ガスケット

ガスケットとは

ガスケット

ガスケット(英語:Gasket)は、機器や構造物、配管などにおいて、内部の流体などが流出しないように、気密・密閉性を維持し封止するための部品・材料です。

一般的に封止する目的で、ガスケットとパッキンがあり、ガスケットは主に「動きのない」、「動かない」部分に使用します。それに対してバッキンは、主に「動きのある」、「動く」部分に使用します。

ガスケットの使用用途

ガスケットの使用例(1)

図1. ガスケットの使用例 (1)

ガスケットの使用用途は、配管用フランジや機械部品の接合部、カバーなど平面部の隙間を埋め、封止するために使用します。密閉性を維持し封止することで、内部流体の漏洩を防止することが主な理由ですが、接合面の隙間から異物が混入することを防ぐ目的もあります。

ガスケットの使用例(2)

図2. ガスケットの使用例 (2)

一般的に、ガスケットは接合面間に挟み込み、ねじやボルトにより締め付け、その面圧によって密閉性を高めて使用します。

ガスケットの原理

ガスケットは配管用フランジや機械部品の接合部間に挟み込み、ねじやボルトにより接合部を締め付け、一定の厚みや形状まで圧縮され、その面圧によって密閉性を発揮します。したがって、ガスケットの適切な締め付け方法と締め付け力は、材質・厚み・形状・構造や材質などによって異なります。

特に、配管フランジ用や圧力容器フランジ部のガスケットは、下記規格によって締め付け方法と管理方法が規定されています。これらの規格と、各メーカーの適正締付面圧などを参考にして、最適な締め付け管理すること必要です。

  • 日本工業規格 JIS B2251:2008 フランジ継手締付方法
  • 日本工業規格 JIS B8265:2010 圧力容器の構造 一般事項
  • 石油学会規格 JPI-8R-15-2008 フランジ・ボルト締付管理
  • ASME ASME PCC-1-2013 Guidelines for Pressure Boundary Bolted Flange Joint Assembly

一般的にフランジに使用する場合、流体を封止するために必要な締め付け力は、JIS B8625に規定されている、Wm1: 使用状態でのボルト荷重(締付力)、Wm2: ガスケット締付時のボルト荷重(締付力)を使用します。

液状ガスケットは、接合面に塗布し締め付けることで、均一になり硬化し粘着性を持った薄膜状態になり、密閉性を発揮します

ガスケットの種類

ガスケットの種類は、材質・形状や構造によって様々な種類があります。主な種類は下表を参照してください。

ガスケットの種類

図3. ガスケットの種類

1. 非金属ガスケット

ジョイントシートガスケット
ジョイントシートガスケットは、ガラス繊維材料にゴムや充填剤を加え、圧延・加硫しシート状にしたガスケットです。シート状の材料から、配管用フランジや機械部品の接合面の寸法や形状に、打ち抜き加工や切断して使用します。寸法の自由度も高く、高低温から高低圧用、耐油性や耐熱性にも優れていて汎用性も高く、さまざまな種類があり幅広い場面で使用されています。

ゴム・合成ゴムシートガスケット
ゴム・合成ゴムシートガスケットは、天然ゴムニトリルゴム・シリコンゴムなどのシート状のガスケットです。必要な寸法や形状に、打ち抜き加工や切断して使用します。比較的に低圧・低温用の流体の場合に使用されています。

フッ素樹脂PTFEシートガスケット
フッ素樹脂PTFEを圧縮成形したシート状のガスケットです。無機充填剤やカーボン系充填剤を加え、耐熱性・薬品性・耐酸性や耐アルカリ性を高めた製品もあります。腐食性の高い薬品や食品用配管のフランジ、装置などに使用されています。

膨張黒鉛ガスケット
黒鉛を薬品処理し、高温で加熱膨張させ、シート状に成型したガスケットです。必要な寸法や形状に、打ち抜き加工や切断して使用します。シート単体では強度が低く、強度を高めるために、薄いステンレス鋼板を挟んだり、張り合わせたりして、補強されているものがあります。

耐熱性・耐薬品性に優れていて、一般用配管のフランジ、装置などに使用されています。また、浸透性の高い流体、極低温のLNGや液体窒素用配管のフランジなどにも使用されています。

ヘルールガスケット
ヘルールガスケットは、サニタリー配管用ヘルールフランジに適合した規格ガスケットです。材質は、エチレンプロピレンゴム(EPDM)、フッ素樹脂(PTFE)、シリコンゴムなどがあります。食品や医薬・化学薬品用配管のフランジ、装置などに使用されています。

2. セミメタリックガスケット

セミメタリックガスケット

図4. セミメタリックガスケット

うず巻き形ガスケット
うず巻き形ガスケットは、V字断面に成型した鉄やステンレス鋼の薄板のフープと、同形状の膨張黒鉛・フッ素樹脂PTFE・ノンアスベストペーパーなどの緩衝材を、交互に巻き付けたガスケットです。

フープとフィラーで構成された状態が、基本形となります。基本形に加え、フランジ接合面の適切位置設定のための外輪付き、締め付け力による変形低減のための内輪付きがあります。高温・高圧の蒸気・熱媒体油などの流体配管用フランジに使用されています。

メタルジャケットガスケット
メタルジャケットガスケットは、耐熱性の高い中心材(クッション材)を、被覆金属の薄い炭素鋼ステンレス鋼やモネル(ニッケル銅合金)の板を、巻き付けたガスケットです。高温・高圧、耐酸・耐アルカリの配管用フランジや、熱交換器・圧力容器など機器接合部に使用されています。

非金属ガスケット・金属ガスケット・液状ガスケット

図5. 非金属ガスケット・金属ガスケット・液状ガスケット

3. 金属ガスケット

メタルガスケット
メタルガスケットは、薄い軟鋼やステンレス鋼板を波型断面に曲げ、リング状加工にした「金属波形ガスケット」、軟鋼やステンレス鋼板の単板リング状の「金属平形ガスケット」、平形の裏表面に円形状のV字形溝を加工した「のこ歯形ガスケット」があります。エンジンのシリンダブロックとシリンダヘッド接合面や、高温・高圧の配管用フランジなどに使用されています。

リングジョイントガスケット
リングジョイントガスケットは、鍛造された金属をリング状に機械加工し、フランジ接合面のリング溝にはめ込み使用するガスケットです。リングの断面は、楕円状のオーバル形、8角形のオクタゴナル形、6角形のダイヤモンドリング、3角形のデルタリング、円形の丸形などがあります。

材質は、軟鋼・ステンレス鋼・モネル(ニッケル銅合金)・チタンアルミニウムなどがあります。高温・高圧の蒸気、ガス、油の配管用フランジ、圧力容器など機器接合部に使用されています。

4. 液状ガスケット

液状ガスケットは、接雨水排水の塩化ビニルパイプや、エンジンの接合部など、さまざまな場面に使用されています。少量の塗布量でも有効なため低コストで、接合面とのなじみが良いため、低い締め付け面圧で、比較的低い加工精度でも密閉性が高く、増し締めが不要であることから作業効率が良いなどの特徴があります。

有機溶剤(変性アルキッド系、繊維素エステル系、合成ゴム系)、無溶剤(フェノール系、変性エステル系、シリコーン系、アクリル系)、水性タイプ(水性アクリル系)などのタイプがあります。

https://kinokikou.jp/info/knowledge/gasket-packing/
https://kayo-corp.co.jp/products/packing/standards/
https://kinokikou.jp/info/knowledge/kind-of-gasket-and-packing/
https://www.eslontimes.com/system/category/93/
http://www.jwwa.or.jp/syuppan/jwwakikaku.html
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/topics/bukyoku/kenkou/suido/kijun/kijunchi.html
http://toeikanki.jp/contents/faq/faq2.cfm
https://jp.misumi-ec.com/vona2/detail/223000718586/?rid=rid3
http://ishiiseikou.com/type.html
https://www.nichias.co.jp/products/product/seal/gasket/index.html

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です