信号用リレーとは
信号用リレーとは、電気的な信号を入力し、その信号を基に電気接点をON-OFF制御する電気部品です。
信号用リレーは、有接点リレーと無接点リレーの2種類に分けられます。有接点リレーは、電磁コイルの電磁力によって接点を移動させてON-OFF制御します。
実際に接点が動作するため接点摩耗による経年劣化が発生する反面、サージ電流のある出力でも使用できるという利点があります。無接点リレーは、トランジスタなどの半導体を用いてON-OFF制御するリレーです。
実際に動作する部品がないため動作回数による寿命も存在しませんが、直流電源でしか使用できないリレーも多く販売されています。動作回数に制限がない利点から、コンピュータなどのハイテク製品内部には無接点リレーが多く使用されます。無接点リレーはソリッドステートリレーとも呼ばれます。
信号用リレーの使用用途
信号用リレーは、さまざまな機器に使用される重要部品の一つです。
- 冷蔵庫や掃除機などの家電(古い扇風機以外)
- 成型機や包装機、ロボット機器
- 発変電所制御盤や冷熱サイクル機器などへの信号入出力
- ビル管理システム制御盤やコピー機、複合機
信号用リレーの原理
信号用リレーは、有接点リレーと無接点リレーで原理が異なります。
1. 有接点リレー
有接点信号用リレーは、コイルによる電磁力で可動接点を物理的に移動させて信号を出力します。ケーシング、ピン、ソケット、接点、コイルなどの部分に分かれます。
ケーシングは、リレー全体を堅牢に保護するためのパーツです。入出力信号やコイル部分が地絡するのを防ぐため、主に樹脂やゴムなどの絶縁材料で製作されます。リレーの簡単な仕様や製造番号も、ケーシングに印字されることが多いです。
ピンは、ケーシングに固定された電気信号伝達部分です。ソケットに差し込むか、直接基板と半田付けして使用します。メーカーによってはソケットは別売となる場合があります。
コイルは、可動接点を電磁力で動作させる部分です。コイル電圧は、一般的な信号用リレーではAC200V程度が上限です。
接点は可動接点と固定接点に分かれます。可動接点がコイルの電磁力によって、固定接点と接触または離脱することでON-OFF信号を出力します。
接点やピンは接触抵抗を低減させる目的で、銅や銀を材料に製作されます。金メッキが使用される場合もあります。
有接点リレーのメリット
- 構造部品が少なく、安価に製作可能
- 許容電流が高い製品も簡単に製作可能
- 部品数が少ないため、絶縁距離も長く取れる
- 接点部分は抵抗が少ないため、低損失
以上のメリットから、安全を必要とされる信号用リレーや安価な製品には有接点リレーを用います。
2. 無接点リレー
無接点リレーは、主にトランジスタなどの半導体を使用してON-OFF信号を出力します。信号用リレーにはフォトトランジスタを用いたフォトカプラを用いる場合が一般的です。
半導体とは、電圧や温度などの条件によって導体と絶縁体の性質が切り替わる材料のことです。その中でもフォトトランジスタは光を受光して導体となります。
フォトカプラは、発光ダイオードとフォトトランジスタを組み合わせた部品です。入力電気信号によって発光ダイオードが発光し、受光したフォトトランジスタが導体となることでON-OFF信号を出力します。
無接点リレーのメリット
- 可動部分が存在しないため、動作回数による寿命がない
- 可動部分が存在しないため、無音
- ON-OFFの切替速度が速い
以上の特徴により、無接点リレーは切替頻度が高いハイテク製品などに多用されます。
参考文献
https://jp.misumi-ec.com/vona2/el_control/E1900000000/E1903000000/E1903010000/
https://www.omron.co.jp/ecb/product-info/basic-knowledge-series/basic-knowledge-of-relays/part1/basics