ファイバユニット

ファイバユニットとは

ファイバユニットとは、ファイバセンサーを構成する装置で、測定対象物への投光部と測定対象物からの受光部として機能する装置です。

ファイバユニットは、いわゆる光ファイバをポリエチレンや塩化ビニルなどで被覆した構造です。

投光部として用いられる場合は、光源からの光を測定対象物に照射します。受光部として用いられる場合には、測定対象物から反射もしくは測定対象物を透過した光を受光し、受光した光をファイバセンサーの検出部に送ります。

ファイバユニットの使用用途

ファイバユニットは、ファイバセンサーを構成する装置として使用されます。ファイバセンサーは、光ファイバ形光電センサーとも呼ばれ、ファイバユニットは光ファイバユニットとも呼ばれています。

ファイバセンサーの使用分野は、以下のような分野があげられ、多岐にわたるものです。

  • 自動車
  • 食品
  • 医薬
  • 半導体
  • 化学

ファイバセンサーはこれらの分野での生産ラインで使用されており、製品または異物の検出・製品の異常検知などに使用されています。製品自体だけでなく、自動ラインで駆動するロボットなどの各機構の動作検出などにも利用されており、ファイバユニットも同様の使用用途で使用されます。

ファイバユニットの原理

ファイバユニットは、光ファイバをポリエチレンや塩化ビニルなどで被覆した構造です。光ファイバは、主に石英ガラスやプラスチックなどによって細く形成された屈折率の高い中心部のコアと、その周囲を覆う屈折率の低いクラッドの二重構造をなします。

光ファイバ内を光が全反射する現象を利用して、光をファイバの一端部から他端部へと光を透過させる仕組みです。投光部として機能する場合は、光源からの光を透過して測定対象物に光を照射しています。逆に受光部として機能する場合は、測定対象物から反射または透過した光を受光して、受光した光をファイバセンサーの検出部に送ります。

一般的にファイバユニット単体で使用されることはなく、検出機構を備えたファイバアンプと組み合わせてファイバセンサーとして機能し、測定対象物の測定や検出が可能です。

ファイバユニットのその他の情報

1. ファイバユニットの種類

ファイバユニットには、投光部あるいは受光部として機能するべく、光ファイバが1本だけ通っているものと、投光部および受光部が一体化され光ファイバが2本通っているものがあります。

また、コアに石英ガラスを用いたガラスタイプとアクリル系樹脂を用いたプラスチックタイプがあります。石英ガラスタイプは耐熱性が高く、プラスチックタイプは軽量で折れにくいなどが特徴です。そのため、検出環境に合わせて選択可能です。

なお、ファイバユニットの光ファイバを単体で使用すると、端面から照射される光は約60度の角度で広がります。この照射角や集光率を変化させる目的で、ファイバユニットの先端、すなわち光ファイバの先端にはセンサーヘッドが取り付けられています。また、センサーヘッドは、ファイバユニット端面の保護とファイバユニット端面の固定をする目的も兼ねています。

2. ファイバセンサーの種類

ファイバセンサーには、透過型・拡散反射型・限定反射型・回帰反射型の4つの受光方式があります。ファイバユニットには、この各方式に応じたものがあります。

3. ファイバユニットの選定における重要項目

ファイバユニットには、選定する際に重要な6つの項目があります。

  1. ファイバ長
    ファイバユニットの長さを示します。当然、長いほど、ファイバアンプと離して設置可能で、厳しい環境下などの測定に有用です。
  2. 使用周囲温度
    ファイバユニットを使用できる温度の範囲を示しています。通常の環境下ではあまり重要ではありませんが、特に周囲温度が高い環境下では重要な項目です。測定精度や耐久性を鑑みて、耐熱タイプを選定するのが望ましいです。
  3. 曲げ半径
    ファイバユニットを屈曲させて使う場合の目安になります。曲げ半径が小さいものほど、屈曲させられるので取り回しが難しい環境には曲げ半径の小さいものが好適です。
  4. 検出距離
    検出距離が長いほど長距離で検出できます。
  5. 光軸経
    主に透過型のファイバセンサーに使用されるファイバユニットで重要な項目です。透過型のファイバセンサーに使用する場合、光軸を全遮光できないと確実に存在の有無を検知できません。そこで、光軸を完全に遮断できる大きさものを標準的な測定対象物としています。
  6. 最小検出物体
    ファイバユニットが検出できる最小のサイズを示しています。

参考文献
http://www.phosc.jp/cms/article/000008.html
https://www.fa.omron.co.jp/data_pdf/commentary/fibersensor_tg_j_1_2.pdf
https://www3.panasonic.biz/ac/j/service/tech_support/fasys/glossary/sensor/photo_fiber_proximity/index.jsp

ファイバセンサー

ファイバセンサーとは

ファイバセンサー

ファイバセンサーとは、樹脂や石英ガラスから作られた細い繊維状の光ファイバーの内部を光導波路とし、これを利用して製造現場での様々なセンシングを行うものです。

ファイバセンサーは、柔軟で細いケーブルと小型のセンサヘッドにより狭い場所での検出や小さな物体の検出ができる上、電磁的な影響を受けないため幅広い環境下での検出に適する等の特徴があります。光ファイバーの被膜カバーの素材により、高温な環境や、油や薬品のある現場での使用も可能です。

ファイバセンサーの使用用途

ファイバセンサーの主な用途は物体の検出です。光が照射される検出領域の物体の有無、通過、移動速度などを検出することができます。

光の遮光や反射で検出するため、金属だけでなく木材や樹脂のような一般的な固体の有無と色に加え、透明なガラスなども検出が可能で、非接触での一般的な製品検出から狭小スペースでの極小製品の検出や位置決め等、さまざまな製造現場で幅広く利用されます。

さらに固体だけでなく液体の検出や、歪み、温度を検出することもできる他、導体に流れる電流値を非接触で測定する電流センサも実用化されています。

ファイバセンサーの構造

ファイバセンサーは、光を通しながら照射するケーブル状のファイバユニット部と光源や光増幅機能を有するファイバアンプ部から成る発光部と、これを受け取る受光部で構成されます。

ファイバユニットの中心となる光ファイバーは、主に石英ガラスやプラスチックなどによって細く形成された屈折率の高い中心部のコアと、その周囲を覆う屈折率の低いクラッドの2重構造から形成され、このファイバ内を光が全反射する現象を利用して光導波路として用いられます。

ファイバアンプは、主に投光素子と受光素子の間の光増幅器と検出回路を備えた構造であり、最も重要な光増幅媒体には希土類のドープファイバが用いられ、励起光の誘導放出により入射光を増幅することで検出しています。これらの機能によって、感度調整やしきい値の設定や変更機能を備える製品もあります。

ファイバセンサーは、ファイバユニットとファイバアンプが別々のタイプと内蔵されたタイプに大別され、その検出方式も透過型、反射型、回帰反射型、限定反射型があり、更にセンサーヘッドの様々な形状によって幅広い検出を可能にしています。

ファイバセンサ―の原理

ファイバセンサは、発光部から照射した光の情報 (波長、光量) と、受光部で受け取った光の情報を元に様々な検出を行います。

1. 一般的な物体の検出

発光部から受光部への光が遮られたことで物体の有無を検出する、最も基本的な検出原理です。短時間の遮断で通過であることを検出したり、発光部側に受光手段も備えることで反射時間を計測し、物体の移動速度を計測することもできます。

ガラスなどの透明な物体は光が透過してしまうため検出が困難となりますが、表面での屈折率の変化 (空気⇔ガラス) による光量の変化を高精度で測定することで検出が可能です。

2. 液体の検出

ファイバセンサーは、液体が光を屈折させる特性を利用することで固体だけでなく液体の検出にも用いられ、チューブ取付タイプや接液式が実用化されています。

チューブ取付タイプはチューブの壁面から光を投光します。チューブ内に液体が無い場合には光は直進し、液体がある場合には屈折して受光側に光が入射します。これにより液体の有無を検知します。このタイプは透明液体は検出できますが、光を通さない不透明液体は検出できません。

接液式は、先端が円錐状の樹脂チューブ内に投光器と受光器が平行に設置されており、接液していない時は円錐部で光が屈折し、受光側に戻ってくるようになっています。接液時は屈折率が変化し、光が戻ってきません。これにより接液を検知します。

このように、ファイバセンサを用いて液体の存在や液面の検出、漏水の検出を行います。液体の検出では樹脂チューブの材質はテフロン系が多く、薬液や高温水にも使用できるようになっており、幅広い用途に適用されます。

3. 色の検出

物体の色は、照射された光の波長 (色) に対する反射率や屈折率に応じた反射光の波長分布にによって決まります。これを利用してファイバセンサで色を検出することができます。

4. 温度、歪みの検出

光ファイバーは径方向に対してコア部とクラッド部の二重構造を持ちますが、製造工程において特殊な紫外光を照射することで部分的に屈折率の異なる領域を軸方向に対して一定間隔で生成することができ、これをファイバ・ブラッグ・グレーティング (FBG) と呼びます。この際の光ファイバーのイメージとしてはFBGを両端とする円柱を直列に並べたものとなります。

FBGは生成された間隔と屈折率に応じて特定の波長のみを反射するため、温度変化によって光ファイバーが伸縮すると、反射される光の波長と反射光が返ってくる時間が変化します。これにより温度センサとして用いることができます。

また、構造物に設置することで構造物の歪みに伴ってファイバー長が変化するため、歪みセンサとしても利用することができます。大型の建造物やトンネル、パイプラインなどの他、再生エネルギーの一つである洋上風力発電のような常に外部からの力が加わる構造物に適用されます。おもりを接続するとおもりが動いた時に加わる加速力によって光ファイバーの長さが変化するため、加速度センサとしての利用も可能です。

5. 電流値の検出

ファイバセンサによる電流値検出ではファラデー効果を利用します。導体に電流が流れると右ねじの法則に従って同心円状の磁界が発生します。この磁界に沿って光ファイバーを通過する光の偏光面が磁界の強度に応じて回転する現象がファラデー効果です。この偏光面の回転角を測定することで電流値を検出します。

ファイバセンサ―のその他情報

ファイバアンプについて

ファイバセンサーは一般的にLED光を使用しており、その光を光ファイバーで検出部まで運び、レンズなどを使い照射します。このセンサーで多いトラブルにLED光の経年劣化や、レンズへの汚れの付着があります。このような状態になると照射光の光量が低下し、誤検出の原因となり設備トラブルに繋がるため、ファイバアンプが用いられます。

ファイバアンプの機能は、光量低下を自動的に検出し、自動的に補正する機能を持ったもので、LED光の経年変化を検出し、それに合わせて出力を上げることで光量を一定に保ちます。また、物体検出を光量の低下量ではなく低下率で設定するもので、発光と受光の相対的な光量比率で判定することで自動補正します。

このようにファイバセンサーの欠点を補う製品や機能が次々と開発されており、うまく活用することでトラブルを防止します。

参考文献
https://www.newglass.jp/mag/TITL/maghtml/82-pdf/+82-p047.pdf
http://www.ceramic.or.jp/museum/contents/pdf/2006_10_04.pdf
https://www.fa.omron.co.jp/data_pdf/commentary/fibersensor_tg_j_1_2.pdf

温度調節器

温度調節器とは温度調節器

温度調節器とは、測定温度と設定温度を比較して温度制御する装置です。

熱電対やサーミスタなどのセンサーで検出した温度を取り込み、設定温度と比較演算して電気信号を出力します。そして、出力信号によってヒーターや冷却装置を制御することで設定温度を保ちます。家庭用では給湯器やエアコンに使用され、産業用では屋外貯蔵タンクの保温などに使用されることが多いです。

温度調節器の使用用途

温度調節器は液体や気体の温度調整や管理に使用されます。

産業用にはプロセスの温度管理に使用されることが多いです。温度調整器を用いて自動制御することで、蒸気や電気の使用量を最小化し、省エネルギーに貢献します。

また、一般家庭製品での使用用途としては、熱帯魚用水温調整器や給湯器、エアコンや冷蔵庫などの空冷機器に使用されます。

温度調節器の原理

温度調節器は、主に測定温度と設定温度を比較演算し、ヒーターや冷却装置で制御します。温度を制御したい系統に対して、温度測定センサー、温度調節器、加熱・冷却機器という構成になるのが一般的です。

温度測定センサーでは制御対象の温度を測定します。測温抵抗体やサーミスタが使用されます。温度調節器は制御用電子装置です。温度をフィードバックして出力を制御します。加熱・冷却機器には、空調機やヒーターが使用されます。空調機は冷媒を圧縮機で圧縮し、加熱も冷却も可能な機器です。

温度調節器の制御方式

温度調整器の演算出力には、連続制御とON-OFF制御の2種類があります。

1. 連続制御

連続制御の代表例がPID制御です。PID制御とは、比例、積分、微分 (Proportional、Integral、Derivativeの略) 要素で入力信号を演算する制御方法で、多くの場合、比例成分と積分成分のみで温度調節が可能です。

オーバーシュートが許容できないシビアなプロセスでは微分制御で微調整します。比例制御、積分制御、微分制御の英字頭文字を用いてP制御、I制御、D制御と略します。

  • P制御
    温度測定センサーの入力値と温度設定値の偏差に比例した制御を行います。
  • I制御
    温度測定センサーの入力値と温度設定値の偏差を無くす制御を行います。
  • D制御
    外的要因による温度変化の差を微調整する制御を行います。

2. ON-OFF制御

測定温度と設定温度を比較して、冷熱機器をON-OFFさせる制御をON-OFF制御と言います。連続制御と比較して簡単なため、低コストで導入可能です。

温度調節器のその他情報

1. サーモスタットと温度調節器

サーモスタットは、古くからある簡易的な温度調節器です。金属または液体の温度による膨張-収縮を利用して接点や弁をON-OFFし、温度の制御を行います。自動車などのラジエータへの冷却水の調整弁、電気こたつの温度制御に使用されることが多いです。サーモスタットは、金属タイプや液体膨張タイプなどがあります。

  • 金属タイプのサーモスタット
    金属タイプのサーモスタットは、バイメタルと呼ばれる温度センサーを使用します。これは熱膨張率が違う2種類の金属を貼り合わせた板で、熱による膨張変形を電気接点として使用します。
  • 液体膨張タイプのサーモスタット
    液体膨張タイプのサーモスタットは、容器に封入された液体が温度により膨張-収縮する力を電気接点として使用します。液体膨張タイプは電気容量を大きくすることができるという特徴があります。また、サーモスタットは、どちらのタイプも制御を行うための電源が不要です。

2. 温度調節器とヒーター

温度調節器は常温 (室温) より高い温度帯で温度制御をする場合、ヒーター (加熱装置) への制御指令で制御を行います。温度調節器には、制御可能な電力容量がそれぞれ決まっているため、大容量の加熱装置を使用する場合には、電磁開閉器などの駆動装置を別途設けなければなりません。

常温 (室温) より低い温度を制御する場合には、チラーなどの冷却装置を稼働させます。温度調節器、ヒーター、冷却装置ともに 目的に合った仕様、容量を用意する必要があります。温度制御を行うために温度センサーも同時に必要になります。

3. 指示調節計と温度調節器

温度調節器は指示調節計の一種です。指示調節計は温度に限らず、湿度、流量、圧力など様々な要素を制御します。指示調節計も温度調節器もあくまで演算装置であり、センサーや冷熱機器は別途必要です。

参考文献
https://www.fa.omron.co.jp/guide/technicalguide/53/103/index.html
https://www.motoyama.co.jp/engineer/engi106.htm
https://www.chino.co.jp/products_cate/controllers/

圧力スイッチ

圧力スイッチとは

圧力スイッチ

圧力スイッチとは空気や液体などの流体による圧力を検出するセンサの一種です。圧力の絶対値の大小によってスイッチを動作させたり、任意の圧力値に対する変化量の大きさでスイッチを動作させたりします。

圧力スイッチのセンサには内蔵された圧電素子に流れる電流量、電圧の変化を元に圧力変化を検知する半導体ピエゾ抵抗拡散圧力センサと、可動極がついたコンデンサが内蔵されており外部からの圧力によるコンデンサの静電容量の変化から圧力変化を検知する静電容量形圧力センサがあります。

圧力スイッチの使用用途

圧力スイッチは様々な用途で用いられます。プレス機械や成形機器などの制御に用いられるほか、自動車のエンジンオイルであったり、電車のブレーキ圧の制御にも用いられます。

また、腐食性、毒性がある化学物質に接触する過酷な場所でも圧力スイッチは使用可能です。その他、可燃性物質を扱う場所で用いる防爆型の圧力スイッチも販売されています。化学業界、石油、ガス業界といった化学物質を日常的に扱う現場においてこれらの圧力スイッチは使用されます。

その他、エアコンのコンプレッサや冷却ガス、掃除機の吸込みなどの風量管理、生産装置におけるポンプやコンプレッサの圧力管理などにも圧力スイッチは利用されています。

圧力スイッチの原理

圧力スイッチの原理

圧力スイッチは圧力の変化を電気信号に変換します。圧力の変化の表し方は3つあり、1つ目は大気圧を基準として正・負圧として表記する方法、2つ目は圧力の絶対値で表記する方法、3つ目は任意の圧力に対する変化である差圧として表記する方法です。

圧力を電気信号に変換する方法は2種類で、1つ目は半導体ピエゾ抵抗拡散圧力センサです。これは特定の物質に圧力を加えることで電圧が発生する「圧電効果」を利用したもので、圧力の変化量の大きさで電圧の変化量も決まるため、電圧変化から圧力の変化量を求めることが出来ます。2つ目の変換方法は静電容量形圧力センサで、センサの中に可動極がついたコンデンサが入っています。このセンサに圧力を加えると可動極が変形するため、コンデンサの静電容量が変化します。この変化量から圧力の変化量を求めることが出来ます。

圧力スイッチの種類

圧力スイッチは設置する環境、接触する流体の種類、検出したい圧力の大きさによって用いる機器が変わります。流体が空気の場合、空気用の圧力スイッチを用い、流体が液体の場合は汎用流体用の圧力スイッチを用います。また、有機溶媒、天然ガスのような可燃性物質と接触する環境においては防爆型圧力スイッチを用います。

その他、腐食性、毒性が高い物質と接触する環境では薬品耐性がある圧力スイッチを用います。有害性の高い物質が存在する場所で使用する場合、センサの中のみならず、スイッチの各部品の薬品耐性もあるか確認することを推奨します。

参考文献
https://www.fa.omron.co.jp/data_pdf/commentary/pressure_tg_j_3_3.pdf
https://www.smcworld.com/products/pickup/ja-jp/switch_sensor/pressure_sensor.html

半導体製造装置

半導体製造装置とは

半導体製造装置 (英: semiconductor manufacturing equipment) とは、トランジスタや集積回路などに用いられる半導体を製造するための装置です。

半導体はパソコンやスマートフォンだけでなく、クラウドサービスやデータセンターなど多くの電子機器に使用されます。半導体による情報記憶や数値計算、論理値演算、これらの処理速度の速さや省エネ性、省スペース化の観点を踏まえながら、半導体の技術革新が進んでいます。

この半導体を製造する装置は、半導体の高性能化や技術革新に伴って、飛躍的進歩が不可欠です。

半導体製造装置の使用用途

半導体製造装置は、その名の通り、半導体を製造する際に使用されます。主な半導体部品として、機器の電気の流れや方向など電気的な制御に用いられる素子単体のトランジスタやダイオード、機器のプログラムなどのデータの演算処理を司るCPU、プログラムなどのデータを記憶するメモリなどが挙げられます。

また、カメラに使用するCMOSイメージセンサなどがあり、半導体製造装置はこれらを製造する際に重宝されています。

半導体製造装置の原理

半導体製造装置の基本動作は、回路設計・パターン設計、フォトマスク作成、前工程、後工程に分類できます。

1. 回路設計・パターン設計

回路設計・パターン設計は、必要な機能を実現する回路を設計し、シミュレーションを何回も行って効率的なパターンを検討します。半導体装置のパターン設計は、専用のCADソフトを使用します。

2. フォトマスク作成

フォトマスク作成は、半導体ウェーハに回路パターンを転写するための原版を作成することです。半導体ウェーハ表面のトランジスタや配線は非常に細かく、透明なガラス板の表面に拡大して回路パターンを描きます。

3. 前工程

前工程は、シリコンウェハにチップ作るまでです。洗浄、フォトリソグラフィ、エッチング、成膜、イオン注入、平坦化などの工程があり、この一連の動きを何度も繰り返します。

4. 後工程

後工程は、シリコンウェハ上に作られた半導体チップを細分してチップを完成させるまでです。ダイシング、ダイボンディング、ワイヤボンディング、モールド、検査などの各工程があります。

半導体製造装置の種類

半導体製造装置は大きくわけて、半導体設計用装置、フォトマスク製造装置、ウェーハ製造装置、ウェーハプロセス用処理装置、組立装置、検査装置、半導体製造装置用関連装置などに分類できます。

1. 半導体設計用装置

回路設計・パターン設計用として、専用のCADソフトが開発されています。

2. フォトマスク製造装置

フォトマスクは、ガラス乾板とも呼ばれ、ガラスや石英の板に、電子回路部品の製造工程で使用されるパターン原版を形成したものです。フォトマスク製造装置は、ガラス基板にクロムなどの遮光幕を蒸着し、レーザーや電子ビームを使用して回路パターンを描画する装置です。現像装置やドライエッチング装置、検査装置も使われます。

3. ウェーハ製造装置

まず、超高純度に生成されたシリコン単結晶インゴットをダイヤモンドブレードを使用する切断装置により、所定の厚さに切断します。これがシリコンウェハです。次に、ウェーハの表面を研磨し、高温の酸化炉に入れて、酸化皮膜を作ります。さらに、フォトレジストという感光剤をレジスト塗布現像装置を使ってウェーハの表面に塗布します。

ウェーハの表面にフォトマスクの画像を縮小焼付して、回路パターンを形成します。この際に使うのが半導体露光装置です。さらに、エッチング・剥離装置により、不要な酸化膜やレジストを除去します。

イオン注入・アニール装置を使って、ボロンやリンなどをウェーハに注入して半導体化を行います。プラズマ装置に入れて、不活性ガスプラズマにより、ウェーハ表面に電極配線用のアルミ金属膜を形成します。最後に、検査装置でウェーハをチップごとに試験し、良品・不良品の判定を行ったら前工程は終了です。

4. ウェーハプロセス用処理装置

後工程は、最初にウェーハをダイシングソー装置により、切断して個々のチップへ分離します。そして、チップをリードフレームの所定の位置に固定します。

5. 組立装置

まず、ダイボンダー装置を使用して、チップとリードフレームをボンディングワイヤーでつなぎます。次に、チップをモールディング装置を使って、樹脂でパッケージします。保護のためです。また、金型にて、リードフレームから個々の半導体製品を切断・分離し、外部リードを所定の形状に成型します。

6. 検査装置

初期不良を除くため、ファンクションテストを行いながら、バーンインと呼ばれる温度電圧ストレスの加速試験を行います。最後に、電気的特性検査、外観構造検査などを行い不良品を取り除き、環境試験、長期寿命試験などの信頼性試験も必要です。

参考文献
https://www.ave.nikon.co.jp/semi/technology/story02.htm
https://www.seaj.or.jp/semi/proc/
https://www.seaj.or.jp/file/process01.pdf
https://www.meti.go.jp/meti_lib/report/2019FY/000182.pdf

近接センサー

近接センサーとは

近接センサー

近接センサーとは、検出対象物などが物理的に接触せず近接することで接点をON/OFFさせるセンサーです。近接センサーは、機械式のスイッチと異なり、検出対象物などと物理的に接触して接点をON/OFFさせるタイプではないことが特徴です。

また、近接センサーの検出方式には、主に誘導方式、静電容量方式、磁気方式の3つがあります。この検出方式により、検出対象物に接触することなく検出することが可能です。近接センサーは、非接触式センサーのため、検出対象物への損傷や摩耗などを懸念することなく使用することができます。

近接センサーの使用用途

近接センサーは、さまざまな生産現場におけるワークの有無や位置決めなどの検出に利用されています。この理由は、近接センサーが一般的に金属および非金属製の個体検出に対して、非接触且つ検出距離が比較的短いという特徴があるからです。

一方、静電容量型近接センサーの場合、液体や粉体を貯蔵するタンク内の量やスプレーで吐出する流体といった場面でも利用されています。静電容量式近接センサーは、誘導型近接センサーや磁気型近接センサーが優位に検出する個体とは異なり、金属および非金属以外にも液体や粉体まで検出可能であるためです。

近接センサーの種類

近接センサーは、検出対象物と非接触で検出するセンサーです。このため、検出対象物が近接センサーに近づくことで、センサーの種類によって異なる検出方式のエネルギーを放出します。

近接センサーは、このとき反射するエネルギー変化を電気信号に変換することにより、物体の検出が可能です。このため、近接センサーは検出方法によって、主に3種類に大別されます。

1. 誘導型近接センサー

誘導型近接センサーで物体の検出に利用するのが、磁界と誘導電流です。近接センサー検出部の検出コイルに高周波の磁界を発生させます。

この磁界に鉄、、アルミ、真鍮などの金属製検出対象物が近づき、電磁誘導によって発生するのが誘導電流です。そして、金属製検出対象物の抵抗によりエネルギー損失が発生します。誘導型近接センサーは、この電流による検出コイルのインピーダンスの変化を検出します。

2. 磁気型近接センサー

磁気型近接センサーは、磁石の力を利用して物体を検出します。磁気型近接センサーの検出部に備わっているのが、磁石とリードスイッチです。

磁石または強磁性体の検出対象物がセンサー検出部に近づくことによって、磁気型近接センサーのリードスイッチが開閉動作することで、物体を検出することができます。

3. 静電容量型近接センサー

静電容量型近接センサーが物体の検出に利用するのが、静電容量の変化です。静電容量型近接センサーの検出部は測定電極が備わっています。

この測定電極に検出対象物が近づくことで生じるのが、電極と検出物体間の静電容量の変化です。静電容量式近接センサーは、発生した静電容量の変化を検出することで、金属および非金属以外にも液体や粉体まで検出することができます。

近接センサーのその他情報

1. 近接センサーの誤作動

近接センサーを使用していると、検出物体の検知が上手くできなかったり、検知したままの状態から戻らなくなったりなど、様々な誤動作が発生する場合があります。特に近年増加しているのは、スマートフォンに搭載されている近接センサーの誤動作です。

多くのスマートフォンでは電話に出るときに、本体を耳に近づけると画面が消えるようになっています。画面が消える動作を可能にしているのが近接センサーです。近接センサーが検出物体(この場合は人の顔や耳等)の接近を検知しているからです。このため、もし近接センサーが故障してしまうと、顔を近づけても画面が消えない、通話中でもないのに画面が消えてしまうなどの不具合が発生します。

近接センサーが誤動作する具体的な原因は、以下のようなものがあります。

  • センサー部の汚れやゴミ
  • 出力時のチャタリング
  • 周囲金属の影響
  • 強い衝撃
  • 配線の間違い

近接センサーは、センサー部の周囲環境による影響を受けやすいのが特徴です。このため、近接センサーの検出部は、異物の混入等がないように安全かつ清潔に保つ必要があります。また、チャタリング等のノイズも悪影響を及ぼすため、配線の際はアース設置の徹底や絶縁体を入れるなどして対応する必要があります。

2. 近接センサーの検出距離

近接センサーの「検出距離」とは、所定の方法・条件下にて検出物体を移動させたときの、基準位置から信号検知までの距離のことです。その長さは各仕様によって異なり、長いものでは最大30mmのものもあります。

とはいえ、近接センサーを使用する環境は、必ずしも理想的であるとは限らないのが実情です。例えば、工作機械で使用される近接センサーは、周囲金属や切粉、クーラント等の影響を受ける場合もあります。近接センサー周囲の温度や電圧の影響等によって、検出距離が短くなることも考えられます。

近接センサーの周囲環境を考慮したうえで、安定して使用できる距離が「設定距離」です。設定距離は通常、検出距離の70~80%になると言われています。近接センサーの使用を検討する際は、物体検出に必要な検出距離と、設置する場所の環境を考慮して選定する必要があります。

参考文献
https://www3.panasonic.biz/ac/j/service/tech_support/fasys/tech_guide/proximity/index.jsp
https://www.fa.omron.co.jp/guide/technicalguide/41/17/index.html
https://www.fa.omron.co.jp/guide/faq/detail/faq00417.html
https://www.fa.omron.co.jp/guide/faq/detail/faq00416.html
https://www.fa.omron.co.jp/guide/faq/detail/faq05673.html

ターミナルリレー

ターミナルリレーとは

ターミナルリレー

ターミナルリレーとは、複数のリレーと端子台を一体とした入出力信号処理装置です。

プログラマブルコントローラのI/Oや電磁弁などを中継するインターフェース機器として使用されます。入出力インターフェース機器の役割を担うターミナルリレーの主な構造は、プリント基板を内蔵した台座に端子台が設けられ、この台座に独立した1極タイプの小型リレーを用途に応じて複数取り付けることができるため、メンテナンス性に優れながらもコンパクトなリレー構造として、装置の小型化や省配線化に貢献しています。

ターミナルリレーの使用用途

ターミナルリレーは主に産業用途に使用される製品です。以下はターミナルリレーの使用用途一例です。

  • プレス機や加工機の内部信号通信用
  • 大型ポンプやファンと制御装置の信号中継用
  • スラリー処理装置の信号中継用

一般的に大型産業機器を複雑に制御する場合はマイコンやPLCなどの制御装置が使用されます。これらの制御装置は複雑な内部処理が可能な一方、出力信号の許容電流は小さい場合が多いです。これらの機器に大電流を導通させると、故障頻度を早めるなどの悪影響が考えられます。

したがって、電磁弁などの負荷電流・突入電流が大きい機器を制御したい場合、制御機器の出力をリレーによって絶縁します。ただし、パワーリレーなどを横並びに複数個設置すると、スペースを占有する上に制御配線も煩雑になります。

ターミナルリレーは端子台とリレーが一体となった機器であり、1極小型リレーを並べることが可能です。したがって、省スペースかつ省配線を達成することができます。

ターミナルリレーの原理

ターミナルリレーは、端子台部品とリレー部品によって構成されます。

1. 端子台部品

端子台部品はリレーのソケットと端子台が一体となった部品です。電気が導通する箇所は銅や鉄ネジで構成され、ケーシングは硬質合成樹脂などで構成されます。丸端子などで端末処理された外部配線を鉄ネジで締め付けて固定する製品が多いです。

一般的にはリレーを4つ取付可能なソケットを有する製品が多く、1つのリレー対して入力と出力を2端子ずつ配置されます。16点用の製品なども存在します。端子台部品のみを指して、リレーターミナルと呼ばれることがあります。

2. リレー

リレーは信号を絶縁して中継する部品です。ターミナルリレーとしては一般的に小型の1極リレーが使用されます。端子台部品に裏面のピンで差し込んで取り付けることが多いです。リレーの仕様はリレー表面のケーシングに印字されている場合が多く、電源仕様や信号種類がさまざまな製品を販売されています。

ターミナルリレーの選び方

ターミナルリレーを選定する際は、下記の観点で選定します。

1. 出力点数

出力点数はターミナルリレーによって出力可能な点数です。汎用品の多くは4点出力ですが、PLCと接続する製品には16点出力や32点出力の製品が存在します。多くの機器を制御する系統の場合は、出力点数が多いほど省配線となります。

2. 入力仕様

入力仕様はリレーのコイル部分に入力される信号種類です。AC100VやDC24Vなどの仕様があります。制御機器の出力仕様に応じて入力仕様を選定します。

3. 出力仕様

出力仕様はリレーが出力する信号の仕様です。信号種類や定格通電電流などの要素があります。

信号種類は主に有接点と無接点で大分されます。有接点は金属切片を電磁コイルで機械的に動作させて信号を伝える方式です。許容電流が大きい傾向にある上に、熱に強いなどの利点があります。ただし、開閉動作によって接点部品が徐々に摩耗していく欠点があります。

無接点は半導体またはソリッドステートリレーなどで電気信号を伝える方式です。物理的に駆動する箇所を持たないため、高開閉頻度や高速開閉での使用に耐えます。ただし、熱に弱く、定格以上の電流が流れると半導体部品が故障してしまうなどの欠点があります。

定格通電電流は導通できる電流値の大きさです。電流値が大きいほど大負荷を制御することが可能ですが、リレーが大きくなってしまうことが多いです。一般的にターミナルリレーとして使用される場合は、1~5A程度の通電電流の製品が多いです。

参考文献
https://www.fa.omron.co.jp/data_pdf/commentary/generalrelay_tg_j_10_4.pdf

培養装置

培養装置とは

培養装置

培養装置とは、動物、昆虫の細胞や、大腸菌やその他のバクテリアまたは植物などの培養を行うための装置です。

これらの生物や細胞が育成しやすい環境 (温度・湿度など) をコントロールし一定に保つことができます。バクテリアなどのために振とう培養できるものを特にバイオシェーカーと呼びます。

また、哺乳類細胞の培養において培地のpHをバッファするために二酸化炭素を導入できるものをCO2インキュベータと呼びます。

培養装置の使用用途

培養装置の主な使用用途は、温度や湿度をコントロールし動物細胞や微生物を育成するためです。また、培養装置は生命科学や生物学をはじめとする多くの分野で頻繁に使用されています。大腸菌を培養する場合は、タンパク質を大腸菌内で発現させる為に培養することが多いです。

使用温度は、一般的に生理条件である37℃ですが、使用目的に応じて低温から高温(+4℃から+70℃) まで使用することが可能です。

培養装置の原理

培養装置の機能コントロールは実験によって異なりますが、適切な温度条件に調節することはどの実験でも共通して重要です。温度コントロールは、気体を用いた気相と液体を用いた液相のどちらかで行われます。両者とも壁面を通して加温と冷却を行うことが可能です。

気相で行う場合は温度コントロールがしやすく、柔軟に温度調節できますが、周囲温度の影響を受けて温度変化しやすいです。一方、液相では温度コントロールしにくい反面、保温・保冷性に優れています。

生物学系の分野では、装置内に使用する溶液が培養しているサンプルに混入してしまう恐れがあるため、気相で培養することが多いです。

培養装置の種類

1. バイオシェーカー

バイオシェーカーとは、液体培地と空気を混ぜるために必要な「振とう」ができる培養装置のことを指します。「振とう」には左右と回転振とうがあり、試験管や丸底フラスコ培養では左右、バッフル付き三角フラスコでは回転振とうで培養します。

生物学系の研究室では、三角フラスコを用いて培養培養することが多く、バッフルが付いている三角フラスコは、培地と空気がよく混ざりやすいので生育時間の改善することができます。

2. CO2インキュベータ

CO2インキュベータとは、CO2供給と湿度をコントロールできる培養装置のことを指します。培地のpHを一定に保つために5%前後のCO2中で培養を行います。また、急激なpH変化を防ぐために一般的に炭酸水素ナトリウムなどのpH緩衝剤使用されています。

湿度のコントロールは、装置内に滅菌水を張ったトレイを設置し自然蒸発によって90~95%の湿度に保ちします。哺乳類の細胞を培養する際、接着細胞と浮遊細胞によって培養方法が異なります。接着細胞を培養する場合インキュベータ内に細胞の入ったプレートを静置するだけで細胞が増えていきますが、浮遊細胞の場合は、装置内にスターラーを設置し、スターラー上で常に培地内を攪拌しながら培養する必要があります。

培養装置のその他情報

1. 菌培養装置

菌培養装置とは、培養装置内を38℃に保つことができるバイメタルサーモ式サーモスタットが搭載されています。主に食品加工業者が使用し、微生物 (大腸菌やサルモネラ菌等) を培養し、増殖検査を行うために用いられる装置です。試薬によって変化した微生物の色を蛍光ランプで識別することができるのが特徴です。

生物分野の研究や医学分野の検査などでは、細菌や菌類 (カビ、酵母など) を培養するために、微生物培養装置と呼ばれる培養装置を使用します。

2. 細胞培養装置

細胞培養装置とは、一般的にヒト由来の哺乳類細胞を培養するために使用されています。主な実験目的は、細胞観察や細胞内で発現させたタンパク質の利用です。

実験の際に細胞が剥れないように古い培地を吸引除去して新しい培地を添加する培地交換という作業や、増殖した細胞を複数の培養容器に、所定のサイズ・密度で均一に播種する継代培養という作業が数日ごとに発生します。

研究者や技術者にとって、これらの作業を習得・学習するのに多くの時間を要したり、定期的な培地交換等は、大きな負担になっています。そこで近年では、継代や培地交換を自動でコントロールできる「自動細胞培養装置」が様々なメーカーで開発されています。 この装置により、質の高い細胞を安定にかつ一定量確保できます。

3. 培養装置の英語表記

培養装置は、日本のメーカーやラボではインキュベータ (incubator) と呼ばれることが多いです。しかし、インキュベータは、本来鳥類や爬虫類の卵のための孵卵器の意味を持ちます。温度を一定に保つ装置から派生して、incubatorは培養装置の意味も持つようになりました。論文等で培養装置をincubatorと表記することは間違いです。各装置の英語表記は以下の通りです。

  • 培養装置: culture apparatus
  • 微生物培養装置: bacterial culture apparatus
  • 嫌気培養装置: anaerobic culture apparatus

参考文献
https://www.yamato-net.co.jp/qa/detail/5/
https://www.thermofisher.com/blog/learning-at-the-bench/cell-culture-environment/
https://www.healthcare.nikon.com/ja/ss/cell-image-lab/glossary/incubator.html
https://www.meti.go.jp/policy/consumer/seian/denan/kaishaku/taishou_hitaishou/20060929/kinbaiyousouchi.pdf
https://www.thermofisher.com/jp/ja/home/references/gibco-cell-culture-basics/cell-culture-equipment.html
https://monoist.atmarkit.co.jp/mn/articles/1903/28/news027.html
https://www.panasonic.com/jp/company/ppe/saibobaiyo.html 

ピッキングシステム

ピッキングシステムとは

ピッキングシステム

ピッキングシステムとは、倉庫にある多種多様な商品の中から、指定されたものを探して持ってくるというピッキングの作業を効率的に行うためのシステムです。

ピッキングシステムを導入することで、誤ピッキングの防止や初心者でも短時間で必要な製品や商品を見つけ出せるようになります。ピッキングシステムには、表示器付きのカートやハンディターミナルなどの物理的なものから、手持ちのスマートフォンやタブレットにアプリを導入するだけで使えるようソフトウェアとして販売されているものまで、種類はさまざまです。

ピッキングシステムの使用用途

ピッキングシステムは、物流倉庫や工業製品の工場での製品出荷管理に用いられています。多種多様な在庫から、必要な製品を必要な数だけ素早く選び出すために、ピッキングシステムは欠かせません。

近年は、ECサイトの発展によってネット通販の需要が拡大しており、通販会社では物流倉庫内の商品をいかに素早く正確に出荷のプロセスまで到達できるかが課題です。ピッキングシステムは、こうした通販会社の物流倉庫などで、正確で迅速な仕分け作業を行うために導入されています。

また、調剤薬局では薬剤監査システムとして、ピッキングシステムが導入されています。薬剤監視システムとは、医療品の種類と数が正確であるかどうかを機械によって判別するためのシステムです。

薬剤師による管理に薬剤監査システムを加えることによって、薬剤を間違えてしまう調剤事故の発生を防いだり、薬剤師の業務を効率化し、薬を受け取る患者さんの待ち時間を減らしたりすることにもつながります。

ピッキングシステムの原理

ピッキングシステムは規模によらず原理として、3つの機能によって成り立っています。1つ目は作業者や搬送機械にピッキング指示を出す機能、2つ目は実績を記録する機能、3つ目は在庫管理システムなどと連携する機能です。

現在のピッキングシステムでは、これらの管理がパソコンやタブレットPC、スマートフォンで行えるようになっています。ピッキングシステムには、さまざまな種類があります。

小規模なシステムとして、デジタルピッキングシステム (DPS) が挙げられます。ハンディーターミナルなどの表示器によって、作業者の仕事を補助するものです。

一方で、大規模なピッキングシステムは、ピッキング作業全体を機械によって自動化したものです。大規模な倉庫や工場に導入されています。

ピッキングシステムの選び方

1. シングルピッキングとトータルピッキング

シングルピッキングは、オーダーごとに保管場所から商品を取り出す方法で、商品が少ない場合に適しています。トータルピッキングは、オーダーされた商品をまとめて保管場所から取り出し、後で仕分けを行う方法です。商品単位でまとめて作業するため、移動距離と時間を短縮することができます。

2. 無線式と有線式

無線式のピッキングシステムは配線工事がなく、比較的導入は簡単ですが、充電の手間がかかります。一方、有線式は充電の手間はかかりませんが、工事が必要で設置場所が変わると、その度に配線の見直しが必要となります。

3. クラウド型とオンプレミス型

クラウド型はサーバー管理が不要で、初期費用も抑えられますが、インターネットを介するためセキュリティ面では注意が必要です。オンプレミス型は初期費用はかかりますが、既存システムとの連携が容易な場合が多く、自社で既にサーバーなどの環境が整っていると、トータルコストを抑えることもできます。

ピッキングシステムのその他情報

薬局での導入事例

厚生労働省「調剤業務のあり方について (薬生総発0402第1号) 」が発出され、薬剤師免許を持たないものでもピッキングや薬剤の数量確認などの補助作業が可能となりました。ただし、本通知には医薬品のピッキングミスや入力ミスによって発生する調剤過誤を確実に防止するため、「判断を加える余地に乏しい機械的な作業であること」という条件が明記されています。

薬局で使用するピッキングシステムにおいては、この要件を満たす適切なシステムの導入が必要です。医薬品のピッキングシステムに使用される判別方法には、主に以下の2つのタイプがあります。

1. 機器内蔵のカメラで撮影し、画像認識により判別するピッキングシステム
機器内蔵のカメラで撮影し、画像認識により判別するタイプは、バーコードのついていない医薬品も判別することが可能で、自動で写真を残すこともできます。一方で、機器自体が大型になることが多く、他のタイプと比較すると高額になる場合があります。

2. 印字されたバーコードのスキャンにより判別するピッキングシステム
印字されたバーコードのスキャンにより判別するタイプは、比較的安価で小型の機種が多く、配線工事も不要な機器が多いため導入しやすいというメリットがあります。ただし、数量監査のできない機種が多く、目的にあった機器であるかの確認が必要です。

適切なピッキングの導入によって、誰でもミスのないピッキングが可能となり、薬剤師が本来の業務に集中できる環境が整います。さらに、数量監査を同時に行うことで、監査を担当する薬剤師の負担軽減や発注や棚卸の業務効率の向上にもつながります。

参考文献
https://www.upr-net.co.jp/info/pallet/digital_picking.html
https://www.daiwabutsuryu.co.jp/useful/words/dps
https://www.fujielectric.co.jp/products/logistics/future/picking-hikaku/
https://www.mhlw.go.jp/content/000498352.pdf
https://medicalfields.jp/

高周波ウェルダ

高周波ウェルダとは

高周波ウェルダとは、高周波誘電加熱で溶接するための装置です。

塩化ビニルナイロンなどの熱可塑性樹脂に適用します。高周波ウェルダを用いた溶接を溶着と呼び、他の外部加熱溶接法よりも溶着強度が高く仕上がりも美しいことが特徴です。

マイクロ波加熱と比較して高周波ウェルダでは一対の電極板で挟んで加熱を行うため、部分的かつ深い加熱を行うことができます。

高周波ウェルダの使用用途

高周波ウェルダは、シート状の素材をつなぎ合わせるために使用されます。高周波ウェルダの具体的な使用用途は、以下の通りです。

  • テントやライフジャケット
  • 名刺ケースやブックカバー
  • 人工皮革によるバッグ
  • 調味料や歯磨き粉の外装

高周波ウェルダで使用できる素材は、その原理上限られています。ただし、縫い目や縫い代が無いため接着部の仕上がりが非常に美しい点から、美観を要求される製品で使用されます。

また、高い強度と均一な品質を達成できることから、テントのような気密性や防水性を確保するために縫製できない製品の製作に最適です。

高周波ウェルダの原理

高周波ウェルダは誘電加熱を行うことで、熱を発生させます。誘電加熱は誘電体材料を加熱する方法で、周波数が高い電圧を印可することで分子を揺さぶり摩擦熱を発生させます。

摩擦熱は分子内部で発生するため、素材の内部から均一に加熱可能な点が特徴です。ただし、上記原理の関係から塩化ビニルやポリエチレンなどの誘電体材料のみに適用可能な加熱方法です。

なお、高周波ウェルダに用いられる電圧周波数は3MHzの短波から30GHzのセンチ波に相当する周波数帯となっています高周波ウェルダは素材の凹凸による影響がでないように一定の圧力を加えつつ、溶着する素材を電極で挟んで高周波電圧を印可します。

素材は数秒間で120~130度の高温に達し、半液相状態になります。この状態で加熱をとめて圧力をかけたまま冷却すると、素材同士が混ざり合って接着される仕組みです。

高周波ウェルダのその他情報

1. 高周波ウェルダ加工

高周波ウェルダ加工は熱を外部から印加しないため、焦げ付きや溶けた樹脂の糸引きなどによる外観不具合が発生しないことが最大の特徴です。そのほか、溶着したい部分を電極となる金型で挟んで局所的に誘電加熱を行うため、周辺部分の変形・変色が起きないこともメリットとして挙げられます。。

溶接加工時に発煙せず、VCからの有害成分が発散しません。そのため、安全で環境に配慮した加工が可能です。

2. 高周波ウェルダで溶着する材料

高周波ウェルダでの加工に使用される主な材料は以下の通りです。

  • PVC (塩化ビニール)
    ビニールシートや人工皮革の材料として使用されます。柔らかく熱加工しやすいため、高周波ウェルダ加工では最も多く使用されている材料です。
  • TPU (熱可塑性ポリウレタン)
    ホースや台車のタイヤなど弾力を持たせる用途に広く使用されます。スマホのソフトケースでは高周波ウェルダ加工によって本体バンパーとカバーが溶着されています。
  • POF (ポリオレフィン)
    ポリエチレンやポリプロピレンなどがポリオレフィンの仲間です。高周波ウェルダによって袋状に成形され、マヨネーズなどの調味料や、歯磨き粉のチューブケースなどに活用されています。

3. 高周波ウェルダの周波数

加工する対象物の厚みや材質により印加する電力や周波数選定が必要です。一般には、ビニルのようなプラスチックシートの場合は40MHz~200MHz、熱硬化プラスチックの溶着には10MHz~50MHz付近の高周波磁界が使用されます。

さらに、電子レンジのマグネトロンで使われている2.45GHzも、高周波ウェルダや加熱用の高周波発信機で多く使用される周波数帯です。

4. 高周波ウェルダの価格

高周波ウェルダは一般的に頑丈な架台などに設置して使用します。したがって、大型の機器が多く、産業用途のでの利用がほとんどです。価格帯はサイズや出力容量によって幅広く、小型の製品は1,000,000円程度で購入可能な場合もあります。ブルーシートやテントシートのような大型シート用の設備になると、5,000,000~10,000,000円程度の製品も販売されています。

参考文献
http://www.vinita.co.jp/institute/radiofrequency/020080.html
https://www.honda-el.co.jp/hb/3_1.html