ネジ締め機とは
ネジ締め機とは、工場における組み立ての工程などで、ネジ締め作業を一部または全てを自動化する装置です。
位置やトルクの制御を自動化しているため、手動で行うよりも早くで正確なネジ締めができます。ネジ締め機の種類として、主に下記の3種類があります。
- ハンディタイプ
手に持ってネジ締めを行います。 - 自動ネジ締めタイプ
ネジ締め機が軸の移動により位置を調節し、ネジ締め作業を行います。 - ロボットタイプ
ロボットアームを用いて移動することで、ネジ締めを行います。
ネジ締め機の使用用途
ネジ締め機は、工場の組み立て工程で、自動化と品質担保、作業効率化を目的に利用されます。家電の自動組み立て工程におけるネジ締め作業や工場の設備機器の設置作業などが代表的な使用用途です。
工程をどの程度自動化させるか、ネジ締め作業の複雑さなどを考慮して、適切なネジ締め機を選択する必要があります。下記では、使用用途別に適切なネジ締め機を解説します。
- 簡単な手動でネジ締めを行う場合
手に持って行うハンディタイプを使用します。 - 操作の自動化を行い、簡単なネジ締めを行う場合
調整機能を持つ自動ねじ締めタイプを使用します。 - ロボットの動作を取り入れ、複雑なネジ締めを行う場合
自動化で効率が上がるロボットタイプを使用します。
ネジ締め機の原理
ネジ締め機は、制御装置とトルクを生み出すモータを使い、ネジ穴にはめ込む工具であるビットを用いて構成されています。
自動ネジ締めタイプでは、ビットなどが軸を移動するための設備が追加されており、ロボットタイプではロボットアームが追加で必要になります。ネジ締め機の多くがトルク計測器が一体の装置になっており、自動ネジ締めタイプやロボットタイプはネジ供給機が一体となっていることが多いです。
1. ハンディタイプ
ネジ穴にビットを当てて動作ボタンを押すと、モータの回転によってネジ締めを行います。トルク計測器がついているタイプは、ネジ締めが完了するとネジ締め動作が自動で停止することで、ネジやネジ締め対象への不要な負荷を低減できます。
2. 自動ネジ締めタイプ
ネジ締め時の動作はハンディタイプと同様ですが、ネジ締め対象まで、ビット部分が軸を介して移動してネジ締めを行います。移動の自由度は軸の数に依存し、軸が回転可能であれば斜め方向からのネジ締めも可能になります。
3. ロボットタイプ
ネジ締め時の動作はハンディタイプや自動ネジ締めタイプと同様です。ネジを締める箇所にビットを移動する際に、ロボットアームを使用します。また、ネジ締め対象を持ち上げ、ネジ締め部をビットがある向きに移動させることで、自動ネジ締めタイプでは不可能な面のネジ締めにも対応しています。移動の自由度はロボットアームを使用することで、複雑なネジ締めや短時間で多くのネジ締めが可能となります。
ネジ締め機のその他情報
ネジ締め機のメリットと特徴
1. ハンディタイプ
ハンディタイプのメリットは、ネジ締めでの作業効率と品質を向上させることであり、ネジ締めでの締め付けトルクを均等に保つことができるため、締め付けによる緩みや破損を防ぐことができます。ネジはドライバの先端に自動で供給され、片手だけで指定のトルクで締め付けを行うことができ、1分間に数十本のネジを締めることが可能となります。
2. 自動ネジ締めタイプ
自動ネジ締めタイプのメリットは、手作業では難しい極小ネジも正確にネジ締めができるため、より多くの種類のネジ締めを効率的にすることが可能となり、卓上タイプで使いやすさと性能が向上したネジ締め機となっています。特徴としては、締め付け部分が軸を介して移動するため、調整が容易に行えるので、楽にネジ締めを行うことができます。
3. ロボットタイプ
ロボットタイプのメリットは、トルク量・回転量・ネジ進み量を制御が可能になるのでネジ締めでの品質不良を低減させることができ、自動で同じ動作を繰り返すので、 ネジの締め忘れ防止にも効果があります。ネジの種類やサイズを選択でき、組み付けるワークに合わせてネジ締め条件の設定が可能であり、速度にばらつきがないので、生産性が上がり一日の組み立て可能な数量が増加します。
参考文献
https://www.jstage.jst.go.jp/article/kikai1938/38/315/38_315_3017/_pdf
http://microscrew-tightening.com/