マシンガイダンスシステム

監修:株式会社小泉測機製作所

マシンガイダンスシステムとは

マシンガイダンスとは、建設現場などで使用される土木・建設機械に、3次元設計データに基づいた施工情報を表示し、オペレーターがより正確かつ効率的に作業できるように支援するシステムです。

土木、建設工事においては設計データの通りに施工が行われるように、建設機械の適切な操作が必要です。正確な施工を行うために、ブルドーザーやバックホウなどの重機に自動追尾式TS (トータルステーション) 用のプリズムやGNSSなどの位置計測装置センサーを取り付け、リアルタイムで位置や姿勢および設計面との差分を出力するのがマシンガイダンスシステムです。マシンガイダンスシステムによって誤差を最小限に抑え、施工品質を向上させ、工期短縮や省力化を図ることができます。

マシンガイダンスシステムの使用用途

マシンガイダンスシステムの使用用途は多岐にわたります。以下はその一例です。

1. 土木工事

道路や河川・ダムの建設では、設計データに基づき、盛土や切土の高さを正確に制御し、設計勾配や幅に合わせて施工面を整形するために、ブルドーザーやグレーダーが使用されます。マシンガイダンスシステムを利用することで、設計通りの高さや傾斜を実現することが可能です。また、製品によっては土量の計算や管理を支援する機能も備えています。

道路工事においては路盤の整形、路肩の勾配調整、排水構造物の設置など、道路の建設における様々な工程で活用されます。さらにダム工事においてはダム湖の底盤整形など、大規模構造物の建設に不可欠な技術です。

2. 建設

建設分野でもマシンガイダンスシステムは広く使用されており、建物の基礎部分の施工精度を向上させ、地盤改良工事では地盤改良材の注入量や深さを正確に制御し、地盤の強度を向上させます。

このように、建設業での施工精度の向上に寄与しています。

3. その他

港湾工事などでは、防波堤の建設、浚渫工事など、港湾施設の建設・維持管理に活用されます。

農業分野においても、排水路の整備などマシンガイダンスシステムを使用することが可能です。重複作業や不足を防ぐことで、作業の精度と効率を大幅に向上させることができます。

マシンガイダンスシステムの原理

マシンガイダンスシステムは重機の運行を正確に制御し、作業の精度を向上させるための技術です。その原理は主に位置情報の取得と制御アルゴリズムに基づいています。

位置情報の取得にはGNSSで衛星からの信号を受信して重機の正確な位置を特定します。また、TS測量でより正確な位置を割り出します。TSは角度と距離を同時に高精度で計測できる測量機器で、従来の測量方法に比べて大幅に効率化と正確性を向上させました。

取得した複数の位置情報をデータ統合し、重機の正確な位置や姿勢を算出します。これにより、各センサーのデータが補完し合い、高精度な情報が得ることが可能です。続いて、現場での位置情報とあらかじめ設定された設計データを比較・確認します。

データ処理の結果に基づいて、重機の動きを調整します。例えば、掘削機が設定された深さに達していない場合、自動的に掘削深さを修正する指示を出す製品も販売されています。また、視覚的な情報を提供し、オペレーターが現在の作業状況を把握しやすくすることで、必要に応じて手動での修正を可能にします。

マシンガイダンスシステムの選び方

マシンガイダンスシステムを選定する際は、以下を考慮することが重要です。

1. 精度

マシンガイダンスシステムの精度は信号取得方法によって異なります。高精度な作業が求められる場合は、GNSSや高精度のレーザー測定機能を備えたシステムを選ぶことが必要です。現場の条件によって信号の受信状況も変わるため、実際の環境における性能も考慮に入れることが重要です。

2. インターフェイス

操作するオペレーターが使いやすいインターフェイスを選ぶ必要があります。直感的に操作できることや、必要な情報が迅速に得られることを確認します。表示装置の視認性や、オペレーターへのフィードバックの質もチェックすることが重要です。

3. 互換性・拡張性

新しいシステムを導入する場合、既存の機械とスムーズに統合できることや、他の技術との連携が可能であることを確認します。また、将来的に機能を追加したり、アップグレードが可能な設計のシステムを選ぶことも重要です。これにより、長期的な投資効果を高めることができます。

本記事はマシンガイダンスシステムを製造・販売する株式会社小泉測機製作所様に監修を頂きました。

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