オペアンプ

オペ・アンプとは

オペアンプ

オペ・アンプとは、2つの入力端子と1つの出力端子を備え、入力側の電気信号を増幅して出力することができる集積回路です。

「オペレーショナル・アンプリファイヤー(Operational Amplifier)」の略語で、演算増幅器とも呼ばれています。オペ・アンプは接続する回路素子を工夫することで、単なる増幅にとどまらず、入力電圧の加算、減算、時間積分などの演算機能を持たせることが可能です。

現在では、この特徴を活かしたアナログ増幅回路が広く利用されています。

オペ・アンプの使用用途

オペ・アンプを利用した多種多様な回路が知られていますが、その代表的なものを以下に示します。

  • センサー・アンプ
  • ボルテージ・フォロア回路
  • 差動増幅回路
  • 加算増幅回路
  • 積分回路
  • 微分回路
  • 直線検波回路
  • 対数増幅回路
  • 位相発振回路
  • アクティブ・フィルタ

1. センサー・アンプ

オペ・アンプは、マイクロフォン光センサー圧力センサーなどから出力されるいろいろな微小信号をA/Dコンバータが扱える信号レベルまで増幅するセンサー・アンプの分野で使用されています。ここではノイズの影響を避けるため、差動増幅器構成であったり、バンドパス・フィルターを介して信号の周波数帯域外のノイズを除去したりする等の手段が採用されていますが、そこに必ず使用されるのがオペ・アンプです。

2. ボルテージ・フォロア

オペ・アンプは、ボルティジ・フォロアとしても使用されています。高いインピーダンスの信号源はノイズに弱くケーブル長を伸ばせませんが、オペ・アンプをボルティジ・フォロアとして信号源近くに配置すると、オペ・アンプの低い出力インピーダンスで信号を送り出すことが可能です。オペ・アンプを使用することで、ケーブルを長くしてもノイズの影響を減らせるようになります。

オペ・アンプの原理

オペアンプは、2つの入力端子と1つの出力端子から構成され、次のような理想的な特性を備えています。

  • オープンループ・ゲイン:無限大
  • 入力電流:0A
  • 出力インピーダンス:0Ω

実際には、オープンループ・ゲインは90dB以上、入力電流は数nA~1μA程度、出力インピーダンスは0.1Ω~数Ωですが、原理的には上記を前提として考えることができます。

また、オペ・アンプの2つの入力端子は次の機能を備えています。

  • 反転入力端子
    入力信号の位相が180°反転して出力される端子で、回路記号に”-“が表示されます。
  • 非反転入力端子
    入力信号と同相の出力が得られる端子で、回路記号に”+”が表示されます。

オペ・アンプの種類

オペ・アンプの種類は、「素子」「電源構成」「特性」の観点から分類できます。

1. 素子による分類

回路を構成する素子により、次の3種類となります。

  • バイポーラ・トランジスタだけで構成したオペ・アンプ
    一般的なオペ・アンプで、特性面で優れた高性能タイプから一般汎用タイプまで多くの種類があります。
  • 入力端子にFETを採用したオペ・アンプ
    基本的にはバイポーラ・トランジスタで構成されていますが、入力回路の初段部をJ-FETによる差動型のソース・フォロアとすることで、高い入力インピーダンスと大きなスルー・レート特性を得ています。
  • CMOSで構成したオペ・アンプ
    耐電圧が比較的低いものの、入力バイアス電流が極めて小さなレベルであることや消費電流が少ないことが特徴です。また入出力のダイナミックレンジが広く、大きな振幅の信号を扱えることも利点です。但し、高い周波数の信号には対応できません。

2. 電源構成による分類

オペアンプを動作させるための電源構成により、次の2種類に分類できます。

  • 両電源タイプ
    アースレベルに対し、プラスとマイナスの電源電圧が必要なオペアンプ
  • 単電源タイプ
    プラスもしくはマイナスの電源電圧のみで動作するオペアンプ

3. 特性による分類

用途に応じて特に重要な特性が異なることから、特徴を持ったオペ・アンプが供給されています。その一例を以下に記しますが、要求仕様に基づいて、適切なデバイスを選択する事が求められます。

  • 広帯域
  • ローノイズ
  • 高精度
  • Rail to Rail 動作
  • 低バイアス電流
  • 低消費電流
  • 高出力電流

オペ・アンプの使い方

オペ・アンプは、アナログ回路特有のエラー要因を有します。また、「オペ・アンプの原理」の項で解説した理想的な特性から外れた部分が、回路動作に悪影響を及ぼすことがあります。そのため、それらを避ける対策が必要です。具体的な対策は、以下に記します。

  • オペ・アンプに供給する電源はノイズの少ない安定した電圧を出力するものであること
  • 電源端子の近傍にノイズ吸収コンデンサを実装すること
  • デジタル処理回路から距離をとる、もしくはシールドケースに収めること
  • 温度変動が少ない環境に設置すること
  • 正確な増幅率や周波数特性を求める場合は、フィードバック回路の素子の精度や温度特性を踏まえて設計すること

その他にも以下のような注意事項がありますが、個々の対処方法については、専門の文献やオペ・アンプメーカーが提供している資料を参照して下さい。

  • オフセット電圧のキャンセル
  • 発信防止
  • ダイナミックレンジの確保
  • バイアス電流の影響除去
  • 電流供給能力の確保
  • 過大入力信号からの保護

オペ・アンプのその他情報

増幅回路の基本

オペ・アンプは、オープンループ・ゲインが極めて高いため、出力端子から入力端子へのフィードバック回路を適切に設定して、前項に記した様々な機能を実現します。ここでは、オペ・アンプを用いた基本的な増幅回路として次の2つを実例として解説します。

1. 反転増幅器
信号Viは抵抗Riを介して反転入力端子に接続し、反転入力端子と出力端子間は抵抗Rfで接続します。また非反転入力端子は直接アースに接続します。この構成で得られる出力信号Voは (-Rf/Ri) ×Viとなります。”-“は位相が反転していることを示します。

2. 非反転増幅器
信号Viは直接非反転入力端子に接続します。反転入力端子はRiを介してアースにするとともにRfを介して出力端子に接続します。この構成で得られる出力信号Voは (Rf/Ri) ×Viとなります。

参考文献
https://www.ablic.com/jp/semicon/products/analog/opamp/intro/
https://www.marutsu.co.jp/pc/static/large_order/1104opamp
http://www.mech.tohoku-gakuin.ac.jp/rde/contents/course/mechatronics/analog.html

圧着端子

圧着端子とは

圧着端子

圧着端子とは、電線の端末へ使用する端末材料の一種です。圧着とは、端子と電線を工具などにより、塑性変形させて機械的に結合する方法です。

圧着端子の大きさは、結合する電線の太さや端子台のねじ径に応じてさまざまな種類があります。また、端子台への接続方法にも、ねじ止めやねじ込みなどの方法があります。

ねじ止めで端子台へ接続する場合、圧着端子の形状は様々なものが選べます。Y型端子やC型端子は作業性が高い反面、締め込みが緩いと抜ける危険性があるので注意が必要です。

圧着端子の使用用途

圧着端子は、端子台や電線同士を強固に接続させる場合に使用します。

一般家庭では、エアコンの室外機と室内機を接続する配線の端末などに使用します。工事業者が仕舞作業を行うため、目にすることはありません。

産業用には、通信配線から電力ケーブルまで、幅広く使用されます。主にケーブルを使用する際の端末に使用します。

間違った工具を使用や作業ミスにより、圧着が不完全となることがあります。不完全な圧着は電線の接触抵抗を高めてしまい、火災などの原因となるため注意が必要です。

圧着端子の原理

圧着端子の固定原理は、電線端末と圧着端子の塑性変形です。一度処理すると圧着個所は元に戻せず、失敗した場合は電線端末を切ることになります。

圧着端子には、バレルと端子の2つの部位があります。バレルは配線と接続される部位で、指定した配線芯線がすべて入る大きさがあります。圧着端子も配線も、などの柔軟な金属材料でできています。圧着工具で合わせて潰すことで強固に接続します。

端子部分は、制御盤や制御機器と接続するための部位です。丸型やY型、棒状などの形状があり、接続先に合わせて選定します。

圧着による電線の接合は絶縁テープなどによる接合に比べて、脱着する危険性が低いのが特徴です。

圧着端子はY型と丸型が多く使用されますが、JIS規格を取っているのは丸型のみです。そのため、JIS規格が指定されている場合、丸型を使用されることが多いです。丸型には呼びサイズがあり、端子台のねじの大きさに合わせた選択が必要です。

圧着端子の種類

圧着端子は、「絶縁圧着端子」と「裸圧着端子」の大きく2種類に分類されます。

絶縁圧着端子は、バレル部分が絶縁体で覆われている圧着端子のことを指します。すでに絶縁体がついているため、絶縁処理の手間が不要となり、接続端の屈曲も防止できます。

裸圧着端子は、バレル部分に絶縁体がない端子のことを指します。圧着後のバレル部分は、絶縁キャップやマークチューブを被せて絶縁処理して使用します。

圧着端子の舌部の形状にも様々な種類があり、一般的に使用されている丸形のほか、C型・Y型になっているものやY型にツメがあるタイプも存在します。C型・Y型の端子はネジ部を弛めることで接続・取外しができる利便性がある一方、ネジの締め付けが甘いと外れてしまいます。

圧着端子のその他情報

1. 圧着端子のサイズの選び方

圧着端子のサイズは適用電線の断面積と穴の大きさから選定します。圧着端子に彫られている刻印が、「形状(丸形・Y型など)・適用電線の断面積・ネジ部の呼び径」を表しています(例:丸形で適用電線5.5mm2、ネジ部の呼び径の場合、R5.5-6と表記)。

圧着端子にはさまざまな大きさがあり、使用する電線のサイズやネジ呼び径が合っていないと接続不良となります。接続不良は火災の原因となりかねないため、仕様を確認した上で、適切な圧着端子を選ぶことが重要です。

2. 圧着端子で使用する工具

圧着端子を圧着し、電線を接続するための工具として圧着ペンチがあります。

圧着ペンチは、てこの原理でバレル部分を潰す工具です。一般にはラチェット機能が付いており、不完全な圧着を防止しています。

圧着ペンチにはペンチの柄の部分の色によって圧着する対象物が変わります。柄の色によって用途が決まっており、圧着端子には赤柄の圧着ペンチを使用します。バレル部分に適したダイス(圧着部の溝の部分)を使用して圧着します。

参考文献
https://jp.rs-online.com/web/generalDisplay.html?id=ideas-and-advice/crimp-terminal-guide
https://jp.rs-online.com/web/generalDisplay.html?id=ideas-and-advice/crimp-terminal-guide
https://www.nikki-tr.co.jp/html/solderless-terminal02.html
http://www.nichifu.co.jp/j/information/lecture01.html
http://www.nichifu.co.jp/j/information/lecture03.html
https://jp.misumi-ec.com/vona2/el_wire/E1403000000/E1403010000/?CategorySpec=00000041217%3A%3Ac

スピンドル

スピンドルとは

スピンドル

スピンドル (英: spindle) とは、回転軸のことです。

スピンドルの本来の意味は、紡績機の糸を巻き取る紡錘のことですが、工学では主に工作機械で回転する軸のことを指します。この軸に工具刃物を取り付けて加工を行います。

旋盤など刃が固定で工作物が回転する場合は、工作物を取り付けて回転する軸のことです。工具刃物や工作物は軸端に取り付けられますが、軸だけでなく、これらを総称してスピンドルと呼ぶこともあります。また、回転対象そのものや回転装置自体をスピンドルユニット、略してスピンドルと呼ばれます。

スピンドルがその他に使われるのは、自動車ではFF車の後輪やFR車の前輪の回転中心軸、及びパソコンなどのハードディスクドライブやDVDなどの記憶装置、水道栓の部品などです。

スピンドルの使用用途

スピンドルは、対象物を精度良く回転させる装置です。工具刃物や工作物はスピンドルに着脱して使用するため、着脱による回転軸とワークの中心軸にズレが発生します。このズレを振れ回りといい、加工精度の誤差と直結します。

また、スピンドルの回転精度が悪いと、加工後の表面性状も悪くなり、外観品質にも影響が出ます。スピンドルそのものの回転誤差はもちろんのこと、工具刃物や工作物の着脱ごとのズレが少なく、安定して回転するスピンドルは精密加工には欠かせないものです。

工作機械の代表的なものとして、旋盤とフライス盤があります。旋盤は、スピンドルを使用して対象物を回転させます。また、フライス盤は、逆に工具をスピンドルで回転させて加工します。

スピンドルの原理

スピンドルは回転運動を行う機構もしくは装置であるため、回転運動をするための動力が必要です。回転運動を発生させる動力としては、主に電気モータを使用しますが、空気圧による動力を使用するものもあります。

最適な加工条件で加工をするため、モータ直結による動力伝達よりも、歯車やプーリなどにより、回転速度とトルク制御を行う場合がほどんどです。また、スピンドルも安定して高い回転精度を保つため、ベアリングによる軸受けを使用するのが一般的です。

エアベアリングや油圧ベアリングなどの非接触軸受けで、更なる精度向上を図っているものもあります。スピンドルは工作機械の回転軸の構造になっているので、加工による振動や圧力により劣化が避けられません。そのため、定期的なメンテナンスや部品交換を行うことで、常に一定の回転精度を保つ必要があります。

その検査方法は、スピンドルに検査具を取付て円筒物を一周させ、その真円度との差を比較する方法が一般的です。

スピンドルの種類

スピンドルは駆動方式、構造、精度などの違いでいくつかの種類に分類できます。

1. 外部駆動スピンドル

外部のモータ等の動力により、回転させる他の動力と組み合わせて使用する方式です。プーリスピンドルとも呼ばれます。増速や減速して、特定の回転速度にします。

2. ビルトインモータスピンドル

モータとスピンドルを一体にしたもので、モータスピンドルとも呼ばれます。モータのシャフトがスピンドルの役目をしており、コンパクトになり、高精度の加工も可能です。種々の工作機械に使われ、ロボットのハンドなどにも使用されます。

3. エアスピンドル

エアスピンドルは、静圧エア軸受で支持したスピンドルや動力に圧縮空気を使用したスピンドルを言います。静圧エア軸受は、非接触でスピンドルを支持するので、軸受損失が小さく、静かで油による汚染がありません。油を使用できない用途に適しています。

圧縮エアを使用するエアスピンドルは、回転精度が高く、スピンドルの熱変形が少ない長所があります。駆動にエアタービンなどを使用します。トルクが小さいので、切削抵抗によって回転数が変わりやすいのは短所です。エアタービンスピンドルとも呼ばれます。

エアモータにより駆動するエアモータスピンドルは、低速の用途に使用されます。比較的低速で高トルクな加工に向いています。

4. 高周波スピンドル

高周波モータをスピンドル内部に組み込んだスピンドルです。回転速度を上げたり、回転速度やトルクの制御を行う場合に使われます。

参考文献
http://www.techno-nakanishi.co.jp/spindle/

ガスケット

ガスケットとは

ガスケット

ガスケット(英語:Gasket)は、機器や構造物、配管などにおいて、内部の流体などが流出しないように、気密・密閉性を維持し封止するための部品・材料です。

一般的に封止する目的で、ガスケットとパッキンがあり、ガスケットは主に「動きのない」、「動かない」部分に使用します。それに対してバッキンは、主に「動きのある」、「動く」部分に使用します。

ガスケットの使用用途

ガスケットの使用例(1)

図1. ガスケットの使用例 (1)

ガスケットの使用用途は、配管用フランジや機械部品の接合部、カバーなど平面部の隙間を埋め、封止するために使用します。密閉性を維持し封止することで、内部流体の漏洩を防止することが主な理由ですが、接合面の隙間から異物が混入することを防ぐ目的もあります。

ガスケットの使用例(2)

図2. ガスケットの使用例 (2)

一般的に、ガスケットは接合面間に挟み込み、ねじやボルトにより締め付け、その面圧によって密閉性を高めて使用します。

ガスケットの原理

ガスケットは配管用フランジや機械部品の接合部間に挟み込み、ねじやボルトにより接合部を締め付け、一定の厚みや形状まで圧縮され、その面圧によって密閉性を発揮します。したがって、ガスケットの適切な締め付け方法と締め付け力は、材質・厚み・形状・構造や材質などによって異なります。

特に、配管フランジ用や圧力容器フランジ部のガスケットは、下記規格によって締め付け方法と管理方法が規定されています。これらの規格と、各メーカーの適正締付面圧などを参考にして、最適な締め付け管理すること必要です。

  • 日本工業規格 JIS B2251:2008 フランジ継手締付方法
  • 日本工業規格 JIS B8265:2010 圧力容器の構造 一般事項
  • 石油学会規格 JPI-8R-15-2008 フランジ・ボルト締付管理
  • ASME ASME PCC-1-2013 Guidelines for Pressure Boundary Bolted Flange Joint Assembly

一般的にフランジに使用する場合、流体を封止するために必要な締め付け力は、JIS B8625に規定されている、Wm1: 使用状態でのボルト荷重(締付力)、Wm2: ガスケット締付時のボルト荷重(締付力)を使用します。

液状ガスケットは、接合面に塗布し締め付けることで、均一になり硬化し粘着性を持った薄膜状態になり、密閉性を発揮します

ガスケットの種類

ガスケットの種類は、材質・形状や構造によって様々な種類があります。主な種類は下表を参照してください。

ガスケットの種類

図3. ガスケットの種類

1. 非金属ガスケット

ジョイントシートガスケット
ジョイントシートガスケットは、ガラス繊維材料にゴムや充填剤を加え、圧延・加硫しシート状にしたガスケットです。シート状の材料から、配管用フランジや機械部品の接合面の寸法や形状に、打ち抜き加工や切断して使用します。寸法の自由度も高く、高低温から高低圧用、耐油性や耐熱性にも優れていて汎用性も高く、さまざまな種類があり幅広い場面で使用されています。

ゴム・合成ゴムシートガスケット
ゴム・合成ゴムシートガスケットは、天然ゴムニトリルゴム・シリコンゴムなどのシート状のガスケットです。必要な寸法や形状に、打ち抜き加工や切断して使用します。比較的に低圧・低温用の流体の場合に使用されています。

フッ素樹脂PTFEシートガスケット
フッ素樹脂PTFEを圧縮成形したシート状のガスケットです。無機充填剤やカーボン系充填剤を加え、耐熱性・薬品性・耐酸性や耐アルカリ性を高めた製品もあります。腐食性の高い薬品や食品用配管のフランジ、装置などに使用されています。

膨張黒鉛ガスケット
黒鉛を薬品処理し、高温で加熱膨張させ、シート状に成型したガスケットです。必要な寸法や形状に、打ち抜き加工や切断して使用します。シート単体では強度が低く、強度を高めるために、薄いステンレス鋼板を挟んだり、張り合わせたりして、補強されているものがあります。

耐熱性・耐薬品性に優れていて、一般用配管のフランジ、装置などに使用されています。また、浸透性の高い流体、極低温のLNGや液体窒素用配管のフランジなどにも使用されています。

ヘルールガスケット
ヘルールガスケットは、サニタリー配管用ヘルールフランジに適合した規格ガスケットです。材質は、エチレンプロピレンゴム(EPDM)、フッ素樹脂(PTFE)、シリコンゴムなどがあります。食品や医薬・化学薬品用配管のフランジ、装置などに使用されています。

2. セミメタリックガスケット

セミメタリックガスケット

図4. セミメタリックガスケット

うず巻き形ガスケット
うず巻き形ガスケットは、V字断面に成型した鉄やステンレス鋼の薄板のフープと、同形状の膨張黒鉛・フッ素樹脂PTFE・ノンアスベストペーパーなどの緩衝材を、交互に巻き付けたガスケットです。

フープとフィラーで構成された状態が、基本形となります。基本形に加え、フランジ接合面の適切位置設定のための外輪付き、締め付け力による変形低減のための内輪付きがあります。高温・高圧の蒸気・熱媒体油などの流体配管用フランジに使用されています。

メタルジャケットガスケット
メタルジャケットガスケットは、耐熱性の高い中心材(クッション材)を、被覆金属の薄い炭素鋼ステンレス鋼やモネル(ニッケル銅合金)の板を、巻き付けたガスケットです。高温・高圧、耐酸・耐アルカリの配管用フランジや、熱交換器・圧力容器など機器接合部に使用されています。

非金属ガスケット・金属ガスケット・液状ガスケット

図5. 非金属ガスケット・金属ガスケット・液状ガスケット

3. 金属ガスケット

メタルガスケット
メタルガスケットは、薄い軟鋼やステンレス鋼板を波型断面に曲げ、リング状加工にした「金属波形ガスケット」、軟鋼やステンレス鋼板の単板リング状の「金属平形ガスケット」、平形の裏表面に円形状のV字形溝を加工した「のこ歯形ガスケット」があります。エンジンのシリンダブロックとシリンダヘッド接合面や、高温・高圧の配管用フランジなどに使用されています。

リングジョイントガスケット
リングジョイントガスケットは、鍛造された金属をリング状に機械加工し、フランジ接合面のリング溝にはめ込み使用するガスケットです。リングの断面は、楕円状のオーバル形、8角形のオクタゴナル形、6角形のダイヤモンドリング、3角形のデルタリング、円形の丸形などがあります。

材質は、軟鋼・ステンレス鋼・モネル(ニッケル銅合金)・チタンアルミニウムなどがあります。高温・高圧の蒸気、ガス、油の配管用フランジ、圧力容器など機器接合部に使用されています。

4. 液状ガスケット

液状ガスケットは、接雨水排水の塩化ビニルパイプや、エンジンの接合部など、さまざまな場面に使用されています。少量の塗布量でも有効なため低コストで、接合面とのなじみが良いため、低い締め付け面圧で、比較的低い加工精度でも密閉性が高く、増し締めが不要であることから作業効率が良いなどの特徴があります。

有機溶剤(変性アルキッド系、繊維素エステル系、合成ゴム系)、無溶剤(フェノール系、変性エステル系、シリコーン系、アクリル系)、水性タイプ(水性アクリル系)などのタイプがあります。

https://kinokikou.jp/info/knowledge/gasket-packing/
https://kayo-corp.co.jp/products/packing/standards/
https://kinokikou.jp/info/knowledge/kind-of-gasket-and-packing/
https://www.eslontimes.com/system/category/93/
http://www.jwwa.or.jp/syuppan/jwwakikaku.html
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/topics/bukyoku/kenkou/suido/kijun/kijunchi.html
http://toeikanki.jp/contents/faq/faq2.cfm
https://jp.misumi-ec.com/vona2/detail/223000718586/?rid=rid3
http://ishiiseikou.com/type.html
https://www.nichias.co.jp/products/product/seal/gasket/index.html

電流計

電流計とは

電流計

 

電流計(英語:ammeter)とは、電流の大きさを測るための電気計器です。内部電気抵抗の小さな測定器であり、測定箇所の回路を切り離してその間に電流計を直列に接続します。電流計の内部では、回路に低抵抗を挿入されており、その抵抗の両端の電圧を測定することで電流値に換算しています。

大電流の測定には分流器又は変流器が使用されます。電流計は、直流電流計交流電流計に大別されます。電流計の表示形式には、指針で読み取るアナログ式と、デジタル表示式があります。

工業用ではマルチメーターやクランプメーターよりも精度が高く、微細な電流を測定することができる電流計が利用されています。

電流計の使用用途

電流計は電気を使用している所で実験室的に精密に測定するケースと、制御盤などにモニターとして電流計を固定するケースとがあります。また、簡易的にテスターを使って、電流をチェックする場合もあります。マルチメーターやクランプメーター等にある電流計を使って、住宅や建築物の配電・送電の確認に使用されています。

自動車の計器盤に直流の電流計を備えたものがあります。プラス側であればバッテリーが充電中であり、マイナス側であれば放電されていることが分かります。工場設備、建築物、発電機器などの配電盤に電流計を設置するのが一般的です。学校の理科の実験では、電流を測定する方法を教えます。研究室では、電流を精密に測定することが多くあります。

また、微細な電流によるめっきや表面処理の際には、微細な電流の計測が必要なので、微細電流計や積算電流計が利用されています。

電流計の原理

電流計は回路に直列につないで使用します。指針で表示するアナログ式の電流計では、内部のコイルに流れた電流によって受ける磁場の変化を受けて永久磁石の針が動き、電流値を指し示すことによって計測します。直流電流計は可動コイル型であり、永久磁石とコイルで構成されます。大きな電流測定には分流器を使用して、電流の一部を取り出して測定します。

交流用の電流計は、主に可動鉄片型計器が使われ、45~65Hz程度の商用周波数を測定するのに使用します。電流を測定する場合、接続端子部分の電圧降下及び発熱や磁界の発生による指示誤差などが生じます。一定より大きい電流を測定すると誤差が大きくなります。電流の測定精度をあげるために、直流では分流器が、交流では計器用変流器が使用されます。

デジタル表示の電流計は、分流器や電流検出抵抗器、交流電流センサなどを使用しています。そして両端の微細電圧をデジタル化して電流測定値としています。また、めっき現場等では積算電流計を使う方法が使われています。一定時間に流れた電流を積算して計測することが可能です。

電流計のその他情報

1. 電流計の使用方法と注意点

電流計は回路内のあるポイントに流れる電流を計測する測定器です。内部抵抗は低く、回路に流れる電流に影響がないように作られています。電流計を接続する場合は、電流を測定したい回路に直列に電流計を挿入します。回路の電位の高い方を電流計の+側に接続し、回路の電位の低い方を電流計の-側に接続します。

電流計の-側の端子は一般に複数あります。測定レンジが分かっている場合は適切なレンジを選びますが、分からなければ、大きなレンジから始めて適切なレンジまで落としていきます。小さいレンジから測ると、レンジよりも大きな電流が流れた時に電流計を破壊してしまうことがあるからです。なお、電流計は内部でヒューズにより保護されているものもあります。

同じような計器に電圧計があります。電圧計は回路に並列に接続して2点間の電圧を測定します。電流計で電圧を測るようなつなぎ方をすると、電源をショートすることと同じなので大変危険です。十分注意する必要があります。

2. マルチメーター

マルチメーターあるいはテスターと呼ばれる便利な計器があります。電流ばかりでなく、交流・直流を問わず、電流、電圧、抵抗など基本的な電気特性が測定できます。デジタル式とアナログ式があります。主にハンディタイプであり気軽に持ち歩いて使用できます。

電流は計器内部にある微小抵抗器の両端電圧を測定して電流換算して表示します。直流電圧は2つのプローブ間の電圧を増幅又はアッテネータを通して減衰させ、電圧を表示します。交流電圧は、整流回路を通して交流電圧を直流電圧に変換して電圧を表示します。

参考文献
https://wakariyasui.sakura.ne.jp/p/elec/kairo/kei.html
https://exam.fukuumedia.com/current/

熱収縮チューブ

熱収縮チューブとは

熱収縮チューブ

熱収縮チューブとは、熱をかけると収縮するように加工されたチューブです。

成型された樹脂のチューブに放射線処理が施されていて、主に電線の保護や絶縁などを目的に広く利用されます。使い方は、電線を熱収縮チューブに通してヒートガンなどで熱をかけるだけです。処理が簡単で、作業環境を問わず使用できます。

熱収縮チューブの使用用途

熱収縮チューブはかぶせた電線に合わせて収縮させる部材で、主に電線や部品の保護・絶縁・防水・腐食防止を目的に利用されます。

具体的な使用用途は以下の通りです。

  • 家電に使用される内部配線
  • 電子製品の内部配線
  • 産業機器の給電配線
  • 自動車用ワイヤーハーネス
  • 腹腔鏡手術の手術装置

熱収縮チューブの原理

熱収縮チューブは、ポリエチレンや各種エラストマといった高分子ポリマーが材料です。これらの材料は、柔軟性を保持したまま熱により収縮する性質を持ちます。

上記の高分子ポリマーに、チューブの製作段階で電子線を照射して架橋反応を起こします。架橋反応後のチューブを加熱して伸ばすと、チューブが伸びたまま固まり、再度加熱するとチューブが収縮して伸ばす前の大きさに戻ります。これが熱収縮チューブの原理です。

熱収縮チューブの種類

熱収縮チューブは構造の違いにより、一層熱収縮チューブと二層熱収縮チューブに大分されます。

熱を加えると直径方向に縮み、収縮率は2:1~3:1程度です。材質は、ゴム系、PE系、フッ素樹脂系、シリコン樹脂系などがあります。熱収縮チューブには多くの種類があるため、適切な選定が肝要です。

1. 一層熱収縮チューブ

一層熱収縮チューブは一般的な種類で、チューブの厚さで「薄肉」「中肉厚」「厚肉」に分けられます。一層熱収縮チューブの目的は、絶縁や部分的な保護保護です。チューブの色は各色販売されているので、識別に使用できます。

2. 二層熱収縮チューブ

二層熱収縮チューブは内層と外層の二層構造です。電気的絶縁や機械的保護を目的に使用されます。層が分厚いため、湿度や腐食環境からの保護に使用される場合もあります。一層熱収縮チューブと同様に各色販売されているため、識別に使用できます。

熱収縮チューブのその他情報

1. 熱収縮チューブの使い方

熱収縮チューブのサイズは、収縮後の内径が目的物よりも細くなるように選定します。長さも若干縮むので、多少長く選定・切断しましょう。素材によって収縮率も異なるため、作業前に加熱条件を確認します。切断する場合は、切断面の切れ目から破損することがあるので、切断面を綺麗にそろえることが肝要です。

一般的な熱収縮チューブは約120℃から収縮するため、加熱器具はヒートガンを使用します。低温タイプは約80℃から収縮するため、ヘアードライヤーでも作業可能です。また、小径で数量が少ない場合ははんだごてでも代用できます。その際、こて先などが周囲に触れないように注意が必要です。

2. 熱収縮チューブの注意点

熱収縮チューブでの作業では加熱器具を使用します。安全に使用するためには火傷に注意し、適切に器具を使用することが肝要です。特に、ガスバーナーなどの直火で加熱する場合は、過熱によりチューブが溶けてしまうため、適切なタイミングで火を止める必要があります。

また、金属など熱伝導の良いものを包む際は、加熱時の熱を奪われやすいため縮みにくく、普段よりも長時間熱を加えることで対処します。電解コンデンサ、二次電池などには、絶対に使用してはいけません。加熱により破裂する場合があるためです。したがって、これらの近くで作業をすることも極力避ける必要があります。

参考文献
https://electrictoolboy.com/media/31536/
https://kurashi-no.jp/I0017469
https://kurashi-no.jp/I0017469
https://electrictoolboy.com/media/31536/

ショックアブソーバ

ショックアブソーバとは

ショックアブソーバ

ショックアブソーバとは、機械や建築物の振動を軽減する装置です。

乗用車やバイクはサスペンションの他に、ショックアブソーバを用いて地面からの衝撃を軽減しています。ショックアブソーバに付属するスプリングが衝撃を吸収し、快適な乗り心地を実現します。

ショックアブソーバが経年劣化によって故障すると、衝撃吸収能力が低下してブレーキが効きづらくなるため大変危険です。また、コーナーが曲がりづらくなる場合もあります。

ショックアブソーバの使用用途

ショックアブソーバは主に乗り物に使用される装置です。以下はショックアブソーバの使用用途一例です。

  • 自動車やバスなどの乗用車
  • オートバイやマウンテンバイクなどの二輪車
  • 鉄道車両

これらの車両は地面を進む衝撃を吸収するためにショックアブソーバが搭載されています。乗用車用には伸縮式のシリンダー型ショックアブソーバが用いられますが、車高が低いモータースポーツ車にはスプリングの位置を可変できる車高調整式が用いられることがあります。

住宅などの制震には、オイルダンパーや免震ダンパーと呼ばれるショックアブソーバが使用される場合もあります。

ショックアブソーバの原理

ショックアブソーバには、回転式や伸縮式があり、乗り物には伸縮式が使用される場合が多いです。

伸縮式のショックアブソーバはスプリングの内側にショックアブソーバが内蔵されています。衝撃を受け振動するスプリングのエネルギーをシリンダが受けて、油圧内をゆっくり動くことで振動を吸収します。

このときに振動エネルギーを熱エネルギーに変換するため、ショックアブソーバは熱を持ちます。また、伸縮式のショックアブソーバはさらに単筒式と複筒式に分類できます。

1. 単筒式

単筒式は、複筒式よりも単純な構造です。一部オイルで満たされたシリンダの内部を、スプリングの振動を伝えるロッドによってピストンが上下します。ピストンには油圧がかかるので振動が減衰し、衝撃が吸収されます。

2. 複筒式

複筒式は、単筒式と仕組みはほぼ同じです。単筒式のシリンダの外側にオイル弁がついたシリンダがさらに設けられており、単筒式よりも丈夫な設計となります。複筒式は多くの乗用車に設置されています。

ショックアブソーバの劣化によるオイル漏れは走行距離や劣化速度に影響するため、定期的なメンテナンスが必要です。

ショックアブソーバの選び方

ショックアブソーバの選定の大まかな手順は以下です。

  • 使用条件を確認する
  • 条件に基づきショックアブソーバを仮選定する
  • 衝突の総エネルギーを算出する
  • 等価質量を計算する
  • 仮選定した製品の評価を行う

選定時に必ず確認すべき項目は、衝突物の最大質量と最大速度、そして最大推力です。特に自由落下やシリンダによる推力が生じる場合には、それを忘れずに総エネルギーに加算するよう注意が必要です。

等価質量は重量効果値とも言われ、各製品ごとに許容できる範囲が決まっています。許容範囲を超えてしまうとショックアブソーバのストローク終端で高い反力が発生し、衝撃吸収不良を起こします。等価質量が製品カタログ記載の許容範囲を超える場合には、別のショックアブソーバの検討が必要です。

ショックアブソーバのその他情報

ショックアブソーバの寿命

ショックアブソーバは、経年によって性能が低下します。自動車のショックアブソーバ性能が低下すると、タイヤやブレーキパッドの消耗が早くなります。そのまま走行を続けると、ショックアブソーバ本体が破損したりオイル漏れを起こしたりする恐れもあります。

車の足回りの耐久性は、10万kmまたは10年が一般的です。ショックアブソーバの交換目安は8万kmとも言われます。ただし、寿命は利用する道路や運転の仕方によっても異なります。

高速道路や山道は車への負荷が大きく、ショックアブソーバの劣化が進みやすい傾向にあります。走行距離と回転数に相関があるタイヤなどとは異なり、明確な交換時期が分かりづらいのもショックアブソーバの特徴です。そのため、時期を決めて定期的にメンテナンスを行うことが重要です。

参考文献
http://www.kybclub.com/shockabsorber/about.html
https://jp.misumi-ec.com/tech-info/categories/technical_data/td03/a0078.html
https://bestcarweb.jp/news/72593

水検出センサー

水検出センサーとは

水検出センサーとは、水分子に吸収される長波長の光を使用して、水を検出するセンサーのことです。

一般的な光電センサーは、液体を検知・検出することはできますが、透明な水では光が透過すると同時に光の減衰量が非常に小さく検知することが困難になります。また、色のついた水や色の濃度が異なる水などでは、減衰量が変わるため、更に検知が難しいです。

一方、この水検出センサーは、水分子に吸収される長波長の光を使用することで、透明な水、色のついた水、色の濃度が異なる水でも検知できます。

水検出センサーの使用用途

水検出センサーは、水分子に吸収される長波長の光を用いたセンサーであることから、水の存在そのものを検出する際に使用されています。例えば、水を使用する生産現場における水の監視や貯水タンクの液面検出、液面レベルの検出、ペットボトルやガラスの透明容器に液が充填されているかを検出する時などです。

また、霧状の水でも安定して検出できることから、水を使用する事業所でのスプレーによる水洗浄の監視等にも用いられています。

水検出センサーの原理

水検出センサーは、光電センサーと同様に光を投光装置で照射し、センサーで受光することで水の有無を検出します。1.45um (1450nm) の長波長の光を用いることで、水分子の吸収を促進している点が特徴です。

水検出センサーでは、水分子に吸収される長波長光を使用することで、透明な水、色のついた水、色の濃度が異なる水でも水分子に光が吸収し遮光されるため、安定して水を検知することができます。光電センサーでは誤動作しやすい水滴や気泡、小さな気泡が蓄積した泡などの液-成分に水が使用されている場合でも、水分子に光が吸収し遮光されるため検知可能です。

水検出センサーのその他情報

1. 光屈折式や静電容量検出での水検出センサー

水検出センサーは、その原理上投光部と受光部に分かれて動作するため、基本的には検出したい場所の両側に各々の機器を設置する必要があります。設置場所を確保可能な環境下では問題ありませんが、狭い空間のパイプや配管内の水を検出したいような場合には不向きです。

そのような場合には、コンパクトに設置可能な光屈折式の水検出センサーや静電容量検出方式の水検出センサーが適しています。光屈折式は、水の有無でLED光がパイプ内を通過するか反射するかの違いから水を検出する方式です。一方で、静電容量検出は液体の有無で誘電率の変化を読み取り検知する方式です。

共に、機器が1台のみでパイプや配管の片側にコンパクトに設置可能な特徴を有しており、長波長光のタイプで設置困難な環境下で使用可能な機種と言えます。

2. 水検出センサーと湿度センサーの違い

水検出センサーは、長波長の光を活用した水の所在を把握検出するセンサーですが、湿度センサーは感湿膜を用いて、櫛型の電極間の水滴による抵抗変化や静電容量の変化を電気的に検出し、湿度に補正します。

水検出センサーは、水の有無が主な検出目的ですが、湿度センサーはその構成上から微小な水滴を原理的に検出可能なため、大気中の水滴の割合を算出し湿度換算可能であるのが大きな違いです。

3. スマートフォンでの水検出センサー

昨今スマートフォンでUSB電源コードに水滴が付着すると、充電中に水滴による電極の腐食や劣化が懸念されるため、警告で知らせてくる機種があります。この原理も、電極間の抵抗ないしは容量変化を電気的な電圧変化に変換し検知しています。

ただし、このような実際に水分を検出するセンサー自体を有する機種はまだ多くはありません。一般のスマートフォン上でよく目にする温度や湿度の表示は、GPS機能からの現在の場所を特定することに基づき、その場所での温度湿度情報を入手して表示しているものが多いです。

参考文献
https://www.takex-elec.co.jp/bundles/takexelecpublic/pdf/library_wartersensor.pdf
https://www3.panasonic.biz/ac/j/fasys/sensor/photoelectric/ez-10/index.jsp

AC軸流ファン

AC軸流ファンとは

AC軸流ファン (英: AC axial-flow fan) とは、交流電源を使用した機器冷却用の軸流型送風機です。

機器内に発生した熱を外部に排出したり、反対に機器外の環境熱を内部に給気したりする目的で使用されます。機器内の温度を制御するのが主な役割です。

機器の稼働や駆動をさせることで発熱する電子部品の熱処理を放置すると、機器内の電子部品は最悪の場合、故障や破損する恐れがあります。この機器内で発生した熱を給気や排気をするため、AC軸流ファンが使用されます。

AC軸流ファンの使用用途

AC軸流ファンの主な使用用途は、制御盤や計測機器、OA機器、通信機器、電源装置、医療・理化学機器、遊戯機器、産業機器などです。また、自動販売機や冷蔵のショーケースなどの機器内のコンデンサやIC電子部品などの換気・冷却用にも使用されます。いずれも、機器を長期的に使用するのが目的です。

AC軸流ファンの原理

一般的なAC軸流ファンは、交流電源で駆動するモータに、羽根状の樹脂製や金属製クーリングファンが取り付けられた構成です。ファン前方から吸気し、後方に排気することで機器内部を冷却します。逆に、ファン後方から吸込み、前方に排気するものもあります。

軸流ファンはファンを使って風を送る方向が軸方向にあるファンで、ターボファンの中で最も効率がよく、発熱体の冷却用途として幅広く使用されています。抵抗物による風量の増減が比較的少ないことが、軸流ファンの特徴です。軸流ファンを装置に搭載する際は、ファンの動作点を最大風量側にすることで、装置の騒音や電力を下げることが可能です。

ファンの性能には、冷却対象の発熱量に対する必要風量が最も重要です。さまざまな環境下でファンによる冷却に対応するため、ファンの並列運転や直列運転、大型タイプや二重反転ファンなどを用いて、必要風量を得る場合もあります。

AC軸流ファンの選び方

AC軸流ファンの選定時は、まず装置内の発熱量Wを見積ります。発熱量は、機器類の消費電力を熱量に換算することにより、計算可能です。そして、装置内の許容温度上昇値ΔTを、機器類の許容温度とファンの吸込み最高温度との差として決定します。次に、許容温度上昇値ΔTを満たすための必要風量Qを計算します。

また、装置内の通風抵抗、または過去のデータによりシステム抵抗を推定します。最後に、軸流ファンの圧力P-風量Q特性を使用して、ファンを選定するという流れです。通風抵抗の推定が難しい場合は、最大風量が必要風量の1.3~2倍になるようにファンを選定します。

一方、ファンを使用することによって、冷却対象の機器内に埃などが長期間流入し続けるため、電子部品の故障や破損を招く恐れがあります。この場合、ファン前方の吸気側にフィルターを設けることで、機器内へ埃や異物の流入を防ぐことが可能です。この通気抵抗を加算する必要があります。

AC軸流ファンのその他情報

1. ACファンモーター

ACファンモーターは、交流電圧で駆動されるモーターです。ACファンモーターは固定子と回転子によって構成され、固定子に電流を流した際に発生する磁界の変化で、回転子に渦電流が発生して動力が発生します。

ACファンモーターには、交流電源が単相と3相の2種類があります。ACモーターは単相のみでは通常は動きません。したがって、単相ACファンモーターは位相を進角させるためのコンデンサを内蔵したものや隈取りと呼ばれる構造が使用されます。また、3相電源のモーターは、3種類の位相が存在するため、電源をそのまま印加すれば動き、誘導モーターとも呼ばれます。

回転速度制御が可能なDCファンモーターとは異なり、交流電源の周波数によって羽根の回転速度が固定されるのが一般的です。交流を直流に変える機能を持った特殊なACDCファンモーターもあります。

2. AC軸流ファンとDC軸流ファンの違い

AC軸流ファンとDC軸流ファンの違いは、ファンモーターの駆動電源です。DC軸流ファンは、直流電源駆動のファンです。一方、AC軸流ファンは、交流電源で駆動するファンを指します。

交流電源の周波数によって、ファンの回転速度が一定になるのに対して、DC軸流ファンはモーターの回路により回転速度を変えることが可能です。

参考文献
https://www.sanyodenki.com/archive/document/product/cooling/technical_material_jp.pdf
https://www.fa.omron.co.jp/data_pdf/commentary/axialfan_tg_j_3_3.pdf
https://techcompass.sanyodenki.com/jp/training/cooling/fan_basic/008/index.html
https://fan-blower-soufuuki.com/handbook1_1/handbook1_9

DC軸流ファン

DC軸流ファンとはdc軸流ファン

DC軸流ファン (英: DC axial-flow fan) とは、直流電源を使用した機器冷却用の軸流型送風機です。

DC軸流ファンを設置する目的は、機器内で発生した熱を外部へ排出したり、反対に機器外部から内部へ熱を供給したりすることです。これにより、機器内の温度の制御が可能となります。

機器を駆動させると、一般に熱が発生します。このまま放置すると、機器内の電子部品の温度が上り、最悪の場合、故障や破損が起こります。この場合、DC軸流ファンを使用すると、機器内で発生した熱が排出され、事故を未然に防止できます。

DC軸流ファンの使用用途

DC軸流ファンの主な使用用途は、ノート型パソコンやデスクトップ型パソコン、制御盤や計測機器、OA機器、通信機器、電源装置、医療・理化学機器の内にあるコンデンサやICなどの電子部品を冷却することです。

また、自動車の冷却ファン、エアコンのファンなどを長期的に安定して使用したり、温度を制御したりするためにDC軸流ファンが利用されます。

DC軸流ファンの原理

一般的なDC軸流ファンは、直流電源で駆動するモータに、羽根状の樹脂製や金属製クーリングファンが取り付けられた構成です。ファン前方から吸気し、後方に排気することで機器内部を冷却します。逆に、ファン後方から吸込み、前方に排気するものもあります。

軸流ファンは、ファンを使って風を送る方向が軸方向であるるファンです。ターボファンの中で最も効率がよく、発熱体の冷却用途として幅広く使用されます。抵抗物による風量の増減が比較的少ないことが、軸流ファンの特徴です。軸流ファンを装置に搭載する際は、ファンの動作点を最大風量側にすることで、装置の騒音や電力を下げられます。

さらに近年では、ノート型パソコンやデスクトップ型パソコンなどで使用されているDC軸流ファンのPWM (Pulse Width Modulation) コントロール機能の付いたファンは、ファンの回転速度を外部からコントロールする機能を備えています。環境温度を適切に制御することが可能です。

DC軸流ファンの選び方

DC軸流ファンを選定する際は、まず装置内の発熱量Wを見積ります。発熱量は機器類の消費電力を熱量に換算することにより、計算可能です。そして、装置内の許容温度上昇値ΔTを、機器類の許容温度とファンの吸込み最高温度との差として決定します。

次に、許容温度上昇値ΔTを満たすための必要風量Qを計算します。また、装置内の通風抵抗、または過去のデータによりシステム抵抗を推定します。最後に、軸流ファンの圧力P-風量Q特性を使用して、ファンを選定するという流れです。

通風抵抗の推定が難しい場合は、最大風量が必要風量の1.3~2倍になるようにファンを選定します。一方、ファンを使用することによって、冷却対象の機器内に埃などが長期間流入し続けるため、電子部品の故障や破損を招く恐れがあります。

この場合、ファン前方の吸気側にフィルターを設けることで、機器内へ埃や異物の流入を防ぐことが可能です。ただし、通気抵抗を加算する必要があります。

DC軸流ファンのその他情報

1. DCファンモーター

DC軸流ファンに使用されるDCファンモーターは、直流電源で作動するファン用の電動機です。DCモーターは産業用、一般用問わず広く用いられます。一般用としては、携帯して顔などを冷やすファンなどに使われるものです。構造が簡単で、電池により作動ができます。産業用は、自動車の冷却ファンやエアコンのファンなどに使用されます

DCファンモーターの構造は、一般的なブラシ型の場合だと、鉄心・巻線コイル・整流子から成る回転子、鉄心・巻線コイル又は永久磁石・ブラシから成る固定子です。ブラシ型DCファンモーターは、固定子で作られる磁界の中で、回転子の磁界が整流子の作用により回転磁界となり、駆動力が発生します。回転子の磁界の強さを変えることにより、回転速度の可変が容易です。

近年、多く使用されるようになったブラシレスDCファンモーターは、回転子に永久磁石を使用し、固定子の磁界発生回路により、回転速度を変える方式です。ブラシのメンテナンスが不要であることや、効率面のメリットから、採用が増加しています。

2. DC軸流ファンとAC軸流ファンの違い

DC軸流ファンとAC軸流ファンの違いは、ファンの駆動電源です。DC軸流ファンは、直流電源駆動ですが、AC軸流ファンは交流電源で駆動するファンとなっています。

DC軸流ファンは、モーターの回路により回転速度を変えることが可能です。一方、AC軸流ファンは交流電源の周波数によって、ファンの回転速度が一定になります。

参考文献
https://www.sanyodenki.com/archive/document/product/cooling/technical_material_jp.pdf
https://www.fa.omron.co.jp/data_pdf/commentary/axialfan_tg_j_3_3.pdf
https://techcompass.sanyodenki.com/jp/training/cooling/fan_basic/011/index.html