ダイヤフラムポンプのメーカー6社を一覧でご紹介します。まずは使用用途や原理についてご説明します。
目次
ダイヤフラムポンプは、ダイヤフラムと呼ばれる薄膜を動作させることによって、流体を流すポンプのことを言います。体積変化によって、流体を流す容積式のポンプになります。非常に微小な流体を正確に流すことに向いており、実験装置など高精度の溶液を使用する機器に使用されます。粘性の大きな流体や粉体流を流すことができるほか、構造上、漏れが発生せず、メンテナンス性が高いこと、脈動を起せることが特徴です。
ダイヤフラムポンプは、化学製品、薬品、機械製品などの製造現場、人工心臓、実験装置などで使用されます。輸送する流体が漏れない構造から、危険性の高い薬品や化学物質、高いクリーン度が要求される現場で使用されます。また、粉体流を輸送することができるので、研磨剤の輸送や廃液の回収の用途でも使用されます。その他にも、正確に流量を調整できる特徴を利用して、人工心臓などの生体機器や、正確な流体を流すことが可能な実験器具のポンプとしても利用されています。
ダイヤフラムポンプの動作原理を説明します。ダイヤフラムポンプは、吸い込み口と吐き出し口がついており、1面にダイヤフラムと呼ばれる伸縮性のある薄膜がついている容器と、吸い込み口と吐き出し口に逆流防止弁がついている構造になっています。
動作時は、吐き出し口側の逆流防止弁が閉じられ、ダイヤフラムが引っ張られ、容器の体積が大きくなり、容器内の圧力が低下します。圧力が低下すると、吸い込み口側から流体が容器内に吸い込まれます。ダイヤフラムが最大まで引っ張られると、吸い込み口側の逆流防止弁が閉じられ、吐き出し口側の逆流防止弁が解放されます。その後、ダイヤフラムが押し出され、容器内の体積が小さくなり、吐き出し口から流体が押し出されるように流れます。この動作をくりかえることによって、ポンプとして機能します。ダイヤフラムによる容器内の体積変化を調整すれば、容易に流量の調節を行うことができるほか、粘度が高い流体でも容積変化による輸送のため、対応しています。
ダイヤフラムポンプの寿命は使用流体、使用圧力、稼働率等により異なります。基本的には、ダイヤフラム自体が破れず消耗部品が摩耗し破損しなければ使用し続けることが可能です。ただし、電磁弁を採用しているダイヤフラムポンプの場合、電磁弁の作動回数による寿命も1つの要因として考慮する必要があります。
流体内に異物や固形物が混入する場合、ダイヤフラムに傷をつけ破損につながることが多いため、注意が必要です。逆に、それらが含まれない流体の場合は圧力や流体にもよりますが、常時稼働で3~4年ほどは持ちます。
実際の寿命はポンプの型式及び使用環境により変化するため、メーカーとの協議が必須となります。
ダイヤフラムポンプを含む往復運動を用いて流体を輸送するポンプでは「脈動」という現象が発生します。人間の心臓も圧縮と膨張を繰り返すことで血液を体中に送っていますが、ドクン、ドクンと脈を打つことが確認できるかと思います。これと同様の現象がポンプでも発生します。つまり、流体を送る→吸込む→送るを繰り返すことで流体が脈を打つように送液されることからこう呼ばれます。
この脈動を低減する方法としていくつかありますが、導入事例をいくつか紹介します。
1つはエアーチャンバーと呼ばれる機構をポンプ二次側(出口側)に設置します。ポンプ送液時の圧力変動をエアーで吸収することで、脈動を抑制し一定の流量を取り出すことが可能となります。ただし、エアーチャンバーは流体とエアーが同一の容器内に入ることとなるため、エアーが流体に溶け込むリスクが発生します。対策としてアキュムレータと呼ばれるエアーと流体をゴムなどの材質で仕切りを設けた部品も存在します。
異なる方法としては、1つのダイヤフラムポンプに複数ダイヤフラムを使用したポンプを採用します。これにより、片側のダイヤフラムが吸込みを行っている間にもう一方のダイヤフラムは送液を行い、交互に繰り返すことで吸込みと送液の差を限りなくなくすことで、脈動を低減することができます。
参考文献
https://www.tacmina.co.jp/library/coretech/45/
https://www.tacmina.co.jp/library/coretech/46/
https://www.verderliquids.com/jp/ja/technologies/what-is-a-diaphragm-pump/how-do-diaphragm-pumps-work/
https://www.tacmina.co.jp/library/coretech/128/
https://www.tacmina.co.jp/library/coretech/207/
https://www.iwakipumps.jp/blog/naruhodo/06/
社員数の規模
設立年の新しい会社
歴史のある会社
株式会社ヤマダコーポレーションのNDP-5シリーズはエア駆動のダイヤフラムポンプです。
エア駆動のダイヤフラムポンプの最大の利点は電気を使わないこと、つまり防爆環境下でも問題なく使えることです。
さらにエア駆動式の場合は圧力を調整することで、吐出量や圧力を簡単に変更できるので、取り扱いも非常に楽です。
同様にエア圧力での駆動なのでそれ以上の圧力では供給できません。圧力を一定以上かけたくない箇所では最適なポンプです。
株式会社エイチツーのADDシリーズは高粘度流体やスラリーの移送も可能なエア駆動式のダイヤフラムポンプです。
スラリーや高粘度流体の場合だと一般的な遠心ポンプだと供給が難しいです。
しかし、ダイヤフラムポンプであれば駆動部が殆どないのでスラリーでも供給が可能です。
またこのシリーズではいろいろな材料からダイヤフラムポンプを製作しているので、いろいろな薬液に対応したポンプの制作も可能です。
その為、食品業界でのCIPなどにも使用できるでしょう。
株式会社エイチツーのサニタリーエアダイヤフラムポンプはサニタリー性が求められるつまり液溜まりがなく、洗浄が容易なポンプです。
薬品業界や食品業界では液溜まりからのバクテリアによるコンタミや、洗浄残りなどを避ける必要があります。
そのような箇所でも問題なく使用できるのでサニタリーポンプです。
CIPも可能でSIPも可能なので常に清浄性を保ちながら使用することができます。
また、分解洗浄も容易なので内部確認や洗浄も非常に行いやすくなっています。
株式会社イワキのTCシリーズ(フッ素樹脂タイプ)はフッ素樹脂で制作されたエア駆動式のダイヤフラムポンプです。
そのため腐食性の洗浄液などを使用する半導体産業に非常に適しているダイヤフラムポンプです。
同様にコンタミなどが起きにくいので高純度の薬液などの移送にも使用できます。
また、最大で2500mPa・sの液体も移送できるので幅広い用途で使用することができます。
温度は0〜80℃の範囲で使用できるポンプです。
株式会社TAIYOのETD3シリーズ電動のダイヤフラムポンプです。
IE3に対応した高効率プレミアムモーターを搭載しているので、従来の電動ダイヤフラムポンプよりも消費電力を少なくすることができます。
もちろん耐圧防爆仕様(d2G4)での製作もできますので、防爆地域でも使用することができます。
また、オプションでインバーター付きのものを選ぶこともできるので、流量調整が必要なところでも問題なく使用できます。