点群処理ソフトとは
点群処理ソフトとは、3Dレーザースキャナなどにより取得した点群データを解析・モデリングし、建築CAD (Computer Aided Design) で扱えるデータに変換するソフトウェアのことです。
3Dレーザースキャナなどにより取得した点群データは、3次元空間上で等間隔の格子状に並んだ点のXYZ座標に、色情報などを組み合わせたデータです。点群データはあくまでも「点」の情報なので、その情報を建築用CADで扱える「面」や「立体」の情報に変換する必要があります。点群処理ソフトは、その変換を行う際に使用されます。
点群処理ソフトの使用用途
点群処理ソフトの主な利用分野は、土木・建設分野と工場・建築分野です。点群データは、3Dレーザースキャナやドローンなどにより取得されます。
土木・建設分野には、メッシュ法および三角網 (三角測量データの集合) による土量計算、任意箇所での断面図作成、等高線の作成などが含まれます。工場・建築分野には、配管・平面・鋼材のモデリング、設備の採寸、搬出・搬入シミュレーションなどが含まれます。
点群データをVR (Virtual Reality) 、AR (Augmented Reality) に応用する目的にも、点群処理ソフトが利用可能です。
点群処理ソフトの原理
点群データとは、3Dレーザースキャナなどにより取得した3次元の点と色情報などの組み合わせのことです。
1. 点群データの取得方法
3Dレーザースキャナでは、対象物にレーザーを照射し、反射されたレーザーを検知して情報を取得します。取得した情報は、3次元空間 (直交座標) 上に格子状 (XYZ座標が等間隔) に配置された点と、色情報 (RGB値) などを対応させたものです。
現在では3Dレーザースキャナの代わりに、ドローンで点群データを取得することも増えてきました。この点群データはあくまでも「点」の情報なので、そのままでは建築用CADなどのソフトで扱えません。
この「点」の情報を「面」や「立体」の情報に変換するために、点群処理ソフトが利用されます。
2. 点群データの処理方法
点群処理ソフトにおけるデータ処理の流れは以下の通りです。
- 点群データの取り込み
- 前処理 (位置合わせ・ノイズ除去)
- 解析 (寸法の計測・干渉チェック)
- モデリング (3Dモデル・メッシュデータ作成)
- 最終出力 (用途に合わせたフォーマットのファイル作成)
出力されたファイルをCADソフトなどに読み込んで利用することになります。
点群処理ソフトのその他情報
1. ICPアルゴリズム
既存の点群データ処理ソフトウェアの多くでは、フィッティングで異なる点群データ間の位置合わせを行っています。ICP (Iterative Closest Point) と呼ばれるアルゴリズムに基づいて計算するものです。
点群間で点どうしの対応づけと相対的な位置姿勢の更新を繰り返し計算し、対応点間の距離総和を短くします。標準的なICPでは、最近傍点を用いた対応づけと幾何変換の処理を交互に行います。
点群間の位置や姿勢の初期状態によって計算結果は、正確な計算結果を得るのが困難な場合もあります。
2. 先行研究で実施される手法
スキャン点群間の位置合わせでは、路面や建物の平面情報を利用する手法や色情報を用いた手法があります。これらの情報を併用して段階的に位置合わせを行うことで、初期状態やデータ欠損の影響を受けない手法が近年提案されています。
SfMで得た情報を利用したスキャンデータの統合手法も有効です。スキャンデータ間でオーバーラップが少ない箇所に対して、写真を複数枚撮影してSfMで3次元情報を補填します。スキャンデータの結合精度が向上する手法です。
参考文献
https://www.jstage.jst.go.jp/article/shasetaikai/2017.5/0/2017.5_157/_pdf/-char/ja
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jscejcei/73/2/73_I_219/_pdf/-char/ja