりすることもできます。身近な例では自動車が挙げられます。自動車のエンジンの回転を、ギアに伝達してタイヤを回転させ、前進、後退などの動きに換えることも駆動になります。

本記事では駆動の仕組みを「駆動機構」、駆動させる部品を「駆動部品」と呼称します。

駆動部品の種類

駆動部品の違いによって、駆動機構は大きく性質が変わってくるため、先に駆動部品の代表的なものを紹介します。

1. ベルト

摩擦力を利用し、動力を伝達する部品です。ベルトの種類には、コンベアなど運搬に多く使用される「平ベルト」、位置決め精度に優れた「タイミングベルト」、高速回転に適した「Vベルト」などがあります。

2. 歯車

山と谷からできた歯を噛み合わせて、動力を伝達する部品です。歯車の種類には、円筒に平行な歯を切った「平歯車」、棒状のものに歯を切った「ラック」、傘のように斜めに歯を切った「かさ歯車」などがあります。

3. カム

回転する軸に曲線の混ざった円板を取り付けた「板カム」や、円筒に溝を切った「円筒カム」などがあります。

駆動機構の種類

駆動機構には以下の種類があります。

1. ベルト機構 (チェーン機構) 

ベルト (またはチェーン) を使用して回転を伝達し、速度やトルクを変えて別の回転をさせる機構です。刃具や軸を回転させたり、物を運搬したりするのに用います。

2. 歯車機構

歯車を使用して回転を伝達し、歯車のギア比を変えて速度やトルクをかえたり、かさ歯車を使用して回転の向きをかえたり、ラックを使用して回転運動を直線運動に変換する機構です。

3. カム機構

回転を伝達し、往復運動や揺動運動に変換したり、逆に往復運動を回転運動に変換したりする機構です。

自動車のエンジンは、ガソリンの爆発で往復運動するピストンの動きを、クランクシャフトというカム軸に伝達し、回転運動に変換する機構になっています。

サージ対策

サージ対策とは

サージ対策とは、サージが発生したときに回路が壊れないように対策を施すことです。

サージとは、一般的には株価や物価などの急騰あるいは急上昇ですが、産業向けでは通常は電圧や電流の急騰あるいは急上昇を指しています。サージ対策としてはサージ対策部品を使用する事で対策を施します。そのような部品のことをサージアブソーバサージプロテクタと呼ばれます。

サージ保護デバイスには大きく2つのタイプがあります。1つは半導体型であり、もう一つが放電管型です。半導体型の代表的なデバイスはバリスタ (ZnO) であり、Variable ResistorからバリをVariableから取り、そしてResistorからスタを取りバリスタと命名しています。機能的には、電圧に応じて抵抗値が変化する非直線性抵抗素子であります。

バリスタとはある一定電圧がかかると急に電流が流れだす性質をもつ素子とも言えます。そのほか半導体型にはPN接合を利用したダイオード型およびサイリスター型の合計3種類が存在します。一方、放電管型としてはアレスタ (避雷器) とよばれるものでありギャップアレスタとマイクロギャップ式があります。ガス入り放電管タイプはガスアレスタやガス入り放電管 (GDT) と呼ばれます。

サージ対策の種類

サージ対策はサージの種類に応じて対策が必要になります。サージのタイプについては大まかに分けると、雷サージ、開閉サージ、ロードダンプ、ESD (静電気放電) となります。 開閉サージとは、スイッチにより電流が急に遮断されたときのコイルによる逆起電力によるもので、ロードダンプとは自動車においてバッテリの遮断に起因して発生する大きなサージです。

サージ対策の例

半導体型の代表的なデバイスであるバリスタによるサージ対策としては、被保護回路と並列に接続することでサージによりその一定電圧以上の電圧がかかろうとした時、バリスタへ電流が流れるようにする事で被保護回路側が保護されます。つまりバイパス回路形成による保護回路であります。

放電管型はバリスタと比較すると耐久性に優れるとされていますが、「続流」といわれる放電管現象により電気を流し続けてしまう事があり放電管型単体で用いる事は難しく、バリスタとの組み合わせ回路として使われます。

電磁波対策

電磁波対策とは

電磁波とは、電気が流れるところや電波が飛び交うところ、そして磁界が発生する場所でそれらが相互に影響しあい空間を伝わっていく波のことです。

電磁波は電離放射線と非電離放射線に分けられます。それらの境界線は3000 THzであり電離放射線とは通常放射線と呼ばれているものです。電波防護指針の対象周波数は10 kHz~300 GHzとされていており、その中で周波数の低いほうと高いほうを2つに分けそれぞれ、低周波、高周波と呼びます。

電磁波は周波数の違いによって性質が異なってくるので、周波数による分類や対策が必要になります。低周波を発生させる具体例としては、送電線や電化製品であり周波数は50~60 Hz波長は5000~6000Kmになり、電磁波としての計測対象は磁界強度 (ガウス或いはテスラ) と電界強度 (V/m) です。高周波としての具体例は携帯電話や電子レンジであり、周波数は800 MHz~3 GHzで波長は凡そ10~40 cmになり、電磁波としての計測対象は電力密度 (mW/cm) と被吸収率 (SAR)  (W/kg) です。

磁界強度として、参考まで地磁気の地球上の平均が約46 μTであり、WHOの見解では「500 μT以下の磁界では、いかなる生物学的影響も認められない」とされています。一方日本の経済産業省では「人が容易に立ち入る場所において200 μT以下とする。」といった基準が設けられています。

電界及び磁界に関してそれぞれ、世界保健機関 (WHO) 、国際非電離放射線防護委員会 (ICNIRP) そして経済産業省がガイドラインを設けています。電磁波の対策は、出ていく電磁波及び入ってくる電磁波を吸収及び遮蔽し減衰させる事で実現します。

電磁波対策の種類

電磁波のすべての周波数が遮蔽可能という訳ではありません。低周波における磁界の遮蔽は容易ではないとされています。

電磁波対策としては、次の様な幾つかのタイプの製品が用いられます。電磁波ノイズを減衰させるフィルタリング部品としてはフェライトコア、コンデンサ、コモンモードチョークコイル、入ってくる電磁波や出ていく電磁波を遮蔽する部品としては導電テープ、金属メッシュ、シールドガスケットなどがあります。

また、家電製品などの筐体への電磁波シールドとしては、金属製の材料の適用、無電解シールドめっき、真空蒸着、導電性塗料などでのコーティング、導電性繊維の貼り付けなどです。そして人体への電磁波を遮蔽する方法としては導電繊維を使用したエプロンが市販化されています。

電磁波シールドの原理

電磁波シールドの原理としては、電磁波の反射・吸収・多重反射の3つの性質に基づいて電磁波エネルギーを滅衰させることになります。減衰させることで、人体への悪影響や機器への影響を極力減らします。シールド性能は通常デシベルで表現され、遮蔽後の電界強度/遮蔽前の電界強度または遮蔽後の磁界強度/遮蔽前の磁界強度に対数 (log) をとり20を乗じた値 (単位dB) になります。

コントローラ・制御装置

コントローラ・制御装置とは

コントローラ・制御装置 (英: Control device, Controller) は、機械やシステムなどの構成要素です。命令を解読した上で他の装置に信号を送り、動作を制御する機能を持つ装置の総称です。

コントローラ・制御装置の種類

機械やシステムを電気信号で制御するための装置一式を、制御盤といいます。制御盤は、スイッチやボタンなど人間が操作する部品や、ブレーカ、リレー、タイマーなどの電源のオン・オフを切り替える部品、制御部であるインバーターサーボアンプ、指令を与えるシーケンサ (PLC) やマイコン (8ビットマイコン32ビットマイコン) などで構成されています。

制御盤の回路には、大きく分けて制御回路と動力回路があります。制御回路は、操作盤やスイッチからの入力信号を受けて制御部であるインバーターなどを信号どおり動かし、動力回路は、インバーターなどを介して動力部に電気信号を送って作動させます。信号を受け取る動力部には様々な種類があり、その種類に応じて制御装置の呼称も異なります。

例えば、あらゆるモーターの稼働を制御するモーターコントローラセンサーコントローラセーフティコントローラ、モーションコントローラ、ロボットコントローラサーモコントローラLCDコントローラなどがあります。

インバーターの電力変調方式にはPWM、PFM および PAMがあり、一般にはPWM方式が広く採用されています。

サーボ機構

ファクトリーオートメーションなどの産業分野に欠かせない制御装置のひとつが、物体の位置、方位、姿勢などを指令どおりに自動制御するサーボ機構です。

サーボコントローラがサーボアンプを通じてモータを作動させ、モーターに付属するエンコーダがサーボアンプにフィードバック信号を送る仕組みとなっています。フィードバック信号とコントローラから出された指令との誤差が無くなるようにモーターをコントロールすることで、高い精度の制御が実現します。

トランジスタ

トランジスタとは

トランジスタ (英: Transistor) とは、電子回路に用いられる半導体素子で、電気信号を増幅する増幅作用や電気の流れを制御するスイッチング作用があります。

トランジスタは多くの電子機器に使われています。増幅作用を利用した用途として、オーディオのアンプやセンサの検出回路などが挙げられます。スイッチング作用を利用した用途として、集積回路を構成する論理回路や電源の整流回路などが挙げられます。

トランジスタの構造はn型半導体とp型半導体の組み合わせになっています。一般的にはシリコン (Si) 基板上に作製されますが、用途によっては、SiGe、GaAs、SiC、GaNなどの化合物半導体が使われることもあります。

トランジスタの仕組み

トランジスタは3端子の素子です。薄いp型半導体のベースをn型半導体のコレクタとエミッタで挟んだ構造で、NPN型トランジスタと言います。また、n型半導体をp型半導体で挟んだPNP型トランジスタもあります。これらのNPN型とPNP型の組み合わせで、さまざまな機能を持った電子回路を作ることができます。

NPN型トランジスタの動作を簡単に説明します。PNP型の場合は電圧の極性と電流の向きが逆になります。NPN型トランジスタを使う際には、エミッタを基準にしてベースとコレクタにそれぞれプラスの電圧をかけます。そうすると、ベースに流れる電流の数十~数百倍の電流がコレクタに流れます。つまり、ベース電流の入力によってコレクタ電流の出力を制御することができ、増幅作用やスイッチング作用が得られます。

ベース電流とコレクタ電流の比を電流増幅率hFEと言い、トランジスタの性能を示す重要な指標の一つです。

トランジスタの種類

トランジスタの構造によっていくつか種類があります。トランジスタは大きく分けると、バイポーラトランジスタとユニポーラトランジスタの2つに分類されます。

「バイポーラ」は電流を流すために電子とホールが関わることから「双極」の意味を持つ名前が付けられています。これに対して「ユニポーラ」は電子とホールいずれかが電流を流すのに関わるので、「単極」の意味を持つ名前が付けられています。

1. バイポーラトランジスタ (BJT) 

バイポーラトランジスタはP型半導体とN型半導体を組み合わせて作られていて、NPN接合かPNP接合になっています。 単純にトランジスタというとバイポーラトランジスタを指します。NPN型トランジスタやPNP型トランジスタはBJTと呼ばれます。

パイボーラトランジスタについて詳しくみる

2. フォトトランジスタ

光の入射によってコレクタ電流を制御できるトランジスタです。フォトダイオードに比べて大きな光電流を取り出すことができます。

これらは用途に応じて適切に選択する必要があります。

フォトトランジスタについて詳しくみる

4. 電界効果トランジスタ (FET

トランジスターはベース電流を変化させてコレクター電流を制御しますが、電界効果トランジスターは電圧によって電流を制御します。

電圧で制御するトランジスタのため、BJTに比べて駆動電力が小さい、高速駆動しやすいといった特長があります。一方で高耐圧化や大電流化の面で劣ります。

FETはさらに、接合型FET (JFET) や金属酸化膜半導体FET (MOSFET) があり、それぞれNチャネル型とPチャネル型があります。FETにも3本の電極があり、それぞれソース、ゲート、ドレインと呼ばれます。 トランジスタは消費電力が大きく、発熱量が大きいので、密集した回路を組めません。

電界効果トランジスターはトランジスターと違って消費電力が小さく、小型化が可能なのでICやLSIなどの集積回路に多く使われています。

5. 絶縁ゲート型バイポーラトランジスタ (IGBT

大電力用途のパワートランジスタの一つで、大電流、高耐圧化が容易な構造です。

トランジスタの動作

トランジスタにはNPN型とPNP型があり、ベース、コレクター、エミッターという3本の電極を持つ半導体素子です。

乾電池のプラス極をベースに、マイナス極をエミッターにつないだ場合、エミッターから電子がベースに流れ込みます。この電子の一部はベース内のホールと結合しますが、残りの電子はベースとコレクターの接合面に流れ込みます。このときベースからエミッターに流れ込む電流をベース電流といい、コレクターからエミッターに流れる電流をコレクター電流といいます。コレクター電流はベース電流に比較して非常に大きく、少しのベース電流の変化に対しても大きな変化を起こします。これをトランジスタの増幅作用といいます。

ケーブル

ケーブルとは

ケーブルとは、絶縁体と保護被覆で覆われた電線です。

電線とは一般的に、電気を通す導体のみで構成される裸電線と、裸電線を絶縁体で覆った絶縁電線 (コード) のことです。ケーブルは1本〜数本の絶縁電線をまとめて、さらに外皮 (シース) によって覆っている構造となっており、安全性や耐久性により優れた特徴を持っています。導体には主にやアルミニウムが用いられ、絶縁体にはポリ塩化ビニルやポリエチレンが主に使用されます。

ケーブルの種類

ケーブルには許容する電圧や電流などの性能によって多種多様な品種があります。

1. VCTケーブル

ビニル (V) キャブタイヤ (CT) ケーブルの略語です。絶縁体や外皮をビニルで覆ったケーブルで、主に交流600V以下、直流750V以下の電圧で使われます。柔軟性・耐水性・耐熱性に優れており、移動用のケーブルとして使用されています。交流300V以下で使用される用途のものをVCTFケーブルと呼びます。

2. VVFケーブル

ビニル (V) 被覆の外側をビニル (V) シースで覆った平形 (F: Flat) というシンプルな構造のものです。600V以下で使用されます。VVFケーブルは低圧屋内の配線に広く用いられており、特に15A程度までのコンセントや照明などに使われます。形状が丸型になったVVRケーブルというものもあります。

3. EM-EEFケーブル

絶縁体とシースに使用する材料を塩化ビニルからポリエチレンに変更したVVFケーブルで、エコケーブルとも呼ばれています。焼却時のダイオキシンやハロゲンガスが抑制され環境負荷の低減が可能になっています。

4. IV電線

屋内配線に用いられている絶縁電線です。600V以下の電気機器や接地用の電線、コンセントへの渡り線などに利用されています。

5. CVケーブル

導体を架橋ポリエチレンで被覆し、ビニルシースで覆うという構造になっています。主に電力用ケーブルとして用いられています。幅広い規模の建物や屋外の配線に用いられています。CVDケーブルは2本、CVTケーブルは3本、CVQケーブルは4本のCVケーブルを撚り合わせたものです。

6. ロボットケーブル

産業用ロボット用に特化したケーブルです。屈曲性や捻回性といった性能が求められます。過酷な環境下でも対応できるように、様々な優れた耐性を持つケーブルが開発されています。

ケーブルの用途

1. 電力用ケーブル

電力を輸送するための電線です。発電所から変電所まで電気を送るための電線を「送電線」、変電所から工場や家庭に配るための電線を「配電線」、機械装置や電灯などへ電気を繋ぐことは単純に「配線」と呼びます。

2. 産業機械用ケーブル

家電製品の内部や産業用の電気機器に使用されるケーブルです。その他にも延長コードや電源コード、通信機器同士の配線などにも使用されます。柔軟性や耐熱性・難燃性、耐水性、安全性などの性能を備えた高品質なケーブルが使用されます。

3. 通信用ケーブル

データを伝送するためのケーブルで、インターネット回線などに使用されます。音声や映像などのデータを電気信号や光信号に変換し、機器同士の信号を送受信させる役割があります。光ファイバーケーブルや同軸ケーブルなどが使用されます。

集積回路

集積回路とは

集積回路とは、回路を集中して積載させた電子部品です。

英語ではIntegrated Circuit、その略称としてICと呼ばれることもあります。様々な機能を持つ多数の電子素子を1つの半導体の基板に組付けて、相互に内部配線で接続して決まった働きをさせる電子回路のことです。

回路は複数の回路素子とそれらを結ぶ配線で構成されます。この回路素子とは主に抵抗・コンデンサ・トランジスタなどを指します。これらの素子と配線全てを1つの基板 (チップ) にまとめて製造することによって集積度を高めています。

ICは世の中のあらゆる電気製品に使用されています。ICの小型化が進んだことにより、私たちはスマートフォンなどの小型で便利な製品を使用することができています。

ICの中でも特に素子数が10万〜1,000万程度の大規模なものはLSI (英: Large Scale Integrated) と呼ばれます。

集積回路が開発されるまでは1つ1つの電子要素 (抵抗、ダイオード、コンデンサ、トランジスタ) などを個別にプリント基板に搭載して、外部配線で接続する必要がありました。

これに対して、ポピュラーな半導体周生期回路では、単結晶シリコンの半導体基板の上に、コンデンサや抵抗など (受動素子) 、ダイオードやトランジスタなど (能動素子) を配置し、相互に内部配線で接続します。 サイズは鉱石ラジオの時代に比べると、寸法が3万分の1以下、面積で10億分の1以下に小型化されています。

集積回路の仕組み

集積回路は半導体で作られます。半導体とは伝導体と絶縁体の中間であり、電気を少しだけ通す性質を持つ物質です。半導体にもさまざまな種類がありますが、一般的なICはシリコンを用いて作られます。

純粋なシリコン結晶に不純物原子を混ぜたものを組み合わせることで、電気 (電子) の流れがコントロール可能なトランジスタを作ることができます。このトランジスタの大規模な組み合わせによって、計算や処理を行う論理回路を組み立てることができます。また、抵抗・コンデンサ・配線も同様にシリコンを加工することによって製造することができます。

製造過程ではクリーンルームという綺麗な設備の中で、ウェハーと呼ばれるシリコン結晶の円盤上に光学装置を用いて一度に数百〜数千個の集積回路を焼き付けます。そして個々に切り離し、外部と接続するワイヤを取り付け、パッケージングして完成します。 

集積回路の種類

1. 代表的なICの種類

  • CPU
    コンピュータの頭脳であり、制御と演算を担っています。制御部で処理の順序や扱うデータを管理し、演算部でデータの処理を行う構成になっています。
  • GPU
    ディスプレイに描画するためのプロセッサです。色の表示などに積和演算回路の集積が必要となり、この回路がニューラルネットワークの演算と似ているためAIにもよく用いられます。
  • FPGA
    ユーザーがプログラミングによってオリジナルの回路を自由に組むことができるICです。多数のロジック回路やスイッチやメモリを集積しています。
  • SRAM
    動作が高速なためキャッシュとして使用されます。キャッシュとはよくアクセスするデータのみを保存しておくCPUに内蔵されたメモリです。
  • DRAM
    メインメモリとして使用されます。実行中のプログラムコードや作業中のデータなどが保存されます。
  • フラッシュメモリ
    ストレージと呼ばれる保存用のメモリとして使用されます。USBメモリやSSDなどがあります。 

2. 基本構造の種類

  • 半導体集積回路
    同一の半導体基板上に各種の受動素子と能動素子を多数組み込み、それらを内部配線で繋いだものです。
  • 膜集積回路
    絶縁基板上に膜状の抵抗やコンデンサなどの受動素子を組み込んで、それらを内部配線で接続した物です。 膜集積回路は素子膜の厚さで薄膜集積回路と、厚膜集積回路に分けられます。
  • 混成集積回路
    ハイブリッドICとも呼ばれ、膜集積回路にダイオードやトランジスタなどの能動素子を追加で組み込んで、外部配線で接続した物です。 集積回路の分類分けはこのほかにも基板材料でシリコンICと化合物ICで分けて呼ばれることもあります。

3. 役割の種類

  • メモリIC
    さまざまな情報を記録して、必要な時に取り出すことのできる半導体です。 (DRAM、SRAMなど)
  • マイコンIC
    コンピュータの中央演算装置 (CPU) として入出力装置などの周辺機器を制御します。
  • ASIC
    特定用途向けの専用ICです。 個別の用途ごとに一から設計する場合や、配線回路のみ改造する場合などがあり、費用や納期が長いデメリットがあります。
  • システムLSI
    CPU、メモリ、ロジック、周辺回路などを1つのチップ上に搭載したICです。

トランス

トランスとは

トランス (変圧器) は電磁誘導作用を利用して交流電圧、または電流を任意の値に変換する静止誘導機器です。

一般的に電圧を降圧するものをトランスと言い、反対に電圧を昇圧するものは昇圧器と呼びます。呼び方が変わるだけで昇圧器もトランスのひとつです。

鉄心と巻線で構成され、基本的には環状の鉄心に2つの巻線が巻き付けられた構造をしています。電源に接続される巻線を一次巻線、負荷側に接続される巻線を二次巻線と言います。トランスの特性で、使用時に鉄損や巻線抵抗によって発熱するのでエネルギーが熱で消費されて出力が低下してしまうので、効率改善や機器の故障を防ぐためにも使用時は冷却しなければなりません。

トランスは容量50 kVA以下を小型、500 kVA以下を中型 (中容量) 、500 kVA超を大型 (大容量) と呼びますが範囲は曖昧で定義はありません。また、使用電圧によっても低圧/高圧/超高圧/特高 (特別高圧) などと呼ばれます。

トランスの種類

トランスにはさまざまな種類があり、構造、冷媒、冷却方式によって分類されています。

1. 構造による分類

  • 内鉄型トランス:巻線の内側に鉄心があるタイプで、製造や整備が容易なうえに機械的ストレスにも強いため一般的に広く採用されています。
  • 外鉄型トランス:巻線の外側に鉄心があるタイプで、製造や整備が難しい形状をしています。外鉄型は主に低電圧・大電流のものに採用されています。

2. 冷却媒体による分類

  • 油入式トランス:タンク内に鉱油や合成絶縁油を封入することで冷却と同時に絶縁します。
  • 乾式トランス:空気やガス (SF6:六フッ化硫黄ガス) を冷媒として使用するもので、小型のトランスに多く採用されます。

3. 冷却方式による分類

油入式、乾式ともに冷媒を冷却する方法は3種類あります。

  • 自冷式:冷媒の自然対流で冷却する方式です。
  • 水冷式:冷却水を循環させて放熱させる方式です。
  • 風冷式
    ファンで強制的に風を送り冷却する方式です。

この他にも相数や絶縁方式、耐熱クラスなどで細かく分けられますが、大きくは上記3つになります。また、使用用途によって分類されることがありますが、使う場所や使い方で呼称が変わるだけで構造は同じものを使用しています。

トランスの原理

トランスの一次巻線に交流電圧を印加すると鉄心に磁束が発生し、発生した磁束が鉄心を通って二次巻線に交わることで誘導起電力が発生します。一次電圧 (V1) 、二次電圧 (V2) 一次巻線数 (n1) 、二次巻線数 (n2) としたとき、V1/V2=n1/n2という関係が成り立ちます。出力される電圧は巻数比に比例し、一次電圧や巻線数を変える (タップ切替など) ことで任意の電圧を取り出すことが可能です。

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記事

25歳のビリオネア LiDARセンサーのルミナー創業者オースティン・ラッセルクの生涯

自動運転技術に用いられるLiDARセンサーを開発するルミナー創業者のオースティン・ラッセルの生涯についてご紹介します。

25歳のビリオネア LiDARセンサーのルミナー創業者オースティン・ラッセルクの生涯

 

参考文献

https://www.nasdaq.com/market-activity/stocks/lazr

https://forbesjapan.com/articles/detail/38974

https://www.linkedin.com/in/austin-russell-49913755

*顔写真引用元: Linked In