FA機器 (ファクトリー・オートメーション機器) とは
FA (英: Factory automation) とは、工場などにおける生産ラインや検査を自動化するシステムで、これを実現する機器をFA機器といいます。
FA機器の導入は、人間の処理速度を大幅に超えて稼働させることができるため、時間あたりの生産性の向上が見込めます。また、省人化によるコスト削減にもつながるため、世界的な需要が高まっています。さらに、製品の検査において、人の目では発見できないような欠陥も効率よく検出できるため、不良品の割合を下げることで製品の歩留まりを向上させる効果もあります。
FA機器の種類
FA機器には様々な種類があり、生産ラインを完全に自動化する大規模なものから、既存の装置につなぐだけでプログラムした動作を行わせるコントローラータイプのものなど多岐にわたります。
現状では生産ラインの完全自動化には多大なコストがかかるためあまり現実的ではありません。実際にはパーツフィーダによる部品供給や品質の自動検査など、工程のポイントポイントで導入されるケースが一般的です。さらに、コストを抑えて機器のFA化を行うには、専用のFA機器を導入するよりも、プログラマブルコントローラ等を導入すると既存の装置をFA化することができます。
FA機器は目的と予算に合わせて適切なものを適切な規模で導入することが大切です。
FA機器の機能
FA機器には次のような機能や役割があり、それらを組み合わせて生産工場の自動化が成り立っています。
1. 操作する
操作は人の判断で機械や設備を動かすことです。車の運転でアクセルと踏んで車を動かすことや、テレビゲームでコントローラーのボタンを押して中のキャラクターを動かすことです。
2. 制御する
制御とは、操作対象を決められたルールによって動きをコントロールすることです。車の運転であれば、事故が起きないように車線の間で車が走るようにハンドルでコントロールします。
3. 駆動する
操作や制御をして、実際に外部に出力することです。車の運転であれば、タイヤが回転するという動作が駆動するということです。
4. 検出する
操作対象の制御には、動作するきっかけが必要です。また動作中であっても、機械が今どのような状態化を検出する必要があります。そのために使われるのがセンサーです。
5. 表示する
機械が正常に動いているか、何らかの異常が起きていないかを表示します。機械が一見すると止まって見えても何らかの条件で突然動き出しては非常に危険です。そのためランプなどで人が見て分かるように表示します。
FA機器のメリット
1. コスト
生産工場が初期の頃は、人の手によって材料加工や運搬、検査などを行いますが、一定の生産量を超えると自動化することで費用の削減ができます。生産工場であれば業種に限らずどこでも実施されていますが、設備の初期投資は従業員の給料より高いので、投資回収を考えて導入する必要があります。
2. 品質
トラブルに対する対応や、日ごろのメンテナンスができていれば、人が作業する以上に高品質な製品が作れるようになります。また単純な作業では人より作業時間が短くなり、大きな受注に対応が可能になります。
3. 安全性
作業環境が悪い場所などでは、人が作業していると事故による怪我や健康被害のリスクが高まります。産業用のロボットを導入した場合には、労働災害、健康被害が起こらなくなるメリットがあります。
FA機器業界の現状
国内のFA機器業界の業績的な動向としては、半導体製造や電子機器の設備投資が減少傾向にあることや、2018年頃からスマートフォン需要が一段落したこと、2019年の米中貿易摩擦の影響などを受けて出荷額は減少傾向にあります。しかし、こうした減少も底打ちとの見通しがあることと、世界的な人件費の高騰によるFA化需要の高まりによって回復の兆しありというのが全体的な概況です。
技術的な面では、FA機器をインターネット接続してIoT化するスマート工場が注目されており、これを円滑に実現するソフトウェアの開発が要求されています。