ナットランナ

ナットランナとはナットランナ

ナットランナとは、ナットの締め付けを自動で行うことができる電動工具のことです。

ナットだけでなくソケットを替えることで、ねじやボルトに対応できる機種もあります。手で持って使用するハンディタイプが多いですが、全自動で締め付けを行う機種もあります。ナットランナは締め付け強度を設定することができるため、均質で高精度な締め付けが可能です。

ナットランナを使用することで、作業が簡便になるのはもちろん、高精度で信頼性の高い締め付けが可能となるため、信頼性が必要な締め付け箇所に幅広く使用されています。

ナットランナの使用用途

ナットランナによる締め付けは均質で高精度であるため、自動車部品やバイク、造船といった安全面で保証が必要な箇所に多く使用されています。他にも、ガソリンスタンドや化学工場といったより高精度な締め付けが要求される設備点検や、ビル等の鉄骨の組み立てを行う工事現場でも使用されることが多いです。

また、完全に自動化された自動組み立て装置に、ナットランナが組み込まれている場合もあります。ナットランナを選択する際は、使用するナットやボルトのトルク範囲を確認する必要があります。

ナットランナの原理

ナットランナは、大きく分けて「電動モータによる駆動」と「空気圧による駆動」のものがあります。基本的には、モータによりトルクを回転させ、締め付けが完了すると自動で止まる設定になっています。

1. 電動モータによる駆動

電動モータによりトルクや角度を電気的に制御しているので、空気圧駆動に比べて精度が高く、かつ作業履歴やデータを残すことができます。コードレスタイプもあり、近年メジャーになつつあります。

発熱しやすく、感電の危険性がある場合は、絶縁タイプか空気圧稼働のナットランナを選ぶことが大切です。また、増し締めができないので、再度締め直す場合は一度ナットを緩める必要があります。

2. 空気圧による駆動

エアーコンプレッサーを必要とし、圧縮空気を利用してエアーモータを回しトルクを制御しています。感電の危険性がないのがメリットですが、エアーコンプレッサーを使用するため電気代がかさむというデメリットもあります。電動モータ駆動より発熱が少なく済み、長時間の使用に向いていて昔から使用されてきたタイプです。

ナットランナの構造

電動タイプはACサーボ、DCブラシレスなど回転数の制御が可能なモータを使用し、エアー駆動式は空圧によるエアーモータにより回転します。制御を行うユニットは内蔵もしくは別置きで付属します。それらの回転は遊星歯車用いた減速機を介して駆動軸へ伝えられます。

トルク検出機能があり、トルクによる回転の制御を行える高機能なタイプでは、位置、姿勢を検出するアームなどを装備できる物があります。

ナットランナのその他情報

1. ナットランナと電動ドライバ

ナットランナは名前の由来であるナット締め工具ですが、回転して締結するネジ、ボルトにも使用することができます。電動ドライバーインパクトレンチとの違いは、締付トルクの管理が正確にできることです。

電動ドライバー、インパクトレンチでは規定トルクに達すると軸が空転する構造ですが、電動ナットランナは規定のトルク値に近づくにつれてモーターの回転が減速し、正確なトルク値に止める機能を持っていて、近年ではより精度の高い締付ができる電動ナットランナが主流になってきています。

ナットランナは締付時のトルク値に合わせて、回転速度やトルクを制御しながら締付を行います。回転速度は電動ドライバーやインパクトレンチに劣りますが、締め付け後のトルク値の誤差が少なく、動作時の騒音が少ないことも特徴です。

2. ナットランナのトルク管理

近年のナットランナは、締付時のトルクと角度の変化をモニタリングしながら、締付の良否を判断し、ボルトを斜めに差し込んでしまう斜め締めや、ワッシャの入れ忘れ、2枚入れなどを検出できます。それらのデータはナットランナ自体で記憶したり、ワイヤレスでPCなどへ転送し、組み立て時のデータとして記録することが可能です。

また、高機能な機種では、ナットランナの姿勢や位置を検出することもできます。ネジ締めをする穴の位置を判断して、締め付けているネジやボルトが指定されたものに合致しているかどうか判断したり、ネジやボルトの違いをネジ穴位置から判断して締付トルクを自ら変更したりします。

参考文献
http://ith.co.jp/product/NutRunner

クリーンルーム

クリーンルームとは

クリーンルーム

クリーンルーム (英: clean room) とは、空気の清浄度が管理されている部屋のことです。

空気中に浮遊する微粒子や微生物が、限定された清浄度レベル以下に管理されている空間を指します。供給される材料、薬品、水などについても要求清浄度が保持され、必要に応じて温度、湿度、圧力などの環境条件についても管理されます。

空気の清浄度は、その空気の微粒子の大きさと数を、パーティクルセンサーでカウントすることで確認が可能です。ほこりや微粒子の付着が大きな問題となる製品の製造には、クリーンルームが利用されています。なお、クリーンルームは、防塵室、滅菌室、バイオクリーンルームなど、用途によってさまざまな呼び名があります。

クリーンルームの使用用途

クリーンルームは半導体や液晶、電子部品などの工業製品の製造に使用されています。小さなほこりが製品の品質に大きな影響を及ぼすためです。

特に半導体の前工程では、最も清浄度の高い米国連邦規格クラス1~10、ISO規格ではクラス3~4のクリーンルームが利用されます。電子部品や光学機械などの精密機器を製造する工場や、薬品や食品を取り扱う工場では、ISOクラス5~7程度のクリーンルームが必要です。

その他、印刷や塗料、レンズやフィルムなどの業界でも、幅広くクリーンルームは活用されます。

クリーンルームの原理

1. 人間からの微粒子防止

クリーンルームは、内部に入る人間由来の微粒子を抑え、かつ高性能なフィルターで微粒子をとらえることにより、清浄度を維持しています。クリーンルームの清浄度を保つためには、まず人間から出る汗、髪の毛といったゴミやほこり、細菌などの減少が必要です。

要求される清浄度にもよりますが、クリーンルーム内では専用の白い防塵服や靴に着替え、手袋をして髪の毛が出ないようキャップをかぶります。さらに安全メガネやマスクを使用する場合もあります。そして、クリーンルームに入る時に、空気によるエアーシャワーで全身のゴミを流します。

2. 室内空気の浄化

クリーンルーム内の吸い込み口から取り込まれた空気は、循環して吹き出し口に設置されたHEPAフィルタと呼ばれる高性能なフィルターによって、微粒子等が浄化されます。クリーンルーム内の清浄度は、パーティクルセンサーによってモニタリングが可能です。

また、クリーンルームは気密になっており、部屋の空気の圧力を調整することで、外部から余計な微粒子が入らないように設計されています。

クリーンルームの種類

クリーンルームは、精密機器の製造用途、あるいは食品製造や医療・生命科学研究用途の2種類に大別されます。医療機関や生命科学研究機関で用いられるクリーンルームは、特にバイオクリーンルームあるいは無菌室と呼ばれます。

工業用途では、空気中の塵埃を排除することが想定されますが、バイオクリーンルームでは、これに加えて細菌などの微生物やウイルスの混入の防止が必要です。

クリーンルームのその他情報

1. クリーンルームの規格

クリーンルームは、空気中に単位体積あたり何個の微粒子が含まれているかによって、更にクラス分けされます。日本では、このクラス分けに米国連邦規格 (FED) ・ISO規格・JIS規格の3種類が使われています。

米国連邦空気清浄度基準FED209E
米国連邦空気清浄度基準FED209Eは、すでに2001年に廃止され、ISO規格14644-1に移行していますが、業界では、広く慣用されているFEDを使用する場合が多い状況です。

FED
FEDでは、クラス1からクラス100,000まで6分類され、クラスの数字は、単位体積あたりに含まれる微粒子の数を表しています。つまりクラスの数字が小さいほど、清浄度が高いことを表します。

ISO規格

ISO規格 (JISに準拠) は、FED規格に相当する6種類に加え、更に細分化してクラス1からクラス9までの9種類 (ISO) 、または8種類 (JIS) に分類されます。

2. クリーンルームの方式

クリーンルームの方式

図1. クリーンルームの方式

クリーンルームは空気の循環させ方、すなわち気流の作り方によって一方向流方式と乱流方式の2種類があります。

一方向流方式
一方向流方式は、吹き出し口と吸い込み口が向かい合って設置されており、均一な気流を作る方式です。天井に吹き出し口、床に吸い込み口を設置すれば、垂直方向に均一な気流を作ることが可能で、ある壁面に吹き出し口、向かいの壁面に吸い込み口を設置すれば、水平方向に均一な気流を作ることができます。

一方向流方式は、気流は絶えず循環しているため、高い清浄度を保つことができます。

乱流方式
乱流方式は、天井に吹き出し口、壁面に吸い込み口を設置する方式です。気流の滞留が起こる箇所があるため、一方向流方式に比べて清浄度は劣りますが、比較的低コストで導入・運用できることがメリットです。

参考文献
https://www.comany.co.jp/cleanroom/firstvisitor/what.html
http://www.airtech.co.jp/products/cleanroom/120/

漏液センサー

漏液センサーとは

漏液センサー (英: liquid spill sensor) とは、薬液や水などの漏れを検出するセンサーです。

生産設備などで取り扱う薬液の貯蔵タンクで漏れが生じた場合、大量の薬液流出に伴う薬害を初期段階の漏れで防ぐ安全対策として利用されます。また、集合住宅や大型ビルなどの給水漏れや汚水漏れの早期検知にも有用です。

近年では検出技術の向上により、液体の導電性を利用する従来の検出方式以外に、ファイバセンサー使用した光電式の検出方法が確立されるなど、さまざまな薬液を含む液体に対して対応できるようになっています。

漏液センサーの使用用途

薬液や純水などの液体を使用する生産設備や機械の配管や配管継手、液体の貯蔵タンクや送液ポンプ、冷却配管に生じる結露、ドラフトチャンバなどの周辺に漏液センサーを設置します。これにより、早期の液漏れ検出が可能です。

1. 半導体製造装置の結露・液漏れ検出

装置の周辺に漏液センサーを設置し、洗浄装置内の結露や周辺への液漏れを検出します。

2. 薬液タンクのパイプ継手部の漏液検出

パイプの継手部など漏液の可能性のある部位に漏液センサーを巻き付けて液漏れを検出します。

3. CMP装置の計量槽の漏液検出

ウェーハ表面を研磨して平坦にするCMP装置のドレインパンへの液漏れを漏液センサーで検出し、装置の破損やウエハの洗浄不良を防止します

4. 防爆エリアにおけるオイル漏洩検知

防爆エリア内の生産設備や機器が使用する油圧シリンダなどの油圧駆動機器のオイル漏洩を漏洩センサーで検知します。

5. 大規模集合住宅やオフィスビルの漏水検出

大規模建築物における給水設備・給水管・汚水管など漏水を漏液センサーによりリモートで検出して、早期処置を行います。

漏液センサーの原理

漏液センサーは、主に液体の導電性を利用して検出する接触式検出方式と、ファイバセンサーなどの反射と透過を利用して検出する光電式に大別されます。

1. 導電式

漏液センサーの2本の電極に液体が接触すると、液体を通して電流が流れ、液体が漏れていることを検知します。液体の導電性を利用する接触式で、電極間抵抗を検知する方式です。

この検出方式を用いた漏液センサーは、センサー部の形状が線状のため、長距離検出や往復させて広域検出、更に巻き付けて検出することも可能です。

2. 光電式

光電式は光源の光を光ファイバにより対象物に投射し、反射や透過する光量を検出する方式の漏液センサーです。センサー部に赤外線やLEDなどの投受光機構を内蔵し、液体が検知部に触れると、光の反射率や透過率が変わり光量が減ることで検知します。非接触式のセンサーもあります。

漏液センサーの選び方

漏液センサーは、検出部の形状、液体、使用環境、機能、用途などにより、多くの種類があります。

1. 検出部の形状

特定のポイントの漏液を検出するもの、長い線状のもの、帯状のもの、光ファイバーを使うものなどが使われます。屈曲性が良いものは、配管や対象物に巻いたりして、広い範囲の検知が可能です。

2. 対象液体・使用環境

漏液センサーは、センサー部は液体の種類により、選択可能です。フッ素樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリエチレン樹脂などに覆われており、水、純水、酸、アルカリ溶液などに対応しています。

また、使用環境の検討が必要です。温度範囲、雰囲気、振動、風雨などに長時間耐えられる製品を選定します。必要に応じて防爆仕様にします。

3. 機能・用途

検出部、回路部・制御部、警報場所間の接続が有線か無線か、電源の要否、警報のみか制御するのかなどを検討して、漏液センサーを選びます。

漏液センサーのその他情報

バッテリーレス・ワイヤレス漏水センサー

漏水検知に限定されますが、電源が不要の漏水センサーがあります。メンテナンスが不要な点が大きな特徴です。

センサー部はリボン状で、無線タグが付いています。漏水により、センサリボンに織り込まれた金属電極が反応し、微弱な電力を発電します。その微弱な電力を無線タグで蓄電、昇圧することによってBluetoothモジュールを駆動し、無線発信で漏水を連絡します。

センサリボンが濡れている間は、蓄電・昇圧・発信が繰り返されます。なお、漏水センサーが使用される所は、住宅・マンション・オフィスビル、商業施設・ショッピングモール、サーバー室・制御室・機械室、工場、駅や空港などの公共インフラ施設などです。

参考文献
https://www.fa.omron.co.jp/data_pdf/commentary/leakagesensor_tg_j_1_1.pdf
https://www.fa.omron.co.jp/guide/technicalguide/48/182/index.html

カテゴリー
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塗布装置

塗布装置とは

塗布装置の種類

図1. 塗布装置の種類

塗布装置とは、製品や材料に薬品などを塗布するための装置です。

一般的な塗布装置は、塗布する対象物の形状や塗布する薬品と塗布の目的によって塗布方法が異なるため、さまざまな用途に応じてロールコータスピンコータディップコーター、スプレー塗布やディスペンス塗布など、さまざまな塗布方法が用いられています。

近年では、半導体製造分野やFPD (フラットパネルディスプレイ) 製造分野、太陽電池や二次電池製造分野などの工業分野においては、精密な塗布精度が求められるため、塗布技術の向上と共に塗布装置が飛躍的に進化しています。

塗布装置の使用用途

塗布装置は、半導体分野や二次電池など様々な製造工程で対象物に塗液を塗布する用途で使用されています。パソコン、液晶テレビ、スマートフォン、タブレットなど、特に薄型で高機能・高密度化が求められる半導体製造分野やFPD (フラットパネルディスプレイ) 製造分野におけるフォトリソグラフィ工程で、フォトレジストを塗布するスピン塗布装置を利用する場合が多いです。

二次電池や太陽電池、自動車部品から住宅建材・繊維・医療などで使用される機能性フィルムやシート状製品に対しては、シール材接着剤、電極材をなどの薬品を塗布するロール塗布装置やスプレー塗布装置、ディスペンス塗布装置などが利用されています。

塗布装置の原理

図2 塗布装置の特徴

図2. 塗布装置の特徴

塗布装置は、さまざまな生産品材料への対応や薬液などの材料を塗布する装置です。主にロール状塗布、スピン塗布、スプレー塗布、ディスペンス塗布に大別できます。

1. ロール状塗布装置

ロール状塗布装置は、一般的にフィルムやシートなど比較的薄く平面材料に対する塗布に用いられます。

塗布する薬液の液溜まりに接するローラーの回転とフィルムやシートなどの材料の巻取り回転を利用して塗布するグラビアコーター、リバースコーターなどを塗布する薬液の性質や粘度、塗布する膜厚に応じてさまざまな塗布方法が用いられます。

ロールtoロールでの塗布が可能で、最も高速塗布にむいた方法です。これらの方法の特徴は、塗布液と被塗布対象物の間で、ビードを形成し被塗布対象物、または被塗布対象物とロールの両方が移動したり回転したりすることで塗液にせん断力をかけ薄く塗布することです。

このビードを安定化させることが、高品質な塗布に欠かせません。

2. スピン塗布装置

スピン塗布装置は、半導体製造分野やFPD (フラットパネルディスプレイ) 製造分野におけるフォトリソグラフィ工程で使用するフォトレジストを回転するテーブル上の生産品に吐出後、テーブルが回転する遠心力により薬液の広がる作用を利用して薄膜を形成する塗布方式を採用する装置です。

最も薄く塗布できる手法ですが、複数枚の塗布や連続生産ができないため大量生産には不向きです。

3.  スプレー塗布装置

スプレー塗布装置は、自動車や外壁建材などの塗装に対して薬液をスプレーで微細粒子に変換して塗布し、塗布対象物が大型の場合、ロボットの広域可動範囲を利用することで高精度且つ広範囲の塗布方式を採用する装置です。

空気、電気、超音波の3種類の粒状噴霧を生成する方式が存在します。

4. ディップ塗布装置

ディップ塗布装置は、対象物の形状は問わず、ディップコート液に浸けて引き上げる方式です。均一な薄膜を形成することが可能で、光学レンズ、医療系や電子デバイスなどに用いられています。

対象物の形状は問わず、塗布液のロスが少なく均一な薄膜を形成することができる点がディップ塗布装置の特徴です。

5. ディスペンス塗布装置

ディスペンス塗布装置は、比較的精密な線状塗布が求められる状況で使用されます。塗布量のコントロールが可能なディスペンスー機構を備え、更に精密な塗布が要求される場合には、ロボットを用いることで塗布量の精度と正確性を兼ね備えた塗布方式を採用する装置です。 もちろん塗布速度などは劣りますが、細かいところへのスポット塗布や複雑な形状の塗膜が形成可能です。

塗布装置のその他情報

塗布欠陥と塗布装置

図3 塗布欠陥と塗布装置

図3. 塗布欠落と塗布装置

どんなに高性能な塗布装置にて塗布を行ったとしても、粘度のあわない塗液や塗布速度などの塗布条件によっては綺麗な塗布面が得られないことがあります。コーティングの欠陥の種類とその対処法は、下記の通りです。

1. 塗布によって発生する欠陥

欠陥 原因 対処法
空気同伴 被塗布物に塗液を塗布する際に、空気が逃げ切れないことで発生。 塗布速度を低下させることで解決。
リブスジ 塗布部に塗布方向に対して逆圧力勾配ができることで発生。 塗液の粘度や塗布速度を低下させることで解決。
気泡混入によるスジやホール 塗液中に泡があることで発生。 泡抜き対策を施す。
横ダン状のムラ 主にリバースグラビア方式などで発生。 被塗布物の振動抑制やグラビアの回転速度を変えることで解決。
ムラ 塗液が塗膜内で流動をおこすことで発生。 塗液を改善することで対応する。
異物 塗液が凝集したり、ゲル状になることで発生。 フィルターを導入するなどで対応する。
はじき 塗液の表面張力が高いことで発生。 界面活性剤などを添加することで対応する。

 

2. 乾燥によって発生する欠陥

欠陥 原因 対処法
ゆず肌 (塗面がゆず皮のように凹凸になる) 乾燥速度が早すぎることで発生。 乾燥速度を弱くしたり界面活性剤を添加することで対応。
風紋 熱風乾燥で発生。 吹き付ける熱風の速度を弱めることで対応する。
割れ 塗膜の収縮によって発生。 厚塗りをやめることなどによって対応する。

 

コーティングは塗布装置と乾燥と塗液をそれぞれ適切に選択することで、成立する技術です。使いたい塗液の条件や乾燥炉のスペックなども考慮して、適切な塗布装置を選択することが大切です。

参考文献

https://www.keyence.co.jp/ss/products/measure/sealing/coater-type/

FPD露光装置

FPD露光装置とは

FPD(英:Flat Panel Display)露光装置は、液晶ディスプレイや有機ELディスプレイ等の製造において、ガラス基板の上に形成する薄膜トランジスタ(英:Thin Film Transistor)の回路パターンが描かれた原版であるフォトマスクに光を照射し、ガラス基板に塗布されたフォトレジストにTFTの回路パターンを露光する装置です。

FPD露光装置の技術は半導体製造のフォトリソグラフィー技術を元にしていますが、半導体チップの1辺が大きいもので約1cm程度であるのに対しFPDでは数mにまで達するため、半導体製造での露光技術とは異なり、複数回に分けて露光を繰返す等の新たな技術が必要となります。

又、高精細化に向けては画素数に応じてTFTの回路数を増やす必要があります。例えば画素数が800万を超える4K液晶では800万×RGB(赤緑青の3色でなるカラーフィルター)で2400万以上のTFT回路を形成し、有機ELでは更にその数倍のTFT回路を形成する必要があるため、生産性や露光精度の向上が要求されます。

FPD露光装置の使用用途

FPD露光装置は様々な種類のFPD製造に用いられます。現在FPDの種類としては液晶(LCD)が主流となっており、スマートフォン等のモバイルデバイスから、情報処理、車載、航空機、医療用に至るまで幅広いモニターに使われています。

一方で、LCD以外にもPDP、有機EL、無機EL、VFD(蛍光表示管)等の多様な種類のFPDがあります。

このような多種のFPDに共通する仕組みが、一つ一つの画素を制御して全体として画像を表示する機能であり、この制御を司るTFTを露光技術によって形成するのがFPD露光装置の役割となっています。

FPD露光装置の原理

FPD露光装置は光源、レンズなどの光学系、基板を載せるステージから構成されます。

光源としては主に超高圧水銀ランプの紫外線が用いられますが、TFT回路の微細化に伴い紫外線の短波長化が進んでいます。

光学系はフォトマスクやレンズの位置及び焦点を制御しています。高精細化のためにはnmオーダーのTFT回路を精密に形成する必要があるため、単に高精度の光を照射するだけでなく、フォトマスクやマザーガラス表面の歪みと位置を計測し、光学系やステージの制御によってこれらを補正する等の技術が盛り込まれています。

FPD露光装置の種類

ステッパー方式とスキャナー方式

FPD露光装置の方式としては大別してステッパー方式とスキャナー方式の2種類があります。

ステッパー方式はフォトマスクの全面を一度に照射し、対象のガラス基板に露光した後、次のガラス基板の処理へと移ります。一度に一つのガラス基板や2×2個のような複数のガラス基板を処理しますが、大型化が困難で、中心部に焦点を合わせるため全体的な解像度が低くなるというデメリットがあります。このため小型液晶などに用いられますが、設備コストが安価に抑えられるというメリットがあります。

スキャナー方式は光源を絞ってフォトマスクの一部に照射し、照射位置を走査(スキャン)しながらフォトマスク全面の露光を行います。このため大型のガラス基板の製造ができる上、中心部の光だけを利用するため解像度を高められるというメリットがある一方で、全面をスキャンしていく時間を必要とし、設備コストも高くなるというデメリットがあります。

現在は大型化、高解像度が求められておりスキャナー方式が主流となっています。

その他の技術

基板の大型化に対応する技術としてマルチレンズ方式があります。これは複数のレンズを並べて用いることで露光面積を拡張するもので、ステッパー/スキャナーの両者に適用可能な技術です。

フォトマスクを利用した従来の露光技術は大量生産に向いていますが、試作や少量多品種生産ではフォトマスク作成のコストや時間がデメリットとなります。このためフォトマスクを使わないマスクレスの露光技術が開発されています。これはMEMS(英:Micro Electromechanical System)技術により作られたDMD(英:Digital Micromirror Device)を用いて、数十万本のビームを超高速で個別にスイッチングして基板に照射するものです。これにより試作や少量多品種生産の時間とコストが削減できるようになりました。

参考文献
http://www.jspmi.or.jp/system/file/3/875/N03-04.pdf
https://www.seaj.or.jp/semi/about_fpd.html
https://www.asml.com/ja-jp

セーフティライトカーテン

セーフティライトカーテンとは

セーフティライトカーテン

セーフティライトカーテンとは、設備に人が侵入することを監視する光センサーです。

主に作業者への安全対策を目的とし、設備への出入口や危険区域に設置されます。安全性を重視する性質上、国際規格IEC61496-1/2のセンサ一般安全規格に基づき設計・評価され、第三者の認定機関により安全用の機器として認定を得た製品が多いです。

セーフティライトカーテンの使用用途

セーフティライトカーテンは、主に産業において使用される装置の1つです。以下は、セーフティライトカーテンの使用箇所一例です。

  • プレス機の開口部周辺
  • 製品反転装置の周辺
  • 破砕機・選別機の開口周辺
  • 博物館や金庫などにおける防犯

大型駆動機械周辺において、人の侵入を検出する用途で利用されることが多いです。機械への挟まれや巻き込まれによる事故を防止します。

大型駆動機械への侵入を防止する際は、柵やフェンスで覆って物理的に侵入不可能とする方法が一般的です。ただし、人の出入りが頻繁な箇所や定期メンテナンスが必要な箇所を完全に覆ってしまうと不便です。そのような箇所にはセーフティライトカーテンを設置して、人が侵入した際に設備が停止するようにします。

産業用途の他には、人の出入りが頻繁で夜間は防犯が必要な博物館などに使用されることがあります。

セーフティライトカーテンの原理

セーフティライトカーテンは光センサー、筐体、リード線などで構成されます。

1. 光センサー

光センサーは、投光と受光のユニットを対にした構造が一般的です。仕組みは光電センサーレーザーセンサーと同様で、投光された光を遮ることで受光機器が物体を検知して信号を発信します。投光された複数の平行光を受光するように、光軸を合わせて設置する必要があります。

投光器の光源には、波長400nm~1,500nmの範囲を使用することが定められています。主に波長が900nm程度の赤外線を出力するLEDが用いられます。

セーフティライトカーテンは安全性を重視する機器であるため、万一センサーが故障しても、異常を検知すれば設備を停止させる動作をするので安心です。ヘルシー信号を光センサーに混ぜて発信しており、応答時間内に受信できなければ回路故障として故障信号を発信します。

2. 筐体

筐体は、光センサーや内部基板を保護するための外殻です。一般的には硬質な合成樹脂や金属などが使用されます。安全対策の製品であることを示すために、虎縞模様で塗装されている場合もあります。

3. リード線

リード線は、センサーと外部制御機器を接続するための部品です。一般的には多芯の移動ケーブルなどが使用されます。コネクタケーブルとなっている場合も多いです。

セーフティライトカーテンの選び方

セーフティライトカーテンの選定基準は、検出高さ、光軸ピッチ、検出距離などです。

1. 検出高さ

検出高さは、セーフティライトカーテンの光線が射出される幅です。開口の大きさに応じて選定します。

検出高さが大きいほど広い範囲を検出できますが、値段も高価な上に機器も大きくなり非経済的です。一般的には、開口大きさを最小限に抑え、セーフティライトカーテンの大きさを小さくするように設計します。

2. 光軸ピッチ

光軸ピッチは、光軸が射出される間隔です。最小検出物体とも呼ばれ、値が短いほど小さな物質の侵入も検出します。ただし、光軸ピッチが短いほど値段も高価です。

手指の侵入も検出したい場合は、10mm~20mm幅を選定します。手の侵入を検出したい場合は、20mm~40mm幅を選定します。腕や人体の侵入を検出したい場合は、40mm以上の幅を選定します。

3. 検出距離

検出距離は、投光器と受光器の設置間隔です。開口の大きさに応じて選定します。一般的に検出距離が長いほど高価になる傾向があります。

検出距離が5m以下の短い製品があります。最大では50mを超える検出が可能な製品も販売されています。一般的には、検出ピッチが短いほど検出距離も短くなる傾向です。

セーフティライトカーテンのその他情報

セーフティーライトカーテンの機能

安全性を担保するセーフティライトカーテンですが、一部無効にする機能としてミューティング機能やブランキング機能があります。ただし、使用方法を誤ると死亡事故につながるため、これらの機能を使用する際は注意が必要です。

ミューティング機能とは、セーフティライトカーテンを一時的に非検知状態にする機能です。検知領域の一部を対象に実施します。例えば、製造中の製品や部品などがセーフティーカーテンを通過する時のみ、通過する部分だけを非検知状態にします。

ブランキング機能とは、セーフティライトカーテンの一部を常時無効化する機能です。作業台などの固定物によって、光軸が常時遮光される装置で使用されます。

参考文献
https://www.fa.omron.co.jp/guide/faq/detail/faq02330.html
https://ac-faq.industrial.panasonic.com/jp/faq_detail.html?category=&page=1&id=4004
https://www.fa.omron.co.jp/product/special/safetynavi/feature/safety_sensor/light_curtain/

イオナイザ

イオナイザとは

イオナイザは、帯電した物体を導体に接近させることで電荷が到達する静電誘導の帯電や、物質の摩擦などによる帯電など、静電気を帯びた帯電物を除電し中和する機器です。

特に生産性が求められる生産現場では、帯電した生産品に対しイオンバランスの極性が0V近辺まで除電する精度と正確性に加え、スピードも求められることから、これらの性能を安定して維持するためのメンテナンス性もイオナイザには求められています。

イオナイザの使用用途

イオナイザの主な使用用途として、製品の生産時における加工工程や搬送時などで発生する動的静電気の帯電により、生産環境で発生する機械や部品同士の擦れや摩耗による屑、毛や髪、繊維やほこりなどが静電付着することを防止する目的で使用する用途や、静電気による生産品の電気部品の静電破壊や誤動作に至るトラブルや不良につながることを防止する目的で使用するなど、さまざまな帯電する場面を防止する目的でイオナイザは利用されています。

イオナイザの原理

イオナイザは、主に電圧印加式、放射線式、自己放電式に大別され、電圧印加式の場合、主に電極針、高圧電源、アースで構成され、電極針に高電圧を印加することで強い電場を形成されるとコロナ放電が生じます。

コロナ放電が生じることで放電した電極と接地した電極間で発生する空気中の分子を電離してイオン化し、帯電した対象物表面に放電が到達することで静電気を中和します。

また電圧印加式には、DC(直流)やAC(交流)方式、パルスDCやAC方式、SSDC方式などがあり、それぞれ除電速度やイオンバランスが異なる方式で除電します。

放射線式の場合、放射線(軟X線、α線、紫外線など)の照射により、気中の分子を直接イオン化させて対象物表面に到達することで静電気を中和します。

放射線式は、放射線で気中の分子を直接イオン化させるため、送風やエア供給が不要です。

自己放電式の場合、帯電した対象物表面に接近させた金属性の針状導電体を用いることで、金属性の針状導電体先端部のコロナ放電によって静電気を中和します。

参考文献

エリアセンサー

エリアセンサーとは

エリアセンサー

エリアセンサーとは、予め設定したエリア内の人や物体を検知するセンサーです。

光線や音波を発信し、その反射もしくは透過を検出することで物体を検知します。セーフティライトカーテンなどもエリアセンサーの1種です。

近年では、2次元の面を検知する製品のみではなく、3次元的に空間の検知をするセンサーも販売されています。

エリアセンサーの使用用途

エリアセンサーは産業用または防犯用などに使用される製品です。以下はエリアセンサーの使用用途一例です。

1. 工場設備の侵入検出

産業機器には、人体を容易に破壊する圧力・トルクで動く設備が多数存在します。産業廃棄物処理用プレスや石炭燃料運搬用ベルトコンベアなどがその一例です。これらの設備に作業者や通行人が不用意に近接した場合、人身災害の危険性があります。

容易に接触できないようにパンチングメタルや手すりで囲って対策するのが一般的ですが、人の出入りが頻繁な箇所や定期メンテナンスが必要な箇所を完全に覆ってしまうと不便です。そのような箇所にはエリアセンサーを設置して、人が侵入した際に設備が停止するようにします。なお、このような安全用途で使用されるエリアセンサーをセーフティライトカーテンとも呼びます。

2. 無人搬送車の物体検知用

工場や自動倉庫では省人化やコスト削減を目的に、自動で物品を搬送するAGV (無人搬送車) が使用される場合があります。AGVの走行方向や周辺の物体検知に、エリアセンサーが使用されるケースも多いです。なお、AGVに使用されるようなエリアセンサーは、セーフティライトスキャナなどとも呼ばれます。

3. 人の検知

自動ドアの開閉や門燈の点灯のため、人の検知を目的として利用されることもあります。人を検知するセンサーを特に人感センサーと呼びます。

また、防犯用途として夜間の不許可侵入者を検知するために使用される場合があります。防犯カメラに付属し、人を見つけるとズームしたり警報を発報したりします。照明器具とセットで防犯用センサーライトとして、販売されていることも多いです。

エリアセンサーの原理

エリアセンサーの検知媒体としては赤外線、超音波、可視光などが用いられます。

1. 赤外線

赤外線は、可視光よりも波長が長い光線のことです。目視できず景観を損ねないため、一般用防犯器具から産業用途まで幅広く使用される検出媒体です。一般的には、1~1,000μm程度の波長光を使用して検知します。

赤外線は外気よりも、温度が高い物体から自然と放出される特徴があります。その特性から体温を持つ人体の検出に最適で、門燈や防犯照明の点灯などに使用されます。また、水栓の開閉には感知温度差による検知方法が用いられる場合があり、検出エリア内で温度差を検知した後に電気信号に変換して検出する機構が用いられます。

2. 超音波

人間の可聴域よりも波長が短い音波を超音波と呼びます。超音波は、人の耳には聞こえない上に反射速度で周囲の物体を検出することが可能なため、エリアセンサーに使用される場合があります。超音波で物体を検出するセンサーを超音波センサーとも呼びます。

音が反射して戻ってくるまでの時間を測定した後に、電気信号に変換して物体との距離を検知します。

3. 可視光

可視光によって物体を検知するセンサーを光電センサーと呼びます。光電センサーと同様の原理を使用したエリアセンサーも販売されています。光を出す投光部と光を受ける受光部から構成され、投光が遮光または反射したことを受光部で検知して物体を検知します。

エリアセンサーの種類

エリアセンサーには上記原理の違いなどから以下のような種類が存在します。

1. ライトカーテンセーフティライトカーテン

複数の光電センサを並べて平面検知とした製品をライトカーテンと呼び、特に安全対策に特化した製品をセーフティライトカーテンと呼びます。一般的に、エリアセンサーと言うとこの種類を指す場合が多いです。

2. 赤外線センサー人感センサー

赤外線を検出するセンサーで、人の検知に使用される場合が多いです。防犯や安全の確保を目的としています。

3. レーザースキャナ

レーザースキャナは、光線を扇状に発信することで周囲の物体を感知するセンサーです。センサーを中心に広い範囲を3次元的に検出可能です。特に安全の用途で使用されるレーザスキャナをセーフティレーザースキャナと呼びます。

近年は、検出範囲の広さから、車載センサーとして開発も盛んに行われています。

参考文献
https://www.hokuyo-aut.co.jp/products/data.php?id=43

定量ポンプ

定量ポンプとは

定量ポンプ

定量ポンプとは、定められた一定量の液体を繰り返し送液する機器です。

薬液などの正確な注入に適しています。薬液などを移送する定量ポンプは耐食性を求められるため、耐食性に優れた材質で構成されます。駆動源には電気や圧縮空気を使用する場合が一般的です。

定量ポンプの使用用途

定量ポンプは液体を定量抜き出すために使用します。以下は定量ポンプの使用用途一例です。

  • 医薬品や化学製品の製造ライン
  • 農業や畜産業などでの薬液注入や滅菌処理
  • 浄水場の殺菌薬液添加用
  • 排水処理工場の中和処理用

主に産業において、製造プロセスの一部に使用されます。浄水場や排水処理工場などのインフラ設備でも広く使用される機器です。

医療分野における定量ポンプは誤差が人命に直結するため、精度の高い液量制御が求められます。

定量ポンプの原理

定量ポンプは往復機構と回転機構に大別されます。

往復機構はピストンを往復させて液を送り出す構造です。ピストンの容積だけ液体を送り出すことが可能です。高い圧力で液体を送り出せる利点を持っています。

回転機構は羽根車などを回転させて液を送り出す機構です。羽根とケーシングの容積だけ液体を送り出すことが可能です。構造が簡単で、幅広い液体に対応することが可能です。

定量ポンプの種類

定量ポンプにはさまざまな種類のポンプが使用されます。

1. プランジャーポンプ

は往復ポンプの一種で、ロッド状ピストンであるプランジャが往復運動するポンプです。連続かつ高圧で定量送液することが可能です。

2. ピストンポンプ

往復ポンプの一種で、ピストンの往復運動で送液するポンプです。送液に伴うシールや弁がピストン側に用いられる点が特徴です。高圧で使用可能な上に効率が良い利点があります。

3. ダイヤフラムポンプ

往復ポンプの一種で樹脂などの弾性膜による往復運動で送液するポンプです。シールレスな点が特徴で、薬液移送用途で多く使用されます。

脈動が発生するという欠点があり、ダイヤフラム動作時にのみ流量が発生します。瞬間的に大流量が出る場合、ピーク流量に合わせて配管径を大きめにする必要があります。エアチャンバーやアキュムレータをポンプ下流に導入したり、位相をずらして複数台並行設置することで脈流を打ち消します。

ストローク幅と回数の変更によって流量調整します。駆動源はさまざまですが、主にモーター駆動と電磁式(ソレノイド式)が使用されます。前者はインバーター、後者は電子制御によってストローク数を変更します。

圧電素子 (ピエゾ素子) を用いた超小型のダイヤフラムポンプはマイクロポンプと呼ばれます。数μL/minといった微小な流量を取り扱うことが可能です。

4. ネジポンプ

回転ポンプの一種で、ポンプ内部でネジ状のローターを回転させて送液するポンプです。脈動が極めて小さい点が特徴です。

5. ギヤポンプ

2枚のギヤがかみ合い、ギヤとケーシングの容積だけ送液するポンプです。ある程度流量が大きいときは脈動が少ない点が特徴です。流量を絞り回転数が少なくなると脈動が現れます。回転数をインバーター制御で調節して流量を調整します。

6. ベーンポンプ

回転ポンプの一種で、羽根車状のベーンとケーシングの容積だけ送液するポンプです。ポンプの中心から少しずれた位置にベーンを設けられます。

7. チューブポンプ

回転するローターに取り付けられた複数のローラーによってチューブ内の液を連続的に押し出すポンプです。定量性が高く機構が単純であり、分析機器の送液や薬液の添加に用いられます。

数μL/min程度の少量の薬液を移送することが可能です。ローラの回転数をインバータで制御することで流量を調整します。

8. シリンジポンプ

注射器のシリンジを一定の速度で押し込む方式のポンプで、全くの無脈動で微小流量の供給が可能です。ただしバッチ処理となり連続供給はできません。医療用などに用いられます。

参考文献
https://www.tacmina.co.jp/products/pump/motor/about/
https://www.iwakipumps.jp/blog/naruhodo/06/
http://magazine.eichitwo.com/?p=574

コーター

コーターとは

コーターの種類

図1. コーターの種類

コーターとは、製品や材料に薬品などを塗布するための装置です。

一般的なコーターは、塗布する対象物の形状や塗布する薬品、目的によって塗布する方法が異なります。そのため、さまざまな用途に応じてロールコータスピンコータディップコーター、スリットコーターなどが用いられます。

近年では、半導体製造分野やFPD(フラットパネルディスプレイ)製造分野、太陽電池や二次電池製造分野などにおいては、精密な塗布精度が求められるため、塗布技術の向上とともにコーターも飛躍的に進化しています。

コーターの使用用途

パソコン、液晶テレビ、スマートフォン、タブレットなど、特に薄型で高機能・高密度化が求められる半導体製造分野やFPD (フラットパネルディスプレイ) 製造分野では、フォトリソグラフィ工程のフォトレジスト塗布でスピンコーターやスリットコーター利用されています。

また、二次電池や太陽電池、自動車部品から住宅建材・繊維・医療などで使用される機能性フィルムやシート状製品に対しては、ロールコータやその他薄膜塗布用のコーターなどが利用されています。

コーターの原理

コーターの特徴

図2. コーターの種類による特徴

コーターの種類は多くありますが、塗液にせん断力をかけることで薄くする塗布することが基本原理です。そのせん断力のかけ方がコーターの種類によって異なります。

また、塗布する量 (液の量) を前もって計量した分を塗布する「前計量方式」と、塗液を塗った後で所定の量にする「後軽量方式」とに分類することができます。

1. ロールコーター

ロールコータは、一般的にフィルムやシートなど比較的薄く平面材料に対する塗布に用いられます。塗布する薬液の液溜まりに接するローラーの回転と、フィルムやシートなどの材料の巻取り回転を利用して塗布するグラビアコーターやリバースコーターなど塗布する薬液の性質や粘度、塗布する膜厚に応じてさまざまな塗布方法が用いられます。

ロールtoロールでの塗布が可能で、最も高速塗布に向いている方法です。これらの方法の特徴は、塗布液と被塗布対象物の間でビードを形成し被塗布対象物、または被塗布対象物とロールの両方が移動したり回転したりすることで、塗液にせん断力をかけ薄く塗布することです。このビードを安定化させることが高品質な塗布には不可欠です。

2. スピンコーター

スピンコーターは、一般的に回転するテーブルと薬品を塗布する機構で構成されています。主に回転するテーブルには塗布される製品などの材料が待機し、製品などの材料に薬液を吐出後、テーブルが回転する遠心力で製品などの材料全体に薬液が広がり薬液膜が形成されます。最も薄く塗布できる手法ですが、複数枚の塗布や連続生産ができないため大量生産には不向きです。

3. ディップコーター

ディップコーターディップ方式と呼ばれ、ディップコート液に浸けて引き上げる塗布に用いられます。対象物の形状は問わず、塗布液のロスが少なく均一な薄膜を形成することができるのが特徴です。

4. スリットコーター

スリットコーターは、スリットの入ったノズルから塗液を吐出することで塗布するコーターです。ダイコーター、スロットダイなどと呼ぶこともあります。被塗布対象物はテーブルの上に載せられ、薬液ノズルから薬液を吐出しながら製品などの材料をスキャンすることで薬液膜が形成されます。

ロールtoロールの塗布にも用いられることがあり、搬送されるフィルムやシートに対して一定の塗液を吐出することで、スリットコーターでの塗布が可能です。塗液が空気と触れることがないため、最も品質の高い塗布やストライプ状など複雑な塗布に最適です。

コーターのその他情報

コーティングの欠陥

Figure3 コーティング欠陥の代表例

図3. コーティング欠陥の代表例

どんなに高性能なコーターにて塗布を行ったとしても、塗液や塗布条件によっては綺麗な塗布面が得られないことがあります。ここではコーティングの欠陥の種類とその対処方針について簡単に説明します。

1. 塗布によって発生するもの

欠陥の種類 原因 対策
空気同伴 被塗布物に塗液を塗布する際に、空気が逃げ切れないため。 塗布速度を低下させる。
リブスジ 塗布部に塗布方向に対して逆圧力勾配ができるため。 塗液の粘度や塗布速度を低下させる。
気泡混入によるスジやホール 塗液中に泡があるため。 泡抜き対策を施す。
横ダン状のムラ 主にリバースグラビア方式であるため。 被塗布物の振動抑制やグラビアの回転速度を変える。
ムラ 塗液が塗膜内で流動を起こすため。 塗液を改善する。
異物 塗液が凝集したり、ゲル状になったりするため。 フィルターを導入する。
はじき 塗液の表面張力が高いため。 界面活性剤などを添加する。

 

2. 乾燥によって発生するもの

欠陥の種類 原因 対処法

ゆず肌
(塗面がゆず皮のように凹凸になる)

乾燥速度が早すぎるため。 乾燥速度を弱くしたり界面活性剤を添加したりする。
風紋  熱風乾燥

吹き付ける熱風の速度を弱める。

割れ  塗膜の収縮 厚塗りを避ける。

 

コーティングは、コーターと乾燥と塗液をそれぞれ適切に選択することで成立する技術です。使いたい塗液の条件や乾燥炉のスペックなども考慮して、適切なコーターを選択することが大切です。

参考文献

https://www.keyence.co.jp/ss/products/measure/sealing/coater-type/roll.jsp