非侵襲型密度計とは
非侵襲型密度計とは、測定対象に直接触れずに密度や濃度を測定する装置を指します。
「非侵襲型」とは、もともと医療用語で「体を傷つけずに検査を行う」ことを意味し、工業や計測分野においては「対象物に物理的な接触や加工をせずに測定できる方式」を指します。
従来の密度計では、試料を採取し容器に入れて測定したり、配管やタンク内にセンサを挿入したりする必要がありました。一方、非侵襲型密度計は、放射線、超音波、あるいはU字管センサなどの技術を応用し、パイプや容器の外から密度を測定できるため、配管を切断したり、測定中に生産ラインを止める必要がありません。
非侵襲型密度計は、作業者の安全性向上、工程の効率化、測定の自動化といった面でメリットがあり、化学、食品、エネルギー、環境などさまざまな分野で導入が進んでいます。
非侵襲型密度計の使用用途
非侵襲型密度計は、産業ごとに異なる課題や環境条件に対応するため、さまざまな用途で使用されています。
1. 産業分野
化学プラントにおける薬液濃度のリアルタイム監視に、非侵襲型密度計が用いられます。配管の外から超音波を照射して、内部液体の密度や濃度を連続的に測定できます。薬液の希釈状態や混合比率を把握することで、品質管理やコスト最適化に貢献するものです。また、腐食性のある薬品でも直接接触せずに測定できるため、安全性が非常に高く、保守点検の手間も軽減されます。
2. 食品製造
食品や飲料製造ラインでも非侵襲型密度計が用いられています。インライン設置された密度計であれば、ジュースやビールなどの製品の糖度 (Brix値) やアルコール濃度をリアルタイムで測定することが可能です。生産工程の自動制御に密接に関わることで、一定した品質の製品供給や原材料の使用効率の改善が実現できます。
3. 医療分野
医療分野では骨密度測定装置が、非侵襲型密度計に該当します。超音波パルスの音速と減衰から密度を測定するもので、短時間で安全に測定できるのが大きなメリットです。検査対象の部位ごとに適した製品が販売されています。