スピンドル

スピンドルとは

スピンドル

スピンドル (英: spindle) とは、回転軸のことです。

スピンドルの本来の意味は、紡績機の糸を巻き取る紡錘のことですが、工学では主に工作機械で回転する軸のことを指します。この軸に工具刃物を取り付けて加工を行います。

旋盤など刃が固定で工作物が回転する場合は、工作物を取り付けて回転する軸のことです。工具刃物や工作物は軸端に取り付けられますが、軸だけでなく、これらを総称してスピンドルと呼ぶこともあります。また、回転対象そのものや回転装置自体をスピンドルユニット、略してスピンドルと呼ばれます。

スピンドルがその他に使われるのは、自動車ではFF車の後輪やFR車の前輪の回転中心軸、及びパソコンなどのハードディスクドライブやDVDなどの記憶装置、水道栓の部品などです。

スピンドルの使用用途

スピンドルは、対象物を精度良く回転させる装置です。工具刃物や工作物はスピンドルに着脱して使用するため、着脱による回転軸とワークの中心軸にズレが発生します。このズレを振れ回りといい、加工精度の誤差と直結します。

また、スピンドルの回転精度が悪いと、加工後の表面性状も悪くなり、外観品質にも影響が出ます。スピンドルそのものの回転誤差はもちろんのこと、工具刃物や工作物の着脱ごとのズレが少なく、安定して回転するスピンドルは精密加工には欠かせないものです。

工作機械の代表的なものとして、旋盤とフライス盤があります。旋盤は、スピンドルを使用して対象物を回転させます。また、フライス盤は、逆に工具をスピンドルで回転させて加工します。

スピンドルの原理

スピンドルは回転運動を行う機構もしくは装置であるため、回転運動をするための動力が必要です。回転運動を発生させる動力としては、主に電気モータを使用しますが、空気圧による動力を使用するものもあります。

最適な加工条件で加工をするため、モータ直結による動力伝達よりも、歯車やプーリなどにより、回転速度とトルク制御を行う場合がほどんどです。また、スピンドルも安定して高い回転精度を保つため、ベアリングによる軸受けを使用するのが一般的です。

エアベアリングや油圧ベアリングなどの非接触軸受けで、更なる精度向上を図っているものもあります。スピンドルは工作機械の回転軸の構造になっているので、加工による振動や圧力により劣化が避けられません。そのため、定期的なメンテナンスや部品交換を行うことで、常に一定の回転精度を保つ必要があります。

その検査方法は、スピンドルに検査具を取付て円筒物を一周させ、その真円度との差を比較する方法が一般的です。

スピンドルの種類

スピンドルは駆動方式、構造、精度などの違いでいくつかの種類に分類できます。

1. 外部駆動スピンドル

外部のモータ等の動力により、回転させる他の動力と組み合わせて使用する方式です。プーリスピンドルとも呼ばれます。増速や減速して、特定の回転速度にします。

2. ビルトインモータスピンドル

モータとスピンドルを一体にしたもので、モータスピンドルとも呼ばれます。モータのシャフトがスピンドルの役目をしており、コンパクトになり、高精度の加工も可能です。種々の工作機械に使われ、ロボットのハンドなどにも使用されます。

3. エアスピンドル

エアスピンドルは、静圧エア軸受で支持したスピンドルや動力に圧縮空気を使用したスピンドルを言います。静圧エア軸受は、非接触でスピンドルを支持するので、軸受損失が小さく、静かで油による汚染がありません。油を使用できない用途に適しています。

圧縮エアを使用するエアスピンドルは、回転精度が高く、スピンドルの熱変形が少ない長所があります。駆動にエアタービンなどを使用します。トルクが小さいので、切削抵抗によって回転数が変わりやすいのは短所です。エアタービンスピンドルとも呼ばれます。

エアモータにより駆動するエアモータスピンドルは、低速の用途に使用されます。比較的低速で高トルクな加工に向いています。

4. 高周波スピンドル

高周波モータをスピンドル内部に組み込んだスピンドルです。回転速度を上げたり、回転速度やトルクの制御を行う場合に使われます。

参考文献
http://www.techno-nakanishi.co.jp/spindle/

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