ラインセンサカメラ

ラインセンサカメラとは

ラインセンサカメラ

ラインセンサカメラ (英語:line sensor camera) は、ライン状に対象物を撮像し、1枚の画像に合成するカメラです。

よく比較されるエリアセンサカメラでは、視野全体を1度に撮像します。それに対して、ラインセンサカメラは、1列のラインセンサに対して対象物を直角方向に移動させながら、あるいはカメラを移動させながら連続的に撮影することで、平面的な画像を取得できます。

横長の画像を取得する場合、ラインセンサカメラであればピクセル単位で生じるわずかな変化もとらえることが可能です。

ラインセンサカメラの使用用途

ラインセンサカメラは、道路や外壁をはじめとした社会インフラの検査から、不織布・歯車・半導体部品などの工業的な検査、美術品の解析、今まで目視検査を行っていた果実の選別など、幅広い目的で使用されます。

ラインセンサカメラが適している対象物は、サイズが大きいもの・高精度な分解能が必要なもの・連続した長いもの・立体の外観などです。

例えば、サイズが大きい対象物を撮影する場合、エリアセンサであれば分割して撮影する方法もありますが、複数の画像をつなぎ合わせなければなりません。一方、ラインセンサを用いると、1枚の画像として撮影できるため、画像をつなぐ作業は不要です。

ラインセンサカメラの原理

ラインセンサカメラは、通常のカメラと同様に、レンズから入った光をCCD・CMOSなどの撮造素子上で結像させることで電子的な信号に変換し、画像として出力します。

1列のラインセンサで構成される撮像素子に対して、垂直方向に被写体を移動させて連続的に撮影します。そして、多くの画像を合成して、連続した画像を取得します。ラインセンサカメラはモノクロの画像を取得できるモデルと、カラーまたは不可視光線の画像を取得できるモデルに大別されます。

カラー画像が取得できるモデルでは、ラインセンサの配列が1~3列程度であり、多層構造になっています。 これは1つのセンサから入手できる色情報が1つであるためです。3列のカラーセンサーでは、特定の1ピクセルを青・緑・赤の色情報が取得できる3つの撮像素子で撮影します。

一方、1列のカラーセンサーでは、特定の1ピクセルを1つの撮像素子で撮影するので、単一の色情報のみを取得します。そして、周囲の色情報から特定の1ピクセルの色情報を推定するので、色の正確度が3列のカラーセンサーより劣ります。

ラインセンサカメラの選び方

ラインセンサカメラの選定で重要なことは、扱う対象システムの分解能・露光制御・高速対応・感度などトータルで判断することです。

1. 露光制御

旧来のラインセンサカメラは露光制御がなく、速度変動に対して手動で光源の明るさを変化させています。電子シャッターを使うことにより、速度の変化があっても、露光時間を自動で変えて同じ明るさで撮像できます。

2. 高速対応

データ処理能力を表わすスループットで判断します。現在では最高速度レベルのカメラが市販されています。

3. 感度

従来のラインセンサカメラは、1ラインスキャン分の露光タイムしか取れないため、強めの光源を要します。したがって、センサ自体は開口率100%の効率の良いものを使用しています。また、タイムディレイインテグレーション技術を使った数十倍以上も感度を向上させたカメラもあり、光量が上げられない場所や高速スキャンに適しています。

4. シェーディング補正

最新カメラでは、ピクセル内のわずかな感度の差異をカメラでリアルタイムに補正する機能があります。このツールを使って、照明ムラによる幅方向の光量変化補正であるシェーディング補正が可能です。

ラインセンサカメラのその他情報

ラインスキャンカメラのメーカー

ラインセンサカメラは、長尺物の検査や立体物の外観検査など特定の分野で使われます。したがって、エリアセンサカメラと比較すると、市場が限定的と言えます。ラインセンサカメラの市場規模は、エリアセンサカメラの40%ぐらいですが、急速に拡大しています。

ラインセンサカメラのメーカーは発展途上の製品であるため、非常に多くあります。従業員が多い会社では、株式会社キーエンス・浜松ホトニクス株式会社などです。さらに、コアテック株式会社・株式会社アバールデータ・株式会社ジェイエイアイコーポレーションなど多くあります。

参考文献
https://www.keyence.co.jp/landing/req/vision/cv-x_1097_03.jsp
https://www.jfe-steel.co.jp/research/giho/015/pdf/015-16.pdf

コンタクトプローブ

コンタクトプローブとはコンタクトプローブ

コンタクトプローブとは、電気的な接合部がバネで収縮する構造をしており、電気的な導通を得るための通電プローブのことです。

探針やオルガンコンタクト等と呼称される場合もあります。例えば、測定などの場合に電気的な導通をさせるために金属部同士を当てた場合、その金属同士はある程度の力で接触していないと電気的な接続が不安定になり、正確な接続を得ることができません。

コンタクトプローブは、接合部をバネで摺動させる構造とすることで電気的な接続をバネの押し圧力で接触させ、電気的な接続を安定させるようにしたプローブです。

コンタクトプローブの使用用途

コンタクトプローブは、電子部品やプリント基板などの導通検査や通電検査などに使用されます。電子部品やプリント基板などを生産するにあたり、品質の向上のために生産工程の中に導通検査や通電検査が組み込まれることがあります。

そのような場合は、検査対象となる電子部品やプリント基板の任意の場所に電圧を掛けたり電流を流したりすることが必要です。また、半田付けやコネクタによる接続を不要とし、簡単に脱着したい場合にコンタクトプローブが使用されます。

コンタクトプローブは、接触部の形状や太さ、バネの圧力や摺動ストロークなどが選べることが多く、接触させる相手の材質や形状、流す電流の大きさなどに応じて適切な物を選ぶことが大切です。

コンタクトプローブの原理

コンタクトプローブは、ハサミ機と呼ばれる検査機やICT (In-circuit Tester) と呼ばれる検査機で使用され、それらの検査機にはピンボードと呼ばれる物が使われています。ピンボードは、コンタクトプローブ専用のソケットが用意されているので、これを厚さ10mm程度の樹脂の板に検査対象の接続位置に合わせた位置に穴を開けて取り付けて電気配線を施し、ソケットにコンタクトプローブを差し込んだ構造をしています。

ハサミ機と呼ばれる検査機やICT (In-circuit Tester) と呼ばれる検査機は、ピンボードを垂直に上下させる機構を備えているため、検査対象をピンボードで挟み込むことで検査対象箇所にコンタクトプローブを当てて、電気的な通電検査を行うことが可能です。

コンタクトプローブの構造

コンタクトプローブは、先端にある電気的な接合部であるプランジャ、固定する本体となるパイプ (ないしバレル) 、パイプの中にあるバネで構成されます。また、コンタクトプローブには専用のソケットが用意されているのでソケットを固定して配線することで、コンタクトプローブが消耗した際にプローブのみを交換することが可能になります。

コンタクトプローブの選び方

コンタクトプローブの選定は主に、大きさ、ストローク、針圧力、先端形状の4つの要素で選定します。

1. 大きさ

大きさは、プローブを当てる場所の密度や流す電流の大きさなどの条件で選定します。

2. ストローク

ストロークは、機器のピンボードなどを上下させる機構の移動量や検査対象の位置や高さなどの条件で選定しますが、概ね摺動量が全ストロークの2/3程度になるような物を選定するのが好ましいです。

3. 針圧力

針圧力はバネの力のことで、コンタクトプローブの本数や機器のピンボードなどを上下させる機構に加えられる力などを考慮して選定します。例えば、機構が出せる力が5kgfだとして100本のプローブが備わったピンボードを扱うには、1本当たりの針圧力 (バネ力) を50g以下の物を選定しないと、機器が正常に動作しません。

4. 先端形状

先端形状は、コンタクトプローブを当てる相手の材質や大きさや形や流す電流などに適したものを選定します。

コンタクトプローブのその他情報

テストパッドの準備

検査対象となる機器で予め生産工程上で通電検査をする見込みがある物を設計する場合、回路設計時に測定ポイントを想定しておくことをおすすめします。プリント基板を設計する際に、コンタクトプローブを当てるためのテスタパッドを織り込むことで、コンタクトプローブを当てやすくなったり狹ピッチの部品からの信号でも取り出しやすくなったりするためです。

光学顕微鏡

光学顕微鏡とは

光学顕微鏡

光学顕微鏡 (英: Optical microscope) とは、接眼レンズ及び対物レンズで肉眼では見えない微小な物体を拡大して観察するための機器です。

光源として蛍光やレーザーを利用するものもありますが、一般的には可視光を利用しているものを指します。

拡大倍率は数倍から1500倍程度のものがあります。観察対象物の違いにより生物顕微鏡や金属顕微鏡の種類があり、対象試料の光の透過性により使い分けます。

光を透過する生物試料などは透過光を用い、光を透過しない金属試料などは反射光を用いて観察します。その為、生物顕微鏡と金属顕微鏡は光源とレンズ、試料の配置が異なります。

光学顕微鏡の使用用途

光源として可視光を利用するため、光を変換することなくヒトの眼で直接観察することができることから構造が単純であり、価格も比較的安価であることから、生物学、医学、食品分野、半導体分野、教育分野など様々な分野で広く使用されています。

具体的には、血液検査、微生物検査、粉塵検査、集積回路検査などの各種検査での使用や、それらの分野の研究開発用途などです。

光学顕微鏡の原理

光学顕微鏡の原理

図1. 光学顕微鏡の原理

光学顕微鏡の原理は、観察対象物に光をあて、対象物を透過した透過光あるいは反射光を対物レンズで拡大するというシンプルなものです。

観察者は、対象物の光(像)が対物レンズで拡大され、その光(像)がさらに接眼レンズで拡大された虚像を見ていることになり、光学顕微鏡の倍率は対物レンズ及び接眼レンズの拡大倍率を掛け算した積で表されます。倍率が高いほどより小さな対象物を大きく拡大して観察することが可能です。

顕微鏡は照明の当て方により大きく「透過型」と「反射型」2種類に分けられる。透過型の場合では細胞や細菌などの生物試料のような光を透過する物体に使用され、反射型では金属や半導体などの光を透過しない物体に使用されます。また試料をのぞき込む方向によっても分類され、試料に対して対物レンズを上に配置した正立型と下に配置した倒立型があります。特に、シャーレで培養したサンプルは下からのぞき込む必要があるため倒立型が使用されます。図では最もポピュラーな正立透過型の顕微鏡の概要図を記しております。

光学顕微鏡の光学倍率は対物レンズと接眼レンズの倍率によって決まります。また、光学顕微鏡での観察においては、拡大倍率だけではなく分解能やコントラストも重要な要素となります。

分解能は、ある異なる2点を2つの点として識別できる最小距離(δ)のことを指し、どれだけ細部まで識別できるかを示す指標です。顕微鏡の場合は対物レンズの開口数(NA)と光の波長(λ)で分解能が決まり、以下の式で表されます。

δ = kλ/NA (kは定数)

また開口数NAはn×sinθで計算され、nは対物レンズと媒質の間の屈折率、θは対物レンズに入射する光線の光軸に対する最大角度です。

次に、コントラストについて説明します。

生体試料などは透明な場合が多く、試料をそのまま観察しても透き通ってしまい、構造を認識できないことがあります。このような場合は、試料を色素で染色したり光を絞ったりして観察条件を調整必要があります。染色や光の調整で像にコントラストをつけて対象物を観察しやすくします。

近年では、染色や絞りの調整以外にも光の散乱や回折、蛍光を利用する観察方法が位相差や微分干渉などいう名称で確立されています。それらの観察方法に特化した光学顕微鏡も存在し、光学顕微鏡の中でも位相差顕微鏡微分干渉顕微鏡と呼ばれています。細胞などを染色する場合は、細胞が死んでしまいますが、位相差顕微鏡や微分干渉顕微鏡を用いると生きたままの細胞を観察することが可能になります。

光学顕微鏡のその他情報

1. 光学顕微鏡の明視野観察と暗視野観察の違い

光学顕微鏡での観察を行う際には、対象に対してどのように光を当てるかによりその見え方が変わります。基本的な観察方法としては、「明視野観察法」「暗視野観察法」「偏斜照明での観察」の3種類があります。

明視野観察法は最も基本的な観察方法で、対象を光で照らして透過した光を観察するものです。主に、染色したサンプルの観察に用います。

一方で暗視野観察法では真下から光を当て、散乱光や反射光によって観察を行います。主に、着色されていない透明な対象や小さな対象の観察に利用される方法です。

明視野観察法を行うためには対象を染色することが基本となりますが、対象が生体である場合は染色による死滅や機能を損なう懸念があるため、この場合は染色せずに暗視野観察法を利用することになります。

これら2つの観察方法の中間であるのが偏斜照明での観察です。対象に対して斜めから光を当てることで、明視野観察法と暗視野観察法の中間的な見え方を実現することができます。

2. 光学顕微鏡における液浸対物レンズ

光学顕微鏡の分解能は開口数に反比例するため、開口数を大きくすることでより小さな分解能が得られます。開口数は対物レンズと媒質の間の屈折率に比例しますが、液浸対物レンズはこの特性を利用し、試料と対物レンズの間に屈折率の高い液体を満たすことでより優れた分解能を得る手法です。観察する対象によって使用する液体も異なります。

液体としてオイルを利用する対物レンズを「油浸対物レンズ」と呼びます。オイルは水よりも屈折率が高いためより分解能を高める効果があり、油浸対物レンズを用いることで明るくシャープな像を得ることができます。ただし、厚みや試料とカバーガラスに間がある対象を観察する場合には、対象とカバーガラスの屈折率差により対物レンズによる球面収差が発生し、顕微鏡が結ぶ像はぼけてしまいます。

一方で、液体として水を利用する対物レンズを、「水浸対物レンズ」と呼びます。水浸対物レンズは、対象の厚みにかかわらず同等の像が得られるように設計されています。薄い対象について観察する場合は油浸対物レンズのほうがより明るくはっきりと視認できますが、厚みがある対象を観察する場合は、水浸対物レンズを用いたほうが良い性能を得ることができます。

振動試験機

振動試験機とは

振動試験機 (英:vibration testing machine) とは、部品や製品に振動を与える試験機です。

振動試験機は、振動による破損や故障を確認したり、部品の振動応答特性を調べるたりするために使用されます。どんな製品でも長期間の振動による疲労から、破損の可能性があります。そのため、品質保証の観点から振動試験機を使う試験が多く行われます。

振動試験機の使用は、主に正弦波振動やランダム波振動による耐振性能を確認するのが目的です。また、機械系の振動応答特性である機械インピーダンスの測定を行い、共振周波数の把握や振動対策にも活用されます。

振動試験機の使用用途

振動試験機は、部品や製品の耐振動性の確認及び部材・構造体の振動応答特性の把握などに使用されます。

  • 自動車部品や電子部品などの製品が振動環境に耐えて、性能を発揮できるかの確認
  • 家電製品・OA機器・食品など出荷される製品が輸送時に受ける振動による製品、およびパッケージへの影響の確認
  • 建築資材や建物自体の地震に対する耐力の試験、及び免震構造・制震構造の効果確認
  • タービン発電機のタービンブレードの振動特性・軸のねじり振動特性
  • 工作機械のフレームの機械インピーダンス測定
  • 振動計地震計の校正など

振動試験機の原理

振動試験機は駆動方式によって、機械式・油圧式・動電式・サーボモーター式などに分類され、それぞれ原理が異なります。

1. 機械式振動試験機

駆動力としてモーターを用いて、回転運動を機械式に往復運動に変える方式です。油圧式や動電式に比べて、比較的低価格です。近年機械式は、制御性が短所で、他の方式に置き換わっています。

2. 油圧式振動試験機

駆動力として油圧ポンプからの油圧を使う方式です。サーボバルブにより油圧回路を高速で切換えて振動させます。低い振動数・ロングストローク・大パワーが必要な場合に適しています。周波数範囲は1~300Hz程度です。建物などの大型構造物を地震波で振動させる場合などに多く使われます。

3. 動電式振動試験機

磁界中の導線に電流を流したときに発生するローレンツ力を利用する方式です。励磁コイルによる磁界中に設置した駆動コイルに交流電流を流すことで、電流に応じて往復運動させます。

加振機の振動をピックアップで検出して、制御器にフィードバックし、振動を設定値に保ちます。この方式の特徴は、加振振動数の範囲が広いことで、特に高い振動数まで対応可能です。振動数範囲は、5~3,000Hz程度が一般的ですが、小型の加振機では、さらに高く、40,000Hzまで可能なタイプもあります。

4. サーボモーター式振動試験機

ACサーボモーターと、ボールスクリューを組合せたサーボモーターリニアアクチュエータを使用して振動させる方式です。油圧式に比べ搭載荷重は低く、動電式に比べると振動数範囲は低くなります。油圧式と動電式の中間的な動作範囲です。振動数範囲は、0.01~300Hz程度です。

振動試験機のその他情報

1. 振動試験の種類

振動試験の種類は、正弦波振動試験・ランダム波振動試験・衝撃試験などに分類されます。

正弦波振動試験
一定周期で繰り返す振動を与える試験です。振動周波数と振幅を固定して試験する方法と、周波数を掃引し、振幅は振動数に応じて設定する試験方法があります。主に耐振性の確認に使われます。更に、振動周波数を変化させて試料の共振の有無・共振周波数・振動応答特性を調べる試験があります。

ランダム波振動試験
規則性のないランダム振動波形で加振する試験です。試験条件は振動数帯域と加速度のスペクトル密度で規定します。この試験は、上下左右前後の3方向について行います。電気製品や電子部品が地上の車両走行や航空宇宙輸送の振動負荷でどのようになるかをよく再現できます。そのため、応力累積による性能劣化や機械故障の検出効果が高く、市場環境により近い試験結果が得られます。

衝撃試験
一般的に、規定のピーク加速度と作用時間のパルス波形衝撃を供試品に加える試験です。衝撃環境に対する耐性・特性評価を行います。

2. 振動試験機の大型化と小型化の傾向

振動試験機の大型化が進んでいます。従来は電気製品や電子部品・自動車用部品などが試験の主体でしたが、包装貨物や鉄道車両搭載部品・航空宇宙産業・耐震建築などのニーズが高くなっています。また、航空宇宙産業で必要な振動周波数は、民生品や車載品より高いため、そのスペックに合わせた試験機も開発されています。

振動試験機の小型化のニーズも増えているのが現状です。例えば、卓上型振動試験機があります。この試験機は、プリント基板上のはんだ付け不良や、コネクターの接触不良・ビスやナットの締め付け不良などの検出に使われます。また、ハンディ型の振動試験機が開発されています。この試験機では電子機器の耐振チェックや、特定箇所の振動応答特性の測定に使用されています。

参考文献
https://www.imv.co.jp/pr/simulation_system/
https://www.espec.co.jp/products/trustee/test/compound.html
https://www.test-navi.com/jp/test/cases/pdf/06_sindou.pdf
https://www.iri-tokyo.jp/uploaded/attachment/1745.pdf
https://www.keisokuten.jp/file.php?id=9930

漏れ電流計

漏れ電流計とは

漏れ電流計

漏れ電流計 (英語:leakage current measure) とは、電気機器からの漏電電流を測定する機器です。

一般にmA以下の微小な電流を測定できるクランプメーターのことを指します。

漏れ電流計の使用用途

漏れ電流計は、一般的に法令で定められた基準に適合するか判断することを目的として、電気設備や医療機器などに使用されます。

漏れ電流は人体への影響が大きく、微弱でも死に直結するため安全の観点から正確な測定が必要です。また、通信機器ノイズの原因につながるので、品質の観点からも重要となります。

漏れ電流計の原理

漏れ電流計は回路導体と非接触に測定可能で、線をクランプメータで挟むことで電流を測定します。

電流検出の原理は、電流により発生した磁界を検出して測定電流に比例した出力を取り出します。検出方法は、最も一般的なものとしてCT方式、ロゴスキーコイル方式、ホール素子方式、フラックスゲート方式などがあります。

1. CT方式

測定対象の電流を、巻線比に対応する2次電流に変換する方式です。

2. ロゴスキーコイル方式

測定対象の電流の周辺にできた交流磁界によって、空芯のコイルに誘起される電圧を変換する方式です。

3. ホール素子方式

ホール素子とCT方式を合わせることで、直流電流から測定する方式です。ホール素子とは磁界を発生させた箇所に電流が流れる際に発生する電圧を測定する素子で、直流測定ではこの方式が主流となります。

4. フラックスゲート方式

フラックスゲート (FG素子) とCT方式を合わせることで、直流電流から測定する方式です。フラックスゲートとは鉄心に2本の逆向きコイルを巻くことで発生磁界を測定する素子で、磁界から電流値に逆算します。

漏れ電流計のその他情報

1. 漏れ電流と医療機器

医療機器の発売前には厚生労働大臣の承認が必要です。その中でも、能動医療機器といわれる医療用電気機器の承認には、装着部 (患者に接続する箇所) が電気的にどのカテゴリに該当するのかを規定しなければなりません。

特に心臓など、最もシビアな環境に対して使用される医療機器では、IEC 60601-1 (JIS T0601-1) で規定される「CF型装着部」といわれるカテゴリー (漏れ電流許容限界0.01 mA) に適合する必要があります。このように、医療機器の設計検証の段階では、機器から漏れる漏れ電流の厳格な管理が重要です。したがって、医療機器の承認では規格に対応した専用の漏れ電流計 (試験装置) を用いて漏れ電流を測定します。

2. 漏れ電流計と一般的な電流計の違い

漏れ電流計の最大の特徴は分解能です。負荷電流を測定する電流計は、クランプ方式の場合は1A以上の大電流を測定します。一方、漏れ電流計は微弱な電流を計測する必要があるため、1A以下の微弱電流を測定できるのが特徴です。半導体製造工程向けに微弱電流を測定する負荷電流計も存在しますが、その用途では回路へ直列接続する機器が一般的です。

3. 漏れ電流計の使い方

クランプ型漏れ電流計は電気配線の漏電検査などに用いられ、停電不要で機器を通電状態で検査できます。

測定環境の整備
漏れ電流計は、その原理から外部磁界の影響を受けます。そのため、トランスなど外部磁界の原因となる機器から隔離した場所での測定が必要です。

計測の方法
環状のクランプを開き、測定対象ケーブルを環内に挿入してクランプを閉じます。零相による漏れ電流測定では、全相一括でクランプします。アース線による漏れ電流測定ではアース線を単独でクランプします。その後、測定レンジを計測目的に従って設定し、計測開始です。表示インターバル間隔を設定できる製品や、平均値を表示できる製品も存在します。計測対象や計測目的によって漏れ電流計を選定することが大切です。

4. 漏れ電流の種類

保護導体電流 (接地漏れ電流)
IEC 60601-1規格において、「主電源部品から絶縁体を通ってまたは絶縁体を横切って保護接地導体または機能接地接続線に流れる電流」として定義されます。

タッチ電流 (接触電流) またはエンクロージャの漏れ電流
IEC 60990規格において、「設置または機器の1つまたは複数のアクセス可能な部分に触れるときの人体または動物の身体を通る電流」として定義されます。

患者漏れ電流
IEC 60601-1規格において、「患者接続から患者を経由してアースに流れる電流」として定義されます。

患者測定電流 (医療用電気機器のみ)
IEC 60601-1規格において、「正常な使用時に,患者を介してある患者接続部と他のあらゆる患者接続部との間に流す生理的な効果を意図しない電流」として定義されます。

参考文献
https://www.texio.co.jp/uploads/GLC-9000%E6%93%8D%E4%BD%9C%E6%A6%82%E8%A6%81.pdf
https://estcj.com/%E8%A3%BD%E5%93%81%E5%AE%89%E5%85%A8%E3%81%AE%E8%80%83%E3%81%88%E6%96%B9%EF%BC%9A%E6%BC%8F%E3%82%8C%E9%9B%BB%E6%B5%81%EF%BC%81
https://www.panasonic.com/jp/corporate/pac/safety/safety_test/leakage-current.html
https://metoree.com/categories/leakage-current-measure/
https://www.kew-ltd.co.jp/files/jp/manual/2433R-2433RBT_IM_92-2347A_J_L.pdf
https://www.hioki.com/file/cmw/hdInstructionManual/94201/pdf/
https://www.kew-ltd.co.jp/support/knowledge/technical/clampmeter

超音波センサー

超音波センサーとは

超音波センサー

超音波センサー(英語: Ultrasonic sensor)とは、超音波を利用して物体までの距離を測る装置です。

超音波とは、周波数が高くて人間に聞こえない音の総称です。人間の耳は20Hz~20,000Hzを感知しますが、それ以上の周波数音を超音波と言います。

超音波センサーは超音波を発生させ、反射した音波を感知することで距離を測定します。近年では小型軽量化が進み、安価となったため幅広く用いられています。

超音波センサーの使用用途

超音波センサーは家庭用から産業用まで広く用いられます。

家庭用としては、非接触で距離測定可能である利点が活かされ、車載距離計やジェットタオル等に用います。車載距離計は衝突被害軽減ブレーキ義務化によって急速に広まりつつあります。

産業用途としては、排水タンクや薬品貯液槽のレベル計などに使用されます。腐食性の高い液体などに対して使用されることが多いです。

魚群探知機も超音波センサーを使用しています。古くから使用されている超音波センサーの用途です。

超音波センサーの原理

超音波センサーは、超音波を発信し反射波を感知することで距離を測定します。

音の速度は伝播する雰囲気によって決まっており、大気中では340m/s、水中では1,500m/s程度とされます。伝播する雰囲気が分かれば、反射波が受電素子に到達する時間を測定して距離換算可能です。

超音波センサはメインとなる部品は圧電素子です。圧電素子は電気エネルギーを圧力エネルギーへ変換し、圧力を加えると電気エネルギーへ変換する仕組みを持ちます。

従って、圧電素子は送受信双方の機能を担っています。入力電気信号を超音波へ変換し、反射波を感知して電気信号を出力します。

原理上、超音波センサーのメリットとデメリットは以下のようになります。

超音波センサーのメリット

  • 非接触で物体の距離を検知できること
  • 対象物がガラスのような透明なものでも検知できること
  • 対象物までの間に多少の汚れやほこりなどがあっても通過すること
  • 超音波の速度は速いので、対象物が動いていても検知できること

超音波センサーのデメリット

  • 温度や風に変化されやすいこと
  • 柔らかくてでこぼこしたものは感知することができない

また、超音波センサーの最大の特徴は、非接触で距離を測定できる点にあります。非接触測定が必要な場合に使用されることがほとんどです。

超音波センサーのその他情報

1. 超音波センサーの使い方

市販されている超音波センサーは、アナログ回路発信器として販売されています。出力信号は4-20mAなどの規格が確立されたアナログ信号で、補助電源を入力すればソース出力も可能です。

また、モジュールとしても販売されており、Raspberry PiやPICなどの小型コンピュータとも相性よく接続できます。簡単なバッファーアンプで増幅すれば、波形を成型してI/Oに接続できます。

発信側も消費電力は微少で、出力端子に(アッテネータを介して)直接接続することができます。

センサーは発信側と受信側が対で必要です。ただし、超音波センサーは送信素子が受信素子としても作動するため、一つの素子で送受信ができ、回路自体が簡単になります。

なお、透過型で使用する場合、送信素子と受信素子は別々に設置することが必要です。

2. 超音波センサーを使った回路

超音波センサーの発信素子駆動電圧は一般的に数Vなので、CPUのI/O端子に直接接続できます。

受信信号をデジタル回路で使用する際は、バッファアンプ、検波器、コンパレータでデジタル信号に変換してからCPUで演算処理を行います。

なお、一般的な超音波センサーの共振周波数は40kHzです。

3. 超音波センサーの精度

超音波センサーの精度は一般的に波長程度とされています。40kHz超音波を用いる場合、精度は10mm程度となります。

受信素子に戻ってきた超音波パルスの波形が対象物の形状などによって、測定値にバラツキが出てくるためです。反射波パルスの検出ポイントを最適化することで、精度を上げることもできます。

参考文献
https://www.keyence.co.jp/ss/products/sensor/sensorbasics/us_comparison.jsp
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jime1966/17/4/17_4_276/_pdf
https://www.bannerengineering.com/jp/ja/company/expert-insights/ultrasonic-sensors-101.html
https://www.keyence.co.jp/ss/products/sensor/sensorbasics/us_info.jsp http://ww1.microchip.com/downloads/jp/AppNotes/00001536B_JP.pdf
https://www.murata.com/ja-jp/products/sensor/ultrasonic/overview/open
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jjspe1933/51/6/51_6_1238/_pdf

レーザーダイオード

レーザーダイオードとは

レーザーダイオード

レーザーダイオード (英: laser diode) とは、半導体の再結合発光利用した光です。

再結合発光とは、電子の抜けた穴 (正孔) と電子が接合部で出会い、お互いが持っていた余分なエネルギーが光となって発光することです。

レーザーダイオードの光は、単一波長で位相が揃ったレーザー光であり、半導体レーザーとも呼ばれてLDと表記します。半導体レーザーの色は半導体の構成元素により決まります。例えば、InGaNは紫外から緑色 (380~540nm) 、AlGaInPは赤色 (620~700nm) 、InGaAsPは赤外光となります。それぞれの基板はInGaNは「GaN」、AlGaInPは「GaAs」、InGaAsPは「InP」です。

LEDは半導体レーザーと同じように光を放ちますが、半導体レーザーに比べ光の位相や波長の幅にばらつきがあります。つまり半導体レーザーはLED (発光ダイオード) と異なり、「誘導放出」と呼ばれる原理に基づいて光を放つため、位相の整った強い光を発射することが可能になります。

レーザーダイオードの使用用途

レーザーダイオードは民生用機器で広く用いられます。その理由は、サイズが小型で大量生産が可能なため製造コストが低く押さえることができるためです。

情報機器では、CDやDVDやBD等の光学ドライブの光ピックアップ、コピー機やレーザープリンター、光ファイバーを用いた通信機器などに利用されます。また、高出力なものではレーザーマーカーレーザー加工機などにも応用されています。

他にもレーザー光のもつ拡散しにくく遠距離まで届くという性質を用いて、測量機器や物を指し示すレーザーポインターとしても利用されており、低出力赤色半導体レーザー素子の小型化・低価格化とともに大きく普及しました。

レーザーダイオードの原理

レーザーダイオードは、電圧印加により正孔 (電子の抜けた穴) と電子が再結合して光が放出されます。

その際、放出された光子が引き金となり、別の電子も正孔と次々と再結合することで光子を放出するため、発生した光は同じ位相、同じ波長の光となります。光の波長が常に一定であるため、バーコードリーダーやレーザーポインター、光ファイバー通信など、一定の光量が必要な場面に用いられています。

レーザーダイオードのその他情報

1. レーザーダイオードの仕様

レーザーダイオードの仕様を理解するためにはL/I曲線を利用します。この曲線を用いることで出力される光強度に対して供給される駆動電流を記録しておくことができるようになります。

この曲線はレーザーでの動作点 (定格発光出力での駆動電流) 及び閾値電流 (レーザーの発振開始電流) を決定するために使用されており、特定の電流で高出力を得るのに必要な電流を決定するためにも使用されています。

この曲線図を読むことで光出力は温度に大きく依存しており、温度が上昇するとレーザー特性も低下することが分かるようになっています。このことからL/I曲線を取り入れることでレーザーダイオードの効率を視覚化し、推定することが可能になっています。

2. レーザーダイオードと発光ダイオードの違い

発光ダイオードは光の位相が揃っていないため放射状に拡散することが特徴です。それに対してレーザーダイオードは位相が揃うため直線的な光線になります。

発光ダイオードでは発光層の面が広いためコア系の小さなファイバに入射しにくい特性があります。一方で、レーザーダイオードは発光層が狭いがコア系の小さな光ファイバには入射しやすいという特徴を備えています。

レーザーダイオードでは電圧印加により正孔と電子が再結合して放出された光子が引き金となり、別の電子も正孔と次々と再結合することで光子を放出 (誘導放出) します。そのために発生した光は同じ位相、同じ波長の光となります。これに対して発光ダイオードで発生される光は位相や波長がバラついた様々な光となります。

3. レーザーダイオードの寿命

レーザーダイオードの平均寿命は動作環境 (動作温度、静電気、電源でのサージ) によって異なり、一般的には10,000時間と言われます。ここでは平均寿命に影響する動作環境要因のうち、動作温度について説明します。

まず動作温度の影響では動作温度が10℃上昇すると寿命が半分に減少するといわれており、最大動作温度を超えて上昇が続く場合はレーザーダイオードが損傷したり、長期的なパフォーマンスが低下したりする可能性が大きくなっていくことが分かっています。したがって、発熱による影響を極力避けるため、製品内部の熱を外へ逃がす目的としてヒートシンク (放射板) を使用することが推奨されます。

参考文献
https://www.fiberlabs.co.jp/tech-explan/about-ld/
https://www.fiberlabs.co.jp/tech-explan/about-led/
https://www.rohm.co.jp/electronics-basics/laser-diodes/ld_what1
https://www.electronics-notes.com/articles/electronic_components/diode/laser-diode-specifications-parameters.php

触覚センサー

触覚センサーとは

触覚センサー (英: Tactile sensor) とは、ヒトの触覚を模したセンサーのことです。

使用されるセンシングデバイスは、接触面の圧力と振動を電気的信号に変えるセンサーであり、このセンサーの働きをヒトの触覚に模倣するために、センサー技術の周辺含め様々な技術的取り組みがなされています。さらに、触覚センサーは温度に対する感受性など複数の情報と統合され、繊細な対象の質感を推定したりする機能を備えるものもあります。

触覚は対象の性質、テクスチャを評価する機能にとどまらず、物を適切な力で掴むため、ペンを握って文字を書いたりするためなど、人の基本動作に重要な役割を果たすことから、ロボティクス技術の発展に必須です。

触覚センサーの使用用途

触覚センサーは、医療診断やロボットへ活用されたり、産業分野への応用されたりしています。

ただし、昨今ではVR (Virtual Reality:仮想現実) に代表されるゲーム空間やメタバース分野への応用も、Hapticsという触覚技術の総称名で多いに期待されています。

1. 触覚センサーの医療への応用

触覚センサーの医療への応用

対象の硬さを評価できることから、乳がんや前立腺がんに由来する「しこり」の存在を感度よく捉えることが可能で、がんの早期発見に貢献しています。また、表面の粗さに起因するざらつきを評価することで、皮膚炎や乾皮症などの定量評価に用いられます。

2. 触覚センサーのロボティクスへの応用

触覚センサーのロボティクスへの応用

ロボティクスでは、指に擬したセンサー開発によりロボットハンド用センサーとして、握力調整のための情報を提供します。

3. 触覚センサーの産業分野への応用

産業においては製品のテクスチャをモニタリングすることで、品質管理に役立てることができます。

4. VR向けのHaptics

VR (Virtual Reality:仮想現実) の世界では、3D向けのゴーグルなどは既に商品化されていますが、このVRにスーツやグローブを装着し、触覚センサーを搭載することで、VRの世界においてより現実感あふれる世界を再現するためのアプリケーション応用が取り組まれています。

触覚センサーの原理

触覚センサーは、物体への接触力を電気量に変換するための様々な物理現象を活用しており、変換デバイス (センサー:素子) を中心に構成されています。これらの電気信号は、信号・情報処理回路を介して解析されます。このセンサーには、原理的に様々な検出様式が採用可能です。

例えば、導電性で挟まれた空間の圧力を加えたことによる変化に伴う静電容量を検知する方法があります。用途にもよりますが、一般的にはセンサー素子として圧電セラミックス素子 (PZT:ジルコン酸チタン酸鉛) が利用されているケースが多いです。圧電セラミックス素子はピエゾ素子とも呼ばれて、圧力を加えることによって電圧変化を生じます。これを圧電効果と呼びます。

ピエゾ素子の固体結晶内のイオンの配置が、圧力を掛けることにより変化することで、結晶の一端がプラスの電気を帯び、もう片方がマイナスの電気を帯びるという、電気分極という現象が起こります。圧力の情報や振動の周波数情報が圧電素子によって電気信号に変換されることで、ASICなどで構成されるアナログ・デジタル各々の処理回路を介して触覚の情報へと変換が可能です。

また、光学的な原理としては、センサー内部の光導波路の散乱光の変化を検出することにより、センサー表面での物体の接触位置を捉えられます。

触覚センサーのその他情報

1. 触覚センサーの市場

触覚センサーの市場規模は、2019年の82億490万$から、2025年までに160億8380万$へ達すると予測されています。

触覚センサーは、⼈と共同で働くことができるロボットの発展を⽀える重要な要素の⼀つです。実例を挙げると、アメリカのMITで開発が進められているRoCycleというロボットでは、材質を識別する触覚センサーをロボットハンドに内蔵し、紙やプラスチック、⾦属を認識して分別することができるように研究が進められています。

韓国の浦項⼯科⼤学校では、ナノスプリングなどを⽤いて、微細な圧⼒や振動を感じ取ることができる⼈⼯指紋センサの開発が進められています。開発の成果として、触覚センサーで得た情報を機械学習で解析し、99.8%の精度で8種類の繊維の区別に成功したと発表しました。触覚センサーの精度が向上することによって、ロボット産業を中心にこれから益々需要が見込まれます。

2. MEMS触覚センサー

MEMS (Micro Electro Mechanical Systems) とは、センサー、電子回路などを、微細加工技術によって基板上に集積化したデバイスのことです。

近年では、MEMS技術を用いた超高感度の触覚センサーが注目されています。

  • 香川大学高尾研究室での研究結果はこちら

3. Haptics分野への展開

VRの世界だけでなく、Hapticsは様々な身近な分野にもその応用が広がっています。例えば、スマートフォンの画面のホームボタンや電気自動車のインパネのナビゲーションシステム、電子認証のためのタッチペン、PCのキーボードなどです。

これらの分野では、いかに小型軽量で薄く、臨場感に溢れた触覚センサーを実現できるかが、触覚技術の観点では重要になります。そのため、最先端のMEMS技術や、圧電デバイス技術、アプリケーションソフトウェアの開発に、各メーカーはしのぎを削っています。

参考文献
https://www.jp.tdk.com/tech-mag/knowledge/089
https://www.kagawa-u.ac.jp/ccip/images/2-02/EN-11-022.pdf
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jjws/75/4/75_4_230/_pdf
http://www.cmctd.co.jp/tech/sensor/sensor.html
https://www.aeonbank.co.jp/investment/report/pdf/2019090502.pdf

FFTアナライザ

FFTアナライザとは

FTT (Fast Fourier Transform) アナライザとは、高速フーリエ変換を (FFT) 行う解析機器です。

機械や建物にはさまざまな振動が発生しますが、FFTアナライザを使うことによって、振動の発生原因や低減策を見つけることが可能になります。FFTと類似した計測機器にスペクトラムアナライザやメモリレコーダがありますが、FFTアナライザは主に低周波信号の周波数成分を観察するときに用いられます。

FFTアナライザの使用用途

FFTアナライザの主な使用用途は、機械や設備、建造物の振動解析です。測定対象物に加速度ピックアップを固着し、電気信号に変換してFFTアナライザへ入力し、演算処理をして周波数成分を解析します。

機械や建造物が発する振動、および共振周波数を確認し、疲労故障が発生しないように構造物を補強したり、振動を抑制したりすることも可能です。また、モータの回転ムラの検出も用途の1つです。モータが回転する際の振動をFFT解析すると、振動の発生要因、例えば「モータの回転軸 (ロータ) が振動しているのか」「歯車やベアリングが振動しているのか」など、振動の発生源が明らかになります。

そのほか、音声解析にもFFTが活用されています。人や楽器が発する音の領域を確認したり、騒音を周波数分析してどのような場所、設備から発しているかを確認します。この場合は、マイクロフォンを用いて音声をアンプに通し、信号変換および増幅をしてFFT解析を行います。

最近では、事務機や家電製品などの開発領域も、FFTが活用される分野です。例えば、製品の静音性の評価や、騒音原因及びその対策方法の検討に使用されます。低周波信号に対するノイズ源特定にも用いられることから、周波数信号を扱う製品のノイズ対策にも利用・応用されます。

FFTアナライザの原理

高速フーリエ変換 (FFT) は、フランスの数学者Fourierが提唱したフーリエ級数の理論を基にしています。フーリエ級数の理論とは、どんな複雑な波形でも周期性を持っているのであれば、単純な正弦波 (sin波) 、余弦波 (con波) の級数で表現することができるという理論で、この級数の考え方を拡張したのが、フーリエ変換です。

一般的に、実際に測定しようとする信号は、どこまで測定すれば、周期性があるかは不明です。そこで、フーリエ変換では、観測される波形から適当な時間分を切り取り、切り取った波形が無限に繰り返される信号と仮定します。フーリエ変換黎明期には、フーリエ変換の計算には膨大な回数の掛け算が必要でした。

しかし、J.W.TurkeyとJ.W.Cooleyによって、データ数を2のn乗回取ることによって、計算回数を少なくする方法が提案されました。例えば、データ数を1024とすると、1024×1024=1,048,576回の計算が、10,240回に短縮されます。この方法を高速フーリエ変換 (FFT) と呼び、FFTはその頭文字を取ったものです。

一般的な波形は、振幅と周波数 (または周期) と位相 (時間差) の3つのパラメータで表すことができます。この原理にFFTを適用し、FFTアナライザを用いることによって、時間を横軸とした入力波形信号が、横軸を周波数、縦軸はそれぞれの周波数における波形の振幅を表すグラフへと変換されます。

FFTアナライザのその他情報

1. FFTアナライザとスペクトラムアナライザの違い

FFTアナライザとスペクトラムアナライザの違いは、まず扱える周波数の領域が異なることです。FFTアナライザは、DC~100kHzまでの低周波信号を扱います。一方、スペクトラムアナライザが扱うのは、周波数レンジが10kHz~10GHzと非常に広い領域です。

最近の機種だと、DC~50GHzまで対応できるものもあります。また、使い方の違いとしては、FFTアナライザはどのような周波数成分を持つかわからない場合に使用するのに対して、スペクトラムアナライザは、既知の高周波信号 (携帯電話やWiFi発信機) の周波数成分分析に使用する装置です。

さらに、装置の構造から両者の違いを見ると、従来スペクトラムアナライザはアナログ回路で構成されていたのに対して、FFTアナライザではADコンバータによって、得られた波形をデジタル化した後に、高速フーリエ変換処理を行い、周波数の強度分布を算出しています。

参考文献
https://www.onosokki.co.jp/HP-WK/c_support/newreport/analyzer/FFT1/fft_1.htm#mark1
https://www.techeyesonline.com/tech-column/detail/Reference-FFTAnalyzer-01/?page=3

測長器

測長機とは

測長機

測長機とは、その名の通り長さを測る機器です。

現在では、光の速さを基準にして、単位時間で光が進む距離で長さを定義します。長さの測り方は、直接法と間接法に区別されます。

  • 直接法
    一般的によく使われる物差し、巻き尺、ノギス、マイクロメータなどを使用し、標準の長さやスケール、目盛りと比べて長さを測る方法です。
  • 間接法
    長さと関係のある他の物理量を用いたり、電気的、光学的な手法を用いたりして長さを測る方法です。

多くの場合は直接法で長さを計測できますが、長大な構造物や、ミクロンオーダーの微細な対象物である場合は、標準の長さ (スケール) を用意することが困難なため、間接法が用いられるケースがあります。また、形が複雑だったり、手が届かない場合、あるいは接触することが許されない対象物の場合も、間接法が用いられます。

測長機の使用用途

測長機は様々な分野で使用されていますが、用途に合わせて最適なものを選ぶ必要があります。

  • 数mm~数十mmで手のひらや卓上に乗る程度の大きさのもの: 定規やノギス
  • 数百mm~数mでやや大きく長いもの: 巻き尺等
  • 仕上がり精度がμオーダーで、出来映えを顕微鏡で観察するようなもの: マイクロメータ
  • 野外での数m~数十mの距離: 光学的な手法 (三角測量、レーザー測長計)
  • レンズや半導体ウェハなど精密工業製品の微細な凹凸測定: レーザー干渉計

さらに、光や触針ではアクセスできない対象内部の測定には、X線CTなどの技術が計測に応用されています。また、ナノテク産業ではナノメートルレベルの測定が必要であるため、走査型電子顕微鏡が応用された方法で計測されます。手軽な用途として、最近ではスマートフォンのカメラから測長するアプリが開発されるなど、画像解析による測長法も開発が進んでいます。

測長機の原理

1mの定義は、「1秒の1/299,792,458の時間に、光が真空中を進む長さ」です。これに基づいたメートル原器が長さの基準となっています。原理的には直接法はこのメートル原器との比較です。

長さの定義に基づいた測定原理としては、光の飛行時間 (time of flight: ToF) を計測する方法があります。光が非常に速いことから、高度なエレクトロニクス技術が必要とされます。現在多くのレーザー型の機器 (ToF) では、強度変調された入射光と反射光の位相差にもとづいた測定法が一般的に採用されています。

定義では真空中の光の挙動となっているため、実際には空気の屈折率による補正が必要です。レーザー干渉計では、レーザー光同士の干渉現象を利用した計測法を採用しています。

同じレーザー照射に対する参照面からの反射光と、測定面からの反射光を干渉させると生じる干渉縞を解析することで、測定面の参照面からの距離をnmオーダーで測定することができます。いくつか測長器を例示しましたが、手法は非常に多いです。

測長機のその他情報

1. 測長機の使い方

多くの測長機で採用されている横型測長機は、ベッドと、ベッド上を移動する標準尺を内蔵した往復台,標準尺を観測する測微顕微鏡,被検体を一定の測定力のもとにおく測定面、および被測定物を支持する測定台から構成されています。この横型測長器には、アッベの原理を満足する構造と、エッペンシュタインの原理を満足する構造とが知られています。

アッベの原理を満足する構造を有する横型測長機においては、ベッドの非真直性に基づく往復台の測定軸線からの角偏差による測定誤差を無視できるように、被検体の測定軸線と標準尺の目盛面とを同一直線上に配置することにより測定が行われます。

一方、エッペンシュタインの原理を満足する構造を有する横型測長機においては、ベッドの非真直性に基づく測定誤差を取り除くために、被検体の測定軸線と標準尺とが離れているときのその距離と標準尺用の対物レンズの焦点距離とを等しくなるように構成し、レンズの焦点面を標準尺上に光学的に配置することにより測定が行われます。

2. レーザー測長機

レーザー測長機は被検体にレーザー光を照射し、その反射光を利用して被検体の距離を測定します。レーザー測長機は、測定する距離に応じて「変位センサー」「距離センサ」と称します。

  • 変位センサー
    近距離 (数十mm~数百mm) の範囲をミクロン単位で測定する測長機です。
  • 距離センサ
    長距離 (数mm~数m) の範囲をミリ単位で測定する測長機です。

上記測長機における測定方法としては、「三角測距方式」と「タイム・オブ・フライト方式 (time of flight: ToF) 」が知られています。

三角測距方式
反射光をもとに三角測量の原理で測定する測定方法であり、測長機は発光素子と受光素子とにより構成されています。発光素子には半導体レーザーが使用されます。測定方法は、半導体レーザーから投光レンズを介して集光されたレーザー光が被検体に照射されます。被検体に照射されたレーザー光の拡散反射の一部は、受光レンズを介して受光素子上にスポット像を結びます。結像したスポットの位置を検出、演算することで被検体までの変位量が測定可能です。

なお、受光素子にCMOS (Complementary Metal Oxide Semi-conductor: 相補型金属酸化膜半導体) を使用しているものをCMOS方式、受光素子にCCD (Charge Coupled Device: 電荷結合素子) を使用しているものをCCD方式と称しています。

タイム オブ フライト方式 (time of flight: ToF)
照射光が被検体で反射して受光部で受光するまでの時間を計測することにより、距離を測定する方法です。この方式には、投光波長と受光波長との間に生じる位相差を利用する「位相差距離方式」と、一定のパルス幅をもったレーザーを投射する「パルス伝播方式」が知られています。

参考文献
https://www.keyence.co.jp/ss/3dprofiler/keijou/3d/laser/