プロッタ

プロッタとは

プロッタ

プロッタ(英語:Plotter)とは、図面など高い精度出力と描画(印字)が必要な印刷に使用する出力装置です。一般的にプリンターとは、その出力の精度で区別されます。

プリンターは、ラスターデータ(1ピクセルの点が縦横と格子状に並び構成されたデータ)の出力を得意としているのに対し、プロッタは、ベクターデータ(複数の点の位置とそれをつないだ線・曲線・色などを数値データとして記憶し再現する形式)の出力に適しています。

よってプロッタは、正確な寸法の図形を描画する必要のある図面や、大判サイズのポスターなどの印刷用として使用されています。

プロッタの使用用途

プロッタは、大判サイズの線画・図形を印刷するものや、印刷と裁断までを行うカッティングプロッタなどがあります。

プロッタは、建築・建設業界および機械・電気工業製品の図面や、デザイン業界のポスター、大判の地図などの印刷に使用されています。建設現場・建築・設計・デザイン事務所・大学の教育現場・公共施設などで多くの業種や場所で使用されています。

カッティングプロッタは、カッティングシートや画用紙・布など薄い素材を切るときに使い、データで読み込んだデザインの形通りに素材を裁断することができます。

プロッタの原理

プロッタの種類と特徴は下記の通りになります。
プロッタは大きく分けて、「ペンプロッタ」、「ラスタプロッタ」、「カッティングプロッタ」の3種類があります。

ペンプロッタは、入力されたデータでペンを左右上下に移動させて描くプロッタです。描画するペンはボールペン・インクペン・シャープペンなどを使用します。

ラスタプロッタは、入力されたデータを点として出力し印字するプロッタで、基本的な仕組みはプリンターと同じです。インクジェット・レーザー・静電・感熱式などの出力方法があります。

カッティングプロッタは、印字するとともに紙やフィルムを裁断するプロッタです。

最近では、プリンターの線画や印字精度も向上し、また大判サイズの印刷も可能になってきたことから、プロッタとプリンターの境界が曖昧になってきています。特に、CAD用のインクジェット式大判プリンターは線画の精度も高く鮮明であり出力が高速であることから、図面の印刷に使用するケースが多くなっています。

操作スイッチ

操作スイッチとは

操作スイッチ

操作スイッチ (英: Operating Switch, Control Switch) とは、外部から加えられた負荷により機械的な動作をさせ、電気信号を切り替えるための入力装置です。

設備・装置の制御システムで回路のオン/オフ (接/断) を行います。操作とは、ボタンを押す、レバーを倒す (戻す) 、つまみやレバーを回す・スライドする など、直接的な作業で操作部を動かすことです。

その結果、内蔵されている接点がオン/オフ (接/断) し、回路に電流を流す/流さない状態を作ります。

操作スイッチの使用用途

操作スイッチ_図1

図1. 操作スイッチの使用例

操作スイッチは、制御や動力システムにおいて、電源のオン/オフ、指令、機器・回路の切り換えなど、さまざまな動作をさせるために使用します。操作者が機械を起動し、稼働中に機器の種類、運転の方法、設定の変更を行い、機械を停止するために用いるが操作スイッチです。

操作ボックス (コントロールボックス) とは、操作スイッチなどの入力装置を設置した収納箱を指します。最近では、入力装置として操作スイッチ以外に、プログラマブル表示器、パネルコンピュータでスイッチを作り込み作動させることも多いです。

操作スイッチの原理

操作スイッチ_図2

図2. 操作スイッチの構造と作動

例えば、トグルスイッチの構造は、ボディー (本体)、レバー、コンタクト (接点) 、端子などで構成されています。レバーを倒すことで、レバーが接点を押し動かして、ON/OFF (接/断) を切り換えます。

1. 接点

操作スイッチ_図3

図3. 操作スイッチの接点、極と投、オルタネートとモーメンタリ

接点は、直接開閉の役割を担う部品で、その呼称は下記3つです。

メーク接点 (a接点)
常時開いて (OFF・断) いて、操作すると閉じる (ON・接) 接点で、NO (Normally Open) 接点とも呼びます。操作して負荷が作動するような使用方法です。

ブレーク接点 (b接点)
常時閉じて (ON・接) いて、操作すると開く (OFF・断) 接点で、NC (Normally Close) 接点とも呼びます。操作して負荷の作動が止まるような使用方法です。

ブレーク・メーク接点 (c接点)
ブレーク・メークの両機能があり、常時一か所が閉じて (ON・接)、他方が開いて (OFF・断) いる接点で、操作によって閉じる (ON・接) と開く (OFF・断) が切り換わります。操作で2回路を切り換えるような使用方法です。

2. 極と投

極は、1度の操作でON/OFF (閉/開、接/断) することができる回路の数です。投は、接点の数を示し、単投はメークもしくはブレーク接点、双投はブレーク・メーク接点を示します。

1スイッチの1度の操作で1回路のON/OFFができるものを単極、2または3回路を同時にON/OFFできるものを2または3極といい、下記がこれらの組み合わせになります。

  • 単極単投 SPST (Single Pole Single Throw) 1回路1接点
  • 2極単投 DPST (Double Pole Single Throw) 2回路1接点
  • 単極双投 SPDT (Single Pole Double Throw) 1回路2接点
  • 2極双投 DPDT (Double Pole Double Throw) 2回路2接点

3. オルタネートとモーメンタリ

操作部の動作は下記2種類あり、説明は押しボタンスイッチの例です。

  • オルタネート
    操作後に手を離しても操作部の位置と接点の状態は保持されます
  • モーメンタリ
    操作後に手を離すと操作部の位置と接点の状態は保持されず元に戻ります

操作スイッチの種類

操作スイッチ_図4

図4. 操作スイッチの種類

操作スイッチの種類は、主に操作部の形状・動きで分類されます。

1. 押しボタンスイッチ

押ボタンスイッチは、円盤状のボタンを押し接点を作動させます。オルタネート (自己保持) とモーメンタリ (自動復帰) の2つの動作タイプがあります。

なお、特殊用途で非常停止用押しボタンスイッチがあり、非常時でも視認しやすい色や形状が特徴です。

2. セレクタスイッチ

セレクタスイッチは、レバー (取手) をひねることで、接点を切り換えます。セレクタスイッチの主な仕様は、下記2種類です。

  • ノッチ
    切り換できる接点数で、3ノッチ3種、4ノッチは4種の切り換えが可能です。
  • ノッチ角度
    レバーの各ノッチ間回転角度で、30°、45°、60°、90°などがあります。レバーの回転後の位置を保持する各位置保持形と、スプリング力で元の位置に戻るリターン形 (自動復帰形) があります。

3. ロッカースイッチ

ロッカースイッチは、小形船横断面のような形状のパドルを押し、接点を作動させます。一般的な例は、住宅の電灯用スイッチです。

4. トグルスイッチ

トグルスイッチは、棒状のレバーを倒し接点を作動させます。トグルスイッチも、オルタネート (自己保持) とモーメンタリ (自動復帰) の動作タイプがあり、レバー位置を保持か元の位置に戻るかです。また、レバーをどちらかに倒す2ポジションと、中間置のある3ポジションがあります。

5. タクタイルスイッチ

タクタイルスイッチは、ボタンのストロークが短い押しボタンスイッチです。他に、タクティルスイッチ、タクトスイッチの呼び方があります。

6. ロータリスイッチ

ロータリスイッチは、円筒状のつまみを回転することで接点を切り換えます。セレクタスイッチと操作方法は似ていますが、内部構造が異なり、可動接触子が固定接触子上に位置した時に摺動するスライド式と、固定接触子の凸部とつまみの回転で接触し摺動するバッティング方式があります。

7. スライドスイッチ

スライドスイッチは、凸状のレバーを押し接点を作動させます。

8. キーロックスイッチ

キーロックスイッチは、キー (鍵) を差し込み、押すまたはひねる操作で接点を作動させます。キーがないと操作はできないため、操作者の限定やセキュリティが必要な機器で使われています。

9. タッチレススイッチ

タッチレススイッチは、機械的動作する部分がなく、近赤外線反射方式などにより、手をかざして接点を作動させます。

厚い手袋着用していても、手を触れずに操作が可能で、衛生や感染症対策が必要な場合に使用されています。

10. RFIDスイッチ

無線周波数識別RFID (Radio Frequency Identification) 採用し、RFIDタグを差し込みデータを読み込み、処理を行うスイッチです。対象者のみが操作・設定変更ができるような、セキュリティ対策に使用します。

操作ボックス

操作ボックスとは

操作ボックス_図0

操作ボックス (英: Control Box、Operating Housing) とは、制御機器や操作スイッチなどの入力装置を設置・収納するためのボックス (箱体) です。

一般的に、コントロールボックスと呼ばれることも多く、他にスイッチボックス、キャビネットボックス、エンクロージャーなども同義語として使用されています。操作ボックスは、各種機械や装置または設備を遠隔操作する場合で、制御機器を収納する制御盤などとは別の場所で操作を行うための小型ボックスです。

操作ボックスの使用用途

操作ボックス_図1

図1. 操作ボックスの使用例

操作ボックスの一般的な用途は以下のとおりです。

操作ボックスは、主に各種制御機器の中でも、下記のような入力装置や表示機器を収納する、小形のボックスです。これらの制御機器をボックスの表面などに取り付けて使用します。

  • 押しボタンスイッチ: 装置や機械などの起動・停止用
  • セレクタスイッチ: 装置や機械、運転方法の選択・切り替え用
  • 表示灯 (ランプ) : 動作していることの表示用
  • プログラマブル表示器: 入力と表示装置が一体化したタッチパネル式ディスプレイ
  • パネルコンピュータ: 入力と表示装置が一体化したタッチパネル式産業用PC

操作ボックスの原理

操作ボックスは、本体 (箱体) 、本体カバーで構成され、本体カバーは本体にねじ止めやヒンジで開閉できる構造です。押しボタンスイッチや表示灯など、入力・表示装置となる制御機器は本体カバーに取り付けられ、カバーを閉じた状態でも操作や表示確認ができるように取り付けます。

本体内に取り付け基板 (中板) がある場合は、制御リレーなどの制御機器やケーブル接続用の端子台を取り付け用です。また、操作ボックスと制御盤などとの接続用の制御ケーブルは、本体側面や下面に貫通穴を加工し、ケーブルグランドなどを取り付けて、ケーブルを本体へ引き込みます。

操作ボックスの種類

操作ボックス_図2

図2. 操作ボックスの種類 (本体カバー固定式)

操作ボックス_図3

図3. 操作ボックスの種類 (本体カバー開閉式)

操作ボックスは、ボックス単体の場合と制御機器やケーブルグランド取り付け用の穴加工されたものや、操作スイッチ類が取り付け済みのものまで、さまざまな種類があります。操作ボックスの種類は、主に構造、本体と本体カバーの材質、使用環境や保護等級により種類分けされます。

1. 構造による分類

一般的に、本体と本体カバーは固定式と開閉式があり、本体内のアクセスする頻度や緊急度に応じて選定します。開閉式の場合は、キーなどで施錠できるものがあります。また、ハンドグリップ付きは、操作ボックスをサポートアームなどに取り付けて使用し、ボックスの位置や向きの変更が容易です。

ボックスの大きさは、タテ・ヨコが100~700mm、深さが100~500mmで、本体内部や本体カバーに取り付ける制御機器、ケーブルグランドなどの大きさや数量により選定します。

2. 材質による分類

本体と本体カバーの材質は、鉄・ステンレス鋼などの鋼板を曲げ加工し溶接し製作されているものや、アルミニウム鋳造 (アルミダイキャスト) 、ポリカーボネート (PC) ・ポリブチレンテレフタレート (PBT) 樹脂で製作されています。材質は、使用場所が屋内/屋外、防水/防滴/防油/防塵性の要否、必要な保護等級などにより選定します。

3. その他

操作ボックスは、使用環境に応じて、保護等級や耐防爆性の種類があります。操作ボックスの保護等級は、防塵・防水性の等級を分類したもので、IP3X、IP4X、IP55、IP66などがあり、使用環境に応じて選定します。なお、保護等級の規格は以下の通りです。

  • IEC60529 エンクロージャーによる国際保護等級 (IPコード) Degrees of protection provided by enclosures (IP Code)
  • JIS C0920 電気機械器具の外郭による保護等級 (IPコード) Degrees of protection provided by enclosures (IP Code)
  • JEM 1030 制御機器の保護等級の種別 (JEM: 日本電機工業会)

また、可燃性ガスや蒸気・粉塵と酸素 (空気)  が混在し、「危険場所」と呼ばれ爆発性雰囲気で使用する場合は、その危険度に応じて認定された、防爆構造の操作ボックスを選定する必要があります。

操作ボックスのその他情報

操作ボックスの設置方法

遠隔操作するための操作ボックスは、制御システムなどから操作ボックスまではケーブルで接続され、下記のような設置もしくは非固定で使用します。

  • 据付形 (壁掛け)
    操作場所の壁面や構造物に固定し使用
  • ハンディ形
    操作ボックスを手で持ち使用、使用時以外は壁や装置に掛けて保管
  • スタンド形
    ポールなどのスタンドに取り付け自立設置して使用

溶接機械

溶接機械とは

溶接機械

溶接機械(英語:Welder, Welding Machine)は、溶接(金属などの素材を溶融し接合すること)を施工する溶接機の総称になります。

溶接だけを行う「アーク溶接機」や「レーザー溶接機」、溶接機を備え溶接作業を自動化して行う「溶接ロボット」など、広範囲の溶接施工用機械を示しています。

溶接機械の溶接方法は、大きく分けて「アーク溶接」、「ガス溶接」、「抵抗溶接」、「レーザー溶接」の4種類に分かれます。それぞれの溶接方法に応じて機械の種類があり、特にアーク溶接機は、「被覆アーク溶接機」、「ミグ・マグ溶接機」、「ティグ溶接機」、「プラズマ溶接機」など複数の種類があります。

溶接機械の規格は、JIS C 9300 アーク溶接装置、JIS C 9305 抵抗溶接装置 などがあります。

溶接機械の使用用途

溶接機械は、金属製品の加工・接合・組み立てにより製造する現場・建設現場・自動車製造工場など、金属を材料として金属同士を接合し製品を製作している現場などで幅広く使用されています。

自動車工場では生産ライン内でのボディやフレームの溶接、船舶工場では船体の鋼板やフレームの溶接など、自動溶接ロボットによって溶接施工する場面などで使用されています。
大型製品や製造工場以外においても、鉄鋼・製缶製品の製造工場や建設現場の鉄筋工事などで、大小様々な自動もしくは半自動・手動の溶接機械が使用されています。

通常溶接機械は、溶接方法により専用の溶接機を使用します。

溶接機械の原理

溶接とは、JIS Z 3001にて「2個以上の母材を、接合される母材間に連続性があるように、熱、圧力又はその両方によって一体にする操作」と定義されています。この溶接を施工するための機械が溶接機械で、種々の溶接方法に対応し様々な構造のものがあります。

例えば、手動溶接機のように溶接機単体の場合は、熱源となる電流を発生させるための電源装置と、溶接を行う先端部分の溶接トーチ、溶加材を溶接トーチへ供給するワイヤ供給装置、シールドガスを供給するボンベとホースなどで構成されています。

レーザー溶接機の場合は、レーザー光を発生させるためのレーザー発振器・レーザー集光レンズ・アシストガス供給ボンベとホースなどで構成されています。手動の溶接機以外にも、溶接個所を自動的に移動させるために、溶接母材を載せたベッドを左右上下にプログラミングされた通りに動かす自動溶接機もあります。

自動溶接ロボットの場合は、溶接トーチが取り付けられたロボットアームが、ティーチングなどによりプログラミングされた位置へ移動し溶接する機械から、溶接される母材や製品の向きを自動的に移動・回転させ、連続して自動的に溶接作業できる機械などがあります。

また、CAM(Computer Aided Manufacturing)のように、3D CADの3次元モデルを利用し、溶接位置・溶接速度などをプログラミングして、溶接作業を自動化する機械もあります。

これらの自動溶接機械を使用することにより、複雑で様々な溶接を自動化し、安定した高い品質の溶接施工が可能になっています。

オートテンショナー

オートテンショナーとは

オートテンショナー

オートテンショナー (英: Automatic Tensioner) とは、動力伝達に用いられるチェーンやベルトの張力を常時適正に保つ装置です。

オートマチックテンショナーの略称であり、テンショナーの一種に分類されます。自動車のエンジンベルトやエアコンベルトなど、さまざまな用途で使用されます。エンジンの効率向上や信頼性向上に貢献する重要な部品要素です。

ベルトが伸びたり緩んだりした場合、オートテンショナーは自動的にテンションを調整します。これにより、定期的な手動調整や点検が不要になり、メンテナンスの簡素化と保守コストの低減が可能です。また、適切なテンションはエンジンや他の駆動機械部品の効率的な動作を確保するために重要です。

オートテンショナーの使用用途

オートテンショナーはさまざまな用途で使用される機械装置で、主にベルトドライブ系統に組み込まれます。以下はオートテンショナーの主な使用用途です。

1. 自動車

自動車のエンジンベルトは、発電機やエアコン圧縮機などのアクセサリーを駆動します。これらのアクセサリーがエンジンの回転に合わせて動作するため、エンジンベルトのテンションを適切に維持することが重要です。

オートテンショナーはエンジンベルトのテンションを自動的に調整し、ベルトが適切に張られていることを確保します。

2. 発電機

発電機は電力を生成するために、エンジンまたは他の駆動装置によって駆動されます。発電機ベルトはエンジンからの動力を発電機に伝達する部品です。

オートテンショナーは発電機ベルトのテンションを一定に保ちます。これにより、発電機の効率的な動作が確保され、電力の安定供給に寄与することが可能です。特に長時間の運転中において、ベルトが緩んだり伸びたりすることを防ぎます。

3. 農業機械

トラクターやコンバインなどは、さまざまな作業を行うためにベルト駆動を使用します。例えば、コンバインでは刈り取りユニットや穀物の処理機械を駆動するためにベルトを利用することが多いです。オートテンショナーは駆動ベルトのテンションを一定に保ち、農業作業の安定性と効率が向上させます。

4. エアコン

エアコンは圧縮機が冷媒を圧縮するために、駆動ベルトを使用することが多いです。圧縮機の駆動ベルトにオートテンショナーを使用することで、エアコンの冷却能力が最大限に発揮され、室内温度の調整が効果的に行われます。

オートテンショナーの原理

オートテンショナーの原理は、ベルトの張力を適切に維持するためにバネの力を利用することです。オートテンショナーには、内部にバネ機構が組み込まれており、ベルトにかかるテンションを調整する役割を果たします。バネは一般的に圧縮バネやトーションバネを使用し、特定のテンションを維持する力を持っています。

ベルトが伸び緩みした場合、オートテンショナーのバネ機構によってプーリーにかかる力を調整することが可能です。ベルトが緩んだ場合、オートテンショナーはバネの力を使ってプーリーを移動させ、ベルトのテンションを増加させます。逆に、ベルトが過度に張られた場合、テンションを緩める仕組みです。

オートテンショナーは、設計されたテンション値を維持するように調整されています。ベルトの伸びや減衰によってテンションが変化しても、オートテンショナーはその変動に対応して適切なテンションを維持します。

オートテンショナーの種類

オートテンショナーは、機械式と油圧式に分けられます。

1. 機械式

機械式は、バネの伸縮する力によりチェーンもしくはベルトの張力を制御する方式です。本体部に2本のコイルばねを内蔵した製品が多いです。先端部に取り付けたアイドラースプロケットまたはスライディングシューがチェーンを押し付け、たるみと張り具合を調整します。

2. 油圧式

油圧式は、油圧によって張力を調整する方式です。機械式では必要な動作を実現できず、高い負荷で角振動する場合などに使用されます。テンショナープーリーと油圧アクチュエータを組み合わせて構成されています。

油圧アクチュエーターのピストンロッドの上下動を、リンク機構のレバーを介してテンショナープーリーへと伝達され張力を調整する仕組みです。自動車用のエンジンベルトなどに使用されます。

アダプターナット

アダプターナットとは

アダプターナット(英語:Adapter Nut)は、アダプタースリーブ、ロックワッシャと組み合わせて使用し、これら全てを含めて「アダプタ」と呼びます。アダプターは自動調心玉軸受や自動調心ころ軸受の内輪がテーパ穴の場合に使用し、容易に取り付け・取り外し・固定ができるようになります。
一般的に、「ベアリングナット」、「ロックナット」も同義語として使用されています。

アダプターナットは、内径側にめねじ(メスねじ)が加工され、外径側は工具を引っ掛け締め付けるための切り欠きが、円周上に4から8か所均等に配置されています。

アダプターナットの使用用途

アダプターナットは、前述の通り自動調心玉軸受や自動調心ころ軸受の内輪がテーパ穴の場合のアダプターを締め付け、軸受を固定し取り付け・取り外しするためのナットです。

自動調心玉軸受や自動調心ころ軸受を、軸の任意の位置に固定する場合に使用します。

またアンギュラ玉軸受では、ネジ加工された軸端にロックワッシャとアダプターナットをはめ込み、軸受内輪側を押し込み固定する方法で使用されています。

アダプターナットの締め付けは、専用の引っ掛けフックが付いたスパナや、ナットの切り欠きに合うように作られたソケットのような工具を使用します。

アダプターナットの原理

アダプターの内径側は、ストレート穴で軸にはめ込む側になり、外径側はアダプターナット取り付け側が小さく反対側が大きいテーパ状になっていて、軸受内径はその逆向きのテーパ穴になっていて、軸受内輪のテーパ穴にはめ込む側になります。

アダプターナットを左側に回転させ締め込むことで、軸受内輪を押し込む方向へ移動させるため、アダプター外径と軸受内径の嵌め合いがきつくなり、軸受を固定することができます。この状態で、アダプターナットと軸受内輪の間に取り付けられたロックワッシャ外側の歯(菊形に突起した爪)を、アダプターナットの切り欠き位置に合わせ、切り欠きに歯を折り曲げはめ込むことで、回り止めを行います。

アダプターナットのねじは、JIS B 0205 一般用メートルねじ の細目ねじ(旧規格 JIS B 0207)の左ねじで、回転方向と同じ方向になってねじが緩みやすくならないように、左ねじが採用されています。ねじサイズは、M10x0.75 から M145x2 になります。

アダプターナットの材質は、軟鋼 SS400ステンレス鋼 SUS304 などが使用されています。

微細ねじ

微細ねじとは

微細ねじ (英: Micro Screw) とは、非常に小さなサイズを持つねじです。

一般的には、M2.6より小さいサイズのねじを微細ねじと呼ぶことが多いです。極小ねじやミニチュアねじ、精密ねじなどとも呼ばれます。

微細ねじは非常に小さいため、小型機器や精密機器の組み立てに有利です。携帯電話や腕時計、医療機器などの組み立て作業に使用されます。微細ねじを使用することで、機器の設計がコンパクトにまとめることが可能です。

ただし、微細ねじは非常に小さく、手先の細かな作業が必要です。そのため、器用さや集中力が求められます。誤った操作や落下などがあると、部品や機器が破損する可能性があります。

微細ねじの使用用途

微細ねじは、その小さなサイズと高い精度からさまざまな用途で使用されています。以下は微細ねじの使用用途一例です。

1. 電子機器

電子機器はコンパクトで複雑な設計で、微細ネジは基板や部品を確実に固定するために使用されます。例えば、スマートフォン内部にはカメラモジュールや基板などが細かく配置されていることが多いです。これらの部品を固定するために微細ねじが必要です。

2. 医療機器

医療機器には精密さと高い品質が求められます。例えば、内視鏡は微細な部品が組み立てられ、高い解像度と信頼性を有することが必要です。微細ねじは光学系の配置を確保し、正確な映像を提供するのに役立ちます。

また、人工関節や心臓ペースメーカーなどの医療機器も微細ねじを使用して組み立てられる場合も多いです。

3. 光学機器

光学機器は高い光学性能を持ち、微細な部品の正確な配置が必要です。顕微鏡のレンズや望遠鏡のミラーは微細ねじを使用して固定されます。微細ねじは光学系の調整を行うために重要です。

4. 時計

時計は正確な時間計測を提供するために、高い精度が必要です。微細ねじは、時計の機構や針の組み立てに使用されます。機構内部の部品や歯車の配置を固定するために欠かせない部品です。

微細ねじの原理

微細ねじは通常のねじと同様に、基本的なねじの原理に従っています。ただし、その小さなサイズと微細な特性に合わせて設計および製造されています。ねじは基本的に螺旋状の溝を持つ棒状の部品で、これを他の部品や材料に対して回転させることで部品同士を締結または固定する部品です。

本体部分には、螺旋状のねじ山があります。ねじの外側に刻まれた溝で、他の部品のめねじと噛み合うことで締結が行われます。微細ねじのスレッドは非常に細かく、メートル法のミリメートルで表現されることが多いです。

ねじの先端にはねじ頭部があります。ねじ頭部にはさまざまな形状があり、ねじ回しや適切な工具を使用して回転させることが可能です。一般的な形状にはプラスねじ六角ねじなどがあります。

微細ねじを締結する際には、回転させることでねじ山同士が絡み合って部品同士を固定します。回転によってねじが進んだり後退したりすることで、部品同士の距離を調整することが可能です。微細ネジのねじ山は非常に細かいため、正確な作業が必要です。

微細ねじの種類

微細ねじは頭部の高さと穴の大きさに規定があります。サイズは0番1種~3種の3種類があり、0番より小さい00番が使用されることも多いです。1種~3種は頭部の大きさと高さを表します。

微細ねじ頭部の形状は、皿頭となべ頭を使用されることが多いです。なべ・皿頭共に1~3種まで種類が存在し、数字が大きいほどサイズが大きくなります。

材質は鉄や炭素鋼ステンレス鋼、チタン鋼などの種類があります。樹脂製や黄銅製などの特殊仕様なども製作可能です。ナイロンをねじ部に溶着し、摩擦によってゆるみ止め効果を発生させる製品も販売されています。

微細ねじのその他情報

微細ねじの規格

規格としては、日本写真機工業会団体規格の JCIS10-70 精密機器用十字穴付き小ねじで規定され、長年使用されてきました。ただし、2020年07月にはカメラ映像機器工業会に移管されて廃止されました。現在は、カメラ映像機器工業会の精密機器用十字穴付き小ねじなどが使用される場合も多いです。

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絶対に触らないでください(日本会社ニュース)

Metoreeで試験サービスの紹介を開始しました

エンジニアや研究者の方からのご要望があったことから、メトリーで試験サービスを提供する企業の紹介を開始しました。

今回新規で紹介する試験サービスは下記になります。

また、試験サービスの一覧ページも合わせて作成致しました。

今後も引き続き紹介する試験を増やして参ります。

メトリーではエンジニアや研究者の方が研究・開発に集中できるような環境をつくるべく今後もサービスの充実を加速させていきます。

盤用ケーブルクランプ

盤用ケーブルクランプとは

盤用ケーブルクランプ(英語:Cable Entry Clamp)は、各種盤(制御盤配電盤、加工機械の操作盤など)に、引き込み口からケーブル(導体に絶縁を施した1本1本の絶縁電線に保護外被覆を施した電線)や電線を確実に保持し簡単に引き込むことができる部品です。

盤用ケーブルクランプは、各種盤の下部や側面に引き込み口として取り付けられ、引き込み口にケーブルや電線を挿入し、クランプ内のパッキンで挟み込み、ねじなどで固定します。これにより外部からのほこりやゴミの侵入を防止します。

盤用ケーブルクランプの使用用途

盤用ケーブルクランプは、上記の通り各種盤のケーブルや電線の引き込み用に開口加工された部分に、ねじなどで取り付けて使用します。製品の多くは、ベースプレートとガイドプレートと2分割になっていて、また開口部分が広いため、容易にケーブルや電線の引き込み作業をすることができます。

ただしケーブルクランプは、ケーブルグランド防水コネクタのように防水性はないため、防水を必要としない環境で、屋内設置用で使用します。

盤用ケーブルクランプの原理

盤用ケーブルクランプは、ほこりやゴミの侵入を容易に防ぎ、パッキンがケーブルや電線を挟み込み密閉度を高めることで、複数本やサイズが異なるケーブルや電線の隙間を埋め、1本1本をしっかり保持して絡まることなく整列させ、引き込むことができ盤内外がシンプルになります。また、パッキンの締め付け力を調整できるタイプもあります。

ベースプレートとガイドプレートの2分割になっていることで、ねじ固定するだけでケーブルや電線を取り外すことなく、部品交換などの作業を行うことが可能です。充填剤を使用する密閉方法と比較して、作業が容易になります。

配線孔のベースプレート固定ねじ穴からアース(接地線)をとることができます。

アクセサリーで、ケーブルや電線を整列させるためのブラケットもあります。

材質は、本体のベースプレートとガイドプレートは鋼板製などの薄板製で、パッキンはニトリルゴムや軟質ウレタンフォーム、ポリエチレンフォームなどが使用されています。

ボールスクリュー

ボールスクリューとは

ボールスクリュー(英語:Ball Screw)は、らせん状の溝(または山)加工されたスクリューシャフト(軸)とスクリューナット、ボールで構成されている機械部品です。一般的に、「ボールネジ」も同義語で使用されます。

直線運動から回転運動に、またはその逆に回転運動から直線運動に変換するための機構を示しています。ネジ加工されたクリューシャフト(軸)とスクリューナットとの間でボールが転がり運動をすることにより、効率の高い送りねじになります。

この場合の、「スクリュー(ねじ)」は、部品を締結するためのねじの意味ではなく、ねじ部の利用方法が異なるものになります。

ボールスクリューの使用用途

ボールスクリューは、主に工作機械や半導体製造機械・産業ロボットなど様々な場面で使用されています。

使用例として、NC加工機(Numerical Control Machining)と呼ばれる数値制御によって作動する工作機械では、送り機構を構成し精密位置決め精度を得るためにボールスクリューが使用されています。また、古くから自動車のハンドルによって前輪を動かすステアリングギアにも使用されています。現在では、食品機器や医療機器・印刷機器など様々な分野の機械、自動車や列車・航空機などの車両用にも使用されています。

ボールスクリューの原理

ボールスクリューは、スクリュー状の溝(または山)が加工されたスクリューシャフト(軸)をボールスクリュー(ボールネジ)と呼び、これを回転させることで、ボールがスクリューに噛み合い、ボールが収められているスクリューナットが左右(もしくは上下)に移動します。このスクリューナットに動作させたい部品などを取り付け、必要な動作を得ることができます。

ボールスクリューは、「軸方向の負荷荷重のみを受け、回転運動を直線運動へ変換する機械部品」で、ボールスクリューは必要部品を軸方向に直線運動させ、スクリューナットを介してスクリューシャフトに軸方向荷重が加わります。それ以外の荷重(垂直荷重、モーメント荷重など)はガイドレールが受け持つ構造にする必要があります。
したがって一般的なボールスクリューを含む直線運動機構は、ボールスクリュー+ガイドレール+動力源(モータ)の構成となります。

ボールスクリューは、スクリューシャフトとスクリューナットの間にボールを入れて軽く転動させることができるトライボロジー(摩擦制御技術)を用いています。ボールは無限循環する必要があるため、スクリューシャフト・スクリューナット・ボールのほかに循環部品が不可欠です。循環方式には以下のものがあります。

  • リターンチューブ式
  • エンドデフレクタ式
  • エンドキャップ式
  • こま式
  • リターンプレート式

大きさ精度により使用用途が分かれており、小径サイズのものは主に精密分野に使用され、大きいものは主に工作機械、搬送機械などに使用されています。