マイクロポンプとは
マイクロポンプとは、小型で精密なポンプです。
微小な液体の制御や操作を行うための装置として、分析機器や医療、バイオ、ナノテクノロジーの分野で使用されています。マイクロポンプは、機械的な動力機構を必要とする機械式と、物理的な外力により駆動させる非機械式に分類できます。
マイクロポンプの使用用途
マイクロポンプの使用用途は、精密機器や医療機器、バイオ機器、ナノテクノロジーなどです。また、小型化が進む機器の中で重要な役割を果たしています。
例えば、医療機器では、人工心臓に組み込まれたインスリンの注入や人工腎臓などに使用されています。その他、希少な化学薬品を用いた実験における薬品の制御など、さまざまな分野で活躍できる性能を兼ね備えていることが特徴です。
一般的に販売されているマイクロポンプは、機械駆動の電圧式マイクロポンプです。ただし、使用用途に応じて、非機械駆動のマイクロポンプも採用するなど使い分ける必要があります。
マイクロポンプの原理
マイクロポンプは、主にポンプヘッドとドライバーで構成されています。ポンプヘッドは、流体を移送するための部品で、通常はシリコン製です。ドライバーは、ポンプヘッドを動かすための部品で、一般的には電気信号を利用して制御されます。そのほか、制御回路や電源などの電子部品も必要です。
また、圧力差を利用した圧力駆動型ポンプから、非機械式の光駆動のマイクロポンプ、ナノモーターで作動するマイクロポンプ、毛細管現象を利用するマイクロポンプまであります。
1. 圧力駆動型ポンプ
ポンプ内外の圧力差を利用して液体を移動する圧力駆動型ポンプは、液体を移動するために圧力差を利用するポンプの1種です。液体を押し出すために、ポンプ内部の圧力を高くすることで、外部の低圧によって液体を吸い出す力を生み出します。
圧力駆動型ポンプは、高い精度と信頼性を持ち、さまざまな用途に応じた種類が多数存在していることも特徴です。例えば、高圧を扱うために設計されたポンプや微小な液体の移動に適したマイクロポンプなどがありますが、構造が比較的シンプルであるため、製造コストが低く、幅広い用途に適しています。
2. 光駆動式マイクロポンプ
光駆動型ポンプは、光エネルギーを利用して液体を移動するポンプの1種です。光を照射することで、液体の表面に生じる光圧を利用して、液体を移動させます。バイオ分野に主に利用されており、微小な流路内に液体を送り込むことが可能です。
ただし、光駆動型ポンプは、光源が必要であるため、外部の影響を受けやすく、光源の光強度や方向によって性能が変化する可能性があります。
3. ナノモーター式マイクロポンプ
ナノモーター式マイクロポンプは、細胞内のエネルギーを機械的な動きに変換できるナノモーターを利用して液体の輸送を行う仕組みを持つポンプです。磁場や電場などのエネルギー源によって駆動され、非常に小さな空間でも動作することができます。
4. 毛細管現象式マイクロポンプ
毛細管現象式マイクロポンプは、微小な流路内に毛細管現象を利用して液体を移送するポンプです。微小な流路内に細い管を設置し、その内部に液体を充填します。
そして、細い管を曲げることで、管内壁と液体の表面張力が作用して、液体が上昇する方向に移動するという原理を利用しています。それにより、微小な流路内の液体を移送することが可能です。
マイクロポンプの特徴
マイクロポンプの最大の特徴はその小型性です。これらのポンプは、非常に小さな流路内で流体を移動させることができます。この小型性により、マイクロフルイディクス研究や微細なバイオチップの開発など、多くの微小スケールアプリケーションに利用されます。
また、マイクロポンプは低コストで製造することができます。これは、ポンプに必要な部品の数が少なく、製造が比較的容易であるためです。これにより、大量生産が可能であり、医療や生物学などの分野で広く使用されています。