サンプリングオシロスコープ

サンプリングオシロスコープとはサンプリングオシロスコープ

サンプリングオシロスコープとは、高速に変化する信号波形を観測するために使われる電子計測機器です。

主にナノ秒からピコ秒の範囲で変化する非常に高速な信号波形を正確に取り込んで表示するために用いる電子計測器の一種ですが、同じパターンを繰り返す信号を測定対象としています。通常のリアルタイム・オシロスコープとは異なり、単発信号を観測することはできません。被測定信号を少しづつタイミングをずらして波形データとして取り込み、そのデータを用いて元の信号波形を再現表示することを特徴としています。

サンプリングオシロスコープの使用用途

サンプリングオシロスコープは、次のような幅広い分野で活用されています。

  • 通信分野:高速デジタル通信の信号品質評価、光通信の波形解析
  • 電子工学:集積回路の開発、半導体デバイスの評価
  • 高度な研究開発:高速信号の物理現象解析、先端技術開発
  • 計測機器の校正:精密なタイミング計測を必要とする校正作業

サンプリングオシロスコープの原理

1. 測定原理

サンプリングオシロスコープは、信号の全体を一度に記録するのではなく、入力信号を一定の間隔でサンプリング (標本化) し、そのデータを蓄積して波形を再構成します。この原理は「等価時間サンプリング」と呼ばれ、以下のステップで動作します。

  1. サンプリング:入力信号を規則的な間隔でサンプリングし、その瞬間の電圧値を記録します。
  2. 時間のずれ:次のトリガ信号が発生する毎に、サンプリングのタイミングをわずかに遅らせます。これを繰り返して複数回のデータを記録しておきます。
  3. 波形の再構成上記の記録されたデータを集めて、信号の全体的な波形を再現します。

この方法により、オシロスコープ自体のサンプリング周期が信号の繰り返し周期より遅い場合であってあっても、非常に高い時間分解能で観測することが可能です。

2. 測定の特徴

サンプリングオシロスコープの特徴を以下に挙げます。

  • 時間分解能が高い等価時間サンプリングを用いて、ピコ秒単位の精密な時間分解能が得られます。
  • 広帯域測定に向けた工夫がなされており、リアルタイム・オシロスコープでは困難な数十GHzの高周波信号の測定が可能です。
  • 同じ信号が繰り返し発生する前提であり、単発のイベントには対応できません。

以上のように、サンプリングオシロスコープは、高速信号の正確な測定と解析を可能にする高度な計測機器で、極めて広い周波数帯域と時間分解能を活かして、通信や電子工学、光学分野での先端的な研究・開発に不可欠な存在です。

一方、単発イベントの観測には対応できないため、例えばリアルタイムオシロスコープなどの他の種類の計測器を併用した上で、超高速信号の解析に特化して観測するための測定器として用いるのが一般的な使い方です。

サンプリングオシロスコープの選び方

サンプリングオシロスコープは高速信号の測定や解析に特化しており、繰り返し現れる高周波信号の精密な測定が求められる場合に使用されます。選ぶ際には、用途や測定対象に応じて以下のポイントを考慮する必要があります。

1. 帯域幅

必要な帯域幅を明確にする。測定したい信号の最高周波数の3~5倍程度の帯域幅が推奨されます。 例えば、1GHzの信号を測定する場合、最低でも3~5GHzの帯域幅が必要です。

2. サンプリング速度

サンプリング速度は信号の再現性に影響を与えます。高速であるほど観測波形の時間精度に有利です。

3. 分解能

小さな信号電圧を高分解能で観測する必要あれば、ビット数が多い機種 (例えば12bit) を選ぶ必要がありますが、サンプリング速度が遅くなる傾向があります。

4. 入力インピーダンスとプローブ

被測定回路に適合するインピーダンスを選択します (通常50Ωまたは1MΩ) 。またプローブの種類 (アクティブプローブ、パッシブプローブ) も重要です。特に高周波測定では、プローブの帯域幅も考慮する必要があります。

5. チャネル数

必要な同時測定数に応じたチャネル数を選択します。一般的に2チャネル、4チャネルモデルが多いですが、複数信号を同時測定する場合はチャネル数が多い方が便利です。高性能な機種ほど高速信号の観測には有利ですが、非常に高価なものとなります。用途に応じて必要十分な性能を持つ機種を選ぶことが望ましいです。

サンプリングオシロスコープのその他情報

操作上の注意事項

  • 広い周波数帯域を実現するため、一般的なオシロスコープが備えるアッテネータや増幅回路を設けず、直接信号をサンプリングすることから、ダイナミックレンジ (信号の大きさの範囲を表す指標で、最大値と最小値の比率) が制限されます。また通常入力部には保護回路がないので、過電圧信号を印加しないなど取り扱いには注意が必要です。
  • 高価で複雑な測定器でありながら、極めて高速な繰り返し信号を観測する必要がある場合など、特定の用途に限定されてしまいます。
  • リアルタイムオシロスコープのような汎用性はなく、被測定信号の特徴を理解した上で測定条件を適切に設定する必要があり、ある程度専門的な知識が求められます。

参考文献
https://www.jemima.or.jp/tech/3-03.html
http://www.rf-world.jp/bn/RFW29/samples/p024-025.pdf
https://news.mynavi.jp/article/serialif-13/
https://www.iti.iwatsu.co.jp/ja/support/05_14.html
https://life-techs.jp/yougo/2016-04-19-03-15-50.html
https://go.orixrentec.jp/rentecinsight/measure/article-20
https://ednjapan.com/edn/articles/0712/01/news017.html
https://ednjapan.com/edn/articles/1403/13/news011.html
https://www.nicpartners.co.jp/report/53121/
https://dl.cdn-anritsu.com/ja-jp/test-measurement/files/Product-Introductions/Product-Introduction/MT1000A_MT1100A_CPRI_JL1100.pdf

サニタリーバルブ

サニタリーバルブとは

サニタリーバルブ

サニタリーバルブとは、分解が容易で洗浄しやすく、衛生に配慮されたバルブです。

サニタリーバルブは、サニタリー配管と共に高い衛生管理を必要とする現場で多く用いられています。主な使用分野は、医薬品分野、食品分野、化粧品分野などです。雑菌や異物の混入を防ぐため、液だまりや凹凸が少なく汚れにくい構造になっており、洗浄が容易になっていることが特徴です。

サニタリーバルブの使用用途

サニタリーバルブは、主に高い衛生管理が求められる分野で、サニタリー配管と共に使用されます。主な使用分野は、医薬品分野、食品分野、化粧品分野、半導体分野などです。具体的な用途例には下記のようなものがあります。

  • 医薬品の製造現場における固形製剤 (粉体や錠剤など)
  • 乳製品、飲料、ビール、調味料、香料などの食品製造
  • 半導体分野における高純度薬液製造設備、フォトレジスト、ウエハー製造プロセス、洗浄液ラインなど
  • クリームなど流体状化粧品の製造

サニタリーバルブは、雑菌や異物の混入を防がないといけない分野で、高い衛生性の管理・維持を行う目的で使用されている部品です。

サニタリーバルブの原理

サニタリーバルブは、主に下記のような特徴があります。

  • 汚れが溜まらないよう、外側・内側に研磨処理がされている
  • 洗浄を容易にするため、着脱・分解・組み立てがしやすい
  • 液が溜まりにくい構造

サニタリーバルブでない一般的に用いられるボールバルブやバタフライバルブでは、接液部に部品の継ぎ目が来たりして液溜まりが発生することがあります。また、研磨処理をされていない金属素材では表面の微細なざらざらに流体が付着したり溜まったりしやすいです。サニタリーバルブは、高い衛生性を保つため、汚れにくい構造をしていることに加え、清掃性が高く、分解して隅々まで洗浄を行うことが可能です。一般的には衛生的なステンレス素材が用いられ、研磨処理をされて光沢のある質感となっています。

なお、特に頻繁にバルブの分解洗浄を行う乳業では、バルブの芯部分だけを脱着して洗浄する仕組みが採用されています。サニタリーバルブも通常のバルブ製品と同様に、ダイヤフラムバルブ、バタフライバルブなど、バルブ内の弁が動くことで流量を調整しています。

サニタリーバルブの種類

サニタリーバルブには、サニタリーボールバルブ、サニタリーダイヤフラムバルブ、サニタリーバタフライバルブなどの種類が存在します。

1. サニタリーボールバルブ

サニタリーボールバルブは弁体が球体状をしているバルブです。バルブハンドルを回すと、弁体である穴のあいたボールが回転し、90度ごとに全開と全閉となる仕組みです。

2. サニタリーダイヤフラムバルブ

ダイヤフラムバルブとは、ダイヤフラムという薄い膜の弁を開閉させて、流量を調節する仕組みのバルブです。密閉性が高く、流路内に液溜りを起こす部分がなく、細菌が入り得る隙間がありません。薬品を使う場面などで活用されるケースが多いですが、圧力が高い場所では使えないというデメリットがあります。

3. サニタリーバタフライバルブ

サニタリーバタフライバルブは、弁体が円盤状をしているバルブです。弁が回転することで流量を調整するため、ボールバルブ同様、手動で容易に液量を調整でき、一部の製品では電動やエア駆動もあります。弁体が薄いため、コンパクトな構造をしています。弁体がゴム素材の場合は、高温・高圧力条件で使用することはできません。構造が簡単でコンパクトな上、耐久性が高いため、非常に汎用されています。

サニタリーバタフライバルブの派生形で、サニタリータブレットバルブや、サニタリーロータリーバルブなど粉体用・錠剤用バルブも医薬品製造で使用されています。

参考文献
http://www.microzero.co.jp/column/144/
https://www.consuss.co.jp/feature/4258/

ゴム磁石

ゴム磁石とは

ゴム磁石とは、磁性を持つ素材を粉末にしたものと、ゴムやプラスチックなどのバインダー材とを混ぜ合わせて成形した磁石です。ボンド系磁石とも言われます。

磁性材の種類や結晶の形状などによって、等方性・異方性に大きく分けることができます。

用いられる磁性素材はセラミックスや希土類磁石などがあり、前者ではフェライト酸化鉄)、後者ではネオジムが代表的な素材です。製品にはシート状、帯状などがあります。

磁石は通常、硬くて脆く、加工が困難ですが、ゴム磁石は柔軟で曲げやすく、加工が容易で、印刷可能なものも多いです。

ゴム磁石の使用用途

ゴム磁石は、柔軟で加工がしやすいので用途は多岐に渡り、特に複雑な形状を必要とする用途に向いています。

フェライトを用いたゴム磁石は、冷蔵庫のパッキン、自動車用の初心者マークなど各種ステッカーや文具、販促品として、また窓やドアのサッシ部分などの建築材として広く用いられています。

ネオジムを用いたゴム磁石は、従来の吸着用のほか、分電盤やセンサー、小型モーター、磁気シールド、音響製品、健康器具など新しい用途に用いられることが増えています。

ゴム磁石の原理

ゴム磁石には、主に、合成ゴムとフェライト磁石粉末からなるフェライトゴム磁石と、合成ゴムとネオジム磁石粉末からなるネオジムゴム磁石の2種類があります。

帯状やシート状の製品があり、切断や穴開けなどの加工が容易で、形状の自由度が高いです。非常に曲げやすいので、ゴムやプラスチックと同じ感覚で使えます。

磁石は、どの方向からもほぼ同じような磁化の強さを持つ等方性磁石と、一方向にのみ磁化させる異方性磁石の2種類があります。等方性のマグネットシートは、初心者マークなどの自動車用ステッカーや販促物、学校教材など、一般に広く用いられています。異方性のマグネットシートは等方性の物より磁力が強く、重量物を保持する用途や工業用部品などに利用されています。

フェライトゴム磁石、ネオジムゴム磁石ともに、N極とS極が交互に配置された多極着磁が標準です。

ゴム類は耐熱性が低いので、ゴム磁石は80~100℃以上のような高温での使用には向きません。また、屋外や多湿な場所で使用すると錆が発生するケースもあり、使用環境には注意が必要です。

参考文献
https://jp.misumi-ec.com/vona2/mech/M1800000000/M1805000000/M1805070000/
https://www.nihonjisyaku.co.jp/gom.php
https://www.neomag.jp/products_navi/rubber/rubber_introduction.html
http://www.shimonishi.net/magnet_kikaku/magnet_kikaku01/magnet_kikaku01_06
https://www.jishaku.co.jp/product/rubbermag/rubbermag_top.html
https://www.neomag.jp/mailmagazines/topics/letter200610.html

ゲートバルブ

ゲートバルブとは

ゲートバルブ

ゲートバルブ (英: Gate Valve) とは、液体や気体などの流体をディスク (弁体) で仕切るように遮断して、流路を閉止するバルブです。

一般的に、「仕切弁」「スルースバルブ」も同義語として扱われています。ゲートバルブは、JIS B0100 バルブ用語 Glossary of terms for valves で、「弁体が流体の流路を垂直に仕切って開閉を行い、流体の流れが一直線上になるバルブの総称 」と規定されています。

水門のゲートのようにディスク (弁体) が流路内に滑り込んで遮断するので、ゲートバルブはと呼ばれるようになったと言われています。

ゲートバルブの使用用途

ゲートバルブ_図1

図1. ゲートバルブの使用例

ゲートバルブは、流体の流れを広い圧力・温度範囲において制御できるため、家庭用から一般産業用、学術研究用に至るまで幅広く利用されています。身近な使用例は、水道メータやガスメータ、給湯器の配管などです。

特にゲートバルブは、ディスクの中間開度で使用するとディスクが振動するため、通常は全開もしくは全閉で使用します。したがって、止弁として遮断目的で使用されるバルブです。

一般的に、パイプラインの止弁や水道などの給水配管の仕切弁として、常時開弁もしくは閉弁目的で設置されます。手動ゲートバルブの場合は、ハンドルを多く回す必要があり開閉操作に時間がかかります。

そのため、非常に頻繁に開閉したり、遠隔操作したりする場合は、自動開閉用アクチュエータが装備されたゲートバルブを使用します。

ゲートバルブの原理

ゲートバルブ_図2

図2. ゲートバルブの開閉弁状態と流体の流れ

ゲートバルブの原理は非常にシンプルで、開弁はボディ (弁箱) でディスク (弁体) を下降させ、流路を遮断し流体を閉止します。閉弁はその逆にディスクを上昇させ流路を開放し流体を流します。

ディスクの上昇下降は、ハンドルやアクチュエータによりステムを回転させ、ステムのねじ機構により行われます。

1. ゲートバルブの圧力損失

ゲートバルブはフルポートバルブと設計されていることが多く、ボディ内部と出入口配管の流路面積に差が少なく流路はほぼ直線のため、全開時の圧力損失が極めて小さいことが特徴です。

また、ゲートバルブと同様に止弁として使用することの多いグローブバルブは、ボディ内の流路がS字状なので、ゲートバルブと比べて全開時の圧力損失は大きくなります。

なお、圧力損失とは、流体が配管を通過するときに失われるエネルギー量のことです。配管内壁面による摩擦損失や乱流の生成によって引き起こされます。

2. ゲートバルブのウォーターハンマー現象

ゲートバルブは、開閉時のストロークが比較的大きく、急な開閉ができないため、ウォーターハンマー現象が発生しにくいバルブです。ウォーターハンマーとは、バルブを急速に開閉したときに、流速の急激な変化により管内圧力が過渡的に上昇または下降する現象を指します。

ウォーターハンマーによる圧力変動で、下記のような問題が発生します。

  • 急激な圧力上昇により、配管や接続されたポンプやバルブなどの機器、配管支持金物が破損する
  • 急激な圧力降下により、配管の変形や、水柱分離に伴う二次的な圧力上昇で配管が破損する
  • 圧力変動により圧力制御が困難になる

ゲートバルブの構造

ゲートバルブ_図3

図3. ゲートバルブの構造

ゲートバルブは主に、ボディ (弁箱) 、ディスク (弁体) 、ステム (弁軸) 、ハンドルなどで構成されています。ゲートバルブは、ハンドルまたはアクチュエータによって操作可能です。

ハンドルはステムに取り付けられ、回転をステムに伝達します。開弁時はハンドルの回転でステムねじがディスクを上昇させる方向に回転し、閉弁はその逆回転でディスクを下降させます。

ゲートバルブの種類

1. 開閉操作方式による分類

ゲートバルブ_図4

図4. ゲートバルブの操作・駆動方式

ゲートバルブは、主に下記3種類の開閉させるための操作・駆動方式があります。

  • 手動式
    ハンドルなどでステムを回転
  • 空動式
    空気作動式アクチュエータでステムを回転
  • 電動式
    電動アクチュエータでステムを回転

2. ディスクの形状と構造による分類

ゲートバルブは、下記のようなディスクの形状と構造による種類があります。

  • パラレルもしくはウェッジディスク
    ディスクの断面が「平行」もしくは「くさび状」
  • パラレルスライド
    互いに平行な2つのディスクの組み合わせで、流体の圧力によって出口側のシート (弁座) 面に面圧を与えられる
  • ダブルディスク
    2枚のディスクで構成され、ステムがディスクを押し広げ、入口側と出口側のシート (弁座) 面に面圧を与えられる

3. ステム上昇式・非上昇式

ゲートバルブは、ディスクを上下動させるためにステムを回転させますが、ステム回転に伴い位置が変化かしないかの種類があります。

ステム上昇式
ステム上昇式はステムの回転に伴い、ステムもしくはハンドルの位置が上昇もしくは下降します。ステムやハンドルの位置で開閉度合いが判別できるため、状態を目視などで確認できます。

また、ステムやハンドルが上昇するため、ハンドル操作のため空間が必要です。

ステム非上昇式
ステム上昇式はステムの回転に伴い、ステムもしくはハンドルの位置が上昇もしくは下降しません。ステムやハンドルの位置で開閉度合いが判別できないため、状態を目視などで確認できません。

また、ステムやハンドルが上昇しないため、ハンドル操作のため空間は小さくなります。

4. ボディの材質による分類

ゲートバルブの材質は、ボディの材質で種類を分けることができます。一般的なボディ材質は、下記の通りです。

  • ねずみ鋳鉄品 JIS G5501 FC200
  • 球状黒鉛鋳鉄品 JIS G5502 FCD400
  • 圧力容器用炭素鋼鍛鋼品 JIS G3202 SFVC 2A
  • 高温高圧鋳鋼品 JIS G5151 SCPH2、SCPH21
  • ステンレス鋼鋳鋼品 JIS G5121 SCS13A、SCS14A
  • 銅及び銅合金鋳物 JIS H5120 CAC406 青銅鋳物3種
  • 銅及び銅合金の棒 JIS H3250 C3771 鍛造用黄銅

ボディ材質は、下記のような要件に基づき選定します。詳細は各メーカのカタログ等を参照してください。

  • 流体の種類、圧力、温度、流速、不純物の有無
  • 耐食性対応の要否
  • 適用される法規、規格

参考文献
https://www.kitz-valvesearch.com/kiso/type_index.html
http://www.yamatovalve.co.jp/products/gate-v.html
http://www.cgc.co.jp/tomoe/products/pdf/precautions/precautions5.pdf

クリモマスター風速計

クリモマスター風速計とは

クリモマスター風速計とは、日本カノマックス社製の多機能型風速計です。携帯型の室内環境測定用風速計です。

風速・風温とともに、湿度を同時に測定することができます。さらに、不快指数や風量、露点の演算も可能です。同じ日本カノマックス社製のアネモマスターとの大きな違いは、湿度を同時計測できる点です。

熱式風速計トップクラスの2%という高い測定精度を持ち、測定範囲は-20℃~70℃と広く、また、ユーザーが目的に応じてプローブを交換することができるので、室内の空気環境の測定、空調機器の保守点検など、様々なシーンに対応可能です。

クリモマスター風速計の使用用途

クリモマスター風速計は、室内環境、空調機器、検査制御などの分野で使用されます。具体的には、空調システムの保守管理や、クリーンルームの環境評価などです。センサーを備えたプローブと本体がケーブルで繋がっており、空調システムの排気口などの風口付近に直接プローブを当てて測定します。ク

リモマスターは風速だけではなく風量や温度、圧力も同時に測定することが可能です。室内環境測定の分野では、住宅やオフィスビル内などの空気環境の測定、建築物衛生法に基づく測定、建物内や工場内の空調管理・環境測定、健康増進法に基づく分煙効果の測定などに用いることができます。

検査制御の分野では、冷却効果を検査するためにPC内部などの風速測定を行ったり、乾燥効果率などの製品の性能試験を行ったりすることが可能です。

クリモマスター風速計の原理

1. 熱線風速計の原理

Fig1 熱線式風速計の原理

図1. 熱線式風速計の原理

クリモマスター風速計は、熱線風速計 (熱式風速計) です。熱線風速計では、風速センサーは加熱されています。センサーに風が当たると熱が奪われて、センサーの温度が変わります。

温度の変化に伴い、センサーの抵抗値も変化し、風速が早ければ早いほど変化は大きくなります。このことから、抵抗値 (または電流) を測定することで、風速を知ることが可能です。

熱線流速計には、定温度型と定電流型の2つの方式があります。 前者は細線温度Twを一定にし, 後者は電流Iを一定に保つ方式です。電気回路としてはI を一定に保つ定電流型が簡易であり、クリモマスター風速計はフィードバック制御に優れた定温度型を採用しています。

この方式では、センサーは常に一定温度になるようフィードバック回路で制御されていますが、風速の高低に応じてセンサーから奪われる熱量 (放射熱量) は変化します。これを補うようにセンサーに流される電流の量から、風速値を知る仕組みです。

湿度計の原理

Fig2 湿度計の原理

図2. 湿度計の原理

湿度の測定には、静電容量タイプと抵抗式があります。静電容量タイプは低湿度に強く、応答速度が速いというメリットがあります。一方、抵抗式は安価でノイズに強く小型化が可能ですが低湿度測定ができません。

クリモマスターでは、静電容量タイプを採用しています。下からガラス基板、下部電極、高分子薄膜、上部電極から構成されていて、高分子薄膜への水分の吸脱による誘電率の変化を電極でとらえます。この電気容量の変化が相対湿度に比例しており、これを検出します。

クリモマスターの特徴

Fig3 無指向性プローブ

図3. 無指向性について

クリモマスターは、熱線式風速計として2%と高い測定精度を誇る携帯型の風速計です。携帯型であっても風速・風温・湿度の同時測定や風量・露点の演算機能など機能も豊富です。

プローブも2023年5月現在8種類のものが用意されています。それぞれのプローブは、大雑把に風速の測定範囲で0.01~30m/sと0.01~5.00m/sに分かれています。また、風の向きが正確にわからない場合に便利な無指向性のプローブも販売されています。無指向性のプローブを使うと、どの向きであっても風速の絶対値を測定することができるプローブの向きを気にせず風速を測定可能です。

参考文献
http://www.kanomax.co.jp/product/index_0003.html
http://www.kanomax.co.jp/img_data/file_731_1570579745.pdf
https://www.rex-rental.jp/faq/product/62
https://www.monotaro.com/
https://www.keisokuten.jp/file.php?id=7949
https://benesse.jp/teikitest/chu/science/science/c00646.html

オルダムカップリング

オルダムカップリングとは

オルダムカップリング (英: Oldham coupling)  とは、2つの軸を結合して回転を伝達する機械要素であるカップリング (軸継手) の一種です。

2つの軸にそれぞれ固定されたハブ部の間に樹脂または金属のスライド部が入っており、これがスライドすることによって偏心や偏角を吸収します。また、様々な種類が存在するカップリングの中で、リジッドカップリングに並んで低コストである点もメリットです。

オルダムカップリングの使用用途

カップリングは、モータや回転シリンダーなどの駆動軸と従動軸を、軸間の偏心や偏角、エンドプレイのミスアライメントが発生する箇所や軸の径が異なる場合でも軸同士をつなぎ動力を伝達させるときに使用します。

ミスアライメントの許容範囲が比較的大きく、低コストのため、一般的な機械で広く採用されています。

1. インダクションモータの駆動軸接続

バックラッシがあるため回転の位置決め精度は低く、サーボモーターステッピングモーターなど高精度回転制御の接続には不向きです。インダクションモータを使用する場合や一定方向回転のみの使用部位での軸継手として多く採用されます。

2. 複数治具などの段替え部

オルダムカップリングのスライド部分は、はめ込みのみで容易に分解、交換可能のため、駆動軸と従動軸の分離、再接続も容易です。複数の治具などを段替えがある場合に、駆動部は固定で段替え時に各治具の従動軸と駆動軸の分離、接続して使用する用途などに利用されます。

また、メンテナンス時などの駆動源の一時的な切り離しなどでも活用されます。

オルダムカップリングの原理

図1. オルダムカップリングの構造

オルダムカップリングの構造は、両側に設けられた2つのハブと、ハブの間に設置するスペーサの3つの部品です。スペーサには、一面に直線状のスライド溝が設けられており、反対面に軸心方向からみて直交したスライド溝があります。

ハブにはスペーサの溝巾に合わせた凸部があります。この凸部とスペーサのスライド溝をはめ合わせることで、2つハブとスペーサは軸心方向から見て十字方向に自在にスライドする構造です。

オルダムカップリングの特徴

オルダムカップリングは、2つのハブのスライド移動により、偏心のズレを吸収し、偏角はスライド部の傾きによって吸収するため、比較的大きなミスアライメントも許容可能です。ただし、ハブ部とスライド部に設けられた溝のクリアランスによってバックラッシが発生するので、高精度の位置決めが要求される場合や正逆回転を繰り返す用途には不向きです。

オルダムカップリングの種類

オルダムカップリングのハブ部は、アルミ合金 (ジュラルミン) やステンレス、炭素鋼などが使用されます。スペーサは摺動部の摩擦低減のため、ポリアセタール、ジュラコン、PEEKなど潤滑性のある樹脂が使用された物が多いです。

スペーサの材質にはアルミ青銅や銅合金を使用し、高剛性や高トルクに対応したタイプもあります。

オルダムカップリングのその他情報

1. メンテナンス性

スライド部は摺動によって摩耗するため、高速回転での使用や長期間使用する場合は、スペーサの交換が必要です。また、スペーサはその形状から溝部に応力集中が起こりやすく、衝撃負荷が加わると破損する恐れがあります。

ハブ部を軸に固定していない状態の場合、いつでも取り外し分解することができるので、メンテナンスしやすくなっています。

2. 軸の固定方法

図2. 軸との固定方法

軸との固定方法は、クランピング方式とねじ止め方式の2種類です。ねじ止め方式では、キー溝を併用したタイプもあります。

参考文献
https://jp.misumi-ec.com/tech-info/categories/machine_design/md05/d0011.html#sec3
https://mighty-corp.co.jp/tag/
https://www.nbk1560.com/resources/coupling/article/couplicon-about/

エンボスフィルム

エンボスフィルムとは

エンボスフィルムとは、フィルムに加熱・加圧を行い、表面に凹凸加工を施したフィルムの総称です。

凹凸加工のことをエンボス加工と呼ぶため、このような名前が付けられています。このようなエンボス加工は、質感や滑り性、剥離性の向上を目的に行われます。

また、エンボス加工には、ダイヤ柄や絹目、麻目など様々な模様を施すことが可能で、それぞれ特性が異なります。ポリエチレンやシリコン、ポリウレタンなど多種多様な素材のエンボスフィルムが存在します。

エンボスフィルムの使用用途

エンボスフィルムは、包装用途や半導体搬送用途、セパレータ、滑り性付与用途に利用されています。使用する素材によって使用用途は異なり、ポリエチレンの場合は紙おむつのバックシートやポケットティッシュの包装材、液体容器、ラミネート材などに使用されます。

他の例としてエラストマーフィルムは、防水スーツや経皮吸収剤基材、衣料材、創傷被覆材、滑り止めテープなどに使われます。このように用途は幅広いため、適切な素材やエンボス加工方法を選択する必要があります。

エンボスフィルムの原理

エンボスフィルムは、その表面に模様や凹凸を付けるために使用される特殊なフィルムです。エンボスフィルムの原理は、熱と圧力を組み合わせてフィルムを変形させて、模様や凹凸を形成することにあります。

凹凸や模様によって、視覚的な効果や触感を付与することが可能です。応用としては、包装材料、装飾用途、視覚効果のあるプリントなど幅広い分野で使用されます。エンボスフィルムは非常に柔軟なデザイン性を持っており、個別の要件や目的に応じて異なる模様や凹凸を付与することが可能です。

エンボスフィルムの種類

1. ドットエンボスフィルム

ドットエンボスフィルムは、小さなドット状の凹凸がフィルムに形成されたタイプのエンボスフィルムです。視覚的なテクスチャーや滑り止め効果を付加するために使用されます。

特に滑りやすい表面を持つ製品や装置のグリップ、ステップ面、床材などに広く利用されます。

2. 金属エンボスフィルム

金属エンボスフィルムは、金属の質感や光沢を再現したフィルムです。高級感や洗練されたデザインを求める包装材料や広告素材、プロモーションアイテムなどで使用されます。

金属エンボスフィルムは、銀、金、銅などの金属調の外観を持ち、製品やブランドのイメージを高める役割を果たします。

3. 透明エンボスフィルム

透明エンボスフィルムは、透明なフィルムにエンボス効果を付与したタイプのフィルムです。透明感や立体感を演出するために使用され、パッケージデザイン、ディスプレイ、ラベルなどで広く活用されます。

透明エンボスフィルムは、特定の領域にエンボス効果を与えることで、視覚的な強調やデザインのアクセントを作り出します。

4. シート型エンボスフィルム

シート型エンボスフィルムは、フィルム全体に均一なエンボス効果が施されたフィルムです。均一なデザインの表面を持ち、一貫した外観を提供するために使用されます。

シート型エンボスフィルムは、カード、パネル、装飾品、コンテナなど、広範な応用範囲で利用されます。

5. カスタムエンボスフィルム

カスタムエンボスフィルムは、特定のデザインや模様を個別に作成するために製造されるフィルムです。これにより、ブランドのロゴや特定の図案、顧客の要求に合わせたデザインが可能になります。

カスタムエンボスフィルムは、広告宣伝材料、特別なイベントやプロジェクト、オリジナルの製品開発などに使用され、独自の個性やブランドイメージを表現する手段となります。

参考文献
https://www.okr-ind.co.jp/products/470/
http://www.sekita-syoukai.co.jp/seihin/film/sheet.html
http://www.osk.co.jp/product/film/film02.html

エアタンク

エアタンクとはエアタンク

エアタンクとは、圧縮空気を蓄えておくための圧力容器です。

アキュムレータと呼ばれる場合もあります。主にエアコンプレッサの下流側 (二次側) に接続することで、コンプレッサから供給される圧縮空気の圧力変動を平準化したり、瞬間的に大量の圧縮空気を使用する場合の急激な減圧を防止したりする役割があります。

エアタンクによって得られる効果は、エアコンプレッサの保護・寿命延伸です。エアタンクが送気の緩衝となるため、エアコンプレッサが頻回に稼働・停止を行う必要がなくなります。

加えて、停電などの非常時にコンプレッサが運転を停止しても、エアタンクが接続されていれば一定量の圧縮空気が供給されるため、空気圧駆動する設備が瞬時に出力を失い事故が起きるといったリスクを軽減することも可能です。

エアタンクの使用用途

エアタンクは 各種機械設備における空気圧ラインに使用されています。使用される主な目的は、圧縮空気を大量に使用するときの圧力の平準化と、エアコンプレッサの保護です。また、コンプレッサの吐出空気量よりも空圧機器の空気消費量が多い条件がある場合には、エアタンクが必須となります。

安全の確保を目的として、空気量が不足しない場合でもエアタンクが使用される場合あります。空気で動作するエアシリンダは圧縮空気が供給されなくなると出力を失うため、停電時などに予期せぬ動作をする可能性が高いからです。これにより、作業員が危険に晒される場合には、エアタンクを設置し、コンプレッサが停止しても一定時間圧縮空気がシリンダに供給されるようにします。

その結果、シリンダが急に出力を失わずに済むため、その間に対処ができる状況を生み出せるようになります。また、エアタンクはトラックなどの大型車両にも使用される場合が多いです。トラックのブレーキやサスペンション、トランスミッションには圧縮空気が使用されており、これらの装置を駆動させるための圧縮空気がエアタンクに貯蔵されています。

エアタンクの原理

エアタンクに圧縮空気を保持し、圧力を一定以上に維持しながら使用することで、使用する空気圧の安定とエアコンプレッサの保護を実現します。エアタンクが役割を果たすには十分な容量が必要です。

エアタンクには上流側および下流側の接続口の他に、圧力計安全弁圧力スイッチが付帯しており、容器が耐えられる圧力以上の内圧となった場合には、安全のために外部に空気を排出して減圧します。

また、エアコンプレッサは設置環境の空気を取り入れて圧縮するため、多少なりとも配管とエアタンクに空気中の水分が凝結していきます。この水分はタンク腐食の原因となるため、除去しなければなりません。そこで、エアタンクはこれを排出するドレンバルブも備えています。

現在では、多くの装置に自動で排出できる装置 (ドレントラップ) が備えられています。ドレンにはコンプレッサ由来の油や、環境由来の成分が含まれる可能性があるため、事業所からそのまま下水に流すことができません。そのため、ドレン浄化装置を接続する場合があります。

エアタンクの選び方

エアタンクを選ぶ際は、まず最初に容量の決定が必要です。必要容量は、計算もしくは使用するコンプレッサの出力から経験的に割り出すことができます。

計算で割り出す場合は、空圧機器の空気消費量と必要圧力、間歇的に使用する場合は使用時間を元にし、コンプレッサが空気を補填する能力も勘案し、必要容量を設定します。一方で、経験的に割り出す場合は、コンプレッサが空気使用量に対して適正に選定されるという前提に基づき、大出力のコンプレッサはより大きいタンクを必要とすると考えて設定します。

ただし、類似の使い方の事例に基づいていることが必要です。1台のコンプレッサに対して同時に使用するエアシリンダやエアーガンなどの圧縮空気を消費する空圧機器が多いほど、必要なエアタンクの容量も大きくなります。選定に不安がある場合、自身で行うよりも、経験豊富な業者と相談する方がおすすめです。

エアタンクのその他情報

エアタンクの管理

エアタンクは内部に高圧空気を保持し、圧力による危険があるため、適切な管理が重要です。特に、強度 (何かがぶつかったことによる損傷などがないこと) 、安全弁や圧力スイッチの正常作動が安全を確保する上で重要なポイントになります。

法令面では、空気圧、内容積、寸法にもよりますが、労働安全衛生法の第二種圧力容器に該当する場合があります。この場合、事業所等で定期自主検査などを行うことが必要となります。

参考文献
http://www.konishi-as.co.jp/topix/yomimono/tank.html
https://job-con.jp/special/driver/guide/info104#article_h3-0

エアコンプレッサー

エアコンプレッサーとは

エアコンプレッサ

エアコンプレッサーとは、圧縮された空気を作り出し、それをエアーツールに動力として供給するための装置です。

似た言葉でエアーコンディショナーがありますが、異なるものなので区別が必要です。エアコンディショナーは、室内の温度や湿度を調整する空調設備で、通称エアコンと呼ばれています。

エアコンプレッサーは、圧縮された空気を大気に開放すると元に戻ろうをする力が働き、この力が様々な機器の動力となります。駆動される機器としては、グラインダーインパクトレンチスプレーガンなどあります。

エアコンプレッサーの使用用途

エアコンプレッサーの用途は、主に空気で駆動するエアーツールなどに使われれています。空圧の特徴は、電動に比べて、小型・ハイパワー、電源が不要、防爆エリアでの使用が可能、構造が簡単でメンテナンスがしやすいことなどが挙げられます。

自動車及び自転車等のタイヤの空気入れ、インパクトレンチや塗装用のスプレーガンなどに使用されています。その他、エアコンのフィルター掃除、土木工事用削岩機、地盤改良機械なども用途の1つです。

エアコンプレッサーの原理

エアコンプレッサーは圧縮された空気を作り出し、それをエアーツールに動力として供給するための装置です。容積式圧縮機とターボ式圧縮機によって、動作原理が異なります。

1. 容積式圧縮機

容積式圧縮機はさらに、レシプロ圧縮機とロータリー式圧縮機の2種類に分けられます。

容積式圧縮
空気を圧縮チャンバに取り込んだ後、圧縮チャンバを閉じ込めます。閉じ込めた後に容積を減少させることで内部の空気圧を増大させる原理です。

レシプロ圧縮機
空気をシリンダ内に引き込んだあとに、シリンダ内部を往復運動をするピストンで圧縮室の空間容積を小さくすることで空気を圧縮します。

ロータリー式圧縮機
ケーシング内にある特殊なロータを用います。空気をケーシング内に引きこんだ後に、シャフト回転することにより、クランクが偏心回転します。それに伴い、ケーシング内の圧縮室の容積を変化させて圧縮する仕組みです。

2. ターボ式圧縮機

ターボ式圧縮機はさらに、軸粒式と延伸式の2種類に分けられます。

軸粒式
空気が羽根車を軸方向に流して、羽根車の前後に生じる圧力差を利用し空気を圧縮させます。一般的に遠心式に比べ小型で高圧縮率です。

遠心式
空気が吸い込み口から半径方向にむきを変えて羽根車に入り、空気を圧縮させます。一般的に多段化は難しいですが、一段あたりの圧力比が大きいです。

エアコンプレッサーのその他情報

1. ブラシレスモーター

エアコンプレッサーでは、内部でモーターを使用しています。モーターの種類は整流子モーター等様々ですが、1つにDCブラシレスモーターがあります。DCブラシレスモーターの利点は、コイルに電流を流す向きを決定するブラシと整流子が無いため寿命が長くて耐久性が高いことです。

上記のメリットがあるため価格は高価ではありますが、使用頻度の高いモーターの種類です。

2. インバータ回路

エアコンプレッサー内のモーターにてDCブラシレスモーターを使用する場合は、内部にインバータ回路を搭載する必要があります。インバータ回路は交流電流を直流に変換した後に、再度交流に戻す機能を持つ回路です。

エアコンプレッサー使用時は家庭用コンセントで、50Hzもしくは60Hz周波数の交流を使用します。実際にモーターを回転させる周波数は、家庭用交流周波数とは異なります。

そのため、インバータ回路を用いて任意の周波数に変換することでモーターを所望の回転数で回転させることが可能です。

参考文献
https://wis.max-ltd.co.jp/kikouhin/compressor-details/index.html#detail3
https://www.anest-iwata.co.jp/compressor/tech/2.html
https://www.atlascopco.com/ja-jp/compressors/wiki/compressed-air-articles/displacement-and-dynamic-compression
https://www.hitachi-ies.co.jp/products/cmp/screw_oilfree/sds_u/kind.html

ウレタン接着剤

ウレタン接着剤とは

ウレタン接着剤とは、ポリイソシアネートとポリオールの付加反応であるウレタン化反応を利用した接着剤です。

ウレタン樹脂を主成分としており、1液型や2液型、ホットメルト型などの種類があり、中でも2液型は、構造用接着剤など多種多様な用途で使用されています。特に樹脂への接着性が非常に高いため、樹脂用途に使われます。

また、エポキシ系やアクリル系接着剤と比較して柔軟性が高く、高い耐衝撃性と衝撃吸収性を持った接着剤です。

ウレタン接着剤の使用用途

1. 自動車産業

自動車の部品やパネルの接着に利用されます。これにより、車両の強度を向上させるだけでなく、外部からのノイズや振動を軽減し、乗車快適性を高めることができます。

2. 建築産業

建材の接着や絶縁材の固定などに使用されます。窓枠やドアの取り付け、断熱材の固定、さらには屋根材の貼り付けにも適しています。

3. 家具製造

家具の製造において、木材や合板の接着に使用されます。堅牢な接着を提供し、耐久性のある家具の製造に貢献します。

4. 電子機器産業

電子機器の組み立てにも広く利用されます。基板やコンポーネントの固定、ケーブルの保護などで使用され、電子機器の信頼性を向上させます。

5. 靴製造

靴底と靴の上部を接着する際に使用されます。靴の強度を高め、耐久性を向上させるために欠かせない材料です。

6. 包装産業

包装材料の接着や封緘に使用されます。食品や医薬品などの包装を安全かつ衛生的に保つ役割を果たします。

7. 航空宇宙産業

航空機の製造においても使用されます。軽量で強固な接着を提供し、航空機の性能向上に寄与します。

ウレタン接着剤の原理

ウレタン接着剤の主要な成分は、イソシアネートとポリオールです。これらの成分が混合されると、イソシアネートとポリオールの間で反応が起こり、ウレタン結合が形成されます。この化学反応によって、強力な分子間結合が生じ、接着剤が基材としっかりと結びつきます。

また、ウレタン接着剤は化学反応だけでなく、物理的な結合も提供します。ウレタン接着剤は粘性が高く、液体状態で基材に塗布されます。

その後、接着剤が硬化する過程で基材との物理的な結合が形成され、この物理的な結合によっても接着強度が向上が可能です。

ウレタン接着剤の種類

1. 一成分ウレタン接着剤

一成分ウレタン接着剤は、硬化剤を混ぜる必要がないため、使用が簡便です。これは主にDIYや小規模な現場で使用され、硬化は湿気を利用して行われ短時間で硬化する特徴があります。耐久性や接着力は一般的に低いですが、簡易的な用途に適しています。

2. 二成分ウレタン接着剤

二成分ウレタン接着剤は、硬化剤を接着剤と混ぜて使用します。これにより、硬化の制御が可能で、より高い接着強度と耐久性が得られます。木材、プラスチック、金属など、さまざまな材料の接着に使用され、工業的な用途に広く適用される接着剤です。

3. 柔軟性の高いウレタン接着剤

柔軟性のあるウレタン接着剤は、温度変化や振動に耐える必要がある場所で使用されます。車両や建築など、高い耐久性と柔軟性が求められる場面に適しています。

4. 高強度ウレタン接着剤

高強度ウレタン接着剤は、非常に強力な接着性能を持ち、金属同士や異なる材料間の接着に使用されます。自動車産業や航空産業など、厳しい環境下での使用に適しています。

5. 耐熱ウレタン接着剤

耐熱ウレタン接着剤は、高温環境での使用に適した種類です。耐熱性が高く、高温での変形や劣化が少ないため、エンジン部品や熱処理装置などで使用されます。

6. 食品接触用ウレタン接着剤

食品加工産業や医薬品業界など、衛生的な環境で使用される場合に適したウレタン接着剤です。安全基準を満たし、食品や医薬品との接触に対して安全性が保たれます。

ウレタン接着剤のその他情報

表面準備の重要性

ウレタン接着剤の効果的な接着には、基材表面の準備が重要です。基材表面は汚れや酸化物で覆われていることがあり、これらの物質が接着の効果を低下させる可能性があります。適切な表面処理を行うことで、接着剤が基材としっかりと結合し、優れた接着強度が得られます。

参考文献
https://www.haraga-secchaku.info/app/download/10569310879/171109
https://www.etec.jsr.co.jp/technical/249/