届出不要焼却炉

届出不要焼却炉とは

届出不要焼却炉とは、一定規模以下で行政への届け出が要らない小型焼却炉です。

一般的な焼却炉は廃棄物処理法に基づき自治体へ設置を届け出る必要があります。ただし、燃焼室の容積や処理能力が基準以下で、煙や臭気の抑制機構を備えた機種は届出対象外に分類されます。導入手続きが簡素なうえ、許認可に伴う審査期間や書類作成の負担を抑えられる点が特徴です。

届出不要焼却炉でも燃焼温度を高く維持するための二次空気導入や、焼却ガスを再度燃やす二次燃焼室を採用した設計などが主流です。安定した高温燃焼により、黒煙や悪臭の発生を抑制可能です。設置場所には、建物や可燃物から一定距離を確保し、安全対策を行うことが望まれます。小型とはいえ火を扱う設備のため、煙突高さや防火壁など、基本的な安全措置は必須です。

届出不要焼却炉の使用用途

届出不要焼却炉は以下のような用途で使用されます。

1. 農業・林業

農業や林業の現場では剪定枝や刈草などが頻繁に発生します。届出不要焼却炉は湿気を含む生ごみ系資材でも、乾燥から燃焼まで一気に行えるため、堆肥場へ運ぶ前の一次処理機として重宝されます。作物病害虫の拡散源となる廃棄物を現地で安全に焼却できるため、衛生管理と作業効率を同時に向上させます。燃焼後に得られる木質灰は土壌改良材として畑に還元でき、生産サイクルを閉じる運用が可能です。

2. イベント・キャンプ

アウトドア施設や地域行事では、一時的に紙皿や割りばし、木製架台などが大量に発生します。届出不要焼却炉を常設または簡易設置すれば、燃えやすいごみをその場で安全に処理でき、清掃時間を短縮することが可能です。煙突と二次燃焼機構があるため、参加者がいる場所でも煙や臭気を抑え、快適な環境を維持できます。

3. 神社・祭事

供養札や護摩木など、宗教儀礼で焼却を前提とした供物は祭事直後に処理する慣習があります。届出不要焼却炉を用いれば、境内や集会所敷地内で儀式に使った紙・木材を清浄に燃やすことが可能です。伝統的作法と現代の環境配慮を両立させる手段として重宝されます。