露光装置

露光装置とは

露光装置は、半導体や液晶ディスプレイなどの製造現場で使用される、光を照射することによって、回路や画素などのパターンを基板に描写するための装置です。

非常に強い光を使用する上、ステージなどで精密な制御が必要になるため、大型で価格も億単位の製品が多くなります。露光工程は、半導体や液晶ディスプレイ製造の中でも、設計データ (CADデータ) のパターンを決定する工程となるため、非常に重要な装置になります。各社によって様々な露光の方法が開発され、装置に採用されています。

露光装置の使用用途

TFT基板側の製造フローの概要

図1. TFT液晶ディスプレイのTFT基板側の製造フローの概要

露光装置は、半導体の製造現場や液晶ディスプレイをはじめとするフラットパネルディスプレイ (FPD) の製造現場で主に使用されます。

半導体製造工程の場合、シリコンウェーハを基板とし、酸化膜などを形成したのち、フォトレジスト (感光材) を塗布し、塗布面に対して露光装置から出射した強い紫外光をフォトマスクを介して照射することで、不要な部分をエッチングなどで取り除けるようにします。露光装置を用いたこのような方法は、フォトリソグラフィと呼ばれます。

液晶ディスプレイ製造工程の場合、一般的にはガラス基板を用い、金属などの薄膜の成膜、フォトリソグラフィ、およびエッチングを数サイクル繰り返します。

一方の基板には画素電極やスイッチング素子(TFT素子など)を、他方の基板には光の3原色(赤・緑・青)を配したカラーフィルタを形成することができます。両基板を貼り合わせ、間に液晶材料を配置することで、液晶ディスプレイ用のパネルが完成します。

露光装置の選定の際には、非常に高価であるため、露光で使用する光の種類や精度、ステージの精密さなどを装置メーカーと十分協議したうえで購入する必要があります。

露光装置の原理

露光装置の測定原理を説明します。露光措置は、光源、偏向レンズ、フォトマスク、集光レンズ、ステージ、シリコンウェーハなどの搬送用のロボットなどで構成されています。

レンズやフォトマスクなどは非常に高精度に設計されており、ステージも高精度に動作します。動作時は、ステージに露光対象が精密に固定されます。動作時は、1回の露光ごとにステージが動くことによって、露光対象全体にわたって多数のパターンが露光対象に描写されます。

光源から発せられた波長の短い強い光が、偏向レンズによって向きが整えられ、回路パターンを構成するための原型であるフォトマスクに照射されます。そのフォトマスクを通過した光は、集光レンズによって集光され、非常に小さい回路パターンを露光対象に対して描写します。

露光対象全体にわたって露光が終了すれば、ロボットなどによって輸送されます。製品によっては、露光対象が液体に浸透しており、より高精度に露光できるように工夫されている製品もあります。

露光装置のその他情報

1. 露光装置のシェア

半導体用の露光装置の製造ベンダは、2018年で欧州 (84%) 、日本 (14%) となっており、欧州、日本のメーカーでほぼ寡占されています。また、液晶ディスプレイ用のFPD (フラットパネルディスプレイ) 露光装置については、日本のメーカー2社にほぼ寡占されています。

半導体露光装置は史上最も精密な機械といわれており、最新の半導体はチップ上の配線の幅 (プロセスルール) を3~5nmにするほどの微細化が進んでいます。

FPD露光装置については、線幅は最新のもので数μm以下になっており、こちらは年々薄型・大型化が進み、より美しく高精細な映像が実現できるよう装置の高精度化・大型化が進んでいます。

2. EUV露光装置について

半導体露光装置の中でも、EUV (英: Extreme Ultraviolet) 露光装置とは、極端紫外線と呼ばれる非常に短い波長の光を用いた装置です。

従来用いられていたArFエキシマレーザ光を用いた半導体露光装置では加工が難しいより微細な寸法の加工が可能となります。半導体の微細化は、ムーアの法則(半導体集積回路は3年で4倍の高集積化,高機能化が実現される)に従い微細化されてきています。

これまでにもステッパーと呼ばれる縮小投影露光技術や露光波長の短波長化や液浸露光技術の開発により、解像度を飛躍的に向上させてきています。微細化はウェーハに焼き付けることのできる最小加工寸法が小さくなることであり、その最小加工寸法Rは以下のレイリーの式で表されます。 

R=k・λ/NA ※kは比例定数,λは露光波長,N.A.は露光光学系の開口数

これまでも様々な技術開発により、kを小さくしたりλを小さくしたりNAを大きくすることで、微細化を実現してきています。EUV露光装置は、露光波長の短波長化によりこれまでの限界を突破できる技術とされ、近年量産化がされています。

3. FPD露光装置について

FPD (フラットパネルディスプレイ) は、液晶ディスプレイやプラズマディスプレイ、有機ELディスプレイなどで、スマートフォン・タブレット型端末や、家庭用の薄型テレビなど、家や街中のあらゆる場面で目にすることができます。

FPD露光装置はフラットパネルディスプレイを製造するために使用される装置で、原理的には半導体の製造装置と同じで、フォトマスクに光を照射しレンズを通してガラスプレートに回路パターンを露光しアレイを作りこみます。

また、ディスプレイの画像や映像を生み出すカラーフィルタを作り、アレイと組み合わせてディスプレイを完成させます。カラーフィルタとは画像や映像の色を表現させるためのフィルタで、顔料をベースとしたカラーレジストをガラス上に塗布して、露光や現像を行います。

参考文献
https://www.nikon.co.jp/technology/product/semiconductor/index.htm
https://www.ushio.co.jp/jp/technology/glossary/glossary_ra/exposure_equipment.html
https://www.screen.co.jp/spe/technical/guide/exposure
https://news.mynavi.jp/article/20190116-757041/
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jspf/79/3/79_3_221/_pdf
https://www.seaj.or.jp/semi/about_fpd.html

鋳込みヒーター

鋳込みヒーターとは

鋳込みヒーター (英: cast-in heater) とは、鋳物にヒーターを鋳込んで使用する加熱装置です。

真鍮・アルミニウム・鉄などにシーズヒーターや空冷管などを鋳込んで使用します。鋳込みヒーターが加熱対象物に直接接することで、その伝導熱を利用して加熱します。耐過酷使用・耐衝撃性・耐振動性などに優れており、金属面の均一な効率良い加熱が可能です。

形状に多様性があり、空冷管・水冷管を鋳込むことで急冷・緩冷の温度制御ができます。また、放熱フィンを外面に取り付ければ、急熱にも対応します。

鋳込みヒーターは、樹脂成形・合成繊維・半導体製造・エンプラ等の高精度な温度分布が要求される際や、複雑な形状の部品の加熱などに使用されることが多いです。

鋳込みヒーターの使用用途

鋳込みヒーターは、高度な耐蝕性・均一な温度分布など広く応用できるため、多用途に使用されます。

1. 家電製品

鋳込みヒーターは、オーブン・レンジ・アイロン・電気ポット・ホットプレート・電気釜など

2. 業務用装置

オーブン・電気炉・鋳込みパーツ・プレス定盤・空調・冷暖房装置・厨房機器・電気窯など

3. 産業用機器

タンク加熱・薬液加熱・保温・低融点金属溶解・射出成形機・押出し成形機・バルブ・配管保温・加熱、合成繊維の製造、半導体の製造など

4. 乾燥装置

食料品・生ごみ、汚泥・畜産・塗装・木材など

5. 加熱・保温装置

パイプライン・貯蔵タンクの配管・バルブ・水道管・排水管などの保温・凍結防止・霜取り、半導体・液晶系の製造、医薬品の製造、医化学機器、鉛・ハンダ・亜鉛・アルミ等の溶解・加温、医療機器、光学機器など

鋳込みヒーターの原理

鋳込みヒーターは、シーズヒーターを鋳物に組み込むため、均一な温度分布での加熱が行えます。直接的に物体を加熱するよりも効率は劣りますが、メンテナンスなどで液を抜く必要がないため、管理が容易です。

シーズヒーターのシースの材料は、STP、SUS、インコロイ、インコネルなどを使います。使用条件などから選定します。

ヒーターの表面温度には制限があり、アルミニウム鋳込ヒーターは約350℃、真鍮鋳込ヒーターは約500℃、ステンレス鋳込みヒーターは約600℃、鉄鋳込みヒーターは約800℃程度です。槽内・タンク内の空間を有効に活用したい場合、引火や腐臭の対応策に直接的に熱源を入れられないことがあります。

このとき、鋳込みヒーターを間接的な加熱手法に使います。熱伝導を高めるため、ヒーター取付け面を機械加工します。

鋳込みヒーターの特徴

1. 高効率加熱

鋳込みヒーターに使用されるアルミニウムや真鍮は、熱伝導率が高く、加熱対象物と接する面積も大きいため効率的に加熱ができます。また、平面や円筒面の金属面に均一な熱を供給します。熱容量が大きいので、温度調節が容易です。

2. 複雑な形状の対象物の加熱が可能

複雑な形状をしているバルブ類、金型なども対応可能です。鋳物の形状は「型」から製作するので、複雑な形状であっても加熱ができます。

3. 耐振動・耐衝撃の長寿命

ヒーターが鋳込まれているため、環境条件に強く、耐振動・耐衝撃性に優れており、長寿命です。また、耐熱性、耐湿性にも強い特性があります。さらに、用途に合わせて耐薬品・腐食性用途などカスタマイズが可能です。

4. 高電力密度・広面積の加熱が可能

加熱する際の電力密度を高く設定できます。熱伝導率も高いため、高温用ヒーターとして使用可能です。また、ヒーターをタンク・釜などの直接加熱対象物に鋳込むことで、広い面積の加熱ができます。

5. 温度制御が容易

鋳込みヒーターと、空冷管や水冷管を併用すれば、急冷・緩冷が可能です。また、放熱フィンの設置により急熱などの温度制御が容易です。

鋳込みヒーターのその他情報

鋳込みヒーターのサービス性向上

アルミプレートに加工した穴へカートリッジヒーターを挿入したものは、プレートを付けた状態でカートリッジヒーターの交換が可能です。ヒーターの電力・配列を変えることで、任意の温度分布に変更できます。

参考文献
https://www.nippon-heater.co.jp/products/metal/alc/
https://www.netugakugijutu.com/product/ikomiheater/
https://www.nichinetu.co.jp/industrial/castheater.php

配電盤

配電盤とは

配電盤

配電盤とは、発電所から供給される高圧の電気を受電し、電圧を下げて分極盤や制御盤へ配電する機器のことです。

キュービクル」と呼ばれる場合もあります。分電盤は配電盤より送られた電気をさらに分配し、照明・コンセントなどの設備へ電気を分け与えるため、一般家庭には必ず設置されています。

制御盤はモーター・ポンプなどの電動機やヒータ類を、自動・手動で制御する機器です。100V、200V、400V級の低い電圧を扱い、一般的にドア面に電流計・ランプ・スイッチなどがあります。

配電盤の使用用途

配電盤はオフィスビル・店舗・工場など、高圧受電契約を電力会社と締結している大きな建物に設置されます。電力会社より送られる高圧 (6,600kV〜7,700kV) の電気を受電し、低圧へ変換可能です。安定した稼働を求められる生産設備や通信機器などに、電力を供給できます。

ただし一般家庭では電力会社と低圧受電契約を締結しているため、配電盤は必要ありません。物置小屋ほどのサイズの箱に配電盤は入っており、通常は屋上や駐車場の隅など、屋外に設置されています。

配電盤の原理

配電盤は高圧の電気を受電して、電圧を低圧へ下げて分配します。高い電圧で送電すると損失が少なくなる性質が電気にはあり、オフィスビル・店舗・工場などの大きな建物では発電所から高圧の電気を受電します。

高圧の電気を受電するため、設備には安全性が必要です。配線を人や動物の他に異物など接触から守り、漏電や短絡を防ぎます。火災や地震など災害事故が生じた場合も、設備への影響は最小に抑えます。

配電盤の種類

配電盤は幅広い用途に対応し、さまざまな呼び方があります。大別すると、分電盤、監視盤、制御盤、端子盤に分けられます。

1. 分電盤

分電盤は電灯、コンセント類、他設備に分配する開閉器や配線用遮断器を、キャビネットに取り付けた設備です。電気の知識がない人も触る設備であり、遮断器のツマミ部以外は遮蔽された保護板が設けられています。

2. 監視盤

監視盤は散在する監視対象の情報を、一元的に管理している装置のことです。

3. 制御盤

制御盤は自動または手動によって、空調、衛生、防火設備機器のような電動機に、電気の供給を運転制御します。制御に必要となる操作、保護、監視などの機器がキャビネットに収納されています。扉面に電流計、ランプ、スイッチなどがある制御盤が一般的です。

4. 端子盤

端子盤は電気回路の接続点と試験の切り分け点などに設ける端子を、数多く取り付けた設備のことです。

配電盤の選び方

工場、学校、ビルなどの大規模施設に、配電盤は通常設置されます。そしてこれらの大規模な建物は、電力会社と高圧受電契約を結んでいます。それに対して、一般家庭の場合には、一般住宅に配電盤は設置されません。一般家庭は低圧受電契約であり、配電盤を設置する必要がないためです。一般的に電力料金単価は、高圧受電契約より低圧受電契約の方が割高です。

その一方で分電盤は、戸建てやマンションなどのほとんどすべての建物に設置されており、それぞれの部屋に電気を分配しています。分電盤は漏電のようなリスクを予防し、安全を確保する装置です。大規模なビルなどには、分電盤と配電盤の両方を設置する場合も多いです。

配電盤の構造

配電盤は監視制御機器と主回路機器を組み合わせて盤に取り付けて、用途に応じた電気回路の配線や機器を容易に、制御、監視、保護できるようにまとめられています。監視制御機器は計器、開閉器、継電器などで、主回路機器は断路器、遮断器、変成器、負荷開閉器などです。

配電盤は構造によって、大きく2種類に分けられます。すべての必要な機器が箱の中に収納された閉鎖型と、機器と鉄製のフレームを取り付けた開放型です。かつては開放形が主流でしたが、閉鎖型の方が安全性に優れていること、工場で組み立てた状態で据え付け可能なこと、信頼性が高いことから、近年では閉鎖型が主流になっています。

電気の制御や監視のためのメーターなどの機器や電気回路に異常や故障が生じた際に、電流を遮断するための遮断器などの機器が収納されています。

参考文献
https://t-denso.com/archives/429
http://www.jsia.or.jp/mamechishiki/syuruitoyakuwari/
https://www.oreyume.com/column/p-cat-02/1138/

部品洗浄機

部品洗浄機とは

部品洗浄機

部品洗浄機は、工場等で生産した部品を洗浄する機械です。小型部品用から大型部品用まで、さまざまな洗浄方法に対応した製品があり、種類が豊富です。洗浄方法には、超音波洗浄、真空洗浄、ジェット洗浄などがあり、汚れの種類や部品に応じて選択します。また、洗浄する部品の設置方法についても、自動で搬送するタイプや、手動で移動させるタイプなどがあります。

洗浄だけでなく、エアブローによる乾燥や真空乾燥機まで装備している機種もあります。

部品洗浄機の使用用途

部品洗浄機は、小型から大型まで各種の部品の洗浄用途に使用されています。高い水圧を利用して洗浄と同時にバリ取りなどが行われる場合もあります。

半導体などの細かな部品の洗浄には、超音波洗浄が使用されています。

電子、精密部品の切削部品や、自動車のエンジンや足回りの小さめの部品などは、かごに入れて、洗濯機のようなイメージで回転させて洗浄することが多いです。

大型のワークでは一つ一つを搬入し、ジェット噴射等で洗浄していきます。

部品洗浄機の原理

部品洗浄機の原理は、機種によりますが、食器洗い洗浄機や洗濯機に似た洗浄方法が多いです。ドラムに部品を入れて水や洗剤と一緒に回転させて汚れを落とします。

また、部品洗浄機には、さまざまな洗浄方法があります。それぞれの特徴を生かした洗浄方法が選択されています。

ジェット洗浄は、水や洗剤を高圧ジェットで噴射して汚れを落とす方法です。水溶性のアルカリ洗剤を使用する場合もありますが、お湯で強力に脱脂することができます。

真空洗浄は、金属でできたチャンバーの空気を排気し、圧力を下げることで汚れを剥がす方法です。小さな穴につまっているような細かい汚れも落とすことが出来ます。

脱気洗浄は、真空洗浄よりも空気の圧力が高いですが、同じ原理で汚れを落とします。真空洗浄ほど高価な設備がいらないので、コストを低く抑えることができます。

超音波洗浄は、水の中に部品を浸漬させて超音波を当てることで汚れを落とします。油分や落ちにくい汚れをこすらずに落とすことが出来ます。半導体等の細かなパーティクルの洗浄にも使用されています。

参考文献

http://www.e-showa.net/product/parts.html

https://www.juntsu.co.jp/senjou/senjou_kaisetsu01.php

荷重計

荷重計とは

荷重計

荷重計とは、荷重や力の大きさである物理量を電気シグナルに変換して、数値として取り出す計測器です。

荷重や力の検出素子には、主に歪ゲージが使用されています。歪ゲージは物体の変形を電気抵抗の変化として検出するセンサーです。また、信頼性の高い測定器にするために、荷重や力に対する歪ゲージの出力変化を、同じ条件の負荷がかかるように調整し、精度の高いセンサーと比較します。

このような作業を校正と言い、全ての計測器にとって必要不可欠な作業です。荷重計は同じ大きさの荷重が継続的に作用し続ける静的荷重でも、作用する力の大きさが連続的に変動する動的荷重いずれの測定でも使用できます。また、荷重の向きによって引張・圧縮両用型、引張型、圧縮型に分けられます。

荷重計の使用用途

荷重計は、力の大きさを計測する機器において広く用いられています。アムスラー型万能試験装置といった試験装置はもちろん、鍛造やプレスといった荷重が製造条件になるような産業用機械も使用用途の1つです。

そのほか、モーメントという物体を回転させようとする能力を測定するセンサーにも、荷重計を用いたものがあります。特にxyzの3つの方向の力と、それぞれの軸を中心に物体を回転させるモーメントを同時に計測できる6軸センサーは、高度な作業を可能とする力制御ロボットに使用されています。

産業用機械以外では、建築・土木業界でロックアンカ・アースアンカという土木工事が挙げられます。ロックアンカやアースアンカにおいては、実際に荷重を受けるPC鋼棒PC鋼線に加わる力の測定に、荷重計が使用されています。

荷重計の原理

荷重計が力を検出する原理は、物体の変形を電気抵抗の変化として検出することにあります。力による物体の変形を検出するのが歪みゲージです。一般的に物体は引っ張られると伸び、その分太さは細くなります。

この変形は電線の場合、電気が流れにくくなる、つまり電気抵抗が大きくなります。歪みゲージは非常に細い電線を荷重が作用する部品の表面に貼り付け、部品の変形を電線の長さと太さの変化を電気抵抗の変化として検出します。

荷重計のその他情報

1. 荷重計とロ―ドセル

荷重計とは、本来の意味ではロ―ドセルのことを指します。しかしロードセルは、荷重のセンサーの名称であり、ロードセル単体では計測した荷重値を表示することができません。そのため、ロードセルが検出した荷重をロードセルと電気的に接続して、荷重値に変換して表示する表示計が必要となります。

具体的に表示計の役割を果たすものは、ストレインアンプです。また、ロードセルと荷重表示計を組み合わせた製品たちを荷重計と呼ぶ場合があります。いろいろなメーカーからロードセルと荷重表示計を組み合わせた製品が多く製造されています。

製品名がクレーンスケールフォースゲージ  (プッシュプルゲージ) となっているものが該当します。大義では引張試験機、応力試験機なども荷重計の1つです。

2. クレーン荷重計

クレーン荷重計は、トラックに取付けられたクレーンの吊り荷の重量を計る装置です。ロードセル等の荷重センサーは、使わずに巻上装置の油圧モーターの作動圧力を荷重に変換します。

巻上装置の巻上げている時だけ吊り荷の重量を表示して停止時や巻下げ時、また他の操作時には重量を表示しません。また、ロードセルと表示計を組み合わせた荷重計でクレーンスケールと呼ばれるものがあります。

これは天井走行クレーンなどで使用し、スケールをクレーンのフックに吊り下げたり、クレーンスケール下部に吊り荷を吊り下げたり、吊り下げたものの重量を計測します。

3. プレス機用荷重計

プレス機用荷重計は、ロ―ドセルを使った荷重計です。実際にプレス加工機での作業時に加工部品へ加える動作をした時の荷重を測定します。ロードセルの出力は、アナログ電圧出力をデジタル変換して荷重値の表示します。また、アナログ/デジタル変換をするときには、必ず数ミリ秒の時間が必要です。もし応答性、測定周波数が低い荷重表示計を使った場合には、ピーク値を測定しきれない、あるいは測定された荷重が安定しないなどといった問題が生じ得ます。

参考文献
https://tml.jp/knowledge/transducers/load_cell-note.html
https://www.unipulse.tokyo/techinfo/loadcetthowto/
https://tml.jp/knowledge/transducers/load_cell-example.html
https://www.fujicon.net/loadcell/whatsmanagement.html

芯出しバー

芯出しバーとは

芯出しバーとは工作機械の平面上原点位置を高精度検出する治具です。

工作機械に芯出しバーを把持させ、スピンドルを回転させた状態で先端をワークの縁へゆっくり近づけていき、芯出しバーが偏心した場合は接触しているため、振れが完全になくなるまで移動させます。振れが完全になくなった位置が原点と定義できます。原点の精度は加工の精度に直結するため、重要な項目です。

タッチセンサーによる原点位置決めも可能です。タッチセンサーは便利な反面、異常が生じた場合の補正に手間がかかります。

芯出しバーの使用用途

旋盤フライス盤など加工機械による精度を求められる加工時に使用されます。

旋盤ではチャッキングした芯出しバーを回転させた材料に近づけ、その振れによって原点位置を決めます。加工後に再度芯出しが必要になった場合はダイヤルゲージの使用が推奨されます。

フライス盤ではテーブルを油砥石で平らにした後に芯出しバーをコレットにセットします。材料に近づけ、目視で調整が可能です。偏心が見られる場合は板や矢を用いて水平度を調整します。

芯出しバーの原理

NC・MC工作機械などで使用する場合、芯出しバーのシャンク部をミーリングチャックドリルチャックに取り付け、ワークにゆっくり近づけ、測定子が偏心するよう回転させます。回転した状態でワークをゆっくり測定子に近づけると偏心が小さくなり、測定子の振れがなくなり、完全に静止した状態になるよう調整します。静止の状態からワークを微小移動させ、ワークに接触させると測定子が測定面に沿って移動します。この位置が測定子径を考慮した基準位置です。

芯出しバーは金属でできているため、長期間使用すると磁気を帯びて機能しなくなります。一定期間での取り換えが必要になります。消耗品に分類されるため、非金属で耐久性に優れた材質が理想となります。

原点の精度は加工の精度に直結するため、重要な項目です。

用途に応じて材質をステンレス鋼・非磁性特殊鋼・セラミック・クロムモリブデン鋼などから選定します。

座標検出の他に円の径測定、2点間の距離測定に使用されます。Z軸方向では使用されません。

参考文献
http://kikaikakou.gjgd.net/
http://www.e-supertech.co.jp/HME.html
https://www.toyoas.jp/products/category/milling/option/detail.html?p=787
https://www.fujitool.co.jp/products/egde_finders/000115.html

精密機械加工

精密機械加工とは

精密機械加工

精密機械加工 (英: precision machining) とは、一般的な工作機械での切断加工や穴あけ加工を超えた精度を持つ加工技術のことです。

厳密な定義は存在しませんが、公差という加工誤差を数ミクロンから数十ミクロン程度に抑えた加工を指します。精密機械加工は金属素材だけでなく、セラミックスや樹脂など幅広い素材に対して適用されるため、現代の産業界において重要な役割を果たしています。

例えば、自動車や航空機の部品、医療機器、エレクトロニクス製品など、精密な寸法や表面仕上げが求められる製品において、精密機械加工は不可欠な技術です。現代社会での精密機械加工の重要性はますます高まっており、高度な技術と緻密な知識が求められる分野であることから、その技術力は企業の競争力を左右する要素ともなっています。

精密機械加工の使用用途

精密機械加工の使用用途は幅広く、航空宇宙産業やロボット技術、医療用機器の開発など多岐にわたります。

1. 航空宇宙産業

航空宇宙産業では、ロケットや人工衛星、宇宙ステーションなど複雑な機構を持つ機器が多いです。わずかな寸法誤差でも全体の動作に影響を与える恐れがあるため、厳密な公差が求められます。精密機械加工技術は、これらの要求に応えるために重要な役割を果たしています。

2. ロボット技術や医療用機器の分野

精密な動作が必要とされるため、精密機械加工が活用されています。例えば、産業用ロボットや手術支援ロボットは緻密な動作が求められます。その部品製造には、精密機械加工技術が不可欠です。

精密機械加工の原理

精密機械加工は、さまざまな種類の工作機械を用いて素材を加工し、高い精度で複雑な形状を作り出す技術です。旋盤加工やフライス加工など古典的な工作機械に加え、新しい技術としてワイヤ放電加工なども利用されます。

精密機械加工の原理は、3DCADを使ってデザインされたパーツの形状を工作機械に読み込ませ、機械が自動的に寸法通りに加工を行うことです。コンピュータ支援製造 (CAM) と呼び、現在主流となっている製造方法です。デザインと工作機械が連動することで、非常に精密な加工品が作成されます。

加工が終わった後は、表面処理や仕上げが行われます。加工後にはバリと呼ばれる、切断面のエッジ部分に薄皮状の素材が付着していることがあります。これらを取り除き、研磨を行い、さらに必要に応じて微調整が施されることで、デザインされた寸法により近づけることが可能です。

精密機械加工は、その原理によって高い精度で複雑な形状のパーツを作成できます。航空宇宙産業や医療用機器、エレクトロニクス製品など、様々な分野で活用されており、産業界における重要な技術です。

精密機械加工の種類

機械加工には、「成形加工」「除去加工」がありますが、成形加工の精度は除去加工に比べ低いため、精密機械加工とは、高精度除去加工を指します。除去加工は「切削加工」「研削加工」「研磨加工」「放電加工」「切断加工」など、多種多様です。

この中で精密加工が可能なものとして、切削加工、研削加工、放電加工が挙げられます。研磨は表面粗さを出すための加工という位置づけとしています。

1. 切削加工

切削加工の種類として「フライス加工」「旋盤加工」「穴あけ加工」が挙げられます。切削加工では刃物の選定、クーラントの選定、加工量、など条件を、かなり厳しく管理しなければ高精度な加工はできません。

これは材料を削り取る際に、残留応力が残ったり、温度上昇があるためで、加工後の変形につながります。

2. 研削加工

研削加工では加工量が非常に小さいことと、クーラントを大量に使用するため、温度上昇が抑えられます。残留応力も少なくなり、高精度加工が容易に行えます。

ただし、砥石で表面を撫でるように行うため、形状に制限があります。例えば、四角い穴の隅部は加工できないなどです。

3. 放電加工

放電加工の種類としては、素材に電極と逆の形状の掘り込みをする「型彫り放電加⼯」、輪郭加工を行う「ワイヤ放電加⼯」、溶融し除去をしながら細穴を空ける「細穴放電加工」が挙げられます。それぞれの加工方式に適応した放電加工機が必要です。

放電加工は細い電極に電気を流し、材料と電極の間で放電を起こし、材料を除去する加工です。電極が細ければ高精度加工が可能となります。電極が細い場合、加工速度は非常に遅くなります。現在では、継目の見えないほど精密に嵌めあいができる部品なども製作可能です。

放電加工は、切削加工よりも繊細な加工が可能なのと硬い素材の加工も可能なのが特徴的です。また、素材を加工液に沈めて加工をするために熱が原因で発生する変異が起きにくくなります。複雑な形状をした素材や歪みが発生しやすい薄板の素材でも、精密に加工可能です。

精密機械加工のその他情報

精密機械加工の精度

加工精度は単純に加工機の精度だけに依存するのではなく、材質、加工方法、固定方法、温度、などさまざまな条件によって変ってきます。例えば、2つの穴を別の面に加工する場合、1つ目の穴を加工した後、材料の向きを変え、再度2つ目の穴を加工すると、2つの穴の距離は加工機の移動精度と材料固定の繰り返し精度の2つが加算されたものです。

また、加工機によっては基準 (面や穴など) を検出し、その基準からの相対距離で加工できるものもあります。その場合も、基準検出の測定精度が加算されます。このように、加工精度は工程が多くなればなるほど誤差が積算することになり、高精度加工をする場合には、なるべく加工工程が少なくなるように考慮します。

例えば、ATC搭載のマシニングセンタを使用し、ワンチャックでほとんどの加工を行うなどです。さらに、工具の状態なども無視できないため、工具の取付長さ、外径、振れなどを測定し、補正をかけるなどさまざまな方法を用いて精度を上げています。

現在、高精度加工と言えば数ミクロンの誤差が一般的ですが、物によってはサブミクロンの精度も可能です。

参考文献
https://maeda-mss.com/precision/
https://www.chienfu.com/ja/precision-machining/
https://www.weblio.jp/content/%E7%B2%BE%E5%AF%86%E5%8A%A0%E5%B7%A5
https://www.taiyoparts.co.jp/blog/3216/

簡易無線機

簡易無線機とは簡易無線機

簡易無線機とは、簡易な業務や個人的なレジャーなどでの利用を目的に、簡易無線局で使用される無線端末です。

無線従事者資格が不要な無線局なので、誰でも使用できます。無線機の形態により固定型・車載型・携帯型に分かれており、携帯型は一般的にトランシーバーと呼ばれます。

簡易無線機は携帯電話とは異なり、事前にチャンネルを共有して一度に複数人へ送信が行えます。電話番号の入力が不要で送信のボタンを押すとすぐに送信が行えます。

また、携帯電話の圏外エリアとなるような山奥などでも使用可能です。よって、事前に決められたメンバーと密に連絡を取りたい場合は、簡易無線機がとても優れています。

簡易無線機の使用用途

簡易無線機は、携帯電話の電波が届きにくい場所での連絡や一斉通話が必要な業務や個人的なレジャーで使用されています。

1. 警備業務

大型の商業施設やプラント、工場などの警備業務に適しています。

2. イベント

イベントを運営する際に、一度の送信でスタッフ全員と連絡が取れるため、ホウ・レン・ソウがスムーズに行えます。そのほか、コミケや音楽フェスなどのイベントの規模が大きく、スタッフ同士の距離が離れてしまっても送受信が可能な点がメリットとして挙げられます。

また、マラソンや競歩などの選手やスタッフの移動が広範囲になるスポーツイベントにも好適です。

3. 大型物流倉庫

ネット通販の普及で物流倉庫も各地に建設され大型化しています。ピッキングなどを行う作業者と管理者との連絡に役立ちます。

4. アウトドア活動

山登りやキャンプなどで、家族や友人と連絡を取ることができます。登録局は業務専用ではなくレジャー使用も認められています。

簡易無線機の原理

簡易無線機は、電波を使って簡易無線機同士が通信を行う無線局です。周波数はUHF帯域を使用し、最大出力5Wで通信を行います。簡易無線にはアナログ通信方式とデジタル通信方式がありますが、アナログ通信方式は廃止される予定なので、ここではデジタル通信方式で説明します。

デジタル簡易無線機は、音声をデジタル化して電波を介して通信を行います。暗号化により秘話機能を提供可能です。

また、デジタル化によりアナログと比較してクリアーな音質を維持しつつ、狭い電波帯域で通話できる特性があり、電波の有効活用も図れています。

簡易無線機の選び方

1. 免許局と登録局

簡易無線には免許局と登録局の2種類があり、無線機も異なります。利用目的や利用者の範囲などで判断することが重要です。

免許局
免許局は、法人や団体が業務での使用を目的にした無線局です。免許局は154.44375~154.61254MHzで19ch +9ch (音声除く) 、467~467.4MHzで65chあり、登録局よりもチャンネルが多く混信しにくいです。

免許は無線機1台ごとに必要で使用できるのも、組織に属する人だけです。したがって、免許局の簡易無線機はレンタルを禁じられています。

登録局
登録局は業務だけではなく個人のレジャーなどでも使用できる無線局です。登録局は351.2~351.38125MHzで30ch、351.16875~351.19375MHzで5chあり、免許局よりもチャネル数は少ないです。

事前に登録申請と開設届けを出すことで、形式的な要件審査で認められます。登録局は登録人以外でも使用が認められているため、レンタルも可能です。

2. 形状

簡易無線機には持ち運び可能なハンディタイプと車両に取り付ける車載器タイプがあります。使用形態によって選択します。

3. 機能

簡易無線機には通話機能以外にGPSや秘話機能、録音、防水防塵などの機能を持つものもあります。業務で必要な機能があるかを確認します。

簡易無線機のその他情報

簡易無線機の制限

簡易無線機が使える業務には制限があります。以下の業務には使えないため、注意が必要です。詳細は「簡易無線局 (デジタル簡易無線局) の免許申請について」のページを参照してください。

電気通信業務、船舶や航空機などの安全航行を確保する目的、人命及び財産保全又は治安の維持確保などのような安心安全にかかわるもの、社会インフラになるようなものには利用できません。

参考文献
https://www.jenix.co.jp/best15/
https://www.icom.co.jp/lineup/result/?type=1&class=1&genre=3

端子盤

端子盤とは

端子盤

端子盤とは、電気配線を接続するための機器です。

主に電気設備や制御システムで使用され、電気配線を効率的かつ安全に接続することを目的としています。端子盤は複数の電線やケーブルを一箇所にまとめることが可能です。

これにより、配線が乱雑になるのを防ぎ、配線の管理と保守を容易にします。また、配線が整理されているため、必要な接続を迅速に行うことができます。

端子盤は信号や電力の伝達において、信頼性を高める役割も果たします。適切な接続と配線の保護により、短絡や断線などの事故を防ぐことが可能です。信号の劣化や回路の故障を最小限に抑え、安定した電気回路を確保します。

端子盤の使用用途

端子盤は、産業やインフラにおいてさまざまな場面で使用されます。身近な例としては、固定電話回線です。

電話回線を制御する電話交換機に入力される電話線は、数百本~数千本である場合が普通です。それに対して、電話機に入力される電話線は2本であることが多いです。

電話線を各地に分配する際は、電話交換機から数百本の多芯線を敷設します。この多芯線を端子盤で中継して、各地に2本の電話線を敷設します。端子盤を中継に設けることで、配線敷設の工数を削減することが可能です。

また、産業装置の制御配線中継にも使用されます。産業装置には1台に数百個のセンサーが使用されることは珍しくありません。したがって、まとめて多芯線を敷設して端子盤で中継した後に、各センサーへ配線を敷設します。これによって、配線敷設の工数削減が可能です。

端子盤の原理

端子盤には筐体や端子台で構成されます。

1. 筐体

端子盤は1つまたは複数の筐体に収められます。金属製が一般的で、アルミニウムや鋼鉄が使用されることがあります。金属製の筐体は耐久性が高く、外部の衝撃や環境要素から内部の配線や接続部を保護する役割を果たします。

また、筐体は箱状が一般的です。フレームやパネルで構成されており、前面に扉やカバーが取り付けられています。扉やカバーには鍵などが付いていることも多く、不正な接触や誤操作を防止します。

なお、筐体には屋外用、屋内用などの区分があります。屋外用の場合は、天板に水切り屋根が付属する場合が多いです。耐候性や耐腐食性を向上させたい場合は、ステンレス製を使用される場合もあります。

2. 端子台

端子台は、配線同士の接続部分となる部品です。通常は金属製台座の構造で、複数の端子ブロックや接続端子が取り付けられます。端子台は配線の接続や分岐を行う場所であり、配線同士を接続して同電位にする役割を果たします。

また、端子台には接続部があり、電線やケーブルを接続するための導線を固定します。接続部には、ねじやクランプなどを使用するのが一般的です。これにより、導線が確実に接続され、信号や電力の伝達が確保されます。

接続の識別や管理を容易にするためのマーキングが行われることがあります。各端子には番号や記号が付けられ、対応する回路や機器との接続を識別することが可能です。マーキングによって、整理された配線と正確な接続を確保されます。

端子盤の種類

端子盤には、弱電用、産業用、接地用などの種類が存在します。

1. 弱電用端子盤

弱電用端子盤は、通信業界や電話システムで使用されます。主な目的は、通信ケーブルの接続と管理です。電話回線などの信号や電力を適切に接続するための端子やコネクタが備わっています。

弱電用端子盤は、異なる配線を分岐させたり、パッチパネルを介して異なる場所に接続するための配線機能も提供します。

2. 産業用端子盤

産業用端子盤は、工業施設や産業機器で使用される端子盤です。主な目的は制御システムの配線と制御で、センサーやアクチュエータなどの制御装置との接続に用います。

信号や電力の伝達を確実に行い、機器の制御や監視に寄与します。環境に対する耐久性や防塵・防水性能などの機能を持たせる場合もあります。

3. 接地用端子盤

接地用端子盤は、電気設備や建物の接地で使用される端子盤です。接地は電気的な安全性やシステムの正常な動作を確保するために重要です。

接地用端子盤には接地棒や接地線が接続され、異常な電気の流れを大地に逃がす役割を果たします。また、接地用端子盤は地絡検出や保護回路の接続にも使用されることがあります。

参考文献
http://web1.kcn.jp/ta/yougo-settitannsibann
http://www.jsia.or.jp/mamechishiki/syuruitoyakuwari/

直進フィーダ

直進フィーダとは

直進フィーダ (英: straight vibration feeder) とは、直線のシュートに振動を与えて部品を供給する装置です。

シュートによって、整列された部品を次の工程へ送ります。バッファの役割があり、多くは直進フィーダとセットで使用しますが、傾斜させて単体でも使用可能です。

直進フィーダには固定式・ゴム足式・板ばね式の3種類に分けられます。パーツフィーダと同様に駆動方式は電磁式と圧電式があります。直進フィーダは、パーツフィーダの1要素として使用する場合が多く、ボウルフィーダで整列された部品を直進させます。

そして、次の工程に供給します。また、部品をパーツフィーダのホッパからボウルフィーダに供給する場合にも有用です。

直進フィーダの使用用途

直進フィーダは、生産ラインや組付け工程の機械化・高速化のために使用されます。ボウルにワークを入れ、振動を与えることでワークを決められた姿勢に整列させて検査機・組立機・包装機など次の工程に供給します。従来は手で行っていた部品の整列・供給作業の自動化が可能です。

供給できる部品の種類も多く、金属部品・ゴム・プラスチック・電子部品・医療機器・食品などに使用されます。

直進フィーダの原理

直進フィーダは、大量の部品に振動を与え、整列板の誘導で一定の方向に整列させて、次工程の機械に供給する装置です。振動は方向性があり、多くは、前進と後退を切り替えて使用できます。

取り付け方法によって、固定式、ゴム足式、板ばね式などの種類があります。振動の駆動源には、電磁式と圧電式が使われます。

1. 固定式フィーダ

固定式は直進フィーダの架台のベースと、下部ベースを直接固定します。架台に振動が直接伝達するため、厚みのある頑丈なベースと架台が必要です。そのため、小さな直進フィーダにのみ採用されます。多量な微小ワークを扱う場合などに使用されます。

2. ゴム足式フィーダ

ゴム足式は直進フィーダの架台のベースと下部ベースをゴム足で固定します。比較的大きい直進フィーダに多く使用されます。振動調整が容易であり、振幅を出しやすい特徴があります。

ベースや架台に対する剛性の要求も高くありません。しかし、直進フィーダの揺れが大きいため、微小ワークや乗り継ぎ部との受け渡しに厳しい条件が多いワークには不向きです。

3. 板ばね式フィーダ

板ばね式は直進フィーダの架台のベースと下部ベースに対して板ばねを用いて固定します。厚みのあるしっかりとしたベースと架台を使用しない場合、振動が逃げてしまい、ワークの進みが悪くなります。直進フィーダの揺れが少ないため、乗り継ぎ部との受け渡しに厳しい条件が多いワークに向いています。

4. 駆動方式フィーダ

直進フィーダの駆動は、電磁式や圧電式が多く使われます。半波駆動式、全波駆動式、インバータ駆動式、高周波振動式などがあります。また、自励振動式、機械式、空気圧式などの方式も使われます。

直進フィーダの選び方

直進フィーダを選定する際は、

1. 対象部品の特性

まず対象部品の特性を分析することが大切です。部品の重量・大きさ・材質などから、適切な直進フィーダを検討します。

2. 供給能力

供給能力とは、1分間に次工程の機械に供給できる個数です。供給能力をより高めるには、フィーダの速度上昇の他、多列供給の方法があります。

3. 予想される問題

部品の形状が複雑で絡みやすい・傷つきやすい・静電気に弱いなど、整列・排出に問題が予想される場合には、各種対策を加えます。

直進フィーダのその他情報

1. 直進フィーダのメリット

直進フィーダを導入するメリットは、生産ラインの効率化・自動化・省力化などです。手作業で部品供給する場合に比べ、作業の速度と正確性が飛躍的に上がり、生産性が向上します。

また、画像処理などを併用して、不良品を検出し、自動で排除することも可能になります。機械化により、見落としや選別ミスなどの人的ミスの減少が可能です。

2. 直進フィーダのデメリット

直進フィーダのデメリットは、導入コストです。直進フィーダは単独の使用ではなく、パーツフィーダーの1要素として使われることが多く、装置全体として、連携できる検討が必要です。現行の設備とのマッチングが重要です。

また、対象物が変わった時の対応力が必要で、全く使用できなくなるリスクもあります。さらに、定期的なメンテナンスを要し、フィーダの故障によるライン停止のリスクを減少させることが重要です。

参考文献
https://kachitas.net/straight/
https://pfd.co.jp/basic/cyokushin/