ダイオードモジュールとは
ダイオオードモジュールとは、ダイオードを複数個並べて電気の導通・遮断を制御する半導体整流素子です。
ダイオードモジュールは電気回路の一方向のみへ電流が流れるように制御できる特性があり、一般的に回路設計時のリレー部品として組み込まれることが多いです。
挙動が似た素子として、サイリスタやトライアックがあります。実装したい処理に応じて、これらのモジュールを使い分けて使用します。
ダイオードモジュールの使用用途
ダイオードモジュールは、産業用製品の中で幅広く使用される部品です。以下は、ダイオードモジュールの使用用途一例です。
- 直流モーター用電源
- インバータ用電源
- バッテリー充放電用制御装置
- パワーサプライ内部
ダイオードを用いることで交流電源の電流を一方向のみ取り出すことができるため、直流電源の内部に広く使用されます。平滑コンデンサーなどと合わせて使用することで、交流電流を直流電流へ変換可能です。
ダイオードモジュールの原理
図1. ダイオード内部の構造
ダイオードモジュールの原理を理解するためには、ダイオードの構造を理解する必要があります。ダイオードの内部構造は、n型半導体とp型半導体が交互に層状接続されており、アノード側からカソード側へ電圧がかかった場合に導通します。一方、逆方向へ電圧がかかった場合は、内部のn型半導体とp型半導体が互いに離れる方向へ電荷が移動することになり、電流が流れません。
この特性を利用して、一方向への電気が流れる整粒素子として用いることが可能です。
ダイオードモジュールの種類
ダイオードには、その性質に応じてさまざまな種類があります。
1. 整流用ダイオード
交流電流を流入させて整流するダイオードです。シリコンダイオードとも呼ばれます。電気を一方向にだけ流す性質を利用し、電源回路や保護回路に使用されます。
整流用ダイオードを4つ組み合わせたダイオードブリッジが有名です。
2. 検波用ダイオード
電流が小さい領域 (0.1 mA程度) で順方向の電圧降下が低い性質を利用して、電波から音声信号を取り出すダイオードです。ラジオなどの音声通信に使用されます。
かつてはゲルマニウムダイオードがよく用いられていました。しかし非常に高価なことから、現在ではショットキーバリアダイオードへの置き換えが進められています。
3. 定電圧ダイオード
電流が変化しても、電圧が常に一定となるダイオードです。ツェナーダイオードとも呼ばれます。逆方向に電圧をかけると一定の電圧で電気が流れるツェナー現象を利用し、過電圧保護回路に使用されます。
4. フォトダイオード
PN接合部分で光を受けると、電流や電圧が発生する性質を利用したダイオードです。光電センサや光通信などに使用されています。
太陽電池やDVDの凹凸面を反射したレーザー光の読み取り装置、テレビリモコンの受信部分に使用されることもあります。
5. 定電流ダイオード
電圧が所定の範囲内の際に、一定の電流を流すダイオードです。所定の電圧以上を印可すると、破損する危険性があります。バッテリーの充放電回路や漏電遮断器などに使用されます。
ダイオードモジュールのその他情報
1. サイリスタの内部構造
図2. サイリスタの内部構造
サイリスタは、ダイオードにゲート電極を加えた半導体部品です。p型半導体部分にゲート端子が付加されており、回路内にアノード側からカソード側へ正のバイアスがかかった状態で、かつゲート電流が流れた場合に導通するモジュールです。
一度ゲート電流が流れれば導通状態を維持し、次にアノード側からカソード側へのバイアスが負になるかゲート電流が0になるまでは導通し続けます。
また、サイリスタでは一方向のバイアスでしか導通しません。双方向のバイアスに対して動作させたい場合は、サイリスタを双方向へ設置した構造のトライアックが用いられます。
2. ダイオードモジュールとパワーモジュールの違い
ダイオードと同様に、電源回路に用いられる素子としてパワーモジュールがあります。パワーモジュールもスイッチや整流を行いますが、高電圧高電力が必要な製品で用いられるのが特徴です。
身近な例は、鉄道などのモータ回転数を制御するインバータです。省エネルギー化への対応として、高電圧高電力を扱うパワーデバイスの効率改善は世界中が注目しています。
参考文献
https://article.murata.com/ja-jp/article/what-is-diode
https://www.matsusada.co.jp/column/diode.html
https://article.murata.com/ja-jp/article/what-is-diode
https://techweb.rohm.co.jp/knowledge/sic/s-sic/01-s-sic/3660
https://www.zaikei.co.jp/article/20180430/439964.html