オートテンショナー

オートテンショナーとは

オートテンショナー

オートテンショナー (英: Automatic Tensioner) とは、動力伝達に用いられるチェーンやベルトの張力を常時適正に保つ装置です。

オートマチックテンショナーの略称であり、テンショナーの一種に分類されます。自動車のエンジンベルトやエアコンベルトなど、さまざまな用途で使用されます。エンジンの効率向上や信頼性向上に貢献する重要な部品要素です。

ベルトが伸びたり緩んだりした場合、オートテンショナーは自動的にテンションを調整します。これにより、定期的な手動調整や点検が不要になり、メンテナンスの簡素化と保守コストの低減が可能です。また、適切なテンションはエンジンや他の駆動機械部品の効率的な動作を確保するために重要です。

オートテンショナーの使用用途

オートテンショナーはさまざまな用途で使用される機械装置で、主にベルトドライブ系統に組み込まれます。以下はオートテンショナーの主な使用用途です。

1. 自動車

自動車のエンジンベルトは、発電機やエアコン圧縮機などのアクセサリーを駆動します。これらのアクセサリーがエンジンの回転に合わせて動作するため、エンジンベルトのテンションを適切に維持することが重要です。

オートテンショナーはエンジンベルトのテンションを自動的に調整し、ベルトが適切に張られていることを確保します。

2. 発電機

発電機は電力を生成するために、エンジンまたは他の駆動装置によって駆動されます。発電機ベルトはエンジンからの動力を発電機に伝達する部品です。

オートテンショナーは発電機ベルトのテンションを一定に保ちます。これにより、発電機の効率的な動作が確保され、電力の安定供給に寄与することが可能です。特に長時間の運転中において、ベルトが緩んだり伸びたりすることを防ぎます。

3. 農業機械

トラクターやコンバインなどは、さまざまな作業を行うためにベルト駆動を使用します。例えば、コンバインでは刈り取りユニットや穀物の処理機械を駆動するためにベルトを利用することが多いです。オートテンショナーは駆動ベルトのテンションを一定に保ち、農業作業の安定性と効率が向上させます。

4. エアコン

エアコンは圧縮機が冷媒を圧縮するために、駆動ベルトを使用することが多いです。圧縮機の駆動ベルトにオートテンショナーを使用することで、エアコンの冷却能力が最大限に発揮され、室内温度の調整が効果的に行われます。

オートテンショナーの原理

オートテンショナーの原理は、ベルトの張力を適切に維持するためにバネの力を利用することです。オートテンショナーには、内部にバネ機構が組み込まれており、ベルトにかかるテンションを調整する役割を果たします。バネは一般的に圧縮バネやトーションバネを使用し、特定のテンションを維持する力を持っています。

ベルトが伸び緩みした場合、オートテンショナーのバネ機構によってプーリーにかかる力を調整することが可能です。ベルトが緩んだ場合、オートテンショナーはバネの力を使ってプーリーを移動させ、ベルトのテンションを増加させます。逆に、ベルトが過度に張られた場合、テンションを緩める仕組みです。

オートテンショナーは、設計されたテンション値を維持するように調整されています。ベルトの伸びや減衰によってテンションが変化しても、オートテンショナーはその変動に対応して適切なテンションを維持します。

オートテンショナーの種類

オートテンショナーは、機械式と油圧式に分けられます。

1. 機械式

機械式は、バネの伸縮する力によりチェーンもしくはベルトの張力を制御する方式です。本体部に2本のコイルばねを内蔵した製品が多いです。先端部に取り付けたアイドラースプロケットまたはスライディングシューがチェーンを押し付け、たるみと張り具合を調整します。

2. 油圧式

油圧式は、油圧によって張力を調整する方式です。機械式では必要な動作を実現できず、高い負荷で角振動する場合などに使用されます。テンショナープーリーと油圧アクチュエータを組み合わせて構成されています。

油圧アクチュエーターのピストンロッドの上下動を、リンク機構のレバーを介してテンショナープーリーへと伝達され張力を調整する仕組みです。自動車用のエンジンベルトなどに使用されます。

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