乾燥機

乾燥機とは

乾燥機 (英: Dryer, Drying machine, Drying oven) とは、対象物から水分や湿気を取り除くために使用する機器です。

電気やガスなどを熱源として対象物を乾燥させます。家庭用のものから工業・産業用のものまで被乾燥物の対象は幅広く、乾燥機の種類や方式なども様々です。特に工業・産業用の乾燥機は食品・化学・製薬・バイオマス発電・汚泥処理など非常に幅広い業種において重要な装置です。

乾燥機の種類

乾燥機には、食器や衣類の乾燥を目的とする一般家庭向け製品の他に、食品・医薬品・工業製品などの業界で使用される産業用乾燥機があります。

一口に産業用乾燥機と言っても、試験研究に用いられる小型の卓上乾燥機から、製造・生産現場向けの大型乾燥プラントまで、大きさや構造形式も様々です。また、種類によって乾燥方式が大きく異なりますので、乾燥の原理を理解した上で、目的に応じて使い分ける必要があります。

乾燥機は、稼働時の庫内温度で大きく分類されます。例えば、庫内温度を概ね5~200℃の範囲で均一に保つ定温乾燥機、50~700℃ほどに保つ高温 (熱風) 乾燥機、5~45℃ほどに保つ低温 (冷風) 乾燥機などがあります。温度が高いほど水分は蒸発しやすくなりますが、熱による対象物の変性も起こりやすくなるため、効率的な乾燥温度の見極めが必要になります。

乾燥機の種類によって、空気の循環パターンも様々です。気体の自然対流を利用して空気を循環させる自然対流方式、送風ファンで庫内の空気を循環させる強制送風方式などがあり、対象物に応じて適切な方式を選択します。また、庫内の気圧を下げて真空状態を作り、常圧状態より低温で乾燥させる真空乾燥機も一般的です。

このほか、遠赤外線またはマイクロ波により、対象物そのものを加熱して乾燥させる遠赤外線乾燥機やマイクロ波乾燥機、対象物を凍結させてから真空乾燥させる真空凍結乾燥機など、乾燥機の種類は多岐にわたります。

1. バンド式乾燥機

バンド式またはコンベア式乾燥機は金網やパーフォートプレートなどのコンベアの上に乾燥対象物を積載し、そのコンベアが移動している間に乾燥室ないから吹き出す熱風によって乾燥させるタイプの乾燥機で、非常に一般的な乾燥機です。対象となるものは食品、形が変わらない建築資材 (ベニア板・ボードなど) 、自動車部品、電気・機械部品など幅広いものに使用することができます。

2. トンネル乾燥機

トンネル乾燥機は台車に感想の対象となる資材を積載し、トンネル室の入口部から台車を差し込み乾燥室内を移動させて乾燥させるタイプの乾燥機です。特徴としては、長時間乾燥の材料に適していて大量処理が可能で、自動化システムを搭載している乾燥機では省エネ化が可能です。対象となるものは食品(特に形状損傷をきらうもの)、建築資材、IC基板・自動車部品などがあります。

3. 箱型乾燥機

箱型乾燥機は乾燥室内に発生させる気流によって対象物と乾燥させるタイプの乾燥機です。乾燥材料を積載した容器・トレイを乾燥室内の棚に設置し気流によって乾燥させます。気流方式は水平気流 (一方向または交互方向) または通気気流などの方式があり、対象物によってより効率的な気流方式を選択することが可能です。対象となるものは食品・薬品・農産物・顔料・化粧品など非常に幅広い工業製品に使用でき、粉状・塊状・泥状・板状の材料に使用することができます。

4. ロータリー式乾燥機

ロータリー式の乾燥機は回転円筒内に設置されている攪拌装置によって乾燥対象物を乾燥させるタイプのもので、攪拌することで材料の破砕・分散が繰り返され、熱風との接触を向上させることでより効率的に乾燥を行うことが可能です。
特徴としては乾燥にかかる時間が非常に短く、使用ガスの量が少なくて済むのでコスト・環境面においてもメリットがあります。水分を多く含むものや泥状のもの、粘性の高い材料の乾燥に適しています。

乾燥機の用途

乾燥機の用途は、対象物の乾燥だけに留まりません。例えば、高温 (熱風) 乾燥機は焼成、硬化、熱処理、殺菌などに、定温乾燥機は塗料などの粘度を保持するための保温機として使用される場合があります。温度を精密にコントロールすることができるため、耐熱性または耐低温性などの環境耐性試験に使用されるケースもあります。

参考文献
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jbrewsocjapan1988/99/2/99_2_93/_pdf/-char/ja

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です