FPGAについての概要、用途、原理などをご説明します。また、FPGAのメーカー14社一覧や企業ランキングも掲載しておりますので是非ご覧ください。FPGA関連企業の2022年4月注目ランキングは1位:Microsemi Corporation、2位:ザイリンクス株式会社、3位:インテル株式会社となっています。
FPGAとは Field Programmable Gate Array の略です。論理回路の設計を人間が間違えてしまっていても、即座にハードウェア言語にて修正が可能という特徴を持つデバイスです。集積回路(IC: 複雑な機能を果たす電子回路の多数の素子が作り込まれている電子部品)であるため、ハードウェアとしての性質もありますがが、内部の回路構成を自由にプログラムできるという点でソフトウェアとしての性質もあるのが特徴です。条件に合わせて使用する回路を選択し、使わない回路を省くことで、用途にあったICにすることが可能です。
FPGAは、通信、ネットワーク機器や産業機器だけではなく、OA機器、家電、自動車や放送機器などにも多く使用されています。開発しながら仕様も変更していくスピード、そしてコスト、リスクを削減することが近年の開発に求められているため、それに対応できる次世代のデバイスが、「書き換え可能機能」というメリットを持つFPGAと言えます。ハイパフォーマンスで汎用的ですが処理に時間のかかる「CPU(Central Processing Unit:中央演算処理装置)」や、一度焼き込んだら変更が不可能な「ASIC(Application Specific Integrated Circuit:特定用途向けの集積回路)」の短所を補い、「パフォーマンス」と「柔軟性」の両方を兼ね備えていることから今後も使用用途は増加すると考えられます。
FPGAが論理回路の設計を自身で変更できるメカニズムは、メモリーによってLUT(Lookup Table)の処理内容を変更できるという点にあります。LUTは真理値の参照表のようなもので、4入力に対して1つの出力が対応します。それに沿って入力した値に対して出力の値を定義し、特定の演算を行うことができます。これが基本原理となってワークしています。FPGAの内部構造は、基本要素であるロジックエレメント(ロジックセルともいう)の他に、内部配線、クロック専用配線、乗算器(DSPブロック)、I/O部、PLL、ブロックRAMなどで構成されています。これらがどのような回路パターンであっても配線しやすいように、網の目状に並んでいます。
設計した回路をFPGAでワークさせるためには、①外付けのメモリに配線の情報を書き込む、②FPGAの内蔵メモリに配線の情報を書き込む、③パソコンからFPGAに配線の情報を送る、という方法があります。
近年のFPGAのローコスト化と性能の向上によって、FPGAを用いた画像処理システムの開発が企業を中心に色々なところで進んでいます。
島根県の産業技術センターとエステック株式会社での共同開発の事例では、炉から取り出された金属試料や、切断・研磨された金属試料に、キズや空洞、欠けなどの欠陥があるかどうかを調べるためにFPGAが活用されています。
画像処理システムの構成は、AV ボードとCCDカメラが接続されていて、画像信号をデジタル信号に変換、それより後の信号処理を FPGA を用いて処理を行うといった構成になっています。
また、FPGA は画像処理システム全般の制御を行うシーケンサと接続し、シーケンサから画像処理開始の指示を受けて処理結果をシーケンサに返すようになっています。
この事例では、FPGAを用いた画像処理システムが金属試料の表面の欠陥有無の診断に有用であることが確認されています。
今後ますます生産現場での検査工程や、生産装置の性能向上にFPGAを用いた画像処理技術が活用されていくものと思われます。
FPGAのロジック設計を行う上で、FPGAの開発環境と開発・評価ボードが必要になります。
FPGA開発環境としてアルテラ社のQuartus II 開発ソフトウェア、開発・評価ボードとしてインテルのMAX 10 FPGA評価キットなどがあります。
設計の工程としては、一般的なソフトウェア開発の場合と同様で、まず要求分析や要件定義を行って仕様を策定し、次に機能設計、詳細設計を行い、最後に必要となるドキュメントの作成を行って設計していきます。
AI技術の発展や生産現場のIoT・オートメーション化に伴い、世界のFPGAマーケット規模は、2020年の59億$から2025年までに86億$に達すると予測されています。
また、年平均成長率は7.6%程度であると予測されています。
さらに5G技術の発展も寄与し、これからますますFPGAの需要は伸びていくと予想されています。
参考文献
https://www.sbbit.jp/article/cont1/37659
https://www.fsi-embedded.jp/kumico/column/45/
https://www.atmarkit.co.jp/ait/articles/1710/11/news002.html
https://jp.mathworks.com/discovery/fpga.html
https://www.pref.shimane.lg.jp/industry/syoko/kikan/shimane_iit/kenkyuhoukoku/No49/index.data/P48-51.pdf
https://www.intel.co.jp/content/dam/altera-www/global/ja_JP/pdfs/literature/wp/mcu_to_fpga_design_guide.pdf
https://qiita.com/kannkyo/items/0927114c3fa2545e9d76
https://www.gii.co.jp/report/mama930818-fpga-market-by-configuration-low-end-fpga-mid.html
*一部商社などの取扱い企業なども含みます。
企業の並び替え
2022年4月の注目ランキングベスト10
順位 | 会社名 | クリックシェア |
---|---|---|
1 | Microsemi Corporation | 19.3% |
2 | ザイリンクス株式会社 | 12.9% |
3 | インテル株式会社 | 12.6% |
4 | 株式会社シグリード | 11.5% |
5 | ラティスセミコンダクター株式会社 | 8.8% |
6 | Efinix,Inc. | 8.4% |
7 | 株式会社イーツリーズ・ジャパン | 6% |
8 | 株式会社アイダックス | 5.3% |
9 | 有限会社ヒューマンデータ | 5% |
10 | Achronix Semiconductor Corporation | 3.3% |
注目ランキング導出方法について
注目ランキングは、2022年4月のFPGAページ内でのクリックシェアを基に算出しています。クリックシェアは、対象期間内の全企業の総クリック数を各企業のクリック数で割った値を指します。社員数の規模
設立年の新しい会社
歴史のある会社
ラティスのECP5 FPGAファミリは、他社製品の同一機能規模を持ったFPGAと比べて、価格が40%安く、消費電力が最大30%低下した、超小型パッケージで、スモールセル基地局、マイクロサーバや監視カメラなどに適しています。
消費電力が、シングルチャネルSERDESで0.25W以下、クアッドチャネルSERDESで0.5w以下と小さくできたことで、放熱設計に制約のある高密度実装も可能です。
機能当たりの集積規模は、同等性能を持った他社競合品と比べて、最大2倍というのも特長です。
ザイリンクスの7シリーズFPGAファミリは、TSMC社の28nmHKMG、HPLプロセステクノロジを採用した、低消費電力で低コスト、高性能・容量が特長です。
その1つであるVirtex-7 FPGAは、前世代よりも50%消費電力が削減され、200万個のロジックセルという容量を備えており、厳しい要件が求められるアプリケーションでも高いシステムパフォーマンスを実現します。
高性能レーダーシステム、高性能演算システムなどのワイヤード、ワイヤレス、T&Mアプリケーションなどに最適です。
ザイリンクスのSpartan-7 FPGAファミリは、I/O最適化により単位ワットあたり最高クラスの高性能をもった低価格で低消費電力のデバイスです。
コア電圧を1.0Vまたは0.95Vから選択でき、さらに45nm世代のデバイスと比較して総消費電力が50%削減となっており、総消費電力を大幅にカットしています。
このデバイスの主な用途は、コネクティビティやセンサ統合、エンベデッドビジョンを活用している産業用や車載用のアプリケーションです。
インテル(R)Agilex(TM)FPGA&SoCは、ヘテロジニアス3DSiPテクノロジーを採用し、10nmプロセス技術に基づいたFPGAファブリックと第2世代のインテル(R)Hyperflex(TM)FPGA仕様を統合したデバイスです。
様々なアプリケーションにおいて、最大40%の消費電力を削減します。
このFPGAファミリには、幅広いアプリケーションに対応したFシリーズ、高性能プロセッサーインターフェイスと広帯域幅が必要なアプリケーションに対応したIシリーズ、演算処理とメモリー負荷の高いアプリケーションに適したMシリーズがあります。
インテル(R)Arria(R)シリーズFPGA&SoCの性能と電力効率は、ミッドレンジのアプリケーションに最適です。
このFPGAファミリは、メモリーやロジック、DSPブロッグなどの豊富な機能セットに加えて、最大25.78Gbpsという優れたシグナルインテグリティのトランシーバーを備え、多数の機能の統合とシステム帯域幅の最大化が可能です。
Arria(R)シリーズには、20nmテクノロジーの高性能なArria(R)10SoCと、業界トップクラスの性能が特長の28nmテクノロジーArria(R)VSoCがあります。
モノタロウでチェック
ミスミでチェック