送風機とは
送風機 (英: Blower, Blowing fan, Fan) とは、空気を送り出す機器の総称です。
厳密には、日本工業規格 (JIS) により、「羽根車の回転運動によって気体にエネルギーを与える機械で、単位質量当たりのエネルギーが25 kNm/kg (kJ/kg) 未満のもの」と定義されています。
同規格では「送風機」と「ファン」は同義とされ、羽根車、ロータ、ピストンにより気体を圧送する「ブロア」または「ブロワ」とは区別されています。しかし、産業現場においては上記のように明確に区別されることは少なく、吐出圧力が比較的弱いものを「ファン」、比較的強いものを「ブロア」や「ブロワ」と呼び、「送風機」をこれらの総称として用いることが多くなっています。
送風機の種類
「ファン」の名が付く機器は、気体が羽根車を通り抜ける方向によって大別されます。気体が羽根車を径方向に通り抜ける遠心ファンには、ターボファン (後向き羽根送風機) やシロッコファン (多翼送風機) 、ラジアルファンなどがあります。このほか、気体が羽根車を軸方向に対して傾斜して通り抜けるラインファン (斜流送風機) や、気体が羽根車を軸方向に通り抜ける軸流ファンなどがあります。
「ブロア」は、JISにおいて、気体を圧送する圧縮機 (コンプレッサ) のうち、有効吐出し圧力が200 kPa以下のものと定められています。気体にエネルギーを与える仕組みの違いで更に細かく分類され、羽根車の回転運動を利用するターボブロア、ケーシング内部のロータの回転運動を利用するロータリブロア (回転ブロア) 、二つの二葉ロータの回転運動を利用するルーツブロア (二葉ブロア) などがあります。また、ブローガンやブロアバキュームガンは、気体を局所的に圧送するために使用されています。
送風機内に設置されている気流を起こすための重要な部品・部位である羽根車によって様々な種類が存在します。
1. シロッコファン
多翼ファンとも呼ばれていて、通常短くて幅の広い羽が30枚程度から60枚程度設置してあり、効率は比較的低いですが (60%ほど) 小型設計が可能で低騒音なので建築物・船舶内の換気用、ボイラーの通風用の送風機として主に使用されています。
2. ラジアルファン
ラジアルファンは通常6から12枚ほどの平行羽根を搭載した遠心送風機の一種で、鋼鉄製の羽根は耐性が強く、容易に取り換えることができるので微粒子 (ダスト・微粉炭・セメント・鋸屑) などの固体を含む気体を輸送する現場・業種において使用されています。
3. ターボファン
渦巻型の水流ポンプと同様の羽根車構造を持つので、効率がよく幅広い現場において使用されています。
また耐性(耐熱・耐食・耐摩耗)に優れ、焼却設備の燃焼促進と排ガスの誘引、粉体・微粒子を含む気体の輸送、食品・薬品・繊維・金属類の製造工程における空気調和、集塵などの現場・業種に採用されています。
4. プレートファン
プレートファンは数ある送風機の中でも小型・低騒音のもので連続運転にも対応できる耐性の高い送風機です。
用途としても幅広く、集塵機・粉砕機・乾燥機・焼却炉などから一般的な送排風が必要な現場などで使用することができます。
送風機の用途
送風機単体では、施設内の吸気および排気などの空調管理、製造・生産現場や各種処理場における送風や酸素供給、粉塵清掃作業などに使用されます。また、電気製品の冷却装置や航空機のエンジンなど、様々な製品の内部に組み込まれています。
前述の通り、送風機にはその羽根車の種類や素材によって、対応する現場や使用環境が大きく異なってくるので現場に適した風量・風圧、吸い込み気体の温度、設置場所など特に考慮し、適切な送風機の種類を選択することが作業の効率化や送風機の耐用年数を向上させる上で非常に重要です。