整流用ダイオード

整流用ダイオードとは整流用ダイオード

整流用ダイオードとは、電源回路において商用電源の交流を整流して、脈流を得るための半導体素子です。

一般的な小信号用ダイオードダイオードと比べると、大型で高電流が流せたり、高耐圧で丈夫な構造を有したりすることが特徴です。真空管である二極管もダイオードと言われ、かつて整流器として盛んに使われましたが、現在では特殊な用途に限定されるため、本稿では半導体素子に限定します。

整流用ダイオードの使用用途

整流用ダイオードは、商用電源から直流電源を作り出す電源装置の整流回路で必ず使用されます。スイッチングレギュレータなど高い周波数の交流を整流する回路では、逆回復時間が短いファーストリカバリダイオードや損失が少ないショットキーバリアダイオードが採用されますが、これらも整流用ダイオードの1種と考えられます。

整流用ダイオードの原理

整流用ダイオードは、P型の端子側をアノード、N型の端子側をカソードと言います。PN接合部近傍では、N型の電子とP型の正孔が打ち消しあい空乏層が生じます。アノード-カソード間に順電圧をかけると、P型部分に正孔、N型部分に電子が注入されるので、空乏層が狭まり、電流がP型からN型に流れるようになります。

逆電圧をかけると、P型部分に電子、N型部分に正孔を注入することになり、空乏層が拡大して電流は流れません。これは、ダイオードでは電流がP型からN型方向にのみ流れる特性を示しています。以上より、ダイオードのアノードからカソードに交流電圧を加えると、順方向のみ電流が流れ、逆方向では電流が流れません。これが整流の原理です。

なお、整流ダイオード単体では半波整流となり、交流の半周期だけ電流が出力されます。一方、ダイオードを4つ使ったブリッジ接続では全波整流となり、大きな電流が得られることやリップルが減少するなどのメリットがあるので、ブリッジ接続されたダイオードが一般的です。

整流用ダイオードの種類

整流用ダイオードには、主に3つの種類があります。

1. シリコンダイオード

最も流通されているPN接合型ダイオードの1つです。整流用ダイオードといえば、通常シリコンダイオードを指します。ゲルマニウムダイオードが使われていたこともありましたが、耐熱性に劣り大きな電流を流すことが難しいため、ほとんど使われなくなりました。

2. ファーストリカバリダイオード

PN接合のダイオードのN型半導体領域中に重金属拡散や電子線照射によりキャリアトラップを作り、スイッチング時にキャリアを捕える構造を持ったものです。逆回復時間を通常のダイオードに対して1/100から1/1,000に改善できますが、順方向電圧が大きくなる弊害があります。

高速動作が要求されるスイッチング電源では逆回復時間が短いダイオードが有利なので、ファーストリカバリダイオードが採用されます。

3. ショットキーバリアダイオード

金属と半導体を接合することによって生じる「ショットキー効果」を利用したものです。ショットキー効果によって一定以上の電圧がかからなければ電流が流れない障壁 (ショットキー障壁) ができるため、これを利用して整流作用を得ています。順方向電圧が小さくなりますので、ダイオードによる損失が小さくなりますが、耐圧が低いことが欠点です。

整流用ダイオードのその他情報

整流用ダイオードの使い方

商用電源から直流に変換する場合、次の2つの手順がありますが、各々に適した整流用ダイオードがあります。商用電源ラインに整流用ダイオードを直接接続して尖頭値が140V程度 (日本国内) 程度の脈流を取り出し、それを平滑回路で直流にした後、スイッチングレギュレータなどで所望の電圧に変換する方法があります。

この方法では機器全体の電源供給が一組の整流ダイオードに集中するので、一般に大電流/高耐圧のダイオードが採用されます。一方、商用電源から変圧器を介して所望の電圧付近まで電圧を変換し、その変圧器の出力に整流用ダイオードを接続して直流にする方法では、扱う電圧が低くなるため耐圧性能は緩くなり、電流は大きくなります。

特にダイオードの順方向電圧による損失がエネルギー効率に影響するので、ショットキーバリアダイオード等の順方向電圧が低いデバイスが有利です。

参考文献
https://www.shindengen.co.jp/products/semi/column/basic/diodes/general_rectifier_diode.html
https://toshiba.semicon-storage.com/jp/semiconductor/knowledge/e-learning/discrete/chap2/chap2-2.html
https://www.rohm.co.jp/electronics-basics/diodes/di_what3
https://hegtel.com/diode-sikumi.html
https://www.matsusada.co.jp/column/diode.html
https://toshiba.semicon-storage.com/jp/semiconductor/knowledge/e-learning/discrete/chap2/chap2-2.html

小信号ダイオード

小信号ダイオードとは

小信号ダイオード

小信号ダイオードとは、数百mA程度以下の比較的小さい電流で動作するダイオードのことです。

交流電流を直流電流に変換する整流やスイッチング、定電圧の生成などで使用されます。最もよく知られている用途は復調です。

復調とは、高周波の搬送波 (キャリア) 信号に低周波の音声信号を合成して発信しているラジオの電波を、ダイオードの低周波の信号のみを検出する特性を利用して、音声信号として音声出力装置に出力します。

小信号ダイオードの使用用途

小信号ダイオードは、電気機器や精密機器、ラジオの受信機などの特に高周波用途やスイッチング動作などの小信号を扱い電気的な動作を行う電子機器製品で使用されています。

選定の際には、その小信号動作ゆえに、ダイオードの最大定格や印加可能なバイアスに注意する必要があります。また、過大な電流が流れる可能性がある場合は、保護回路などを設置しダイオードに過大な電流が流れない様に回路を組まなければなりません。

小信号ダイオードの原理

小信号ダイオードの原理は、半導体ダイオードのPN接合界面や、金属と半導体の接合界面で生じる物理現象を用い、I-V特性の順方向と逆方向に発生する整流作用を利用した特徴的な回路動作にあります。

小電気的な回路の動作を、その代表的な機能であるスイッチング動作、整流回路、定電圧生成に分けて説明します。

1. スイッチング動作

ダイオードに電圧を印加すると、一定方向のみに電流が流れるという機能を用いて、スイッチとして利用します。順方向に電圧を印加すると電流が流れることをオン状態といい、逆方向は電圧を印加しても電流が流れないのでオフ状態の動作です。

ショットキーバリアダイオードやPINダイオードは小さな電流で高速のスイッチングが可能なので、比較的動作周波数の高いスイッチの機能のダイオードとして利用されます。

2. 整流回路

整流とは、ダイオードの一定方向にのみ電流が流れる性質を利用し、交流電流を直流電流に変換する回路動作のことです。通常は、マイナス方向を通さない半周波の電流になりますが、ダイオードをブリッジ回路で接続した場合は、交流電流のマイナス部分をプラスに変換し通電するので、全周波の直流電流に変換することが可能です。

3. 定電圧生成

ツェナーダイオードが良く用いられる回路動作です。ツェナーダイオードは、逆方向電流によらずある一定の範囲の定電圧を生み出すことのできるダイオードです。このダイオードにより定電圧を生成する回路用途や、また保護回路としても利用されています。

小信号ダイオードのその他情報

1. 小信号ダイオードの構造事例

小信号ダイオードの構造は、大きく分けて、プレーナー型とメサ型に分類できます。

プレーナー型
プレーナー型とは最もよく用いられている半導体構造で、シリコン半導体表面の酸化膜近傍に不純物の拡散層を形成し、ダイオード用のPN接合を作ります。回路的にICの様々な箇所に必要なダイオードを作りこむことが可能であり、小信号ダイオードのディスクリート用途以外にもICの内部の回路ブロックとして広く活用できる構造です。

メサ型
メサ型はPN接合を山のような縦型に形成する特徴を有し、特に構造上N型の箇所の面積を広くできるために逆方向耐圧を比較的大きくすることが可能です。その特徴を活かして、整流用の小信号ダイオードなどに多く用いられている構造です。

2. アレイ型の小信号ダイオード

小信号ダイオードをさまざまな回路で活用する場合には、複数のダイオードを用いることがあります。このような場合に適した製品が、アレイ型の小信号ダイオードです。

複数の小信号ダイオードを1つのパッケージに集積したものや、例えばツェナーダイオードとショットキーバリアダイオードを複合アレイ化した製品なども取り扱われています。回路面でダイオードのVf電圧を分けて用いたいときになどに便利な製品です。

参考文献
http://www.picfun.com/partdio.html
https://www.rohm.co.jp/electronics-basics/diodes/di_what4
https://www.rohm.co.jp/electronics-basics/diodes/di_what3
http://www.watacchi.com/denpa/vol-7.html

記録計

記録計とは記録計

記録計は、電流や電圧、熱電対や測温抵抗体といったセンサーから得た温度などのデータを記録することができる機械です。

使い方は簡単で、入力信号と接続して操作します。測定するセンサーを変えて圧力、流量、濃度などの複数のデータの記録も可能です。

以前は紙にデータを印字するタイプが主流でしたが、最近では電子データとして表示し、内部メモリー等に保存しているペーパーレスタイプが多くなっています。データロガーとも呼ばれます。

記録計の使用用途

記録計はセンサーにより計測した各種のデータを記録することができます。また、記録計は比較的緩やかに変化するデータを長期間記録することが得意なので、そういった実験や製造工程における情報を管理しています。場合によっては数年間という単位でデータを記録しています。

水位や湿度、温度、圧力、流量など様々なデータを記録し、バーグラフやデジタル表示などデータを見やすい方法で表示させることができます。データの分析のため、同時に複数の測定データを記録し表示させる場合もあります。

記録計の原理

ペーパーレスタイプと紙に記録するタイプでデータの表示と記録の原理が異なります。入力部では両方とも電圧、変換した電流、熱電対等の信号を受け取ります。

ペーパーレスタイプでは、入力信号を画面上に表示させ、内蔵されたメモリーに記録していきます。時刻表示や数値のデジタル表示、トレンド表示など表示方法を選択することができます。測定したデータをパソコンにつないで表示させる機種とパソコンなしで表示させる機種があります。

紙に記録するタイプでは打点式とペン式があります。打点式では設定された時刻ごとにスイッチの数の分が打点されます。ペン式ではペンサーボが使用されます。入力信号に比例するようにペンサーボが移動し、記録します。小型のステッピングモーターによりペンサーボが移動し光エンコーダが位置を検出しています。

両方のタイプとも熱電対を使用した温度測定の信号の場合には、測定箇所と記録計の距離が離れている場合には、補償導線の選定や、基準接点温度補償の設定等を適切に行う必要があります。

記録計のその他情報

1. アナログ記録計

現在、記録計の殆どがデジタル化された中で、アナログ記録計は稀少な製品となっています。
そんな中で、EL3000シリーズは長年愛用される記録幅100mmの最も新しい機種です。
2か3か6入力の伝統的な打点式機種と1~3入力のペン書式機種があります。
入力の種類や目盛は固定仕様ですが、設定項目が少なく誰でも簡単に使えて製造現場で人気です。
熱電対や測温抵抗体などの入力に関しても温度の目盛は直線的で読み取りし易いアナログ方式です。
しかし、熱電対と測温抵抗体などの異なる種類の入力組合せも可能です。

また電源100~240Vで、ACのフリー電源が採用されています。
その他の一般仕様としては、消費電力12~22VAで打点の数によって変わっています。
ケースは昔ながらのガラスの扉で、後ろ側はABS樹脂ケースになっています。
取付方法はパネルを埋め込むタイプで、総重量は約1.6Kgのため持ち運びも便利です。

2. 記録計のペーパーレス化

最近の記録計トレンドにおいて、半導体メモリの低価格化やパソコンの測定システムが簡単に構築出来る様になった影響は多大です。
結果として、確実にペーパーレス記録計にユーザーは移行しており、最近発売される記録計はほぼペーパーレス記録計と言うのが現実です。
ペーパーレス記録計の歴史自体は古く、1950年代にデジタルマルチメーターが登場したことにより、その歴史は始まりました。
それとプリンターとスキャナーを組み合わせたデータロガーが計測システム製品として登場したのです。
その後、データロガーは小型化、電圧・温度測定可能で一体型の装置となりました。当時の代表的な製品はYODACシリーズがあります。

現在ではカラー画像ディスプレイの複数チャンネル品や測定結果表示をパソコンで実施するもの等、多彩な製品が開発されています。
本体に操作パネルのないペーパーレス記録計は、パソコンから記録検索・加工・表示・記録保存等の操作を行う為、パソコンソフトの重要性が高まっています。
また、測定結果を画面に表示できる記録計は本体だけで記録されたデータの表示や検索が容易に操作できる機能を持っています。

参考文献
https://www.techeyesonline.com/tech-column/detail/Reference-Recorder-01/
https://www.chino.co.jp/products/recorders/el3000/
https://ednjapan.com/edn/articles/1812/04/news003_3.html

周波数カウンタ

周波数カウンタとは周波数カウンタ

図1. 電気信号波形の3つのパラメーター

周波数カウンタは、電子回路で発生している周波数を計測するためのデジタル機器です。

電気信号は、周波数、振幅、位相といった3つのパラメーターで表現できます。また、周波数の逆数によって周期を求めることが可能で、周波数計測は電気信号の基本的な測定において重要なパラメーターです。

周波数カウントの他に、デューティサイクル測定やパルスの立ち上がり時間やタイムインターバルなど、複数の機能を追加したものをユニバーサルカウンタと呼びます。

周波数カウンタの使用用途

周波数カウンタは、電流計電圧計のように電気信号計測における基本的な測定機器として使用されています。周波数カウンタ単体としての製品もありますが、デジタルマルチメーターオシロスコープ、光スペクトルアナライザなど、多くの機能を持った機器の一部の機能として、周波数カウンタの機能を持つ製品が多く開発されています。

周波数カウンタは、原理が非常にシンプルである点が特徴です。自作することも可能であることから、キットなども販売されています。周波数カウンタのキットは、数十MHzであれば各社から販売されていてます。理由としては、ダイレクト方式の周波数カウンタは複雑な動作をしないという特徴があるためです。

また、マルチテスターの中には、周波数計測が可能なレンジを搭載したものもあり、これらのタイプは手軽に扱うことができるため、大きな測定装置を運び込めないような現場などで、特に重宝されています。しかし、手軽というメリットがある一方で、高い周波数や有効数字を多くとるというような用途には不向きな点がデメリットです。

キットはLSI化されているものがほとんどであるため、構造のすべてを学習することはできませんが、気分を味わうことはできます。

周波数カウンタの原理

周波数カウンタの原理

図2. 周波数カウンタの原理 (ダイレクト方式)

周波数カウンタは、波形整形回路、ゲート、水晶発振器、計数回路によって構成されています。

1. 波形整形回路

入力された信号を「パルス列」に変換しています。

2. 水晶発振器

決まった時間幅を持ったパルスを生成します。先程のパルス列を測定するためのタイムウィンドウ (ゲートタイム) を生成し、タイムウィンドウは周波数の測定を行うための窓の役割をします。 (図2-a、図2-b参照)

3. 計測回路

タイムウィンドウに含まれるパルスの数を数えることによって、もとの信号の周波数を測定しています。周波数測定の分解能を決めているのが、水晶発振器で生成したタイムウィンドウの時間幅です。例えば、タイムウィンドウが1秒であれば1Hz単位での表示が可能で、タイムウィンドウが0.1秒であれば10Hzと、分解能はタイムウィンドウの時間幅の逆数に比例します。

周波数カウンタにおいて、最も誤差が発生するのはパルス列を生成するところで、特に入力信号にノイズが含まれていると、パルスの立ち上がりが不安定になったり、本来は無いはずの余分なパルスを生成したりします。 (図2-c参照)

誤差の発生を防ぐための工夫として施されているのが、繰り返し計測を行い、ノイズ成分を平均化する方法です。これにより、パルス列を生成するときに発生する誤差を低減させることができます。

周波数カウンタの測定方法

周波数カウンタの方式

図3. 周波数カウンタの方式

周波数カウンタは、入力信号の周波数を計測し、その結果を表示する機器です。測定方法は、実現が容易なため昔から利用されている「ダイレクト方式」と、高価ですが高い有効桁数を得ることが可能な「レシプロカル方式」の2通りがあります。

1. ダイレクト方式

ゼロ点クロス測定
ダイレクト方式の周波数カウンタは、入力信号の周波数がゼロ点でクロスした回数を計測する方式です。入力信号がサインカーブであれば、ゼロ点を下り、もしくは上りのいずれかでクロスする回数を計数します。ダイレクト方式の周波数カウンタのメリットは、ハードウェアだけで容易に実現できることです。そのため、この方式は昔から利用され、その1秒当たりのゼロ点クロス回数を周波数の測定値として表示します。

ダイレクト方式の周波数カウンタでは、機器の内部で正確な基準クロックを作っており、その時間だけタイムウィンドウを開けてゼロ点をクロスする回数を計測するのが特徴です。

測定有効桁数
ダイレクト方式の周波数カウンタにおける有効桁数は、タイムウィンドウの時間幅と入力周波数によって決まり、例えば、入力周波数が1GHzでタイムウィンドウが1secの場合、計測値は1x10^9で有効桁数は10桁です。入力周波数が1kHzの場合では、有効桁数は4桁になり、どちらも分解能は1Hzです。

ここで、タイムウィンドウ時間幅を長くすると分解能は上がり、例えば、タイムウィンドウ時間幅を100秒にすると有効桁数は1kHzで6桁となって、分解能は0.01Hzとなります。しかし、1回の測定に最低100秒もかかってしまうのは現実的ではなく、作業性が著しく低下してしまいます。また、計測値は±1の量子誤差が必ず発生するということを理解して使用する必要があります。

高周波信号の測定だけであれば、ダイレクト方式の周波数カウンタで問題なく測定が可能ですが、ダイレクト方式で精度を上げるためには、タイムウィンドウ時間幅を長くする必要があります。しかし、ダイレクト方式でタイムウィンドウ時間幅を長くすると、1回の測定時間も伸びてしまうため、極端に効率が悪くなるというデメリットが生じてしまいます。このような状況下での選択肢となるのが「レシプロカル方式」の周波数カウンタです。

2. レシプロカル方式

レシプロカル方式の周波数カウンタは、入力された波形をそのまま、または分周した波形を内部の基準クロックでカウントする方式です。特に低い周波数の計測の場合、高い有効桁数を得ることができるというメリットがあります。レシプロカル方式の周波数カウンタにおける有効桁数は、内部基準クロックとゲート時間で決まり、そして、入力周波数の影響は受けないのが特徴です。

例えば、内部基準クロックが10MHzでゲートタイムが1秒の場合、有効桁数は7桁になり、同じ基準クロックでゲートタイムが10秒の場合は、有効桁数は8桁です。低い周波数域での測定において高い有効桁数を得ることが可能なレシプロカル方式ですが、カウンタ自体の動作は複雑であるため、価格が高いというデメリットがあります。

参考文献
https://www.orixrentec.jp/helpful_info/detail.html?id=53
https://www.jstage.jst.go.jp/article/lsj/39/10/39_775/_pdf
https://www.techeyesonline.com/tech-column/detail/Reference-UniversalCounter-02/

リニア電源

リニア電源とは

リニア電源は、商用の交流電源から直流電源に変換し、回路を安定化して電圧変動を少なくするためにリニア電源かスイッチング電源の安定化電源を使用しています。

リニア電源は真空管が使用されてきた時代からある方式です。回路に可変抵抗か三端子ICを組み込んで入力から電力を連続的に制御して、出力電圧を調整します。アナログ制御で動作します。

出力電圧の精度は良いですが、装置が大型で重く、内部での電力損失が大きいため効率が悪く、可変抵抗での発熱が多くなってしまう特徴があります。

リニア電源の使用用途

最近は軽量で小型なスイッチング電源が使用されることが多いですが、リニア電源は小出力の電源で、ノイズを抑えたい場合に利用されることが多いです。

大型になりますが、ノイズが少ないので、計測器、医療機器や高級オーディオに使用されています。また、コードレス電話機やデスクトップパソコンのスピーカ、電動工具、などにも用いられています。特に三端子ICを使用したリニア電源は比較的小型で使い勝手が良いので良く利用されました。

リニア電源の原理

リニア電源は回路の構成がシンプルでノイズが少ない電源です。商用の交流電源を取り出して、可変抵抗を直列にして余分な電圧を除去して直流電源とします。除去した電圧は抵抗で熱エネルギーとなりますので発熱量が増えます。そのため、レギュレータの部分にはヒートシンクが必要です。

回路には抵抗器を使用するだけなので単純な構造ですが、熱のコントロールができません。

シリーズレギュレータとシャントレギュレータがありますが、一般的にはシリーズレギュレータが使用されており、シャントレギュレータが使用される用途は限られています。ツェナーダイオードや三端子ICが使用されます。

使用用途によってリニア電源による発熱に耐えるか検討する必要があります。また、リニア電源のノイズはスイッチング電源よりも小さく抑えることができ音質を高めることができるので、オーディオ機器にこだわる場合には、自分の求める音質を実現するためにリニア電源を自作することもあります。

ノイズカットトランスのアース

電気回路のグランドとグランドの間で、電位の異なる場所やグランドが接地不可の箇所でもノイズを防止する施策はあります。そんな時でも先ずは、ノイズカットトランスを設置してみてください。それでも効果がないような時は、一つ目が、ノイズカットトランスの設置している場所を、グランドと出来る限り広い面積で接触させるようにすることです。二つ目は、入力ケーブルと出力ケーブルをノイズが遮蔽できるシールド線にして、このシールド線とノイズカットトランスのケースを広い面積で取り付けることです。以上の操作でノイズ除去効果の向上が期待できます。

ノイズカットトランスの構造

ノイズカットトランスの構造について説明します。その前に、ノイズをカットしたい時、概ね行う対策は、ノイズの発生源を絶縁することです。絶縁することで、ノイズの影響は、ほぼ受けなくなります。そこで実際に行われる絶縁対策ですが、回路上では、殆どの場合は、フォトカプラを使用します。そして、もう一つのフォトカプラを使わない場合の対応方法が、絶縁トランスです。コストやスペースの問題からすれば、圧倒的に基板上のフォトカプラで対応した方が望ましいですが、基板が使用出来ない場合は絶縁トランスを使用します。

しかし、絶縁トランスも万能ではなく、1次側巻線から来たノイズの影響を、2次側巻線も受けてしまいます。そこで、登場したのがノイズカットトランスです。このトランスは、ただの絶縁トランスではなく、障害波遮断変圧器です。ここでは、その原理や動作などの詳細は省略しますが、その構造を紹介します。

ノイズカットトランスの構造的な特長は、従来からある絶縁トランその構造に加えて、コイルトランスの外周に、多重の包覆電磁遮蔽版を設けています。ここが最大の特長になります。さらに、コイル配置や磁心材質と形状を高周波ノイズの磁束がコイル相互に鎖交しないように作られており、分布する静電容量結合と電磁誘導によるノイズの伝達を防止しているノイズ遮断に対して非常に優れたトランスです。

参考文献
https://www.jp.tdk.com/tech-mag/power/002
https://www.cqpub.co.jp/term/linearpowersupply.htm
https://www.matsusada.co.jp/column/column-dc-power.html
http://www.totora.co.jp/other/noise_cut_earth.pdf
http://www.sanwa-denki.com/kaisha/denken/shiryou01.pdf

サーボプレス

サーボプレスとは

サーボプレス

サーボプレスとは、プレス加工において加圧部の動きを数値制御を用いたサーボモータ制御で行うプレス加工です。

プレスの駆動にサーボモータを用いることによって、従来難しいとされていた加圧部の移動速度や回数などの動きを、細かく制御するスライドモーションが可能になりました。スライドの細かな制御によって、さまざまなメリットが得られます。

なお、サーボプレスに対して、油圧や空圧を利用した従来のプレス加工は機械式 (メカ式) プレスと呼ばれます。

サーボプレスの使用用途

サーブプレスはさまざまな加工に用いられます。主な加工は圧入、カシメ、歪み取り、打ち抜き、成型、熱溶着、粉末成形などです。

成型においては、自動車用のドアやボンネットなどの生産に、サーボプレスが広く用いられています。自動車用部品では強度と軽量化の両立が強く求められており、複雑な形状に成型できるためです。

サーボプレスの原理

サーボプレスでは加圧に、サーボモータを利用しているので、複雑で精密なスライド動作が実現できます。サーボモータは、自身の状態 (回転数やトルクなど) を常にモニターし、設定した値になるようにフィードバックをかけることができるモーターシステムです。

これによって、プレス機の速度を可変にしたり、正確な位置決めを行ったりと自由自在に設定吸うことができます。油圧や空圧を使った従来のプレス機では、一定の速度でしか動作しないので、ゆっくり加圧する必要がある素材を加工する際は、作業時間がかかってしまう問題がありました。

しかし、サーボモータはプレス機が材料に接触して、加圧するときだけ速度を落とし、最下点までプレスしたらもとの位置には素早く戻すというような複雑な設定も可能です。そのため、加工精度を保ちながら作業時間を大幅に短縮することができます。

また、サーボプレスはコンピューター数値制御 (CNC) 化されたプレス機です。外部装置との連携も簡単に行える上に、更に複雑な動作をプログラムすることもできます。

サーボプレスのその他情報

サーボプレスの長所

従来の機械式プレスに対するサーボプレスの長所は、大きく分けて以下の6つがあります。

1. 成形性の向上
従来ではプレス加工難しかった高張力鋼板、ステンレス鋼板、アルミニウム合金板に対しても、プレス加工がしやすくなります。スライドモーションを工夫することによって、しわや割れの発生を抑制することが可能になりました。

2. スプリングバックを制御できる
高張力鋼板を用いたプレス加工においては、材料の降伏点が高いために、スプリングバックが起きやすいという欠点がありました。サーボプレスであれば、追加でプレスを行うリストライク加工によって、スプリングバックを抑制できます。

3. 高精度化
機械式プレスでは、加工による発熱や環境温度によって、ダイハイトが変化してしまうという欠点がありました。ダイハイトの変化は、部品の精度に影響します。サーボプレスであれば下死点をモニターし自動的に補正することが可能です。

4. 金型寿命の向上
サーボプレスによって、金型の寿命を向上させる効果が得られます。サーボプレスなら成形時の速度を下げることも可能であり、速度低下によって金型の摩耗も低減させることが可能です。

5. 潤滑剤切れの防止
スライドモーションに振動モーションを加えると、潤滑剤切れを防止することができます。プレス時に振動動作が加わると、素材と金型の間の隙間が変化し、変化する際に潤滑剤が隙間に侵入しやすくなります。

6. 工程削減
複雑な形状などの理由によって、従来は複数のプレス工程が必要な部品の成形もサーボプレスによって工程数を減らすことが可能になります。工程の削減は必要となる設備はもちろん金型や金型のメンテナンス費用も削減できます。工程数が減らせるのも、サーボモータによる緻密なスライドモーションが可能になるからです。

参考文献
http://www.amada-f.or.jp/r_report2/ftr/2017/201701-0101.pdf
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jjspe/73/2/73_2_175/_pdf

ダイオードモジュール

ダイオードモジュールとは

ダイオオードモジュールとは、ダイオードを複数個並べて電気の導通・遮断を制御する半導体整流素子です。

ダイオードモジュールは電気回路の一方向のみへ電流が流れるように制御できる特性があり、一般的に回路設計時のリレー部品として組み込まれることが多いです。

挙動が似た素子として、サイリスタトライアックがあります。実装したい処理に応じて、これらのモジュールを使い分けて使用します。

ダイオードモジュールの使用用途

ダイオードモジュールは、産業用製品の中で幅広く使用される部品です。以下は、ダイオードモジュールの使用用途一例です。

  • 直流モーター用電源
  • インバータ用電源
  • バッテリー充放電用制御装置
  • パワーサプライ内部

ダイオードを用いることで交流電源の電流を一方向のみ取り出すことができるため、直流電源の内部に広く使用されます。平滑コンデンサーなどと合わせて使用することで、交流電流を直流電流へ変換可能です。

ダイオードモジュールの原理

ダイオードモジュールの原理

図1. ダイオード内部の構造

ダイオードモジュールの原理を理解するためには、ダイオードの構造を理解する必要があります。ダイオードの内部構造は、n型半導体とp型半導体が交互に層状接続されており、アノード側からカソード側へ電圧がかかった場合に導通します。一方、逆方向へ電圧がかかった場合は、内部のn型半導体とp型半導体が互いに離れる方向へ電荷が移動することになり、電流が流れません。

この特性を利用して、一方向への電気が流れる整粒素子として用いることが可能です。

ダイオードモジュールの種類

ダイオードには、その性質に応じてさまざまな種類があります。

1. 整流用ダイオード

交流電流を流入させて整流するダイオードです。シリコンダイオードとも呼ばれます。電気を一方向にだけ流す性質を利用し、電源回路や保護回路に使用されます。

整流用ダイオードを4つ組み合わせたダイオードブリッジが有名です。

2. 検波用ダイオード

電流が小さい領域 (0.1 mA程度) で順方向の電圧降下が低い性質を利用して、電波から音声信号を取り出すダイオードです。ラジオなどの音声通信に使用されます。

かつてはゲルマニウムダイオードがよく用いられていました。しかし非常に高価なことから、現在ではショットキーバリアダイオードへの置き換えが進められています。

3. 定電圧ダイオード

電流が変化しても、電圧が常に一定となるダイオードです。ツェナーダイオードとも呼ばれます。逆方向に電圧をかけると一定の電圧で電気が流れるツェナー現象を利用し、過電圧保護回路に使用されます。

4. フォトダイオード

PN接合部分で光を受けると、電流や電圧が発生する性質を利用したダイオードです。光電センサや光通信などに使用されています。

太陽電池やDVDの凹凸面を反射したレーザー光の読み取り装置、テレビリモコンの受信部分に使用されることもあります。

5. 定電流ダイオード

電圧が所定の範囲内の際に、一定の電流を流すダイオードです。所定の電圧以上を印可すると、破損する危険性があります。バッテリーの充放電回路や漏電遮断器などに使用されます。

ダイオードモジュールのその他情報

1. サイリスタの内部構造

サイリスタの内部構造

図2. サイリスタの内部構造

サイリスタは、ダイオードにゲート電極を加えた半導体部品です。p型半導体部分にゲート端子が付加されており、回路内にアノード側からカソード側へ正のバイアスがかかった状態で、かつゲート電流が流れた場合に導通するモジュールです。

一度ゲート電流が流れれば導通状態を維持し、次にアノード側からカソード側へのバイアスが負になるかゲート電流が0になるまでは導通し続けます。

また、サイリスタでは一方向のバイアスでしか導通しません。双方向のバイアスに対して動作させたい場合は、サイリスタを双方向へ設置した構造のトライアックが用いられます。

2. ダイオードモジュールとパワーモジュールの違い

ダイオードと同様に、電源回路に用いられる素子としてパワーモジュールがあります。パワーモジュールもスイッチや整流を行いますが、高電圧高電力が必要な製品で用いられるのが特徴です。

身近な例は、鉄道などのモータ回転数を制御するインバータです。省エネルギー化への対応として、高電圧高電力を扱うパワーデバイスの効率改善は世界中が注目しています。

参考文献
https://article.murata.com/ja-jp/article/what-is-diode
https://www.matsusada.co.jp/column/diode.html
https://article.murata.com/ja-jp/article/what-is-diode
https://techweb.rohm.co.jp/knowledge/sic/s-sic/01-s-sic/3660
https://www.zaikei.co.jp/article/20180430/439964.html

エアーリークテスター

エアーリークテスターとは

エアーリークテスター (英: air leak tester) とは、対象物の内部からの空気漏れを検出する機器です。

対象物内を加圧や減圧し、その圧力を直圧式、差圧式など様々な方式で検知することでリークテストを行います。対象物の形状や、中に空気や水以外の物が入っているかなどで、適切なエアーリークテスターの型式は変わります。

石鹸水などで行う簡易的なリークテストとは違い、エアーリークテスターを使えば、リーク箇所とリーク量を正確に検知することが可能です。

エアーリークテスターの使用用途

エアーリークテスターを用いることで、単なる漏れチェックばかりでなく、漏れ量の定量的把握や検査の自動化ができるようになります。

なお、具体的な漏れ検査は以下のとおりです。

  • 冷却用水道配管の継手
  • ガスコンロやガスボンベのレギュレーター
  • LPGや炭酸ガスなどの高圧ガスの圧力容器
  • 自動車のシリンダーやオイルポンプなどの各種部品
  • 医療器具の輸血用ポンプ
  • 土木機器の油圧配管や油圧シリンダー

また、流量制御を行う回路などのリークテストにも用いられ、自動車用パーツの検査に多く使われていますが、これはウォッシャー液のタンクや、エアバッグなどエアーリークが許されないパーツが自動車用パーツに多いからです。

エアーリークテスターの原理

リークテストの方法は、「JIS Z 2330:2012 漏れ試験方法の種類及びその選択」に詳細の規定があります。

空気などの気体を使用する漏れ試験には、液没法、発泡法、圧力変化法、差圧変化法、流量測定法、超音波法など多くあります。

1. 液没法

液没法は、対象物を気体で加圧し、液体の入った槽の中に対象物を水没させて、そこから出てくる気泡を確認する方法です。おもに目視検査で行うため、作業者の熟練が必要で、ばらつきが出る短所があります。また、定量的なデータ管理が困難です。

2. 発泡法

対象物の表面に界面活性剤などを含む発泡液を塗布し,気体の漏れを発泡現象で検出する方法です。液没法に比較して、漏れの感度が高い方式です。

3. 圧力変化法

圧力変化法は、対象物に内圧付加又は減圧をして、内部の圧力が一定になる圧力を確認する方法です。

4. 差圧変化法

差圧変化法は、圧力のかけ方は圧力変化法とほぼ同じで、測定基準品と対象物との差圧の変化を確認する方法です。

5. 流量測定法

流量測定法は、対象物に内圧をかけ、漏れによる空気を補う流量を測定する方法です。

6. 超音波法

対象物の漏れ箇所から気体が漏れる時に、発生する超音波を超音波検出器でで検出する方式です。

エアーリークテスターの種類

エアーリークテスターには、大きく分けると、直圧式と差圧式があります。

1. 直圧式エアーリークテスター

直圧式のエアーリークテスターは、実際の圧力を連続的に計測することでリークテストを行います。まず、対象物を加圧又は減圧を行います。加圧・減圧工程中は空気の温度や体積が安定せず圧力も不安定なため、一定圧力に平衡するまで待ちます。

平衡状態を確認したら、そこから圧力を連続計測します。もし、どこかでリークがあれば、この圧力が緩やかに降下するため、それを検出することでリークチェックができます。

2. 差圧式エアーリークテスター

差圧式のエアーリークテスターは、基準の圧力との差圧を測定する方式です。この方法は、マスターと呼ばれるリークの無い計測物を用意し、そのマスターと対象物を接続します。

その後、直圧式と同じく加圧、平衡の手順を経て、マスターと対象物との間につないだセンサーにより、圧力差を計測します。もし、対象物のどこにもリークがなければ差圧は生まれませんが、対象物にリークがあれば、リーク量による差圧が検知されます。

エアーリークテスターの選び方

1. ワークの特徴

加圧下で使用されるワークやワーク内部に液体が入るものは、加圧方式のリークテスターが適しています。

2. ワークの形状

たとえば、開口部分が多くあるものは内圧式のタイプが、少ないものは外圧式のリークテスターが適しています。

3. 減圧方式

ワークが負加圧下で使用される場合は、減圧方式のリークテスターを選びます。

エアーリークテスターのその他情報

エアーリークテスター導入のメリット

1. 自動化・省力化
リークテストは圧力変化などを数値化ができるので、自動検査が可能です。リークテスターにより、省力化が可能です。

2. 品質向上
リーク検査の定量把握ができ、人の熟練に頼らない検査ができるので、精度が向上して品質向上に貢献します。また、データの統計処理や解析ができます。

3. コスト低減
クレーム減少、不良率低減、検査の効率化などコスト低減のメリットがあります。

参考文献
https://www.cosmo-k.co.jp/leak-test/leak-technology/leak-inspection/
https://showcase.ulvac.co.jp/ja/how-to/product-knowledge07/leakage.html
https://www.yamahafinetech.co.jp/support/downloads/file/437/leaktester_catalog_01.pdf

配線保護材

配線保護材とは

配線保護材

配線保護材は、各種の配線にかかる力や電気的な作用から保護する役割を持つ製品です。

ホルダー、ブッシュ、集束するスパイラルチューブなど様々な形状があります。中でも特にチューブ型が多く、スナップボタンで留める仕様や、スリットが入っているものなど、さらに分類することができます。

代表的なチューブは、コルゲートチューブ・スパイラルチューブ・ネットチューブの3種類です。使用する場所や使用用途によって適切なものを選定します。

配線保護材の使用用途

配線保護材は、扉渡り線の束線・盤内配線の保護・電子部品のハーネス結束などでよく使用されています。配線保護材は、柔軟性や耐久性の面で使い勝手が良く配線の結束性に優れているのが特徴です。配線保護材の種類によって、使用用途は異なります。

1. コルゲートチューブ

スリットが入った蛇腹形状のコルゲートチューブは特にワイヤーハーネスを保護する目的で自動車、建機、農機、家電や住宅に至るまで幅広く使用されています。

2. スパイラルチューブ

スパイラルチューブは、産業機械の可動部に配線するケーブルやホースの保護材としてよく使用されています。

3. 伸縮編組チューブ (ネットチューブ)

伸縮編組チューブ (ネットチューブ) は、軽量でしなやかなのが特徴です。配線保護材として柔軟に配線をまとめることが可能であるため、飛行機の配線やコンサート、劇場の音響や照明機器の集束に使用されています。

4. グロメット

グロメットは、配線引き出し口などのパネルの穴の損傷から配線を保護する際に使用されています。

配線保護材の原理

配線保護材は、基本的に配線の周囲をチューブ等で覆うことによって保護しています。スリットが入っている保護材の方が配線を入れやすい構造です。保護材に適合する電線の内径と、チューブの自然内径を比較しながら品番を選択します。また、チューブの材質によって使用用途が変わってくるため、適切な選定が求められます。

1. ポリプロピレン

絶縁性で電気を通しません。柔軟性があり、ひび割れしにくいので、標準的なチューブによく利用されています。安価でサイズや色の展開が豊富です。

2. ナイロン

100℃程度の高温にも耐える素材で絶縁性です。ポリプロピレンよりも若干硬くて値段は高い傾向があります。耐候性に優れており、屋外での使用に好まれます。

3. 防ネズミ用忌避剤含有ナイロン

屋内外での使用時にネズミにかじられてしまう被害を抑えることができます。ネズミがかじると刺激や辛味を感じる仕様になっており、断線を予防します。

4. クロロトリフルオロエチレン

伸縮性に富んでいて、滑りがよく150℃程度まで耐熱性を持ちます。値段は高価です。

 

その他、シリコン編み込みやガラス編み込みチューブなど、自己消火性が高く、耐熱温度が180℃程度まである製品もあります。

配線保護材の特徴

1. コルゲートチューブ

コルゲートチューブは、配線保護用部材として使われる配線保護チューブの一つです。電源の供給や信号の通信などに用いられる複数の電線・配線を束にする配線用ハーネスのひとつでもあり、電線や配線を束ねるだけでなく、様々な外からの衝撃から守る役目も担っています。

チューブの表面は波の形状になっているため、標準的なチューブよりもソフトで、取り回しが容易です。そのため、狭い所や変わった形をした空間でも使用できます。チューブの長さは、短いものから長いものまで、多種多様にラインナップされており、はさみなどでカットし、使用条件に合わせ長さ調節することも可能です。

チューブの材質は、大別してポリプロピレンとナイロンの2種類があります。ポリプロピレンは柔軟性と丈夫さを併せ持った素材で屋内用に多用されます。ナイロンは単価は高いのですが、劣化しにくいので、屋外用に適しています。用途に合わせて最適な材質を選べる点もコルゲートチューブの魅力です。

2. スパイラルチューブ

スパイラルチューブは配線保護を目的としたチューブです。弾力がある素材なので、それを活かして産業用のケーブルやチューブとして広く実用されています。また、ワイヤ保護やバンドの目的の他に、配線類の整理整頓としても活用されています。配線の整理整頓に使用する時は、バンドしたい配線を1ヶ所にバンドして、外枠をチューブで巻きつけるだけなので非常に簡単です。

スパイラルとは英語で螺旋を意味し、渦巻き状に巻き付いたチューブのような形状に特徴があります。スパイラルチューブの素材はプラスチックのほか、ナイロンやポリエチレンフッ素樹脂など、様々な素材が使われています。

3. 伸縮編組チューブ (ネットチューブ)

ネットチューブは特殊製法で編み組みされており、どこからでもハサミでカットして使用できるソフトタイプのチューブです。すぐにカットができるため、効率良く容易に保護結束をすることができます。また、カット時もきれいな状態を保持できる点が魅力です。

その他、ネットチューブは編み組みされた構造となっているので、チューブ内部に熱や湿気を溜めずに長期間維持することが可能で、網込み密度も高いため製品の保護力に優れています。可動部での電線の保護に使用する際に最適なチューブです。

参考文献
https://kurashi-no.jp/I0015516
http://www.shinagawashoko.co.jp/jp/cat4.html
https://www.panduit.co.jp/column/nattoku/4378/
https://www.panduit.co.jp/column/nattoku/2689/

圧力校正器

圧力校正器とは

圧力校正器

圧力校正器とは、圧力計のメンテナンスに使用される器具です。

圧力標準器とも呼ばれ、圧力計の校正に使用されます。圧力計の校正が必要な理由は、規格や法律への適合性やトレーサビリティの確保が必要だからです。一定の周期で校正を行わない場合には信頼性が失われ、測定データの信憑性を得ることができなくなります。

また、校正範囲を著しく外れる場合には大きな測定誤差が生じます。そのほか、圧力容器の破損など事故につながる可能性も考えられます。したがって、一般校正範囲で校正を行うのかJCSS校正範囲で校正を行うのかを検討し、圧力計の校正周期を定める必要があります。

圧力計を校正する場合の校正書類は、検査証明書、検査成績表、トレーサビリティ体系図、標準器の校正証明書の写しなどです。JCSS校正の場合には、JCSS校正証明書やJCSS登録証明書が付随して発行されます。

圧力校正器の使用用途

圧力校正器は、主に産業用途で使用されます。以下は圧力校正器の使用用途一例です。

  • 圧力計や圧力センサのメンテナンス
  • 公害管理用機器のメンテナンス
  • 製品開発や製品製造ラインの品質担保

上記の通り、主に圧力計などのメンテナンスに使用されることが多いです。また、圧力計製造の際に、JISなどの規格に適合するよう定められた圧力校正器を使用して機能が確認されます。

圧力校正器の原理

圧力校正器としてよく利用される重錘型圧力計は、最も基本的な圧力の原理に基づいた測定方法で、古くから信頼性の高い圧力校正器です。圧力は、鉛直下向きの力と断面積を掛け合わせて定義されます。

重錘型圧力計はシリンダとピストン、ピストンの上にある重さが既知の重錘によって測定されます。シリンダ内には摩擦がない状態で可動するピストンがはめ込まれています。シリンダ内には加圧された流体があり、ピストンを介して重錘の重力で抑えられています。

そこで力のつり合いが発生しているため、重錘の重力と断面積を利用して圧力を計算し測定するわけです。気体用の重錘型圧力計は精度向上を目的として、ピストンとシリンダのはまり具合や周辺環境にも配慮する場合があります。

そのため、ピストンやシリンダを丁寧に清掃しますが、内径が大きい場合には影響が小さいこともあります。ただし、気体用重錘型圧力計よりも液体用の方が安定した性能を期待できます。

圧力校正器の種類

圧力校正器として多く利用される製品は、重錘型圧力計です。重錘型圧力計には油圧用や空気圧用があり、校正する圧力計や用途などに応じて機種を選択します。また、携帯型か据付型かも選定基準の1つです。

重錘型圧力計は機械式・電気式の圧力測定が可能ですが、電離真空計のような高真空状態を測定する機器の校正を行うことはできません。その他、電子式圧力校正器も販売されています。

電子式圧力校正器は各種のデータをメモリーに記録する機能があり、圧力伝送器圧力スイッチ、電空・空電変換器の校正などに使用されることもあります。主に圧力校正器に使用される圧力計には、デジタル圧力計と機械式圧力計があります。

圧力校正器のその他情報

圧力計の校正方法

校正方法は気体・液体を圧力媒体にして昇降圧を繰り返し、その平均値から校正値を算出します。一般的に校正で使用する校正器は、重錘型圧力天秤やデジタル圧力計です。

校正範囲には一般校正範囲とJCSS校正範囲 (ISO/IEC17025) があり、一般校正範囲よりもJCSS校正範囲の方が基準が厳格になる場合が多いです。理由として、JCSS校正範囲での校正はISO/IEC17025の品質マネジメントシステムへ適合する必要があることが挙げられます。圧力計の試験施設や校正施設の技術的能力も評価されるため、信頼性があります。

一般校正とJCSS校正では、実施場所も差別化されています。一般校正では一般校正室で実施されますが、JCSS校正ではJCSS校正室と決められた区画で実施されます。

参考文献
https://www.jstage.jst.go.jp/article/sicejl1962/43/5/43_5_442/_pdf
https://www.krone.co.jp/products_caribration_pressure.html
https://www.sankyointernational.co.jp/products/wt_type_p_calibrator_for_gen_industrial_use/item_427
https://www.jemic.go.jp/kousei/pressure_gas.html
https://faq.mitutoyo.co.jp/faq_detail.html?id=90&category=510&page=1
https://www.oeg.co.jp/keisoku/faqlist.html
https://www.kk-custom.co.jp/kousei.html
https://www.pjla.jp/iso17025/iso17025/
https://atsuryokukei-proshop.com/wppost/plg_WpPost_post.php?postid=400
http://www.sensus.co.jp/service/index.html
https://atsuryokukei-proshop.com/wppost/plg_WpPost_post.php?postid=133