真空ポンプ

真空ポンプとは

真空ポンプ

真空ポンプは、装置や容器から空気を排出し、真空にするための装置です。真空ポンプは、ポンプ、排気口、吸気口で構成されています。ポンプには、真空にするための仕組みが多く開発されています。

真空度には低真空、中真空、高真空などがあり、必要な真空度や、真空に到達するまでの時間、使用する温度環境を考慮して、使用する真空ポンプを適切に選定する必要があります。油を使用するかどうかで、ドライポンプとウェットポンプに分けられます。

真空ポンプの使用用途

真空ポンプは、医療機器や医療機器の製造過程、食品工場、電気機器、半導体の製造過程などで使用されます。また、真空を必要とする医療機器や理化学機器の補器としても使われます。真空ポンプは10種類以上の原理が開発されており、それぞれの特性を理解して適切に選定する必要があります。

真空ポンプの主な使用用途は以下の通りです。

  • 歯科医療時の唾液の吸引機
  • 魔法瓶における真空部の作成
  • 半導体プロセスにおけるプラズマ使用時の真空環境作成
  • 食品梱包材の接着時
  • 理化学研究機器用の真空源( エバポレータ、ろ過、真空乾燥器、デシケータ、等 )
  • 工場における生産設備用大容量真空ポンプ

真空ポンプの原理

真空ポンプを動作原理により分類し、そのうち代表的なものの動作原理を説明します。

1. 油回転真空ポンプ

油回転真空ポンプは、回転するローターなどの働きで吸入した空気を押し出すようにして排気する真空ポンプで、気密性を高めるために油を使うウェットポンプの総称です。ロータリー真空ポンプとも呼ばれます。

詳細な形式として、回転翼型油真空ポンプ、カム形油回転真空ポンプ、揺動ピストン型油回転真空ポンプなどがあります。回転翼、カム、ピストンに結合した揺動部と、空気と接する部位の形は異なりますが、いずれの形式でも、ローターの回転に伴って空気を排出することで真空を作ります。

油を使う以上、油の蒸気圧が真空の限界となりますが、油の働きで安定した性能を発揮でき、小型の装置で容易に中真空を得ることができます。

2. 油拡散真空ポンプ

油拡散真空ポンプは、ボイラーとジェットノズル、凝縮機で構成されています。ボイラーで加熱して蒸気になった油をジェットノズルにより超音速で噴射し、ポンプ内の空気分子を排気口に押し出します。蒸気になった油は凝縮器で液体の油となり再利用されます。

3. 回転翼型ドライ真空ポンプ

回転翼型ドライ真空ポンプは、回転するローターとベーンが吸気口から吸入した空気をかき出すようにして排気する真空ポンプで、油を使わないものです。空気の逆流を防ぐことが出来ないため、低真空状態が限界になりますが、大きな排気速度を得ることができます。

4. 揺動ピストン型ドライ真空ポンプ

揺動ピストン型ドライ真空ポンプは、偏心回転軸に連動するピストンによって、空気を押し出すようにして排気する真空ポンプです。構造上、空気の逆流を防ぐことができないため、低真空状態が限界になりますが、メンテナンスが容易です。

5. ダイアフラム型ドライ真空ポンプ

ダイヤフラムポンプ( 膜ポンプ )とは、ゴム、樹脂、金属といった素材から成るダイアフラムの往復運動と逆止弁を組み合わせて流体を輸送するポンプです。真空ポンプとする場合、逆止弁があるため気密に油を用いる必要が無く、ドライポンプとすることができます。往復運動に伴い、真空にしたい側から空気を吸い込み、大気側に吐き出すことを繰り返して真空を作ります。

6. スクロール型ドライ真空ポンプ

スクロール型ドライ真空ポンプは、渦巻型のステータとローターの運動の組み合わせによって排気するドライ真空ポンプです。渦巻の運動により、空気を中央に寄せて、中央部から排気します。

7. ターボ分子ポンプ

ターボ分子ポンプは、タービンの形をしたドライ真空ポンプです。タービン翼を分子の熱運動に近い速度で高速回転させ、タービン翼の傾きに応じた分子運動の偏りを作ることで排気を行います。タービン翼の高速回転を可能とするため、ある程度の真空中で使用する必要があり、他の真空ポンプと組み合わせて使われます。

真空ポンプの選び方

真空ポンプの選定では、到達真空度、排気時間、排気容量などを考慮してポンプの種類を決定します。真空度には低真空、中真空、高真空などがあり、それぞれに合った真空ポンプがあります。

1. 低真空用の真空ポンプ

低真空用では、ダイアフラム型ドライポンプ、揺動ピストン型ドライポンプ、回転翼型ドライポンプなどがあります。ダイアフラム型は回転翼型ドライポンプのような摺動部がないので煽動による微粒子が発生せず、クリーンな真空を得ることができます。揺動ピストン型は構造がシンプルでメンテナンスが容易です。回転翼型は大きな排気速度を得ることができます。

2. 中真空用の真空ポンプ

中真空用では、スクロール型、油回転型などがあります。スクロール型は多くの製品で2段圧縮により効率を確保しており、低振動、低騒音なものとなっています。油回転型は名前の通り、油により潤滑、密封を行っているため効率が良く、真空度の安定性が良いポンプです。

3. 高真空用の真空ポンプ

高真空用では、2つのローターを回転させて吸引、圧縮するルーツ型( メカニカルブースター )真空ポンプ、多段のルーツ型ポンプを一体化した多段ルーツ型真空ポンプ、構造がシンプルで排気速度が大きい油拡散型真空ポンプなどがあります。更に超高真空用と呼ばれるものにターボ分子ポンプやクライオポンプなどがあります。

このように様々な種類の真空ポンプがあるため、その特徴や特性を良く理解し、用途に合ったものを選択することが大切です。

真空ポンプの使い方

真空を使用した設備では、到達真空度、排気時間を考慮して真空ポンプを選定します。しかし、一般的に真空度が上がると排気速度が遅くなること、高真空用ポンプの中には大気圧状態では使用できないものがあることから、真空ポンプ単独ではなく、組み合わせて使用する場合があります。

例えば、「低真空で排気速度の速いポンプ」と「高真空のポンプ」を切り替えて併用したり、同時使用したりすることで、高真空でもある程度の排気速度が得られます。

具体例としては、油回転型で低真空領域まで真空引き( 粗引き )し、その後、メカニカルブースターポンプに切り替えて高真空まで真空引き( 本引き )する方法が挙げられます。

また、2種類の真空ポンプを連結し、中低真空用ポンプを介することで大気圧でも高真空用ポンプを使用できるようにすることもあります。

真空ポンプのその他情報

真空ポンプのオイル

油回転真空ポンプは、正しく使えば安定した性能を発揮しますが、オイルの管理が重要です。気体を吸引して真空をつくる性質上、どうしても吸引したものの中にある不純物( 水など )がオイルに混入してしまいます。このような不純物がオイルの性能を劣化させます。

ほとんどの油回転真空ポンプには、ガスバラストといって揮発性の成分を蒸発させる機能があるので、定期的にガスバラストを行うとよいでしょう。オイル量の日常点検、定期的なオイル交換も重要です。また、「オイルを汚染しやすい用途であるが安価なのでとりあえず油回転真空ポンプを設置していた」など、状況によっては近い性能のドライポンプに置き換えるなどの見直しも意義があるかもしれません。

参考文献
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jvsj2/56/6/56_13-LC-014/_pdf
https://www.jstage.jst.go.jp/article/tsj1973/23/11/23_11_657/_pdf
https://www.jstage.jst.go.jp/article/tsj1973/23/11/23_11_670/_pdf
https://ulvac-kiko.com/support/pump_types.html

マイクロポンプ

マイクロポンプとは

マイクロポンプとは、小型で精密なポンプです。

微小な液体の制御や操作を行うための装置として、分析機器や医療、バイオ、ナノテクノロジーの分野で使用されています。マイクロポンプは、機械的な動力機構を必要とする機械式と、物理的な外力により駆動させる非機械式に分類できます。

マイクロポンプの使用用途

マイクロポンプの使用用途は、精密機器や医療機器、バイオ機器、ナノテクノロジーなどです。また、小型化が進む機器の中で重要な役割を果たしています。

例えば、医療機器では、人工心臓に組み込まれたインスリンの注入や人工腎臓などに使用されています。その他、希少な化学薬品を用いた実験における薬品の制御など、さまざまな分野で活躍できる性能を兼ね備えていることが特徴です。

一般的に販売されているマイクロポンプは、機械駆動の電圧式マイクロポンプです。ただし、使用用途に応じて、非機械駆動のマイクロポンプも採用するなど使い分ける必要があります。

マイクロポンプの原理

マイクロポンプは、主にポンプヘッドとドライバーで構成されています。ポンプヘッドは、流体を移送するための部品で、通常はシリコン製です。ドライバーは、ポンプヘッドを動かすための部品で、一般的には電気信号を利用して制御されます。そのほか、制御回路や電源などの電子部品も必要です。

また、圧力差を利用した圧力駆動型ポンプから、非機械式の光駆動のマイクロポンプ、ナノモーターで作動するマイクロポンプ、毛細管現象を利用するマイクロポンプまであります。

1. 圧力駆動型ポンプ

ポンプ内外の圧力差を利用して液体を移動する圧力駆動型ポンプは、液体を移動するために圧力差を利用するポンプの1種です。液体を押し出すために、ポンプ内部の圧力を高くすることで、外部の低圧によって液体を吸い出す力を生み出します。

圧力駆動型ポンプは、高い精度と信頼性を持ち、さまざまな用途に応じた種類が多数存在していることも特徴です。例えば、高圧を扱うために設計されたポンプや微小な液体の移動に適したマイクロポンプなどがありますが、構造が比較的シンプルであるため、製造コストが低く、幅広い用途に適しています。

2. 光駆動式マイクロポンプ

光駆動型ポンプは、光エネルギーを利用して液体を移動するポンプの1種です。光を照射することで、液体の表面に生じる光圧を利用して、液体を移動させます。バイオ分野に主に利用されており、微小な流路内に液体を送り込むことが可能です。

ただし、光駆動型ポンプは、光源が必要であるため、外部の影響を受けやすく、光源の光強度や方向によって性能が変化する可能性があります。

3. ナノモーター式マイクロポンプ

ナノモーター式マイクロポンプは、細胞内のエネルギーを機械的な動きに変換できるナノモーターを利用して液体の輸送を行う仕組みを持つポンプです。磁場や電場などのエネルギー源によって駆動され、非常に小さな空間でも動作することができます。

4. 毛細管現象式マイクロポンプ

毛細管現象式マイクロポンプは、微小な流路内に毛細管現象を利用して液体を移送するポンプです。微小な流路内に細い管を設置し、その内部に液体を充填します。

そして、細い管を曲げることで、管内壁と液体の表面張力が作用して、液体が上昇する方向に移動するという原理を利用しています。それにより、微小な流路内の液体を移送することが可能です。

マイクロポンプの特徴

マイクロポンプの最大の特徴はその小型性です。これらのポンプは、非常に小さな流路内で流体を移動させることができます。この小型性により、マイクロフルイディクス研究や微細なバイオチップの開発など、多くの微小スケールアプリケーションに利用されます。

また、マイクロポンプは低コストで製造することができます。これは、ポンプに必要な部品の数が少なく、製造が比較的容易であるためです。これにより、大量生産が可能であり、医療や生物学などの分野で広く使用されています。

エンコーダ

エンコーダとは

エンコーダ

エンコーダ (英: Encoder) とは、位置の変化を電気信号に変換して出力する装置です。

測定する位置の対象は回転角と直線変位で、回転角を測定するエンコーダはロータリーエンコーダ、直線変位を測定するエンコーダはリニアエンコーダと呼ばれています。

位置の変化を計測する方法はインクリメンタル方式とアブソリュート方式に分類できます。測定には光や磁力、電磁誘導などを用いるのが一般的です。

エンコーダの使用用途

エンコーダは、モーターを使用する機械で主に使用されます。その中でもエンコーダを使用する代表的なモーターはステッピングモーターサーボモーターです。

1. ステッピングモーター

ステッピングモーターはパルス信号によって回転速度・回転角度を正確に制御できるモーターです。

パルスの間隔とモーターに加えるパルス信号の数がモーターの回転角・速さを決め、正確な位置決めが可能です。主に製造現場などで使われています。

エンコーダを使わずフィードバック制御しないオープンループ方式と、エンコーダを使ってフィードバック制御するクローズドループ方式の2種類があります。

オープンループ方式はクローズドループ方式に比べてシステムが簡略化されていますが、パルス速度に追従できなくなる「脱調」が起きないよう常に最大電流を流しています。

2. サーボモーター

サーボモーターは1回の制御の移動距離・回転角を正確に制御して、連続的な直線運動や回転運動の速さを一定に保つ仕組みを持つモーターです。

エンコーダ・ブラシレスACモーターまたはDCモーターサーボアンプ (ドライバー) の3点セットで構成されますが、現在はACモーターが主流になっています。また、使用される機械としては精密な動作制御が必要な機械が挙げられます。具体的には産業用ロボットや自動車、エレベーター、無人搬送機などです。特に工場で多く使用されます。

エンコーダを選定する際には、測定精度や分解能、反応時間、大きさや形状、振動や衝撃に対する耐久性、使用環境に対する保護機能を考慮しましょう。

エンコーダの原理

エンコーダは検出方法によって、光学式、磁気式、電磁誘導式に分けられます。

1. 光学式エンコーダ

回転軸に取り付けた等間隔に穴の開いた回転円盤に光を当てて、穴を通過する光の周期を検出することで、変位を測定可能です。光は機械に対する影響が少ないため、一般的に広く利用されています。

また、光学式のエンコーダは出力の信号によりインクリメンタル方式とアブソリュート方式の二つに分類できます。それぞれの方式について説明します。

  • インクリメンタル方式
    インクリメンタル方式は、回転円盤の穴を光が何回通過したかを測定することで、位置の変位を測定する方法です。
  • アブソリュート方式
    アブソリュート方式は、回転円盤の穴にそれぞれ絶対位置の信号が割り振られており、その信号を検知することで位置の変位を測定する方法です。

2. 磁気式エンコーダ

回転軸に取り付けた磁石の磁界が回転して変動することを利用して変位の測定を行います。

3. 電磁誘導式エンコーダ

回転軸の周りに取り付けられたコイルに発生する電磁誘導を検出することで変位の測定を行います。

エンコーダのその他情報

1. エンコーダの分解能

エンコーダの分解能とはロータリエンコーダを1回転させた場合に出力されるパルス数のことを指します。分解能の単位は「パルス数/回転数」で表され、分解能を向上させるためには1回転あたりのパルス入力数を多くする必要があります。

高分解能のエンコーダを選ぶことで、より精密な制御が必要なロボットや工作機械などの角度制御能力を大きく向上させることができます。

2. エンコーダとサーボアンプ間の通信

エンコーダとサーボアンプ間の通信はブラシレスACモータまたはDCモータと、パラレル伝送方式とシリアル伝送方式の2種類があります。

  • パラレル伝送方式 (英語:parallel communication)
    ロータリエンコーダから出力されるA・B・Zパルスをパラレルに伝送する方式で、並列伝送方式とも呼ばれます。
  • シリアル伝送方式 (英語:serial communication)
    位置データをシリアルで伝送する方式で、直列伝送方式とも呼ばれます。

シリアル伝送方式はパルス伝送方式と比較して配線が少なく、位置ずれを起こしにくいです。そのため最近は高分解能エンコーダはシリアル伝送方式を用いることが多くなりました。

3. エンコーダの活用事例

モーター制御の効率改善
エンコーダはステッピングモーターのパルス応答に追従できなくなる脱調を防ぐ目的で使用されていますが、最近のトレンドとしてはモーター制御の効率改善の目的に用いられるケースが多いです。

エンコーダのないオープンループ制御の場合は、非回転時にも誤動作防止用に励磁電流や、脱調防止のためにモーターに最大電流を流し続ける制御が一般的です。ただしこの場合、モーター停止やモーターが低負荷の状態でも無駄に電流を流すことにつながってしまいます。

そのためエンコーダを用いてモーター制御を負荷に応じて詳細にクローズドループ制御することで、システム全体の電流抑制と高効率化が実現可能です。EV (電気自動車) でもモーターを用いた低消費電流化は走行可能距離に密接に繋がるため、エンコーダ活用の効率改善が検討されています。

エンコーダの小型薄層化
これまでのエンコーダは内部部品がディスクリートで構成されており、それらを実装しシステムとして実現するための回路基板が必要でした。しかし、近年では受光素子やLED等の発光素子、周辺の回路を一つのIC内にまとめた反射型エンコーダICが登場し、小型薄層化が進んでいます。

このICと反射スリット板でエンコーダの機能が実現できます。リニアエンコーダとしての超小型アクチュエータや、小型のロボットに用いるためにこの反射型エンコーダICが活用され始めています。

参考文献

https://www.fujielectric.co.jp/company/jihou_archives/pdf/72-04/FEJ-72-04-228-1999.pdf
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jjspe1986/57/8/57_8_1369/_pdf
https://www.keyence.co.jp/ss/products/recorder/lab/pulse/glossary.jsp
https://www.aist.go.jp/aist_j/press_release/pr2014/pr20140423/pr20140423.html
https://www.fujielectric.co.jp/company/jihou_archives/pdf/72-04/FEJ-72-04-228-1999.pdf

コンプレッサ

コンプレッサとは

コンプレッサ

コンプレッサー (英語:compressor) とは、気体をローターの回転運動やピストンの往復運動で圧縮して送り出す機械です。

圧縮する気体としては空気を代表として、水素や冷媒などがあります。空気を圧縮する方法は数種類開発されており、圧縮する圧力や流量などを考慮して選定します。圧縮圧力が超高圧となる場合は危険性が非常に高まるため、安全に十分配慮することが重要です。

コンプレッサの使用用途

コンプレッサは家電から産業機器まで幅広く用いられます。以下は使用用途の一例です。

  • 土木工事の現場や塗装
  • 水処理プラントの計装空気製造
  • 石材切削器具や空圧ドリルなどの工事器具
  • エアコンなどの空調機器
  • 車の洗車器具
  • タイヤの空気入れ

電力が安い時間帯にコンプレッサで空気を貯め、高い時間帯に使う場合は電気代節約にも寄与します。

コンプレッサの原理

コンプレッサは、大きく「ターボ式」と「容積式」に分類できます。

1. ターボ式コンプレッサ

ターボ式は、空気に運動エネルギーを与えることにより圧縮する方法です。さらに遠心式と軸流式に分かれます。

  • 遠心式コンプレッサ
    遠心式は、気体を羽根車により遠心方向に流すことで圧縮する仕組みです。大型化に適している一方で、高圧縮には適していません。
  • 軸流式コンプレッサ
    軸流式は、回転翼によって軸方向に空気を流すことで圧縮する仕組みです。段階的に圧縮することで高圧縮にも対応でき、大型化にも適しています。ジェットエンジンにも利用されています。

2. 容積式コンプレッサ

容積式は体積の変化によって圧縮する方法です。さらに往復式と回転式に分かれます。

  • 往復式コンプレッサ
    往復式ではピストンの往復運動で気体を圧縮します。圧縮した気体がタンク内圧よりも高くなると逆止弁が開き、タンクに輸送して気体を圧縮する仕組みです。
  • 回転式コンプレッサ
    回転式は、往復式のピストン運動の部分が、スクリューなどの回転運動に置き換わった仕組みです。往復式に比べて、騒音が少ないことが特徴です。

コンプレッサのその他情報

1. コンプレッサの使い方

コンプレッサは空気を圧縮するために使用されることが多いです。また、工事現場などではエアーコンプレッサの圧縮空気で自動工具を駆動させる場合があります。この自動工具をエアーツールと呼びます。取り付けるエアーツールによって、複数作業をエアーで自動化することができます。

一般的に、最近のコンプレッサーは自動で圧力制御してくれますが、手順は以下の通りです。

  1. コンプレッサに電源を入れる前にエアーツールを取り付けます。
  2. 電源を入れてます。圧縮エアーがなければ、圧縮機が起動して圧縮空気を作り始めます。
  3. タンク内圧が規定圧力まで上昇すると、圧縮機が自動停止または無負荷運転します。
  4. エアーツールを使用し、各種作業を実施します。
  5. 一定量のエアーを消費すると、タンク内圧が低下して圧縮機が再起動または再負荷運転します。

2. コンプレッサのオイル

コンプレッサはエアーやプロセスガスを圧縮して送気する機器です。圧縮するためのピストンやスクリューは金属でできているため、金属接触による摩耗防止や気体の漏れ込み防止の観点から、コンプレッサオイル (潤滑油) が使用されます。コンプレッサの種類に応じてオイルを選定することが必要です。

動力機械に使用するオイルは用途に応じて粘度ISO VGという国際規格が定められており、この値の大小が粘性の高さを表します。レシプロ用コンプレッサオイルはVG68程度になり、やや粘度は高いものを使用します。

一方で、スクリュー式はローターへの負荷を小さくするため、低粘度なオイルを選定します。オイルは多く分けて、鉱物油と化学合成油の2種類です。化学合成油は鉱物油と比較してオイルが劣化しにくいため、多くのコンプレッサで使用されます。また、コンプレッサオイルは、圧縮時の耐高温負荷、耐高温酸化性やエアー中の微細な粒子由来のスラッジに耐性に優れていなければなりません。

参考文献
https://www.jstage.jst.go.jp/article/tsj1973/28/1/28_1_28/_pdf
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jjsass1953/15/163/15_163_274/_pdf
https://www.jstage.jst.go.jp/article/tsj1973/17/9/17_9_569/_pdf
https://www.ihi.co.jp/compressor/technical-info/basic.html
https://www.monotaro.com/s/pages/productinfo/aircompressor_how/
https://wis.max-ltd.co.jp/kikouhin/compressor-details/index.html
https://www.hitachi-ies.co.jp/products/cmp/features/oil.html

液面計

液面計とは

液面計

液面計とは、容器やタンク内部の液面高さを測定する機器です。

場合によっては、粉体の残量を測定することも可能です。レベル計と呼ばれることもあります。

測定対象や使用条件などに応じて、フロート式、チューブ式、超音波式などさまざまな測定方式が開発されています。液面計には、精度や信頼性が重要です。

誤った液面測定は生産プロセスに影響を与えるため、液面計のメンテナンスや校正を定期的に行うことが必要です。適切なケアを施すことで、長期にわたって正確な液面測定が可能になります。

液面計の使用用途

液面計は幅広い業種や用途で使用されます。

1. 石油業界

石油業界では、燃料の在庫管理や配送スケジュール決定に液面計を用います。燃料の漏れを検知するためのセンサーとしても利用されます。

2. 食品産業

食品産業においては、牛乳やチーズなどの製造過程で液面計が使用されます。製品の品質管理や容器の満杯判定などに利用され、生産ライン全体の効率向上に寄与します。

3. 化学産業

液面計によって、液体化学物質用容器の液面を測定することが可能です。プロセス制御や品質管理に利用されます。

液面計の原理

液面計は浮力や圧力、電気的な位相差などを活用して液面を測定します。これらの原理を組み合わせたり工夫を加えたりすることで、さらに正確な液面計が開発されています。

1. 浮力式

浮力式では、液体に浮かぶ浮体を用いて液面を計測します。

2. 位相差式

位相差式は高周波電気信号を液体に送り、液面と気体の境界面で反射された信号の位相差を測定することで液面を計測します。

3. 圧力式

圧力式は、液体の重さによって生じる圧力を測定することで液面を計測します。

液面計の種類

液面計は測定方法の違いからさまざまな種類が存在します。以下は液面計の種類の一例です。

1. フロート式液面計

フロートと呼ばれる浮きで液面を測定する液面計です。磁石などを内在するフロートが液面を浮くことで信号を出力します。測定原理は水洗トイレなどにも使用されるボールタップに類似しており、制御に使用可能なように電気接点出力を持つ場合が多いです。

フロート式液面計は、巻取り式と非巻取り式に大別されます。巻取り式にはスプリングバランス式やカウンタウエイト式があり、非巻取り式にはアームフロート式やボールフロート式などがあります。

2. チューブ式液面計

液面の高さと連動するチューブを容器外に取り付けて液面を測定する液面計です。チューブをガラスにすれば外側から目視で液面を確認できます。タンクや容器の設計時に液面計の設置を検討する必要があります。

ボイラーや水槽の液面測定用など、広い用途で使用される液面計です。

3. 超音波式液面計

液面に向かって超音波を発信し、反射して戻ってくる時間を計測することで液面を計測する方式です。液面計と測定対象の液体が接触しないで測定できる点や容易に設置できる点が特徴です。

超音波式では信号を液位に変換する必要があるため、演算用の制御基板などが付属する場合が一般的です。連続測定可能であり、アナログ出力信号を持つ場合が多いです。

4. 差圧式液面計

測定対象タンクなどの底面と上面の圧力差を測定することで液位へ変換する液面計です。液体密度が既知であることが使用条件であり、タンク底面などに測定用呼出口が必要なため簡単には後付けできません。

ただし、密閉したタンクにも使用することが可能なため、ボイラなどの圧力タンクに広く使用されます。

5. 静電容量式液面計

タンク内に電極を挿入し、電極上の静電容量の変化を検知して液位へ変換します。高温や高圧といった過酷な環境でも使用できることが特徴です。

6.電波式液面

マイクロ波を発射し計測対象に反射して戻るまでの時間を計測することで、液面の位置を計測します。温度やガス圧力の影響を受けづらいのが特徴です。

液面計の選び方

液体の種類や性質に合った液面計を選ぶことが重要です。液体が腐食性の場合や高温・高圧の場合は、耐久性が高く高精度な圧力式液面計が適しています。一方、液体が揮発性の場合は浮力式液面計や位相差式液面計が適しています。

測定精度も重要な要素の1つです。測定対象の液体の性質や温度などによって、必要となる測定精度が異なります。液面計を選ぶ際には適切な測定精度を選定することが大切です。

設置場所によっても、液面計の種類を選ぶ必要があります。狭いスペースに設置する場合は、小型の液面計が適しています。また、タンクの複雑な形状に合わせた特殊な形状の液面計も存在します。

液面計の機能面についても考慮する必要があります。遠隔操作やデータログ機能を持つ液面計を選定することで、効率的な操作・監視が可能です。

参考文献
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jtappij1955/22/11/22_11_47/_pdf
https://www.jstage.jst.go.jp/article/sicejl1954/8/5/8_5_351/_pdf
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http://www.nihonkeiki.com/ekimenkei/
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https://www.nitto-kinzoku.jp/archives/technic/sanitary_ferrule/
https://sq.jbr.co.jp/library/433
https://www.jemima.or.jp/tech/1-01-04-05.html
https://www.m-system.co.jp/rensai/rensai_top.htm
https://www.m-system.co.jp/mstoday1/mstback/data/2003/02/Level_T.htm

半導体外観検査装置

半導体外観検査装置とは

半導体外観検査装置

半導体外観検査装置とは、半導体の製造過程のウェハーや半導体チップの不良を外観上で検査する装置です。

半導体の主な製造工程としては、印刷の原版に相当するフォトマスク製造工程、半導体の基盤となるウェハー製造工程、フォトマスクを使ってウェハー上に微細な回路構造を形成していく前工程、回路形成後に半導体チップを個別パッケージングする後工程があり、詳細に見れば数百の工程が存在します。

近年の半導体の微細加工技術は数ナノ (髪の毛の太さの約1万分の1) という領域に達すると同時にウェハーも大口径化し、数十億個のトランジスタを搭載した半導体チップが1枚のウェハーから数千個作られるようになっています。

このような生産性を誇る半導体製造工程で検査装置は極めて重要であり、早期の不良品選別、コスト削減、品質や信頼性の向上に繋がっています。半導体外観検査装置を選定する基準としては、ウェハーの径、使用する工程、検出する不良の種類を考慮する必要があります。

半導体外観検査装置の使用用途

半導体外観検査装置は、半導体製造工程の様々なフェーズで使用されます。

半導体外観検査装置を使用して検出する不良としては、フォトマスクやウェハーのゆがみや割れ、傷、異物の付着、前工程で形成される回路パターンのずれ、寸法の不良、後工程でのパッケージングの不良等、様々なケースが挙げられます。

このため、工程ごとに適切な半導体外観検査装置やソフトウェアを選定する必要があると共に、検査を高速化、省人化するために、AI等を駆使した自動化が進められています。

半導体外観検査装置の原理

半導体外観検査装置は、計測する装置と計測したデータを処理するソフトウェア、適切な計測を行うための設備で構成されます。

計測する装置としては、高解像度カメラや電子顕微鏡、レーザー計測器が使用されます。計測したデータを処理するソフトウェアは、検査する工程に応じたアルゴリズムが開発されています。適切な計測を行うための設備として、振動を抑える設備やライトを当てる設備も必要です。半導体外観検査装置の中心となる画像撮像技術、画像処理技術、欠陥分類技術を以下に説明します。

  • 画像撮像技術
    画像撮像技術は、レーザー光をウェハーに照射し、その散乱光を検出することで欠陥を測定する技術です。微小な凹凸を光らせることで、異物や破損を検出します。
  • 画像処理技術
    画像処理技術は、ウェハー上の全てのチップに形成されるパターンが同じであることを利用し、隣接するパターンを比較して欠陥を検出する技術です。高速で広範囲の処理が可能です。
  • 欠陥分類技術
    欠陥分類技術は、欠陥を検出した後に、その欠陥を分類分けして原因を抽出する技術です。欠陥の原因を突き止めて対処するために必要な技術です。

半導体外観検査の種類

1. ウェハー製造工程・前工程での外観検査

ウェハーはシリコンを代表とする半導体の原料を、インゴットと呼ばれる円柱状の単結晶素材として成形し、1mm程度の厚さにスライスして表面を研磨したものであり、その直径は最近では12インチ (約30cm) となっています。

ウェハーの欠陥には、付着した異物だけでなく、ウェハー自体にある表面のキズやクラック、加工ムラ、結晶欠陥などがあり、主にレーザー光照射によりその欠陥を検出することがウェハー製造工程での外観検査です。

前工程はウェハー状態のまま進められ、そこで発生する欠陥には主に2種類の欠陥があり、ランダムとシステマチックと呼ばれます。ランダムな欠陥は、主として異物の混入によって起きる不具合ですが、ランダム故にその発生場所は予測不能です。そのためウェハー上にあるランダムな欠陥を画像処理により検出します。一方、システマチックな欠陥はフォトマスクや露光工程条件、例えばフォトマスク上に付着したパーティクルが原因で発生する欠陥であり、ウェハー上に並ぶ各半導体チップの同じ場所に発生する傾向にあります。

2. 後工程での外観検査

後工程ではウェハーを各チップに切断 (ダイシング) し、樹脂やセラミックのパッケージに収納し、チップ上の端子とパッケージ側の端子を接続 (ワイヤボンディング) し、封止します。後上程では電気的な検査が主となりますが、外観検査としてワイヤボンディング不良や品番の印字不良などの検査が行われます。

半導体外観検査のその他情報

1. 半導体外観検査の重要性

一般的に、製造工程での外観検査は汚れや傷等の確認を目的とする場合も多く、製品の機能や性能とは関係無いケースもありますが、半導体製造での汚れや傷などは単なる見かけ上の問題ではなく、ほぼ全てのケースで機能や性能に影響する問題です。

半導体は電子デバイスであり、他の電気・電子デバイスのように電気的な検査も行われますが、数十億個のトランジスタとそれらを接続する配線の全てを検査することは非常に困難であり、トランジスタのゲートや配線の細り等は外観検査でしか確認できません。

2. 半導体外観検査における精度

数ナノという微細レベルの半導体プロセスでは、1本の配線の太さや隣接する配線の間隔が数ナノになります。

ここにナノオーダーの不良が存在すると配線ショートや断線の原因となります。更にこの1/10の大きさの不良により配線幅が設計値の90%の太さになった場合でも、配線の抵抗値や容量が変化してしまいます。この配線に電流が流れた時、電子の移動により金属原子が移動するエレクトロマイグレーションという現象が起こることで急速に配線が細くなり、短期間で断線が発生する原因になります。

このように半導体製造では極めて微細な精度での外観検査が要求され、微細加工技術の進化に伴い、今後も要求精度はより高まっていきます。

参考文献
https://www.jstage.jst.go.jp/article/pscjspe/2013S/0/2013S_39/_pdf
https://www.hitachi-hightech.com/jp/products/device/semiconductor/inspection.html
https://www.hitachi-hightech.com/jp/products/device/semiconductor/process.html

圧力センサー

圧力センサーとは

圧力センサー

圧力センサー (英語: Pressure sensor)とは、気体や液体などの圧力を計測する装置です。

測定部が圧力によって生じる変化を、電気信号に変換して圧力を出力します。代表的な測定部はゲージ式です。

ゲージ式の圧力センサーには、半導体ゲージやひずみゲージ、金属薄膜などが使用されます。測定時の圧力の基準は大気圧や絶対圧、任意の基準に設定できる種類もあります。

圧力センサーの使用用途

圧力センサーは、多くの産業プロセスで、配管や装置内の圧力の測定に使用されます。

圧力の大きさの範囲やどの様な気体や液体のもとで使用するか、使用する温度、耐久性などを考慮し、適切な圧力センサーを選定する必要があります。

圧力センサーの使用例は、下記のように多方面で使用されています。

  • 液体の充填装置における液体の圧力測定
  • プラントにおけるパイプ内を流れる液体や気体の圧力測定
  • 圧力への反応性の高い物質を使用する装置内での圧力制御のための圧力測定
  • 圧力センサーマットへの応用
  • 自動車・産業機械・航空宇宙・医療などへの応用

圧力センサーの原理

ゲージ式の圧力センサーは、ダイアフラムの変形を検出して圧力を測定します。検出方法には半導体ゲージ式、ひずみゲージ式、金属薄膜式などの種類があります。

ダイアフラムの表面に4個のゲージ抵抗を配置し、圧力によってダイアフラムが変形すると電気抵抗値が変化します。4個のゲージ抵抗をブリッジ回路に組んで抵抗の変化を電圧として出力します。

1. 半導体ゲージ式圧力センサー

半導体ゲージ式圧力センサーは、半導体自体をダイアフラムとし、ピエゾ効果と言って半導体が圧力を受けると電気抵抗が変化するという性質を利用して圧力を測定します。圧力に対する抵抗値の変化が他方式にくらべ非常に大きく、堅牢なダイアフラムを作成できるため、装置の耐久性が高いことが特徴です。

2. ひずみゲージ式圧力センサー

ひずみゲージ式圧力センサーは、ひずみゲージをダイアフラムの裏側に貼り付け、ゲージ抵抗値の変化を測定します。ひずみゲージは、変形すると電気抵抗が変化するという金属の性質を利用してひずみを測定する装置で、ひずみと圧力を対応させることで圧力の出力が可能になります。

3. 金属薄膜式圧力センサー

金属薄膜式圧力センサーは、ダイアフラム上に金属薄膜を形成し、圧力によって変形した金属薄膜の電気抵抗の変化を測定することで圧力を測定します。ひずみゲージ式よりも高感度で高温下でも使用できることが特徴です。

4. ゲージ式以外の圧力センサー

ゲージ式の圧力センサーのほかに、静電容量式、光ファイバー式、振動式などの圧力センサーがあります。

静電容量式は、固定された電極とダイアフラム電極との間の静電容量を検出する方式です。圧力の変化に応じて変形するダイアフラムの変位量を静電容量の変化として計測し,圧力に換算します。複数のガス種や混合ガスの圧力を測定するのに適しています。

光ファイバー式は、ダイアフラムに圧力がかかると、光ファイバー先端の回折格子が変形し、反射する光の波長の変化を測定します。高温・高精度の測定ができ、溶融樹脂の圧力や身体内の血圧測定などに使われます。

振動式は、シリコンのダイアフラムチップに振動子を設け、圧力によりダイアフラムが変形すると、振動子の固有振動数が変化します。振動数の変化を検出して圧力に換算します。高精度・高感度・高分解能などの特徴があります。

圧力センサーの応用例

1. 圧力センサーマット

圧力センサーの応用例の一つとして圧力センサーマットがあります。圧力センサーマットは床などに敷くことを想定しており、薄いマット状になっていることが一般的です。

圧力センサーマットの用途例は、セキュリティーが高い部屋への立ち入り検知や工場での危険な場所への立ち入り検知などが考えられます。立ち入り者が圧力センサーマットを踏めば、圧力センサーが検知した情報を元にブザーを鳴らしたり、ランプを点灯させることが可能です。

また、施設の部屋や自宅の玄関などに圧力センサーマットを設置しておくことで、認知症の方の外出するタイミングを把握することが出来ます。

2. 自動車用圧力センサー

自動車用圧力センサーは、燃費などを向上させるために、液体や気体などの圧力を精密に測定するセンサーとして使用されています。自動車で使用される圧力センサーは、小型で精度の高い測定が行え、かつ過酷な使用環境で使われるため、ピエゾ抵抗を用いた半導体ゲージ式圧力センサーが多く使用されています。

自動車用圧力センサーは、使用温度が-30℃~150℃、使用箇所によっては300℃を超える温度まで確実に長期的に高精度な動作が求められます。また、ディーゼルエンジンは燃料と空気の混合気体を非常に高い圧力で圧縮する必要があることから、圧力センサーは200MPaという非常に高い圧力まで高精度に測定できる能力が要求されます。

参考文献

https://www.jstage.jst.go.jp/article/jjspe1986/52/4/52_4_610/_pdf
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jjsass1969/34/388/34_388_269/_pdf
https://www.jstage.jst.go.jp/article/oubutsu1932/45/12/45_12_1159/_pdf
https://www.creact.co.jp/item/tactilus-mat
https://www.takex-eng.co.jp/ja/products/item/1496/
https://www.fujielectric.co.jp/about/company/jihou_2003/pdf/76-10/06.pdf
https://clicccar.com/2020/03/24/962804/

ネジ締め機

ネジ締め機とは

ネジ締め機とは、工場における組み立ての工程などで、ネジ締め作業を一部または全てを自動化する装置です。

位置やトルクの制御を自動化しているため、手動で行うよりも早くで正確なネジ締めができます。ネジ締め機の種類として、主に下記の3種類があります。

  • ハンディタイプ
    手に持ってネジ締めを行います。
  • 自動ネジ締めタイプ
    ネジ締め機が軸の移動により位置を調節し、ネジ締め作業を行います。
  • ロボットタイプ
    ロボットアームを用いて移動することで、ネジ締めを行います。

ネジ締め機の使用用途

ネジ締め機は、工場の組み立て工程で、自動化と品質担保、作業効率化を目的に利用されます。家電の自動組み立て工程におけるネジ締め作業や工場の設備機器の設置作業などが代表的な使用用途です。

工程をどの程度自動化させるか、ネジ締め作業の複雑さなどを考慮して、適切なネジ締め機を選択する必要があります。下記では、使用用途別に適切なネジ締め機を解説します。

  • 簡単な手動でネジ締めを行う場合
    手に持って行うハンディタイプを使用します。
  • 操作の自動化を行い、簡単なネジ締めを行う場合
    調整機能を持つ自動ねじ締めタイプを使用します。
  • ロボットの動作を取り入れ、複雑なネジ締めを行う場合
    自動化で効率が上がるロボットタイプを使用します。

ネジ締め機の原理

ネジ締め機は、制御装置とトルクを生み出すモータを使い、ネジ穴にはめ込む工具であるビットを用いて構成されています。

自動ネジ締めタイプでは、ビットなどが軸を移動するための設備が追加されており、ロボットタイプではロボットアームが追加で必要になります。ネジ締め機の多くがトルク計測器が一体の装置になっており、自動ネジ締めタイプやロボットタイプはネジ供給機が一体となっていることが多いです。

1. ハンディタイプ

ネジ穴にビットを当てて動作ボタンを押すと、モータの回転によってネジ締めを行います。トルク計測器がついているタイプは、ネジ締めが完了するとネジ締め動作が自動で停止することで、ネジやネジ締め対象への不要な負荷を低減できます。

2. 自動ネジ締めタイプ

ネジ締め時の動作はハンディタイプと同様ですが、ネジ締め対象まで、ビット部分が軸を介して移動してネジ締めを行います。移動の自由度は軸の数に依存し、軸が回転可能であれば斜め方向からのネジ締めも可能になります。

3. ロボットタイプ

ネジ締め時の動作はハンディタイプや自動ネジ締めタイプと同様です。ネジを締める箇所にビットを移動する際に、ロボットアームを使用します。また、ネジ締め対象を持ち上げ、ネジ締め部をビットがある向きに移動させることで、自動ネジ締めタイプでは不可能な面のネジ締めにも対応しています。移動の自由度はロボットアームを使用することで、複雑なネジ締めや短時間で多くのネジ締めが可能となります。

ネジ締め機のその他情報

ネジ締め機のメリットと特徴

1. ハンディタイプ
ハンディタイプのメリットは、ネジ締めでの作業効率と品質を向上させることであり、ネジ締めでの締め付けトルクを均等に保つことができるため、締め付けによる緩みや破損を防ぐことができます。ネジはドライバの先端に自動で供給され、片手だけで指定のトルクで締め付けを行うことができ、1分間に数十本のネジを締めることが可能となります。

2. 自動ネジ締めタイプ
自動ネジ締めタイプのメリットは、手作業では難しい極小ネジも正確にネジ締めができるため、より多くの種類のネジ締めを効率的にすることが可能となり、卓上タイプで使いやすさと性能が向上したネジ締め機となっています。特徴としては、締め付け部分が軸を介して移動するため、調整が容易に行えるので、楽にネジ締めを行うことができます。

3. ロボットタイプ
ロボットタイプのメリットは、トルク量・回転量・ネジ進み量を制御が可能になるのでネジ締めでの品質不良を低減させることができ、自動で同じ動作を繰り返すので、 ネジの締め忘れ防止にも効果があります。ネジの種類やサイズを選択でき、組み付けるワークに合わせてネジ締め条件の設定が可能であり、速度にばらつきがないので、生産性が上がり一日の組み立て可能な数量が増加します。

 参考文献
https://www.jstage.jst.go.jp/article/kikai1938/38/315/38_315_3017/_pdf
http://microscrew-tightening.com/

流量計

流量計とは

流量計

流量計 (英: Flowmeter) とは、配管などを流れる流体の体積流量や質量流量を計測するための装置です。

様々な流れを圧力や温度などの条件に応じて適切に計測するために、多くの測定原理が開発されています。流れの種類としては、気体や液体、混相流などがあります。

一部製品では、配管の外側に取り付けて流量を測定することができます。しかし、多くの製品が配管の内部に設置して流量を計測するため、配管の設置前や設計時に流量計の取り付けを検討する必要があります。

流量計の使用用途

流量計は、化学製品や石油プラント、自動車、半導体、医薬品、食品などの流体を使用する製造において幅広く使用されています。

流量計は、10種類以上の動作原理が開発されており、扱う流体に応じて適切な流量計を選定する必要があります。

管内に設置する流量計は、流れを乱す可能性があります。その影響がどの程度なのかを検討して選定する必要があります。また、メンテナンスの頻度や時間、コストも考慮する必要があります。

流量計の種類

下記流量計の種類とそれぞれの仕組み・原理やメリットについて簡単に紹介します。

  • 容積式流量計
  • コリオリ式流量計
  • 超音波式流量計
  • 電磁式流量計
  • 熱式流量計
  • カルマン渦式流量計
  • 面積式流量計
  • タービン式流量計
  • 差圧式流量計
  • 渦式流量計
  • フローセル流量計

1. 容積式流量計

容積式流量計は、測定対象の配管と同じ内径の管と回転子、回転検出機で構成されています。配管を流れる流体によって回転子が回転し、回転数を検出することで流量が測定できます。

構造が簡便で高精度ですが、ギアを用いるため噛みこみ等が問題となります。

直接流体の体積を測定するため、密度の変わりにくい燃料油や潤滑油の流量測定に使用します。高精度な流量計のため、燃料油の取引などの用途に適しています。

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2. コリオリ式流量計

コリオリ式流量計は、2本のU字管と振動機、力センサで構成されています。コリオリの力という、流体が流れている振動する2本のU字管には、お互いに反対の方向に力が発生するという原理を利用した流量計です。

コリオリ流量計は測定原理から全長が長くなる欠点はありますが、質量流量を直接測定することができる流量計です。高精度かつ応答性も高く、高精度かつ応答性も高く、流体の密度も同時に測定したい場合などに広く用いられます。

一方で、他と比較して効果であり、振動のある場所や気泡を含む流体の流量計測はできません。

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3. 超音波式流量計

超音波式流量計は、超音波発生器と計測器で構成されています。超音波の伝播時間と、超音波の反射によって生じるドップラー効果を測定することにより、流量を算出します。配管の外側から測定できることができる流量計です。

非接触で流体流量を測定できる利点があります。配管に対して流量計を後付けすることも可能であり、大口径の配管に対しても低コストで設置が可能であるという利点もあります。

ただし、配管の肉厚などによる誤差が生じるため、高精度な流量測定が必要な場合には不向きです。

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4. 電磁式流量計

電磁式流量計は、測定対象の流体の内部に配置した磁性体の速度を、電磁式流量計の構成要素であるコイルによって、発生する起電力を測定することで、流量を算出する流量計になります。

管内に設置する必要がないものも多く、汚染水などの管内に設置する流量計ではメンテナンスコストがかかる場合に利用されます。

電磁流量計は可動部もなく、流体の流れを妨げないことから、固体交じりのスラリーの流量測定などに使用されます。ただし、油などの非導電性流体に対しては測定できません。

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5. 熱式流量計

熱式流量計は、2つの温度センサとヒータで構成されています。ヒータで温められる前の流体の温度と、ヒータで温められた後の流体の温度の差を測定し、流量を換算します。幅広い温度帯に対応していることが特徴です。

熱式流量計は非接触でガス流量を測定できるため腐食性ガスの測定が可能です。加えて圧力損失はほとんどなく、質量流量を測定できることが特徴です。その一方で、ガスに汚れ成分が含まれている場合は適しません。

熱式の原理

図1. 熱式の原理

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6. 面積式流量計

面積式流量計は垂直のテーパー管内のフロートにより下から上への流れがさえぎられることで、フロート前後で圧力差が生じます。フロートの重量と圧力差による力が均衡した位置で静止し、その位置を読み取ることで流量が求まります。

液体または気体の流量測定、パージ流体またはガスの測定などに使用されます。構造は簡素のため安価でありますが、測定精度はあまり高くはありません。

面積式の原理

図2. 面積式の原理

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7. タービン式流量計

タービン流量計は、流れの中に置かれ、流れと平行な軸を持つ羽根車の回転速度が流速に比例することを利用し、羽根車の回転数から体積流量を算出します。

軽量なので、取り付けの自由度が高くいです。軽量で安価かつ、繰り返し精度や応答性に優れており、大容量の流体の測定に向いております。ただし、軸受が劣化するので、使用寿命が短い点があります。

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8. 差圧式流量計

差圧流量計オリフィスにより圧力損失を生じさせ、1次側と2次側の圧力差を利用して、それを流量として計測します。

安価で広い範囲の応用ができることが特徴です。また実流校正が不要です。

差圧式の原理

図3. 差圧式の原理

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9. カルマン渦式流量計

カルマン渦式流量計は、カルマン渦を発生させるための障害物、渦測定機で構成されています。カルマン渦を測定することによって流量を算出します。

カルマン渦は障害物の後流に発生する規則正しい渦のことです。

カルマン渦式流量計は、機械稼働部や電極がないため幅広い流体を測定可能です。しかし、直管長が必要な上に振動などによる誤動作があるため、高振動な場所などでは使用できません。

蒸気や清浄な水などの測定に使用されます。

カルマン渦式の原理

図4. カルマン渦式の原理

10. 渦式流量計

渦流量計は、カルマン渦を利用した流量計です。カルマン渦とは、流体の流れの中に置かれた物体(渦発生源)の下流に発生する交互に並んだ規則正しい渦列のことです。

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11. フローセル流量計

フローセル流量計とはオリフィス流量計の一種で、水や空気が流れている配管にオリフィスを設置することによって差圧を発生させ、発生させた差圧を支流内に設置したフロートの指し示す値を計測する流量計です。

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流量計のその他情報

デジタル流量計について

アナログ仕様の流量計はほとんどが面積式の流量計で、現場で流量を確認するためのものです。安価であり、古くから使用されている流量計です。

近年、流量計はデジタル仕様のものも多く販売されています。伝送出力を持つ流量計はほぼデジタル仕様で、内部に電子部品や基盤を積んでいます。電子回路に余寿命があるという欠点はありますが、オートゼロ点調整やスパン値変更、積算機能や流量単位変更などが可能で利便性は向上しています。

参考文献
https://www.jstage.jst.go.jp/article/sicejl1951/9/9/9_9_553/_pdf
https://www.jstage.jst.go.jp/article/tsj1973/20/9/20_9_531/_pdf
https://www.compoclub.com/products/knowledge/mf/netu_kiso1.html
https://www.keyence.co.jp/ss/products/process/flowmeter/type/electromagnetic.jsp
https://www.m-system.co.jp/rensai/pdf/r0110.pdf

光パワーメーター

光パワーメーターとは

光パワーメーター

光パワーメーター(英: Optical power meter)とは、光の強度 (パワー) を測定するための装置のことです。

特に光ファイバー通信に使う光の強度を測る際に「光パワーメーター」という名称が使われます。測定する光の種類や測定の単位系によって様々な名称が使われており、他にも、例えば例をあげると、レーザーパワーメーターや放射照度計、光度計、照度計などという名称が一般に使われています。

名前が違うだけでなく、測定結果を表示する際の単位が異なりますが、どれも物理的な光の強さを表すものという意味では共通です。

光パワーメーターの使用用途

光パワーメーターの使用用途は、光の強度の絶対値を正確に測定したい場合に用いられます。

光の強度を測定する装置として非常に汎用性が高く、光ファイバー通信の通信波長光源や各種レーザー・LEDなどの汎用光源など様々な光源の出力を測定するのに利用されています。価格も手頃であり、実験室内のみならず様々な現場で活用されるために、小回りの効くハンディタイプのものが種類も多く販売されています。

強すぎる光の暴露は、例えば眼球へのダメージなど生体にとって毒性をもたらし危険な場合があるので、レーザー光源などを安全に正しく扱うために、使用する光の強度を測定することは非常に重要です。

光パワーメーターの原理

光パワーメーターの原理は、光電効果を用いたフォトダイオードやバイオセンサーなどのセンシングデバイスを用いて、計測対象の光の強度値を電流値や温度変化などの物理的な尺度へ変換することで、その計測を実施しています。

一般に光パワーメーターは光強度を測定するための半導体センサーとその結果を出力するディスプレイのような表示器によって構成されています。半導体センサーとして用いられるのは光電効果によって、光強度を電流値として測定するフォトダイオードセンサーと、センサーが受光した際の温度変化を測定する、サーモパイロセンサーやパイロエレクトリックセンサーが用いられます。

特にフォトダイオードセンサーは受光した光子量に対して、高い線形性で電流値に変換できるため、多くの光パワーメーターで採用されています。

これらのセンサーにおいて電流値への変換や温度変化は、受光する波長によって効率が異なるため、測定結果の信憑性を担保するために、センサーは各波長で正しく校正されている必要があります。場合によっては感度の低い波長帯を補正するためにセンサー入力アンプを用いてシグナルを増幅することもあります。

光パワーメーターのその他情報

1. 光パワーメーターが扱う光波長について

光パワーメーターはあくまで光の強度を測定するための装置なので光の波長を測定することはできません。測定結果として光の波長と強度が表示されますが、この波長は測定されたものではなく、その波長に最適化された校正を用いていることを意味するもので、ユーザー自身が測定に合わせて設定するものなので注意が必要です。

一般に光パワーメーターは、例えばBlue-ray DiscやDVDなどの用途に可視光の400nmから700nmの波長レンジで複数の波長が選択可能なタイプや、光ファイバー通信向けに1,300nmから1,550nmなどよく使用される範囲のレーザー光源の波長を中心に、複数の波長を選択できるようなタイプが需要もあり多く扱われています。

2. 光パワー測定における留意点

光パワーメーターで非常によく用いられるフォトダイオードは、半導体のPN接合に光が入射することで生じるバンド間吸収での光起電力、すなわち光電効果をその動作原理としていますが、フォトダイオードはそのバンドギャップ量に応じて電流値に変換可能な光波長は大きく異なります。

例えば、InGaAsという化合物半導体系のフォトダイオードでは、800nmから1,700nm付近の光波長が対応可能であり、Si系のフォトダイオードでは、400nmからという可視光に対応可能です。

よって、測定したい光波長に適した光パワーメーターを用いないと値が正確でないだけでなく、場合によっては評価できない可能性もあります。光ファイバー通信の評価では温度変化や振動で波長が揺らぐ可能性もあり、正確な評価のためには、測定波長の整合性と、安定した温度、振動のない環境への配慮が重要です。

参考文献
https://www.rp-photonics.com/optical_power_meters.html
https://www.nicera.co.jp/products/infrared-sensor/thermopile-sensor http://www.neotron.co.jp/product/S2/S&LEnergySensorHeads%20.pdf