周波数カウンタ

周波数カウンタとは周波数カウンタ

図1. 電気信号波形の3つのパラメーター

周波数カウンタは、電子回路で発生している周波数を計測するためのデジタル機器です。

電気信号は、周波数、振幅、位相といった3つのパラメーターで表現できます。また、周波数の逆数によって周期を求めることが可能で、周波数計測は電気信号の基本的な測定において重要なパラメーターです。

周波数カウントの他に、デューティサイクル測定やパルスの立ち上がり時間やタイムインターバルなど、複数の機能を追加したものをユニバーサルカウンタと呼びます。

周波数カウンタの使用用途

周波数カウンタは、電流計電圧計のように電気信号計測における基本的な測定機器として使用されています。周波数カウンタ単体としての製品もありますが、デジタルマルチメーターオシロスコープ、光スペクトルアナライザなど、多くの機能を持った機器の一部の機能として、周波数カウンタの機能を持つ製品が多く開発されています。

周波数カウンタは、原理が非常にシンプルである点が特徴です。自作することも可能であることから、キットなども販売されています。周波数カウンタのキットは、数十MHzであれば各社から販売されていてます。理由としては、ダイレクト方式の周波数カウンタは複雑な動作をしないという特徴があるためです。

また、マルチテスターの中には、周波数計測が可能なレンジを搭載したものもあり、これらのタイプは手軽に扱うことができるため、大きな測定装置を運び込めないような現場などで、特に重宝されています。しかし、手軽というメリットがある一方で、高い周波数や有効数字を多くとるというような用途には不向きな点がデメリットです。

キットはLSI化されているものがほとんどであるため、構造のすべてを学習することはできませんが、気分を味わうことはできます。

周波数カウンタの原理

周波数カウンタの原理

図2. 周波数カウンタの原理 (ダイレクト方式)

周波数カウンタは、波形整形回路、ゲート、水晶発振器、計数回路によって構成されています。

1. 波形整形回路

入力された信号を「パルス列」に変換しています。

2. 水晶発振器

決まった時間幅を持ったパルスを生成します。先程のパルス列を測定するためのタイムウィンドウ (ゲートタイム) を生成し、タイムウィンドウは周波数の測定を行うための窓の役割をします。 (図2-a、図2-b参照)

3. 計測回路

タイムウィンドウに含まれるパルスの数を数えることによって、もとの信号の周波数を測定しています。周波数測定の分解能を決めているのが、水晶発振器で生成したタイムウィンドウの時間幅です。例えば、タイムウィンドウが1秒であれば1Hz単位での表示が可能で、タイムウィンドウが0.1秒であれば10Hzと、分解能はタイムウィンドウの時間幅の逆数に比例します。

周波数カウンタにおいて、最も誤差が発生するのはパルス列を生成するところで、特に入力信号にノイズが含まれていると、パルスの立ち上がりが不安定になったり、本来は無いはずの余分なパルスを生成したりします。 (図2-c参照)

誤差の発生を防ぐための工夫として施されているのが、繰り返し計測を行い、ノイズ成分を平均化する方法です。これにより、パルス列を生成するときに発生する誤差を低減させることができます。

周波数カウンタの測定方法

周波数カウンタの方式

図3. 周波数カウンタの方式

周波数カウンタは、入力信号の周波数を計測し、その結果を表示する機器です。測定方法は、実現が容易なため昔から利用されている「ダイレクト方式」と、高価ですが高い有効桁数を得ることが可能な「レシプロカル方式」の2通りがあります。

1. ダイレクト方式

ゼロ点クロス測定
ダイレクト方式の周波数カウンタは、入力信号の周波数がゼロ点でクロスした回数を計測する方式です。入力信号がサインカーブであれば、ゼロ点を下り、もしくは上りのいずれかでクロスする回数を計数します。ダイレクト方式の周波数カウンタのメリットは、ハードウェアだけで容易に実現できることです。そのため、この方式は昔から利用され、その1秒当たりのゼロ点クロス回数を周波数の測定値として表示します。

ダイレクト方式の周波数カウンタでは、機器の内部で正確な基準クロックを作っており、その時間だけタイムウィンドウを開けてゼロ点をクロスする回数を計測するのが特徴です。

測定有効桁数
ダイレクト方式の周波数カウンタにおける有効桁数は、タイムウィンドウの時間幅と入力周波数によって決まり、例えば、入力周波数が1GHzでタイムウィンドウが1secの場合、計測値は1x10^9で有効桁数は10桁です。入力周波数が1kHzの場合では、有効桁数は4桁になり、どちらも分解能は1Hzです。

ここで、タイムウィンドウ時間幅を長くすると分解能は上がり、例えば、タイムウィンドウ時間幅を100秒にすると有効桁数は1kHzで6桁となって、分解能は0.01Hzとなります。しかし、1回の測定に最低100秒もかかってしまうのは現実的ではなく、作業性が著しく低下してしまいます。また、計測値は±1の量子誤差が必ず発生するということを理解して使用する必要があります。

高周波信号の測定だけであれば、ダイレクト方式の周波数カウンタで問題なく測定が可能ですが、ダイレクト方式で精度を上げるためには、タイムウィンドウ時間幅を長くする必要があります。しかし、ダイレクト方式でタイムウィンドウ時間幅を長くすると、1回の測定時間も伸びてしまうため、極端に効率が悪くなるというデメリットが生じてしまいます。このような状況下での選択肢となるのが「レシプロカル方式」の周波数カウンタです。

2. レシプロカル方式

レシプロカル方式の周波数カウンタは、入力された波形をそのまま、または分周した波形を内部の基準クロックでカウントする方式です。特に低い周波数の計測の場合、高い有効桁数を得ることができるというメリットがあります。レシプロカル方式の周波数カウンタにおける有効桁数は、内部基準クロックとゲート時間で決まり、そして、入力周波数の影響は受けないのが特徴です。

例えば、内部基準クロックが10MHzでゲートタイムが1秒の場合、有効桁数は7桁になり、同じ基準クロックでゲートタイムが10秒の場合は、有効桁数は8桁です。低い周波数域での測定において高い有効桁数を得ることが可能なレシプロカル方式ですが、カウンタ自体の動作は複雑であるため、価格が高いというデメリットがあります。

参考文献
https://www.orixrentec.jp/helpful_info/detail.html?id=53
https://www.jstage.jst.go.jp/article/lsj/39/10/39_775/_pdf
https://www.techeyesonline.com/tech-column/detail/Reference-UniversalCounter-02/

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